説明

カンナビノイドのキノン派生物の治療使用方法

本発明は、いくつかのそのような新規な組成物と同様にカンナビノイドのいくつかのキノン派生物の医学的使用に関する。特に、5種類のカンナビノイドキノンHU−331、HU−336、HU−345、HU−395、HU−396が活性剤として述べてある。前記組成物及びその組成は、炎症性、伝染性自己免疫条件のうちの1つの治療のためのものであり、特に、過剰増殖性疾患の治療に用いるものである。したがって本発明の組成物は、抗腫瘍剤あるいは抗癌剤として使用できる。なお本発明は3つの新規なカンナビノイドキノンHU−345、HU−395、HU−396についても特許を請求している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカンナビノイドの分野に関し、より明確には、本発明は、いくつかのそのような新規な組成物と同様にカンナビノイドのいくつかのキノン派生物の医学的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願の全体にわたって言及した刊行物は、すべて、その刊行物に引用された参照をすべて含んで、参考文献として本明細書を構成する。
【0003】
動植物中に存在するキノンの様々な化学的系統群物質は、生物学的モジュレータとして役に立つ(非特許文献1〜5参照)。
【非特許文献1】Routledge等によるNaturally Occurring Quinones、(1996年)
【非特許文献2】Kluwer Academic Publishers Stites等、Journal of Nutrition、132巻,719−727ページ(2002年)
【非特許文献3】Lee, K. H.によるMedicinal Research、19巻、569−596ページ(1999年)
【非特許文献4】Thomson, R. H.によるNaturally Occurring Quinones(1987年)
【非特許文献5】Routledge, Chapman & Hall, Incorporated社、Bolton等によるChemical Research in Toxicology、13巻,135−160ページ、(2000年)また、自然の及び合成のキノンは、薬剤として広く使用されている。アントラサイクリンは、異なる系によって生産された抗生物質および抗新生物性効果を働かせて作られるキノンの組成物の大きな群であり、癌のいくつかの症状を治療するために使用される(非特許文献6、7参照)。
【非特許文献6】Begleiter, A.、(2000年)、Frontiers in Bioscience、5巻,E153−E171ページ
【非特許文献7】Aubel−Sadron, G. and Landos−Gagliardi, D.、(1984年)、Biochimie、66巻、333−352ページこの系統の物質として最もよく知られているものはダウノルビシンおよびアドリアマイシンで、最初に認識されたのはアントラサイクリン(anthracyclins)である(非特許文献8参照)。
【非特許文献8】Di Marco等(1981)、Cancer Treat Rep、65巻、3−8ページ他のキノンも抗癌剤として使用される。マイトマイシンCおよびエピルビシンおよびノバントロン(mitoxantron)を合成して生産したストレプトニグリンは有名な例である。これらおよび他のキノン組成物は様々なタイプの癌の治療に有効であるが、それらの最大に厳しい副作用は、それらの使用により累積的に心臓の毒性限界を超えることである。したがって、抗腫瘍性活動を示すがそれほど有毒でないキノン組成物の開発が、抗癌治療の主な目的とされている(非特許文献9、10参照)。
【非特許文献9】Zucchi、R.、Danesi、R.(2003年)、Curr Med Chem Agents、3巻,151−171ページ
【非特許文献10】Thomas、X.等(2002年)、Ann Hemathol、81巻、504−507ページ
【0004】
多くのカンナビノイドが、様々な疾病の生体外、生体内のモデルにおいて合成され、テストされた(非特許文献11〜13参照)。
【非特許文献11】R. K. (1986年)、Pharmacol、38巻、75−149ページ;
【非特許文献12】Mechoulam等(1998年)、Progress in Med Chem、35巻、199−243ページ(1998年)、
【非特許文献13】Barth, F., Rinaldi−Carmona, M(1999年)、Curr Med Chem.、6巻,745−755ページ現在の研究では、5つのカンナビノイドキノン(cannabinoic quinone)が知られているが、本願発明者によってそれらのうちの2つはビーム・テスト(カンナビノイドに対するカラーテスト)の化学的基礎を調査する準備がなされた(非特許文献14参照)。
【非特許文献14】Mechoulam等(1968年)、Tetrahedron、24巻、5615−5624ページまた、ここに示される3つの新規なカンナビノイド系のキノンが薬効のある因子として評価された。特に、本願発明者は、これらの組成物で通常見られる大問題である副作用の最小化と共に、生物学的治療活性を示すカンナビノイド系のキノンを発見しようとした。
【0005】
現在報告できる内容には、これらのキノン・カンナビノイド派生物の薬効成分を含み、特に測定可能な副作用がなく、生体外、生体内の双方におけるそれらの効果的な抗腫瘍性機能に関する内容を含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、活性剤としてカンナビノイドキノンを含む医薬組成物を提供することが本発明の目的である。それは、抗新生物性あるいは抗癌剤として前述の組成物を提供することが本発明の他の目的である。他の使用方法及び目的は、以下の説明により明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の実施形態では、本発明は活性剤としてカンナビノイドキノンを含む医薬組成物に関し、前記カンナビノイド系のキノンは、一般的な化学式(I)によって定義される。
【化1】

環Aは5−、6−あるいは7−員環から成る脂環式化合物あるいは芳香環であって、1〜3つの置換基を、任意に独立して任意に分岐したアルキル基、任意に分岐したC−Cのアルケニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと置き換えたものであり、
Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、またあるいはRは任意に分岐したアルキレン基を指し、原子Xからなる6員環ヘテロ環状化合物リングを形作るリングAに接続され、原子XおよびリングAの炭素原子3及び4が付されるキノン環の2つの炭素原子を含み、
は任意に分岐したC−C10アルキルまたは任意に分岐したC−C10アルケニル基であり、前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、そしてさらに、少なくとも1つの薬学的に受容可能な添加物、希釈剤および/または担体を含む。
【0008】
ある好ましい具体例では、前記カンナビノイドキノンが化学式(II)の組成物である。
【化2】

環Aはシクロヘキサン、シクロヘキセンあるいはベンゼン環であり、
Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、またあるいはRは任意に分岐したC−Cアルキレン基を指し、原子Xからなる6員環ヘテロ環状化合物リングを形作るリングAに接続され、原子XおよびリングAの炭素原子3及び4が付されるキノン環の2つの炭素原子を含み、
は任意に分岐したC−Cアルキルまたは任意に分岐したC−Cアルケニル基であり、前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基を指し、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、そして、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基であり、またあるいはRはRがアルキレン基の場合は水素である。
【0009】
一つの好ましい実施例では、カンナビノイドキノンは化学式(III)、(III)または(V)の一つの混合物であり、化学式(III)および(IV)の混合物の構造は下記の通りである。
【化3】

【化4】

Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、
は任意に分岐したC−C10アルキルまたは任意に分岐したC−C10アルケニル基であり、前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基を指し、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、そして、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基であり、
【化5】

Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は任意に2つアルキル群と置換できるメチレン群を示し、Rは水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、
は任意に分岐したC−C10アルキル基または任意に分岐したC−C10アルニル基であり、前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、そして、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基を指し、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものである。
【0010】
本発明のカンノビノイド系キノンのもっとも好ましい具体例では、Xは酸素、Rは水素、そしてRは2−プロピルまたは2−プロペニルである。また、Xはキノン環で2つの炭素原子を構成するピレン環を形成する酸素原子であり、それに対して、前記酸素原子が付着し、そして炭素原子3,4の環Aは、ピレン環は好ましくは2,2ジメチルに置換することが好ましい。さらにまた、もっとも好ましい実施例では、Rはメチルである。本発明のカンナビノイドキノンは方式の各混合物の光学的に活性な異性体および化学式(I)、(II)、(III)、(IV)、および(V)で示されるラセミ混合物を含んでいる。
【0011】
本発明は5つのカンナビノイドから得られるキニーネについて記述する。特に、本願発明者により合成され、本明細書で3S,4R−p−ベンゾキノン−3−ヒドロキシ−2−p−メンタ−(1,8)−ジエン−3−イル−5−ペンチル(3S,4R−p−benzoquinone−3−hydroxy−2−p−mentha−(1,8)−dien−3−yl−5−pentyl)と称するもの(またはHU−331とも言う)、6aR,10aR−1−H−ジベンゾ[b,d]ピラン−1,4−(6H)−ジオン−6aβ,7,10,10aα−テトラヒドロ−6,6,9−トリメチル−3−ペンチル(6aR,10aR−1−H−dibenzo[b,d]pyran−1,4−(6H)−dione−6aβ,7,10,10aα−tetrahydro−6,6,9−trimethyl−3−pentyl)と称するもの(またはHU−336とも言う)、1−H−ジベンゾ[b,d]ピラン−1,4(6H)−ジオン−6,6,9−トリメチル−3−ペンチル(1−H−dibenzo[b,d]pyran−1,4(6H)−dione−6,6,9−trimethyl−3−pentyl)と称するもの(またはHU−345とも言う)、3S,4R−p−ベンゾキノン−3−ヒドロキシ−2−[p−メンタ−1−エン−3−イル]−5−ペンチル(3S,4R−p−benzoquinone−3−hydroxy−2−[p−mentha−1−en−3−yl]−5−pentyl)と称するもの(またはHU−395とも言う)、そして、3S,4R−p−ベンゾキノン−3−ヒドロキシ−2−[p−メンタン−3−イル]−5−ペンチル(3S,4R−p−benzoquinone−3−hydroxy−2−[p−menthan−3−yl]−5−pentyl)と称するもの(またはHU−396とも言う)について記述する。
【0012】
本発明は、前記化学式(I)〜(V)の組成物の使用に言及し、特に薬剤の準備における組成物HU−331、HU−336、HU−345(HU)−395、HU−396について述べる。
【0013】
したがって、本発明の医薬組成物、あるいは前述の医薬は、癌腫(carcinomas)、リンパ腫、黒色腫、膠芽腫および肉腫のような過剰増殖性病気の治療に向くかもしれない。あるいは本発明の医薬組成物は、悪性でない過剰増殖性の病気(例えば乾癬)の治療に向くかもしれない。
【0014】
本発明の医薬組成物は自由にさらに担体、添加物および希釈剤を含ませることができる。
好ましい実施例では、本発明の医薬組成物は薬学的に受理可能な媒体あるいは担体(特にエタノールの混合物)Emulphor(商標:1:1:18v/v比率のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。
【0015】
活性因子としてカンナビノイドキノンを含む本発明の医薬組成物は、炎症、自己免疫疾患(例えば多発性硬化症)および伝染病のような条件、特にバクテリア(グラム陽性およびグラム陰性、ミコバクテリウムなど)のような病原菌によって引き起こされた伝染病、原虫類および菌類の治療に使用してもよい。
【0016】
別の形態では、本発明は、悪性のあるいは悪性でない過剰増殖性の病気の治療方法に関係し、カンナビノイドキノンの治療に有効な処理量、あるいは必要な治療の問題への医薬組成物の投与に関する。
【0017】
したがって本発明は、過剰増殖性の病気、特に結腸癌、リンパ腫および乳癌の治療で使用するためにカンナビノイドキノン、できればHU−331あるいは同じ構成の医薬組成物を提供する。
【0018】
さらに他の面では、本発明は、炎症、自己免疫疾患(特別の多発性硬化症中のもの)および伝染病、特にバクテリア(グラム陽性およびグラム陰性菌、ミコバクテリウムなどを含んでいる)、原虫類と菌類のような病原菌によって引き起こされた感染症からなるグループから選ばれた条件の治療のための方法を提供する。前記方法は、カンナビノイドキノンの治療に有効な処理量、あるいは必要な治療の問題への医薬組成物の投与を含む。
【0019】
後述の形態では、本発明は、さらに医薬組成物の製剤のためのカンナビノイドキノンの使用を示す。そこでは、前記カンナビノイドキノンは、HU−331、HU−336、HU−345、HU−395およびHU−396のうちの任意の1つである。好ましい、カンナビノイドキノンはHU−331である。
【0020】
最後に本発明は、化学式(III)〜(V)の組成物を提供する。化学式は下記の通りである。
【化6】

