説明

ガスタービンにおけるCMC壁部を有する燃焼室へのタービンノズルの取り付け

【課題】CMCから作られる壁部を有する燃焼室へのタービンノズルのための効果的な取り付けを提供する。
【解決手段】ガスタービンは、セラミック基質複合材料から作られている内側および外側壁部12、13を有する環状の燃焼室10と、燃焼室の下流側端部に固定され、且つ燃焼室から到来するガス流のためのノズルを通って環状の流路24の内側および外側壁部22、23の間に延びる複数の固定エアフォイル21を備える高圧タービンノズル20とを備えている。タービンノズル20は、セラミック基質複合材料から作られ、且つろう付けによって燃焼室10の下流側端部に結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンに関し、そしてより詳細には、セラミック基質複合(Ceramic Matrix Composite、CMC)材料から作られている壁部を有する燃焼室へのタービンノズルの取り付けに関する。本発明の適用の分野は、産業用のガスタービン、そしてまた飛行機のためのターボジェットエンジンおよびターボプロップエンジンである。
【背景技術】
【0002】
CMCの熱構造特性、すなわちそれらの高温において良好な機械的特性を維持する能力のために、CMCでガスタービン燃焼室の壁部を作ることが提案されている。効率を改善することおよび汚染種の放出を低減することへの要求の両方は、ますますより高い燃焼温度の追求に導く。
【0003】
仏国特許第2825787号は、高圧タービンノズル(タービンの入口段)に機械的に結合されたCMCから作られた環状燃焼室を示している。タービンノズルは、プラットフォームの間に延びるエアフォイルを伴うプラットフォームを備える、固定ベーンから作られている。プラットフォームは、金属から作られ、且つ内側面を有するリングセクタの形態をなし、内側面は、燃焼室から到来するガスの流れのためのノズルを通る流路を画定する。機械的結合は、タービンノズルの内側および外側プラットフォームに、燃焼室の内側および外側壁部の下流側端部分をボルト締めすることによってもたらされ、同時に、金属ケーシングの内側シュラウドと外側シュラウドとの間に、燃焼室およびノズルのアセンブリを保持する可撓性連結部材を介して機械的結合を提供することを考慮する。
【0004】
従来のように、金属ケーシングとの直接の機械的結合を用いてタービンノズルを取り付ける代わりに、燃焼室の下流側端部分へのタービンノズルの取り付けは、いくつかの利点を提供する。すなわち、ノズル内へ燃焼室から流出するガス流が適切に位置調整されている、より良好な保証があり、燃焼室とノズルとの間の境界面におけるシーリングを達成するのがより容易である。
【0005】
それにもかかわらず、異なる熱膨張係数を有する材料(CMCと金属)から作られる部品を一緒に組み立てることに関する困難性が残っている。加えて、燃焼室とタービンノズルとの間の境界面をシーリングすることが、より容易に行われるけれども、リングセクタの形態をなすノズルプラットフォームの間にシーリングを施すことが、依然として必要である。
【特許文献1】仏国特許第2825787号明細書
【特許文献2】欧州特許第0806402号明細書
【特許文献3】米国特許第5975407号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、CMCから作られる壁部を有する燃焼室へのタービンノズルの効果的な取り付けを提供することであり、必要とされる部品点数を低減することに特に役立ち、それゆえ重量を軽減し、そして構造をも単純化する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、セラミック基質複合材料の内側および外側壁部を有する環状の燃焼室と、燃焼室の下流側端部と一体化され、且つ燃焼室から到来するガス流のためのノズルを通る環状の流路の内側壁部と外側壁部との間に延びる複数の固定エアフォイルを備える高圧タービンノズルとを備えるガスタービンであって、本発明に従って、タービンノズルは、セラミック基質複合材料から作られ、且つろう付けによって燃焼室の下流側端部に結合される、ガスタービンによって達成される。
【0008】
