説明

ガイド波センサ設置方法及びガイド波検査方法

【課題】配管の周方向にガイド波センサを貼り付けた際に、配管とガイド波センサとの接着剤の厚さを一定にすること。
【解決手段】
ガイド波センサ設置方法は、ガイド波センサ21と、接着剤と、帯状シート23と、スペーサー24と、弾性体25と、を用いる。ガイド波センサ21は、配管15の内周面に向けて超音波を放射し、その後、配管15の内周面からの反射した超音波を受信するものである。接着剤は、ガイド波センサ21が剥離しないような接着力を有しているものである。帯状シート23は、配管15に接着することができる接着力を有し、ある程度、広幅なものである。スペーサー24は、アルミニウム等の材質から成り、柔らかく一定の厚さを持ったものである。弾性体25は、ガイド波センサ21を配管15の周方向に貼り付け、ガイド波センサ21を配管15に固定するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力プラントや化学プラント等の配管に取り付けたガイド波センサを安定的に設置する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
比較的大きな配管の外形や長尺の配管、例えば、火力プラントや化学プラント等の配管において、配管内の減肉や欠陥を検知するための方法が多く用いられている。例えば、超音波による配管状態検知装置において、配管の外周面に取り付けた配管状態検知装置のガイド波センサは、配管の軸方向に沿って、配管の肉厚内にガイド波を伝播させることができるものである。ガイド波センサは、配管の肉厚内にガイド波を伝播させ、減肉や欠陥による配管の断面形状の変化により反射するガイド波を受信する。配管状態検知装置は、ガイド波センサが受信したガイド波から配管の減肉や欠陥の有無を検知する。
【0003】
特許文献1には、配管の肉厚内の状態を検知する配管状態検知装置において、ガイド波センサを帯状シートの短手方向に沿って、複数貼り付ける技術が記載されている。このガイド波センサを複数貼り付けた帯状シートは、検査対象となる配管の外周面に巻きつけることで、ガイド波センサも配管の周面方向に一定の間隔で取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−32466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図22は、ガイド波センサを配管に取り付けた様子を模式的に示す説明図である。ガイド波センサ21の取り付け方法としては、配管15と接触するガイド波センサ21の面に接着剤22を塗布し、ガイド波センサ21を配管15の周方向に沿って貼り付ける。接着剤22が乾燥するまでの間、ガイド波センサ21と配管15とを確実に固定して接着剤22の厚さを一定にするために、配管15に貼り付けたガイド波センサ21を覆うように、弾性体で締め付けている。
【0006】
図23は、ガイド波センサを配管に取り付けた断面図である。図23に示すように、弾性体25の締め付け力の変化やガイド波センサ21の設置具合によっては、接着剤22の厚さを一定にすることが難しい場合がある。このような場合、ガイド波センサ21からのガイド波は、配管15に貼り付けられた接着剤22を通過して、配管15の肉厚内に伝播するため、配管15とガイド波センサ21とに挟まれた接着剤22の厚さが一定でないと、接着剤22の厚さの違いから配管15内の欠陥部16を定量的に評価することが困難となる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、配管の周方向にガイド波センサを貼り付ける際に、配管とガイド波センサとを接着する接着剤の厚さを一定にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るガイド波センサ設置方法は、帯状シートの長手方向に沿って、前記帯状シート上に一定の間隔でスペーサーを貼り付ける手順と、配管の周方向に沿って、前記配管の表面に2枚の前記帯状シートを一定の間隔で貼り付ける手順と、前記配管の周方向に沿って、前記配管の表面かつ前記帯状シートの間にガイド波センサを貼り付ける手順と、前記配管の周方向に沿って、弾性体が前記帯状シートと前記ガイド波センサとを前記配管に巻きつけて締め付ける手順と、前記弾性体を前記帯状シート及び前記ガイド波センサから取り除く手順と、前記帯状シートを配管の周方向から取り除く手順と、を含むことを特徴とする。
