説明

ガスシール装置

【課題】液体の溢れ出しが防がれるだけでなく、シールを図るための液体が自動的に補給されて液体を補給する際の労力が低減されるガスシール装置を得る。
【解決手段】消化タンク14内における上壁面14A寄りの回転軸20の部分に、貯留ポット26が配置される。貫通穴18の内面側に、貯留ポット26の底面26Aと隙間を有しつつ、貯留ポット26よりも小径とされる中間筒28が固定され、これらの内部に液体Lが貯められる。液体Lを貯めたバッファタンク30が消化タンク14外に配置され、中間筒28に一端が接続される上部配管32の他端側がバッファタンク30に伸びて、上部配管32の他端がバッファタンク30に貯められた液体Lの液面上に配置される。中間筒28の上部配管32の下側部分に一端が接続される下部配管34の他端が、バッファタンク30の下端部に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の溢れ出しが防がれるだけでなく、シールを図るための液体が自動的に補給されて液体を補給する際の労力が低減され得るガスシール装置に関し、嫌気性の消化タンクにおける撹拌装置に適用可能なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、下水処理場においては、嫌気環境下で汚泥を撹拌して発酵させる手法が採用されていて、この発酵の過程において、メタンガスを生成させるべく、嫌気性の消化タンクが採用されている。つまり、汚泥の消化工程には嫌気性の消化タンクが用いられているが、汚泥を撹拌するためのスクリューやインペラ等がこの消化タンク内に配置されると共に、このスクリューやインペラ等を回転する為のモータが消化タンク外に取り付けられた構造の撹拌装置も必要とされていた。
【0003】
この際、消化タンクは嫌気性のタンクとされるのに伴い、消化タンク内には、汚泥の消化工程により発生するメタンガスを主成分とした可燃性の消化ガスが、例えば200mmAq〜300mmAq程度気圧が高くされつつ、充満している。この為、消化タンク内のガスの外部への流出を防ぐ必要があることから、モータの回転軸が消化タンクの上側壁を貫通するのに伴い、内外気間のシールを図るための水等の液体を用いたガスシール装置も必要とされていて、上記の撹拌装置には、図4に示すようなシール用の液体が貯留された貯留ポット114を回転軸112に設け、この液体で封止してガスの流出を防ぐ構造のシール装置110が例えば採用されている。
【0004】
そして、シール用の貯留ポット114内の水等の液体は、蒸発等により少しずつ減っていくため、この液体の量が少なくなって液面レベルが低下した時点で外部に警報を出すように、レベル計116がこのガスシール装置110に用いられている。これに伴い、貯留ポット114内の液体の液面レベルがこのレベル計116まで達すると、レベル計116が作動して警報を発生し、この警報が発生した時点で、回転軸112と中間筒118との間の隙間に作業者が液体を補給するという形の液体の管理が一般に行われている。
【特許文献1】特開平8−10798号公報
【特許文献2】特開平9−215916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の構造のガスシール装置110では、消化タンク内の圧力が高くなる側に大きくふれた場合、中間筒118と回転軸112との間の隙間に満たされた液体の液位Dが変化して、図4で示す矢印Eのように液体が溢れ出すことになり、これに伴ってこの液体が他の部品にかかる結果として消化タンクに障害を与えることがあった。また、従来の構造のガスシール装置110では、減少するたびに液体を頻繁に補給する必要がある為、作業者に対して過剰な労力が要求されていた。
【0006】
さらに、レベル計116の作動不良等により警報が出なかった場合には、液面レベルが下がっていることに気づかずに液体の補給がされない結果として、貯留ポット114内の水頭圧が消化タンク内の圧力に耐え切れなかったり或いは、気体のシールが不完全となったりして、シール機能が働かずに、消化タンク内のメタンガス等が外気中に漏れ出す虞を有していた。
