説明

カートンの開口逆折装置

【課題】カートンを開口した後に逆折りし得る開口逆折装置を簡素な構造のもとで提供する。
【解決手段】集積部6で扁平状に折り畳まれたカートン1を吸着部11が吸着保持した状態でガイド面14aの近傍を移動する過程で、カートン1の第2のパネルがガイド面14aから反力を受けることによりカートン1が開口し、該開口したカートン1の第3のパネルがガイド面14aから反力を受けることによりカートン1が逆折りされ、カートン1がその逆折り後に更に扁平状に折り畳まれた状態で反らされるため、カートン1の折り線のこしを折ることができる。従って、カートン1が移送手段7によって集積部6からカートン搬送手段15に移送されるまでの移送途中で、吸着部11が移動する移動軌跡13に対応してガイド面14aを配設するだけで、カートン1を逆折りした後に扁平状に折り畳んだ状態で反らして高速で綺麗に開口することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平状に折り畳まれたカートンを集積部から取り出して筒状に開口した後に逆折りするカートンの開口逆折装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扁平状に折り畳まれて集積されたカートンを集積部から1枚ずつ取り出して筒状に開口し、その開口状態のカートンを吸着保持して下流側に搬送する途上で、カートン内に開口部から物品を収容するカートナが知られている。扁平状に折り畳まれたカートンには各パネルの間に折り線が付与されているが、折り畳まれて扁平状となったカートンを筒状に開口する際にはカートンを元の扁平な状態に戻そうとする復元力が作用して開口が良好に行なえない場合がある。そのような問題への対応として、折り畳まれたカートンを開口した後に逆方向に折ってカートンの復元力を小さくするようにした装置が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平5−24015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された装置は、集積部から吸着保持して取り出した扁平状のカートンの後方角部をガイドに当接させて一旦開口したカートンを上方の突起付きコンベヤで押送する際に、下部ガイドとの隙間を通過させることでカートンを逆折りしている。このように、カートンを逆折りするために、突起付きコンベヤ等の装置を設けることは、開口逆折装置の大型化を招いてしまうといった難点が指摘される。
【0005】
本発明は、カートンを開口した後に逆折りする開口逆折装置を簡素な構造のもとで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係るカートンの開口逆折装置は、扁平状に折り畳まれたカートン1の第1のパネルP1を吸着手段の吸着部11で吸着保持して該カートン1を集積部6から取り出し、所定の曲線形状の移動軌跡13で該吸着部11を移動させて該カートン1をカートン搬送手段15に載置するカートン移送手段7と、該吸着部11の移動軌跡13に対向して湾曲したガイド面14aを備え、前記吸着部11で保持した前記カートン1の移送過程で、前記折り畳まれたカートン1の第1のパネルP1と同一平面内で隣接する第2のパネルP2を該ガイド面14aで案内して、該カートン1を開口すると共に、第2のパネルP2に隣接する第3のパネルP3を該ガイド面14aで案内して、該カートン1を逆折りする。
【0007】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明においては、前記吸着部11で保持した前記カートン1における第3のパネルP3を前記ガイド面14aで案内する際に、第2のパネルP2と第3のパネルP3が同一平面内で並ぶように該カートン1を逆折りして扁平状に折り畳んだ状態で、該第2のパネルP2と第3のパネルP3との間の折り線5のこしを折るよう該カートン1を凸状に反らすようにした。
【0008】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記ガイド面14aと前記吸着部11の移動軌跡13とが対向する領域における移動軌跡13は、前記吸着部11の移動方向に向けて、前記ガイド面14aとの隙間が徐々に狭くなるように設定されており、前記吸着部11が前進移動するに連れて、吸着部11が移動方向の前方に徐々に向く。
【0009】