【化7】

Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、
は任意に分岐したC−C10アルキルまたは任意に分岐したC−C10アルケニル基であり、前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基を指し、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、そして、
は任意に分岐したC−Cアルキル基アルキニル基である。
化学式(V)は、
【化8】

Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は任意に2つアルキル群と置換できるメチレン群を示し、Rは水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、
は任意に分岐したC−C10アルキル基または任意に分岐したC−C10アルニル基であり、前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基を指し、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものである。
【0021】
化学式(IV)および(III)の好ましい組成物は、それぞれ、3S,4R−p−ベンゾキノン−3−ヒドロキシ−2−[p−メンタン−1−エン−3−イル]−5−ペンチル(3S,4R−p−benzoquinone−3−hydroxy−2−[p−mentha−1−en−3−yl]−5−pentyl)、3S,4R−p−ベンゾキノン−3−ヒドロキシ−2−[p−メンタン−3−イル]−5−ペンチル(3S,4R−p−benzoquinone−3−hydroxy−2−[p−mentha−3−yl]−5−pentyl)であり、その化学式は、
【化9】

【化10】

であり、それぞれHU−395、HU−396と称する。
【0022】
化学式(V)の好ましい組成物は、1−H−ジベンゾ[b,d]ピラン−1,4(6H)−ジオン−6,6,9−トリメチル−3−ペンチル(1−H−dibenzo[b,d]pyran−1,4(6H)−dione−6,6,9−trimethyl−3−pentyl)であり、その化学式は、
【化11】

である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
動植物中に存在するキノンの様々な化学的系統群物質は、生物学的モジュレータとして役に立つ(最近の研究例としては、Zajicek、J.(2002年)、Lancet Neurol、1巻、147ページ、Di Carlo, G.とIzzo、A.A.(2003年)、Expert Opin Investig Drugs、12巻、39−49ページ、Croxford(J.L)、(2003年)、CNS Drugs、17巻、179−202ページ参照)。そして、自然の及び合成のキノンは、薬として広く使用されており、カンナビノイドを派生したキノンの薬学の可能性についてはまだ調査されていない。
【0024】
この観点で、本願発明者はカンナビノイドを派生したキノンの薬理活性を検査しようとしたものである。本発明は、カンナビノイド系のキノンの一般的な化学式を与える。
【化12】

環Aは5−、6−あるいは7−員環から成る脂環式化合物あるいは1〜3つの置換分と任意に独立して置き換えた芳香環であって、任意に分岐したC−Cアルキル基、任意に分岐したC−Cアルケニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンであり、
Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、またあるいはRは任意に分岐したアルキレン基を指し、原子Xからなる6員環ヘテロ環状化合物リングを形作るリングAに接続され、原子XおよびリングAの炭素原子3及び4が付されるキノン環の2つの炭素原子を含み、そして
は任意に分岐したC−C10アルキルまたは任意に分岐したC−C10アルケニル基であり、前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
そしてさらに、少なくとも1つの薬学的に受容可能な添加物、希釈剤および/または担体を含む。
【0025】
したがって、第一の実施形態では、本発明は活性物質としてカンナビノイドキノンを含む医薬組成物に関し、前記カンナビノイド系のキノンは、一般的な化学式(I)によって定義される。
【化13】

環Aは5−、6−あるいは7−員環から成る脂環式化合物あるいは1〜3つの置換分と任意に独立して置き換えた芳香環であって、任意に分岐したC1−C5アルキル基、任意に分岐したC−Cのアルケニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンであり、
Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、またあるいはRは任意に分岐したアルキレン基を指し、原子Xからなる6員環ヘテロ環状化合物リングを形作るリングAに接続され、原子XおよびリングAの炭素原子3及び4が付されるキノン環の2つの炭素原子を含み、
は任意に分岐したC−C10アルキルまたは任意に分岐したC−C10アルケニル基であり、前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、そしてさらに、少なくとも1つの薬学的に受容可能な添加物、希釈剤および/または担体を含む。
【0026】
上記化学式のキノンは、ラセミ化合物、光学的に純粋なエナチオマおよびエナチオマの非ラセミ混合物を含む。
【0027】
本明細書で用いる用語「アルキル」は炭素と水素のみを含んでいる周期的な、分枝あるいは直鎖アルキル基を指す。また特に言及しなければ、1〜12の炭素原子を含む。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル基、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ピバリル、ヘプチル、アダマンチルおよびシクロペンチルである。アルキル基は1つ以上の置換基と置換し得るかもしれないし、代用し得るかもしれない。例えば、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンを挙げることができる。
【0028】
本明細書では、用語「低級アルキル基」は、1〜5個の炭素原子が周期的に分岐しあるいは直鎖状の1価のアルキル基を指す。
【0029】
一つの好ましい実施例では、カンナビノイドキノンが下記化学式(II)で表される組成物である。
【化14】

輪Aはシクロヘキサン、シクロヘキセンあるいはベンゼン環であり、
Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、またあるいはRは任意に分岐したアルキレン基を指し、原子Xからなる6員環ヘテロ環状化合物リングを形作るリングAに接続され、原子XおよびリングAの炭素原子3及び4が付されるキノン環の2つの炭素原子を含み、
は任意に分岐したC−Cアルキルまたは任意に分岐したC−Cアルケニル基であり、前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基を指し、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基、あるいはRがアルキレン基である場合はRは水素である。
【0030】
本発明のキノンが少なくとも1つの不斉中心を含むかもしれないことは当業者によって理解されよう。したがって、本発明の医薬組成物および本発明方法で使用されるキノンは、光学的に活性かあるいはラセミ化合物の形で分離され及び/または合成された形態で存在し得る。ある種のキノンは同質異像であるかもしれない。本発明はどのようなラセミ化合物、光学的活性物、同質異像物質、立体異性体、あるいはそれらの混合体であっても、その形態がここに定義されるように、薬効成分を有するものを包含することが理解されるであろう。
【0031】
したがって、本発明の一実施例では、本発明のキノンは純粋(R)−異性核である。他の実施例では、本発明のキノンは純粋(S)−異性核である。さらに本発明のキノンは、等しい量の(R)および(S)異性核を含むラセミ混合物であり得る。この技術分野において光学的能動形態を準備する方法は周知であり、例えば、再結晶技術によりラセミ化合物の形態の分解によって、光学的に活性の出発原料からの合成によって、キラルの合成によって、あるいはキラルの静止期を使用するクロマトグラフィーの分離によって行える。
【0032】
本発明の一実施例では、カンナビノイドキノンは化学式(III)、(IV)あるいは化学式(V)のうちの1つの組成物であり、化学式(V)は化学式(III)および(IV)の組成物の構造を有する。
【化15】

【化16】

Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、
は任意に分岐したC−C10アルキルまたは任意に分岐したC−C10アルケニル基であり、
前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基を指し、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基であり、化学式(V)の混合物の構造は下記の通りである。
【化17】

Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は任意に2つアルキル群と置換できるメチレン群を示し、
は最大5個までの炭素原子からなる置換基を伴い、
は任意に分岐したC−C10アルキル基または任意に分岐したC−C10アルニル基であり、前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基を指し、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものである。
【0033】
本発明のカンナビノイドキノンのもっとも好ましい実施例では、Xが酸素、Rが水素、そしてRは2−プロピル基か、あるいは2−プロペニル基である。
【0034】
またXはキノン環で2つの炭素原子を構成するピレン環を形成する酸素原子であり、それに対して、前記酸素原子が付着し、そして炭素原子3、4の環Aは、ピレン環は好ましくは2,2ジメチルに置換することが好ましい。
【0035】
さらにまた他の好ましい実施例では、Rはメチル基である。
【0036】
本発明は5つのカンナビノイドから得られるキニーネについて記述する。特に、本願発明者により合成され、本明細書で3S,4R−p−ベンゾキノン−3−ヒドロキシ−2−p−メンタ−(1,8)−ジエン−3−イル−5−ペンチル(3S,4R−p−benzoquinone−3−hydroxy−2−p−mentha−(1,8)−dien−3−yl−5−pentyl)と称するもの(HU−331とも言う)、6aR,10aR−1−H−ジベンゾ[b,d]ピラン−1,4−(6H)−ジオン−6aβ,7,10,10aα−テトラヒドロ−6,6,9−トリメチル−3−ペンチル(6aR,10aR−1−H−dibenzo[b,d]pyran−1,4−(6H)−dione−6aβ,7,10,10aα−tetrahydoro−6,6,9−trimethyl−3−pentyl)と称するもの(HU−336とも言う)、1−H−ジベンゾ[b,d]ピラン−1,4(6H)−ジオン−6,6,9−トリメチル−3−ペンチル(1−H−dibenzo[b,d]pyran−1,4(6H)−dione−6,6,9−trimethyl−3−pentyl)と称するもの(HU−345とも言う)、3S,4R−p−ベンゾキノン−3−ヒドロキシ−2−[p−メンタ−1−エン−3−イル]−5−ペンチル(3S,4R−p−benzoquinone−3−hydroxy−2−[p−mentha−1−en−3−yl]−5−pentyl)と称するもの(HU−395とも言う)、そして、3S,4R−p−ベンゾキノン−3−ヒドロキシ−2−[p−メンタン−3−イル]−5−ペンチル(3S,4R−p−benzoquinone−3−hydroxy−2−[p−menthan−3−yl]−5−pentyl)と称するもの(HU−396とも言う)について記述する。最初の二つの組成物HU−331とHU−336は本願発明者によって既に開示されている[Mechoulam等(1968年)の前述の箇所]。しかし、他の3つの組成物、HU−345、HU−395およびHU−396は、新規なカンナビノイドキノン派生物である。
【0037】
HU−395が前記化学式(III)の、HU−396は前記化学式(IV)の、また、HU−345は前記化学式(V)派生物であることが認識できるであろう。
【0038】
これらの組成物の構造は図1中に詳しく示されており、HU−331、HU−336およびHU−345もそれぞれ図2、4および6に示されている。
【0039】
したがって、ほとんどの好ましい実施例では、本発明の医薬組成物は、活性物質としてHU−331、HU−336、HU−345、HU−395、HU−396およびそれらの任意の組み合わせのうちの1つを含む。実施例に関して記述するように、本願発明者によって合成されたカンナビノイド(あるいはカンナビノイドキノン)の5つのキノン派生物は、ヒト癌細胞系におけるそれらの抗増殖活動に関する試験に用いられた。これらの5つの組成物は、リンパ腫、乳腺(胸)、前立腺、肺、膠芽腫および結腸から、採取された様々なタイプの癌細胞系について抗増殖性をより明確に有していた。
【0040】
したがって、本発明の医薬組成物は、副腎皮質細胞癌、リンパ腫、黒色腫、膠芽腫および肉腫のような過剰増殖性の病気の治療に向くかもしれない。また本発明の医薬組成物は、悪性でない過剰増殖性の病気(例えば乾癬)の治療にも向くかもしれない。
【0041】
本発明の医薬組成物は、さらに担体、添加物および希釈剤を含む用にすることも可能である。
【0042】
医薬組成物の製剤は当該技術において周知で、多くの記事および教科書に記述されている。例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Gennaro A. R.著、Mack Publishing Co.,発行(ペンシルベニア州イーストン)、1990年、特にその1521−1712ページ参照)。
【0043】
癌(治療)活動での医薬組成物は可溶性にするのが多くの場合難しい。HU−331は、エタノールEmulphor(商標):PBS(1:1:18)中に溶かした際、皮下(s.c。)、あるいは腹膜内(i.p.)投与に続いて、著しい抗腫瘍効果を生体内で示した。これは、この溶剤が癌サイトでそのバイオ有効性を可能にしたことを示唆する。
【0044】
したがって好ましい実施例では、本発明の医薬組成物は薬学的に受容可能な賦形剤あるいは担体、特にエタノールEmulphor(商標)の混合物を含む。Emulphor(商標)は、体積比1:1:18のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。
【0045】
またEmulphor(商標)は、ポリオキシエチル化された植物油(陰イオンの乳化剤である高分子量のエーテル硫酸塩)である。好ましい緩衝液はPBSであるが、生理学的に互換性をもつ他の緩衝剤例えば、Hepes(トリス緩衝食塩水)を使用してもよい。様々なタイプのポリ(エチレングリコール)およびシクロデキストリン、例えばアルキル化されたベータシクロデキストリンのようなものは、さらに適切な担体である。
【0046】
活性物質としてカンナビノイドキノンを含む本発明の医薬組成物は、以下の条件下の治療中で使用してもよい。例えば炎症、自己免疫疾患(例えば多発性硬化症)、また伝染病、特にバクテリア(グラム陽性またはグラム陰性のミコバクテリウムなど)のような病原菌や原虫類、菌類によって引き起こされた伝染病で使用しても良い。
【0047】
本発明の組成物は様々な方法で投与することができる。非限定的な例としては、組成物を静脈内へ入れ、あるいは充実性腫瘍の位置に隣接している体腔、例えば腹腔内へ入れ、またあるいは充実性腫瘍に隣接している箇所へ直接注入してもよい。静脈内投与は、例えば、リンパ系の白血病、リンパ腫および類似の多発性内臓悪性腫瘍の治療において有効である。
【0048】
好ましいルートとして、本発明の組成物は、腫瘍内か腹腔内の注入によって、腫物に近接した箇所での皮下あるいは皮内注射によって投与され得る。
【0049】
本発明の組成物はゼラチン・カプセルの形で供給し得る。活性物質は、前記カプセルに適する、より低い分子量のポリ(エチレングリコール)に溶解させることになろう。
【0050】
ここに記述されたキノンは、生体内で強力な抗腫瘍剤であることが分かった。実施例において示されるように、腫瘍細胞系の注入後に腫瘍が生じたヌードマウスは、HU−331の投与後に著しく腫瘍サイズが減少した。
【0051】
従って、別の実施形態としては、本発明は、悪性のあるいは非悪性の過剰増殖性の病気の治療方法に関し、カンナビノイドキノンの有効治療量、あるいはその薬剤組成での必要量の投与に関する。好ましいカンナビノイドキノンは化学式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)のうちの1つによって表わされるものである。以下に詳述するように、最も好ましいカンナビノイドキノンは、HU−331、HU−336、HU−345、HU−395およびHU−396であり、特にHU−331である。
【0052】
前記有効治療量、すなわち投薬量は、取り扱う疾病状態の重症度および反応性に依存し、数日から数か月まで続く処置経過における、あるいは治療が達成されるか、疾病状態の厳粛が認められるまでを考慮する。治療の有効量は様々な方法によって決定され得る。方法としては、量的構造活動関係(QSAR)方法あるいは分子モデリングの使用により、同属の動植物の性能および効能を予想する経験的な用量作用曲線の生成、また、薬学で使用されている他の方法がある。最適の服薬スケジュールも、患者の身体中の薬物蓄積を測定することから計算され得る。当業者は容易に、最適の投薬、投薬方法および繰り返し率を決定することができる。一般に、投薬は体重1kg当たり0.01μgから100gまでであり、毎日、毎週あるいは毎月一度投与し得る。当業者は、患者の活性物質に対する反応に基づいて、容易に投薬の繰り返し率を見積もることができる。
【0053】
本発明の処置方法で使用されるカンナビノイドキノンは、好ましくは本願発明者によって合成された組成物のうちの1つであり、すなわち、HU−331、HU−336、HU−345、HU−395およびHU−396である。
【0054】
本発明の方法によって治療され得る悪性の過剰増殖性あるいは増殖性の疾患は、例えば癌、リンパ腫、黒色腫、膠芽腫あるいは肉腫である。
【0055】
本明細書で使用した用語、「腫瘍」、「癌」および「悪性の過剰増殖性あるいは増殖性の疾患」はすべて、組織か器官の過形成に等しく関係がある。細胞組織がリンパ系あるいは免疫系の一部である場合、悪性細胞が、循環細胞の非充実性腫瘍を含んでいるかもしれない。他の組織あるいは器官の悪性腫瘍は充実性腫瘍を作るかもしれない。一般に、本発明の方法と同様に本発明の組成物も、非充実及び充実性腫瘍の治療で使用し得る。
【0056】
5つの組成物はすべて、ヒト癌細胞系の生体外での成長を抑制したが、性能は異なった。本発明のカンナビノイドキノンは、以前は実証されていなかった抗癌性を示した。
【0057】
実施例で示すように、最も有力な抗癌活性はHU−331(II)およびHU−395が示した。Rajiリンパ腫とJurkatリンパ腫の成長の50%抑制は、0.2μg/mlという低濃度のHU−331で得らた。一方、HT−29結腸癌、およびMCF−7の乳房状の癌細胞の成長を50%抑制するには、3.125μg/mlの濃度を要した(図5B)。HU−395は、0.2μg/mlの濃度でJurkat細胞増殖のほとんど60%を抑制を示した(図5D参照)。
【0058】
したがって、本発明は、過剰増殖性の病気、特に結腸癌、リンパ腫および乳癌の治療で使用され得るカンナビノイドキノン、好ましくはHU−331あるいはこれを含む組成物を提供する。
【0059】
HU−331は、ヌードマウスがHT−29結腸癌細胞の皮下接種を受けた実験中で、生体外だけでなく生体内でも特徴的な抗癌活性を示した(実験例3参照)。腫瘍を移植した範囲に腹腔内(i.p.)注入あるいは皮下(s.c.)注入した時、ホストに対する顕著な副作用を持たない濃度のHU−331の投与が、腫瘍細胞の成長を顕著に抑制した。
【0060】
したがって、ここに記述したカンナビノイドキノン(HU−331、HU−336、HU−345、HU−395およびHU−396)の主な利点は、医薬としての活性を示す濃度で、特に抗増殖性を示す濃度で、これらの組成物は、減量、あるいはいかなる有毒性の心臓効果のような測定可能な副作用を持たない。したがって、HU−331、HU−336、HU−345、HU−395およびHU−396は、抗腫瘍剤あるいは抗癌剤として使用され得る。
【0061】
従って、本発明は、前述の治療を必要とする患者のための明瞭な利点を含み、本発明に記述されたカンナビノイドキノンの使用を通じて、これまでの癌治療に代案を提供できる。
【0062】
他の実施例では、本発明は、炎症、自己免疫疾患(特に多発性硬化症)、伝染病、特に伝染性でバクテリア(グラム陽性およびグラム陰性菌を含むもの、ミコバクテリウムなど)のような病原菌、原虫類と菌類によって引き起こされる症状の治療のための方法を提供する。前記方法は、カンナビノイドキノンの治療に有効な量あるいは必要量のカンナビノイドキノン薬剤の処方を含む。好ましいカンナビノイドキノンは化学式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)のうちの1つによって表わされる。もっとも好ましいカンナビノイドキノンは、HU−331、HU−336、HU−345、HU−395およびHU−396である。
【0063】
もっとも重要なことは、ここに記述されたカンナビノイドは測定可能な向精神性を示さないことである。カンナビノイドキノンは、カンナビノイド受容器CB1およびCB2(15μM)に拘束することができなかった。比較のために、テトラヒドロカンナビオル(tetrahydrocannabiol)の結合定数は50nMである。
【0064】
ある種の実施例では、特に治療される増殖の病気が結腸癌である場合、HU−331は、本発明の治療方法使用されるカンナビノイドキノンである。またこの組成物は、リンパ腫および/または乳癌の治療のために好適である。
【0065】
実験例3に示すように、HU−336、HU−345およびHU−396は、それらの抗増殖活動を示すために高濃度が要求された。
【0066】
HU−336(IV)は、12.5μg/mlの濃度あるいはより高い濃度で、50%以上あるいはそれ以上のすべてのテスト細胞の成長を抑制した。SNB−19細胞の成長は、100μg/mlの濃度でのみHU−336によって抑制された。
【0067】
HU−345(6)はHU−336より有力な抗癌治療試薬であった。Rajiリンパ腫細胞成長は6.25のμg/mlの濃度で50%以上阻止されたが、その一方で、Jurkatリンパ腫細胞およびDU−145前立腺癌細胞は、12.5μg/mlの濃度で抑制された。HU−345は25.0μg/mlの濃度では、テスト細胞系はすべて抑制された。
【0068】
興味深いことに、SNB−19およびDU−145細胞系の成長は、HU−336およびHU−331よりもHU−345によってより有効に抑制された。
【0069】
したがって他の実施例では、特に治療すべき過剰増殖性の病気が前立腺癌または膠芽腫である場合は、HU−336および/またはHU−345が本発明の方法で使用される。
【0070】
他の形態では、本発明は、さらに薬剤組成の製剤用のカンナビノイドキノン、すなわち薬剤であって、カンナビノイドキノンが化学式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)のうちの任意の1つによって表わされるものの使用を提示する。好ましくは前記カンナビノイドキノンは、HU−331、HU−336、HU−345、HU−395およびHU−396のうちの1つである。もっとも好ましい前記カンナビノイドキノンはHU−331である。
【0071】
薬剤の組成は、炎症性で、伝染性あるいは自己免疫疾患のような疾患や、過剰増殖性疾患の治療に向くかもしれない。
【0072】
結局、本発明は、化学式(III)、(IV)及び(V)の組成物を提供する。
【化18】