本発明は上記事実を考慮し、液体の溢れ出しが防がれるだけでなく、シールを図るための液体が自動的に補給されて液体を補給する際の労力が低減され得るガスシール装置を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係るガスシール装置は、本体タンクの上側部分を形成する上壁面を貫通し且つ回転し得る回転軸と、
底面を有しつつ回転軸の軸径よりも径が大きく形成され且つ、回転軸の外周側に接合されて液体が貯められた筒状の貯留ポットと、
貯留ポットの底面と隙間を有しつつ回転軸と貯留ポットとの間に配置されるように本体タンクの上壁面に固定された中間筒と、
本体タンク外に配置されて液体が貯められるバッファタンクと、
中間筒に一端が接続されると共にバッファタンクに他端側が伸びる上部配管と、
中間筒における上部配管の下側部分に一端が接続されると共にバッファタンクに他端が接続される下部配管と、
を備えた。
【0008】
請求項1に係るガスシール装置の作用を以下に説明する。
本請求項のガスシール装置によれば、回転し得る回転軸が本体タンクの上側部分を形成する上壁面を貫通していて、底面を有しつつ回転軸の軸径よりも径が大きく形成された筒状の貯留ポットが、この回転軸の外周側に接合されて液体が貯められている。また、本体タンクの上壁面に固定された中間筒が、貯留ポットの底面と隙間を有しつつ回転軸と貯留ポットとの間に配置されている。この為、貯留ポット内に貯められている液体の存在により、本体タンク内と外部との間における気体のシールが図られつつ、回転軸が回転し得るようになる。
【0009】
そして、液体を貯めたバッファタンクが本体タンク外に配置されており、中間筒に一端が接続される上部配管の他端側がこのバッファタンクに伸びているだけでなく、中間筒における上部配管の下側部分に一端が接続される下部配管の他端が、このバッファタンクに接続されている。これに伴い、上部配管と下部配管との間に液面レベルが存在するような、本体タンク内の圧力変動が通常状態の場合には、下部配管を介して中間筒とバッファタンクとの間で液体が単に行き来するようになる。
【0010】
一方、中間筒内の液面レベルが下部配管の接続部分以下に低下した場合には、下部配管を介してバッファタンク内の液体が自然な流下により中間筒内に送り出されるだけでなく、貯留ポットの底面と中間筒との間に隙間が存在して相互間が繋がっていることから、この液体が貯留ポット内にも送り込まれるようになる。従って、バッファタンク内から液体が送り出されるので貯留ポット内の水枯れを防げるようになるため、貯留ポット内の液体がなくなるのに伴って本体タンク内のガスが外部に流出することが、確実に防がれる。
【0011】
他方、本体タンク内の圧力が必要以上に高まって、上部配管の接続部分以上に中間筒内の液面レベルが上昇した場合には、この上部配管を介して中間筒内から液体が送り込まれ、上部配管の他端側よりの液体の自然な流下により、中間筒内からバッファタンク内に液体が戻るようになる。この結果として、本体タンク内の圧力が必要以上に高まった場合でも、貯留ポット内や中間筒内に貯められた液体が外部に溢れ出すことがなくなる。
【0012】
この為、液体の溢れ出しによってガスシール装置の外部に設置した機器に影響を及ぼすことがなくなると同時に、中間筒内とバッファタンク内とを液体が実質的に循環して、液体のガスシール装置からの無駄な流出を防ぐことができる結果として、液体を必要以上に多数回補充する必要がなくなり、ガスシール装置の維持管理上の手間を省くことができる。
【0013】
以上より、本請求項に係るガスシール装置によれば、中間筒とバッファタンクとの間を上部配管及び下部配管でそれぞれ接続したことで、中間筒内からの液体の溢れ出しが防がれるだけでなく、シールを図るための液体が中間筒に自動的に補給されて液体を補給する際の労力が低減されるようになる。
【0014】
請求項2に係るガスシール装置の作用を以下に説明する。
本請求項に係るガスシール装置は請求項1と同一の作用を奏する。但し、本請求項では、上部配管の他端がバッファタンクに貯められた液体の液面上に配置されて、中間筒から液体をバッファタンクに送り込むという構成を有している。
【0015】
つまり、本請求項によれば、上部配管の他端がバッファタンク貯められた液体の液面上に配置されたことで、上部配管の接続部分以上に中間筒内の液面レベルが上昇した場合に、上部配管を介して中間筒から液体がバッファタンクに送り込まれるのに伴い、中間筒内からバッファタンク内により確実に液体が戻るようになる。
