説明

カルボキシル基含有変性フェノール樹脂、及びそれを含有するカラーフィルタ用着色組成物

【課題】高感度と優れた分散安定性、パターニング性、耐薬品性等の物性の維持とを両立するカルボキシル基含有変性フェノール樹脂、およびこれを用いたカラーフィルタ用着色組成物を提供すること。
【解決手段】フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)を、アルデヒド類(b)、酸触媒(c)を用いて重合してなる変性フェノール樹脂(A)と、多塩基酸無水物とを反応させることにより得られるカルボキシル基含有変性フェノール樹脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高感度の感光性着色組成物が得られるカルボキシル基含有変性フェノール樹脂に関するものであり、特にカラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用される高感度かつ相溶性が良好なカラーフィルタ用着色組成物に好適なフェノール樹脂、およびこれを用いて形成されるカラーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメントを平行または交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを縦横一定の配列で配置したものからなっている。フィルタセグメントは、数ミクロン〜数百ミクロンと微細であり、色相ごとに所定の配列で整然と配置されている。
一般的に、カラー液晶表示装置では、カラーフィルタの上に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極及び配向膜の性能を十分に得るには、その形成を一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温で行う必要がある。
【0003】
このため現在、カラーフィルタの製造方法としては、耐光性、耐熱性に優れる顔料を着色剤とする顔料分散法と呼ばれる方法が主流となっている。
顔料分散法の場合、感光性樹脂組成物中に顔料を分散した感光性着色組成物(顔料レジスト材)をガラス等の透明基板に塗布し、乾燥により溶剤を除去した後、ひとつのフィルタ色のパターン露光を行い、ついで未露光部を現像工程で除去して1色目のパターンを形成、必要に応じて加熱等の処理を加えた後、同様の操作を全フィルタ色について順次繰り返すことによりカラーフィルタを製造することができる。
【0004】
顔料を含む感光性着色組成物を用いたフィルタセグメント形成において、高い感光性、非画像部の現像液に対する溶解性、及び画像部の耐薬品性は重要な特性である。近年では、より色濃度の高いカラーフィルタや光学濃度(OD値)の高いブラックマトリクスの要求が高まっており、感光性着色組成物における着色剤濃度が高くなる傾向にある。しかし、着色剤濃度が上昇すると、着色剤自身の光吸収の増加により露光部の十分な硬化が得られない等、他の特性に対して影響を及ぼす。
このように、着色剤濃度の上昇と、感光性を始めとする感光性樹脂組成物由来の特性の維持とは、トレードオフの関係にある。
【0005】
このようなトレードオフの関係を解決するために、カルボキシル基を有する重合体にエチレン性不飽和二重結合を有するエポキシ化合物を付加反応させ、該付加反応により生成した水酸基に、エチレン性不飽和二重結合を有するイソシアネートを付加反応させることにより得られるアクリル重合体をバインダー樹脂として用いた組成物が検討されている(例えば、特許文献1)。
この方法はアクリル重合体をバインダー樹脂として用いているため、組成物に用いられる光重合性モノマーとの相溶性は改善されているが、エチレン性不飽和基の導入量を増やすことに限界があるため、着色剤濃度が上昇した際の感度が不十分であるという問題があった。
【0006】
また、核体数が4〜7個のノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基に不飽和モノカルボン酸を付加させ、さらに多塩基酸無水物を反応させることにより得られるカルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート重合物が検討されている(例えば、特許文献2)。
この方法ではブラックマトリックスのような多量の着色剤が必要な組成にも適する高感度な着色組成物を得ることができるが、組成物に用いられる光重合性モノマーとの相溶性が悪くなるため、保存安定性が悪い。また、均質な硬化被膜が得られないため硬化した被膜の耐薬品性が不十分で実用に耐えるものではないという問題があった。
【0007】
以上のような化合物を感光性樹脂組成物として用いるためには、感光性透明樹脂を構成する単量体の種類や比率を調整して、安定性、溶解性、及び耐薬品性などの多くの特性を満たす設計が必要となる。
そして、感光性着色組成物において、着色剤の分散安定性を維持しつつ、高濃度化に伴う感光性着色組成物の高感度化、良好なパターニング性(未露光部分の溶解性、光硬化部分の形状維持など)を達成するには、感光性樹脂組成物の変更だけでは限界にきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−014468号公報
【特許文献2】特開2003−43685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、高感度と優れた分散安定性、パターニング性、耐薬品性等の物性の維持とを両立するカルボキシル基含有変性フェノール樹脂、およびこれを用いたカラーフィルタ用着色組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、第1の発明は、フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)を、アルデヒド類(b)、酸触媒(c)を用いて重合してなる変性フェノール樹脂(A)と、多塩基酸無水物とを反応させることにより得られるカルボキシル基含有変性フェノール樹脂に関する。
【0011】
また、第2の発明は、フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)と多塩基酸無水物とを反応してなる化合物(B)を、アルデヒド類(b)、酸触媒(c)を用いて重合することにより得られるカルボキシル基含有変性フェノール樹脂に関する。
【0012】
また、第3の発明は、変性フェノール樹脂(A)が、下記一般式(1)で示される化合物を共重合してなることを特徴とする第1の発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂に関する。
一般式(1)
【0013】
【化1】

【0014】
(R1は水素、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、又は炭素数1〜10のアルコキシル基を示し、jは0〜3の整数を示す。一分子内に存在するR2同士はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。)
【0015】
また、第4の発明は、下記一般式(1)で示される化合物を共重合してなることを特徴とする第2の発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂に関する。
一般式(1)
【0016】
【化2】

【0017】
(R1は水素、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、又は炭素数1〜10のアルコキシル基を示し、jは0〜3の整数を示す。一分子内に存在するR2同士はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。)
【0018】
また、第5の発明は、アルデヒド類(b)が、パラホルムアルデヒド、又は下記一般式(3)で示される化合物である第1〜第4いずれかの発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂に関する。
一般式(3)
【0019】
【化3】

【0020】
(R5は、水素、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、又はヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示す。)
【0021】
また、第6の発明は、酸触媒(c)が、有機スルホン酸、又は硫酸である第1〜第5いずれかの発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂に関する。
【0022】
また、第7の発明は、重量平均分子量が、3,000〜1,000,000である第1〜第6いずれかの発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂に関する。
【0023】
また、第8の発明は、第1〜第7いずれかの発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂と、着色剤とを含有するカラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0024】
また、第9の発明は、第8の発明の着色組成物から形成されるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタに関する。
【0025】
また、第10の発明は、フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)を、アルデヒド類(b)、酸触媒(c)を用いて重合し、変性フェノール樹脂(A)を得、
次いで、
変性フェノール樹脂(A)と多塩基酸無水物とを反応させることを特徴とする、カルボキシル基含有変性フェノール樹脂の製造方法に関する。
【0026】
また、第11の発明は、フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)と多塩基酸無水物とを反応し、化合物(B)を得、
次いで、
化合物(B)を、アルデヒド類(b)、酸触媒(c)を用いて重合することを特徴とする、カルボキシル基含有変性フェノール樹脂の製造方法に関する。
【0027】
また、第12の発明は、フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)を重合する際に、下記一般式(1)で示される化合物を共重合することを特徴とする第10の発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂の製造方法に関する。
一般式(1)
【0028】
【化4】

