ガスケット付きパイプクランプ
パイプクランプは、バンドの第1および第2の軸方向端部の内側に配置された第1の溝セグメントを規定する内面を有するバンドと、バンドの第1および第2の周方向端部を互いに向かって導きバンドを締付けるための締付機構と、内面に当接し、締付機構に配置された第1の溝セグメントの切れ目に周方向に跨るブリッジとを含む。ブリッジは、第1および第2の溝セグメントがクランプの内側部分に配置された実質的に連続的な環状の溝をともに規定するように第1の溝セグメントと位置合せされた第2の溝セグメントを有する。パイプクランプは、少なくとも部分的に溝内に設置されたガスケットをさらに含む。ブリッジは、締付機構において使用される反作用ブロックに取付けられ、バンドの締付け中に適切な位置を維持することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
この発明はパイプクランプに関し、ガスケットを有するパイプクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
パイプクランプは一般的に、筒状の構成要素、たとえばパイプまたは筒状のハウジングを互いに結合するために使用される。これらのクランプは多様な用途で使用することができ、いくつかのクランプは、特定の構成要素のためにまたは特定の用途での使用のために特定的に設計され、他のクランプは、より一般的または普遍的に利用可能となるように意図された設計のものである。パイプクランプのそのような用途の一つは、自動車の排気系における接続パイプまたは他の構成要素にある。多くの場合、これらの排気系用途は、排気ガス漏れに対して封止しかつ軸方向の分離に対して十分な抵抗力を有するパイプ端部間の接合部を必要とするか、または少なくとも望ましくは提供する。パイプクランプの一種として、入れ子式に重なり合うパイプ端部に使用されるバンドクランプがあり、別の種類として、端部と端部とが当接するパイプ端部に使用されるパイプ連結器がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
どちらの種類も、通常はパイプ端部の上に配置され締付けられる金属バンドを含み、どちらの種類も、バンドとパイプ端部との間に挟まれる封止スリーブおよび/またはガスケットを含むことができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
発明の一実施例によれば、提供されるパイプクランプは、バンドの第1および第2の軸方向端部の内側に配置された第1の溝セグメントを規定する内面を有するバンドと、バンドの第1および第2の周方向端部を互いに近付けてバンドを締付けるための締付機構と、内面に当接し、締付機構において配置された第1の溝セグメントの切れ目に周方向に跨るブリッジとを含む。ブリッジは、クランプの内側部分に配置された実質的に連続的な環状の溝を第1および第2の溝セグメントがともに規定するように第1の溝セグメントと位置合せされた第2の溝セグメントを有する。パイプクランプはさらに、溝内に少なくとも部分的に設置されたガスケットを含む。
【0005】
発明の別の実施例によれば、提供されるパイプクランプは、バンドの第1および第2の軸方向端部の内側に配置された第1の溝セグメントを規定する内面を有するバンドと、バンドの第1および第2の周方向端部を互いに近付けてバンドを締付けるための締付機構と、内面に当接し、締付機構において配置された第1の溝セグメントの切れ目に周方向に跨るブリッジと、第1の溝セグメント内に少なくとも部分的に設置されたガスケットとを含む。締付機構は反作用ブロックを含み、ブリッジが反作用ブロックの径方向に面する内側の面に取付けられる。締付機構の締付け後、前記バンドの第1および第2の周方向端部が互いにかつ反作用ブロックに接近すると、ブリッジは反作用ブロックに従う。
【0006】
発明の他の実施例では、バンドと、締付機構と、ブリッジと、バンドの周りに周方向にかつブリッジを通って延在する溝内に少なくとも部分的に配置されたガスケットとを有するパイプクランプが提供される。これらの実施例のいくつかにおいて、ブリッジは、選択された角度(たとえば1°〜10°の範囲内)で傾斜が付けられた周方向端部を有することができ、それにより前記ガスケットが設置される溝の実質的に非断続的な内面をもたらす。これらまたは他の実施例のいずれかにおいて、締付機構は、ブリッジの1つ以上の径方向に突出する浮出部に係合する反作用ブロックを含むことができ、それによりバンドの締付け中にブリッジに対して径方向内側への力を及ぼす。また、これらまたは他の実施例において、ブリッジおよびバンドの各々は、使用およびバンドの締付け中にバンド下でのブリッジの位置決めを案内するように作用する協動パイロット機能を有することができる。パイロット機能はいずれかの好適なやり方で構成されることができるが、いくつかの実施例では、バンドに配置された切欠きと、切欠きに嵌合するブリッジから径方向に延在するフィンガーとを含む。切欠きとフィンガーパイロット機能とを使用する実施例のうちのいくつかでは、それぞれの切欠きとのフィンガーの係合によっていずれかの軸方向にバンドに対して軸方向にブリッジが移動することが抑制されるように、別個の切欠きおよびフィンガーをバンドおよびブリッジの各軸方向端部に配置することができる。
【0007】
図面の簡単な説明
以下、本発明の好ましい典型的な実施例について添付の図面と関連付けて説明する。同様の参照符号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】マルチパイプアセンブリの斜視図である。
【図2】パイプクランプの典型的な実施例の拡大図である。
【図3】図2のパイプクランプの分解図である。
【図4】図2のパイプクランプに使用されるブリッジの典型的な実施例の拡大図である。
【図5】図4の線5−5に沿う図2のパイプクランプの断面図である。
【図6】図2のパイプクランプに使用されるパイロット機能の典型的な実施例の拡大図である。
【図7】図2のパイプクランプの側面図である。
【図8】図2のパイプクランプに使用されるプローブボスの典型的な実施例の拡大図である。
【図9】緩められた状態で示されるブリッジおよびガスケットアセンブリの典型的な実施例の拡大図である。
【図10】図9のブリッジおよびガスケットアセンブリの部分拡大図である。
【図11】締付けられた状態で示される図9のブリッジおよびガスケットアセンブリの拡大図である。
【図12】図11の線12−12に沿う断面図である。
【図13】パイプ端部と相互作用するブリッジおよびガスケットアセンブリを示す、図11の線13−13に沿う断面図である。
【図14】締付けられた状態で示されるブリッジおよびガスケットアセンブリの典型的な実施例の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
好ましい実施例の詳細な説明
図面を参照して、パイプクランプ10の典型的な実施例は、自動車の排気系においてパイプ端部同士を接合して、軸方向の分離に対して十分な抵抗力を有する液密封止を与えるために使用される。図示および説明されるように、パイプクランプ10は、当接するパイプ端部同士を固定するためのパイプ結合器としての使用に好適であるが、入れ子式に重なり合うパイプ端部に適合させることができる。一般的に、パイプクランプ10は概して環状円筒形状を有し、この形状は、この形状の中心軸に沿ってまたは中心軸に対してほぼ平行に延びる軸方向と、この形状の半径に沿って延びる径方向と、この形状の円周に沿って延びる周方向とを規定する。
【0010】
図1を参照して、マルチクランプ10は、セミトレーラートラックなどの大きなトラックに一般に設けられ、かつディーゼル微粒子除去装置(DPF)に一般に関連付けられるマルチパイプアセンブリ12において使用することができる。これらの高温用途では、マルチパイプアセンブリ12をその周囲から絶縁するためにマルチパイプアセンブリ12の周りに熱シールド14(仮想線)が配置されることが多く、マルチパイプクランプ10は、それらの構造が熱シールドに干渉しないように方向付けられる。図1に示されるDPF用途とは別に、パイプクランプ10は、他の排気系構成要素、単一の排気パイプアセンブリ、および熱シールドを有さないより小さな自動車に使用することができる。したがって、開示され請求項に記載されるパイプクランプは、規則的な直線パイプセクションを固定するためだけでなく、自動車用システムのDPFキャニスタ、触媒コンバータおよび他の筒状の構成要素などや非自動車用途にも使用することができる。
【0011】
図2および図3を参照して、パイプクランプ10は、当接するかまたは接近して当接する第1のパイプ16の第1のパイプ端部18を第2のパイプ20の第2のパイプ端部22と結合する。例示されている実施例では、パイプクランプ10は、バンド24と、締付機構26と、ブリッジ28と、ガスケット30とを含む。
【0012】
バンド24は、第1および第2のパイプ端部18,22を周方向に包囲する。バンド24は、開ループに金属加工された409グレードステンレス鋼などの鋼板または別の好適な材料から作ることができる。異なる例では、バンド24の軸方向の幅は約55〜68mmの範囲であり、径方向厚みは約1.22mmである。当然他の寸法が可能であり、用途次第であろう。図2および図3を参照して、バンド24は、周方向において第1の周方向端部32から第2の周方向端部34まで延在し、軸方向において第1の軸方向端部36から第2の軸方向端部38まで延在する。バンド24は、径方向内方に面する側において内面40を有し、径方向外方に面する側において外面42を有する。
【0013】
図示されている実施例では、バンド24は、第1および第2のフランジ44,46と、第1の溝セグメント48と、第1および第2のパイロット機能50,52と、プローブボス54とを有する。図4に良く示されるように、第1および第2のフランジ44,46は、第1および第2の周方向端部32,34の一体型部分をそれぞれ含み、互いに離れる方向に折曲げられそれ自身の上に折返されて径方向に突出する一対のループをもたらすバンド24の部分によって形成される。各ループは、内側脚部および外側脚部を有する。第1の溝セグメント48はガスケット30を収容し、第1および第2の軸方向端部36,38の内側においてバンド24のほぼ軸方向中間に配置され、周方向においては第1の周方向端部32と第2の周方向端部34との間の少なくとも途中まで延在する。第1の溝セグメント48は内面40に配置され、外面42において径方向に突出するリブを形成する。一例では、すぐ周囲にあり溝のない内面40から測定される第1の溝セグメント48の径方向深さは約0.4mmであり、第1の溝セグメントの正確な径方向深さは異なる用途によって変動することがあり、他の要因のうち、ガスケット30の径方向厚みに依存することがある。第1の溝セグメント48は、軸方向に延在する第1および第2の側壁60,62に至る傾斜した第1および第2の移行セクション56,58と境界を接する。いくつかの実施例では、第1の溝セグメント48は、各フランジが、その下部部分に配置され、フランジが第1の溝セグメントを収容することができるように外面42の径方向に突出するリブと一致する径方向に突出するリブまたは浮き彫りにされたもしくは切れ込みの入ったセクションを有するように、第1および第2のフランジ44,46へと周方向に延在する。
【0014】
第1およびおよび第2のパイロット機能50,52は、ブリッジ28の相補的なパイロット機能と相互作用して、バンド24に関するブリッジの位置決めを案内する。最初に組み立てられると、パイロット機能は、ブリッジ28がバンド24に対して軸方向にかつ周方向に配置するのを支援する。また、締付けられると、パイロット機能は、バンド24に対するブリッジ28の軸方向および周方向位置を維持するのを支援する。図2および図6を参照して、例示されている実施例では、第1および第2のパイロット機能50,52は、第1および第2の軸方向端部36,38にそれぞれ配置された第1および第2の矩形の切欠きである。他の実施例では、第1および第2のパイロット機能50,52は異なる設計および配置を有することができる。たとえば、パイロット機能はバンド24に配置されかつ軸方向端部36,38の軸方向内方に位置決めされた開口部であってもよいし、パイロット機能は径方向内方の突起であってもよいし、単一のパイロット機能または3つ以上のパイロット機能を設けてもよいし、それらの組合せであってもよい。さらに、第1および第2のパイロット機能をバンド24に設ける必要はない。