【0009】
上記構成により、本発明に係るガイド波センサ設置方法は、弾性体でガイド波センサを配管に締め付ける際に、配管の周方向に沿って、帯状シート上に一定の間隔でスペーサーを貼り付けたことで、配管と配管に貼り付けたガイド波センサとの間に形成される接着剤の厚さを一定にすることができる。
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るガイド波センサ設置方法は、配管の周方向に沿って、前記配管の表面に2枚の前記帯状シートを一定の間隔で貼り付ける手順と、帯状シートの長手方向に沿って、2枚の前記帯状シート上にそれぞれ一定の間隔でスペーサーを貼り付ける手順と、前記配管の周方向に沿って、前記配管の表面かつ2枚の前記帯状シートの間にガイド波センサを貼り付ける手順と、前記配管の周方向に沿って、弾性体が前記帯状シートと前記ガイド波センサとを前記配管に巻きつけて締め付ける手順と、前記弾性体を前記帯状シート及び前記ガイド波センサから取り除く手順と、前記帯状シートを配管の周方向から取り除く手順と、を含むことを特徴とする。
【0011】
上記構成により、本発明に係るガイド波センサ設置方法は、帯状シート上に一定の間隔でスペーサーを貼り付けることで、配管と配管に貼り付けたガイド波センサとの間に形成
される接着剤の厚さを一定にすることができる。
【0012】
本発明の好ましい態様としては、前記スペーサーは、前記配管と接触しない前記帯状シート面に貼り付ける手順と、を含むことが望ましい。
【0013】
上記構成により、本発明に係るガイド波センサ設置方法は、スペーサーを配管と接触しない帯状シート面に貼り付ける手順を備えることで、弾性体が帯状シートとガイド波センサとを締め付ける力を一定に保つことができる。締め付け力を一定に保つことで、接着剤の厚さを一定にすることができる。
【0014】
本発明の好ましい態様としては、前記帯状シートは、両面テープであることが望ましい。
【0015】
上記構成により、本発明に係るガイド波センサ設置方法は、帯状シートが両面テープであることで、スペーサーを帯状シートに貼り付ける場合や帯状シートを配管に貼り付ける場合に、貼り付けるための接着剤は不要となる。このようなことから、作業時間や作業コストを低減することができる。
【0016】
本発明の好ましい態様としては、前記スペーサーは、前記配管と接触する前記帯状シート面に貼り付ける手順と、を含むことが望ましい。
【0017】
上記構成により、本発明に係るガイド波センサ設置方法は、スペーサーを配管と接触する帯状シート面に貼り付ける手順を備えることで、帯状シートと配管との距離を一定に保つことができる。
【0018】
本発明の好ましい態様としては、前記帯状シートは、ビニールテープであることが望ましい。
【0019】
上記構成により、本発明に係るガイド波センサ設置方法は、帯状シートがビニールテープを備えることで、帯状シートの貼り付け強度が増加する。このようなことから、確実に帯状シートを配管に貼り付けることができる。
【0020】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るガイド波検査方法は、帯状シートの長手方向に沿って、帯状シート上に一定の間隔でスペーサーを貼り付ける手順と、配管の周方向に沿って、前記配管の表面に前記帯状シートを一定の間隔で貼り付ける手順と、前記配管の周方向に沿って、前記配管の表面かつ前記帯状シートの間にガイド波センサを貼り付ける接着手順と、前記配管の周方向に沿って、弾性体が前記帯状シートと前記ガイド波センサとを前記配管に巻きつけて締め付ける手順と、前記弾性体を前記帯状シート及び前記ガイド波センサから取り除く手順と、前記帯状シートを前記配管の周方向から取り除く手順と、前記ガイド波センサは、前記配管の肉厚内に前記ガイド波を伝播させる手順と、前記ガイド波センサは、前記配管内から反射した前記ガイド波を受信する手順と、前記ガイド波センサが受信したガイド波から配管の状態を判断する配管状態検知装置を用いて、配管の状態を判断する手順と、を含むことを特徴とする。
【0021】
上記構成により、本発明に係るガイド波検査方法は、帯状シート上に一定の間隔でスペーサーを貼り付けることで、配管と配管に貼り付けたガイド波センサとの間に形成される接着剤の厚さを一定にすることができる。このようなことから、配管の状態をより精度良く判断することができる。