請求項1〜3の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項4の発明において、前記吸着部11は、回転体9,10に対して等角度毎に、且つ、該回転体9,10の中心9aから同じ距離だけ離れた位置に夫々配設されており、各吸着部11は、それらの吸着部11の数より一つ多い数の円弧からなる前記移動軌跡13を移動する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、吸着部で保持したカートンの移送過程で、折り畳まれたカートンの第1のパネルと同一平面内で隣接する第2のパネルがガイド面から反力を受けることによりカートンが開口し、該開口したカートンの第2のパネルに隣接する第3のパネルがガイド面から反力を受けることにより、カートンが逆折りされる。即ち、カートンが移送手段によって集積部からカートン搬送手段に移送されるまでにガイド面を押圧すると、ガイド面から反力を受けるため、カートンの折り線のこしを折ることができる。このようにカートンが移送手段によって集積部からカートン搬送手段に移送されるまでの移送途中で、吸着部が移動する移動軌跡に対向してガイド面を配設するだけで、カートンを逆折りしてカートンの復元力を小さくすることができる開口逆折装置を簡素な構造のもとで提供することができる。
【0011】
請求項2の発明では、カートンを逆折りして扁平状に折り畳んだ後に更に反らすため、カートンの折り線のこしを更に折ることができる。
請求項3の発明では、吸着部の位置が吸着部の移動方向の前方側に移る程、ガイド面と移動軌跡との隙間が徐々に狭くなり、更に、吸着部が徐々に前記前方側に向くように構成されていることから、カートンがガイド面上を摺動する距離が増えてガイド面との角度を小刻みに変えながら移動するため、ガイド面からカートンへの反力の急変を抑え、カートンを折り線に沿って綺麗に開口してから逆折りすることができる。
【0012】
請求項4の発明では、吸着部が回転体に対して等角度毎に、且つ、該回転体の中心から同じ距離だけ離れた位置に夫々配設されており、各吸着部がそれらの吸着部の数より一つ多い数の円弧からなり、隣接する円弧同士を接続する位置が外方へ最も離れる移動軌跡を吸着部が移動することから、例えば、円弧同士を接続する位置の付近では、吸着部が該位置と移動軌跡の中心とを結ぶ径方向に移動する割合が高くなるため、円弧同士を接続する位置の付近に集積部を配設すると、吸着部によるカートンの径方向への移動割合が高くなって、カートンが集積部の内面を押圧する力が小さくなり、吸着部でカートンを確実に吸着保持して集積部から高速で取り出すことが可能になる。また、例えば、隣接する円弧同士を接続する位置の付近で、カートン搬送手段にカートンを載置するようにすると、逆折りした後に開口したカートンの径方向への移動割合が高くなるため、カートンを載置する位置のばらつきを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】カートンの開口逆折装置とカートン搬送手段とを示す略体図である。
【図2】(a)は開口されたカートンを示す斜視図であり、(b)は集積部で扁平状に折り畳まれたカートンを示す底面図であり、(c)は同じく正面図である。
【図3】吸着部の移動軌跡図である。
【図4】カートンの移動軌跡図である。
【図5】カートンの移動軌跡図である。
【図6】(a)〜(f)は夫々図5に示すカートンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すように、開口逆折装置は、本体パネル(不図示)の表側で、扁平状に折り畳まれたカートン1が積層された集積部6と、集積部6の下方に配設されて吸着部11により集積部6から取り出されたカートン1をカートン搬送手段15へ移送する移送手段7と、カートン搬送手段15へ移送中のカートン1を案内して開口した後に逆折りするガイド部材14とを備えている。
【0015】
図2(a)に示すように、開口状態のカートン1は、第1のパネルP1と第3のパネルP3を対向させると共に第2のパネルP2と第4のパネルP4を対向させてなる直方体形状の筒体2と、第1のパネルP1及び第3のパネルP3の長手方向両側端縁から夫々突出する第1のフラップ3と、第2のパネルP2及び第4のパネルP4の長手方向両側端縁から夫々突出する第2のフラップ4とを備えている。図2(b)(c)に示すカートン1は、図1に示す集積部6に収容される時に扁平状に折り畳まれた状態であり、第1のパネルP1と第2のパネルP2とが同一平面内で隣接して集積部6の下側に向けて配置されると共に、第3のパネルP3と第4のパネルP4とが同一平面内で隣接して集積部6の上側に向けて配置される。カートン1にはカートン1を開口する際に各パネルP1〜P4の形状が同じになるように折り線5が施され、折り線5を境に各パネルP1〜P4が形成される。
