説明

カード印刷装置、ICカード処理装置、およびローラ

【課題】ヘッドギャップを制御しなくとも、適切な印刷押圧力を印刷面に対して均等に与えることができ、凸部の周囲にも適切に印刷が可能となる発券プリンタ1およびこれらに用いられるプラテンローラ17を提供する。
【解決手段】カード2を搬送する搬送ローラ21および搬送モータ22と、カード2に印刷を行うサーマルヘッド9と、サーマルヘッド9の押圧を受けるプラテンローラ17とを備えた発券プリンタ1について、プラテンローラ17は、カード2のICチップ16による凸部を避け得る大きさの凹部18が形成され、搬送ローラ21および搬送モータ22で搬送するカード2の凸部にプラテンローラ17の凹部18の位置を対応させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばカードに印刷を行うようなカード印刷装置、ICチップが設けられているICカードを発行するようなICカード処理装置、およびこれらに用いられるローラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気媒体であるカードやチケットなどが不正利用される問題により、カードのIC化が進み、ICカードが普及してきている。そして、このようなICカードは、ICチップに記録されているデータ内容が肉眼で見えない等の理由から、表面に有効期限などの印刷が施されている。
【0003】
しかし、このような表面の印刷は、トラブルの原因になりかねない。すなわち、例えば有効期限日の日付部分の印刷がかすれたり抜けたりした場合、カードが磁気ストライプやICチップ内にデータを記憶していても、有効期限日について外観上利用者の目に見える証拠がなくなってしまう。このような場合に、たとえ有効期限を過ぎていたカードであっても、苦情を受ければ払戻に応じなければならない事態になりかねないという問題点がある。
【0004】
一方、印刷かすれや抜けを防止するものとして、印刷券面の厚みを検知し、印刷ヘッドとのギャップを制御する技術が提案されている(特許文献1参照)。これにより、厚みを正しく測定し、印字かすれや印字ヘッドピン折れ等を防止できるとされている。
【0005】
また、事前に使用する印刷媒体仕様に適したヘッドギャップをあらかじめ不揮発性記憶素子に情報として記憶させることで、印刷設定を行う印刷装置のギャップ設定方法が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開昭63−249673号公報
【特許文献2】特開2007−38611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した特許文献1,2の技術は、いずれもICチップにより部分的に厚みが異なっているような印刷対象物(カードや用紙)に適切に対応できるものではなかった。つまり、印刷対象物の大部分の厚みに合わせて印刷を行うと、凸部の厚みに対して不適切となり、印字ヘッドピン折れやリボンの損傷等、または用紙ジャムや印刷汚れ等が生じ得る問題があった。逆にICチップ等による凸部の厚みに合わせて印刷を行うと、印刷対象物の大部分の厚みに対して不適切となり、印刷かすれ、または印刷結果が薄くなることや印刷品質の低下が生じ得るという問題があった。
【0007】
また、上述した各技術により調整できるヘッドギャップは、前記凸部が存在する位置の印刷面の搬送幅方向全体に対するものである。このため、前記凸部の搬送幅方向のライン状、特に凸部周辺に関して、印刷が抜けてしまう問題が生じる。
【0008】
この発明は、上述した問題に鑑み、ヘッドギャップを制御しなくとも、適切な印刷押圧力を印刷面に対して均等に与えることができ、凸部の周囲にも適切に印刷が可能となるカード印刷装置、ICカード処理装置およびこれらに用いられるローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、カードを搬送する搬送手段と、前記カードに印刷を行う印刷手段と、前記印刷手段の押圧を受けるローラとを備えたカード印刷装置であって、前記ローラは、前記カードの凸部を避け得る大きさの凹部が形成され、前記搬送手段で搬送する前記カードの凸部に前記ローラの凹部の位置を対応させる位置決め手段を備えたカード印刷装置、またはICカード処理装置であることを特徴とする。
【0010】
前記位置決め手段は、前記カードの凸部の位置を取得する凸部位置取得手段と、前記搬送手段による搬送駆動を制御して前記ICカードの前記凸部に前記ローラの凹部を対応させる搬送制御手段とで構成することができる。
【0011】
また、前記搬送制御手段は、前記搬送手段で搬送する前記カードの凸部位置と回転する前記ローラの凹部位置の位相と同期させる制御を行う構成とすることができる。
【0012】