タービンノズルをCMCから作り且つタービンノズルをろう付けによって燃焼室に結合することは、金属から作られるタービンノズルと比較して、CMCのより低い密度のために、非常に顕著な重量の軽減を達成し、且つ燃焼室とノズルとの間の連続性の問題がより効果的に解決されることも可能とする。
【0009】
有利には、燃焼室の内側および外側壁部の下流側部分は、エアフォイルがろう付けによって結合される流路の内側および外側壁部を形成するように、タービンノズルの下流側端部まで延長されている。それゆえ、燃焼室壁部の延長部分は、タービンノズルを通って流れるガス流のための連続性およびシーリングを保証するように単純な方法で作用する。
【0010】
各エアフォイルは、第1の径方向端部にて、流路の内側および外側壁部の一方の厚み内に形成されたハウジングにろう付けされていても良く、各々は、流路の内側および外側壁部の一方に形成される開口部にて、その反対側の第2の径後方端部に係合されていてもよく、そしてエアフォイルは、前記開口部にろう付けされていると有利である。
【0011】
燃焼室およびタービンノズルにより構成されるアセンブリは、前記アセンブリを、それぞれ内側および外側シュラウドに結合する内側連結部材および外側連結部材を用いて、内側金属シュラウドおよび外側金属シュラウドを備える金属ケーシングの内側に保持されても良い。
【0012】
第1の実施形態において、連結部材は、セラミック基質複合材料の内側連結タブを備え、各内側連結タブは、内側金属シュラウドに結合される第1の端部と、燃焼室およびタービンノズルアセンブリに結合される第2の端部とを有し、連結部材は、さらにセラミック基質複合材料から作られる外側連結タブを備え、各外側連結タブは、外側金属シュラウドに結合される第1の端部と、燃焼室およびタービンノズルアセンブリに結合される第2の端部とを有する。
【0013】
有利には、連結タブの第2の端部は、セラミック基質複合材料から作られる内側または外側環状フェルールに一体化され、内側または外側環状フェルールは、タービンノズルを通る流路の内側および外側壁部を形成する燃焼室壁部の延長部分の外側面にそれぞれ結合される。ノズル内の流路の壁部の一方を通るエアフォイルの径方向端部は、それから、CMCから作られる前記環状フェルールの1つにろう付けされても良い。
【0014】
有利には、CMCから作られる内側または外側環状フェルールは、燃焼室およびタービンノズルのアセンブリと内側または外側金属シュラウドとの間の環状空間の下流側端部を閉じるシーリングガスケットを保持するために、内側または外側金属シュラウドと一体化されているフランジと協働する部分を支持する。
【0015】
CMCから作られる外側および内側連結タブの第1の端部は、内側および外側金属シュラウドにそれぞれ直接的に固定されていても良い。
【0016】
変形例において、内側および外側連結タブの第1の端部は、可撓性金属タブを介して、内側および外側金属シュラウドに結合される。可撓性金属タブは、セラミック基質複合材料の連結タブに結合された第1の端部と、金属シュラウドに固定されたフェルールと一体化された第2の端部とを有していても良い。
【0017】
第2の実施形態において、連結部材は、それぞれ、内側および外側金属シュラウドに結合されている第1の端部と、燃焼室およびタービンノズルのアセンブリに結合されている第2の端部とを有する、内側および外側金属連結タブを備えている。
【0018】
金属連結タブの第2の端部は、タービンノズルを通る流路の内側および外側壁部を形成する燃焼室壁部の延長部分にそれぞれ固定された、内側および外側のセクタ化された(sectorized)金属プラットフォームと一体化されていても良い。
【0019】
セクタ化されたプラットフォームは、タービンノズルの内側および外側壁部を形成する燃焼室壁部の延長部分を通過し、そしてエアフォイルに螺入されているネジを用いて、燃焼室およびタービンノズルのアセンブリに機械的に結合されていてもよい。金属ネジまたはCMCから作られているネジを使用することができる。
【0020】
有利には、内側または外側のセクタ化されたプラットフォームは、燃焼室およびタービンノズルのアセンブリと内側または外側金属シュラウドとの間の環状空間の下流側端部を閉じる環状シーリングガスケットを保持するために、内側または外側金属シュラウドと一体化されているフランジと協働する部分を支持する。
【0021】
内側および外側の金属連結タブの第1の端部は、それぞれ、内側および外側金属シュラウドにそれぞれ固定されているフランジと一体化されていても良い。