【0022】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るガイド波検査方法は、配管の周方向に沿って、前記配管の表面に前記帯状シートを一定の間隔で貼り付ける手順と、帯状シートの長手方向に沿って、帯状シート上に一定の間隔でスペーサーを貼り付ける手順と、前記配管の周方向に沿って、前記配管の表面かつ前記帯状シートの間にガイド波センサを貼り付ける接着手順と、前記配管の周方向に沿って、弾性体が前記帯状シートと前記ガイド波センサとを前記配管に巻きつけて締め付ける手順と、前記弾性体を前記帯状シート及び前記ガイド波センサから取り除く手順と、前記帯状シートを前記配管の周方向から取り除く手順と、前記ガイド波センサは、前記配管の肉厚内に前記ガイド波を伝播させる手順と、前記ガイド波センサは、前記配管内から反射した前記ガイド波を受信する手順と、前記ガイド波センサが受信したガイド波から配管の状態を判断する配管状態検知装置を用いて、配管の状態を判断する手順と、を含むことを特徴とする。
【0023】
上記構成により、本発明に係るガイド波検査方法は、帯状シート上に一定の間隔でスペーサーを貼り付けることで、配管と配管に貼り付けたガイド波センサとの間に形成される接着剤の厚さを一定にすることができる。このようなことから、配管の状態をより精度良く判断することができる。
【0024】
本発明の好ましい態様としては、前記配管状態検知装置は、前記ガイド波センサが前記配管の肉厚内に前記ガイド波を発信するように命令する発信装置と、前記ガイド波センサが受信した前記ガイド波を受ける受信装置と、を含むことを特徴とする。
【0025】
上記構成により、本発明に係るガイド波検査方法は、配管状態検知装置を備えることで、精度良く配管の状態を判断することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、配管の周方向にガイド波センサを貼り付ける際に、配管とガイド波センサとの接着剤の厚さを一定にする効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、実施形態1の配管状態検知装置を模式的に示す説明図である。
【図2】図2は、実施形態1のガイド波センサ設置方法のフロー図である。
【図3】図3は、実施形態1のスペーサーを帯状シートに取り付けた様子を模式的に示す説明図である。
【図4】図4は、実施形態1の帯状シートを配管に取り付けた様子を模式的に示す説明図である。
【図5】図5は、実施形態1の帯状シートを配管に取り付けた断面図である。
【図6】図6は、実施形態1のガイド波センサを配管に取り付けた様子を模式的に示す説明図である。
【図7】図7は、実施形態1のガイド波センサを配管に取り付けた断面図である。
【図8】図8は、実施形態1の弾性体を配管に取り付けた様子を模式的に示す説明図である。
【図9】図9は、実施形態1の弾性体を配管に取り付けた断面図である。
【図10】図10は、実施形態1のガイド波センサを配管に接着し終えた様子を模式的に示す説明図である。
【図11】図11は、実施形態1のガイド波センサを配管に接着し終えた断面図である。
【図12】図12は、実施形態2のガイド波センサ設置方法のフロー図である。
【図13】図13は、実施形態2のスペーサーを帯状シートに取り付けた様子を模式的に示す説明図である。
【図14】図14は、実施形態2の帯状シートを配管に取り付けた様子を模式的に示す説明図である。
【図15】図15は、実施形態2の帯状シートを配管に取り付けた断面図である。
【図16】図16は、実施形態2のガイド波センサを配管に取り付けた様子を模式的に示す説明図である。
【図17】図17は、実施形態2のガイド波センサを配管に取り付けた断面図である。
【図18】図18は、実施形態2の弾性体を配管に取り付けた様子を模式的に示す説明図である。
【図19】図19は、実施形態2の弾性体を配管に取り付けた断面図である。
【図20】図20は、実施形態2のガイド波センサを配管に接着し終えた様子を模式的に示す説明図である。
【図21】図21は、実施形態2のガイド波センサを配管に接着し終えた断面図である。
【図22】図22は、ガイド波センサを配管に取り付けた様子を模式的に示す説明図である。
【図23】図23は、ガイド波センサを配管に取り付けた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0029】
(実施形態1)