【0015】
図2および図8を参照して、プローブボス54は、第1および第2のパイプ16,20を通る排気ガスの温度および/または圧力を調べることができるように温度および/または圧力プローブを収容する。プローブボス54は、プローブボスとバンドとの間の境界面において周縁溶接64を介してバンド24に装着される。プローブボス54は、関連付けられたプローブを第1のパイプ端部18と第2のパイプ端部22との間に配置された間隙65を通って挿入することができるように、第1の溝セグメント48に配置される(図5)。プローブは、プローブボス54に配置された通路66と、バンド24に配置された通路68とを通って挿入することができる。他の実施例では、プローブボス54を設ける必要はない。
【0016】
締付機構26はバンド24に接続され、この締付機構を締付けることによって第1の周方向端部32と第2の周方向端部34とを互いに近付けることができ、緩めることによって第1の周方向端部32と第2の周方向端部34とを互いから離すことができる。図3を参照して、例示されている実施例では、締付機構26は、ボルトナット締結具を2つ組合せたものと、反作用ブロック70と、裏板72とを含む。この締結具の組合せは、第1および第2のTボルト74,76と、第1および第2のナット78,80とを含む。各ボルトは、締付力を均等に分散させるための半円形のヘッドを有し、部分的にねじ切りされた軸を有する。反作用ブロック70は、二重凸形状を有し、第1および第2のTボルト74,76を収容するための一対の通路を有する。反作用ブロック70は、径方向に面する内側の表面82(図5)を有し、表面82は、平坦な面またはアーチ状の面とすることができる。裏板72は、半円形状を有し、第1および第2のTボルト74,76を収容するための一対の通路を有する。組立てられるとき、第1および第2のTボルト74,76は、それぞれの通路と、第1および第2のフランジ44,46に配置された通路とを通って挿入される。締付けられるとき、第1および第2のナット78,80は第1および第2のTボルト74,76の上にねじ込まれ、半円形のヘッド、反作用ブロック70、および裏板72がともに作用して、第1および第2の周方向端部32,34を互いに向かって引張り、バンド24の円周全体に均等に分散される径方向内方への力を生じさせる。他の実施例では、締付機構26は異なる構造および構成を有することができる。たとえば、締付機構26はボルトナット締結具の組合せを1つ有することができ、反作用ブロック70および裏板72は、径方向に突出するリブを収容するためにそれらの径方向に面する内面に切欠きを有することができ、反作用ブロックおよび/または裏板は設ける必要はなく、締付機構は、たとえばLovgren他の米国特許第7,441,311号に一例として示されているような迅速取付型とすることができる。
【0017】
組立てられるとき、ブリッジ28は、他の部分では周方向に連続的なバンド24の切れ目84(図3)に跨り、そこを排気ガス漏れから保護する。断面形状において、ブリッジ28はバンド24の断面形状に概ね合致し、ある意味ではブリッジ28はバンド24の切断セグメントである。いくつかの場合、ブリッジ28は、他のパイプクランプに設けられる周方向に連続的な内側封止スリーブまたは周方向に不連続な分割された内側封止スリーブを置換するが、必要ではない。ブリッジ28は、グレード409ステンレス鋼などの鋼から、または別の好適な材料から作製することができる。異なる例では、ブリッジ28は約55〜68mmの範囲の軸方向幅を有することができ、約1.22mm、約0.74mm、または約0.38mmの径方向厚みを有することができる。当然他の寸法が可能であり、用途に依存することができる。たとえば、ブリッジ28の正確な径方向厚みは、他の要因の中で、バンドの必要とされるまたは所望の構造的一体性とガスケット30の径方向厚みとに依存することができる。
【0018】
図3および図4を参照して、ブリッジ28は、バンド24の軸方向長さに跨り、バンドの第1の軸方向端部36と軸方向に位置合せされた第1の軸方向端部86と、バンドの第2の軸方向端部38と軸方向に位置合せされた第2の軸方向端部88とを有する。ブリッジ28は、切れ目84の周方向長さと少なくとも同じ範囲を占め、図示されているより長くても短くてもよい周方向長さを有する。ブリッジ28は、周方向において第1の周方向端部90から第2の周方向端部92まで延在する。第1の周方向端部90は第1の面取り部または斜面94(図7)を有し得、第2の周方向端部92は第2の面取り部または斜面96を有し得る。垂直な段差を生じさせ、いくつかの場合にはガスケットを変形させ、ゆえに流体漏れの原因となり得る、斜面がつけられていない端部と比較して、第1および第2の斜面94,96は、設置されたガスケット30を収容するためにブリッジ28とバンド24との間に大部分非断続的な滑らかな推移をもたらす。いくつかの場合、ブリッジ28とバンド24との間の最小移行構造(たとえば斜面がつけられた縁)によって、他の場合(たとえば垂直な段差)よりも薄いガスケットの使用が容易となる。一例では、第1および第2の斜面がつけられた表面は、ブリッジ28の外面100に関して1〜10°、好ましくは2°の角度をなす。第1および第2の斜面94,96は、第1および第2の周方向端部90,92それぞれの縁に沿って連続的に配置される。径方向内方に面する側においてブリッジ28は内面98を有し、径方向外方に面する側においてブリッジは外面100を有する。
【0019】
図3〜図5を参照して、例示されている実施例では、ブリッジ28は、第2の溝セグメント102と、第1および第2の浮出部104,106と、第1および第2のパイロット機能108,110とを有する。第2の溝セグメント102は、形状および寸法がバンド24の第1の溝セグメント48と同様である。組み立てられると、第1および第2の溝セグメント48,102はともに、パイプクランプ10の内側部分にまたはパイプクランプの径方向内方に面する内面上に配置された周方向に連続的な環状の溝112を規定する。第2の溝セグメント102はガスケット30の一セクションを収容し、第1および第2の軸方向端部86,88の内側においてブリッジ28のほぼ軸方向中間に配置され、周方向においては第1の周方向端部90と第2の周方向端部92との間に延在する。第2の溝セグメント102の軸方向長さは、第1の溝セグメント48の軸方向長さと実質的に同じであってもよいし、第1の溝セグメントの軸方向長さより若干短くてもよい。第2の溝セグメント102は、内面98に配置され、外面100において径方向に突出するリブを形成する。一例では、すぐ周囲にあり溝のない内面98から測定される第2の溝セグメント102の径方向深さは約0.4mmである。第2の溝セグメントの正確な径方向深さは異なる用途によって変動することがあり、他の要因のうち、ガスケット30の径方向厚みに依存することがある。第2の溝セグメント102は、軸方向に延在する第1および第2の側壁118,120に至る傾斜した第1および第2の移行セクション114,116と境界を接する。
【0020】
第1および第2の浮出部104,106はそれぞれ第1および第2の側壁118,120に配置され、組立てられると、径方向において締付機構26の下方に配置される。各浮出部104、106は、外面100において径方向に突出する矩形構造を形成することもできるし、別の形状の構造を形成することもできる。軸方向において、各浮出部104,106は側壁118,120それぞれの軸方向長さの大部分に跨り、周方向において、各浮出部は反作用ブロック70の周方向長さに跨る。組立てられると、かつ緩められた状態では(つまり締付けられていない)、第1および第2の浮出部104,106と第1および第2のパイプ16,20との間に、第1および第2の空間122,124が配置される。
【0021】
第1および第2のパイロット機能108,110は、バンド24の第1および第2のパイロット機能50,52を補完し、相互作用する。図3、図4および図6を参照して、例示されている実施例では、第1および第2のパイロット機能108,110は、第1および第2の軸方向端部86,88から径方向外側にそれぞれ延在する第1および第2のフィンガーである。第1および第2のフィンガーは、バンド24の第1および第2の切欠きに収容される。バンド24の第1および第2のパイロット機能50,52のように、第1および第2のパイロット機能108,110は異なる設計および配置を有することができ、バンドのパイロット機能の設計および配置に大きく依存することができ、逆もまた同様である。たとえば、パイロット機能は軸方向端部の内側に配置されてもよいし、パイロット機能は切欠きまたは開口部であってもよいし、単一のパイロット機能または3つ以上のパイロット機能を設けてもよいし、それらの組合せであってもよい。さらに、パイロット機能をブリッジに設ける必要はない。
【0022】
いくつかの実施例では、ブリッジ28をパイプクランプ10の他の構成要素にあらかじめ組付けることができるが、必要ではない。たとえば、第2の周方向端部92の付近など、ブリッジおよびバンドのパイロット機能とは反対側において、ブリッジ28を1つ以上のスポット溶接によってバンド24に取付けることができる。この場合、適切な周方向調整のために組立てて締付けると、第1の周方向端部90と第1および第2のパイロット機能108,110とは、第1の周方向端部32に対して周方向に摺動可能となる。また、ブリッジ28を1つ以上のスポット溶接によって反作用ブロック70に取付けることができる。これらのスポット溶接は、溝セグメントの変形および組立後の起こり得るガスケット30との干渉を回避するために、第2の溝セグメント102から離して配置することができる。さらに、バンドの第1および第2の軸方向端部36,38に巻付けられた折返されたタブなどによる機械的連動装置によって、ブリッジ28をバンド24に取付けることができる。
【0023】
ガスケット30は溝112に設置され、第1および第2のパイプ端部18,22においてガスケット−金属封止を形成する。ガスケット30は、目的の用途によっていずれかの好適な材料で作製することができる。たとえば、バンドクランプ10が締付けられると、比較的軟かい材料が圧縮される。自動車用途では、そのような材料は、グラファイト系材料、マイカ系材料、セラミック繊維、およびガラス繊維を含むことができる。いくつかの場合かつガスケット30に使用される材料に依存して、酸化を引起こし得る排気ガスとの直接接触からガスケットを保護するために、ステンレス鋼箔を内面126上に配置することができる。図3および図5を参照して、ガスケット30は、外面128を有し、溝112の軸方向幅とほぼ等しい軸方向幅を有する。ガスケット30は、溝112の径方向深さとほぼ同じかまたはそれより大きい径方向厚みを有することができる。径方向深さより径方向厚みが大きい場合には、側壁60,62とパイプ16,20の外面との間の金属間係合を可能とするために、締付機構26の停止後にガスケットを径方向に圧縮することができる。いくつかの場合、径方向により薄いガスケット30がそのような金属間係合を容易にすることができる。ガスケット30の径方向厚みの例は、0.5mm、0.76mm、および1.5mmである。当然他の厚みが可能である。ガスケット30をバンド24に、および/またはブリッジ28にあらかじめ組付けるために、圧力感知接着剤を外面128上に配置することができる、またはガスケットを圧入によってバンドにあらかじめ組付ける弾性の径方向外方へのばね力を与えるために、ステンレス鋼構造をガスケットに埋込むことができる。図示しないが、温度および/または圧力プローブを収容するために、ガスケット30に通路を配置することができる。他の実施例では、ガスケット30は異なる構造を有することができる。たとえば、ガスケット30は図示されるように周方向に連続的である必要はなく、その代り、噛合う周方向の端部を有する開ループのように周方向に不連続であってもよいし、ガスケットは溝112の軸方向幅より大きいかまたは小さい軸方向幅を有してもよい。
【0024】
