説明

カルベジロール製剤

【課題】凝集傾向を有する難溶性活性物質から、溶解速度が30分間後において少なくとも70%である速溶性医薬調製物の調製方法、及びこの方法により調製される医薬品を提供する。
【解決手段】難溶性活性物質からの速溶性医薬調製物の調製方法に際し、水溶性懸濁物が該活性物質及び1種以上の水溶性アジュバントから作製され、次いで得られた水性懸濁物がそれ自体慣用の方法により水分除去処理して固体医薬調製物が形成される。ここに於いて使用される活性物質は、カルベジロール又は4−〔2−ヒドロキシ−3−〔4−(フェノキシメチル)ピペリジノ〕−プロポキシ〕インドールである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝集傾向を有する難溶性活性物質からの、溶解速度が30分間後において少なくとも70%である速溶性医薬調製物の調製方法、及びこの方法により調製される医薬に関するものである。
【0002】
消化管領域自体の内部でそれらの作用を展開することが出来ない薬剤の場合には、消化管内での薬剤形態からの放出及び引き続く吸収が、治療効果のために必要な条件である。これらの活性物質に関して、乏しい溶解性又はそれらの低い溶解速度のために、水性媒体中の消化管において低い濃度を与え、あるいは他のアジュバントの系からの妨げられた放出のために、該活性物質の溶解が、吸収に関する速度を決定する段階となることが問題となる。結果としての低い吸収速度のために、このような活性物質は適切な生物学的利用可能性を達成しない。この種の問題ある薬剤は、通常、5g/l水未満の溶解度、又は30分後で50%未満の固形薬剤形態からの溶解速度を有する活性物質であるといわれている。溶解度及び放出速度は、例えばUSP XXIIのパドル法に従った標準方法により決定される。
【0003】
活性物質の性質のために溶解度の上昇には比較的に狭い限界があり(例としては、塩形成、作用に影響を与えないか又は血中で再度離脱する溶解度改善基による誘導体化、溶解性の溶媒和物若しくは他の錯体の生成、あるいは高エネルギーへの転換、そのために良好な溶解性結晶形態である)、過去において主に着目されてきたことは溶解速度を増大させることである。既知のフィックスの法則に従えば、溶解速度は活性物質の面積、粒子表面と溶液との間の活性物質の濃度、及び粒子に付着する拡散層の厚みに比例することから、拡散係数が活性物質及び溶液媒体により決定される場合には溶解速度を増大されるためには3つの選択肢がある。
【0004】
拡散層の厚みは、消化管内における活性物質粒子の動きに実際上依存し、したがって相対的に影響が少ない。活性物質粒子の利用可能な消化管領域に亘っての可能性ある最も迅速な分配は、崩壊剤及び界面活性剤の添加によってのみ得られることから、濃度勾配の上昇には相対的に狭い限界が存在する。このため、可能な最大の活性物質面積が生成される。例えば、活性物質は、細粉化又は急速沈殿により微小結晶に変換されるか、あるいは別法としてアジュバント中の活性物質の分子−分散、無定形又は微小結晶的分布が、融解物への溶解又は易溶性アジュバントへの溶解と、引き続く固化又は溶媒の蒸発により得られる。
【0005】
しかしながら、細粉化又は沈殿により得られる微小結晶性又は無定形活性物質粒子は、それらの極めて大きい表面エネルギーのために、処理中、特には加圧下において、又は溶媒の添加により、及びかなり長期の保存において再結晶する傾向があり、したがって表面積及びこれにより溶解速度が制御不能な様式で低下することが見出された。また、微細粒子は相対的に硬い凝集物を形成する傾向があり、これは溶媒中に導入した場合にも分離が困難であって、したがってより小さい比表面積の相当する大きい粒子と同様の挙動をすることが見出された。したがって、このような活性物質は、賦形剤粒子により活性物質粒子の物理的分離が達成されるように過剰量の可溶性アジュバントと共に細粉化される。しかしながら、かなり過剰量のアジュバントと共に用いても、活性物質粒子の再結晶化又は凝集は、これらの工程によっては完全に防止することができず、このような調製物の溶解速度は至適化されず、また、特には時間依存性が無い。
【0006】
細かく分割された活性物質を得るための第二の可能性は、活性物質を親水性の易溶性アジュバントの担体中に分割することである。これに関して、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の水溶性ポリマーは、特に好適であることが示されている。活性物質の性質に応じて、これは該活性物質を融解したアジュバントに溶解させ、これをスプレー固化させるか、又は固化させた溶融物を細粉化し、得られた粒子を必要に応じて他のアジュバントと混合した後、顆粒又は錠剤として調製することにより達成される。活性物質が適切な溶解性を持たない場合、又はアジュバント物質の溶融温度で損傷を受ける場合、2成分を適当な溶媒に溶解し、これらを溶媒除去後に実質的に均質な混合物の形態で回収することもできる。この方法の欠点は、該活性物質の水に対する乏しい溶解性は実際的に有機溶媒のみが使用されることを意味することであり、この処理は作業個所の安全性及び環境汚染等の既知の問題を伴う。