【0016】
請求項3に係るガスシール装置の作用を以下に説明する。
本請求項に係るガスシール装置は請求項1及び請求項2と同一の作用を奏する。但し、本請求項では、下部配管の他端がバッファタンクの下端部に接続されて、バッファタンクから液体を中間筒に送り出すという構成を有している。
【0017】
つまり、本請求項によれば、下部配管の他端がバッファタンクの下端部に接続されたことで、中間筒内の液面レベルが下部配管の接続部分以下に低下した場合に、下部配管を介してバッファタンクから液体が中間筒に送り出されるのに伴い、中間筒内及び貯留ポット内により確実に液体が送り出されるようになる。
【0018】
請求項4に係るガスシール装置の作用を以下に説明する。
本請求項に係るガスシール装置は請求項1から請求項3と同一の作用を奏する。但し、本請求項では、上部配管の一端及び下部配管の一端が、中間筒の本体タンク外の部分にそれぞれ接続されるという構成を有している。
【0019】
つまり、本請求項によれば、バッファタンクが本体タンク外に配置されるのに伴って、中間筒における本体タンク外の部分に、上部配管の一端及び下部配管の一端がそれぞれ接続されることで、本体タンクの上壁面を貫通することなく、上部配管や下部配管を設置可能となる。この結果、上部配管の一端及び下部配管の一端を簡易且つ低コストに中間筒に接続できるようになる。
【0020】
請求項5に係るガスシール装置の作用を以下に説明する。
本請求項に係るガスシール装置は請求項1から請求項4と同一の作用を奏する。但し、本請求項では、貯留ポット内に存在する液体の液面レベルを検出し得るレベル計が、貯留ポット内に設置されるという構成を有している。
【0021】
つまり、本請求項によれば、液体の液面レベルを貯留ポット内に設置されたレベル計が検出するようになる。これに伴い、本体タンクの稼働時においてバッファタンク内の液体がなくなって、貯留ポット内の液面レベルが必要以上低下した場合には、このレベル計が液面レベルの低下を検出して外部に警報を出すようになる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明の上記構成によれば、液体の溢れ出しが防がれるだけでなく、シールを図るための液体が自動的に補給されて液体を補給する際の労力が低減され得るガスシール装置を提供できるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明に係るガスシール装置の一実施の形態を図1から図3に示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係るガスシール装置10が適用される消化槽12の本体部分とされる消化タンク14は、円筒形であって上下部分をそれぞれ面取りされたような形に、例えば形成されている。
【0024】
この本体タンクである図2に示す消化タンク14の内部は汚泥Sを撹拌する為の空洞とされていて、この消化タンク14の上側部分を上壁面14Aが形成している。この上壁面14Aの上部には、円板状に形成された図1に示すケーシング52が配置されていて、このケーシング52の上部側にモータ16が設置されている。
【0025】
さらに、この消化タンク14の上壁面14Aには図1に示す貫通穴18が形成されており、又、ケーシング52には貫通穴54が形成されていて、下方向に垂直に伸びる回転軸20が、これらの貫通穴18、54を同軸状の位置で貫通しているだけでなく、ケーシング52の上面に対向してスラストベアリング56がこの回転軸20に取り付けられている。そして、モータ16と回転軸20との間に介在している図示しない歯車等により、モータ16の回転動力が回転軸20に伝達されるようになっている。
【0026】
消化タンク14内における回転軸20の先端部分には、大型インペラ22が取り付けられており、この消化タンク14内における回転軸20の根元寄り部分には、これより小さい小型インペラ24が取り付けられている。そして、回転軸20が回転するのに伴い、消化タンク14内の下部側寄りに位置することになる大型インペラ22及び、消化タンク14内の上部側寄りに位置することになる小型インペラ24が、それぞれ回転することになる。
【0027】