また、前記凸部位置取得手段で取得した前記カードの凸部の搬送幅方向位置に対して、前記ローラを搬送幅方向に変位させて前記凹部の幅方向位置を前記凸部に対応させる幅方向変位手段を備えることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明により、ヘッドギャップを制御しなくとも、適切な印刷押圧力を印刷面に対して均等に与えることができ、凸部の周囲にも適切に印刷が可能となるカード印刷装置、ICカード処理装置およびこれらに用いられるローラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態は、鉄道業務などに採用される例えばICカードプリンタのような自動発券プリンタや、ICチップなどを埋め込んだ入場券などを発券する券売機に関する。
【0015】
図1は、カード印刷装置およびICカード処理装置としての発券プリンタ1の内部構成を示す右側面図である。
発券プリンタ1は、駅や施設等に設置され、係員や顧客の操作を受け付けて、ICチップ16などが埋め込まれたICカードとしてのカード2による取引を行う。この発券プリンタ1は、制御部14を介し、ホストコンピュータ15に接続されている。
【0016】
発券プリンタ1は、挿入部としてのカード挿入部3、マークリーダ4、リーダライタ手段としての非接触ICリーダ/ライタ5、凸部位置取得手段および厚み検知手段としての厚み検知部6、磁気・接触ICカードリーダ7、印刷消去部8、印刷手段としてのサーマルヘッド9、カードホッパ部10、カード回収箱11、排出手段としてのカード排出部12、表示部13、などで構成されている。なお、厚み検知部6は、上述した制御部と共に位置決め手段としても機能する。
【0017】
カード2は、ICチップ16などが埋め込まれた媒体であり、データを記憶することができる。このカード2は、アンテナを備えて非接触で通信を行う非接触ICカード、接触端子を備えて接触して通信を行う接触ICカード、磁気ストライプを備えて磁気データを記憶できる磁気カード、あるいはこれらの複数の機能を備えたカードなど、適宜のカードで構成することができる。
【0018】
カード挿入部3は、カード2を取込み、搬送する機能を有する。
マークリーダ4は、カード2に印刷されたカード種別や向きなどを示す黒マークを読取る機能を有する。
【0019】
非接触ICリーダ/ライタ5は、カード挿入部3から取込、もしくは、カードホッパ部10から新規に発券した非接触タイプのカード2に内蔵されたICチップ16に対して、情報の読み込みおよび書換えする機能を有する。
【0020】
厚み検知部6は、カード2全体の厚みを検出し、ICチップ16などが埋め込まれてできた凹凸を検知する。従って、厚み検知部6は、カード2全体に対してどの位置に凹凸があるかを検出する機能を有する。
【0021】
磁気・接触ICカードリーダ7は、カード2の磁気データを読込んだり、書換えたり、接触タイプのカード2に内蔵されたICチップ16の情報を読込んだり、書換えたりする機能を有する。
【0022】
印刷消去部8は、印刷の書換えのために、印刷消去を行う機能を有するヘッドである。
サーマルヘッド9は、カード2の印刷面に圧接させ素子に電流を流して熱を持たせ、その熱を印刷面に伝達することでカード2の発色層を発色させ、印刷を行う機能を有する。
【0023】
カードホッパ部10は、新規に発行するためのカード2をセットし、繰出す機能を有する。
カード回収箱11は、再発行や期限切れなどで不要となったカード2を回収し、スタックする機能を有する。
【0024】
カード排出部12は、1枚もしくは、複数枚のカード2をスタックし、一括して排出する機能を有する。
表示部13は、取引状態、エラー状態やテスト時の実行コマンドなどを表示する機能を有する。
【0025】
図2は、本発明の一実形態であるサーマル印刷部の構成例である。
ICチップ16は、不揮発性で情報を記憶する機能を有する素子である。
ローラとしてのプラテンローラ17は、円筒形状に形成されている。このプラテンローラ17は、円周面にサーマルヘッド9が圧接され、プラテンローラ17とサーマルヘッド9の間にカード2を挟んで、搬送しながら印刷面に印刷を実行する機能を有する。
【0026】
このプラテンローラ17は、円筒形の軸方向長さが、カード2の搬送幅方向の幅よりも長く形成されており、好ましくはカード2の搬送幅方向の幅の2倍程度の長さに形成されている。また、プラテンローラ17の円周長さは、カード2の搬送方向長さと同程度かそれ以上の長さになるように形成されている。
【0027】
また、このプラテンローラ17の円周面には、円筒形の軸方向中央付近に凹部18が設けられている。この凹部18は、カード2に内蔵されたICチップ16などの凸部より少し大きい程度の大きさで、ICチップ16などの凸部より少し深い程度の深さに形成されているくぼみ、溝、または孔である。この凹部18の形状は、四角形に形成されており、より詳しくは搬送幅方向に平行な直線と搬送方向に平行な直線で作成された四角形に形成されている。
