説明

カーペット連結装置

【課題】 カーペット延長部とデッキボードとの連結を簡単な構成で達成するカーペット連結装置を提供する。
【解決手段】 このカーペット連結装置においては、デッキボード2にカーペット延長部1Aを固定する際、デッキボード2の先端部がカーペット延長部1A側のフック部3内に差し入れられるので、デッキボード2に対するカーペット延長部1Aの容易且つ正確な位置決めを可能にする。そして、このような正確な位置決めは、デッキボード2とカーペット延長部1Aとの連結にあたって、着脱自在な締結手段4A,4Bの正確な位置合わせをも可能にしている。従って、デッキボード2とカーペット延長部1Aとを簡単な構成をもって容易且つ確実に連結することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートバックの下端から延在するカーペット延長部と荷室側のデッキボードとを接合して、カーペット延長部とデッキボードとの一体感を出すためのカーペット連結装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開平9−109761号公報がある。この公報に記載されたカーペット連結装置において、カーペット延長部の後端の板状支持部材から切り起こされた凸部は、荷室側のデッキボードの通孔内に弾力的に押し込まれる。これによって、カーペット延長部とデッキボードとを連結し、荷室に一体感を出すことができる。また、カーペット延長部とデッキボードとの連結を解除する必要が生じた場合には、カーペット延長部の凸部をデッキボードの通孔から抜き出すように、カーペット延長部のみを持ち上げる。このように、従来のカーペット連結装置は、カーペット延長部の凸部を荷室側のデッキボードの通孔内に単に押し込むだけでよく、組み付け作業が容易である。
【0003】
【特許文献1】特開平9−109761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来のカーペット連結装置において、デッキボードからカーペット延長部が僅かな力で外れないようにするためには、凸部の曲がりを大きくして弾性力を強くする必要がある。しかしながら、連結力を強くすると、デッキボードからカーペット延長部を外し難くなってしまう。そして、凸部を板バネによって構成すると、長期の使用によって、デッキボード側の通孔の広がり方や凸部の形状が変化する虞がある。このように、前述したカーペット連結装置では、カーペット延長部とデッキボードとの連結力の調整や連結の耐久性を配慮すると構成自体が複雑化する虞があった。
【0005】
本発明は、カーペット延長部とデッキボードとの連結を簡単な構成で達成するためのカーペット連結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るカーペット連結装置は、シートバックの下端から延在するカーペット延長部と荷室側のデッキボードとを接合するカーペット連結装置において、カーペット延長部の裏面に設けられてデッキボードの先端部が差し入れられるフック部と、フック部とカーペット延長部の先端との間においてデッキボードに対してカーペット延長部を着脱自在にする締結手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
このカーペット連結装置においては、デッキボードにカーペット延長部を固定する際、デッキボードの先端部がカーペット延長部側のフック部内に差し入れられるので、デッキボードに対するカーペット延長部の容易且つ正確な位置決めを可能にする。そして、このような正確な位置決めは、デッキボードとカーペット延長部との連結にあたって、着脱自在な締結手段の正確な位置合わせをも可能にしている。従って、デッキボードとカーペット延長部とを簡単な構成をもって容易且つ確実に連結することができる。しかも、締結手段は着脱自在になっているので、デッキボードの下方に設けられたタイヤハウス等から非常用タイヤ等を取り出すときに、デッキボードからカーペット延長部を切り離すこともできる。
【0008】
また、締結手段は面ファスナであり、カーペット延長部の裏面に第1の面ファスナ半部が設けられ、デッキボードの表面に第2の面ファスナ半部が設けられると好適である。締結手段を面ファスナにすることで、ワンタッチ式の着脱を可能にし、カーペット延長部が連結されていない状態で、デッキボードの表面にフラット感を出すことができる。
【0009】
また、カーペット延長部には、その基端とフック部との間に、車幅方向に延在する剛性プレートが固定されていると好適である。シートバックを座席として使用するために、シートバックを倒した状態から起こすと、シートバックがデッキボードに近づくためにカーペット延長部自体が弛むが、剛性プレートによってカーペット延長部に折れ癖を付けることができ、シートバックの後方でカーペット延長部を見栄え良く格納することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡単な構成を可能にし、正確な位置決め行いながらカーペット延長部とデッキボードとを確実に連結をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るカーペット連結装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0012】
図1に示すように、トランクスルー型車両の後部座席は、倒立可能なシートクッションSCと前倒可能なシートバックSBとを有し、このシートバックSBはその裏面に、シートバックカーペット1が貼り付けられ、ブラケット6を介して車床に連結されている。さらに、シートバックSBの下端からはカーペット延長部1Aが延在し、このカーペット延長部1Aは、デッキボード2と繋げて荷室に一体感を出すために、シートバックカーペット1から略同幅で延長されたものである。
【0013】
図1〜図3に示すように、カーペット延長部1Aの遊端部分10の裏面には、この先端から少し奥まった位置に断面略U字状のフック部3が2本固定されている。弾性材によって形成された各フック部3は、所定長さの中空部3Aを有した状態で車幅方向に延在すると共に、一直線上に並べられている。そして、各フック部3の先端部31がデッキボード2側に向けられるように、フック部3の基端部30は、縫合部30Aによってカーペット延長部1Aに固定され、フック部3の中空部3Aはデッキボード2側で開放される。