【0022】
本発明の有利な特徴によれば、燃焼室から到来するガス流によってノズルのエアフォイルに誘起される回転力が、連結部材によって取り出されることを回避するように、少なくとも1つの金属シュラウドに対してタービンノズルが回転するのを防止するために、連結部材以外の手段が設けられる。
【0023】
本発明は、非限定の指摘により且つ添付図面を参照して与えられる以下の記述を読むことによって、よりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、環状燃焼室10と、燃焼室10の下流側に配置され且つ燃焼室に直接に結合された高圧(HP)タービンノズル20と、内側金属シュラウド30および外側金属シュラウド40を備える金属ケーシングと、金属ケーシング内に燃焼室10およびノズル20のアセンブリを保持する内側連結タブ50および外側連結タブ60とを備える、ガスタービンの一部を示す軸方向半断面図である。以下の説明において、「上流側」および「下流側」なる用語は、燃焼室10から到来するガス流の流れ方向(矢印F)に関して使用される。
【0025】
燃焼室10は、同一軸線11上の内側環状壁部12および外側環状壁部13によって、そして壁部12および13に固定された端部壁部14によって画定される。知られている方法で、端部壁部14は、燃料および酸化剤が燃焼室10内に噴射されることを可能とするインジェクタを収容するために、軸線11のまわりに配分される開口部14aを呈する。燃焼室10の壁部12および13は、CMC、例えば炭化珪素(SiC)基質を有する複合材料から作られ、そして端部壁部14も、CMC材料から作られていても良い。
【0026】
タービンの入口段を構成する、高圧タービンノズル20は、軸線11のまわりに角度分布される複数の固定ベーンまたはエアフォイルを備えている。エアフォイル21は、内側壁部22および外側壁部23に一体化されたそれらの端部を有している。壁部22および23の内側面は、燃焼室から到来するガス流のためのノズルを通る流路24を画定している。
【0027】
本発明の特徴に従って、タービンノズル20は、有利なことに燃焼室10の壁部12および13と同一の材料からなるCMCから作られ、そして壁部12、13の下流側端部にろう付けによって固定される。
【0028】
有利には、そして例に示されるように、壁部22および23は、それらと一緒になって単一片を形成する壁部12および13の延長部分によって構成される。図2に示されるように、各CMCエアフォイル21は、壁部22、23の一方、例えば壁部22の、厚みの一部分に形成されたハウジングすなわち窪み部内に配置される一方の径方向端部を有し、且つ他方の壁部23を通って形成される貫通開口部に係合される他方の径方向端部を有することによって、壁部22と壁部23との間に取り付けられる。窪み部22aおよび開口部23は、エアフォイル21の径方向端部の形状に対して相補的な形状からなっている。壁部23に行き止まりの窪み部を、そして壁部22に貫通開口部を設けることもできることは、言うまでもない。
【0029】
エアフォイル21は、ろう付けによって壁部22および23に結合される。ろう付けされた結合部は、各窪み部22aの底部内に場合によってはその縁部に沿って配置され、窪み部22aは、その中に係合されるエアフォイル21の端部部分よりもサイズが若干大きい。ろう付けされた結合部は、各開口部23aの側縁部に沿って設けられ、開口部23aは、その中に係合されるエアフォイル21の端部部分よりも若干大きい寸法である。
【0030】
内側金属シュラウド30は、それぞれの内方向きのフランジ31aおよび32aを介してボルト締めによって結合された、2つの部分31および32を備えている。同様に、外側金属シュラウド40は、それぞれの外方向きのフランジ41aおよび42aを介してボルト締めによって結合された、2つの部分41および42を備えている。それぞれ壁部12と内側シュラウド30との間の空間33、および壁部13と外側シュラウド40との間の空間43は、両方とも燃焼室10のまわりを流れる二次冷却空気の流れ(矢印f)を運ぶ。有利なことに穿孔部(図示せず)が、空間33および43に沿って流れている空気が、壁部12および13の内側面に沿って冷却フィルムを形成し且つ維持することを可能とし、それによってそれら壁部を保護するように、事実上それら壁部12および13が壁部22、23に連結するまでずっと、壁部12、13を通して形成されている。