図1は、実施形態1の配管状態検知装置を模式的に示す説明図である。以下に、実施形態1の配管状態検知装置10について説明する。実施形態1の配管状態検知装置10は、配管15内の減肉や欠陥部等の箇所を定量的に評価するものである。また、配管状態検知装置10は、ガイド波センサ21と、発信装置11と、受信装置12と、配管状態評価装置13と、を含む。
【0030】
配管15は、火力プラントや化学プラント等で使用するため、頑丈であり長尺のものである。また、配管15の外径は、小さな径から大きな径と様々な種類がある。プラント等で使用する配管15の外径は、例えば、22mm〜3000mmのものである。
【0031】
ガイド波センサ21は、配管15の肉厚内の状態を検出するものである。ガイド波センサ21は、例えば、超音波深傷法等で多く用いられている。ガイド波センサ21は、配管15の内周面に向けて超音波を放射し、その後、配管15の内周面からの反射した超音波を受信するものである。ガイド波センサ21は、例えば、配管15の外周面に巻きつける。その後、ガイド波センサ21は、配管15の外周面から配管15内へ超音波を放射し、配管15内で反射した超音波を受信する。ガイド波センサ21は、例えば、鉄コバルト系のような金属材料の金属箔である。
【0032】
発信装置11は、ガイド波センサ21にガイド波を発信させるものである。また、受信装置12は、発信装置11によりガイド波センサ21が配管の肉厚内にガイド波を発信し、配管の肉厚部内から反射されてきたガイド波をガイド波センサ21が受信したことを検出するものである。
【0033】
配管状態評価装置13は、配管15の肉厚の減肉や欠陥の発生有無を判定するものである。配管状態評価装置13は、例えば、受信装置12で受信したガイド波と、予め設定したガイド波の値とを比較した結果から、配管15の肉厚の減肉や欠陥の発生有無を判定する。
【0034】
ガイド波センサ21を配管15の周方向に取り付ける場合には、接着剤22と、帯状シート23と、スペーサー24と、弾性体25と、が必要である。接着剤22は、ガイド波センサ21が剥がれ落ちない程度の接着力を有しているものである。接着剤22は、例えば、エポキシ系の接着剤である。
【0035】
帯状シート23は、配管15の外周を少なくとも一周できる程度の長さであれば良い。また、帯状シート23は、配管15に接着することができる程度の接着力を有するものである。帯状シート23は、例えば、両面テープである。両面テープは、任意の長さで切ることができるため、様々な配管の外径に対応することができる。また、帯状シート23は、両面テープであるため、テープ両面に接着力を有することになり、帯状シート23を配管15の外周面に貼り付ける場合やスペーサー24を帯状シート23に貼り付ける場合に、接着剤22を使用しなくて良いので、作業効率が向上する。
【0036】
スペーサー24は、例えば、金属や樹脂等の材質からなるものであり、柔らかく一定の厚さを持ったものである。本実施形態において、スペーサー24は、金属材料、より具体的にはアルミニウムを用いている。スペーサー24に樹脂材料を用いる場合、例えば、エポキシ樹脂を用いることができる。
【0037】
弾性体25は、例えば、ゴムバンドである。実施例1での弾性体25は、ゴムバンドを用いる。なお、弾性体25は、ゴムバンドに限定されるものではない。弾性体25は、配管15の周方向にガイド波センサ21を貼り付ける際に、確実にガイド波センサ21を配管15の周方向に貼り付け、ガイド波センサ21を配管15に固定するものである。
【0038】
図2は、実施形態1のガイド波センサ設置方法のフロー図である。図3は、実施形態1のスペーサーを帯状シートに取り付けた様子を模式的に示す説明図である。以下、図2及び図3を参照しながら、ガイド波センサ設置方法を説明する。ステップS101において、スペーサー24は、帯状シート23の長手方向に沿って、等間隔で貼り付けられる。また、例えば、スペーサー24は、配管15の周方向に沿って、帯状シート23上に配管15の中心角が90度となる間隔で4個貼り付けても良い。また、スペーサー24を帯状シート23に貼り付ける個数は、4個に限定されるものではない。例えば、帯状シート23上に配管15の中心角が90度となる間隔で8個のスペーサー24を貼り付けても良い。
【0039】
図4は、実施形態1の帯状シートを配管に取り付けた様子を模式的に示す説明図である。次に、ステップS102において、配管15の周方向に沿って、スペーサー24を貼り付けた帯状シート23を貼り付ける。また、帯状シート23は、配管15に一定の間隔を空けて貼り付けている。