【化19】

化学式(III)、(IV)の組成物は次のとおりである。
Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、
は任意に分岐したC−C10アルキルまたは任意に分岐したC−C10アルケニル基であり、前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基を指し、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基である。
【0073】
化学式(V)の組成物は、
【化20】

と表され、
Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は任意に2つアルキル群と置換できるメチレン群を示し、Rは最大5個までの炭素原子からなる置換基を伴い、
は任意に分岐したC−C10アルキル基または任意に分岐したC−C10アルニル基であり、前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基を指し、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものである。
【0074】
化学式(III)および(IV)の好ましい組成物は、3S,4R−p−ベンゾキノン−3−ヒドロキシ−2−[p−メンタン−1−エン−3−イル]−5−ペンティル(3S,4R−p−benzoquinone−3−hydroxy−2−[p−mentha−1−en−3−yl]−5−pentyl)、そして3S,4R−p−ベンゾキノン−3−ヒドロキシ−2−tp−メンタン−3−イル]−5−ペンティル(3S,4R−p−benzoquinone−3−hydroxy−2−tp−menthan−3−yl]−5−pentyl)であり、その化学式は、
【化21】

【化22】

であり、それぞれHU−395、HU−396と称される。
【0075】
化学式(V)の好ましい組成物は、1−H−ジベンゾ[b,d]ピラン−1,4(6H)−ジオン−6}659−トリメチル−3−ペンティル(1−H−dibenzo[b,d]pyran−1,4(6H)−dione−6}659−trimethyl−3−pentyl)であり、その化学式は、
【化23】