【0029】
(R1は水素、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、又は炭素数1〜10のアルコキシル基を示し、jは0〜3の整数を示す。一分子内に存在するR2同士はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。)
【0030】
また、第13の発明は、 化合物(B)を重合する際に、下記一般式(1)で示される化合物を共重合することを特徴とする第11の発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂の製造方法に関する。
一般式(1)
【0031】
【化5】

【0032】
(R1は水素、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、又は炭素数1〜10のアルコキシル基を示し、jは0〜3の整数を示す。一分子内に存在するR2同士はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。)
【0033】
さらに、第14の発明は、アルデヒド類(b)が、パラホルムアルデヒド、又は下記一般式(3)で示される化合物である第10〜第13いずれかの発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂の製造方法に関する。
一般式(3)
【0034】
【化6】

【0035】
(R5は、水素、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、又はヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示す。)
【0036】
さらにまた、第15の発明は、酸触媒(c)が、有機スルホン酸、又は硫酸である第10〜第14いずれかの発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0037】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、カルボキシル基含有変性フェノール樹脂を必須成分としているため、カラーフィルタ用着色組成物としての分散安定性、高感度、優れたパターニング性、耐薬品性を達成することができる。
また、本発明で使用するカルボキシル基含有変性フェノール樹脂は、従来のノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートと異なり、分子量が高く、Tg(ガラス転移温度)や二重結合当量、酸価を容易にコントロールできるため、飛躍的な高感度化とアクリル樹脂との相溶性の向上による耐薬品性および耐久性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されない。
【0039】
本発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂は、フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)を、アルデヒド類(b)、酸触媒(c)を用いて重合してなる変性フェノール樹脂(A)と、多塩基酸無水物とを反応させて得られる。
また、本発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂は、フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)と多塩基酸無水物とを反応してなる化合物(B)を、アルデヒド類(b)、酸触媒(c)を用いて重合することによっても得ることができる。
すなわち、本発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂は、従来のノボラック型エポキシ樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入する方法とは異なり、あらかじめモノマーとして使用するフェノール類のフェノール性水酸基が、(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物をモノマーとしてノボラック型フェノール樹脂を合成していることが特徴となっている。
【0040】
これにより、従来のようにノボラック型エポキシ樹脂を(メタ)アクリル酸等で変性する過程を経ることなく、(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する変性フェノール樹脂を得ることが可能となる。
【0041】
本発明では、カルボキシル基含有変性フェノール樹脂を合成する際に使用するモノマーのフェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で保護されているため、従来の合成時に使用する水酸基を有するフェノール類に比べ、モノマーの反応性が低くアルデヒドとの付加縮合が抑制されるため、従来のノボラック型フェノール樹脂の合成方法では達成できない主鎖構造の設計や分子量の制御が可能となる。従って本発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂を使用すると、従来両立が困難であった、分散安定性、高感度、優れたパターニング性、および耐薬品性に優れた着色組成物を提供することができる。
【0042】
<フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)>
本発明に使用するフェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)は、
分子中に1つ以上の(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物であれば特に制限はない。
【0043】
本発明に使用する化合物(a)としては、例えば、
(1)(メタ)アクリル酸と、1官能以上の芳香族エポキシ化合物とを開環付加させて得られる化合物、
(2)グリシジル(メタ)アクリレートと、1官能以上のフェノール性水酸基、カルボキシル基、チオール基を有するフェノキシ基含有化合物とを開環付加させて得られる化合物、などを挙げることができる。
【0044】
上記(1)で得られる化合物は、具体的には、以下に記載する原料を用いることで得ることができる。
1官能以上の芳香族エポキシ化合物としては、
フェニルグリシジルエーテル、ビスフェノール型のエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物などを挙げることができる。
【0045】
上記(2)で得られる化合物は、具体的には、以下に記載する原料を用いることで得ることができる。
1官能以上のフェノール性水酸基を有するフェノキシ基含有化合物としては、
フェノール、ノニルフェノール、o‐クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、ビスフェノールA、α‐ナフトール、β‐ナフトール、9−ヒドロキシフェナントレン、レゾルシノールなどを挙げることができ、
1官能以上のカルボキシル基を有するフェノキシ基含有化合物としては、
アセチルサリチル酸、p−メトキシ安息香酸、m−メトキシ安息香酸、o−メトキシ安息香酸、3−フェノキシプロピオン酸、4−フェノキシ酪酸、4−(フェニルメトキシ)フェノキシ酢酸、m−フェニレンジオキシ二酢酸などを挙げることができ、
1官能以上のチオール基を有するフェノキシ基含有化合物としては、
p−メトキシチオフェノール、m−メトキシチオフェノール、o−メトキシチオフェノール、3,4−ジメトキシチオフェノール、2,5−ジメトキシチオフェノール、4−メトキシ−α−トルエンチオールなどを挙げることができる。
【0046】
これらの手法によって得られる化合物のうち、メタクリル酸とフェニルグリシジルエーテルの反応、あるいは、グリシジルメタクリレートとフェノールの反応によって得られる2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレートは、重合時にゲル化を抑制できる点で好ましい。
【0047】
上記、化合物(a)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0048】
<フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)、または化合物(B)と共重合することができる化合物>
【0049】
フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)、または化合物(B)と共重合することができる化合物としては、一般式(1)で示される化合物、芳香族単官能マレイミド類、芳香族(メタ)アクリルアミド類、及び芳香族ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられ、これらとの共重合体は、本発明の好ましい形態の一つである。
これにより、樹脂の分子量やガラス転移温度、二重結合当量、酸価を制御することが可能となり、所望とするカラーフィルタ用着色組成物としての分散安定性、高感度、優れたパターニング性、耐薬品性を満足させるカルボキシル基含有変性フェノール樹脂を得ることが可能となる。
この中でも一般式(1)で示される化合物は、ガラス転移温度、二重結合当量の制御が容易にできるという観点で特に好ましく使用することができる。
一般式(1)
【0050】
【化7】

【0051】
一般式(1)で示される化合物中、R1は水素、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、又は炭素数1〜10のアルコキシル基を示し、jは0〜3の整数を示す。一分子内に存在するR2同士はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
【0052】
一般式(1)で示される化合物は、上記範囲内のものであれば使用可能であるが、具体的には、
酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸フェニル、シクロヘキサンカルボン酸フェニルなどのフェニルエステル化合物、
アニソール、エチルフェニルエーテル、ビスメトキシベンゼン、アリルフェニルエーテルなどのフェニルエーテル化合物、
tert−ブトキシカルボニルオキシフェニルなどのフェニルカーボネート化合物、
エトキシエチルフェニルエーテルなどのフェニルアセタール化合物
などを使用することができ、2種類以上の化合物を用いても良い。
【0053】
上記、芳香族単官能マレイミド類としては、
N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2−エチルフェニルマレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−2−トリフルオロメチルフェニルマレイミド
などを使用することができ、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0054】
上記、芳香族(メタ)アクリルアミド類とは、一般式(2)で表されるものであれば使用可能である。
【0055】
一般式(2)
CH2=CR3(CO)NR465
一般式(2)で示される化合物中R3は水素、メチル基を示し、R4は、水素、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基を示す。
【0056】
一般式(2)で示される化合物は、アミド結合の窒素原子上の2つの置換基のうち少なくとも1つがフェニル基で置換されたものであり、上記範囲内のものであれば使用可能であるが、具体的には、
N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジフェニル(メタ)アクリルアミドなどを使用することができ、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0057】
上記、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートとは、ウレタン結合を1つ以上有する(メタ)アクリレートであり、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するヒドロキシ化合物と芳香族イソシアネートとの反応によって得られる化合物であれば使用可能である。
【0058】
上記、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するヒドロキシ化合物としては、例えば、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート又はグリシジル(メタ)アクリレート‐(メタ)アクリル酸付加物、2−ヒドロキシ‐3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の各種の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物や、
上記の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とε−カプロラクトンとの開環反応物などが挙げられる。
【0059】
上記、芳香族イソシアネートとしては、例えば、
フェニルイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類、
p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、
イソシアネートモノマーの一種類以上のビュレット体、
又は、上記ジイソシアネート化合物を3量化したイソシアヌレート体等のポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0060】
<アルデヒド類(b)>
本発明で用いるアルデヒド類(b)としては、原料の入手の容易さ、工業的汎用性という観点から、パラホルムアルデヒド、及び一般式(3)で示される化合物を使用するのが好ましい。
一般式(3)
【0061】
【化8】