【0040】
図5は、実施形態1の帯状シートを配管に取り付けた断面図である。帯状シート23は、配管15の周方向に沿って巻きつけられている。また、スペーサー24は、帯状シート23の外周面上に貼り付けられるようになる。スペーサー24は、配管15に貼り付けた帯状シート23の表面から突出したような形状となる。
【0041】
図6は、実施形態1のガイド波センサを配管に取り付けた様子を模式的に示す説明図である。次に、ステップS103に進み、ガイド波センサ21を配管15の外周面に沿って、一定の間隔で貼り付けた帯状シート23の間に貼り付ける。この場合、ガイド波センサ21は、初めに、配管15と接触するガイド波センサ21の表面上に、接着剤22が満遍なく塗布されている。その後、ガイド波センサ21は、配管15の周方向に沿って巻き付けられることで、配管15内の欠陥部16を精度良く見つけることができる。欠陥部16は、例えば、配管15内の減肉や欠陥等である。
【0042】
図7は、実施形態1のガイド波センサを配管に取り付けた断面図である。配管15には、スペーサー24を一定間隔で貼り付けた帯状シート23と、帯状シート23との間にガイド波センサ21と、が巻かれている。帯状シート23の厚さをt、スペーサー24の厚さをt、接着剤22を塗布したガイド波センサ21の厚さをtとすると、それぞれの厚さの大小関係は、t>t+tの関係となる。よって、ガイド波センサ21は、スペーサー24を有する帯状シート23よりも、配管15に取り付けた際の厚みが大きくなる。
【0043】
図8は、実施形態1の弾性体を配管に取り付けた様子を模式的に示す説明図である。弾性体25は、平面視が長方形形状の部材である。弾性体25の短手方向の長さは、配管15の周方向に沿って一定の間隔で貼り付けられた帯状シート23の少なくとも一部と、配管15の軸方向に向かって一定の間隔で貼り付けられた2つの帯状シート23の間に貼り付けたガイド波センサ21とを覆う長さとなれば良い。弾性体25の短手方向の長さは、例えば、弾性体25が、帯状シート23に一定間隔で貼り付けたスペーサー24上を覆うような長さとなれば良い。また、弾性体25の長手方向の長さは、配管15の外周面に沿って、帯状シート23とガイド波センサ21とを巻きつけることができれば良い。
【0044】
図9は、実施形態1の弾性体を配管に取り付けた断面図である。ステップS104において、帯状シート23は、配管15の周方向に沿って巻きつけられて、帯状シート23とガイド波センサ21とを締め付ける。スペーサー24は、帯状シート23上に貼り付けられている。スペーサー24は、配管15に貼り付けた帯状シート23上から配管15の径方向外側に向かって突出したような形状となる。弾性体25は、配管15の外周面に沿って巻きつけられる。弾性体25は、帯状シート23に複数取り付けたスペーサー24により、ガイド波センサ21との間に一定の間隔を保つことができる。よって、弾性体25は、配管15にガイド波センサ21を締め付け過ぎることがなくなる。
【0045】
また、弾性体25は、スペーサー24により、均一な力でガイド波センサ21を配管15の周方向に巻きつけることが可能である。接着剤22を塗布したガイド波センサ21の厚さtは、弾性体25により、スペーサー24を有する帯状シート23の厚さと同じ厚さになる。よって、大小関係は、t=t1+t2の関係となる。
【0046】
配管15とガイド波センサ21との間に形成された接着剤22の厚さは、0.5mm〜1mmとなることが好ましい。ガイド波センサ21は、接着剤22の厚さが0.5mm〜1mmの場合に、接着剤22の厚さによりガイド波が減衰することなく、配管15の肉厚部内にガイド波を発信することができる。また、ガイド波センサ21は、配管15の肉厚部内から反射したガイド波も、接着剤22の厚さにより減衰することなく、受信することができる。本発明によれば、配管15とガイド波センサ21との間に形成された接着剤22の厚さを0.5mm〜1mmとすることは容易であり、接着剤22の厚さを制御することも容易である。
【0047】
弾性体25は、配管15の外周面にガイド波センサ21が貼り付くまで、ガイド波センサ21を配管15の外周面に巻きついている。ステップS105において、弾性体25は、ガイド波センサ21が配管15の外周面に貼り付いて配管15の外周面に固定されると、配管15の外周面から取り外される。そして、弾性体25を配管15から取り外した後、ステップS106に進み、スペーサー24を複数貼り付けた帯状シート23を配管15からそれぞれ取り外す。
【0048】
図10は、実施形態1のガイド波センサを配管に接着し終えた様子を模式的に示す説明図である。ガイド波センサ21は、弾性体25と、帯状シート23上に貼り付けたスペーサー24を有する帯状シート23と、を配管15から取り除くことで、配管15の外周面との間に均一の厚さを持つ接着剤22を備えて、配管15の外周面に固定される。ガイド波センサ21は、配管15の外周面に、一定の厚さを備える接着剤22を有して固定される。ガイド波センサ21は、ガイド波センサ21と配管15との間にある接着剤22を一定の厚さに保つことで、精度良くガイド波を配管15の肉厚部内に発信することができる。また、ガイド波センサ21は、配管15の肉厚部内から反射したガイド波も、精度良く受信することができる。
【0049】
図11は、実施形態1のガイド波センサを配管に接着し終えた断面図である。ガイド波センサ21は、配管15とガイド波センサ21との接着剤22の厚さが均一となり、配管15の周方向に巻きつけることで可能となる。よって、ガイド波センサ21は、配管15内の欠陥部16を精度良く見つけることができる。
【0050】
(実施形態2)
図12は、実施形態2のガイド波センサ設置方法のフロー図である。図12のフロー図を参照しながら、ガイド波センサ設置方法を説明する。図13は、実施形態2のスペーサーを帯状シートに取り付けた様子を模式的に示す説明図である。実施形態2での帯状シート33は、例えば、ビニールテープである。ビニールテープは、他のテープと比べて耐久性を有している。また、実施形態2は、実施形態1のガイド波センサ21と、接着剤22と、スペーサー24と、弾性体25と同様であるが、このようなものに限定されるわけではない。
【0051】
ステップS201において、初めに、配管15と帯状シート33が接する面の長手方向にスペーサー34を一定の間隔で貼り付ける。実施形態1と同様に、例えば、スペーサー34は、配管15の周方向に沿って、帯状シート33上に等間隔で4つ貼り付ける。スペーサー34を帯状シート33に貼り付ける個数は、4つに限定されるものではない。例えば、帯状シート33上に、配管15の周方向に沿って等間隔で8つ貼り付けても良い。
【0052】
図14は、実施形態2の帯状シートを配管に取り付けた様子を模式的に示す説明図である。図12のステップS202において、スペーサー34を複数貼り付けた帯状シート33を配管15の周方向に沿って貼り付ける。また、帯状シート33は、配管15に一定の間隔を空けて貼り付ける。ガイド波センサ31は、実施形態1と同様に、配管15の周方向に沿って一定の間隔に貼り付けた帯状シート33の間に貼り付ける。
【0053】
図15は、実施形態2の帯状シートを配管に取り付けた断面図である。帯状シート33は、配管15の周方向に沿って巻きつけられている。スペーサー34は、帯状シート33と、配管15との間に挟まる形状となる。帯状シート33は、スペーサー34が配管15と複数接触することで、配管15の外周面に沿って固定される。
【0054】
図16は、実施形態2のガイド波センサを配管に取り付けた様子を模式的に示す説明図である。図12のステップS203において、ガイド波センサ31を配管15の外周面に沿って、一定の間隔で貼り付けた帯状シート33の間に貼り付ける。この場合、ガイド波センサ31は、実施形態1と同様に、配管15と接触するガイド波センサ31面上に、接着剤32を満遍なく塗布している。その後、ガイド波センサ31は、配管15の周方向に沿って巻きつけるので、配管15の肉厚内全周にガイド波を発信することができる。このため、配管15内の欠陥部16を精度良く発見することができる。
【0055】
図17は、実施形態2のガイド波センサを配管に取り付けた断面図である。配管15には、スペーサー34を一定間隔で貼り付けた帯状シート33と、帯状シート33との間にガイド波センサ31と、が巻かれている。実施例2では、スペーサー34は、配管15と帯状シート33との間にある。また、帯状シート33の厚さをT1、スペーサー34の厚さをT2、接着剤32を塗布したガイド波センサ31の厚さをTとすると、それぞれの厚さの大小関係は、T>T1+T2の関係となる。よって、ガイド波センサ31は、スペーサー34を有する帯状シート33よりも、配管15に取り付けた際に厚みを持つ。
【0056】