使用の際、ブリッジ28は、バンド24の内部にかつ径方向において締付機構26の下方に位置決めされる。ブリッジ28の外面100は、バンド24の内面40に当接し、第2の溝セグメント102によって形成される径方向に突出するリブの外面と第1および第2の浮出部104,106の外面とが、反作用ブロック70の内側の表面82に当接する。パイプクランプ10がパイプ端部18,22の周りに置かれる前に、ガスケット30を溝112に設置することができる。その後、ガスケット30は、その固有の弾性によって溝に対してガスケットによって及ぼされる外方へのばね力によって溝112内に設置されたままである、または接着剤、戻り止め、もしくは別の機械的相互接続によって溝内により確実に保持することができる。
【0025】
締付け後、反作用ブロック70は、第2の溝セグメント102の径方向に突出するリブと第1および第2の浮出部104,106とに対して径方向内方への力を及ぼし、第2の溝セグメント102の径方向に突出するリブと第1および第2の浮出部104,106とはさらに、ガスケット30と第1および第2のパイプ端部18,22とに対して径方向内方への力を及ぼす。したがって、及ぼされた径方向力を、それ自体が変形しガスケットを過剰圧縮し得るブリッジの径方向に突出するリブに過度に分散させることと対照的に、径方向に突出するリブと第1および第2の浮出部104,106とはともに、及ぼされた径方向内方への力をブリッジ28の軸方向幅全体にわたって、かつ下にあるガスケット30およびパイプ端部18,22に分散させる。第1および第2の浮出部104,106は、反作用ブロック70の下方の位置において剛性を与え、ブリッジ28を強化し、そこでのガスケット30の過剰圧縮と、さもなければ生じ得る結果的な漏れとを防ぐ。また、分散された径方向の力は、さもなければ、径方向に突出するリブに対してかつ第1および第2の浮出部104,106がない場合に生じ得る、反作用ブロック70に対する変形を防ぐ。例示されている実施例では、バンドの切欠きの周方向長さによって、さもなければブリッジ28の第1および第2のフィンガーから生じ得る干渉を回避しつつ、締付け後にバンドを周方向に収縮させることが可能となる。
【0026】
図9〜図13を参照して、ブリッジおよびガスケットアセンブリの例示されている実施例は、ブリッジ228と、第1のガスケット230と、第2のガスケット231とを含む。ブリッジおよびガスケットアセンブリは、図1〜図8を参照して説明されたバンドおよび締付機構を有するパイプクランプ10の一部であり得る。
【0027】
ブリッジ228は、いくつかの点で図1〜図8のブリッジ28と同様であり、それらの類似点のうちいくつかはここでは説明しない。組立てられると、ブリッジ228は、さもなければ連続的なバンド224の切れ目284に跨り、そこを排気ガス漏れから保護する。例示されている実施例では、ブリッジ228は概ね矩形形状を有し、バンド224の軸方向長さに跨り、第1の軸方向端部286および第2の軸方向端部288を有する。ブリッジ228は、第1の周方向端部290および第2の周方向端部292も有する。第1および第2の周方向端部は、面取りされたまたは斜面が付けられた縁を有さないが、有することが可能である。径方向内方に面する側においてブリッジ228は内面298を有し、径方向外方に面する側においてブリッジは外面300を有する。内面298は概ね水平な表面であり、そこに配置された溝セグメントを有していないが、有することが可能である。
【0028】
図10に示されるような側面形状においてかつ締付けられていない状態では、ブリッジ228は、バンド224よりも顕著で急な湾曲部を有する。換言すると、ブリッジはバンドより小さい曲げ半径を有する。この構造的関係は、ブリッジが締付機構226に取付けられると、ブリッジ228およびバンド224の第1および第2の周方向端部それぞれの間に径方向の間隙を生じさせる。パイプクランプ210の締付け中、径方向の間隙がないいくつかの場合に生じ得るようなブリッジ228およびバンド224の第1および第2の周方向端部それぞれの間の干渉が回避される。また、径方向の間隙は、バンドの第1および第2の周方向端部232,234が互いに近付くように引張られると、締付け動作の後の方の段階まで、ブリッジ228とバンド224との間、ブリッジと第1のガスケット230との間、および第1のガスケットと第2のガスケット231との間の接触および係合を遅延させる。これは、バンド224に対するブリッジ228の誤まった位置決めを回避するのを支援することができ、ガスケット材料がたまるまたは食込むこと、特にブリッジの第1および第2の周方向端部290,292に第1のガスケットの材料がたまることなど、第1および第2のガスケット230,231の互いに対する誤まった位置決めを回避するのを支援することができる。
【0029】
図9〜図11を参照して、例示されている実施例では、ブリッジ228は、第1のフランジ301と、第2のフランジ(図示せず)と、第1の切欠き303と、第2の切欠き305とを有する。第1および第2のフランジ301は、バンド224上にブリッジ228を配置することを支援し、かつブリッジ228の構造を強化するのを支援し、組立て、締付け、および使用中に生じ得る座屈および他の変形を防ぐことを支援する。第1および第2のフランジ301は、それぞれ軸方向端部286,288に配置され、外面300に垂直に角度が付けられた折返された側面である。構造強化機能が必要ではないかまたは周方向に向けられたリブのように異なる構造強化機能が設けられるような特定の用途には、第1および第2のフランジ301を設ける必要はない。
【0030】
第1および第2の切欠き303,305は、ガスケットの係合および対面時における第1および第2のガスケット230,231間の移行を容易にする。切欠き303,305は、締付け動作中のブリッジ228と第1のガスケット230との間の直接係合を制限し、ガスケット材料がたまるまたは食込むこと、特にブリッジの第1および第2の周方向端部290,292に第1のガスケットの材料がたまることなど、誤まった位置決めを回避するのを支援することができる。第1および第2の切欠き303,305は、それぞれ周方向端部290,292に配置され、端部における概ねU字形の空隙である。当然、半円形状などの他の空隙形状が可能である。第1および第2の切欠き303,305は第2のガスケット231の軸方向長さ以上であり得る軸方向長さを有し、バンドが締付けられたときにバンド224の切れ目284を跨ぐのに十分な周方向長さを有する。各切欠きは、第1の側縁307、第2の側縁309、および底縁311を有する。切欠き303,305は、必ずしもブリッジ228に設ける必要はない。
【0031】
組立ての際、ブリッジ228は、ブリッジの位置をバンド224に関して適切に配置するために、たとえばバンドの周方向端部232,234に関する適切な周方向の位置決めのために、締付け動作中にブリッジが反作用ブロックにとどまるように、反作用ブロック270に取付けられる。パイプクランプ210がパイプ端部の周りに置かれる前に、ブリッジ228をあらかじめ組立てて、反作用ブロック270に取付けることができる。図10を参照して、締付け中に、バンド224の第1および第2のフランジ244,246が互いに向かって移動すると、第1および第2のフランジの一方が他方に向かって移動すると、および/または反作用ブロック自体がバンドの第1および第2のフランジの一方に向かって移動すると(矢印A,Bによって表わされる反作用ブロック移動)、ブリッジ228は反作用ブロック270とともに移動する。これもまた、ガスケット材料がたまるまたは食込むこと、特に第1および第2の周方向端部290,292に、および/またはブリッジ228の底縁311に第1のガスケット230の材料がたまることなど、誤まった位置決めを回避するのを支援することができる。図9および図11を参照して、外面300を反作用ブロックの径方向に面する内面に直接接触させるスポット溶接313によってブリッジ228を反作用ブロック270に取付けることができる。ブリッジから延在し反作用ブロック270の両側を挟むかまたは保持構造を係合する折返されたタブなどによる他の方法で、ブリッジ228を取付けることもできる。
【0032】
第1のガスケット230は、バンド224の第1の溝セグメント248に設置され、第1および第2のパイプ端部に対してガスケット−金属封止を形成する。第1のガスケット230は、ガスケット30に関連して上記したようないずれかの好適な材料で作製することができる。この点に関し、第1のガスケット230はいくつかの点で図1〜図8のガスケット30と同様であり、それらの類似点のうちいくつかはここでは説明しない。図9〜図11を参照して、第1のガスケット230は内面326および外面328を有する。図1〜図8の実施例について先述したように、ステンレス鋼箔を内面326上に配置することができ、第1のガスケット230をバンド224にあらかじめ組付けて取付けるために、圧力感知接着剤、埋設されたステンレス鋼構造、または何らかの他の接着機能を外面328上で使用および/または配置することができる。第1のガスケット230は、分割された開ループ構造を有し、第1および第2の周方向端部315,317を有する。図10および図12を参照して、組立てられると、第1のガスケット230はバンド224の内面240に従い、第1および第2の周方向端部315,317は、バンドの第1および第2のフランジ244,246に少なくとも途中まで巻付く。第1および第2の周方向端部315,317は、第1および第2のフランジ244,246において内面240と対面し、フランジにおいて内面との直接接触を維持(図12)することができる、またはフランジにおいて間隙(図示せず)を介して内面に対向することができる。
【0033】
第2のガスケット231は、ブリッジ228の内面298に対抗して配置され(一部が別の部分の後ろまたは下に隠されていることを示す場合がある仮想線で図9に示されているが)第1および第2のパイプ端部に対してガスケット−金属封止を形成する。第2のガスケット231はいくつかの点で図1〜図8のガスケット30と同様であり、材料などのそれらの類似点のうちいくつかはここでは説明しない。図9〜図11を参照して、第2のガスケット231は内面319および外面321を有する。図1〜図8の実施例について先述したように、ステンレス鋼箔を内面326上に配置することができ、第2のガスケット231をブリッジ228にあらかじめ組付けて取付けるために、圧力感知接着剤または何らかの他の接着機能を外面321上で使用および/または配置することができる。第2のガスケット231はアーチ状構造を有し、第1および第2の周方向端部323,325を有する。図9および図11を参照して、第2のガスケット231の周方向端部は、切欠き303,305に少なくとも部分的に重なり、切欠きの底縁311を越えて周方向に延在する。
【0034】
図9〜図13のブリッジおよびガスケットアセンブリは、第1および第2のガスケット230,231の間ならびにブリッジ228および第1のガスケットの間に、大部分が非断続的な滑らかな移行および推移をもたらすように設計される。換言すると、アセンブリは、いくつかの場合には第2のガスケット231を変形させ、および/またはパイプクランプ210とパイプとの間に不均等な表面間接触を引起こし、したがって排気ガス漏れの原因となり得る垂直な段差もしくは他の水平でない表面形状を最小化するかまたはすべて除去するように設計される。大部分が非断続的な移行を容易にする1つの方法は、ブリッジ228と第1のガスケット230と第2のガスケット231との間で、特定の径方向厚み関係を維持することである。たとえば、第1のガスケット230はブリッジ228の径方向厚みより大きく、第2のガスケット231の径方向厚みより大きい径方向厚み値を有することができる。また、第1のガスケット230の径方向厚みは、ブリッジ228および第2のガスケット231の径方向厚みの合計以上とすることができる。一例では、ブリッジ228の径方向厚みは約0.38mmであり、第1のガスケット230の径方向厚みは約1.0mmであり、第2のガスケット231の径方向厚みは約0.45mmである。当然ながら、ブリッジ228ならびに第1および第2のガスケット230,231がこれらの関係を満たす必要はなく、ブリッジならびに第1および第2のガスケットの各々について異なる径方向厚み値を有することができる。たとえば、第1のガスケットおよび/または第2のガスケットは、約0.6mmの径方向厚みを有することができる。
【0035】