【0007】
更に、溶解性の条件のため、全ての活性物質がこのような方法で処理され得るわけではなく、また得られたアジュバント担体中の無定形又は分子−分散分布をもった活性物質は、再結晶する傾向があり、したがって、活性物質の溶解速度を変化させる傾向を有する。
【0008】
本発明の目的は、通常、凝集又は再結晶する傾向がある、溶解速度が30分間後において少なくとも50%である難溶性活性物質からの速溶性医薬調製物の効率的、かつ環境適合性の調製方法を開発することである。本発明の他の目的は、例えばカルベジロール等の難溶性活性物質の速溶性医薬調製物を調製することである。
【0009】
更に特定的には、本発明は難溶性活性物質からの、溶解速度が30分間後において少なくとも70%である速溶性医薬調製物の調製方法であって、水溶性懸濁物を該活性物質及び1種以上の水溶性アジュバントから作製し、次いで得られた水性懸濁物を既知の方法により水分除去処理して固体医薬調製物を形成することを含む医薬調製物の調製方法に関する。
【0010】
本発明によれば、例えばカルベジロール等の難溶性活性物質が、1種以上の適当なアジュバントの水溶液に溶解され、次いで水が除去される。活性物質を、粒子直径500μm未満、好ましくは粒子直径250μm未満、特に好ましくは粒子直径100μm未満において使用することが好ましいことが見出された。活性物質は、このためにそれ自体既知の方法により機械的に細粉化される。
【0011】
好適な一実施態様において、カルベジロール、又は4−〔2−ヒドロキシ−3−〔4−(フェノキシメチル)ピペリジノ〕−プロポキシ〕インドールが、活性物質として使用される。
【0012】
本発明による、“アジュバント”なる用語は、活性物質と不利な反応を起こさない水易溶性の医薬的に支障のない物質を意味する。従って、全ての慣用の結合材、崩壊剤及び/又は界面活性剤(湿潤剤、表面活性剤)が使用される。例えばサッカロース、グルコース及びラクトース等のモノ及びジサッカライド;例えばスターチ等のオリゴ及びポリサッカライド;マンニトール及びソルビトール等の糖アルコール;例えばメチルヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコール等の水易溶性セルロース誘導体が好適である。加えて、全ての医薬的アジュバントを使用し得る。
【0013】
アジュバントの溶解度に依存して相当する量の水分が再度除去されなければならないため、水易溶性のアジュバントが好ましい。水分除去のための大きい支出を回避するため、アジュバントの量は最小限に止められる。
【0014】
したがって、懸濁物中の乾燥物質における活性物質/アジュバント比は、剤形の型及び大きさ、並びに必要な物質及び賦形剤の量に依存して、1:0.01〜1:500、好ましくは1:0.1〜1:50特に好ましくは1:0.1〜1:10の範囲である。
【0015】
必要に応じて、界面活性剤が難溶性活性物質の水懸濁物に添加され、界面活性剤に対する活性物質の比は、1:1までの範囲、好ましくは1:0.3までの範囲、及び特に好ましい実施態様において1:0.05までである。
【0016】
使用される界面活性剤は、イオン性、非イオン性の両方であってよく、例えばベンズアルコニウムクロライド、ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレン・コポリマー(例えば、プルロニック(Pluronic)F68)、アルキル硫酸塩、好ましくはドデシル硫酸ナトリウム、及びポリエチレングリコール−400−ステアレート(Myrj)等のステアレートである。
【0017】
本発明の一実施態様によれば、界面活性剤は水に溶解され、難溶性活性物質はこの溶液に1種以上のアジュバントと一緒に混合される。
【0018】
加えて、水不溶性賦形剤が、活性物質及びアジュバントの水性懸濁物に付加的に混合され得、あるいは別法として該水性懸濁物が、この種の水不溶性賦形剤に適用される。該活性物質との関連において水不溶性賦形剤の比率は、50:1までであり得る。好ましい変法において、難溶性活性物質は、水不溶性賦形剤と一緒に、及び必要に応じて他の水溶性アジュバントと一緒に水性アジュバント溶液中に攪拌される。
【0019】
水不溶性賦形剤は、好ましくは高度に分散された二酸化ケイ素又は酸化アルミニウムである。高度に分散された二酸化ケイ素又は酸化アルミニウムの割合は、固体活性物質に対して20%まで使用される。
【0020】