【0028】
この凹部18により、サーマルヘッド9の圧接により押された場合に、ICチップ16などの凸部を逃がすことができる。これにより、印刷面のサーマルヘッド9による押圧を均等にする機能を有する。
【0029】
センサ19及びエンコーダ20は、前記プラテンローラ17の回転位相を検知する機能を有する。
上述したプラテンローラ17は、下方に配置された支持部材31によって両端の軸部が支持されている。この支持部材31は、変位ローラ32,32に張架された変位ベルト33によって搬送幅方向に変位する。つまり、変位ローラ32が変位モータ34によって回転駆動され、これによって変位ベルト33が回転し、この変位ベルト33に固定されている支持部材3が変位する。従って、支持部材31が搬送幅方向に変位すると、プラテンローラ17、センサ19、及びエンコーダ20は、一体的に搬送幅方向に変位する。これにより、凹部18の搬送幅方向の位置を、ICチップ16による凸部の搬送幅方向の位置に合わせられるようにしている。この支持部材31、変位ローラ32、変位ベルト33、および変位モータ34は、幅方向変位手段として機能する。
【0030】
搬送ローラ21は、搬送モータ22の制御によって駆動され、カード2を搬送制御する機能を有する。この搬送ローラ21と搬送モータ22は、搬送手段として機能する。
【0031】
プラテン駆動モータ23は、プラテンローラ17を制御駆動するためのアクチュエータである。
この発券プリンタ1には、搬送制御手段としても機能する図示省略する制御部が設けられており、この制御部が、カード挿入部3、マークリーダ4、非接触ICリーダ/ライタ5、厚み検知部6、磁気・接触ICカードリーダ7、印刷消去部8、サーマルヘッド9、カードホッパ部10、カード回収箱11、カード排出部12、および表示部13の動作を制御する。なお、このような制御部を設けず、券売機などの上位装置の制御部14により動作を制御する構成にしてもよい。
【0032】
このように構成されている発券プリンタ1の動作概要を説明する。
前記カード挿入部3より取込まれたカード2は、搬送モータ22の駆動によって回転する搬送ローラ21により搬送される。搬送されたカード2は、マークリーダ4(図1参照)によりカードの種別や向きなどの情報が読取られる。
【0033】
その後、カード2は、厚み検知部6を通る。このとき、厚み検知部6は、ICチップ16などが埋め込まれてできた凹凸がカード印刷面のどこにあるかを検出する。その後、非接触ICリーダ/ライタ5や磁気・接触ICカードリーダ7により、カード2への情報の読書が実行される。
【0034】
また、カードホッパ部10から新規に発行されたカード2についても、搬送モータ22の駆動によって回転する搬送ローラ21により搬送する。そして、このカード2が厚み検知部6を通し、ICチップ16などが埋め込まれてできた凹凸がカード印刷面のどこにあるかを厚み検知部6が検出する。
【0035】
次に印刷もしくは書換え印刷を実行するため、カード2は、サーマルヘッド9とプラテンローラ17により構成される印刷部に搬送される。ここで、前記厚み検知部6において読取った情報を、カード搬送の制御及びプラテンローラ17の凹部の回転位相や搬送方向に対する垂直方向での位置の制御にフィードバックする。これにより、ICチップ16などが埋め込まれてできた凸部の位置に、プラテンローラ17の凹部18が合致するように搬送できる。このように位置を合わせて印刷動作することで、ICチップ16などが埋め込まれてできた凸部分のみを除き、カード印刷面全体に均一にサーマルヘッド9の押圧力が掛かり、印刷かすれや、抜けを防止できる。
【0036】
図3は、印刷に関する発券プリンタ1の動作を説明するフローチャートである。
発券プリンタ1は、搬送モータ22を駆動し(ステップS1)、カード挿入部3から取り込んだカード2、あるいはカードホッパ部10から発行したカード2を、券片搬送する(ステップS2)。
【0037】
発券プリンタ1は、厚み検知部6によりカード2の厚み検知を開始し(ステップS3)、券片先端検知を行う(ステップS4)。これと共に、発券プリンタ1は、プラテンローラ17の搬送方向位置合わせと駆動(ステップS5)、およびプラテンローラ17の搬送幅方向位置合わせ(ステップS6)とを実行する。
【0038】
なお、厚み検知部6で読取ったICチップ16(凸部)の位置についての情報は、カード2の搬送制御にフィードバックされる。これによって同期が取られる。また、凸部の位置情報は、プラテンローラの位置制御にもフィードバックされる。これにより、カード搬送方向に対し、垂直方向の位置における、前記プラテンローラ17の凹部18の位置の同期を取る。
【0039】