であり、HU−345と称される。
【0076】
カンナビノイドキノンの抗癌活性のメカニズムはまだ不明瞭である。しかしながら、キノンは細胞傷害に働くかもしれないということから多くのメカニズムが示唆された[Ollinger、K. and KagedaL, K.、(2002年)、Subcell Biochem.、36巻、151−170ページ]。これらは、トポイソメラーゼ、タンパク質損傷の抑制および脂質過酸化反応のレドックス・サイクリング、DNA損傷を含む。同様のメカニズムはアドリアマイシンとダウノルビシンの抗腫瘍効果を解決することで示された。それは30年以上充実性腫瘍の治療のための臨床の使用中であった[Gewirtz、D.A.(1999年)、Biochem Pharmacol.、57巻、727−741]。本研究は、カンナビノイドキノンが抗癌剤として高い開発の可能性を有することを明白に示すもので、それは、リンパ腫細胞だけでなく充実性腫瘍に対しても有効であり、望まれない結果はないかもしれない。
【0077】
要するに、本発明は、薬剤の組成中の活性物質として、カンナビノイドキノン、特にHU−331、HU−336、HU−345、HU−395およびHU−396の医学の使用に関する。したがって、本発明の組成物は、抗腫瘍剤として、あるいは抗癌剤として、それらの治療に使用され得る。さらに、本発明は3つの新規なカンナビノイドキノン、HU−345、HU−395およびHU−396について記述しており、それについても特許を請求している。
【0078】
本発明は請求の範囲によって定義され、明細の開示内容が含まれているように、それらの内容が読まれるべきである。
【0079】
この明細書に開示し、また記述した、特定の例、工程、およびここに示した材料に本発明が制限されていないことは理解されるであろう。工程と材料は多少変わり得る。また本明細書に使用する用語は、特別の具体例について記述する目的で使用され、本発明の範囲が、添付した請求の範囲および均等範囲によってのみ制限されことは意図していないことが理解されるであろう。
【0080】
本明細書および添付した請求の範囲中で使用されるように、単数形で示されるものには「1つの」(“a”、“an”及び“the”)が使用され、内容が明白に他の方法で書かれていなければ、複数形で示されるべきものを含む。
【0081】
本明細書、および請求の範囲を通して、もし文脈が他の方法を示していなければ、本願全体にわたって、「含む」という単語と、その変化形の用語は、一定の数あるいはステップ、あるいは他の一定の数かステップ群を意味するが、いかなる他の整数やステップ、あるいは整数あるいはステップ群を意味し得るものと了解されたい。
【0082】
以下に説明する実例は、本発明の形態を実施するのに本願発明者によって採用された技術を代表的に示すものである。これらの技術は、本発明の実施のための好ましい具体例に典型的なものである一方で、本開示に照らして、請求の範囲から外れずに、当業者が認識するであろう多数の修正をなすことができることが理解できよう。
【実施例】
【0083】
<実験手続き>
1.化学合成
化学的試薬はすべてシグマ・オールドリッチから購入した。有機溶媒はバイオ研究所から購入した。カンナビノイドは以前に記述したような大麻から抽出した[Gaoni、Y.及びMechoulam, R.、(1971年)、J. Amer. Chem. Soc.、93巻、217−224ページ]。
【0084】
1.1. 3S,4R−p−ベンゾキノン−3−ヒドロキシ−2−p−メンタン−(1,8)−ジエン−3−vl−5−ペンチル(3S,4R−p−Benzoquinone−3−hydroxy−2−p−mentha−(1,8)−dien−3−vl−5−pentyl:以下ではHU−331と言う)へのKOH水溶液を伴うカンナビジオール(CBD)の酸化
CBD(1g、3.18ミリモル))を、90mlの石油エーテル(40〜60°bp)に溶かし、またエタノール(10ml、8.77ミリモル)中に5%のKOH水溶液を含むものを加えた。反応混合物は3時間にわたって開いたビーカー中の0°Cにおいて撹拌し、その後に25mlの5%のHClを注いだ。有機質層は重炭酸ナトリウムと水で洗い、乾燥させた(MgSO)。減縮した圧力下の溶剤の除去はガラス質の油(1.08g)を産み出す。HU−331は、石油エーテル:エーテル(比95:5)のカラム・クロマトグラフィ上で溶出させた。ヘプタンからの結晶後に、211mgの大きな褐色の水晶(0.64ミリモル、20.2%収率)が得られた。
融点:50−51℃
MS(多量分光分析):328、313、311、237、204
HNMR: 2H(5.08ppm),3H(3.60ppm),4H(2.75ppm),5H(1.95ppm,2.07ppm),6H(1.67ppm,1.71ppm),7H(1.67ppm),9H(4.501ppm,4.442ppm),10H(1.546ppm),4’H(6.415ppm),1”H(2.306ppm),2”H(1.425ppm),3”H(1.263ppm),4”H(1.263ppm),5”H(0/849ppm),OH(d6−DMSO,10.396ppm)
[α]:−110°(エタノール,0.1%w/v)
【0085】
1.2. ΔTHCの6aR,10aR−1−H−ジベンゾ[b,d]ピラン−1,4−(6H)−ジオン−6aβ,7,10,10aα−テトラヒドロ−6,6,9−トリメチル−3−ペンチル(6aR,10aR−1−H−Dibenzo[b,d]pyran−1,4−(6H)−dione−6aβ,7,10,10aα−tetrahydro−6,6,9−trimethyl−3−pentyl、以下HU−336と言う)へのCuCl存在下での酸化
0.9mlのアセトニトリル(ACN)中にΔ−THC(104mg、0.33ミリモル)を含む溶液に、CuCl(5.5mg、0.056ミリモル)を加えた。50mlのエーテルを加えた後、空気の薄い流れを1.5時間にわたって混合物に通して泡立たせた。反応混合物をHOで洗浄した後、乾燥(MgSO)させ、濃縮した。得られた黄色っぽい色の油は、石油エーテル:エーテル(95:5)溶液を使用して、カラム・クロマトグラフィによって浄化した。HU−336(33mg、0.1ミリモル、30.5%の収率)は黄色の油として得られ、非常に薄い黄色の針を得るためにヘプタンから晶出させた。
融点:53〜54°C
MS:328,313,285,272,229,204.
HNMR:2H(6.3ppm)、6aH(1.61ppm)、7H(1.76ppm、2.06ppm)、8H(5.33ppm)、10H(2.92ppm、1.67ppm)、10aH(2.44ppm)、11H(1.62ppm)、12H(1.42ppm)、13H(1.08ppm)、1’H(2.31ppm)、2’H(1.438ppm)、3’H(1.27ppm)(4’H)(1.27ppm)、5’H(0.84ppm)
[α]:−231°(エタノール,0.22%w/v)
【0086】
1.3. ΔTHCのHU−336への2−[(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン(BTIB:bis−[(trifluoroacetoxy)iodo]benzene)存在下での酸化
ACN/HO(6:1、0.7ml)中のΔTHC(50.1mg、0.16ミリモル)溶液に、0.7mlのACN/HO(6:1)の中のBTIB(215mg、0.5ミリモル)の溶液を、滴下して加えた。反応混合物は室温で15分にわたり撹拌し、NaHCO飽和水溶液で中和し、ジエチルエーテルで抽出した。有機質層をHOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮した。カラム・クロマトグラフィによる浄化と晶出後、HU−336(16.75mg、0.051ミリモル、31.9%の収率)が得られた。
【0087】
1.4. CBNの1−H−ジベンゾ[b,d]ピラン−1.4(6H)−ジオン−6,6,9−トリメチル−3−ペンチル(1−H−Dibenzo[b,d]pyran−1.4(6H)−dione−6,6,9−trimethyl−3−pentyl:以下、HU−345と言う)の酸化
0.9mlのACN中のCBN(95mg、0.31ミリモル)溶液に、CuCl(10.8mg、0.11ミリモル)を加えた。50mlのエーテルを加えた後、空気の薄い流れを6時間にわたって混合物に通して泡立たせた。反応混合物をHOで洗浄した後、乾燥(MgSO)させ、濃縮させた。得られた赤い色の油は、石油エーテル:エーテル(93:7)溶液を使用して、カラム・クロマトグラフィによって浄化した。HU−345(15mg、0.046ミリモル、15%の収率)は赤い油として得られ、大きな赤い結晶を得るためにヘプタンから晶出させた。
融点:81〜82℃
MS:324,309,281,225,128
H NMR:2H(6.48ppm)、7H(7.08ppm)、8H(7.17ppm)、10H(8.19ppm)、11H(2.18ppm)、12H(1.7ppm)、13H(1.7ppm)、1’H(2.44ppm)、2’H(1.64ppm)、3’H(1.35ppm)、4’H(1.35ppm)、5’H(0.91ppm)
【0088】
1.5. BTIBを有するHU−345へのCBNの酸化
ACN/HO(6:1、0.7ml)中のCBN(50mg、0.16ミリモル)の溶液に、0.7mlのACN/HO(6:1)中のBTIB(215mg、0.5ミリモル)の溶液を、滴下して加えた。反応混合物は室温で15分にわたり撹拌し、NaHCO飽和水溶液で中和し、ジエチルエーテルで抽出し、有機質層をHOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮した。カラム・クロマトグラフィによる浄化と晶出後、HU−345(29.1mg、0.09ミリモル、56.1%の収率)が得らた。
融点:81〜82℃
MS:324,309,281,225,128
H NMR:2H(6.48ppm)、7H(7.08ppm)、8H(7.17ppm)、10H(8.19ppm)、11H(2.18ppm)、12H(1.7ppm)、13H(1.7ppm)、1’H(2.44ppm)、2’H(1.54ppm)、3’H(1.35ppm)、4’H(1.35ppm)、5’H(0.91ppm)
【0089】
1.6. HU−336のジアセタートへの還元性アセチル化
HU−336(16.9mg、0.052ミリモル)を、AcO(無水酢酸)(0.7ml)およびAcOH(酢酸)(0.7ml)の溶液に溶解させた。Zn(0.054g、0.83ミリモル)を加え、また混合は30分間還流状態下で沸騰させて行った。残留物をろ過し、ピリジン(2.2ml)を硝酸塩に加え、そして溶液は、室温かつN雰囲気の下で夜通し放置した。その後、溶液を氷で冷やした5%のHClへ注ぎ、有機質層をNaHCOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮した。得られた油(20mg)は、カラム・クロマトグラフィによって浄化した。ジアセタート(10mg、0.024ミリモル、46.5%の収率)は石油エーテル:エーテル(90:10)で溶出させた。
MS:414、372、330、287、262、247、209
H NMR:2H(6.44ppm)、6aH(1.75ppm)、7H(1.77ppm、2.1ppm)、8H(5.33ppm)、10H(1.36ppm、2.7ppm)、10aH(2.65ppm)、11H(1.68ppm)、12H(1.36ppm)、13H(1.08ppm)(アセテートH(2.27ppm、2.29ppm))
【0090】
1.7. BTIBを伴う8,9ジヒドロカンナビジオールの3S,4R−p−ベンゾキノン−3−ヒドロキシ−2−[p−メンタ−1−エン−3−yl](3S,4R−p−Benzoquinone−3−hydroxy−2−[p−mentha−1−en−3−yl]:以下、HU−395と言う)への酸化
アセトニトリル/H20(6:1、0.7ml)中の8,9ジヒドロカンナビジオール(既述のような植物性カンナビジオールから準備した[Gaoni、Y.およびMechoulam, R.(1969年)、Israel Journal of Chemistry、6巻;679−690ページ]:50.1mg、0.16ミリモル)。そして0.7mlのアセトニトリル/H2O(6:1)中のBTIB(215mg、0.5ミリモル)の溶液を滴下して加えた。反応混合物はNaHCO3飽和水溶液で中和し、15分間室温で撹拌し、ジエチルエーテルで抽出した。有機質層はHOで洗い、乾燥させ、濃縮した(MgSO)。カラム・クロマトグラフィによる浄化後に、8,9ジヒドロカンナビジオール−ヒドロキシキノン(8,9−dihydrocannabidiol−hydroxyquinone:HU−395)を12.3mg得た。
MS:330,315,287,273,247,231
HNMR:2H(5.21ppm),3H(3.82ppm),4H(2.21ppm),5H(1.95ppm,2.1Qppm),6H(1.69ppm,1.82ppm),7H(1.69ppm),4’H(6.25ppm),1”H(2.31ppm),2”H(1.43ppm),3”H(1.27ppm),4”H(1.27ppm)、5”H(0.92ppm)
【0091】
1.8. 2−[(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン(bis−[(trifluoroacetoxv)iodo]benzene:BTIB)による3S,4R−p−ベンゾキノン−3−ヒドロキシ−2−[p−メタン−3−イル]−5−ペンチル(3S,4R−p−benzoquinone−3−hydorxy−2−[p−methane−3−yl]−5−pentyl:以下ではHU−396と言う)への1、2、8、9テタルハイドロカンナビジオール(tetrahydrocannabinoidol)の酸化
アセトニトリル/H20(6:1、0.7ml)中の1,2,8,9テタルハイドロカンナビジオール(植物性カンナビジオールから調合した:50.0mg、0.15ミリモル)に0.7mlのアセトニトリル/HO(6:1)中のBTIB(215mg、0.5ミリモル)の溶液を滴下して加えた。反応混合物はNaHCO飽和水溶液で中和し、15分間室温で撹拌し、ジエチルエーテルで抽出した。有機質層はHOで洗い、乾燥させ、濃縮した(MgSO)。カラム・クロマトグラフィによる浄化後に、1,2,8,9テタルハイドロカンナビジオール−ヒドロキシキノン(1,2,8,9−tetrahydrocannabidiol−hydroxyquinone:HU−396)が12.3mg得られた。
MS:332,317,289,276,262,233,193
H NMR:3H(3.82ppm),4H(2.21ppm),5H(1.95ppm,2.10ppm),6H(1.69ppm,1.82ppm),7H(1.69ppm),4’H(6.25ppm),1”H(2.31ppm),2”H(1.43ppm),3”H(1.27ppm),4”H(1.27ppm),5”H(0.92ppm)
【0092】
2.生物学的評価
RajiとJurkatの細胞は、5%のCOを含む湿気中において、RPMI 1640溶媒中で懸濁し、20%の加熱不活性化したウシ胎仔血清(H−I FCS)、2mMのL−グルタミン、100U/mLのペニシリン、および0.01mg/mLのストレプトマイシンを37℃で補った。他の細胞系は、5%のCOを含む湿気中において、RPMI 1640溶媒中で懸濁し、10%のH−I FCS、2mMのL−グルタミン、100U/mLのペニシリンおよび0.01mg/mLのストレプトマイシンを37℃で補った。
【0093】
2.1.細胞増殖テスト
癌細胞の懸濁体の部分標本(200μL)は0.02x10細胞/ウエルの密度で、96−ウェルの組織培養プレートのウェルへ分注した。様々な含有濃度のカンナビノイドキノンをウェルへ導入した。そして、それらの効果は、3−(4,5−ジメチルチアゾル−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)を分析に使用して培養の開始から3日後までテストした。この分析の原理は、分析後に様々な合成物へ暴露して残存する細胞はMTTを減らして濃色のホルマザンにでき、死んだ細胞はそうすることができない、ということである。この分析は既述のように行なわれた[Carmichael、J等、(1987年)、Cancer Res.、47巻、936−942ページ;Rubinstein, L.V.等(1990年)、JNatl Cancer List.、82巻、1113−1118ページ;Rubnov, S.等(2001年)J Nat Prod.、64巻、993−996ページ参照]。細胞毒性物質のすべての濃度をテストした各MTT分析は、5マイクロプレートウェル中に5つ反復試験片を入れて行った。すべての細胞系を備えた分析は、2〜3つの実験の中で繰り返し実行した。様々な合成物の抑制効果は、媒介物(エタノール0.5%)を加えた未処置のウェル中で得られた値と比較した抑制割合として計算した。
【0094】
2.2.生体内での実験
腫瘍はヌードマウスへ移植したが、0.2x10HT−29細胞のFCSのないRPMI 1640溶媒中で、脇腹への皮下注射により行った。動物は、様々なグループに任意に割り当てられ、腹腔内(i.p.)へ注入した。注入は腹腔内へあるいは皮下へ行った。注入は、細胞注入後の2日あるいは14日後に、媒介物(1:1:18v/vエタノール:Emulphor(商標):PBS)あるいは5mg/kgのHU−331とした。腫瘍は外径をカリパスで測定した。また面積は長さに腫物の幅を掛けることにより計算さした。