図18は、実施形態2の弾性体を配管に取り付けた様子を模式的に示す説明図である。実施形態2の弾性体35は、実施形態1の弾性体25と同様であるが、実施形態1の弾性体25に限定されるわけではない。図12のステップS204において、弾性体35は、配管15の周方向に沿って、巻きつける。また、弾性体35の短手方向の長さは、配管15の外周面に沿って一定の間隔で貼り付けられた帯状シート33と、一定の間隔で貼り付けられた帯状シート33との間に貼り付けたガイド波センサ31とを覆う長さとなれば良い。弾性体35の短手方向の長さは、例えば、弾性体35は、帯状シート33を覆うような長さとなれば良い。また、弾性体35の長手方向の長さは、配管15の外周面に沿って、帯状シート33とガイド波センサ31を巻きつけることができれば良い。
【0057】
図19は、実施形態2の弾性体を配管に取り付けた断面図である。帯状シート33は、配管15の外周面に沿って巻きつけられている。スペーサー34は、配管15の外周面と帯状シート33との間に挟まれた形状となる。弾性体35は、配管15の外周面に沿って巻きつけられる。弾性体35は、帯状シート33に複数取り付けたスペーサー34により、配管15と一定の間隔で帯状シート33を締め付ける。弾性体35は、スペーサー34により、ガイド波センサ31との間に一定の隙間を設けることができる。
【0058】
弾性体35は、配管15と帯状シート33との間に挟まれたスペーサー34により、配管15の外周面に沿って貼り付けたガイド波センサ31を締め付けすぎることはなくなる。また、弾性体35は、スペーサー34により、均一な力でガイド波センサ31を配管15の外周面に巻きつけることができる。配管15とガイド波センサ31との間に形成された接着剤32の厚さを均一にすることができる。よって、接着剤32を塗布したガイド波センサ31の厚さTは、弾性体35により、スペーサー34を有する帯状シート33の厚さと同じ厚さになる。大小関係は、T=T+Tの関係となる。
【0059】
ステップS205において、弾性体35は、配管15の外周面にガイド波センサ31が貼り付くまで、ガイド波センサ31を配管15の外周面に巻きつける。弾性体35は、ガイド波センサ31が配管15の外周面に張り付いて配管15の外周面に固定されると、配管15の外周面から取り外される。弾性体35を配管15から取り外した後、ステップS206に進み、スペーサー34を複数貼り付けた帯状シート33を配管15からそれぞれ取り外す。
【0060】
図20は、実施形態2のガイド波センサを配管に接着し終えた様子を模式的に示す説明図である。ガイド波センサ31は、弾性体35と、配管15と帯状シート33に挟まれるスペーサー34を有する帯状シート33と、を配管15から取り除くことで、配管15の外周面との間に均一の厚さを持つ接着剤32を備えて、配管15の外周面に固定される。
【0061】
図21は、実施形態2のガイド波センサを配管に接着し終えた断面図である。ガイド波センサ31は、配管15の外周面に、一定の厚さを備える接着剤32を有して固定される。ガイド波センサ31は、ガイド波センサ31と配管15との間にある接着剤32を一定の厚さに保つことで、精度良くガイド波を配管15の肉厚部内に発信することができる。また、ガイド波センサ31は、配管15の肉厚部内から反射したガイド波も、精度良く受信することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 配管状態検知装置
11 発信装置
12 受信装置
13 配管状態評価装置
15 配管
16 欠陥部
21 ガイド波センサ
22 接着剤
23 帯状シート
24 スペーサー
25 弾性体
31 ガイド波センサ
32 接着剤
33 帯状シート
34 スペーサー
35 弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状シートの長手方向に沿って、前記帯状シート上に一定の間隔でスペーサーを貼り付ける手順と、
配管の周方向に沿って、前記配管の表面に2枚の前記帯状シートを一定の間隔で貼り付ける手順と、
前記配管の周方向に沿って、前記配管の表面かつ前記帯状シートの間にガイド波センサを貼り付ける手順と、
前記配管の周方向に沿って、弾性体が前記帯状シートと前記ガイド波センサとを前記配管に巻きつけて締め付ける手順と、
前記弾性体を前記帯状シート及び前記ガイド波センサから取り除く手順と、
前記帯状シートを配管の周方向から取り除く手順と、
を含むことを特徴とするガイド波センサ設置方法。
【請求項2】