【0014】
このようにして固定されたフック部3の中空部3A内にはデッキボード2の先端部20を差し入れることができる。また、デッキボード2の先端部20は、「へ」の字状に折り曲げられ、フック部3への装着性を高めている。さらに、デッキボード2の表側には、荷室の一体感を出すために、カーペット延長部1Aと同じ材質のカーペット生地が貼り付けられている。
【0015】
さらに、カーペット連結装置には、フック部3とカーペット延長部1Aの先端との間の遊端部分10において、デッキボード2に対してカーペット延長部1Aを着脱自在にする締結手段4A,4Bが設けられている。この締結手段4A,4Bは面ファスナであり、カーペット延長部1Aの裏面には雄型面ファスナ(第1の面ファスナ半部)4Aが縫合によって固定され、デッキボード2の表面をなすカーペット生地には雌型面ファスナ(第2の面ファスナ半部)4Bが縫合によって固定されている。そして、第1の面ファスナ4Aは、各フック部3に並設させるようにカーペット延長部1Aの先端側に固定されている。
【0016】
前述したように、カーペット連結装置を、フック部3と締結手段4A,4Bとで構成することで、デッキボード2にカーペット延長部1Aを固定する際、デッキボード2の先端部20がカーペット延長部1A側のフック部3の中空部3A内に差し入れられるので、デッキボード2に対するカーペット延長部1Aの容易且つ正確な位置合わせを可能にしている。
【0017】
そして、このような正確な位置決めは、デッキボード2とカーペット延長部1Aとの連結にあたって、着脱自在な第1の面ファスナ4Aと第2の面ファスナ4Bとの正確な位置合わせをも可能にしている。従って、デッキボード2とカーペット延長部1Aとを簡単な構成をもって容易且つ確実に連結することができる。さらに、面ファスナ4A,4Bを採用することで、ワンタッチ式の着脱を可能にすると同時に、デッキボード2の表面にフラット感を出すことができる。
【0018】
そして、スキー板のような長い荷物を荷室に搬入する際、図4及び図5に示すように、シートクッションSCを倒立させ、シートバックSBを倒すことで、シートバックカーペット1及びカーペット延長部1Aを略フラットにすることができる。そして、フラットなデッキボード2と相俟って、荷室にフラットな床面が出現し、荷室を広く使うことができる。
【0019】
これに対し、シートバックSBを座席として利用する場合、シートバックSBを起こす必要があるが、シートバックSBがデッキボード2に近づくためにカーペット延長部自体が弛んでしまう。
【0020】
そこで、図1〜図3に示すように、カーペット延長部1Aの基端とフック部3との間において、カーペット延長部1Aの裏面には、車幅方向に延在する長尺状の剛性プレート5が固定されている。この剛性プレート5はカーペット延長部1Aの全幅に渡って延在し、前後2列の縫合部5A,5Bによって、しっかりとカーペット延長部1Aに固定されている。
【0021】
従って、シートバックSBを起こしたとき、剛性プレート5の車幅方向に延在する端部によって、カーペット延長部1Aに略V字状の折れ部1A´を形成させることができる。そして、この剛性プレート5によりカーペット延長部1Aに折れ癖を付けることができ、シートバックSBの後方でカーペット延長部1Aを見栄え良く格納することができる(図2参照)。なお、剛性プレート5は、カーペット延長部1Aの表面でもよいが、見栄えをよくするためには裏面側が適している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るカーペット連結装置の一実施形態を適用した後部座席及びデッキボードを示す断面図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。
【図3】カーペット延長部をめくり上げた状態を示す斜視図である。
【図4】荷室を拡大するために、シートクッションを倒立させ、シートバックを倒した状態を示す断面図である。
【図5】図4の要部拡大断面図である。
【図6】カーペット延長部をデッキボードから切り離した状態を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 シートバックカーペット
1A カーペット延長部
2 デッキボード
3 フック部
4A,4B 締結手段
4A 第1の面ファスナ
4B 第2の面ファスナ
5 剛性プレート
SB シートバック



【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックの下端から延在するカーペット延長部と荷室側のデッキボードとを接合するカーペット連結装置において、
前記カーペット延長部の裏面に設けられて前記デッキボードの先端部が差し入れられるフック部と、
前記フック部と前記カーペット延長部の先端部との間において前記デッキボードに対して前記カーペット延長部を着脱自在にする締結手段とを備えたことを特徴とするカーペット連結装置。
【請求項2】
前記締結手段は面ファスナであり、前記カーペット延長部の裏面に第1の面ファスナ半部が設けられ、前記デッキボードの表面に第2の面ファスナ半部が設けられたことを特徴とする請求項1記載のカーペット連結装置。
【請求項3】
前記カーペット延長部には、その基端と前記フック部との間に、車幅方向に延在する剛性プレートが固定されていることを特徴とする請求項1又は2記載のカーペット連結装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−91136(P2007−91136A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286043(P2005−286043)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000133098)株式会社タチエス (454)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】