図1に示すように、消化タンク14内における上壁面14A寄りの回転軸20の部分には、底面26Aを有しつつ回転軸20の軸径よりも径が大きく形成された円筒状の貯留ポット26が、この回転軸20の外周側に底面26Aを溶接等により接合されて、回転軸20と同軸状に配置されている。この為、回転軸20の回転に伴いこの貯留ポット26も回転するようになっている。
【0028】
また、消化タンク14の上壁面14Aに形成された貫通穴18の内面側には、貯留ポット26よりも小径とされる円筒形に形成された中間筒28が固定されている。この中間筒28の下端側は、貯留ポット26の底面26Aと隙間を有しつつ回転軸20と貯留ポット26との間に配置されている。
【0029】
つまり、この中間筒28が回転軸20と同軸状の位置関係で固定されるが、この中間筒28の径は、回転軸20の径よりも大きく且つ、貯留ポット26の径よりも小さいことになる。そして、貯留ポット26内に水等の液体Lが貯められるのに伴い、貯留ポット26の底面26Aと中間筒28の下端部との間に隙間が存在していることから、中間筒28内にも液体Lが貯められることになる。
【0030】
この結果として、中間筒28と回転軸20との間に図1に示すように隙間が存在していても、消化タンク14の内外間がこの液体Lによりシールされて、消化タンク14内の気密性が保たれることになる。そして、貯留ポット26内における中間筒28の外周側の液面レベルと中間筒28の内周側の液面レベルとの差は、中間筒28の外周側の液面が面している消化タンク14内の気圧と、中間筒28の内周側の液面が面している消化タンク14外の外気の気圧との差により、決定される。
【0031】
但し、本実施の形態では、消化タンク14内に存在する汚泥Sからガスが発生するのに伴い、消化タンク14外の外気に対して消化タンク14内は、例えば200mmAq〜300mmAq程度気圧が高くなっている。以上より、本実施の形態に係るガスシール装置10は、嫌気性とされる消化タンク12内の汚泥Sを図2における矢印Bのように撹拌して汚泥Sを消化する為のモータ16、回転軸20、大型インペラ22及び小型インペラ24等からなる撹拌装置のシールとして採用されたものである。
【0032】
他方、図1に示すように、消化タンク14外であって消化タンク14の上壁面14A上の位置には、液体Lが貯められた例えば合成樹脂製のバッファタンク30が設置されている。このバッファタンク30の上側は開放されていて、中間筒28における消化タンク14外の部分に上部配管32の一端が接続されるだけでなく、この上部配管32の他端側がこのバッファタンク30の上側に伸びている。そして、このバッファタンク30に貯められた水等の液体Lの液面上の位置に、下側に向くようにこの上部配管32の他端が屈曲されて配置されている。
【0033】
中間筒28の消化タンク14外の部分であって、中間筒28における上部配管32の下側部分には、下部配管34の一端が接続されており、この下部配管34の他端がバッファタンク30の下端部に接続されている。そして、貯留ポット26内には、この貯留ポット26内に存在する液体Lの液面レベルを検出し得る為の円筒状に形成された静電容量式のレベル計36が設置されていて、貯留ポット26内に存在する液体Lの液面レベルをこのレベル計36で検出できるようになっている。
【0034】
一方、このレベル計36には、このレベル計36で検出された液体Lの液面レベルの信号が送り込まれるレベル探知器40が、ワイヤー38を介して繋がっていて、このレベル探知器40において、液面レベルが所定の高さ以上になっているか否かの判断がされるようになっている。これに伴い、消化タンク14の外部に設置された図示しないレベル発信機に、液面レベルが所定の高さ以上になっているかのオンオフ信号が送られて、必要時に例えば作業者が液体Lをガスシール装置10のバッファタンク30内に追加できるようになっている。
【0035】
また、このレベル探知器40の下端側には、小径に形成されたねじ止部40Aが設けられていて、このねじ止部40Aが上壁面14Aに設けられたネジ穴15にねじ込まれることで、上壁面14Aの部分にこのレベル探知器40が設置されている。但し、ねじ止部40Aの外周側には図示しないシール用の例えばテープが巻き付けられていて、ねじ止部40Aと上壁面14Aのネジ穴15との間がこのテープにより封止されている。
【0036】