【0062】
一般式(3)中、R5は、水素、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、又はヒドロキシル基で置換されてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示す。
【0063】
一般式(3)で示される化合物は、上記範囲内のものであれば使用可能であるが、具体的には、
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ドデシルアルデヒドなどのアルキルアルデヒド類、
クロトンアルデヒドなどのアルケニルアルデヒド類、
ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒドなどの芳香族アルデヒド類
などを使用することができ、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0064】
<酸触媒(c)>
本発明で用いる酸触媒(c)としては、酸性を示す化合物であれば特に限定されずに使用可能であるが、具体的には、
硫酸、塩酸、硝酸、燐酸などの無機酸、
シュウ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸、パラトルエンスルホン酸、
トリフルオロメタンスルホン酸などの有機スルホン酸などを使用することができ、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
中でも有機スルホン酸、硫酸は、触媒活性という観点から好ましく使用することができる。
【0065】
本発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂を得る重合反応は溶媒を用いて行ってもよく、溶媒は反応を阻害するものでない限り制限はなく、例としては、酢酸などの有機カルボン酸;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのセロソルブ類;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどの酢酸セロソルブ類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのカルビトール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどの酢酸カルビトール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシド;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;トルエンなどの芳香族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒などを使用することができ、これらは単独でも2種以上の混合溶媒であってもよい。
【0066】
続いて、本発明の変性フェノール樹脂(A)の製造方法について説明する。本発明の変性フェノール樹脂(A)は、フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)を、アルデヒド類(b)、酸触媒(c)を用いて重合することによって得られることを特徴とする(以下、この製造方法を「製造方法の第1の態様」と表記することがある)。
また、本発明の変性フェノール樹脂は、フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)と多塩基酸無水物とを反応してなる化合物(B)を、アルデヒド類(b)、酸触媒(c)を用いて重合することによっても得ることができる(以下、この製造方法を「製造方法の第2の態様」と表記することがある)。
【0067】
まず、製造方法の第1の態様について説明する。具体的には、化合物(a)とアルデヒド類(b)とを冷却装置及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、その後、酸触媒(c)を添加して撹拌・反応を行う。
化合物(a)とアルデヒド類(b)との仕込みモル比は、特に限定されないが、[化合物(a)/アルデヒド類(b)]=1/0.1〜1/10とすることが好ましく、特に好ましくは、1/0.2〜1/8である。
なお、化合物(a)と共重合することができる化合物を使用する場合は、化合物(a)と合計したモル数を用いて計算を行う。
アルデヒド類(b)の割合が10を超えると、得られる樹脂の分子量が十分に高分子量化しないことがある。
一方、アルデヒド類(b)の割合が0.1未満であると、分子量が大きくなりすぎて、取り扱いが困難になったり、反応条件によってはゲル化して不溶不融になったりすることがある。
なお、アルデヒド類(b)としてパラホルムアルデヒドを用いる場合は、反応時にパラホルムアルデヒドが反応系に融解又は熱により解重合してホルムアルデヒドを生じるので、ここで生じたホルムアルデヒドのモル数を上記アルデヒド類(b)のモル数として、上記モル比を算出する。
【0068】
添加する酸触媒(c)の量は、使用する酸の種類や活性により異なるが、化合物(a)と、必要に応じて使用する、化合物(a)と共重合することができる化合物との合計100モル%に対して、10〜500モル%が好ましく、適宜設定できる。経済的な面、反応終了後の除去操作の観点から、特に好ましくは30〜300モル%である。
【0069】
反応は、室温から150℃程度の範囲内で実施するのが好ましく、特に好ましくは、40〜100℃である。温度が高くなりすぎると原料化合物が冷却装置でトラップできなくなり、場合によって副反応が起こる可能性がある。又、温度が低すぎる場合は反応の進行が非常に遅くなり、経済的な面で好ましくない。
【0070】
反応時間は特に限定されないが、反応温度や触媒種及び量などの条件により適宜設定できる。経済的な観点から1〜20時間程度で完了するのが好ましく、特に好ましくは1〜10時間である。
【0071】
反応時に仕込んだモノマー類を100%反応させるのは困難であるが、残存モノマーは再沈殿、透析などの精製操作により除去可能である。
具体的には、反応終了時に生成した樹脂を多量の水など樹脂の貧溶媒に添加する方法が一般的で、水などの貧溶媒の量やその他の条件は適宜設定することができる。
触媒種は、貧溶媒に投入した後の液を中和し、その後樹脂を水洗することにより除去が可能である。
水洗処理を行う場合は、塩基性化合物でpH値を3〜7好ましくは5〜7にすることが望ましい。塩基性化合物としては、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの無機アルカリ、
トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ピリジンなどの有機アルカリなどさまざまな塩基性物質等を使用できる。
又、水洗処理の場合は定法に従って行えばよく、水洗水の量や回数は特に限定されないが、要求されるレベルによって設定すればよい。
【0072】
中和処理を行った後、減圧加熱下で溶剤を留去した生成物の濃縮を行い、目的とする硬化性変性フェノール樹脂を得ることができる。得られた樹脂を保存する際には、遮光瓶に入れるか、又は重合禁止剤を少量入れておくことが保存安定性の観点から好ましい。
【0073】
<カルボキシル基含有変性フェノール樹脂>
続いて、得られた変性フェノール樹脂(A)と多塩基酸無水物の反応について説明する。
本発明で使用する多塩基酸無水物は、酸無水物基を分子内に1個以上含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。
具体的には、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルペンタヒドロ無水フタル酸、メチルトリヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水ヘット酸、テトラブロモ無水フタル酸などの脂環構造、または芳香環構造を有する、酸無水物基を含む化合物が挙げられる。
その他の酸無水物基含有化合物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、ブチルコハク酸無水物、ヘキシルコハク酸無水物、オクチルコハク酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、ブチルマレイン酸無水物、ペンチルマレイン酸無水物、ヘキシルマレイン酸無水物、ヘキシルマレイン酸無水物、オクチルマレイン酸無水物、デシルマレイン酸無水物、ドデシルマレイン酸無水物、ブチルグルタミン酸無水物、デシルグルタミン酸無水物、ドデシルグルタミン酸無水物などが挙げられる。
本発明において、酸無水物基含有化合物は、一種のみを単独で用いてもよいし、複数を併用しても良い。
【0074】
本発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂を得る合成条件は、特に限定されるものではなく、公知の条件で行うことができる。
例えば、フラスコに変性フェノール樹脂(A)、多塩基酸無水物および必要に応じて溶剤を仕込み、撹拌しながら60℃〜100℃で加熱することでカルボキシル基含有変性フェノール樹脂を得ることができる。この際、必要に応じて、3級アミノ基含有化合物等の触媒を使用してもよい。
【0075】
ここで、変性フェノール樹脂(A)中の水酸基1.0モルに対し、多塩基酸無水物を反応させる割合が0.1より少ない場合は、得られる本発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂中で、非画像部の現像液に対する溶解性として機能するカルボキシル基が少なくなり、所望とする物性が発現しない場合がある。
なお、前記変性フェノール樹脂(A)中の水酸基1.0モルに対し、多塩基酸無水物を反応させる割合を1.0より多い量で反応させることはできない。
【0076】
次に、製造方法の第2の態様について説明する。
まず、フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)と多塩基酸無水物とを反応して化合物(B)を得る。
多塩基酸無水物としては、製造方法の第1の態様において例示した化合物と同様の物が使用可能であり、反応条件としては、変性フェノール樹脂(A)と多塩基酸無水物との反応条件に準じる。
次いで、化合物(B)を、アルデヒド類(b)、酸触媒(c)を用いて重合することにより、本発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂を得ることができる。
この時の反応条件は、化合物(a)とアルデヒド類(b)との反応条件に準じる。
なお、上記の各工程において、各成分間の比率は、製造方法の第1の態様に準じる。
【0077】
本発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂の重量平均分子量は、3,000〜1,000,000であることが好ましく、特に好ましくは、5,000〜100,000である。重量平均分子量が3,000未満では、耐薬品性や耐久性、耐熱性が十分に得られない場合があり、1,000,000を超えると、例えば分子量が高くなりすぎ、ハンドリングが課題となる場合がある。
【0078】
又、本発明では、重量平均分子量や二重結合当量の異なる数種類のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂を併用してもよく、例えば諸物性の向上に有効な手段の一つとして、重量平均分子量が3,000の化合物と100,000の化合物を併用することが考えられる。
【0079】
また、本発明で得られるカルボキシル基変性フェノール樹脂は分子量が高く、かつ主鎖にフェニル基を有しているため、5%重量減少温度が300℃以上であり、従来のアクリル重合体が250℃程度であることと比べると、耐熱性が非常に良好である。
【0080】
本発明で得られるカルボキシル基含有変性フェノール樹脂のガラス転移温度は、−50〜150℃が好ましく、特に好ましくは−30〜100℃である。ガラス転移温度はパターニング性に影響を与え、ガラス転移温度が−50℃未満の場合、光硬化部分の硬度が低下し、パターンに欠けなどが発生する可能性がある。又、ガラス転移温度が150℃を超える場合、未露光部分の溶解性が低下し、未露光部分が残渣として残る可能性がある。
そのため具体的には、カルボキシル基含有変性フェノール樹脂のガラス転移温度が低すぎる場合は、共重合することができる化合物としてアニソールを使用することでガラス転移温度を高くすることで光硬化部分の硬度の低下を抑制することができる。
一方、カルボキシル基含有変性フェノール樹脂のガラス転移温度が高すぎる場合には、ジフェニルエーテルを使用することでガラス転移温度を低くし、未硬化部分の溶解性低下を抑制することができる。
【0081】
<感光性着色組成物>
本発明の感光性着色組成物は、上述したカルボキシル基含有変性フェノール樹脂を含むことを特徴とする。本発明の感光性着色組成物は、必要に応じて、1分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する本発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂以外の化合物、着色剤、樹脂型顔料分散剤、色素誘導体、界面活性剤、貯蔵安定剤、溶剤、光開始剤などの各種添加剤などを含有することができる。
【0082】
1分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する本発明の硬化性変性フェノール樹脂以外の化合物の中で、1分子中に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、
スチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、α−メチルスチレン等の不飽和化合物類;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート化合物類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシビニルベンゼン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和化合物類;
ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の末端に水酸基を有しポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物類;
メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の、末端にアルコキシ基を有しポリオキシアルキレン鎖を有するモノ(メタ)アクリレート化合物類;
フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の、末端にフェノキシ又はアリールオキシ基を有するポリオキシアルキレン系(メタ)アクリレート化合物類;
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系不飽和化合物類;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン等のジアルキルアミノ基を有する不飽和化合物類;
対イオンとしてCl-、Br-、I-等のハロゲンイオンまたはQSO3-(Q:炭素数1〜12のアルキル基)を有する、ジアルキルアミノ基含有不飽和化合物の4級アンモニウム塩等の窒素含有(メタ)アクリル系化合物類;
パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート等の、炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキルアルキル(メタ)アクリレート化合物類が挙げられる。
【0083】
1分子中に2個のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステル、p−ビス〔β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ〕キシリレン、4,4’−ビス〔β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ〕ジフェニルスルホン等が挙げられる。
【0084】
1分子中に3個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物;
上記化合物のうち分子中に水酸基を1つ以上有するものと、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物と、必要に応じ上記以外の1分子中に2つ以上の水酸基を有する化合物とを反応させることにより得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート類;
スチレン−無水マレイン酸共重合体を、分子中に水酸基を一つ以上有する水酸基含有(メタ)アクリル系化合物で変性してなる多官能(メタ)アクリレート類;
二塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合してなるポリエステル中のアルコール残基に、(メタ)アクリル酸をエステル結合してなる多官能ポリエステル(メタ)アクリレート類;
エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物のアクリル系共重合体に(メタ)アクリル酸を付加させてなる多官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0085】
前記1分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する本発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂以外の化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0086】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、少なくとも本発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂以外の化合物と着色剤とを含有するものである。
【0087】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物に含まれる着色剤としては、有機または無機の赤色またはマゼンタ色またはイエロー色顔料を、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。顔料としては、発色性が高く、且つ耐熱性の高い顔料、特に耐熱分解性の高い顔料が好ましく、通常は有機顔料が用いられる。以下に、本発明の着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
本発明の着色組成物を用いて赤色フィルタセグメントを形成する場合には、例えばC.I.Pigment Red 7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279等の赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物には、C.I.Pigment Orange 43、71、73等の橙色顔料を併用することができる。
また、マゼンタ色フィルタセグメントを形成する場合には、例えばC.I.Pigment Violet 1、19、C.I.Pigment Red 81、122、144、146、169、177、207等の紫色顔料および赤色顔料を用いることができる。
また、イエロー色フィルタセグメントを形成する場合には、例えばC.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214等の黄色顔料を用いることができる。
無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化 (III))、カドミウム赤、等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いられる。
【0088】
本発明の着色組成物には、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
本発明の着色組成物は、感光性樹脂組成物中に、着色剤を三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター、ペイントコンディショナー等の各種分散手段を用いて、微細に分散して製造することができる。 着色剤として顔料を用いる場合には、適宜、樹脂型顔料分散剤、色素誘導体、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を感光性樹脂組成物中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。分散助剤は、着色剤100重量部に対して、好ましくは0.1〜40重量部、より好ましくは0.1〜30重量部の量で用いることができる。
【0089】
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、感光性透明樹脂および非感光性透明樹脂と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の感光性樹脂組成物への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤としては、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されアミドやその塩などが用いられる。また、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物等も用いられる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0090】
市販の樹脂型顔料分散剤としては、ビックケミー社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、アビシア社製のSOLSPERSE−3000、9000、13240、13650、13940、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32600、34750、36600、38500、41000、41090、53095等、エフカケミカルズ社製のEFKA−46、47、48、452、LP4008、4009、LP4010、LP4050、LP4055、400、401、402、403、450、451、453、4540、4550、LP4560、120、150、1501、1502、1503等が挙げられる。
【0091】
色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物である。有機色素には、一般に色素と呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独で、または2種類以上を混合して用いることができる。
【0092】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0093】
本発明の着色組成物には、経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部の量で用いることができる。
【0094】
また、本発明の着色組成物には、着色剤を十分に感光性樹脂組成物中に分散させ、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために、溶剤を含有させることができる。溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−n−アミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。溶剤は、着色剤100重量部に対して、好ましくは800〜4000重量部、より好ましくは1000〜2500重量部の量で用いることができる。
【0095】
本発明の着色組成物には、該組成物を紫外線等の光照射により硬化するときには、光重合開始剤等が添加される。 光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。光重合開始剤は、着色剤100重量部に対して、好ましくは5〜20重量部、より好ましくは10〜150重量部の量で用いることができる。
【0096】
これらの光重合開始剤は、単独であるいは2種以上混合して用いるが、増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル−9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。増感剤は、光重合開始剤100重量部に対して、好ましくは0.1〜60重量部の量で用いることができる。
【0097】
着色剤は、着色組成物の固形分の合計100重量%中に、5〜70重量%の割合で含有されることが好ましく、より好ましくは、20〜50重量%の割合で含有される。
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0098】
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、本発明のカラーフィルタ用着色組成物から形成されるフィルタセグメントを具備するカラーフィルタである。
【0099】
赤色またはマゼンタ色またはイエロー色以外の各色着色組成物としては、各色顔料、前記非感光性透明樹脂、前記多官能モノマーを含有する通常の各色着色組成物を用いて形成することができる。 青色着色組成物には、例えばC.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料が用いられる。青色着色組成物には、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
【0100】
また、緑色着色組成物には、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36、37等の緑色顔料が用いられる。緑色着色組成物には、
C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110 、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214等の黄色顔料を併用することができる。
【0101】
また、シアン色着色組成物には、例えば、C.I.Pigment Blue 15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、81等の青色顔料が用いられる。
【0102】
本発明のカラーフィルタは、フォトリソグラフィー法により、本発明の着色組成物および通常の各色着色組成物を用いて基板上に各色のフィルタセグメントを形成することにより製造することができる。
基板としては、可視光に対して透過率の高いガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。
【0103】
フォトリソグラフィー法による各色フィルタセグメントの形成は、下記の方法で行う。すなわち、光照射により硬化する上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型の着色レジスト材として調製した各色着色感光性組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0104】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【実施例】