【0016】
扁平状に折り畳まれたカートン1は、集積部6の両側板6a間で上下方向へ積層され、取出口6bに位置する最下のカートン1の第1のパネルP1及び第2のパネルP2が両側板6aに形成された周知の爪(不図示)により係止される。
【0017】
前記移送手段7は、モータ等からなる駆動手段(不図示)から駆動を得た駆動伝達機構(不図示)によって、湾曲した所定の軌跡で吸着部11がカートン1を移動させて、該カートン1をカートン搬送手段15に載置するものであり、以下のように構成されている。
【0018】
駆動伝達機構(不図示)は、特許3095770号公報に示された遊星歯車機構(不図示)と作動原理が略同じ遊星歯車機構(不図示)を備えている。該駆動伝達機構(不図示)は、駆動手段(不図示)に駆動連結され、駆動を得ると、カバー8と共に中心8aを基点に矢印の時計回りに回転しながら、中心8aから偏心した位置で、駆動伝達機構に連結された中空筒状の中空シャフト9を矢印の反時計回り(逆向き)に回転させる。中空シャフト9の先端には中空シャフト9の中心9aを基点に120度の等角度毎に腕10が配設されている。各腕10は中空シャフト9の中心9aから同じ距離だけ外周に延設され、各腕10の先端には吸着部11が取着されている。吸着手段(不図示)において、各吸着部11にはエア供給チューブ12が接続され、エア供給チューブ12は、中空シャフト9内を介して駆動伝達機構の内部を通り、開口逆折装置の本体パネル(不図示)の裏側に配設されたエア供排切替手段(不図示)に接続され、該エア供排切替手段によりエアの供排が吸着部11毎に行われるようになっている。
【0019】
本実施形態では、中空シャフト9及び腕10からなる回転体が、中心8aを基点に、吸着部11の配設数と同じ数である3回だけ公転する間に、中心9aを基点に1回自転するように遊星歯車機構(不図示)の回転比が設定されている。
【0020】
従って、各吸着部11の移動軌跡13は、図1に示すように、集積部6におけるカートン取出位置から中心8aを基点に90度間隔で中心8a側に凸状となる同形の円弧になり、各円弧が中心8aに対し最も離れた位置A1,A2,A3,A4で隣接する円弧に繋がり、また、各位置A1,A2,A3,A4に到達する直前の位置B1,B2,B3,B4で隣接する円弧と交差する凹凸を有する曲線形状の軌跡となる。
【0021】
吸着部11の中央が移動軌跡13に沿って移動すると、吸着部11は各円弧の区間内でその移動方向の前方側に向きを変えながら移動する(図3参照)。吸着部11が前記集積部6で位置A1に到達する直前にエア停止状態からエア吸引状態に切り替えられ、吸着部11が前記カートン搬送手段15で位置A3に到達した際にエアの吸引を停止してエアを排出するように切り替えられる。位置A3におけるエアの排出は、開口したカートン1を吸着部11から切り離すために瞬間的に行われ、その後は位置A4を経由して位置A1に到達する直前までエアの吸引及び排出は行われない。
【0022】
位置A2と位置A3との間の移動軌跡13の近傍には前記ガイド部材14が設置されている。ガイド部材14は、その近傍の移動軌跡13より曲率が大きく、移動軌跡13側に凸状に形成された湾曲面であるガイド面14aを有している。ガイド面14aは、そのガイド面14a上を摺動するカートン1とガイド面14aとの角度を小刻みに変えることでカートン1を綺麗に開口するために、位置A2側に近い位置に配設されると共に、ガイド面14aと移動軌跡13とが対向する領域では、移動軌跡13までの隙間が吸着部11の移動方向に向けて徐々に狭くなるように配設されている。
【0023】
吸着部11は、図3に示すように、各円弧に沿って移動し、各円弧において吸着部11が前進移動するに連れて吸着部11の移動方向の前方に徐々に向くことから、吸着部11が第1のパネルP1を吸着してカートン1を取り出す際に、吸着部11が集積部6内のカートン1を上方に押し上げる方向(上下方向)の移動量が横方向の移動量より大きくなる位置で、第1のパネルP1に吸着するように、集積部6と移動軌跡13の相対位置が定められている。