次に、本実施の形態に係るガスシール装置10の作用を説明する。
本実施の形態のガスシール装置10によれば、図1に示すように、回転し得る回転軸20が消化タンク14の上側部分を形成する上壁面14Aを貫通していて、底面26Aを有しつつ回転軸20の軸径よりも径が大きく形成された筒状の貯留ポット26が、この回転軸20の外周側に接合されて液体Lが貯められている。また、消化タンク14の上壁面14Aに固定された中間筒28が、貯留ポット26の底面26Aと隙間を有しつつ回転軸20と貯留ポット26との間に配置されている。
【0037】
この為、貯留ポット26の底面26Aと中間筒28との間の隙間により、貯留ポット26内だけでなく中間筒28内にも液体Lが貯められる。これに伴い、貯められた液体Lの存在により、消化タンク14内と外部との間における気体のシールが図られつつ、回転軸20が図1における矢印C方向に回転し得るようになる。
【0038】
そして、液体Lを貯めたバッファタンク30が消化タンク14外に配置されており、中間筒28の消化タンク14外の部分に一端が接続される上部配管32の他端側がこのバッファタンク30に伸びて、この上部配管32の他端がバッファタンク30に貯められた液体Lの液面上に配置されることで、中間筒28から液体Lをバッファタンク30に送り込み可能になっている。さらに、中間筒28の消化タンク14外の部分における上部配管32の下側部分に一端が接続される下部配管34の他端が、このバッファタンク30の下端部に接続されて、バッファタンク30から中間筒28に液体Lを送り出し可能となっている。
【0039】
これに伴い、本実施の形態のガスシール装置10では、上部配管32と下部配管34との間に液面レベルが存在するような、図3(A)に示す消化タンク14内の圧力変動が通常状態の場合には、下部配管34を介して中間筒28とバッファタンク30との間で液体Lが単に矢印Fで示すように行き来するようになる。
【0040】
一方、図3(B)に示すように中間筒28内の液面レベルが下部配管34の接続部分以下に低下した場合には、下部配管34を介してバッファタンク30内の液体Lが矢印Fで示す自然な流下により中間筒28内に送り出されるだけでなく、貯留ポット26の底面26Aと中間筒28との間に隙間が存在して相互間が繋がっていることから、この液体Lが貯留ポット26内にも送り込まれるようになる。従って、バッファタンク30内から液体Lが送り出されるので、貯留ポット26内の水枯れを防げるようになるため、貯留ポット26内の液体Lがなくなるのに伴って消化タンク14内のガスが外部に流出することが、確実に防がれる。
【0041】
他方、消化タンク14内の圧力が必要以上に高まって、図3(C)に示すように上部配管32の接続部分以上に中間筒28内の液面レベルが上昇した場合には、この上部配管32を介して中間筒28内から液体Lが矢印Fで示すように送り込まれ、上部配管32の他端側よりの液体Lの自然な流下により、中間筒28内からバッファタンク30内に液体Lが戻るようになる。この結果として、消化タンク14内の圧力が必要以上に高まった場合でも、貯留ポット26内や中間筒28内に貯められた液体Lが外部に溢れ出すことがなくなる。
【0042】
従って、本実施の形態では、液体Lの溢れ出しによってガスシール装置10の外部に設置した機器に影響を及ぼすことがなくなると同時に、中間筒28内とバッファタンク30内とを液体Lが実質的に循環して、ガスシール装置10からの液体Lの無駄な流出を防ぐことができる結果として、液体Lを必要以上に多数回補充する必要がなくなり、ガスシール装置10の維持管理上の手間を省くことができる。
【0043】
以上より、本実施の形態に係るガスシール装置10によれば、中間筒28とバッファタンク30との間を上部配管32及び下部配管34でそれぞれ接続したことで、中間筒28内からの液体Lの溢れ出しが防がれるだけでなく、シールを図るための液体Lが中間筒28に自動的に補給されて液体Lを補給する際の労力が低減されるようになる。
【0044】
また、本実施の形態によれば、バッファタンク30が消化タンク14外に配置されるのに伴って、中間筒28における消化タンク14外の部分に、上部配管32の一端及び下部配管34の一端がそれぞれ接続されることで、消化タンク14の上壁面14Aを貫通することなく、上部配管32や下部配管34を設置可能となる。この結果、上部配管32の一端及び下部配管34の一端を簡易且つ低コストに中間筒28に接続できるようになる。