【0095】
3.NMR分光学
NMRデータは、標準パルスシーケンスを使用し、VNMRソフトウェアで処理して、Varian Unity Inova(商標)500MHz及び600MHz分光計に集めた。
<例1>
化学
本願発明者は、アルコール溶液中のカンナビジオール(CBD)(I)の、24時間にわたり5%の水酸化カリウムが存在する状態でのアルコール溶液中での空気による酸化が、約5−10%の収率でのヒドロキシキノン2の生成に結びつくことを報告した[Mechoulam、R.等(1968年)、前出]。さて、本願発明者は反応状態に小さな変化を見いだした。それは、温度を0°Cへ低下させると20%まで収率が上がり、そして、3時間まで反応時間を減らした。反応時間が3時間になるとは、3時間後には出発原料が存在しなくなることである(図1)。ヒドロキシキノンはヘプタンから晶出させた。本願発明者は、キノン2が酸性条件下ではパラキノン4に環化されると以前に報告した[Mechoulam, R.等(1968)、前出]。しかしながら、4がオルトキノンであることを示唆した異なる報告[Hodjat−Kashani等(1986年)、Heterocycles、24巻、1973−1976ページ]がある。それは核オーバーハウザー効果(NOE)NMRデータを使用した構造配置に基づく(以下を参照)。確かに、3がオルトキノンならば、2もまたオルトキノンであろうう。それにもかかわらず、本願発明者はX線結晶学的技法により、2の構造はもともと提案されていたのものであることを確認した(データは不図示)。キノン2はコードネームHU−331(HUはヘブライ大学を意味する)である。
【0096】
メタ・クロロ過安息香酸を伴うΔテトラヒドロカンナビノール(THC)(III)の酸化も、低い収率で所望のキノンを得られることが、同様にもともと報告されていた[Mechoulam、R.等(1968年)、前出]。収率を改善するために、本願発明者は酸化剤BTIBで3を酸化させた。これは、前出のオリジナルな反応が行なわれた時には利用可能ではなかった。
【0097】
BTIBは、キニーネへのフェノールの酸化に最初に使用された[Tamura, Y.等(1989年)、Synthesis、126−127ページ]、そしてその後、キニーネへのフェノールの酸化用に広く用いられる試薬になった[Akai, S.、Kita, Y.(1998年)、Org Prep Procedures Inl、30巻、603−629ページ;Barret, R.、Daudon, M、(1990年)、Tetrahedron Letters、31巻、4871−4872ページ;Kato, N.等(1997年)、Synthesis、625−627ページ;Barret, R.、Daudon, M、(1990年)、Synth commun、20巻、2907−2912ページ参照]。Δ−THC(III)のBTIB酸化は所望のキノン4を30−35%の収率とすることに結びついた(図1)。この合成物はHU−336というコード名とされた。
【0098】
3の酸化の面白い特徴は、アセトニトリル中で塩化銅を使用すること(一般にはo−キノン[Capdevielle、P.及びMaumy, M.(1982年)、Tetrahedron Letters、23巻、1577−1580ページ]の生成に結びつく)により、BTIBが存在することで同じパラ−キノン4がほぼ同じ収率で得られることである。
【0099】
上述のように、本願発明者はもともとは4のためにパラ−キノン構造を提案した[Mechoulam、R.等(1968年)、前出]。一方、Hodjat−Kashani等はオルトキノンの構造を提案した[Hodjat−Kashani, H.等(1986年)、前出]。正確な構造を確立するために、詳細なNMR分析を行ない(下記参照)、もともと示唆されていたように、合成物4が確かにパラ−キノンであることを確認した。
【0100】
カンナビノール(CBN)(6)のキノンは、Δ−THC(IV)のキノンのように、60%までの収率で、BTIBとともに酸化によって合成した。構造はX線結晶学的に決定した(データは不図示)。合成物はHU−345というコード名とされた。
【0101】
<例2>
HU−336(IV)のNMR分析
1.プロトンスペクトルの割り当て
原子ラベル体系及びプロトンに加えたHU−336(IV)および炭素化学シフトの構造を、図2に示す。5’メチル基は、その結合(3H)、化学シフト(0.84ppm)および多様性(三連鎖)に基づいて割り当てた。メチレン基を含むグループ1’−4’は、COSY、GHSQC、TOCSYのスペクトルの分析から割り当てた。H2は、1’および2’まで強いNOESYクロス・ピーク、その化学シフト(6.30ppm)及びその多様性(1’までロング・レンジ・カップリングを示す1.36Hzの結合定数を備えた三連鎖)に基づいて割り当てた。H2共鳴の割り当ては2つのカルボニル化合物が互いにオルトかパラかどうかを判断することでは可能ではない(下記参照)。5.33ppmの広いピークはその化学シフトに基づいてH8に割り当てた。スピン系(H7、H6a、H10aおよびH10)の残りの共鳴点は、COSY、GHSQC、TOCSYのスペクトルの分析から割り当てた[再考のために、Reynolds, W. F.およびEnriquez, R. G.、(2002年)、J. Nat. Prod.、65巻、221−244ページ参照]。メチル基11は、COSYクロス・ピークに基づいてH8に、またNOESYクロス・ピークに基づいてH8とH10に割り当てた。メチル基12および13(1.08および1.42ppmで共鳴)を識別する試みは実施しなかった。
【0102】
2.炭素スペクトルの割り当て
プロトン化炭素は、直截にHSQGスペクトルの分析によって割り当てた。H10(2.92および1.67ppm)の2つの非等価なプロトンの割り当ては、同じ炭素共鳴(35.80ppm)へのそれらのクロス・ピークによって確認した。同様に、H7(2.06および1.76ppm)の2つの非等価なプロトンは、同じ炭素共鳴(27.35ppm)へのクロス・ピークによって確認した。Cは、HMBCスペクトルの中でクロス・ピークに基づいてH7、H1’そしてH2’に割り当てた。Cは、その低電界化学シフト(152.63ppm)とH1Oa(2.44ppm)に対するHMBCクロス・ピークに基づいて1.42ppmでメチル基に割り当てた。C、CおよびC5aはHMBCスペクトルの分析に基づいて割り当てた。2つのカルボニル化合物は182.62および187.63ppmに共鳴点を持っている。
【0103】
3.正確な構造の決定
前述の文献における矛盾する報告[Mechoulam, R.等(1968年)、前出;Hodjat−Kashani, H.等(1986年)、前出]にかんがみ、HU−336の正確な構造を決定するために、詳細なNMR研究を行なった。その終了ごろ、2方面からのアプローチを採用した:
a)HU−336に関する詳細な高電界NMR研究を行ない、2つのカルボニル基の正確なポジショニングを分類し、そして、
b)HU−336の2つのカルボニル基を化学的に還元し、次に、対応するアセテート(図4参照)を形成し、2つの追加的なメチル基を提供する
というものである。後者は、その後にNOE研究によって構造を決定することを支援するであろう。
【0104】
ロングレンジでのC−H相関性(2−4の契約)を実証するHMBC実験の結果は、6.30ppmのプロトンがC1’、C5a、および182.62のカルボニル化合物との強い相関性を持ち、CとCとより弱い相関性持つことを示した。強度およびHMBCクロスピークについての観測値さえが、単に2つの相互作用能する核を分離する結合の数の関数であるだけでなく、他の構造の要因(ねじれの角度および結合次数)に依存するので、該データは、本願発明者が構造を明白に決定することはできなかった。したがって、さらなる実験を炭素−炭素結合を決定するために行なった。1,1−適合パルスシーケンス[Kock, M.等(1996年)、Tetrahedron Letters、37巻、363−366ページ;Reif, B.等(1996年)、JMR A、118巻、282−285ページ]は、間接領域のC13の単一量子コヒーレンスを検出した。結果として生じるスペクトルは、2結合13C−1H相関性だけが得られる以外はH MBCのそれに似ている。図3中に示した6.30ppmの共鳴のクロスピークは、133.42ppmのプロトン化炭素がC(146.58ppm)、および187.63ppm.のカルボニル化合物に隣接していることを明白に実証している。この結果はパラ配置と単に一致しており、プロトン化炭素Cは、sp2炭素とカルボニル化合物炭素の間にある。さらにこの実験は、Cとしての187.63ppmでの13C共鳴の割り当てを確認した。構造が確かにオルトだった場合、プロトン化炭素(C)は、C(146.58ppm)およびC(152.63ppm)に対して相関性を持つであろう。また、カルボニル化合物炭素との相関性はないであろう。適切な実験の結果は、カルボニル基のポジショニングが確かにパラであることを疑問無く証明する。したがって、適切なスペクトルは本願発明者の先の1Hおよび13C割り当てをすべて確認した。
【0105】
HU−336(IV)がパラキノンであることを最終的に確実にするために、亜鉛と無水酢酸を伴った還元的アセチル化を行った。さらなる確認は、図4中に示したアセチル化されたアナログ7のNOESYスペクトルの分析から行える。2つのアセチル・メチル基は2.27および2.29ppmで共鳴する。2.27ppmのメチル基はC10(1.67ppm)に対してNOESYクロス・ピークを持ち、H2(6.30ppm)に対して強いクロスピークを持ち、したがって、CH(1)として割り当てた。2.29ppmのメチル基は1.08でメチル基に対してNOESYクロス・ピークを持ち、それはCH(4)グループであることを示唆する。オルトジオメトリでの構造のエネルギー最小化は、位置1および2のアセチルプロトンの位置12および13のメチルプロトンに対する最短距離が4.08オングストロームであることを明らかにした。これはNOESYスペクトルの中で弱いクロス・ピークを示し、一方、パラポジション中では、より強いNOEクロス・ピークに帰着することを予期して、距離は2.5〜3.2オングストロームである。
【0106】
Varian Inova(商標)600MHzの分光計上で測定された本データは、12メチル基および2’メチレン基を含むグループ用のプロトン共鳴がオーバーラップすることを示唆している。恐らく、化学シフト(それぞれ1.420および1.438ppm)の隣接は300MHzの分光計(5.4Hzの差)では適切に分光できず、H4とメチル基12の間のNOEのためのH7とH2’の間のNOEの観測ミスの原因になったかもしれない[Hodjat−Kashani, H.等(1986年)、前出]。
【0107】
<例3>
カンナビノイドキノンの生物学的活動
1.生体外の活動
カンナビノイドキノンが生体外の癌成長を抑制する能力は、以下のヒト癌細胞系で確認した。それらは、Raji(バーキットリンパ腫)、Jurkat(人間のT細胞リンパ腫)、SNB−19(膠芽腫)、MCF−7(乳癌)、DU−145(前立腺癌)、NC1H−226(肺癌)およびHT−29(結腸癌)である(図5A〜5E参照)。
【0108】
HU−331(2)は、テストされた7つのヒト癌細胞系すべての生体外の成長について抑制作用を示した(図5B)。HU−331による最も著しい抑制が、RajiおよびJurkatリンパ腫細胞についてのテストで見つかった。両方のリンパ腫の成長の約50%の抑制が、0.2μg/mlもの低いHU−331の濃度で得らた。1.56μg/mlの濃度では、80%以上リンパ腫の成長を抑制した。最も敏感な上皮癌細胞はHT−29(結腸癌)およびMCF−7(乳房状の癌)であった。3.125μg/mlの濃度では、HU−331は、これらの癌細胞系の成長を約50%抑制した。
【0109】
HU−345(6)は、Raji細胞の成長を、テストされた他の細胞系より有効に抑制した(図5C)。12.5〜25.0のμg/mlの濃度では、HU−345(6)は、Jurkat細胞及びテストした他のすべての細胞系の成長抑制に必要であった。
【0110】
HU−336(4)は、ヒト癌細胞系の成長を生体外で抑制するには最も能力が弱かったが(図5A)、12.5μg/mlの濃度では、すべての細胞タイプに同様の抑制作用を及ぼした。
【0111】
HU−395はHU−331と少なくとも同じ程度まであるいは少し有効にJurkat細胞増殖を抑制できた(図5D)。0.2μg/mlの濃度では、HU−395は、顕著に癌細胞の50%以上を殺す。
【0112】
HU−396は、Jurkat細胞増殖をHU−395およびHU−331ほど有効に抑制することができなかった。0.78μg/mlの濃度では、HU−396は癌細胞の約60%を殺すが、0.39μg/mlの濃度では殺せる細胞は約40%であった。
【0113】
面白いことに、HT−29およびMCF−7細胞系はHU−331(2)による抑制に最も弱かった。またSNB−19およびDU−145細胞系は、HU−336(4)およびHU−345(6)による抑制に最も弱かった。これがこれらの合成物の医薬としての影響力についての最初の報告であることに注目することが重要である。
【0114】
2.生体内の活動
一連の実験を、人間の腫瘍細胞の成長を生体内で抑制するHU−331の能力を決定するために実行した。ヌードマウスに、HT−29の人間の結腸癌細胞の皮下注入(s.c.)を行った。腫瘍細胞の管理後の様々な時間間隔で、マウスに腹腔内注入(i.p.)あるいは皮下注入(s.c.)を行った。1週当たり服量5mg/kgで3回のHU−331(2)の注入であった。この濃度は、生体外実験で使用される5μg/mlの濃度に匹敵し、HT−29癌細胞の約50%を殺した。服量5mg/kgのHU−331によるマウスの治療は、治療されたマウスの減量他いかなる顕著な悪影響をも引き起こさなかった。
【0115】
さらに、10匹のヌードマウスに皮下注入(s.c.)を行い、HT−29を注入し、2つのグループに分けた。腫瘍注入後に2日目から、1つのグループのマウスにはHU−331を腹腔内注入(i.p.)した。HU−331を注入したマウスの腫瘍のサイズは、担体処置対照マウスよりも、癌細胞注入(p<0.05、図6b参照)後の25日目で、著しく小さかった。癌細胞注入後の35日目では、扱われたグループ中の腫瘍は、対照体の腫瘍の半分であった。腫瘍のサイズの違いが非常に顕著だった(p<0.0029)(図6A〜6Bおよび図7A〜7B参照)。
【0116】
別の生体内の実験では、2グループのヌードマウスは、背中にHT−29癌細胞の皮下注入を受けた。HU−331(2)は、5μg/mlの濃度で皮下注入した(図6)。一つのグループ(グループ1)では、腫瘍細胞の注入の後の14日目からU−331を腫瘍内で管理した。別のグループ(グループ2)では、腫瘍細胞の注入の2日後に、HU−331を癌細胞を始めて注入した区域に皮下注入した。グループ2では、腫瘍注入の2日後にHU−331を受け入れたが、17〜25日後には、腫瘍サイズは、担体処置対照マウスよりも著しく小さく、腫瘍注入移植(p<0.05)後の59日目までにはより著しく小さく残るだけになった。腫瘍注入の14日後に腫瘍内にHU−331注入を受けたマウス(グループ1)では、HU−331の抗腫瘍効果が明らかになるまで長時間掛かった。治療対象のマウス中の腫瘍サイズは管理開始後の31日目から小さくなっていったが、この違いは癌細胞注入の後に45日目まで顕著ではなかった。細胞注入の45日後にからスタートしても、腫瘍のサイズは対照マウスよりも著しく小さかった(p<0.05)。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1A】カンナビノイドキノンの合成を示し、HU−331の合成を示す図である。
【図1B】HU−336の合成を示す図である。
【図1C】HU−345の合成を示す図である。
【図1D】HU−395の合成を示す図である。
【図1E】HU−396の合成を示す図である。
【図2A】HU−336のH NMRの構造を示す図である。
【図2B】HU−336の構造を示す図である。
【図3】適切なHU−336(2C)を示す図である。
【図4】HU−336の還元的アセチル化を示す図である。
【図5A】MTTテスト(カンナビノイドキノンによるヒト癌細胞系の抑制)を示し、生体外のヒト癌細胞系のHU−336抑制の度合いを示す図である。
【図5B】生体外のヒト癌細胞系のHU−331抑制抑制の度合いを示す図である。
【図5C】生体外のヒト癌細胞系のHU−345抑制抑制の度合いを示す図である。
【図5D】生体外のJurkat細胞増殖のHU−395による抑制の度合いを示す図である。
【図5E】生体外のJurkat細胞増殖のHU−396による抑制の度合いを示す図である。
【図6A】HT−29癌成長上のHU−331の生体内の活動の結果を示し、ヌードマウス中のHT−29結腸癌の成長に伴って腹腔内(i.p.)を経由したHU−331の影響を示す(6B)図である。
【図6B】皮下(s.c.)あるいは腫瘍内投与上のヌードマウス中のHT−29結腸癌の成長に対するHU−331の影響を示す図である。
【図7A】生体内の5mg/kgのHU−331(i.p。)の影響を示し、イン・シトゥー腫物をより大きく拡大した写真を示す図である。
【図7B】同じく腫瘍をより大きく拡大した写真を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性剤としてカンナビノイドキノンあるいはそのエナチオマを含む薬剤であって、前記カンナビノイドキノンは一般に化学式(I)
【化1】