図12および図13を参照して、パイプクランプ210が締付けられた状態にある時、第1および第2のガスケット230,231は、パイプ(図示の第2のパイプ220)の外面に対してともに圧縮され、ブリッジ228は第1のガスケットの材料に埋込まれる。これは、ある場合には当該関係を満たすことなく存在することができるが、上記の径方向厚み関係の少なくともいくつかを満たすことによって部分的に容易とされる。図13を参照して、第2のガスケット231の第1の周方向端部323および第1のガスケット230の対面部分がともに圧縮され、ブリッジ228の底縁部分311が第1のガスケットの対面部分に埋込まれ、そこにおいて実質的に非断続的な移行セクションTと、その間に実質的に水平な境界面とを形成する。これは、図示しないが、ガスケットおよびブリッジの他方の端部においても生じる。
【0036】
図14を参照して、ブリッジおよびガスケットアセンブリの別の例示される実施例が示され、いくつかの点で図9〜図13のブリッジおよびガスケットアセンブリと同様であり、それらの類似点のうちいくつかはここでは説明しない。たとえば、第1のガスケット430は第1のガスケット230と同様であり、第2のガスケット431は第2のガスケット231と同様である。
【0037】
ブリッジ428は、さもなければ連続的なバンド424の切れ目に跨り、そこを排気ガス漏れから保護する。ブリッジ428は第1の軸方向端部486および第2の軸方向端部488を有し、第1の周方向端部490および第2の周方向端部492を有する。ブリッジ228のように、ブリッジ428は、バンド424よりも顕著で急な湾曲部を有する。
【0038】
例示されている実施例では、ブリッジ428は、互いに関して反対の周方向に延在する第1および第2の三角形状アーム527,529を含む。アーム527,529の各々の第1および第2の軸方向側面531,533は、互いに向かって、かつ第2のガスケット431の軸方向中心線Cに向かって収束する。側面531,533は図示される点でぶつかることができるが、必要ではなく、より丸みのあるまたは鈍角の周方向端部を形成することができる。使用の際、潜在的な排気ガス漏れが軸方向中心線Cに向かって側面531,533に沿って導かれ移動し、従って接合部から漏れるのを防ぐ。
【0039】
ブリッジ228のように、ブリッジ428は、たとえばスポット溶接513によって反作用ブロック470に取付けられる。第2のガスケット431は仮想線で示され、ブリッジ428の内面上に配置される。第2のガスケット431は、第1および第2のアーム527,529の後ろで周方向に延在する周方向端部を有する。ブリッジ428はブリッジ228について上記した径方向厚み関係を有することができ、締付けられた状態において、ガスケット430,431が圧縮され、ブリッジ428が第1のガスケットの材料に埋込まれる。
【0040】
上記の説明は発明の定義ではなく、発明の1つ以上の好ましい例示的な実施例の説明であることが理解されるはずである。本発明はここに開示されている特定の実施例に限定されるのではなく以下の請求項のみによって定められる。さらに、上記説明に含まれる記載は、特定の実施例に関連しており、用語または表現が明確に定義されている場合を除いて、本発明の範囲または請求項で使用される用語の定義に対する限定であると解釈されてはならない。さまざまな他の実施例ならびに開示された実施例のさまざまな他の変更および変形が当業者には明らかになるであろう。このような他の実施例、変更、および変形は、添付の請求項の範囲に含まれることが意図されている。
【0041】
本明細書および請求項で使用される、「たとえば」、「例として」、「などの」という用語、「備える」、「有する」、「含む」という動詞、およびそれらの他の動詞形は、1つ以上の構成要素またはその他の項目の列挙とともに使用されている場合、オープンエンドであると解釈されねばならない、すなわちこの列挙は、他の追加の構成要素または項目を除外するとみなされてはならない。その他の用語は、異なる解釈を要求する文脈で使用されていない限り、それらの最も広い妥当な意味を用いて解釈されねばならない。
【技術分野】
【0001】
技術分野
この発明はパイプクランプに関し、ガスケットを有するパイプクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
パイプクランプは一般的に、筒状の構成要素、たとえばパイプまたは筒状のハウジングを互いに結合するために使用される。これらのクランプは多様な用途で使用することができ、いくつかのクランプは、特定の構成要素のためにまたは特定の用途での使用のために特定的に設計され、他のクランプは、より一般的または普遍的に利用可能となるように意図された設計のものである。パイプクランプのそのような用途の一つは、自動車の排気系における接続パイプまたは他の構成要素にある。多くの場合、これらの排気系用途は、排気ガス漏れに対して封止しかつ軸方向の分離に対して十分な抵抗力を有するパイプ端部間の接合部を必要とするか、または少なくとも望ましくは提供する。パイプクランプの一種として、入れ子式に重なり合うパイプ端部に使用されるバンドクランプがあり、別の種類として、端部と端部とが当接するパイプ端部に使用されるパイプ連結器がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
どちらの種類も、通常はパイプ端部の上に配置され締付けられる金属バンドを含み、どちらの種類も、バンドとパイプ端部との間に挟まれる封止スリーブおよび/またはガスケットを含むことができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
発明の一実施例によれば、提供されるパイプクランプは、バンドの第1および第2の軸方向端部の内側に配置された第1の溝セグメントを規定する内面を有するバンドと、バンドの第1および第2の周方向端部を互いに近付けてバンドを締付けるための締付機構と、内面に当接し、締付機構において配置された第1の溝セグメントの切れ目に周方向に跨るブリッジとを含む。ブリッジは、クランプの内側部分に配置された実質的に連続的な環状の溝を第1および第2の溝セグメントがともに規定するように第1の溝セグメントと位置合せされた第2の溝セグメントを有する。パイプクランプはさらに、溝内に少なくとも部分的に設置されたガスケットを含む。
【0005】
発明の別の実施例によれば、提供されるパイプクランプは、バンドの第1および第2の軸方向端部の内側に配置された第1の溝セグメントを規定する内面を有するバンドと、バンドの第1および第2の周方向端部を互いに近付けてバンドを締付けるための締付機構と、内面に当接し、締付機構において配置された第1の溝セグメントの切れ目に周方向に跨るブリッジと、第1の溝セグメント内に少なくとも部分的に設置されたガスケットとを含む。締付機構は反作用ブロックを含み、ブリッジが反作用ブロックの径方向に面する内側の面に取付けられる。締付機構の締付け後、前記バンドの第1および第2の周方向端部が互いにかつ反作用ブロックに接近すると、ブリッジは反作用ブロックに従う。
【0006】
発明の他の実施例では、バンドと、締付機構と、ブリッジと、バンドの周りに周方向にかつブリッジを通って延在する溝内に少なくとも部分的に配置されたガスケットとを有するパイプクランプが提供される。これらの実施例のいくつかにおいて、ブリッジは、選択された角度(たとえば1°〜10°の範囲内)で傾斜が付けられた周方向端部を有することができ、それにより前記ガスケットが設置される溝の実質的に非断続的な内面をもたらす。これらまたは他の実施例のいずれかにおいて、締付機構は、ブリッジの1つ以上の径方向に突出する浮出部に係合する反作用ブロックを含むことができ、それによりバンドの締付け中にブリッジに対して径方向内側への力を及ぼす。また、これらまたは他の実施例において、ブリッジおよびバンドの各々は、使用およびバンドの締付け中にバンド下でのブリッジの位置決めを案内するように作用する協動パイロット機能を有することができる。パイロット機能はいずれかの好適なやり方で構成されることができるが、いくつかの実施例では、バンドに配置された切欠きと、切欠きに嵌合するブリッジから径方向に延在するフィンガーとを含む。切欠きとフィンガーパイロット機能とを使用する実施例のうちのいくつかでは、それぞれの切欠きとのフィンガーの係合によっていずれかの軸方向にバンドに対して軸方向にブリッジが移動することが抑制されるように、別個の切欠きおよびフィンガーをバンドおよびブリッジの各軸方向端部に配置することができる。
【0007】
図面の簡単な説明
以下、本発明の好ましい典型的な実施例について添付の図面と関連付けて説明する。同様の参照符号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】マルチパイプアセンブリの斜視図である。
【図2】パイプクランプの典型的な実施例の拡大図である。
【図3】図2のパイプクランプの分解図である。
【図4】図2のパイプクランプに使用されるブリッジの典型的な実施例の拡大図である。
【図5】図4の線5−5に沿う図2のパイプクランプの断面図である。
【図6】図2のパイプクランプに使用されるパイロット機能の典型的な実施例の拡大図である。
【図7】図2のパイプクランプの側面図である。
【図8】図2のパイプクランプに使用されるプローブボスの典型的な実施例の拡大図である。
【図9】緩められた状態で示されるブリッジおよびガスケットアセンブリの典型的な実施例の拡大図である。
【図10】図9のブリッジおよびガスケットアセンブリの部分拡大図である。
【図11】締付けられた状態で示される図9のブリッジおよびガスケットアセンブリの拡大図である。
【図12】図11の線12−12に沿う断面図である。
【図13】パイプ端部と相互作用するブリッジおよびガスケットアセンブリを示す、図11の線13−13に沿う断面図である。
【図14】締付けられた状態で示されるブリッジおよびガスケットアセンブリの典型的な実施例の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
好ましい実施例の詳細な説明
図面を参照して、パイプクランプ10の典型的な実施例は、自動車の排気系においてパイプ端部同士を接合して、軸方向の分離に対して十分な抵抗力を有する液密封止を与えるために使用される。図示および説明されるように、パイプクランプ10は、当接するパイプ端部同士を固定するためのパイプ結合器としての使用に好適であるが、入れ子式に重なり合うパイプ端部に適合させることができる。一般的に、パイプクランプ10は概して環状円筒形状を有し、この形状は、この形状の中心軸に沿ってまたは中心軸に対してほぼ平行に延びる軸方向と、この形状の半径に沿って延びる径方向と、この形状の円周に沿って延びる周方向とを規定する。
【0010】
図1を参照して、マルチクランプ10は、セミトレーラートラックなどの大きなトラックに一般に設けられ、かつディーゼル微粒子除去装置(DPF)に一般に関連付けられるマルチパイプアセンブリ12において使用することができる。これらの高温用途では、マルチパイプアセンブリ12をその周囲から絶縁するためにマルチパイプアセンブリ12の周りに熱シールド14(仮想線)が配置されることが多く、マルチパイプクランプ10は、それらの構造が熱シールドに干渉しないように方向付けられる。図1に示されるDPF用途とは別に、パイプクランプ10は、他の排気系構成要素、単一の排気パイプアセンブリ、および熱シールドを有さないより小さな自動車に使用することができる。したがって、開示され請求項に記載されるパイプクランプは、規則的な直線パイプセクションを固定するためだけでなく、自動車用システムのDPFキャニスタ、触媒コンバータおよび他の筒状の構成要素などや非自動車用途にも使用することができる。
【0011】
図2および図3を参照して、パイプクランプ10は、当接するかまたは接近して当接する第1のパイプ16の第1のパイプ端部18を第2のパイプ20の第2のパイプ端部22と結合する。例示されている実施例では、パイプクランプ10は、バンド24と、締付機構26と、ブリッジ28と、ガスケット30とを含む。
【0012】
バンド24は、第1および第2のパイプ端部18,22を周方向に包囲する。バンド24は、開ループに金属加工された409グレードステンレス鋼などの鋼板または別の好適な材料から作ることができる。異なる例では、バンド24の軸方向の幅は約55〜68mmの範囲であり、径方向厚みは約1.22mmである。当然他の寸法が可能であり、用途次第であろう。図2および図3を参照して、バンド24は、周方向において第1の周方向端部32から第2の周方向端部34まで延在し、軸方向において第1の軸方向端部36から第2の軸方向端部38まで延在する。バンド24は、径方向内方に面する側において内面40を有し、径方向外方に面する側において外面42を有する。