【0031】
燃焼室10およびタービンノズル20によって形成されるアセンブリは、アセンブリを内側シュラウド30および外側シュラウド40に結合する内側および外側連結部材を用いて、金属ケーシング内に保持される。
【0032】
図1、図3、および図4の実施形態において、内側連結部材は、CMCから作られる連結タブ50を備えている。第1の端部において、各タブ50は、ボルト締めによってシュラウド30に固定され、それらの端部部分51は、シュラウド30に一体化されたネジ切りされたロッド35を通すためのオリフィス51aを呈し、そこにナット35aが螺合される。他方の端部において、各タブ50は、タブを互いに結合させるCMCの内側環状端部フェルール52と一体化されている。フェルール52は、有利には、タブ50と一緒に単一片として作られる。図3に示されるように、フェルール52は、ノズルの内側壁部22の外側面に対して押し付けられる。フェルール52は、壁部22に固定される。結合は、特にろう付けによって、連結片(クリップ)の設置によって、または実際にステッチ溶接(stitching)によって行われることができる。
【0033】
同様のやり方において、外側連結部材は、CMCから作られる連結タブ60を備えている。第1の端部において、各タブ60は、各タブ60の端部部分61が、シュラウド40と一体化されたネジ切りされたロッド45を通すためのオリフィス61aを呈し、そしてそのロッド45に螺合されるナット45を有して、ボルト締めによってシュラウド40に固定される。それらの反対側の端部においては、タブ60は、それらを結合させるCMCの外側環状端部フェルール62と一体化されている。フェルール62は、ノズルの外側壁部23の外側面に対して押し付けられる。フェルール62は、壁部23に固定される。結合は、特にろう付けによって、連結片(または、クリップ)の設置によって、または実際にステッチ溶接によって提供されても良い。
【0034】
図示された例において、内側フェルール52および外側フェルール62は、その下流側端部までの大部分にわたって延び、壁部22および23の外側面全体を事実上覆う。それにもかかわらず、フェルール52および62は、壁部22および23の(軸方向における)長さの一部分だけを覆って延びる、1つ以上の連続的円周ストリップに沿って壁部22および23にろう付けされても良い。
【0035】
有利には、外側フェルール62も、開口部23aを通過するエアフォイル21の径方向端面にろう付けされる。そのような状況のもとで、エアフォイルの径方向端部が、開口部23aに間隙なしに係合されることによって、開口部23aの縁部にエアフォイル21のこれら径方向端部をろう付けすることを省くことができる。
【0036】
エアフォイル21を壁部22、23およびフェルール52、62にろう付けするために、CMC材料を一緒に組み立てるために知られているどのようなろう付け組成物を用いることもできる。例として、特に、炭化珪素基質を有する複合材料を用いているときに、欧州特許第0806402号または米国特許第5975407号に記述されたような、ろう付け組成物、または供給業者Wesgo Metalsからのろう付け組成物「Ticusil」を用いることが可能である。
【0037】
CMC材料とシュラウド30、40の金属との間の異なる膨張に適応させるために、連結タブ50、60は、ある一定量の可撓性、すなわち弾性的に変形させる能力を示す。このことは、タブ50、60に、湾曲したまたは折り畳まれた形状、例えばS字形状を与えることによって、それらタブに付与されても良い。
【0038】
内側フェルール52は、その位置において環状シーリングガスケット37を保持するために、タービンノズルの下流側端部と実質的に同一高さで、内側シュラウドと一体化された径方向フランジ36と協働する、径方向環状フランジ56を支持している。例として、ガスケット37は、「オメガ(Ω)」タイプからなり且つ空間33の下流側端部を閉鎖する。ガスケット37は、フランジ36の上流側面に形成される溝36a内に受け入れられ、且つフランジ56の下流側面を押圧する。
【0039】