【0105】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、例中、「部」とは「重量部」を、「%」とは「重量%」をそれぞれ表すものとする。
【0106】
<樹脂溶液の調製>
本発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂の構造確認には、IR、GPCを用いた。
【0107】
(a)GPC
TSKgelカラム、RI検出器を装備した、東ソー社製、HLC−8120GPCを使用し、展開溶媒にTHFを用いたときのポリスチレン換算分子量を用いた。
【0108】
(b)IR
FT−IRスペクトルの測定には、島津社製、FT−IR−8200PCを使用し、1845cm−1付近の酸無水物の吸収が消失しているかどうか確認した。
【0109】
(合成例1)
1Lフラスコに2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルメタクリレート(東亞合成(株)製、製品名:「アロニックスM−5700」)88.8g(0.4mol)、パラホルムアルデヒド25.2g(0.8mol)、クロロホルム80mLを加え、氷浴下4℃で撹拌しながら、酢酸(80mL)で希釈した硫酸(20mL)をゆっくり滴下した。滴下終了後、フラスコを60℃まで徐々に昇温し、4時間反応させた。反応終了後、反応溶液を大量のメタノール中に投入し、数回洗浄してろ過回収した。その後、反応生成物を室温減圧下で乾燥することで、変性フェノール樹脂を90g得た。これに重合禁止剤としてメトキノンを0.045g、シクロヘキサノン100g、テトラヒドロ無水フタル酸22.91gを加え、90℃に加熱し約6時間反応させIRにて酸無水物の吸収の消失を確認した後、シクロヘキサノンを加え固形分30%に希釈し、酸価74.9mgKOH/gのカルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−1を得た。得られた樹脂の数平均分子量(Mn)は13600、重量平均分子量(Mw)は37200であった。
【0110】
(合成例2)
1Lフラスコに2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルメタクリレート(東亞合成(株)製、製品名:「アロニックスM−5700」)88.8g(0.4mol)、パラホルムアルデヒド25.2g(0.8mol)、クロロホルム80mLを加え、氷浴下4℃で撹拌しながら、酢酸(80mL)で希釈した硫酸(4mL)をゆっくり滴下した。滴下終了後、フラスコを60℃まで徐々に昇温し、4時間反応させた。反応終了後、反応溶液を大量のメタノール中に投入し、数回洗浄してろ過回収した。その後、反応生成物を室温減圧下で乾燥することで、変性フェノール樹脂を90g得た。これに重合禁止剤としてメトキノンを0.045g、シクロヘキサノン100g、テトラヒドロ無水フタル酸41.40gを加え、90℃に加熱し約6時間反応させIRにて酸無水物の吸収の消失を確認した後、シクロヘキサノンを加え固形分30%に希釈し、酸価116.2mgKOH/gのカルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−2を得た。得られた樹脂の数平均分子量(Mn)は17200、重量平均分子量(Mw)は46500であった。
【0111】
(合成例3)
1Lフラスコに2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルメタクリレート(東亞合成(株)製、製品名:「アロニックスM−5700」)44.4g(0.2mol)、ジフェニルエーテル34.0g(0.2mol)パラホルムアルデヒド25.2g(0.8mol)、クロロホルム75mLを加え、氷浴下4℃で撹拌しながら、酢酸(75mL)で希釈した硫酸(4mL)をゆっくり滴下した。滴下終了後、フラスコを60℃まで徐々に昇温し、4時間反応させた。反応終了後、反応溶液を大量のメタノール中に投入し、数回洗浄してろ過回収した。その後、反応生成物を室温減圧下で乾燥することで、変性フェノール樹脂を70g得た。これに重合禁止剤としてメトキノンを0.035g、シクロヘキサノン70g、テトラヒドロ無水フタル酸10.15gを加え、90℃に加熱し約6時間反応させIRにて酸無水物の吸収の消失を確認した後、シクロヘキサノンを加え固形分30%に希釈し、酸価46.70mgKOH/gのカルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−3を得た。得られた樹脂の数平均分子量(Mn)は12400、重量平均分子量(Mw)は21100であった。
【0112】
(合成例4)
1Lフラスコに2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルメタクリレート(東亞合成(株)製、製品名:「アロニックスM−5700」)44.4g(0.2mol)、ジフェニルエーテル34.0g(0.2mol)パラホルムアルデヒド25.2g(0.8mol)、クロロホルム75mLを加え、氷浴下4℃で撹拌しながら、酢酸(75mL)で希釈した硫酸(4mL)をゆっくり滴下した。滴下終了後、フラスコを60℃まで徐々に昇温し、4時間反応させた。反応終了後、反応溶液を大量のメタノール中に投入し、数回洗浄してろ過回収した。その後、反応生成物を室温減圧下で乾燥することで、変性フェノール樹脂を70g得た。これに重合禁止剤としてメトキノンを0.035g、シクロヘキサノン70g、テトラヒドロ無水フタル酸17.85gを加え、90℃に加熱し約6時間反応させIRにて酸無水物の吸収の消失を確認した後、シクロヘキサノンを加え固形分30%に希釈し、酸価70.47mgKOH/gのカルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−4を得た。得られた樹脂の数平均分子量(Mn)は15600、重量平均分子量(Mw)は28000であった。
【0113】
(合成例5)
1Lフラスコに2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルメタクリレート(東亞合成(株)製、製品名:「アロニックスM−5700」)22.22g(0.1mol)、テトラヒドロ無水フタル酸15.21g(0.1mol)、重合禁止剤としてメトキノンを0.022g、触媒としてジメチルベンジルアミンを0.40g加え、90℃に加熱し約6時間反応させIRにて酸無水物の吸収の消失を確認した。これに、フェノールEO変性アクリレート(共栄社化学社製、製品名:「ライトアクリレートPO−A」)57.75g(0.3mol)、パラホルムアルデヒド25.2g(0.8mol)、クロロホルム80mLを加え、氷浴下4℃で撹拌しながら、酢酸(80mL)で希釈した硫酸(4mL)をゆっくり滴下した。滴下終了後、フラスコを60℃まで徐々に昇温し、4時間反応させた。反応終了後、反応溶液を大量のメタノール中に投入し、数回洗浄してろ過回収した。その後、反応生成物を室温減圧下で乾燥することで、酸価40.1mgKOH/gのカルボキシル基含有変性フェノール樹脂を70g得た。これに、シクロヘキサンを加え固形分30%に希釈し、カルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−5を得た。得られた樹脂の数平均分子量(Mn)は11500、重量平均分子量(Mw)は35600であった。
【0114】
(合成例6)
1Lフラスコに2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルメタクリレート(東亞合成(株)製、製品名:「アロニックスM−5700」)40.00g(0.18mol)、テトラヒドロ無水フタル酸27.38g(0.18mol)、重合禁止剤としてメトキノンを0.035g、触媒としてジメチルベンジルアミンを0.70g加え、90℃に加熱し約6時間反応させIRにて酸無水物の吸収の消失を確認した。これに、フェノールEO変性アクリレート(共栄社化学社製、製品名:「ライトアクリレートPO−A」)42.35g(0.22mol)、パラホルムアルデヒド25.2g(0.8mol)、クロロホルム80mLを加え、氷浴下4℃で撹拌しながら、酢酸(80mL)で希釈した硫酸(4mL)をゆっくり滴下した。滴下終了後、フラスコを60℃まで徐々に昇温し、4時間反応させた。反応終了後、反応溶液を大量のメタノール中に投入し、数回洗浄してろ過回収した。その後、反応生成物を室温減圧下で乾燥することで、酸価72.4mgKOH/gのカルボキシル基含有変性フェノール樹脂を70g得た。これに、シクロヘキサンを加え固形分30%に希釈し、カルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−6を得た。得られた樹脂の数平均分子量(Mn)は14000、重量平均分子量(Mw)は31600であった。
【0115】
(合成例7)
1Lフラスコに2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルメタクリレート(東亞合成(株)製、製品名:「アロニックスM−5700」)44.4g(0.2mol)、アニソール21.6g(0.2mol)、パラホルムアルデヒド25.2g(0.8mol)、クロロホルム75mLを加え、氷浴下4℃で撹拌しながら、酢酸(75mL)で希釈した硫酸(4mL)をゆっくり滴下した。滴下終了後、フラスコを60℃まで徐々に昇温し、4時間反応させた。反応終了後、反応溶液を大量のメタノール中に投入し、数回洗浄してろ過回収した。その後、反応生成物を室温減圧下で乾燥することで、変性フェノール樹脂を70g得た。これに重合禁止剤としてメトキノンを0.035g、シクロヘキサノン70g、無水コハク酸11.52gを加え、90℃に加熱し約6時間反応させIRにて酸無水物の吸収の消失を確認した後、シクロヘキサノンを加え固形分30%に希釈し、酸価71.4mgKOH/gのカルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−7を得た。得られた樹脂の数平均分子量(Mn)は12400、重量平均分子量(Mw)は21100であった。
【0116】
(合成例8)
1Lフラスコに2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルメタクリレート(東亞合成(株)製、製品名:「アロニックスM−5700」)44.4g(0.2mol)、アニソール21.6g(0.2mol)、パラホルムアルデヒド25.2g(0.8mol)、クロロホルム75mLを加え、氷浴下4℃で撹拌しながら、酢酸(75mL)で希釈した硫酸(4mL)をゆっくり滴下した。滴下終了後、フラスコを60℃まで徐々に昇温し、4時間反応させた。反応終了後、反応溶液を大量のメタノール中に投入し、数回洗浄してろ過回収した。その後、反応生成物を室温減圧下で乾燥することで、変性フェノール樹脂を70g得た。これに重合禁止剤としてメトキノンを0.035g、シクロヘキサノン70g、テトラヒドロ無水フタル酸17.85gを加え、90℃に加熱し約6時間反応させIRにて酸無水物の吸収の消失を確認した後、シクロヘキサノンを加え固形分30%に希釈し、酸価74.1mgKOH/gのカルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−8を得た。得られた樹脂の数平均分子量(Mn)は15600、重量平均分子量(Mw)は25400であった。
【0117】
(合成例9)
1Lフラスコに2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルメタクリレート(東亞合成(株)製、製品名:「アロニックスM−5700」)83.36g(0.38mol)、ビスフェノールF EO変性アクリレート(東亞合成(株)製、製品名:「アロニックスM−208」)9.69g(0.02mol)、パラホルムアルデヒド25.2g(0.8mol)、クロロホルム80mLを加え、氷浴下4℃で撹拌しながら、酢酸(80mL)で希釈した硫酸(4mL)をゆっくり滴下した。滴下終了後、フラスコを60℃まで徐々に昇温し、4時間反応させた。反応終了後、反応溶液を大量のメタノール中に投入し、数回洗浄してろ過回収した。その後、反応生成物を室温減圧下で乾燥することで、変性フェノール樹脂を90g得た。これに重合禁止剤としてメトキノンを0.045g、シクロヘキサノン100g、テトラヒドロ無水フタル酸22.91gを加え、90℃に加熱し約6時間反応させIRにて酸無水物の吸収の消失を確認した後、シクロヘキサノンを加え固形分30%に希釈し、酸価70.1mgKOH/gのカルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−9を得た。得られた樹脂の数平均分子量(Mn)は34500、重量平均分子量(Mw)は115000であった。
【0118】
(合成例10)
1Lフラスコに2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルメタクリレート(東亞合成(株)製、製品名:「アロニックスM−5700」)83.36g(0.38mol)、ビスフェノールF EO変性アクリレート(東亞合成(株)製、製品名:「アロニックスM−208」)9.69g(0.02mol)、パラホルムアルデヒド25.2g(0.8mol)、クロロホルム80mLを加え、氷浴下4℃で撹拌しながら、酢酸(80mL)で希釈した硫酸(4mL)をゆっくり滴下した。滴下終了後、フラスコを60℃まで徐々に昇温し、4時間反応させた。反応終了後、反応溶液を大量のメタノール中に投入し、数回洗浄してろ過回収した。その後、反応生成物を室温減圧下で乾燥することで、変性フェノール樹脂を90g得た。これに重合禁止剤としてメトキノンを0.045g、シクロヘキサノン100g、無水コハク酸15.30gを加え、90℃に加熱し約6時間反応させIRにて酸無水物の吸収の消失を確認した後、シクロヘキサノンを加え固形分30%に希釈し、酸価74.5mgKOH/gのカルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−10を得た。得られた樹脂の数平均分子量(Mn)は34500、重量平均分子量(Mw)は104000であった。