【0013】
図示されている実施例では、バンド24は、第1および第2のフランジ44,46と、第1の溝セグメント48と、第1および第2のパイロット機能50,52と、プローブボス54とを有する。図4に良く示されるように、第1および第2のフランジ44,46は、第1および第2の周方向端部32,34の一体型部分をそれぞれ含み、互いに離れる方向に折曲げられそれ自身の上に折返されて径方向に突出する一対のループをもたらすバンド24の部分によって形成される。各ループは、内側脚部および外側脚部を有する。第1の溝セグメント48はガスケット30を収容し、第1および第2の軸方向端部36,38の内側においてバンド24のほぼ軸方向中間に配置され、周方向においては第1の周方向端部32と第2の周方向端部34との間の少なくとも途中まで延在する。第1の溝セグメント48は内面40に配置され、外面42において径方向に突出するリブを形成する。一例では、すぐ周囲にあり溝のない内面40から測定される第1の溝セグメント48の径方向深さは約0.4mmであり、第1の溝セグメントの正確な径方向深さは異なる用途によって変動することがあり、他の要因のうち、ガスケット30の径方向厚みに依存することがある。第1の溝セグメント48は、軸方向に延在する第1および第2の側壁60,62に至る傾斜した第1および第2の移行セクション56,58と境界を接する。いくつかの実施例では、第1の溝セグメント48は、各フランジが、その下部部分に配置され、フランジが第1の溝セグメントを収容することができるように外面42の径方向に突出するリブと一致する径方向に突出するリブまたは浮き彫りにされたもしくは切れ込みの入ったセクションを有するように、第1および第2のフランジ44,46へと周方向に延在する。
【0014】
第1およびおよび第2のパイロット機能50,52は、ブリッジ28の相補的なパイロット機能と相互作用して、バンド24に関するブリッジの位置決めを案内する。最初に組み立てられると、パイロット機能は、ブリッジ28がバンド24に対して軸方向にかつ周方向に配置するのを支援する。また、締付けられると、パイロット機能は、バンド24に対するブリッジ28の軸方向および周方向位置を維持するのを支援する。図2および図6を参照して、例示されている実施例では、第1および第2のパイロット機能50,52は、第1および第2の軸方向端部36,38にそれぞれ配置された第1および第2の矩形の切欠きである。他の実施例では、第1および第2のパイロット機能50,52は異なる設計および配置を有することができる。たとえば、パイロット機能はバンド24に配置されかつ軸方向端部36,38の軸方向内方に位置決めされた開口部であってもよいし、パイロット機能は径方向内方の突起であってもよいし、単一のパイロット機能または3つ以上のパイロット機能を設けてもよいし、それらの組合せであってもよい。さらに、第1および第2のパイロット機能をバンド24に設ける必要はない。
【0015】
図2および図8を参照して、プローブボス54は、第1および第2のパイプ16,20を通る排気ガスの温度および/または圧力を調べることができるように温度および/または圧力プローブを収容する。プローブボス54は、プローブボスとバンドとの間の境界面において周縁溶接64を介してバンド24に装着される。プローブボス54は、関連付けられたプローブを第1のパイプ端部18と第2のパイプ端部22との間に配置された間隙65を通って挿入することができるように、第1の溝セグメント48に配置される(図5)。プローブは、プローブボス54に配置された通路66と、バンド24に配置された通路68とを通って挿入することができる。他の実施例では、プローブボス54を設ける必要はない。
【0016】
締付機構26はバンド24に接続され、この締付機構を締付けることによって第1の周方向端部32と第2の周方向端部34とを互いに近付けることができ、緩めることによって第1の周方向端部32と第2の周方向端部34とを互いから離すことができる。図3を参照して、例示されている実施例では、締付機構26は、ボルトナット締結具を2つ組合せたものと、反作用ブロック70と、裏板72とを含む。この締結具の組合せは、第1および第2のTボルト74,76と、第1および第2のナット78,80とを含む。各ボルトは、締付力を均等に分散させるための半円形のヘッドを有し、部分的にねじ切りされた軸を有する。反作用ブロック70は、二重凸形状を有し、第1および第2のTボルト74,76を収容するための一対の通路を有する。反作用ブロック70は、径方向に面する内側の表面82(図5)を有し、表面82は、平坦な面またはアーチ状の面とすることができる。裏板72は、半円形状を有し、第1および第2のTボルト74,76を収容するための一対の通路を有する。組立てられるとき、第1および第2のTボルト74,76は、それぞれの通路と、第1および第2のフランジ44,46に配置された通路とを通って挿入される。締付けられるとき、第1および第2のナット78,80は第1および第2のTボルト74,76の上にねじ込まれ、半円形のヘッド、反作用ブロック70、および裏板72がともに作用して、第1および第2の周方向端部32,34を互いに向かって引張り、バンド24の円周全体に均等に分散される径方向内方への力を生じさせる。他の実施例では、締付機構26は異なる構造および構成を有することができる。たとえば、締付機構26はボルトナット締結具の組合せを1つ有することができ、反作用ブロック70および裏板72は、径方向に突出するリブを収容するためにそれらの径方向に面する内面に切欠きを有することができ、反作用ブロックおよび/または裏板は設ける必要はなく、締付機構は、たとえばLovgren他の米国特許第7,441,311号に一例として示されているような迅速取付型とすることができる。
【0017】
組立てられるとき、ブリッジ28は、他の部分では周方向に連続的なバンド24の切れ目84(図3)に跨り、そこを排気ガス漏れから保護する。断面形状において、ブリッジ28はバンド24の断面形状に概ね合致し、ある意味ではブリッジ28はバンド24の切断セグメントである。いくつかの場合、ブリッジ28は、他のパイプクランプに設けられる周方向に連続的な内側封止スリーブまたは周方向に不連続な分割された内側封止スリーブを置換するが、必要ではない。ブリッジ28は、グレード409ステンレス鋼などの鋼から、または別の好適な材料から作製することができる。異なる例では、ブリッジ28は約55〜68mmの範囲の軸方向幅を有することができ、約1.22mm、約0.74mm、または約0.38mmの径方向厚みを有することができる。当然他の寸法が可能であり、用途に依存することができる。たとえば、ブリッジ28の正確な径方向厚みは、他の要因の中で、バンドの必要とされるまたは所望の構造的一体性とガスケット30の径方向厚みとに依存することができる。
【0018】
図3および図4を参照して、ブリッジ28は、バンド24の軸方向長さに跨り、バンドの第1の軸方向端部36と軸方向に位置合せされた第1の軸方向端部86と、バンドの第2の軸方向端部38と軸方向に位置合せされた第2の軸方向端部88とを有する。ブリッジ28は、切れ目84の周方向長さと少なくとも同じ範囲を占め、図示されているより長くても短くてもよい周方向長さを有する。ブリッジ28は、周方向において第1の周方向端部90から第2の周方向端部92まで延在する。第1の周方向端部90は第1の面取り部または斜面94(図7)を有し得、第2の周方向端部92は第2の面取り部または斜面96を有し得る。垂直な段差を生じさせ、いくつかの場合にはガスケットを変形させ、ゆえに流体漏れの原因となり得る、斜面がつけられていない端部と比較して、第1および第2の斜面94,96は、設置されたガスケット30を収容するためにブリッジ28とバンド24との間に大部分非断続的な滑らかな推移をもたらす。いくつかの場合、ブリッジ28とバンド24との間の最小移行構造(たとえば斜面がつけられた縁)によって、他の場合(たとえば垂直な段差)よりも薄いガスケットの使用が容易となる。一例では、第1および第2の斜面がつけられた表面は、ブリッジ28の外面100に関して1〜10°、好ましくは2°の角度をなす。第1および第2の斜面94,96は、第1および第2の周方向端部90,92それぞれの縁に沿って連続的に配置される。径方向内方に面する側においてブリッジ28は内面98を有し、径方向外方に面する側においてブリッジは外面100を有する。
【0019】
図3〜図5を参照して、例示されている実施例では、ブリッジ28は、第2の溝セグメント102と、第1および第2の浮出部104,106と、第1および第2のパイロット機能108,110とを有する。第2の溝セグメント102は、形状および寸法がバンド24の第1の溝セグメント48と同様である。組み立てられると、第1および第2の溝セグメント48,102はともに、パイプクランプ10の内側部分にまたはパイプクランプの径方向内方に面する内面上に配置された周方向に連続的な環状の溝112を規定する。第2の溝セグメント102はガスケット30の一セクションを収容し、第1および第2の軸方向端部86,88の内側においてブリッジ28のほぼ軸方向中間に配置され、周方向においては第1の周方向端部90と第2の周方向端部92との間に延在する。第2の溝セグメント102の軸方向長さは、第1の溝セグメント48の軸方向長さと実質的に同じであってもよいし、第1の溝セグメントの軸方向長さより若干短くてもよい。第2の溝セグメント102は、内面98に配置され、外面100において径方向に突出するリブを形成する。一例では、すぐ周囲にあり溝のない内面98から測定される第2の溝セグメント102の径方向深さは約0.4mmである。第2の溝セグメントの正確な径方向深さは異なる用途によって変動することがあり、他の要因のうち、ガスケット30の径方向厚みに依存することがある。第2の溝セグメント102は、軸方向に延在する第1および第2の側壁118,120に至る傾斜した第1および第2の移行セクション114,116と境界を接する。
【0020】
第1および第2の浮出部104,106はそれぞれ第1および第2の側壁118,120に配置され、組立てられると、径方向において締付機構26の下方に配置される。各浮出部104、106は、外面100において径方向に突出する矩形構造を形成することもできるし、別の形状の構造を形成することもできる。軸方向において、各浮出部104,106は側壁118,120それぞれの軸方向長さの大部分に跨り、周方向において、各浮出部は反作用ブロック70の周方向長さに跨る。組立てられると、かつ緩められた状態では(つまり締付けられていない)、第1および第2の浮出部104,106と第1および第2のパイプ16,20との間に、第1および第2の空間122,124が配置される。
【0021】
第1および第2のパイロット機能108,110は、バンド24の第1および第2のパイロット機能50,52を補完し、相互作用する。図3、図4および図6を参照して、例示されている実施例では、第1および第2のパイロット機能108,110は、第1および第2の軸方向端部86,88から径方向外側にそれぞれ延在する第1および第2のフィンガーである。第1および第2のフィンガーは、バンド24の第1および第2の切欠きに収容される。バンド24の第1および第2のパイロット機能50,52のように、第1および第2のパイロット機能108,110は異なる設計および配置を有することができ、バンドのパイロット機能の設計および配置に大きく依存することができ、逆もまた同様である。たとえば、パイロット機能は軸方向端部の内側に配置されてもよいし、パイロット機能は切欠きまたは開口部であってもよいし、単一のパイロット機能または3つ以上のパイロット機能を設けてもよいし、それらの組合せであってもよい。さらに、パイロット機能をブリッジに設ける必要はない。
【0022】
