説明

カートン処理装置

【課題】 印字ヘッドの異物付着による印字不良を防止できるカートン処理装置を提供する。
【解決手段】本発明のカートン処理装置1はカートン2をシートから組み立てて接着剤で接着するカートン組立ユニット3と、カートン2を次工程に搬送する搬送路5と、カートンの表面に印字する印字ユニット7とを備え、カートン組立ユニット3と印字ユニット7との間にはカートン表面に付着した異物を除去するクリーニングユニット9を備えており、クリーニングユニット9は回転ブラシによりカートン表面に接触して異物を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを組み立てて接着剤で糊付けしたカートンを印字するカートン処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シート状に展開してあるカートンを組み立てた後、カートンに印字することが開示されている。
【0003】
一方、ビールの製造工場において、缶ビールはダンボール製のカートンに収納されて出荷するが、出荷直前にカートンの側面に所定の事項、例えば、製造年月日、賞味期限等を印字している。
【0004】
【特許文献1】特開平9−207919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、カートンの組み立てにおいて、カートンの組み立てに用いた接着剤が糸を引いてしまったり、カートンに段ボール粉が付着してしまうことがある。
【0006】
このように、接着剤が引いた糸や段ボールの紙粉がカートン表面に残ると、これらの接着剤や紙粉が、次の印字工程において印字ヘッドに付着して、印字不良の原因になるという問題がある。このため、従来は定期的にカートン処理装置を停止して、印字ヘッドを清掃していたため、カートン処理装置の運転作業が煩雑で運転効率が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、印字ヘッドの異物付着による印字不良を防止できるカートン処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、カートンをシートから組み立てて接着剤で接着するカートン組立ユニットと、カートンを次工程に搬送する搬送路と、カートンの表面に印字する印字ユニットとを備え、カートン組立ユニットと印字ユニットとの間にはカートン表面に付着した異物を除去するクリーニングユニットを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、クリーニングユニットはカートン表面に接触する回転ブラシを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、カートンは紙製であり、組み立ユニットは、カートン上面の搬送方向後端部における折り重ね部及び側面の折り重ね部のそれぞれにホットメルトガンにより接着剤を付していることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載の発明において、回転ブラシは、カートンの上面に接触する上側回転ブラシと、搬送方向に沿う側面に接触する側面回転ブラシとの少なくとも2箇所設けてあることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載された発明は、請求項4に記載の発明において、側面回転ブラシは、カートン表面との接触面において、カートンの搬送方向と反対に向けて回転することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載された発明は、請求項5に記載の発明において、上側回転ブラシは、カートン表面との接触面において、搬送方向と同方向に向けて回転することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載された発明は、請求項6に記載の発明において、上側回転ブラシは、カートン表面との接触面における線速度が、カートンの搬送速度よりも速いことを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載された発明は、請求項7に記載の発明において、回転ブラシのブラシ毛には、帯電防止材及び研磨材が混入してあることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載された発明は、請求項8に記載の発明において、クリーニングユニットには、カートンの入口側にカートン検知センサを備え、カートン検知センサの検知信号を受けて各回転ブラシが駆動し、センサが所定時間カートンを検知しない場合には各回転ブラシが駆動を停止し、センサが所定時間連続してカートンを検知し続けると各回転ブラシの駆動が停止することを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載された発明は、請求項9に記載の発明において、上側回転ブラシ及び側面回転ブラシの各回転ブラシはそれぞれに設けたモータにより駆動し、各駆動モータは個別に回転速度を調整可能としてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、印字工程の手前において、クリーニングユニットがカートン表面の異物を除去しているので、印字ユニットにより印字を行った際に、印字ヘッドに異物が付着するのを防止できる。これにより、異物付着による印字不良を防止できると共に、印字ヘッドのメンテナンス回数を大幅に低減でき、運転効率が良い。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載された発明と同様の効果が得られると共に、クリーニングユニットは回転ブラシの接触によりカートン表面の異物を除去しているので、簡易な構成であり、しかもカートン表面が傷付き難い。
【0020】
請求項3に記載された発明によれば、請求項2に記載された発明と同様の効果が得られるとともに、紙製のカートンではシートからカートンを組み立てるときに紙粉が発生し易く、ホットメルトガンによる接着剤の付与では特に接着剤が糸を引きやすいので、これらにより発生したカートン表面の異物、即ち紙粉や糸を引いた接着剤の除去が有効にできる。
【0021】
請求項4に記載された発明によれば、請求項3に記載された発明と同様の効果を得られるとともに、印字面のみならずカートン表面全体における異物を除去するから、例えば、上面における接着剤が糸を引いて側面になびいて印字ヘッドに付着することも防止できるから、印字ヘッドの異物付着を確実に防止できる。
【0022】
請求項5に記載された発明によれば、請求項4に記載された発明と同様の効果が得られるとともに、カートン搬送方向と逆方向に側面回転ブラシを回転させることにより、ブラシを強くカートン表面に当てることができ、効率良く側面に付着した異物を除去できる。
【0023】
請求項6に記載された発明によれば、請求項5に記載された発明と同様の効果が得られるとともに、上側回転ブラシは搬送方向と同方向に回転させることにより、搬送方向後端部にブラシが接触でき、後端部に付与された接着剤が引く糸を除去できる。
【0024】
請求項7に記載された発明によれば、請求項6に記載された発明と同様の効果が得られるとともに、上側回転ブラシの線速度が搬送速度よりも速いので、上面及び後端にブラシを擦ることができ、後端から糸を引いた接着剤を有効に除去ができる。
【0025】
請求項8に記載された発明によれば、請求項7に記載された発明と同様の効果が得られるとともに、帯電防止材により表面に静電気が発生し難く或いは発生した静電気を除去して、印字ヘッドとの間における電気的弊害、例えば静電気によりインクが付き難い等の弊害を防止できる。また、研磨材を混入することより、カートン表面に付着した異物を有効に除去できる。
【0026】
請求項9に記載された発明によれば、請求項8に記載された発明と同様の効果が得られると共に、センサが所定時間カートンを検知しない場合はカートンがない場合であり、所定時間カートンを検知しつづけた場合はカートンが搬送路上を略止まっているので、カートンに長時間ブラシを接触させ続けるとカートンが損傷するおそれがある。そこで、所定時間カートンを検知しつ続けた場合に各回転ブラシの駆動を停止することによってかかる損傷を防止できると共に、エネルギーの浪費を防止できる。
【0027】
請求項10に記載された発明によれば、請求項9に記載された発明と同様の効果が得られるとともに、各回転ブラシ毎に回転速度が調整可能であるから、上面と側面との各面における紙粉の付着状態や接着剤の糸を引きやすくなっている箇所等、各面の状態に合わせてブラシの回転が調整できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係るカートン処理装置におけるクリーニングユニットを概略的に示す斜視図であり、図2はクリーニングユニットの側面図であり、図3はクリーニングユニットの平面図であり、図4はカートン処理装置の概略構成図であり、図5は制御部の回路図である。
【0029】