【0045】
さらに、本実施の形態によれば、液体Lの液面レベルを貯留ポット26内に設置されたレベル計36が検出するようになる。これに伴い、消化タンク14の稼働時においてバッファタンク30内の液体Lがなくなって、貯留ポット26内の液面レベルが必要以上低下した場合には、このレベル計36が液面レベルの低下を検出して外部に警報を出すようになる。
【0046】
尚、上記実施の形態に係るガスシール装置は、汚泥を撹拌して汚泥を消化する為の嫌気性の消化タンクの撹拌装置に適用したものであるが、回転軸を有するような他の分野のタンクのシールに本発明を適用するようにしても良い。さらに、上記実施の形態では、レベル計を用いたが、上記実施の形態においてはレベル計が無い場合であってもバッファタンクから自動的に液体を中間筒内に供給できることになる。そして、液体も水以外の防錆油等の他の液体で有っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施の形態に係るガスシール装置の拡大図であって、(A)は断面図であり、(B)は1B−1B矢視断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るガスシール装置を適用した消化槽の概略断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るガスシール装置の液面レベルと液体の流れを説明する説明図であって、(A)は圧力変動が通常状態の場合を示す図であり、(B)は下部配管の接続部分以下に液面レベルが低下した場合を示す図であり、(C)は上部配管の接続部分以上に液面レベルが上昇した場合を示す図である。
【図4】従来のガスシール装置の図であって、(A)は断面図であり、(B)は4B−4B矢視断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 ガスシール装置
14 消化タンク(本体タンク)
14A 上壁面
20 回転軸
26 貯留ポット
28 中間筒
30 バッファタンク
32 上部配管
34 下部配管
36 レベル計
L 液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体タンクの上側部分を形成する上壁面を貫通し且つ回転し得る回転軸と、
底面を有しつつ回転軸の軸径よりも径が大きく形成され且つ、回転軸の外周側に接合されて液体が貯められた筒状の貯留ポットと、
貯留ポットの底面と隙間を有しつつ回転軸と貯留ポットとの間に配置されるように本体タンクの上壁面に固定された中間筒と、
本体タンク外に配置されて液体が貯められるバッファタンクと、
中間筒に一端が接続されると共にバッファタンクに他端側が伸びる上部配管と、
中間筒における上部配管の下側部分に一端が接続されると共にバッファタンクに他端が接続される下部配管と、
を備えたガスシール装置。
【請求項2】
上部配管の他端がバッファタンクに貯められた液体の液面上に配置されて、中間筒から液体をバッファタンクに送り込む請求項1記載のガスシール装置。
【請求項3】
下部配管の他端がバッファタンクの下端部に接続されて、バッファタンクから液体を中間筒に送り出す請求項1又は請求項2に記載のガスシール装置。
【請求項4】
上部配管の一端及び下部配管の一端が、中間筒の本体タンク外の部分にそれぞれ接続される請求項1から請求項3の何れかに記載のガスシール装置。
【請求項5】
貯留ポット内に存在する液体の液面レベルを検出し得るレベル計が、貯留ポット内に設置される請求項1から請求項4の何れかに記載のガスシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−299839(P2009−299839A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156766(P2008−156766)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(500433959)月島テクノメンテサービス株式会社 (7)
【出願人】(000165273)月島機械株式会社 (253)
【Fターム(参考)】