いくつかの実施例では、ブリッジ28をパイプクランプ10の他の構成要素にあらかじめ組付けることができるが、必要ではない。たとえば、第2の周方向端部92の付近など、ブリッジおよびバンドのパイロット機能とは反対側において、ブリッジ28を1つ以上のスポット溶接によってバンド24に取付けることができる。この場合、適切な周方向調整のために組立てて締付けると、第1の周方向端部90と第1および第2のパイロット機能108,110とは、第1の周方向端部32に対して周方向に摺動可能となる。また、ブリッジ28を1つ以上のスポット溶接によって反作用ブロック70に取付けることができる。これらのスポット溶接は、溝セグメントの変形および組立後の起こり得るガスケット30との干渉を回避するために、第2の溝セグメント102から離して配置することができる。さらに、バンドの第1および第2の軸方向端部36,38に巻付けられた折返されたタブなどによる機械的連動装置によって、ブリッジ28をバンド24に取付けることができる。
【0023】
ガスケット30は溝112に設置され、第1および第2のパイプ端部18,22においてガスケット−金属封止を形成する。ガスケット30は、目的の用途によっていずれかの好適な材料で作製することができる。たとえば、バンドクランプ10が締付けられると、比較的軟かい材料が圧縮される。自動車用途では、そのような材料は、グラファイト系材料、マイカ系材料、セラミック繊維、およびガラス繊維を含むことができる。いくつかの場合かつガスケット30に使用される材料に依存して、酸化を引起こし得る排気ガスとの直接接触からガスケットを保護するために、ステンレス鋼箔を内面126上に配置することができる。図3および図5を参照して、ガスケット30は、外面128を有し、溝112の軸方向幅とほぼ等しい軸方向幅を有する。ガスケット30は、溝112の径方向深さとほぼ同じかまたはそれより大きい径方向厚みを有することができる。径方向深さより径方向厚みが大きい場合には、側壁60,62とパイプ16,20の外面との間の金属間係合を可能とするために、締付機構26の停止後にガスケットを径方向に圧縮することができる。いくつかの場合、径方向により薄いガスケット30がそのような金属間係合を容易にすることができる。ガスケット30の径方向厚みの例は、0.5mm、0.76mm、および1.5mmである。当然他の厚みが可能である。ガスケット30をバンド24に、および/またはブリッジ28にあらかじめ組付けるために、圧力感知接着剤を外面128上に配置することができる、またはガスケットを圧入によってバンドにあらかじめ組付ける弾性の径方向外方へのばね力を与えるために、ステンレス鋼構造をガスケットに埋込むことができる。図示しないが、温度および/または圧力プローブを収容するために、ガスケット30に通路を配置することができる。他の実施例では、ガスケット30は異なる構造を有することができる。たとえば、ガスケット30は図示されるように周方向に連続的である必要はなく、その代り、噛合う周方向の端部を有する開ループのように周方向に不連続であってもよいし、ガスケットは溝112の軸方向幅より大きいかまたは小さい軸方向幅を有してもよい。
【0024】
使用の際、ブリッジ28は、バンド24の内部にかつ径方向において締付機構26の下方に位置決めされる。ブリッジ28の外面100は、バンド24の内面40に当接し、第2の溝セグメント102によって形成される径方向に突出するリブの外面と第1および第2の浮出部104,106の外面とが、反作用ブロック70の内側の表面82に当接する。パイプクランプ10がパイプ端部18,22の周りに置かれる前に、ガスケット30を溝112に設置することができる。その後、ガスケット30は、その固有の弾性によって溝に対してガスケットによって及ぼされる外方へのばね力によって溝112内に設置されたままである、または接着剤、戻り止め、もしくは別の機械的相互接続によって溝内により確実に保持することができる。
【0025】
締付け後、反作用ブロック70は、第2の溝セグメント102の径方向に突出するリブと第1および第2の浮出部104,106とに対して径方向内方への力を及ぼし、第2の溝セグメント102の径方向に突出するリブと第1および第2の浮出部104,106とはさらに、ガスケット30と第1および第2のパイプ端部18,22とに対して径方向内方への力を及ぼす。したがって、及ぼされた径方向力を、それ自体が変形しガスケットを過剰圧縮し得るブリッジの径方向に突出するリブに過度に分散させることと対照的に、径方向に突出するリブと第1および第2の浮出部104,106とはともに、及ぼされた径方向内方への力をブリッジ28の軸方向幅全体にわたって、かつ下にあるガスケット30およびパイプ端部18,22に分散させる。第1および第2の浮出部104,106は、反作用ブロック70の下方の位置において剛性を与え、ブリッジ28を強化し、そこでのガスケット30の過剰圧縮と、さもなければ生じ得る結果的な漏れとを防ぐ。また、分散された径方向の力は、さもなければ、径方向に突出するリブに対してかつ第1および第2の浮出部104,106がない場合に生じ得る、反作用ブロック70に対する変形を防ぐ。例示されている実施例では、バンドの切欠きの周方向長さによって、さもなければブリッジ28の第1および第2のフィンガーから生じ得る干渉を回避しつつ、締付け後にバンドを周方向に収縮させることが可能となる。
【0026】
図9〜図13を参照して、ブリッジおよびガスケットアセンブリの例示されている実施例は、ブリッジ228と、第1のガスケット230と、第2のガスケット231とを含む。ブリッジおよびガスケットアセンブリは、図1〜図8を参照して説明されたバンドおよび締付機構を有するパイプクランプ10の一部であり得る。
【0027】
ブリッジ228は、いくつかの点で図1〜図8のブリッジ28と同様であり、それらの類似点のうちいくつかはここでは説明しない。組立てられると、ブリッジ228は、さもなければ連続的なバンド224の切れ目284に跨り、そこを排気ガス漏れから保護する。例示されている実施例では、ブリッジ228は概ね矩形形状を有し、バンド224の軸方向長さに跨り、第1の軸方向端部286および第2の軸方向端部288を有する。ブリッジ228は、第1の周方向端部290および第2の周方向端部292も有する。第1および第2の周方向端部は、面取りされたまたは斜面が付けられた縁を有さないが、有することが可能である。径方向内方に面する側においてブリッジ228は内面298を有し、径方向外方に面する側においてブリッジは外面300を有する。内面298は概ね水平な表面であり、そこに配置された溝セグメントを有していないが、有することが可能である。
【0028】
図10に示されるような側面形状においてかつ締付けられていない状態では、ブリッジ228は、バンド224よりも顕著で急な湾曲部を有する。換言すると、ブリッジはバンドより小さい曲げ半径を有する。この構造的関係は、ブリッジが締付機構226に取付けられると、ブリッジ228およびバンド224の第1および第2の周方向端部それぞれの間に径方向の間隙を生じさせる。パイプクランプ210の締付け中、径方向の間隙がないいくつかの場合に生じ得るようなブリッジ228およびバンド224の第1および第2の周方向端部それぞれの間の干渉が回避される。また、径方向の間隙は、バンドの第1および第2の周方向端部232,234が互いに近付くように引張られると、締付け動作の後の方の段階まで、ブリッジ228とバンド224との間、ブリッジと第1のガスケット230との間、および第1のガスケットと第2のガスケット231との間の接触および係合を遅延させる。これは、バンド224に対するブリッジ228の誤まった位置決めを回避するのを支援することができ、ガスケット材料がたまるまたは食込むこと、特にブリッジの第1および第2の周方向端部290,292に第1のガスケットの材料がたまることなど、第1および第2のガスケット230,231の互いに対する誤まった位置決めを回避するのを支援することができる。
【0029】
図9〜図11を参照して、例示されている実施例では、ブリッジ228は、第1のフランジ301と、第2のフランジ(図示せず)と、第1の切欠き303と、第2の切欠き305とを有する。第1および第2のフランジ301は、バンド224上にブリッジ228を配置することを支援し、かつブリッジ228の構造を強化するのを支援し、組立て、締付け、および使用中に生じ得る座屈および他の変形を防ぐことを支援する。第1および第2のフランジ301は、それぞれ軸方向端部286,288に配置され、外面300に垂直に角度が付けられた折返された側面である。構造強化機能が必要ではないかまたは周方向に向けられたリブのように異なる構造強化機能が設けられるような特定の用途には、第1および第2のフランジ301を設ける必要はない。
【0030】
第1および第2の切欠き303,305は、ガスケットの係合および対面時における第1および第2のガスケット230,231間の移行を容易にする。切欠き303,305は、締付け動作中のブリッジ228と第1のガスケット230との間の直接係合を制限し、ガスケット材料がたまるまたは食込むこと、特にブリッジの第1および第2の周方向端部290,292に第1のガスケットの材料がたまることなど、誤まった位置決めを回避するのを支援することができる。第1および第2の切欠き303,305は、それぞれ周方向端部290,292に配置され、端部における概ねU字形の空隙である。当然、半円形状などの他の空隙形状が可能である。第1および第2の切欠き303,305は第2のガスケット231の軸方向長さ以上であり得る軸方向長さを有し、バンドが締付けられたときにバンド224の切れ目284を跨ぐのに十分な周方向長さを有する。各切欠きは、第1の側縁307、第2の側縁309、および底縁311を有する。切欠き303,305は、必ずしもブリッジ228に設ける必要はない。
【0031】
組立ての際、ブリッジ228は、ブリッジの位置をバンド224に関して適切に配置するために、たとえばバンドの周方向端部232,234に関する適切な周方向の位置決めのために、締付け動作中にブリッジが反作用ブロックにとどまるように、反作用ブロック270に取付けられる。パイプクランプ210がパイプ端部の周りに置かれる前に、ブリッジ228をあらかじめ組立てて、反作用ブロック270に取付けることができる。図10を参照して、締付け中に、バンド224の第1および第2のフランジ244,246が互いに向かって移動すると、第1および第2のフランジの一方が他方に向かって移動すると、および/または反作用ブロック自体がバンドの第1および第2のフランジの一方に向かって移動すると(矢印A,Bによって表わされる反作用ブロック移動)、ブリッジ228は反作用ブロック270とともに移動する。これもまた、ガスケット材料がたまるまたは食込むこと、特に第1および第2の周方向端部290,292に、および/またはブリッジ228の底縁311に第1のガスケット230の材料がたまることなど、誤まった位置決めを回避するのを支援することができる。図9および図11を参照して、外面300を反作用ブロックの径方向に面する内面に直接接触させるスポット溶接313によってブリッジ228を反作用ブロック270に取付けることができる。ブリッジから延在し反作用ブロック270の両側を挟むかまたは保持構造を係合する折返されたタブなどによる他の方法で、ブリッジ228を取付けることもできる。
【0032】
第1のガスケット230は、バンド224の第1の溝セグメント248に設置され、第1および第2のパイプ端部に対してガスケット−金属封止を形成する。第1のガスケット230は、ガスケット30に関連して上記したようないずれかの好適な材料で作製することができる。この点に関し、第1のガスケット230はいくつかの点で図1〜図8のガスケット30と同様であり、それらの類似点のうちいくつかはここでは説明しない。図9〜図11を参照して、第1のガスケット230は内面326および外面328を有する。図1〜図8の実施例について先述したように、ステンレス鋼箔を内面326上に配置することができ、第1のガスケット230をバンド224にあらかじめ組付けて取付けるために、圧力感知接着剤、埋設されたステンレス鋼構造、または何らかの他の接着機能を外面328上で使用および/または配置することができる。第1のガスケット230は、分割された開ループ構造を有し、第1および第2の周方向端部315,317を有する。図10および図12を参照して、組立てられると、第1のガスケット230はバンド224の内面240に従い、第1および第2の周方向端部315,317は、バンドの第1および第2のフランジ244,246に少なくとも途中まで巻付く。第1および第2の周方向端部315,317は、第1および第2のフランジ244,246において内面240と対面し、フランジにおいて内面との直接接触を維持(図12)することができる、またはフランジにおいて間隙(図示せず)を介して内面に対向することができる。