本発明の実施の形態に係るカートン処理装置1は、カートン組立ユニット3と、搬送路5と、搬送路の途中に設けた印字ユニット7とがこの順序で設けてあり、カートン組み立ユニット3と印字ユニット7との間にはクリーニングユニット9が配置されている。
【0030】
カートン組立ユニット3は、段ボールシートを折り畳んで、折り畳んだ折り重なり部にホットメルトガンから接着剤を付与して、カートン2を組み立てる。このカートン2の組み立て途中で缶ビールをカートン2内に装填し、缶ビールを装填したカートン2を排出する。
【0031】
カートン2は段ボール(紙製)であり、組み立ユニットは、カートン2の上面2aにおける搬送方向後端部2bの折り重ね部と、側面2cの折り重ね部のそれぞれにホットメルトガンにより接着剤を付している。
【0032】
クリーニングユニット9は、回転軸を水平方向に配置して、カートン2の上面に接触する上側回転ブラシ11と、回転軸を垂直にして搬送路の左右にそれぞれ設けた側面回転ブラシ13a、13bとを備えており、各回転ブラシ11、13a、13bは、それぞれ独立の駆動モータ15、17、19に回転軸が接続されている。各駆動モータ15、17、19は、それぞれスピードコントローラM1c、M2c、M3cにより回転速度が調整自在である(図5参照)。尚、各回転ブラシ11、13a、13bは、カートン表面との接触面における線速度が、カートンの搬送速度よりも速い速度で回転している。
【0033】
上側回転ブラシ11は、カートン2の表面との接触面において、搬送方向Sと同方向に向けて回転(図1中矢印W)するようになっている。また、側面回転ブラシ13a、13bは、カートン2の表面との接触面において、カートン2の搬送方向Sと反対に向けて回転(図1中矢印V)するようになっている。
【0034】
各回転ブラシ11、13a、13bのブラシ毛23は、ナイロン又は6ナイロンでできており、研磨材として酸化アルミやシリコンカーパーライトが混入してあり、帯電防止材として導電性材料であるカーボン等が混入されている。
【0035】
クリーニングユニット9には、カートン2の入口側にカートン検知センサ25が設けてあり、カートン検知センサ25の検知信号を受けて各回転ブラシ11、13a、13bが駆動するようになっている。カートン検知センサ25には、ケースなしの時間を測定するケーし無しタイマー27と、ケースありの時間を測定するケース有りタイマー28とが接続されており(図5参照)、それぞれ所定時間経過すると、各モータ15、17、19の駆動を停止するようになっている。
【0036】
尚、図5において、符号L1Wは電源ランプであり、L2Rは運転中にのみ点灯する運転中ランプであり、T1、T2、PH1、PH2はスイッチであり、符号31は主電源と連動及び手動操作により各駆動モータのON/OFF切り換えが可能なスイッチである。
【0037】
次に、本実施の形態に係る作用を説明する。カートン組立ユニット3において、シート状の段ボールがカートンに組み立てられて、ホットメルトガンからカートンの折り重ね部に接着剤Fが付される。カートン組立ユニットでは、同時にカートン内に缶ビールが装填される。
【0038】
カートン2は搬送路により印字ユニット7に搬送されるが、搬送途中にあるクリーニングユニット9でカートン2の表面に付着した異物が除去される。このクリーニングユニット9では、上側回転ブラシ11と左右の側面回転ブラシ13a、13bとが回転駆動して、各ブラシ11、13a、13bがカートンの表面に付着した異物、例えば、接着剤が引いた糸や紙粉を除去する。クリーニングユニット9では回転ブラシの接触によりカートン2の表面の異物を除去しているので、簡易な構成であり、しかもカートン表面が傷付き難い。
【0039】
クリーニングユニット9では、印字面である一側面のみならず、カートン表面全体における異物を除去するから、例えば、上面における接着剤が側面になびいて印字ユニット7の印字ヘッドに付着することも防止できる。
【0040】
上側回転ブラシ11は搬送方向と同方向に回転させる(W方向)ことにより、搬送方向後端部2bにブラシが接触でき、後端部2bに付与された接着剤が引く糸を除去できる。また、側面回転ブラシ13a、13aは、カートン搬送方向Sと逆方向に側面回転ブラシを回転させる(V方向)ことにより、効率良く側面に付着した異物を除去できる。
【0041】