搬送方向の位置合わせは、厚み検知部6で検出したICチップ16の搬送方向位置を搬送ローラ21を回転させる搬送モータ22の回転数(パルス数)によって把握し、センサ19とエンコーダ20によってプラテンローラ17における凹部18の位置(回転位相)を確認して回転開始時を調節することで実行すると良い。これにより、搬送方向に進むカード2のICチップ16がプラテンローラ17の位置まで来た時、カード2の搬送速度に合わせて回転しているプラテンローラ17の凹部18がICチップ16の対向位置に位置する。
【0040】
また、搬送幅方向の位置合わせは、厚み検知部6で検出したICチップ16の搬送幅方向位置に基づいて、変位モータ34を対応する回転数(パルス数)だけ回転駆動して変位ベルト33により支持部材31を変位させ、プラテンローラ17の凹部18の幅方向位置がICチップ16の搬送幅方向位置に対応する位置まで変位させて変位停止する。これにより、カード2のICチップ16の搬送幅方向位置と、凹部18の搬送幅方向位置が一致する。
【0041】
発券プリンタ1は、サーマルヘッド9をONにし(ステップS7)、印刷を開始する(ステップS8)。この印刷の際、プラテンローラ17の凹部18と、カード2のICチップ16とは、上述した位置合わせ(ステップS6)により搬送方向および搬送幅方向に同期がとられる。つまり、カード2のICチップ16部分がプラテンローラ17に接触する位置まで搬送されたとき、ICチップ16部分が凹部18に嵌まり込む。これにより、ICチップ16による厚み差が吸収され、意図しない印刷不具合が防止される。つまり、カード2の表面において、凹部18の対向部分以外の部分には、確実に綺麗な印刷がサーマルヘッド9によって実施される。
【0042】
発券プリンタ1は、サーマルヘッド9をOFFにし(ステップS9)、印刷を終了する(ステップS10)。
発券プリンタ1は、カード2を搬送し(ステップS11)、次の工程へ送り出して印刷処理を完了する。
【0043】
以上の構成および動作により、ICチップ16が内蔵されて一部に凹凸が存在しているようなカード2に対して、凹凸を避けて印刷することができ、ICチップ16の周囲に意図しない印刷かすれや抜けなどが発生しない発券プリンタ1を提供することができる。
また、ICチップ16による凸部の周囲にも印刷可能となり、印刷の品質を向上できる。
【0044】
凹部18は、プラテンローラ17の表面における円周方向の一部(搬送方向の一部)に設けられているため、カード2の搬送方向におけるICチップ16の前後にも印刷を施すことができる。つまり、ICチップ16がサーマルヘッド9とプラテンローラ17との間位置にくるまで、カード2に印刷を行うことができ、ICチップ16部分については凹部18により印刷せずに、ICチップ16部分が通過するとまた印刷を行うことができる。これにより、印刷しない範囲をなるべく狭くすることができ、適切に印刷できる範囲を広くすることができる。
【0045】
また、プラテンローラ17の凹部18は、プラテンローラ17の表面における軸方向の一部(搬送幅方向の一部)に設けられているため、搬送幅方向の残部については、カード2に対して搬送方向へ全面に隙間無く印刷することができる。これにより、印刷しない範囲をなるべく狭くすることができ、適切に印刷できる範囲を広くすることができる。
【0046】
また、搬送方向の位置合わせ(ステップS5)により、カード2におけるICチップ16の位置が搬送方向に異なっていても対応できるため、多種類のカード2に対応することができる。
【0047】
また、搬送幅方向の位置合わせ(ステップS6)により、カード2におけるICチップ16の位置が搬送幅方向に異なっていても対応できるため、多種類のカード2に対応することができる。
【0048】
また、このような搬送方向と搬送幅方向の位置合わせ(ステップS5,S6)を両方行うことにより、ICチップ16gaカード2のどの位置に存在しても対応でき、多種多様のカード2に対応して汎用性を高めることができる。
【0049】
また、サーマルヘッド9とプラテンローラ17のギャップの調整を不要にできるため、調整の手間を省くことができる。
また、サーマルヘッド9の押圧を一定にすればよいので、機構を簡略化することができる。
【0050】
また、凹部18は、搬送幅方向に平行な直線と搬送方向に平行な直線で作成された略四角形であるから、円形や他の形状に形成された場合に比べて安定した機能を発揮することができる。つまり、例えば円形であれば、搬送するカード2のICチップ16の位置とプラテンローラ17の凹部18の位置との対応付けが搬送方向と搬送幅方向の両方にずれるとICチップ16が凹部18内に嵌合しない可能性が出てくる。これに対して、本実施例のように凹部18を四角形にすることで、搬送幅方向のズレと搬送方向のズレとに所定量ずつの誤差を許容でき、搬送方向と搬送幅方向の両方にズレたとしても、それぞれのズレがそれぞれ許容範囲内にあれば問題なく印刷できる。