【0024】
また、移動軌跡13の各円弧は、位置A1,A2,A3,A4に到達する直前の位置B1,B2,B3,B4で、隣接する円弧と交差する軌跡であることから、吸着部11が第1のパネルP1を吸着してカートン1を取り出す際に、吸着部11が集積部6内でカートン1を傾斜させて下方に引き、集積部6内の爪(不図示)による係止を図4の箇所Rで解除し得るように、集積部6と移動軌跡13の相対位置が定められている。
【0025】
集積部6から取り出されたカートン1は、第1のパネルP1が吸着部11に吸着保持されているため、吸着部11と同様に傾斜角を徐々に変化させながら位置A2に扁平な状態のまま移動する(図4参照)。
【0026】
図5及び図6(a)に示すように扁平状に折り畳まれたカートン1が位置A2に到達した後に、吸着部11が第1のパネルP1を吸着した状態でカートン1が円弧に沿って移動し始め、以下(1)〜(6)のようにカートン1が折り込まれる。
【0027】
(1) 第2のパネルP2と第3のパネルP3の間の折り線5の付近で第2のパネルP2側が、ガイド面14aに当接し、ガイド面14aから反力を受けながら、ガイド面14aによって案内されることから、カートン1が開口され始める(図5の位置イ、図6(b)参照)。
【0028】
(2) 第1のパネルP1と第2のパネルP2との間の角度、及び、第2のパネルP2と第3のパネルP3との間の角度がいずれも略直角に開口する(図5の位置ロ、図6(c)参照)。
【0029】
(3) 上記(2)を過ぎると、第2のパネルP2と第3のパネルP3との間の角度が直角より大きくなり、カートン1が逆折りされ始める。
(4) 第2のパネルP2と第3のパネルP3の間の折り線5の付近で第3のパネルP3側が、ガイド面14aによって案内されるように変化し(図5の位置ハ、図6(d)参照)、更に、第2のパネルP2と第3のパネルP3が同一平面内で隣接して並ぶように、同じ向きにカートン1の逆折りが継続される。
【0030】
(5) 第2のパネルP2と第3のパネルP3を同一平面内で隣接して並べた状態から、第2のパネルP2と第3のパネルP3との間の折り線5のこしを折るようカートン1を凸状に反らすように更にカートン1が逆折りされる(図5の位置ニ、図6(e)参照)。
【0031】
(6) その後、第3のパネルP3がガイド面14aから離れるに従い、折り線5の復元力(集積部6から取り出した初期の形態に復帰する方向の力)で、カートン1は略直方体形状に開口された筒体2となる(図6(f)参照)。
【0032】
上記(6)における逆折りによって、筒体2は折り線5のこしが更に折られた状態で開口されているため、この時点における折り線5の復元力は、図5の位置ロ及び図6(c)における折り線5の復元力より遥かに小さくなっていることから、カートン1の開口状態が維持される。
【0033】
このように開口されたカートン1は、図1に示す移動軌跡13の位置A3で、その下方に配設されたカートン搬送手段15に受け渡される。
位置A3の付近では、集積部6における吸着部11の動きと同様に、吸着部11がカートン1を下方に動かす割合が増え、横方向に動かす割合が減るので、高速でカートン1を移送する際でもカートン1に作用する遠心力を抑えた状態で、カートン搬送手段15の所定の位置にカートン1が的確に載置される。
【0034】
カートン搬送手段15は、位置A3でカートン1が載置されるコンベヤ16と、その下流のコンベヤ17によって構成されている。コンべヤ16は、傾斜する搬送面を構成する無端状のベルト16aの外周に所定間隔毎に配設された仕切り部材16bの前方にカートン1を載置して下流側に移送する途中で、ベルト16aの両側に配設されたサイドガイド16cの下方に、第3のパネルP3から突出する第1のフラップ3を夫々潜り込ませてカートン1の浮き上がりを防ぎながら、カートン1を下流側のコンベヤ17に向けて移送し、コンべヤ17に受け渡す。
【0035】
コンベヤ16からコンベヤ17にカートン1を受け渡す際には、カートン1の前後を仕切り部材17bが挟み、以後は、仕切り部材17bがカートン1を挟んだ状態でカートン1を搬送するため、カートン1の開口状態が維持される。
【0036】
本実施形態は下記の効果を有する。