カートン検知センサ25がカートン2を検知すると、ケースありタイマー29がカウントを開始し、所定時間経過すると、各モータ15、17、19の駆動を停止する。所定時間カートン2を検知し続けるということはカートン2の搬送が停止されている状態なので、モータ15、17、19を停止して無駄な電力の消費を防止するとともに、回転ブラシの擦りすぎによりケース2に傷がつくのを防止する。また、カートン検知センサ25がカートンなしを検知してケースなしタイマー27が所定時間カウントすると、カートン2が搬送されていない状態であるから、モータ15、17、19を停止して無駄な電力の消費を防止する。
【0042】
クリーニングユニット9でカートン2の表面の異物が除去された後、印字ユニット7でカートン2の側面に製造年月日や賞味期限等の所定表示を印字する。カートン表面はすでにクリーニングユニット9により糸を引いた接着剤や紙粉等の異物が除去されているので、印字ヘッドを汚すことがなく、印字不良を防止できる。また、印字ヘッドのメンテナンスの回数が減り、装置の稼動効率を高めることができる。
【0043】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0044】
上述の実施の形態では、缶ビールを充填するカートンを例に用いて説明したが、清涼飲料缶を収納したカートン等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態に係るカートン処理装置におけるクリーニングユニットを概略的に示す斜視図である。
【図2】クリーニングユニットの側面図である。
【図3】クリーニングユニットの平面図である。
【図4】カートン処理装置の概略構成図である。
【図5】制御部の回路図である。
【符号の説明】
【0046】
1 カートン処理装置
3 カートン組立ユニット
5 搬送路
7 印字ユニット
9 クリーニングユニット
11 上側回転ブラシ
13a、13b 側面回転ブラシ
15、17、19 駆動モータ
25 カートン検知センサ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートンをシートから組み立てて接着剤で接着するカートン組立ユニットと、カートンを次工程に搬送する搬送路と、カートンの表面に印字する印字ユニットとを備え、カートン組立ユニットと印字ユニットとの間にはカートン表面に付着した異物を除去するクリーニングユニットを備えることを特徴とするカートン処理装置。
【請求項2】
クリーニングユニットはカートン表面に接触する回転ブラシを備えることを特徴とする請求項1に記載のカートン処理装置。
【請求項3】
カートンは紙製であり、組み立ユニットは、カートン上面の搬送方向後端部における折り重ね部及び側面の折り重ね部のそれぞれにホットメルトガンにより接着剤を付していることを特徴とする請求項2に記載のカートン処理装置。
【請求項4】
回転ブラシは、カートンの上面に接触する上側回転ブラシと、搬送方向に沿う側面に接触する側面回転ブラシとの少なくとも2箇所設けてあることを特徴とする請求項3に記載のカートン処理装置。
【請求項5】
側面回転ブラシは、カートン表面との接触面において、カートンの搬送方向と反対に向けて回転することを特徴とする請求項4に記載のカートン処理装置。
【請求項6】
上側回転ブラシは、カートン表面との接触面において、搬送方向と同方向に向けて回転することを特徴とする請求項5に記載のカートン処理装置。
【請求項7】
上側回転ブラシは、カートン表面との接触面における線速度が、カートンの搬送速度よりも速いことを特徴とする請求項6に記載のカートン処理装置。
【請求項8】
回転ブラシのブラシ毛には、帯電防止材及び研磨材が混入してあることを特徴とする請求項7に記載のカートン処理装置。
【請求項9】
クリーニングユニットには、カートンの入口側にカートン検知センサを備え、カートン検知センサの検知信号を受けて各回転ブラシが駆動し、センサが所定時間カートンを検知しない場合には各回転ブラシが駆動を停止し、センサが所定時間連続してカートンを検知し続けると各回転ブラシの駆動が停止することを特徴とする請求項8に記載のカートン処理装置。
【請求項10】
上側回転ブラシ及び側面回転ブラシの各回転ブラシはそれぞれに設けたモータにより駆動し、各駆動モータは個別に回転速度を調整可能としてあることを特徴とする請求項9に記載のカートン処理装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−103115(P2006−103115A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292101(P2004−292101)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】