【0119】
(比較合成例1)
1Lフラスコにクレゾールノボラック型グリシジルエーテル(DIC(株)製、製品名:「エピクロンN−665」、エポキシ当量208、核体数6〜7)104g、アクリル酸36g、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.14g、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート61gを加えた後、フラスコを100℃まで昇温し、上記混合物が均一に溶解したことを確認後、トリフェニルホスフィン0.8gを仕込み、約10時間反応させた。これに、テトラヒドロ無水フタル酸24.3gを仕込み、90℃に加熱し約6時間反応させIRにて酸無水物の吸収の消失を確認した後、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート322.4gを加え固形分30%に希釈し、固形分酸価67mgKOH/gのノボラック型エポキシアクリレート樹脂溶液R−1を得た。
【0120】
(比較合成例2)
1Lフラスコにクレゾールノボラック型グリシジルエーテル(東都化成(株)製、製品名:「エポトートYDCN−704」、エポキシ当量210、核体数9〜10)105g、アクリル酸36g、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.14g、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート116gを加えた後、フラスコを100℃まで昇温し、上記混合物が均一に溶解したことを確認後、トリフェニルホスフィン0.8gを仕込み、約10時間反応させた。これに、テトラヒドロ無水フタル酸24.3gを仕込み、90℃に加熱し約6時間反応させIRにて酸無水物の吸収の消失を確認した後、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート269.7gを加え固形分30%に希釈し、固形分酸価67mgKOH/gのノボラック型エポキシアクリレート樹脂溶液R−2を得た。
【0121】
(比較合成例3)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、および温度計を備え付けた反応槽に、シクロヘキサノン150gを仕込み80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メタクリル酸40g、メチルメタクリレート25g、n−ブチルメタクリレート35g、およびN,N−アゾビスイソブチロニトリル1.33gを予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け、カルボキシル基含有アクリル重合体を得た。これに、重合禁止剤としてメトキノンを0.17g、シクロヘキサノン53.5g、グリシジルメタクリレート35.7gを仕込み、90℃に加熱し約10時間反応させ、酸価が3mgKOH/gまで低下したことを確認した。さらに、シクロヘキサノン40.9g、2−メタクリロイルオキシエチルメタクリレート27.2g、ジブチル錫ジラウレート0.02gを仕込み、60℃に加熱し約6時間反応させIRにてイソシアネート基の吸収の消失を確認した後、シクロヘキサノンを加え固形分30%に希釈し、酸価73.6mgKOH/gの感光性アクリル樹脂溶液R−3を得た。得られた樹脂の数平均分子量(Mn)は11600、重量平均分子量(Mw)は24300であった。
【0122】
<分散樹脂溶液の製造例>
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、および温度計を備え付けた反応槽に、シクロヘキサノン233部を仕込み80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メタクリル酸13部、メチルメタクリレート10部、n−ブチルメタクリレート77部、およびN,N−アゾビスイソブチロニトリル1.33部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け、重量平均分子量が25000の樹脂の溶液を得た。室温に冷却後、シクロヘキサノンで希釈することにより、固形分20%の分散樹脂溶液を得た。
【0123】
<赤色カラーフィルタ用着色組成物の調製>
[実施例1]
まず、P.R.254(C.I.Pigment Red 254 ジケトピロロピロール系赤色顔料)1.66部、P.R.177(C.I.Pigment Red 177 アントラキノン系赤色顔料)2.2部、P.Y.150(C.I.Pigment Yellow 150 アゾメチン系黄色顔料)0.51部、分散剤(日本ルーブリゾール社製「ソルスパーズ20000」)0.87部、分散樹脂溶液4.5部、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)23.3部を遊星型ボールミルにてジルコニアビーズを使用して混合・顔料分散を行い、顔料分散体を得た。この顔料分散体に、樹脂溶液としてカルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−1 7.25部、エチレン性不飽和化合物(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)3.38部、光重合開始剤(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)1.08部、増感剤(2,4−ジエチルチオキサントン)0.27部、および溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)55部を攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、赤色カラーフィルタ用着色組成物を調製した。
【0124】
[実施例2〜10、比較例1〜3]
樹脂溶液を、カルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−1からカルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−2〜10、ノボラック型エポキシアクリレート樹脂溶液R−1、2、感光性アクリル樹脂溶液R−3に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、赤色カラーフィルタ用着色組成物を調製した。
【0125】
<緑色カラーフィルタ用着色組成物の調製>
[実施例11]
まず、P.G.36(C.I.Pigment Green 36 ハロゲン化銅フタロシアニン系緑色顔料)3.94部、P.Y.150(C.I.Pigment Yellow 150 アゾメチン系黄色顔料)1.00部、分散剤(日本ルーブリゾール社製「ソルスパーズ20000」)0.99部、分散樹脂溶液4.69部、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)26.06部を遊星型ボールミルにてジルコニアビーズを使用して混合・顔料分散を行い、顔料分散体を得た。この顔料分散体に、樹脂溶液としてカルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−1 4.80部、エチレン性不飽和化合物(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)3.38部、光重合開始剤(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)1.08部、増感剤(2,4−ジエチルチオキサントン)0.27部、および溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)53.8部を攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、緑色カラーフィルタ用着色組成物を調製した。
【0126】
[実施例12〜20、比較例4〜6]
樹脂溶液を、カルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−1からカルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−2〜10、ノボラック型エポキシアクリレート樹脂溶液R−1、2、感光性アクリル樹脂溶液R−3に変更した以外は、実施例11と同様の方法で、緑色カラーフィルタ用着色組成物を調製した。
【0127】
<青色カラーフィルタ用着色組成物の調製>
[実施例21]
まず、P.B.15:6(C.I.Pigment Blue 15:6 銅フタロシアニン系青色顔料)2.10部、P.V.23(C.I.Pigment violet 23 ジオキサジン系紫色顔料)1.04部、分散剤(日本ルーブリゾール社製「ソルスパーズ20000」)0.48部、分散樹脂溶液3.75部、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)16.40部を遊星型ボールミルにてジルコニアビーズを使用して混合・顔料分散を行い、顔料分散体を得た。この顔料分散体に、樹脂溶液としてカルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−1 10.00部、エチレン性不飽和化合物(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)4.20部、光重合開始剤(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)1.30部、増感剤(2,4−ジエチルチオキサントン)0.32部、および溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)60.4部を攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、青色カラーフィルタ用着色組成物を調製した。
【0128】
[実施例22〜30、比較例7〜9]
樹脂溶液を、カルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−1からカルボキシル基含有変性フェノール樹脂溶液P−2〜10、ノボラック型エポキシアクリレート樹脂溶液R−1、2、感光性アクリル樹脂溶液R−3に変更した以外は、実施例21と同様の方法で、青色カラーフィルタ用着色組成物を調製した。
【0129】
<カラーフィルタ用着色組成物の評価>
調製したカラーフィルタ用着色組成物(赤色、緑色、青色)について次の評価方法により評価を行い、結果を表に示した。なお、実施例及び比較例で得られた着色組成物について、下記の方法で分散安定性、現像性、感度及び耐薬品性を評価した。
【0130】
(分散安定性評価)
調製したカラーフィルタ用着色組成物の25℃における粘度をE型粘度計(TOKI SANGYO社製TUE−20L型)を用い回転数20rpmで測定した。カラーフィルタ用着色組成物の調製当日の粘度を初期粘度(η0:mPa・s)として測定し、40℃の恒温室にて7日間保存した後の粘度(η7:mPa・s)を測定し、分散安定性を下記の基準で評価した。
○:「η7/η0が0.8以上1.20未満であり、粘度の上昇がほとんど起こらず分散安定性良好。」
△:「η7/η0が1.20以上1.60未満であり、やや粘度の上昇が見られ分散安定性がやや劣る。」
×:「η7/η0が0.8未満または1.60以上であり、粘度の変化が見られ分散安定性が劣る。」
【0131】
(現像性評価)
カラーフィルタ用着色組成物を、10×10cm、1.1mm厚の透明ガラス基板上にスピンコート塗布、70℃20分間のプリベークを行い乾燥膜厚約2.0μmの塗膜を形成した。ついで50μmの細線パターンを備えたマスクを介して20、30、40、50、60、80、100、200mJ/cm2の8水準の露光量で紫外線パターン露光した。アルカリ現像液にて、未露光部のパターン全体が溶解する時間(T1)を算出した。なお、アルカリ現像液としては、炭酸ナトリウム1.5重量%、 炭酸水素ナトリウム0.5重量%、陰イオン系界面活性剤(花王社製「ペリレックスNBL」)8.0重量%および水90重量%からなるものを用いた。
○:「T1が40秒以下であるもの。」
△:「T1が40秒を超え、60秒以下であるもの。」
×:「60秒を超えても未露光部を除去できないもの。」
【0132】
(感度評価)
現像性評価で作製した露光後の基板をT1の1.5倍の時間まで延長して現像し、ストライプ形状のフィルタセグメントを形成した。未露光・未現像部分の膜厚と、得られた各露光量水準のフィルタセグメントの膜厚を、表面形状測定装置「Dektak150」(株式会社アルバック製)で測定し、[残膜率]=[フィルタセグメントの膜厚]/[未露光・未現像部分の膜厚]を算出した。得られた残膜率曲線から、残膜率が飽和に達する露光量を飽和露光量、その残膜率を飽和残膜率と定めた。なお、飽和露光量が小さく、飽和残膜率が100%に近いほど感度が高い。
【0133】
(耐薬品性評価)
露光量を飽和露光量+50mJ/cmとした以外は、感度評価と同様にフィルタセグメントを形成した。230℃で60分間加熱処理したのち、基板の一部をN−メチルピロリドン(NMP)に30分間浸漬後、光学顕微鏡によりパターン表面の状態を観察し、耐薬品性を下記の基準で評価した。
○:「変化が認められなかった。」
△:「僅かだがクラック等が認められた。」
×:「ひどいクラック等が認められた。」
【0134】
【表1】