* 集積部6で扁平状に折り畳まれたカートン1を吸着部11が吸着保持した状態でガイド面14aの近傍を移動する過程で、カートン1の第2のパネルP2がガイド面14aから反力を受けることによりカートン1が開口し、該開口したカートン1の第3のパネルP3がガイド面14aから反力を受けることによりカートン1が逆折りされ、その逆折り後に更に扁平状に折り畳まれた状態で反らされるため、カートン1の折り線5のこしを折ることができ、逆折り後にカートン1を開口させた際に、逆折り前にカートン1を開口させた時と比べてカートン1の復元力を小さくすることができる。
【0037】
また、カートン1が移送手段7によって集積部6からカートン搬送手段15に移送されるまでの移送途中に、吸着部11の移動軌跡13に対向してガイド面14aを配設するだけで、カートン1を逆折りした後に扁平状に折り畳んだ状態で反らして綺麗に開口することができると共に、高速処理が可能な開口逆折装置を簡素に構成することができる。
【0038】
* ガイド面14aと移動軌跡13が同じ向きに突出するように湾曲し、吸着部11の位置が吸着部11の移動方向の前方側に移る程、ガイド面14aと移動軌跡13との隙間が狭くなり、更に、吸着部11が徐々に該前方側に向くように構成されていることから、カートン1がガイド面14a上を摺動する距離が増えてガイド面14aとの角度を小刻みに変えながら移動するため、ガイド面14aからカートン1への反力の急変を抑え、カートン1を綺麗に開口してから逆折りして扁平状にすることができる。
【0039】
* 中空シャフト9及び腕10からなる回転体が回転体の中心9aを基点に等角度毎に且つ中心9aから同じ距離だけ離れて配設された吸着部11の配設数と同じ数だけ公転する間に、該公転向きとは逆向きに1回自転するように回転比が設定されている。そのため、湾曲した移動軌跡13は、吸着部11の配設数より一つ数の多い同形の円弧が夫々公転の中心8a側に凸となるように繋がった湾曲線となり、隣接する円弧と接続する位置A1,A2,A3,A4が夫々公転の中心8aから最も離れることになる。
【0040】
例えば、移動軌跡13の位置A1〜A4の付近では、吸着部11が各位置A1〜A4と中心8aを結ぶ径方向に移動する割合が高くなるため、このような移動軌跡13を利用して、集積部6を移動軌跡13の位置A1の付近に配設すると、吸着部11によるカートン1の上下方向(径方向)の移動量が横方向の移動量より大きくなり、カートン1が集積部6の内面を押圧する力が小さくなり、吸着部11でカートン1を確実に吸着保持して集積部6から高速で取り出すことが可能になる。
【0041】
また、例えば、隣接する円弧同士を接続する位置A3の付近で、カートン搬送手段15にカートン1を載置するようにすると、逆折りした後に開口したカートン1の上下方向の移動量が横方向の移動量より大きくなり、カートン1を載置する位置のばらつきを減らすことができる。
【0042】
* 集積部6の付近では、吸着部11が位置B1を通って位置A1に至った後に再び同じ位置B1を通るように移動し、カートン1を押し上げてそれらのカートン1の中で最も下方位置に置かれたカートン1を僅かに傾かせることから、最も下方位置に置かれたカートン1のパネルP3,P4と、その上方のカートン1との間の負圧を小さくすることができると共に、集積部6内でカートン1が爪(不図示)から外れ易くなる。従って、吸着部11でカートン1を確実に吸着保持して集積部6から高速で取り出すことが可能になる。
【0043】
* 逆折りする際に、開口した状態のカートンを吸着部から切り離して載置すると、カートンには扁平な状態に戻ろうとする復元力が作用し、カートンの開口状態にばらつきが生じることが知られている。この開口状態のばらつきは、逆折りの際に、カートンを損傷してしまう要因等になり得ることから、従来、その対策として、例えば、逆折りする前に、爪等でカートンを抑えてカートンの開口状態を均一にしたり、或いは、逆折り直前まで、吸着部がカートンを吸着保持し続けながら受け渡すことが構じられていた。しかし、前者の対策は、開口逆折装置が複雑になって大型化を招き、後者の対策は、逆折りのタイミングに吸着部の動きを同期させる必要があるため、吸着部の動きを停止させることなく高速でカートンを開口して逆折りする際の技術的な制約等が発生し得る。本実施形態の開口逆折装置においては、吸着部11がカートン1を開口してから逆折りするまでの間、カートン1を吸着保持しているので、カートン1の折り線5のこしをばらつきなく折ることができ、また、高速処理にも適している。