で表され、
環Aは5−、6−あるいは7−員環からなる脂環式化合物あるいは芳香環であって、1〜3つの置換基を、任意に独立して任意に分岐したアルキル基、任意に分岐したC−Cのアルケニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと置き換えたものであり、
Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり;
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり;
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、またあるいはRは任意に分岐したアルキレン基を指し、原子Xからなる6員環ヘテロ環状化合物リングを形作るリングAに接続され、原子XおよびリングAの炭素原子3及び4が付されるキノン環の2つの炭素原子を含み、
は任意に分岐したC−C10アルキルまたは任意に分岐したC−C10アルケニル基であり、
前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
そしてさらに、少なくとも1つの薬学的に受容可能な添加物、希釈剤および/または担体を含む薬剤。
【請求項2】
請求項1の薬剤において、前記カンナビノイドキノンが化学式(II)で示される組成物であり、
【化2】

環Aはシクロヘキサン、シクロヘキセンあるいはベンゼン環であり、
Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、またあるいはRは任意に分岐したC−Cアルキレン基を指し、原子Xからなる6員環ヘテロ環状化合物リングを形作るリングAに接続され、原子XおよびリングAの炭素原子3及び4が付されるキノン環の2つの炭素原子を含み、
は任意に分岐したC−C10アルキルまたは任意に分岐したC−C10アルケニル基であり、
前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基を指し、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、そして、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基である薬剤。
【請求項3】
請求項1または2の薬剤において、カンナビノイドキノンは化学式(III)、(IV)または(V)の一つの混合物であり、
化学式(III)および(IV)の混合物の構造は下記の通りであり、
【化3】