【0135】
表に示すように、ノボラック型エポキシアクリレート樹脂を使用した場合は、分子量やTgが適正でないために分散安定性や耐薬品性が不良であった。また、感光性アクリル樹脂を使用した場合は、エチレン性不飽和基の導入量が適正でないために、感度が不良であった。本発明のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂を使用した場合には、分子量・Tg・エチレン性不飽和基量が適正な範囲に設計できるため、感度が高く、かつ分散安定性や耐薬品性にすぐれた着色組成物を得ることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)を、アルデヒド類(b)、酸触媒(c)を用いて重合してなる変性フェノール樹脂(A)と、多塩基酸無水物とを反応させることにより得られるカルボキシル基含有変性フェノール樹脂。
【請求項2】
フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)と多塩基酸無水物とを反応してなる化合物(B)を、アルデヒド類(b)、酸触媒(c)を用いて重合することにより得られるカルボキシル基含有変性フェノール樹脂。
【請求項3】
変性フェノール樹脂(A)が、下記一般式(1)で示される化合物を共重合してなることを特徴とする請求項1記載のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂。
一般式(1)
【化1】


(R1は水素、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、又は炭素数1〜10のアルコキシル基を示し、jは0〜3の整数を示す。一分子内に存在するR2同士はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。)
【請求項4】
下記一般式(1)で示される化合物を共重合してなることを特徴とする請求項2記載のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂。
一般式(1)
【化2】