好適な水性懸濁物の調製に引き続く、該好適な水性懸濁物の固形医薬調製物への変換は、それ自体既知の方法により行われる。例えば、好ましい変法は噴霧乾燥であり、その結果は、乾燥機の大きさ及び噴霧器のタイプに依存して粉体又は顆粒が得られる。これらの粉体又は顆粒(先行する顆粒化の後に粉体とすることも可能)は、更に例えば錠剤、糖剤、カプセル、ペレット又は丸薬等の固形薬剤に調製される。必要に応じて、他の慣用のアジュバント、例えば好ましくはグルコース、ラクトース及びサッカロース等の糖、マンニトール及びソルビトール等の糖アルコール、スターチ及びスターチ誘導体など、親水性炭水化物等の充填剤;例えばゼラチン、微小結晶セルロース、ポリビニルピロリドン誘導体及びL−HPC等の結合剤;カルボキシメチルセルロース、スターチ1500及びナトリウムカルボキシメチルスターチ、イオン性及び非イオン性界面活性剤等の崩壊剤;タルク又はポリエチレングリコール等の潤滑剤;ステアリン酸マグネシウム又はカルシウム、ステアリン酸、1−ヘキサデカノール等の潤滑及び型抜き剤;高分散二酸化ケイ素及びタルク等の流動性調節剤等を混合することもできる。
【0021】
他の変法において、水性懸濁物を例えば流動化床又は高速混合機において、おそらくは前記慣用のアジュバントと共に直接に湿式顆粒化に使用し、得られた顆粒を乾燥し、更にそれ自体既知の様式で加工される。水の蒸発によって、活性物質粒子は最初は懸濁物の溶解したアジュバントの層に被覆される。更に、これらの被覆粒子は元々のアジュバントにより結合されてより大きい単位を形成する。懸濁物の体積が元々のアジュバントの体積に対して大きいと、湿式顆粒化は、多工程法により、即ち中間的乾燥工程を顆粒化の間に差し挟んで実施することが有利である。
【0022】
本発明の他の変法において、活性物質を含む懸濁物はペレット又は丸薬に適用され、又はペレット調製のために使用される。
【0023】
工程の別の変法において、固体医薬調製物は、融解性アジュバントに懸濁された活性物質から噴霧乾燥により調製され、この懸濁物は変法として、例えば二酸化ケイ素等の高分散賦形剤を含んでもよい。
【0024】
本発明による方法は、有機溶媒及び高温度の使用を必要としないという優位点を有する。
【0025】
本発明に従って調製された水性懸濁物中の活性物質は、加工中に変化しない安定な初期の結晶形態において存在し、本発明の方法により調製された難溶性活性物質の医薬調製物においては結晶改変の変化が実質的に除かれることが見出された。このことは、投与形態の保存中に、他の結晶改変への重大な変換工程又は制御不能な再結晶化が無いことを意味する。懸濁物中に溶解されたアジュバントは、乾燥後に部分的又は完全に無定形物質混合物として得られる。物質混合物のこの構造は、多年にわたる保存の場合にも実質的に維持され、このことは例えばX線回折試験により確認されている。
【0026】
本発明の主題は、また溶解速度が30分間後において少なくとも70%であり、該活性物質が好ましくは部分的若しくは完全な無定形物質混合物に埋め込まれるか、又は部分的若しくは完全な無定形物質混合物に封入される、難溶性活性物質、好ましくはカルベジロールの速溶性医薬調製物である。
【0027】
本発明に従って作製される固体医薬調製物は、驚くべきことに、30分後において少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%の溶解速度を有する。更に特定的に、本発明による方法では、この溶解速度を持ったカルベジロール又は4−〔2−ヒドロキシ−3−〔4−(フェノキシメチル)ピペリジノ〕−プロポキシ〕インドール アセテートの固体医薬調製物の調製が可能である。
【0028】
これと対比して、親水性アジュバントを伴ったこれらの活性物質の純物質又は粉末の溶解速度は、ある場合には30分後に50%よりかなり低い。これらの活性物質の高い凝集傾向のために、細粉化による表面積の増大は、親水性アジュバントの添加を伴ってさえも顕著な改善をもたらさない。したがって、慣用方法及び慣用の医薬的アジュバントを用いて調製された顆粒、錠剤及びカプセルは、やはり不満足な活性物質溶解速度を有する。錠剤が微粉化活性物質を用いて調製された場合にも、30分後の溶解速度は50%未満である(実施例1及び2参照)。
【0029】
本発明に従って調製される調製物は、修飾された放出調製物の基材としても使用され得る。例えば難溶性活性物質を用いる慣用の遅延剤形の場合、活性物質の放出は遅延用アジュバントのみならず、該難溶性活性物質の溶解の挙動によって実質的に決定されるのであるが、本発明による調製物が使用される場合、遅延用アジュバントのみに依存する調節された放出が達成され得る。
【0030】
本発明は、以下に実施例を参照しつつ詳細に説明される。
【0031】
実施例1:(比較例)
活性物質、4−〔2−ヒドロキシ−3−〔4−(フェノキシメチル)ピペリジノ〕−プロポキシ〕インドール(アセテート形態)(A)及びカルベジロール(B)、又は親水性アジュバントを伴う細粉化形態−粉末形態のインビトロ溶解速度
【0032】
【表1】