【0033】
第2のガスケット231は、ブリッジ228の内面298に対抗して配置され(一部が別の部分の後ろまたは下に隠されていることを示す場合がある仮想線で図9に示されているが)第1および第2のパイプ端部に対してガスケット−金属封止を形成する。第2のガスケット231はいくつかの点で図1〜図8のガスケット30と同様であり、材料などのそれらの類似点のうちいくつかはここでは説明しない。図9〜図11を参照して、第2のガスケット231は内面319および外面321を有する。図1〜図8の実施例について先述したように、ステンレス鋼箔を内面326上に配置することができ、第2のガスケット231をブリッジ228にあらかじめ組付けて取付けるために、圧力感知接着剤または何らかの他の接着機能を外面321上で使用および/または配置することができる。第2のガスケット231はアーチ状構造を有し、第1および第2の周方向端部323,325を有する。図9および図11を参照して、第2のガスケット231の周方向端部は、切欠き303,305に少なくとも部分的に重なり、切欠きの底縁311を越えて周方向に延在する。
【0034】
図9〜図13のブリッジおよびガスケットアセンブリは、第1および第2のガスケット230,231の間ならびにブリッジ228および第1のガスケットの間に、大部分が非断続的な滑らかな移行および推移をもたらすように設計される。換言すると、アセンブリは、いくつかの場合には第2のガスケット231を変形させ、および/またはパイプクランプ210とパイプとの間に不均等な表面間接触を引起こし、したがって排気ガス漏れの原因となり得る垂直な段差もしくは他の水平でない表面形状を最小化するかまたはすべて除去するように設計される。大部分が非断続的な移行を容易にする1つの方法は、ブリッジ228と第1のガスケット230と第2のガスケット231との間で、特定の径方向厚み関係を維持することである。たとえば、第1のガスケット230はブリッジ228の径方向厚みより大きく、第2のガスケット231の径方向厚みより大きい径方向厚み値を有することができる。また、第1のガスケット230の径方向厚みは、ブリッジ228および第2のガスケット231の径方向厚みの合計以上とすることができる。一例では、ブリッジ228の径方向厚みは約0.38mmであり、第1のガスケット230の径方向厚みは約1.0mmであり、第2のガスケット231の径方向厚みは約0.45mmである。当然ながら、ブリッジ228ならびに第1および第2のガスケット230,231がこれらの関係を満たす必要はなく、ブリッジならびに第1および第2のガスケットの各々について異なる径方向厚み値を有することができる。たとえば、第1のガスケットおよび/または第2のガスケットは、約0.6mmの径方向厚みを有することができる。
【0035】
図12および図13を参照して、パイプクランプ210が締付けられた状態にある時、第1および第2のガスケット230,231は、パイプ(図示の第2のパイプ220)の外面に対してともに圧縮され、ブリッジ228は第1のガスケットの材料に埋込まれる。これは、ある場合には当該関係を満たすことなく存在することができるが、上記の径方向厚み関係の少なくともいくつかを満たすことによって部分的に容易とされる。図13を参照して、第2のガスケット231の第1の周方向端部323および第1のガスケット230の対面部分がともに圧縮され、ブリッジ228の底縁部分311が第1のガスケットの対面部分に埋込まれ、そこにおいて実質的に非断続的な移行セクションTと、その間に実質的に水平な境界面とを形成する。これは、図示しないが、ガスケットおよびブリッジの他方の端部においても生じる。
【0036】
図14を参照して、ブリッジおよびガスケットアセンブリの別の例示される実施例が示され、いくつかの点で図9〜図13のブリッジおよびガスケットアセンブリと同様であり、それらの類似点のうちいくつかはここでは説明しない。たとえば、第1のガスケット430は第1のガスケット230と同様であり、第2のガスケット431は第2のガスケット231と同様である。
【0037】
ブリッジ428は、さもなければ連続的なバンド424の切れ目に跨り、そこを排気ガス漏れから保護する。ブリッジ428は第1の軸方向端部486および第2の軸方向端部488を有し、第1の周方向端部490および第2の周方向端部492を有する。ブリッジ228のように、ブリッジ428は、バンド424よりも顕著で急な湾曲部を有する。
【0038】
例示されている実施例では、ブリッジ428は、互いに関して反対の周方向に延在する第1および第2の三角形状アーム527,529を含む。アーム527,529の各々の第1および第2の軸方向側面531,533は、互いに向かって、かつ第2のガスケット431の軸方向中心線Cに向かって収束する。側面531,533は図示される点でぶつかることができるが、必要ではなく、より丸みのあるまたは鈍角の周方向端部を形成することができる。使用の際、潜在的な排気ガス漏れが軸方向中心線Cに向かって側面531,533に沿って導かれ移動し、従って接合部から漏れるのを防ぐ。
【0039】
ブリッジ228のように、ブリッジ428は、たとえばスポット溶接513によって反作用ブロック470に取付けられる。第2のガスケット431は仮想線で示され、ブリッジ428の内面上に配置される。第2のガスケット431は、第1および第2のアーム527,529の後ろで周方向に延在する周方向端部を有する。ブリッジ428はブリッジ228について上記した径方向厚み関係を有することができ、締付けられた状態において、ガスケット430,431が圧縮され、ブリッジ428が第1のガスケットの材料に埋込まれる。
【0040】
上記の説明は発明の定義ではなく、発明の1つ以上の好ましい例示的な実施例の説明であることが理解されるはずである。本発明はここに開示されている特定の実施例に限定されるのではなく以下の請求項のみによって定められる。さらに、上記説明に含まれる記載は、特定の実施例に関連しており、用語または表現が明確に定義されている場合を除いて、本発明の範囲または請求項で使用される用語の定義に対する限定であると解釈されてはならない。さまざまな他の実施例ならびに開示された実施例のさまざまな他の変更および変形が当業者には明らかになるであろう。このような他の実施例、変更、および変形は、添付の請求項の範囲に含まれることが意図されている。
【0041】
本明細書および請求項で使用される、「たとえば」、「例として」、「などの」という用語、「備える」、「有する」、「含む」という動詞、およびそれらの他の動詞形は、1つ以上の構成要素またはその他の項目の列挙とともに使用されている場合、オープンエンドであると解釈されねばならない、すなわちこの列挙は、他の追加の構成要素または項目を除外するとみなされてはならない。その他の用語は、異なる解釈を要求する文脈で使用されていない限り、それらの最も広い妥当な意味を用いて解釈されねばならない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプクランプであって、
周方向において第1の周方向端部から第2の周方向端部まで延在し、軸方向において第1の軸方向端部から第2の端部まで延在するバンドを備え、前記バンドは、前記第1および第2の軸方向端部の内側に配置された第1の溝セグメントを規定する内面を有し、前記第1および第2の周方向端部の間の少なくとも途中まで延在し、さらに、
前記バンドに接続され、前記第1および第2の周方向端部を互いに近付けて前記バンドを締付ける少なくとも1つの締結具を含む締付機構と、
前記内面に当接し、前記締付機構において前記第1の溝セグメントの切れ目に周方向に跨るブリッジとを備え、前記ブリッジは、前記クランプの内側部分に配置された実質的に連続的な環状の溝を前記第1および第2の溝セグメントがともに規定するように前記第1の溝セグメントと位置合せされた第2の溝セグメントを有し、さらに、
前記溝内に少なくとも部分的に設置されたガスケットを備える、パイプクランプ。
【請求項2】
前記ブリッジは第1および第2の周方向端部を有し、前記第1の周方向端部はその上に配置された第1の斜面を有し、第2の周方向端部はその上に配置された第2の斜面を有し、前記第1および第2の斜面は、前記ガスケットが設置される前記連続的な溝の実質的に非断続的な内面をもたらす、請求項1に記載のパイプクランプ。
【請求項3】
前記第1および第2の斜面の各々は、前記ブリッジの外面に関して1°〜10°の範囲の角度をなす、請求項2に記載のパイプクランプ。
【請求項4】
前記ブリッジは、前記第2の溝セグメントの側面から、前記バンドの前記第1の軸方向端部と軸方向に位置合せされた第1の軸方向端部まで延在する第1の側壁と、前記第2の溝セグメントの反対側の側面から、前記バンドの前記第2の軸方向端部と軸方向に位置合せされた第2の軸方向端部まで延在する第2の側壁とを有する、請求項1に記載のパイプクランプ。
【請求項5】
前記ブリッジは、前記第1の側壁に、かつ径方向において前記締付機構の下方に配置された第1の浮出部と、前記第2の側壁に、かつ径方向において前記締付機構の下方に配置された第2の浮出部とを有する、請求項4に記載のパイプクランプ。
【請求項6】
前記締付機構は、径方向内側の面を有する反作用ブロックを有し、前記第1および第2の浮出部は、締付け中に、前記反作用ブロックの前記径方向内側の面が前記第1および第2の浮出部と係合し、かつ前記第2の溝セグメントにおいて前記ブリッジの外面と係合するように径方向外側に突出して、前記浮出部と前記第2の溝セグメントとに対して径方向内側への力を及ぼす、請求項5に記載のパイプクランプ。
【請求項7】
前記バンドはその上に配置された第1のパイロット機能を有し、前記ブリッジは、第1のパイロット機能と相互作用して前記バンドの前記内面に対する前記ブリッジの位置決めを案内する第2のパイロット機能を有する、請求項4に記載のパイプクランプ。
【請求項8】
前記第1のパイロット機能は、前記バンドの前記第1の軸方向端部に配置された切欠きであり、前記第2のパイロット機能は、前記ブリッジの前記第1の軸方向端部から径方向に延在するフィンガーであり、前記フィンガーは前記切欠きに収容され、それにより前記ブリッジおよび前記バンドの軸方向の位置合せを維持しつつ、前記バンドの前記第1の周方向端部に対する前記ブリッジの第1の周方向端部の相対的な周方向移動を可能にする、請求項7に記載のパイプクランプ。
【請求項9】
前記ガスケットは、パイプクランプを使用してパイプ端部を結合する前に、前記溝内にあらかじめ組付けられる、請求項1に記載のパイプクランプ。
【請求項10】
パイプクランプであって、
周方向において第1の周方向端部から第2の周方向端部まで延在し、軸方向において第1の軸方向端部から第2の軸方向端部まで延在するバンドを備え、前記バンドは、前記第1および第2の軸方向端部の内側に配置され前記第1および第2の周方向端部の間において少なくとも途中まで延在する第1の溝セグメントを規定する内面を有し、さらに、
前記バンドに接続された締付機構を備え、前記締付機構は、前記第1および第2の周方向端部を互いに近付けて前記バンドを締付ける少なくとも1つの締結具を含み、かつ径方向に面する内側の面を有する反作用ブロックを含み、さらに、
前記径方向に面する内側の面において前記反作用ブロックに取付けられたブリッジを備え、前記ブリッジは、前記締付機構において前記バンドの周方向長さの切れ目に周方向に跨り、前記締付機構の締付け後、前記バンドの前記第1および第2の周方向端部が互いにかつ前記反作用ブロックに近付くと、前記ブリッジは前記反作用ブロックに従い、さらに、
前記第1の溝セグメント内に少なくとも部分的に設置されたガスケットを備える、パイプクランプ。
【請求項11】
前記ブリッジは、前記ブリッジの外面を前記反作用ブロックの前記径方向に面する内側の面に直接取付ける1つ以上の溶接によって、前記反作用ブロックに取付けられる、請求項10に記載のパイプクランプ。
【請求項12】
前記ブリッジは、その第1の周方向端部に配置された第1の切欠きを有し、その第2の周方向端部に配置された第2の切欠きを有し、第1および第2の切欠きは、前記第1の溝セグメントと実質的に同じ軸方向長さを有する、請求項10に記載のパイプクランプ。
【請求項13】
前記バンドは、前記バンドの前記第1および第2の周方向端部からそれぞれ延在する第1および第2のフランジを有し、前記第1および第2のフランジは互いに対向し、
前記締付機構は、前記第1および第2のフランジに接続され、