(R1は水素、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、又は炭素数1〜10のアルコキシル基を示し、jは0〜3の整数を示す。一分子内に存在するR2同士はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。)
【請求項5】
アルデヒド類(b)が、パラホルムアルデヒド、又は下記一般式(3)で示される化合物である請求項1〜4いずれか記載のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂。
一般式(3)
【化3】


(R5は、水素、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、又はヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示す。)
【請求項6】
酸触媒(c)が、有機スルホン酸、又は硫酸である請求項1〜5いずれか記載のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂。
【請求項7】
重量平均分子量が、3,000〜1,000,000である請求項1〜6いずれか記載のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか記載のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂と、着色剤とを含有するカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項9】
請求項8記載の着色組成物から形成されるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項10】
フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)を、アルデヒド類(b)、酸触媒(c)を用いて重合し、変性フェノール樹脂(A)を得、
次いで、
変性フェノール樹脂(A)と多塩基酸無水物とを反応させることを特徴とする、カルボキシル基含有変性フェノール樹脂の製造方法。
【請求項11】
フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)と多塩基酸無水物とを反応し、化合物(B)を得、
次いで、
化合物(B)を、アルデヒド類(b)、酸触媒(c)を用いて重合することを特徴とする、カルボキシル基含有変性フェノール樹脂の製造方法。
【請求項12】
フェノール性水酸基が(メタ)アクリロイル基および水酸基を有する置換基で修飾されてなる化合物(a)を重合する際に、下記一般式(1)で示される化合物を共重合することを特徴とする請求項10記載のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂の製造方法。
一般式(1)
【化4】


(R1は水素、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、又は炭素数1〜10のアルコキシル基を示し、jは0〜3の整数を示す。一分子内に存在するR2同士はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。)
【請求項13】
化合物(B)を重合する際に、下記一般式(1)で示される化合物を共重合することを特徴とする請求項11記載のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂の製造方法。
一般式(1)
【化5】


(R1は水素、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、又は炭素数1〜10のアルコキシル基を示し、jは0〜3の整数を示す。一分子内に存在するR2同士はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。)
【請求項14】
アルデヒド類(b)が、パラホルムアルデヒド、又は下記一般式(3)で示される化合物である請求項10〜13いずれか記載のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂の製造方法。
一般式(3)
【化6】


(R5は、水素、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、又はヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示す。)
【請求項15】
酸触媒(c)が、有機スルホン酸、又は硫酸である請求項10〜14いずれか記載のカルボキシル基含有変性フェノール樹脂の製造方法。

【公開番号】特開2012−7025(P2012−7025A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142181(P2010−142181)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】