外側フェルール62も、環状シーリングガスケット47を保持する目的のために、タービンノズルの下流側端部を実質的に同一高さで、外側シュラウド40と一体化された径方向フランジ46と協働する、径方向環状フランジ66を支持している。ガスケット47は、空間43の下流側端部を閉鎖する。例として、ガスケット47は、ストリップタイプである。ガスケットは、フランジ66の外側端部に形成されたハウジング66aにピン47aによって保持される。ハウジング66aの外側で、ガスケット47は、フランジ46の上流側面に形成されたリブ46aを押圧する。
【0040】
ガスケット37および47は、他の形状とすることができ、例えば、ガスケット47としてオメガタイプガスケット、およびガスケット37としてストリップタイプガスケットを用いることもできることは、言うまでもない。
【0041】
フランジ36は、フランジ56内のハウジング56aに係合することによって、軸線11のまわりの回転についてフランジ36および56を拘束するロックフィンガ38をも支持する。
【0042】
したがって、タービンノズル20は、フランジ56およびフェルール52と壁部22との間のろう付けを介して、軸線11のまわりの回転が防止される。ノズルを通過するガス流によってエアフォイル21に誘起される力は、それゆえ、連結タブ50、60によって取り出されず、したがってタブは、燃焼室およびタービンノズルアセンブリを支持することが可能な寸法にされる必要があるだけである。
【0043】
ノズル20および外側金属シュラウドの互いに対しての回転を防止することは、内側金属シュラウドに対するロックに置き換えることによっても、さもなければ力をより良好に分布させるために両シュラウドに対するロックを提供することによっても提供され得る。この目的のために、例えば、ガスケット47を固定するためのピン47aが、フランジ46に形成されたハウジング内に係合するように下流側に延長されても良い。
【0044】
複数の孔部または複数の穿孔部が、空間33および43から取り込んだ空気を噴射することによって、エアフォイル21を冷却し、またノズルの壁部22および23の内側面をも冷却するように、フェルール52および壁部22を備えるアセンブリを通して、そしてフェルール62および壁部23を備えるアセンブリを通して形成され得ることも分かるはずである。
【0045】
図5から図7は、図1から図4の実施形態とは異なる変形実施形態を示しており、それにおいては、CMC連結タブ50および60が、直接的にではなく、金属から作られた可撓性タブ70、80を介して、金属ケーシングの内側および外側シュラウドに結合される。図1から図4と共通の要素は、同一の参照符号が与えられており、そして再度説明されることはない。
【0046】
各金属タブ70、80は、CMCタブ50、60のそれぞれの1つの第1の端部51、61にボルト(73、83)締めされる第1の端部71、81を有している。その反対側の端部には、金属タブ70が、フランジ31aと32aとの間に締め付けられることによって内側金属シュラウド30に結合されるフランジを形成する、終端部分72aを有するフェルール72と一体化されている。タブ70およびフェルール72は、単一片として形成される。その反対側の端部において、各タブ80は、孔部82aを呈するフェルール82と一体化されている。これらの孔部は、シュラウド40と一体化され且つそこに螺合されるナット48aを有する、ネジ切りされたロッド48を通す。壁部30および40へフェルール72および82を固定する他の形態も、提供され得ることは言うまでもない。
【0047】
可撓性金属タブ70および80は、湾曲されまたは折り畳まれた形状、例えばS字形状(タブ70)またはV字形状(タブ80)をなしている。それら可撓性金属タブは、それゆえ弾性的に変形可能であり、燃焼室10と金属ケーシング30から40との間における異なる膨張に適合させるために、弾性変形についての充分でない能力を有するCMCタブ50および60を補償し得る。
【0048】
図8から図10は、図1から図4とは異なる本発明の第2の特定の実施形態を示しており、そこでは、金属ケーシング内の燃焼室およびタービンノズルのアセンブリを支持する連結部材は、それ自体が金属から作られ且つCMCタブを含んでおらず、前記アセンブリにろう付けによって結合されていない。図1から図4の実施形態と図8から図10の実施形態との共通の要素は、同一の参照符号が与えられており、そして再度説明されることはない。
【0049】
内側連結部材は、金属タブ150を備え、各金属タブ150が、第1の端部において内側シュラウド30に結合され、且つ各金属タブ150が、第2の端部においてセクタ化されたプラットフォーム152と一体化される。