【0033】
実施例2:(比較例)
微細化活性物質を用いた錠剤の溶解速度
ジェット細粉化カルベジロール/ラクトースを、ラクトース、架橋ポリ(1−ビニル−2−ピロリドン)、及びポリ(1−ビニル−2−ピロリドン)等の他の親水性アジュバント及び崩壊剤と混合し、ポリエチレンステアレート溶液(Myrj 52)と共に顆粒化し、乾燥させ、選別した。顆粒を、架橋ポリ(1−ビニル−2−ピロリドン)、高分散二酸化ケイ素及びステアリン酸マグネシウム等の慣用の医薬的アジュバントと混合し、錠剤に圧縮成型した。
【0034】
カルベジロールの時間(分)後の%によるインビトロ溶解速度
【0035】
【表2】

【0036】
これ、及び引き続く例におけるインビトロ溶解速度は、USP XXIIに従った水性緩衝溶液pH4.5におけるパドル法で測定した。
【0037】
実施例3:
噴霧乾燥用カルベジロール懸濁物
75mgのMyrj52を精製水700gに溶解し、次いで300gのカルベジロール、300gのサッカロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを、高速攪拌機を用いて溶液中に混合した。水性懸濁物を噴霧乾燥した。
【0038】
インビトロ溶解速度
【0039】
【表3】