【0044】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 本実施形態では、吸着部11が位置A2と位置A3との間を移動する際、その近傍に配置されたガイド面14aで第2のパネルP2を案内してカートン1を開口した後、該ガイド面14aで第3のパネルP3を案内し、カートン1を逆折りして扁平状にするように構成したが、第2のパネルP2或いは第3のパネルP3を該ガイド面14aで案内する際、例えば、ガイド面14aを移動軌跡13に対し回動させたり接近離間させたりしてガイド面14aと移動軌跡13との距離等を変化させて、カートン1を開口したり或いは逆折りして扁平状にしてもよい。
【0045】
・ 本実施形態では、吸着部11が位置A2と位置A3との間にガイド面14aを配設したが、位置A1と位置A2との間の移動軌跡13の近傍にガイド面を配置して、カートン1を開口した後に逆折りし、該カートン1を位置A2でカートン搬送手段に載置してもよい。
【0046】
・ 集積部を位置A2に配設し、ガイド面14aで開口した後に逆折りしたカートン1を位置A3でカートン搬送手段15に載置してもよい。
・ 本実施形態では、回転体の腕10に吸着部11を配設して中心9aに対し等距離の位置で且つ中心9aを基点に120度の等角度毎の位置に吸着部11を三つ均等に配設したが、吸着部11の配設数は一つでも三つ以外の複数でもよい。
【0047】
・ カートン搬送手段15としては、無端状のベルトコンベヤに限定されない。例えば、ローラコンベヤやロボットアーム等でカートンを掴んで移送する等の方法も採用可能である。
【0048】
・ 吸着部11の形状は、種々な形を採用すればよく、分離して構成されてなる吸着部であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…カートン、P1…第1のパネル、P2…第2のパネル、P3…第3のパネル、6…カートンの集積部、7…カートンの移送手段、8a…中心、9…回転体の中空シャフト、9a…中心、10…回転体の腕、11…吸着部、13…移動軌跡、14a…ガイド面、15…カートン搬送手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平状に折り畳まれたカートンの第1のパネルを吸着手段の吸着部で吸着保持して該カートンを集積部から取り出し、所定の曲線形状の移動軌跡で該吸着部を移動させて該カートンをカートン搬送手段に載置する移送手段と、該吸着部の移動軌跡に対向して湾曲したガイド面を備え、
前記吸着部で保持した前記カートンの移送過程で、前記折り畳まれたカートンの第1のパネルと同一平面内で隣接する第2のパネルを該ガイド面で案内して、該カートンを開口すると共に、第2のパネルに隣接する第3のパネルを該ガイド面で案内して、該カートンを逆折りすることを特徴とするカートンの開口逆折装置。
【請求項2】
前記吸着部で保持した前記カートンにおける第3のパネルを前記ガイド面で案内する際に、第2のパネルと第3のパネルが同一平面内で並ぶように該カートンを逆折りして扁平状に折り畳んだ状態で、該第2のパネルと第3のパネルとの間の折り線のこしを折るよう該カートンを凸状に反らすようにしたことを特徴とする請求項1に記載のカートンの開口逆折装置。
【請求項3】
前記ガイド面と前記吸着部の移動軌跡とが対向する領域における移動軌跡は、前記吸着部の移動方向に向けて、前記ガイド面との隙間が徐々に狭くなるように設定されており、前記吸着部が前進移動するに連れて、吸着部が移動方向の前方に徐々に向くことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカートンの開口逆折装置。
【請求項4】
前記吸着部は、回転体に対して等角度毎に、且つ、該回転体の中心から同じ距離だけ離れた位置に夫々配設されており、各吸着部は、それらの吸着部の数より一つ多い数の円弧からなる前記移動軌跡を移動することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載のカートンの開口逆折装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−131896(P2011−131896A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290595(P2009−290595)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】