【0051】
なお、上述した実施例では、カード2にICチップ16を備えているが、ICチップ16の代わりにμチップを備えたカードとしてもよい。また、このようなICチップ16やμチップによる表面の凸部だけでなく、裏面印刷を考えてカード2の裏面の凹部を厚み検知部6で検知し、この凹部にプラテンローラ17の凹部18を対応させてもよい。この場合も、カード2の凹部を除いた大部分に対して良好な印刷を施すことができる。
【0052】
また、カード2は、ICチップ16を内蔵したカード2に限らず、印刷面を有する入場券や切符、値札など、種々の媒体に利用することができる。
また、発券プリンタ1に不揮発性メモリ等の記憶手段を備え、カード2のマークとICチップ16の位置を対応付けて記憶しておき、マークリーダ4によってICチップ16の位置を判別する構成にしてもよい。この場合、マークリーダ4によって読取ったマークを記憶手段内のデータと照合し、照合したカード種別におけるICチップ6の位置を記憶手段のデータから読み出すと良い。これにより、上述した実施例と同様の効果を得ることができると共に、厚み検知部6を省略することができる。
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
この発明は、旅客業等の各種カードや、さまざまな業種態のポイントカード、施設利用カード、プリペイドカードなど内容の更新、新規発行など、カード発行を行う業務形態に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】発券プリンタの内部構成を示す右側面図。
【図2】サーマル印刷部の構成例を示す斜視図。
【図3】印刷に関する発券プリンタの動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0055】
1…発券プリンタ、2…カード、3…カード挿入部、5…非接触ICリーダ/ライタ、6…厚み検知部、9…サーマルヘッド、12…カード排出部、16…ICチップ、17…プラテンローラ、18…凹部、21…搬送ローラ、22…搬送モータ、31…支持部材、32…変位ローラ、33…変位ベルト、34…変位モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを搬送する搬送手段と、
前記カードに印刷を行う印刷手段と、
前記印刷手段の押圧を受けるローラとを備えたカード印刷装置であって、
前記ローラは、前記カードの凸部を避け得る大きさの凹部が形成され、
前記搬送手段で搬送する前記カードの凸部に前記ローラの凹部の位置を対応させる位置決め手段を備えた
カード印刷装置。
【請求項2】
前記位置決め手段を、
前記カードの凸部の位置を取得する凸部位置取得手段と、
前記搬送手段による搬送駆動を制御して前記ICカードの前記凸部に前記ローラの凹部を対応させる搬送制御手段とで構成した
請求項1記載のカード印刷装置。
【請求項3】
前記凸部位置取得手段を、カードの厚みを検知する厚み検知手段で構成した
請求項2記載のカード印刷装置。
【請求項4】
前記凹部を、前記ローラの幅方向の一部でかつ円周方向の一部となる大きさに形成し、
前記搬送制御手段を、
前記搬送手段で搬送する前記カードの凸部位置と回転する前記ローラの凹部位置の位相と同期させる制御を行う構成とした
請求項2または3記載のカード印刷装置。
【請求項5】
前記凸部位置取得手段で取得した前記カードの凸部の搬送幅方向位置に対して、前記ローラを搬送幅方向に変位させて前記凹部の幅方向位置を前記凸部に対応させる幅方向変位手段を備えた
請求項2、3または4記載のカード印刷装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のカード印刷装置と、
前記カードとしてICチップを備えたICカードを取り込む挿入部と、
前記ICチップに記憶されている情報の読み書きを行うリーダライタ手段と、
前記ICカードを排出する排出手段とを備えた
ICカード処理装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1つに記載のカード印刷装置に装着されるローラであって、
前記ローラの幅方向の一部でかつ円周方向の一部となる大きさの凹部をローラ表面に形成した
ローラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−291997(P2009−291997A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−146478(P2008−146478)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】