【0040】
実施例4:
カルベジロール錠
実施例3に従って噴霧乾燥した69gの生成物を、親水性アジュバント(例えば、ラクトース、サッカロース、マンニトール等)、崩壊剤(例えば、ナトリウムカルボキシメチルスターチ、架橋ポリ(1−ビニル−2−ピロリドン)、コーンスターチ)、高分散賦形剤(二酸化ケイ素、高分散酸化アルミニウム等)及び結合剤ポリ(1−ビニル−2−ピロリドン)と混合し、水と共に顆粒化した。湿潤した顆粒を乾燥させ、選別し、次いで型抜き剤(必要ならば流動化剤及び/又は崩壊剤を添加)を用いて圧縮し、30mgの活性物質含有量及び最終重量180mgを有する錠剤を形成した。
【0041】
錠剤からのインビトロ溶解速度
【0042】
【表4】

【0043】
実施例5:
カルベジロールカプセル
実施例3に従って噴霧乾燥した69gの生成物を、親水性アジュバント、必要に応じて流動化剤、崩壊剤、及び型抜き剤と混合し、慣用のカプセル充填機にてカプセル中に詰めた。
【0044】
カプセル充填物からのインビトロ溶解速度
【0045】
【表5】

【0046】
実施例6:
カルベジロール顆粒化懸濁物
75mgのMyrj52を、700gの精製水に溶解し、次いで300gのカルベジロール及び300gのサッカロースを高速攪拌機にて溶液中に混合した。
【0047】
実施例7:
カルベジロール錠
実施例6による水性顆粒化懸濁物を、親水性アジュバント、崩壊剤、高分散賦形剤及び結合剤の混合物に吸収させ、乾燥させ、及び選別した。
型抜き剤、及び必要に応じて流動化剤及び崩壊剤を使用し、30mgのカルベジロール含有量及び最終重量180mgを有する錠剤を形成した。
【0048】
インビトロ溶解速度
【0049】
【表6】

【0050】
本発明による活性物質懸濁物、又はそれから調製された噴霧生成物若しくは顆粒は、Myr52又はMyrj53の形態で界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)を含んでもよい。懸濁物中において、界面活性剤に対する活性物質の比は、1:1まで、好ましくは1:0.3までの範囲であり得る。
必要に応じて、アジュバント、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ファーマコート(Pharmacaot)603)を、噴霧及び生成物の性質改善のために噴霧乾燥懸濁物に添加してもよい
【0051】
実施例8:
4−〔2−ヒドロキシ−3−〔4−(フェノキシメチル)ピペリジノ〕−プロポキシ〕インドール アセテート
噴霧乾燥用懸濁物
活性物質4−〔2−ヒドロキシ−3−〔4−(フェノキシメチル)ピペリジノ〕−プロポキシ〕インドール アセタートを、水性ポリ(1−ビニル−2−ピロリドン)溶液に、高分散賦形剤(例えば、高分散酸化ケイ素)及び崩壊剤(例えば、ポリ(1−ビニル−2−ピロリドン)、交差結合プリモジェル(Primojel))と共に攪拌し、均質化した。
該水性懸濁物を噴霧乾燥した。
【0052】
インビトロ溶解速度
【0053】
【表7】

【0054】
実施例9:
4−〔2−ヒドロキシ−3−〔4−(フェノキシメチル)ピペリジノ〕−プロポキシ〕インドール アセテート
顆粒化懸濁物
水性活性物質を、水性ポリ(1−ビニル−2−ピロリドン)溶液に、高分散賦形剤(例えば、高分散二酸化ケイ素)及び崩壊剤(例えば、架橋ポリ(1−ビニル−2−ピロリドン)、プリモジェル(Primojel))と共に攪拌し、均質化した。
該水性顆粒化懸濁物を、親水性アジュバント、崩壊剤及び高分散賦形剤の混合物に吸着させ、乾燥し、選別した。
顆粒化懸濁物のアジュバント混合物への塗布は、慣用のミル、又は顆粒化装置にて行うか、又は流動化床にて噴霧することにより行った。
【0055】
顆粒からの4−〔2−ヒドロキシ−3−〔4−(フェノキシメチル)ピペリジノ〕−プロポキシ〕インドール アセタートのインビトロ溶解速度
【0056】
【表8】