前記ガスケットは、第1の周方向端部および第2の周方向端部を有する開ループ構造を有し、前記第1の周方向端部は、前記第1のフランジに位置しかつ前記第1のフランジと対面し、前記第2の周方向端部は、前記第2のフランジに位置しかつ前記第2のフランジと対面し、
パイプクランプは、前記ブリッジに位置し、かつ前記第1の切欠きに少なくとも部分的に重なる第1の周方向端部を有し、前記第2の切欠きに少なくとも部分的に重なる第2の周方向端部を有する第2のガスケットをさらに備える、請求項12に記載のパイプクランプ。
【請求項14】
パイプクランプが締付けられた状態にありかつ前記ガスケットがパイプの外面に対して圧縮されると、前記ガスケットと第2のガスケットとの間の実質的に非断続的な移行を前記移行における内面に関して容易にするために、前記ガスケットの径方向厚みは前記第2のガスケットの径方向厚みよりも大きい、請求項13に記載のパイプクランプ。
【請求項15】
パイプクランプが締付けられた状態にありかつ前記ガスケットがパイプの外面に対して圧縮されると、前記ガスケットと第2のガスケットとの間の実質的に非断続的な移行を前記移行における内面に関して容易にするために、前記ガスケットの径方向厚みは前記第2のガスケットの径方向厚みよりも大きく、前記ブリッジの一部分は前記ガスケットの材料に埋込まれる、請求項13に記載のパイプクランプ。
【請求項16】
パイプクランプが締付けられた状態にありかつ前記ガスケットがパイプの外面に対して圧縮されると、前記ガスケットと第2のガスケットとの間の実質的に非断続的な移行を前記移行における内面に関して容易にするために、前記ガスケットの径方向厚みは前記第2のガスケットおよび前記ブリッジの径方向厚みの合計以上であり、パイプクランプが締付けられた状態にある時、前記ブリッジの一部分は前記ガスケットの材料に埋込まれる、請求項13に記載のパイプクランプ。
【請求項17】
前記ブリッジは第1の軸方向側面および第2の軸方向側面を有し、前記第1および第2の軸方向側面は、互いに向かって、かつ前記ブリッジの第1の周方向端部および第2の周方向端部において前記ガスケットの軸方向中心線に向かって収束し、収束する第1および第2の軸方向側面は、前記ガスケットの前記軸方向中心線に向かって排気ガス漏れを導くことを容易にする、請求項10に記載のパイプクランプ。
【請求項18】
前記ガスケットは、パイプクランプを使用してパイプ端部を結合する前に前記第1の溝セグメント内にあらかじめ組付けられ、前記第2のガスケットは、パイプクランプを使用してパイプ端部を結合する前に前記ブリッジにあらかじめ組付けられる、請求項13に記載のパイプクランプ。
【請求項1】
パイプクランプであって、
周方向において第1の周方向端部から第2の周方向端部まで延在し、軸方向において第1の軸方向端部から第2の端部まで延在するバンドを備え、前記バンドは、前記第1および第2の軸方向端部の内側に配置された第1の溝セグメントを規定する内面を有し、前記第1および第2の周方向端部の間の少なくとも途中まで延在し、さらに、
前記バンドに接続され、前記第1および第2の周方向端部を互いに近付けて前記バンドを締付ける少なくとも1つの締結具を含む締付機構と、
前記内面に当接し、前記締付機構において前記第1の溝セグメントの切れ目に周方向に跨るブリッジとを備え、前記ブリッジは、前記クランプの内側部分に配置された実質的に連続的な環状の溝を前記第1および第2の溝セグメントがともに規定するように前記第1の溝セグメントと位置合せされた第2の溝セグメントを有し、さらに、
前記溝内に少なくとも部分的に設置されたガスケットを備える、パイプクランプ。
【請求項2】
前記ブリッジは第1および第2の周方向端部を有し、前記第1の周方向端部はその上に配置された第1の斜面を有し、第2の周方向端部はその上に配置された第2の斜面を有し、前記第1および第2の斜面は、前記ガスケットが設置される前記連続的な溝の実質的に非断続的な内面をもたらす、請求項1に記載のパイプクランプ。
【請求項3】
前記第1および第2の斜面の各々は、前記ブリッジの外面に関して1°〜10°の範囲の角度をなす、請求項2に記載のパイプクランプ。
【請求項4】
前記ブリッジは、前記第2の溝セグメントの側面から、前記バンドの前記第1の軸方向端部と軸方向に位置合せされた第1の軸方向端部まで延在する第1の側壁と、前記第2の溝セグメントの反対側の側面から、前記バンドの前記第2の軸方向端部と軸方向に位置合せされた第2の軸方向端部まで延在する第2の側壁とを有する、請求項1に記載のパイプクランプ。
【請求項5】
前記ブリッジは、前記第1の側壁に、かつ径方向において前記締付機構の下方に配置された第1の浮出部と、前記第2の側壁に、かつ径方向において前記締付機構の下方に配置された第2の浮出部とを有する、請求項4に記載のパイプクランプ。
【請求項6】
前記締付機構は、径方向内側の面を有する反作用ブロックを有し、前記第1および第2の浮出部は、締付け中に、前記反作用ブロックの前記径方向内側の面が前記第1および第2の浮出部と係合し、かつ前記第2の溝セグメントにおいて前記ブリッジの外面と係合するように径方向外側に突出して、前記浮出部と前記第2の溝セグメントとに対して径方向内側への力を及ぼす、請求項5に記載のパイプクランプ。
【請求項7】
前記バンドはその上に配置された第1のパイロット機能を有し、前記ブリッジは、第1のパイロット機能と相互作用して前記バンドの前記内面に対する前記ブリッジの位置決めを案内する第2のパイロット機能を有する、請求項4に記載のパイプクランプ。
【請求項8】
前記第1のパイロット機能は、前記バンドの前記第1の軸方向端部に配置された切欠きであり、前記第2のパイロット機能は、前記ブリッジの前記第1の軸方向端部から径方向に延在するフィンガーであり、前記フィンガーは前記切欠きに収容され、それにより前記ブリッジおよび前記バンドの軸方向の位置合せを維持しつつ、前記バンドの前記第1の周方向端部に対する前記ブリッジの第1の周方向端部の相対的な周方向移動を可能にする、請求項7に記載のパイプクランプ。
【請求項9】
前記ガスケットは、パイプクランプを使用してパイプ端部を結合する前に、前記溝内にあらかじめ組付けられる、請求項1に記載のパイプクランプ。
【請求項10】
パイプクランプであって、
周方向において第1の周方向端部から第2の周方向端部まで延在し、軸方向において第1の軸方向端部から第2の軸方向端部まで延在するバンドを備え、前記バンドは、前記第1および第2の軸方向端部の内側に配置され前記第1および第2の周方向端部の間において少なくとも途中まで延在する第1の溝セグメントを規定する内面を有し、さらに、
前記バンドに接続された締付機構を備え、前記締付機構は、前記第1および第2の周方向端部を互いに近付けて前記バンドを締付ける少なくとも1つの締結具を含み、かつ径方向に面する内側の面を有する反作用ブロックを含み、さらに、
前記径方向に面する内側の面において前記反作用ブロックに取付けられたブリッジを備え、前記ブリッジは、前記締付機構において前記バンドの周方向長さの切れ目に周方向に跨り、前記締付機構の締付け後、前記バンドの前記第1および第2の周方向端部が互いにかつ前記反作用ブロックに近付くと、前記ブリッジは前記反作用ブロックに従い、さらに、
前記第1の溝セグメント内に少なくとも部分的に設置されたガスケットを備える、パイプクランプ。
【請求項11】
前記ブリッジは、前記ブリッジの外面を前記反作用ブロックの前記径方向に面する内側の面に直接取付ける1つ以上の溶接によって、前記反作用ブロックに取付けられる、請求項10に記載のパイプクランプ。
【請求項12】
前記ブリッジは、その第1の周方向端部に配置された第1の切欠きを有し、その第2の周方向端部に配置された第2の切欠きを有し、第1および第2の切欠きは、前記第1の溝セグメントと実質的に同じ軸方向長さを有する、請求項10に記載のパイプクランプ。
【請求項13】
前記バンドは、前記バンドの前記第1および第2の周方向端部からそれぞれ延在する第1および第2のフランジを有し、前記第1および第2のフランジは互いに対向し、
前記締付機構は、前記第1および第2のフランジに接続され、
前記ガスケットは、第1の周方向端部および第2の周方向端部を有する開ループ構造を有し、前記第1の周方向端部は、前記第1のフランジに位置しかつ前記第1のフランジと対面し、前記第2の周方向端部は、前記第2のフランジに位置しかつ前記第2のフランジと対面し、
パイプクランプは、前記ブリッジに位置し、かつ前記第1の切欠きに少なくとも部分的に重なる第1の周方向端部を有し、前記第2の切欠きに少なくとも部分的に重なる第2の周方向端部を有する第2のガスケットをさらに備える、請求項12に記載のパイプクランプ。
【請求項14】
パイプクランプが締付けられた状態にありかつ前記ガスケットがパイプの外面に対して圧縮されると、前記ガスケットと第2のガスケットとの間の実質的に非断続的な移行を前記移行における内面に関して容易にするために、前記ガスケットの径方向厚みは前記第2のガスケットの径方向厚みよりも大きい、請求項13に記載のパイプクランプ。
【請求項15】
パイプクランプが締付けられた状態にありかつ前記ガスケットがパイプの外面に対して圧縮されると、前記ガスケットと第2のガスケットとの間の実質的に非断続的な移行を前記移行における内面に関して容易にするために、前記ガスケットの径方向厚みは前記第2のガスケットの径方向厚みよりも大きく、前記ブリッジの一部分は前記ガスケットの材料に埋込まれる、請求項13に記載のパイプクランプ。
【請求項16】
パイプクランプが締付けられた状態にありかつ前記ガスケットがパイプの外面に対して圧縮されると、前記ガスケットと第2のガスケットとの間の実質的に非断続的な移行を前記移行における内面に関して容易にするために、前記ガスケットの径方向厚みは前記第2のガスケットおよび前記ブリッジの径方向厚みの合計以上であり、パイプクランプが締付けられた状態にある時、前記ブリッジの一部分は前記ガスケットの材料に埋込まれる、請求項13に記載のパイプクランプ。
【請求項17】
前記ブリッジは第1の軸方向側面および第2の軸方向側面を有し、前記第1および第2の軸方向側面は、互いに向かって、かつ前記ブリッジの第1の周方向端部および第2の周方向端部において前記ガスケットの軸方向中心線に向かって収束し、収束する第1および第2の軸方向側面は、前記ガスケットの前記軸方向中心線に向かって排気ガス漏れを導くことを容易にする、請求項10に記載のパイプクランプ。
【請求項18】
前記ガスケットは、パイプクランプを使用してパイプ端部を結合する前に前記第1の溝セグメント内にあらかじめ組付けられ、前記第2のガスケットは、パイプクランプを使用してパイプ端部を結合する前に前記ブリッジにあらかじめ組付けられる、請求項13に記載のパイプクランプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2013−518221(P2013−518221A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550113(P2012−550113)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2011/021857
【国際公開番号】WO2011/091135
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(503469175)ノーマ・ユー・エス・ホールディング・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (13)
【氏名又は名称原語表記】NORMA U. S. HOLDING LLC
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2011/021857
【国際公開番号】WO2011/091135
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(503469175)ノーマ・ユー・エス・ホールディング・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (13)
【氏名又は名称原語表記】NORMA U. S. HOLDING LLC
【Fターム(参考)】
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