【化4】

Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基である、
は水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、
は任意に分岐したC−C10アルキルまたは任意に分岐したC−C10アルケニル基であり、
前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基を指し、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、そして、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基である薬剤。
【請求項4】
請求項1または2の薬剤において、前記カンナビノイドキノンが化学式(V)の組成物であり、
【化5】

Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は任意に2つアルキル群と置換できるメチレン群を示し、ここで、Rは水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、
は任意に分岐したC−C10アルキル基または任意に分岐したC−C10アルニル基であり、
ここで、前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、そして、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基を指し、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものである薬剤。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかの薬剤において、Xは酸素、Rは水素、そしてRは2−プロピルまたは2−プロペニルである薬剤。
【請求項6】
請求項1、2、4のいずれかの薬剤において、Xはキノン環で2つの炭素原子を構成するピレン環を形成する酸素原子であり、それに対して、前記酸素原子が付着し、そして炭素原子3,4の環Aは、ピレン環は好ましくは2,2ジメチルに置換することが好ましいものである薬剤。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかの薬剤において、Rはメチルである薬剤。
【請求項8】
請求項1または2の薬剤において、前記カンナビノイドキノンは、3S,4R−p−ベンゾキノン−3−ヒドロキシ−2−p−メンタ(1,8)−ジエン−3−yl−5−ペンチル(3S,4R−p−benzoquinone−3−hydroxy−2−p−mentha−(1,8)−dien−3−yl−5−pentyl:HU−331と称する。)なる組成物である薬剤。
【請求項9】
請求項1または2の薬剤において、前記カンナビノイドキノンは、6aR,10aR−1−H−ジベンゾ[b,d]ピラン−1,4−(6H)−ジオン−6aβ,7,10,10aα−テトラヒドロ−6,6,9−トリメチル−3−ペンチル(6aR,10aR−1−H−dibenzo[b,d]pyran−1,4−(6H)−dione−6aβ,7,10510aα−tetrahydro−6,6,9−trimethyl−3−pentyl:HU−336と称する。)なる組成物である薬剤。
【請求項10】
請求項1、2または4の薬剤において、前記カンナビノイドキノンは、1−H−ジベンゾ[b,d]ピラン−1,4(6H)−ジオン−6,6,9−トリメチル−3−ペンチル(1−H−dibenzo[b,d]pyran−1,4(6H)−dione−6,6,9−trimethyl−3−pentyl:HU−345と称する。)なる組成物である薬剤。
【請求項11】
請求項1から3のいずれかの薬剤において、前記カンナビノイドキノンは、3S,4R−p−ベンゾキノン−3−ヒドロキシ−2−[p−メンタ−1−エン−3−イル]−5−ペンチル(3S,4R−p−benzoquinone−3−hydroxy−2−[p−mentha−1−en−3−yl]−5−pentyl:HU−395と称する。)なる組成物である薬剤。
【請求項12】
請求項1から3のいずれかの薬剤において、前記カンナビノイドキノンは、3S,4R−p−ベンゾキノン−3−ヒドロキシ−2−[p−メンタン−3−イル]−5−ペンチル(3S,4R−p−benzoquinone−3−hydroxy−2−[p−menthan−3−yl]−5−pentyl:HU−396と称する)なる組成物である薬剤。
【請求項13】
過剰増殖性の病気の治療に用いる前記請求項の任意の1つの構成を有する薬剤。
【請求項14】
請求項13の薬剤において、前記過剰増殖性障害は悪性あるいは非悪性の障害である薬剤。
【請求項15】
請求項13の薬剤において、前記過剰増殖性障害が癌、リンパ腫、黒色腫、膠芽腫および肉腫のうちの1つである薬剤。
【請求項16】
請求項14の薬剤において、前記非悪性の過剰増殖性障害が乾癬である薬剤。
【請求項17】
前記請求項のいずれかの薬剤において、腹腔内(i.p.)、皮下(s.c.)あるいは腫瘍内管理を行う薬剤。
【請求項18】
請求項1から12のいずれかの薬剤において、バクテリア、原虫類あるいは菌類によって引き起こされた炎症と伝染病から選ばれた疾病か状態の治療に用いる薬剤。
【請求項19】
請求項1から12のいずれかの薬剤において、自己免疫疾患の治療に用いる薬剤。
【請求項20】
前記請求項のいずれかの薬剤において、薬学的に受容可能な添加物、希釈剤および担体をさらに含む薬剤。
【請求項21】
請求項20の薬剤において、前記担体がエタノールEmulphor(商標)と1:1:18v/v比率のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)の混合物である薬剤。
【請求項22】
前記請求項のいずれかの薬剤において、前記活性剤は光学的に活性な異性体あるいはカンナビノイドキノンのラセミ混合物を含んでいる薬剤。
【請求項23】
化学式(I)で示すカンナビノイドキノンを使用する方法であって、
【化10】

環Aは5−、6−あるいは7−員環から成る脂環式化合物あるいは芳香環であって、1〜3つの置換基を、任意に独立して任意に分岐したアルキル基、任意に分岐したC−Cのアルケニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと置き換えたものであり、
Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、またあるいはRは任意に分岐したアルキレン基を指し、原子Xからなる6員環ヘテロ環状化合物リングを形作るリングAに接続され、原子XおよびリングAの炭素原子3及び4が付されるキノン環の2つの炭素原子を含み、
は任意に分岐したC−C10アルキルまたは任意に分岐したC−C10アルケニル基であり、前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るもの、あるいは任意の光学的に活性な異性体あるいはカンナビノイドキノンのラセミ混合物である使用方法。
【請求項24】
請求項23の使用方法において、前記カンナビノイドキノンが化学式(I)で示されるものであり、
【化11】

環Aはシクロヘキサン、シクロヘキセンあるいはベンゼン環であり、
Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、またあるいはRは任意に分岐したC1−C5アルキレン基を指し、原子Xからなる6員環ヘテロ環状化合物リングを形作るリングAに接続され、原子XおよびリングAの炭素原子3及び4が付されるキノン環の2つの炭素原子を含み、
は任意に分岐したC−C10アルキルまたは任意に分岐したC−C10アルケニル基であり、前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基を指し、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、そして、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基、あるいはRがアルキレン基である場合には水素である使用方法。
【請求項25】
請求項23または24の使用方法において、前記薬剤が抗癌剤である使用方法。
【請求項26】
請求項23または24の使用方法において、前記薬剤が、炎症性、伝染性自己免疫条件のうちの1つの治療のためのものである使用方法。
【請求項27】
請求項24から26のいずれかの使用方法において、前記カンナビノイドキノンがHU−331、HU−336、HU−345、HU−395、HU−396のうちの任意の1つである使用方法。
【請求項28】
請求項27の使用方法において、前記カンナビノイドキノンがHU−331である使用方法。
【請求項29】
カンナビノイドキノンを過剰増殖性疾患の治療に用いる使用方法。
【請求項30】
請求項29の使用方法において、前記カンナビノイドキノンがHU−331、HU−336、HU−345、HU−395、HU−396のうちの任意の1つである使用方法。
【請求項31】
請求項30の使用方法において、前記カンナビノイドキノンがHU−331である使用方法。
【請求項32】
請求項29から31のいずれかの使用方法において、前記過剰増殖性疾患が癌、リンパ腫、黒色腫、膠芽腫あるいは肉腫である使用方法。
【請求項33】
請求項32の使用方法において、前記過剰増殖性疾患が結腸癌、リンパ腫である使用方法。
【請求項34】
化学式(III)または(IV)で示される組成物であって、
【化12】

【化13】

Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基である、
は水素またはC−Cのアルキル基から任意に選択した置換基を示し、
は任意に分岐したC−C10アルキルまたは任意に分岐したC−C10アルケニル基であり、
前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基を指し、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基である組成物。
【請求項35】
請求項34の組成物であって、
HU−395
【化14】

HU−396またはHU−396
【化15】

という構造を有する組成物。
【請求項36】
化学式(V)の組成物であって、
【化16】

Xは酸素、窒素あるいは硫黄原子であり、
Xが酸素または硫黄である場合、pは0であり、Xが窒素である場合、pは1であり、
は水素またはC−Cのアルキル基であり、
は任意に2つアルキル群と置換できるメチレン群を示し、Rは最大5個までの炭素原子からなる置換基を伴い、
は任意に分岐したC−C10アルキル基または任意に分岐したC−C10アルニル基であり、
前記アルキル基またはアルケニル基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものであり、
は任意に分岐したC−Cアルキル基、あるいは任意に分岐したC−Cアルキニル基を指し、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨード)、硫黄酸化物、アミノまたはシアンと任意に置換し得るものである組成物。
【請求項37】
請求項36の組成物において、前記組成物がHU−345
【化17】

である組成物。
【請求項38】
請求項34から37のいずれかの組成物が、任意の光学的に活性な異性体あるいはラセミ混合物である組成物。


【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2007−517861(P2007−517861A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548582(P2006−548582)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000053
【国際公開番号】WO2005/067917
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(506243138)イッシム リサーチ デベロップメント カンパニー オブ ザ ヘブリュー ユニバーシティ オブ エルサレム (1)
【Fターム(参考)】