配管の周方向に沿って、前記配管の表面に2枚の帯状シートを一定の間隔で貼り付ける手順と、
帯状シートの長手方向に沿って、2枚の前記帯状シート上にそれぞれ一定の間隔でスペーサーを貼り付ける手順と、
前記配管の周方向に沿って、前記配管の表面かつ2枚の前記帯状シートの間にガイド波センサを貼り付ける手順と、
前記配管の周方向に沿って、弾性体が前記帯状シートと前記ガイド波センサとを前記配管に巻きつけて締め付ける手順と、
前記弾性体を前記帯状シート及び前記ガイド波センサから取り除く手順と、
前記帯状シートを配管の周方向から取り除く手順と、
を含むことを特徴とするガイド波センサ設置方法。
【請求項3】
前記スペーサーは、前記配管と接触しない前記帯状シートの表面に貼り付けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガイド波センサ設置方法。
【請求項4】
前記帯状シートは、両面テープであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガイド波センサ設置方法。
【請求項5】
前記スペーサーは、前記配管と接触する前記帯状シート面に貼り付けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガイド波センサ設置方法。
【請求項6】
前記帯状シートは、ビニールテープであることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項5に記載のガイド波センサ設置方法。
【請求項7】
前記弾性体は、ゴムバンドであることを特徴する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のガイド波センサ設置方法。
【請求項8】
帯状シートの長手方向に沿って、帯状シート上に一定の間隔でスペーサーを貼り付ける手順と、
配管の周方向に沿って、前記配管の表面に前記帯状シートを一定の間隔で貼り付ける手順と、
前記配管の周方向に沿って、前記配管の表面かつ前記帯状シートの間にガイド波センサを貼り付ける手順と、
前記配管の外周面に沿って、弾性体が前記帯状シートと前記ガイド波センサとを前記配管に巻きつけて締め付ける手順と、
前記弾性体を前記帯状シート及び前記ガイド波センサから取り除く手順と、
前記帯状シートを前記配管の周方向から取り除く手順と、
前記ガイド波センサは、前記配管の肉厚内に前記ガイド波を伝播させる手順と、
前記ガイド波センサは、前記配管内から反射した前記ガイド波を受信する手順と、
前記ガイド波センサが受信したガイド波から配管の状態を判断する配管状態検知装置を用いて、配管の状態を判断する手順と、
を含むことを特徴とするガイド波検査方法。
【請求項9】
配管の周方向に沿って、前記配管の表面に前記帯状シートを一定の間隔で貼り付ける手順と、
帯状シートの長手方向に沿って、帯状シート上に一定の間隔でスペーサーを貼り付ける手順と、
前記配管の周方向に沿って、前記配管の表面かつ前記帯状シートの間にガイド波センサを貼り付ける手順と、
前記配管の周方向に沿って、弾性体が前記帯状シートと前記ガイド波センサとを前記配管に巻きつけて締め付ける手順と、
前記弾性体を前記帯状シート及び前記ガイド波センサから取り除く手順と、
前記帯状シートを前記配管の周方向から取り除く手順と、
前記ガイド波センサは、前記配管の肉厚内に前記ガイド波を伝播させる手順と、
前記ガイド波センサは、前記配管内から反射した前記ガイド波を受信する手順と、
前記ガイド波センサが受信したガイド波から配管の状態を判断する配管状態検知装置を用いて、配管の状態を判断する手順と、
を含むことを特徴とするガイド波検査方法。
【請求項10】
前記配管状態検知装置は、前記ガイド波センサが前記配管の肉厚内に前記ガイド波を発信するように命令する発信装置と、前記ガイド波センサが受信した前記ガイド波を受ける受信装置と、
を含むことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のガイド波検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−122976(P2012−122976A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276340(P2010−276340)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】