【0057】
実施例10:
4−〔2−ヒドロキシ−3−〔4−(フェノキシメチル)ピペリジノ〕−プロポキシ〕インドール アセタート
錠剤及びカプセル
実施例8による噴霧乾燥懸濁物及び特製のアジュバント上に水性顆粒懸濁物を吸着して得られる実施例9の顆粒の両者は、それ自体既知の方法により加工されて、錠剤、被覆錠、丸薬、ペレット、硬質ゼラチンカプセル、又は軟質ゼラチンカプセルが形成される。
【0058】
錠剤からの4−〔2−ヒドロキシ−3−〔4−(フェノキシメチル)ピペリジノ〕−プロポキシ〕インドール アセテートのインビトロ溶解速度
【0059】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
難溶性活性物質からの、溶解速度が30分間後において少なくとも70%である速溶性医薬調製物の調製方法であって、水性懸濁物を該活性物質及び1種以上の水溶性アジュバントから作製し、次いで得られた水性懸濁物をそれ自体既知の方法により水分除去処理して固体医薬調製物を形成させることを含む方法。
【請求項2】
使用される活性物質が、カルベジロール又は4−〔2−ヒドロキシ−3−〔4−(フェノキシメチル)ピペリジノ〕−プロポキシ〕インドールである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
活性物質が、500μm未満、好ましくは250μm未満、より好ましくは100μm未満の粒径を有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
使用される水溶性アジュバントが、それ自体慣用の結合剤、充填剤、崩壊剤及び/又は界面活性剤である、請求項1〜3項の何れか1項記載の方法。
【請求項5】
懸濁物中の乾燥物質におけるアジュバントに対する活性物質の比が、1:0.01〜1:500、好ましくは1:0.1〜1:50である、請求項1〜4項の何れか1項記載の方法。
【請求項6】
界面活性剤が水性懸濁物に添加され、界面活性剤に対する活性物質の比が、1:1まで、好ましくは1:0.3までである、請求項1〜5の何れか1項記載の方法。
【請求項7】
界面活性剤が水に溶解され、次いで活性物質が1種以上のアジュバントと一緒に混合される、請求項1〜6の何れか1項記載の方法。
【請求項8】
水不溶性賦形剤が水性懸濁物と混合されるか、又は該懸濁物が賦形剤に適用される、請求項1〜7の何れか1項記載の方法。
【請求項9】
該活性物質が、水不溶性賦形剤と共にアジュバント水溶液中に、必要に応じて他の水溶性アジュバントと一緒に攪拌される、請求項1〜8の何れか1項記載の方法。
【請求項10】
該水不溶性賦形剤が、高分散二酸化ケイ素又は酸化アルミニウムである、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
固体医薬調製物が、スプレー乾燥により水性懸濁物から調製される、請求項1〜10の何れか1項記載の方法。
【請求項12】
固体医薬調製物が、湿式顆粒法により、好ましくは流動化床又は高速混合機により水性懸濁物から調製される、請求項1〜10の何れか1項記載の方法。
【請求項13】
固体医薬調製物が、融解性アジュバント中に懸濁された活性物質から、スプレー固化法により調製される、請求項1〜10の何れか1項記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか1項により調製される、難溶性活性物質の、溶解速度が30分間後において少なくとも70%である速溶性医薬調製物。
【請求項15】
活性物質が部分的若しくは完全な無定形物質混合物中に埋め込まれるか、又は部分的若しくは完全な無定形物質混合物中に封入される、請求項1〜13の何れか1項により調製される、難溶性活性物質の溶解速度が30分間後において少なくとも70%である速溶性医薬調製物。
【請求項16】
活性物質としてカルベジロールを含有する、請求項14又は15記載の医薬調製物。
【請求項17】
難溶性活性物質の溶解速度が30分間後において少なくとも70%である速溶性医薬調製物の調製のための、請求項1〜13の何れか1項記載の方法の使用。
【請求項18】
下述の発明。

【公開番号】特開2007−145856(P2007−145856A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−21701(P2007−21701)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【分割の表示】特願2000−543136(P2000−543136)の分割
【原出願日】平成11年4月1日(1999.4.1)
【出願人】(591215177)ロシュ ダイアグノスティックス ゲーエムベーハー (8)
【Fターム(参考)】