【0050】
それらの第1の端部において、金属タブ150は、直接的に、または環状フェルール151を介して、内側シュラウド30に固定されていても良く、環状フェルール151は、フランジ31aと32aとの間に締め付けられることによって、シュラウド30に結合されたフランジを形成する終端部分151aを有する。
【0051】
プラットフォーム152は、事実上、壁部12との結合部からノズル20の下流側端部へかけてずっと、壁部22の外側面に対して押圧されているリングセクタ152aから作られている。プラットフォームセクタ152aは、CMC壁部22に対してこの方向における異なる寸法変動を適応させるように、円周方向において少しだけ互いに間隔をあけて配置されている。
【0052】
プラットフォームセクタ152aは、ネジ153を用いて燃焼室およびノズルアセンブリ10および20に結合され、ネジ153は、セクタ152aおよび壁部22に形成された孔部を通過して、そしてエアフォイル21に径方向に形成されたネジが切られた止まり孔部に受け入れられ、且つプラットフォームセクタ152aに形成されたよりより厚い部分153aに対して押し付ける。
【0053】
セクタ化されたプラットフォーム152は、図1および図3のフランジ56と同様に、内方に向けられた径方向フランジ156も支持し、径方向フランジ156は、環状シーリングガスケット37を保持し、且つ軸線11のまわりでのノズル20の回転を防止するようにフランジ36と協働し、ロッキングフィンガ38が、フランジ156のハウジング156a内で係合する。
【0054】
外側連結部材は、金属タブ160を備え、各金属タブは、外側シュラウド40に結合された第1の端部を有し、且つセクタ化されたプラットフォーム162に一体化された第2の端部を有する。
【0055】
それらの第1の端部において、金属タブ160は、図示されているように直接的にか、またはリング形成フェルール161を介してかのいずれかにて、外側金属シュラウド40に固定される。リング161は、シュラウド40と一体化され且つそこに係合されるナット49aを有する、ネジ切りされたロッド49を通す孔部161aを呈する。
【0056】
プラットフォーム162は、リングセクタ162aから作られ、リングセクタ162aは、事実上その壁部13との結合部からノズル20の下流側端部にかけてずっと、壁部23の外側面に対して押圧する。プラットフォームセクタ162aは、プラットフォームセクタ152aと同様に、円周方向に少しだけ互いに間隔があけられて配置される。
【0057】
プラットフォームセクタ152aと燃焼室10およびノズル20のアセンブリとの間の結合は、ネジ163によって与えられ、ネジ163は、セクタ162aと壁部23に形成される孔部を通過し、且つエアフォイル21に形成されるネジが切られた止まり孔部に螺合し、それらは、プラットフォームセクタ162a上に形成されたより厚い部分163aを押圧する。
【0058】
ネジ162のようなネジ163は、CMC材料、例えば壁部22、23およびエアフォイル21の材料と同様の材料から作られても良く、あるいは金属からなっていても良い。
【0059】
セクタ化されたプラットフォーム162は、外方に向けられた径方向フランジ166も支持し、径方向フランジ166は、図1および図4におけるフランジ66と同様であり、且つ環状シーリングガスケット47を保持するためにフランジ46と協働する。
【0060】
タブ160、リング161、およびセクタ化されたプラットフォーム162は、有利には、タブ150、フェルール151、およびセクタ化されたプラットフォーム152と同様に、単一片として作られる。
【0061】
オリフィス(図示せず)が、空間33および43から取り込んだ空気を噴射することによって、エアフォイル21と、壁部22および23の内側面とを冷却するために、セクタ化されたプラットフォーム152および壁部22を通して、またセクタ化されたプラットフォーム162および壁部23を通して形成されても良い。
【0062】
金属タブ150および160は、湾曲されまたは折り畳まれた形状をなして、例えば、それらがS字形状をなしており、金属ケーシングと燃焼室10およびノズル20のアセンブリとの間における寸法における異なる変動に適合させることを可能とするために、弾性的に変形する充分な能力をそれら金属タブに与える。図7から図10の実施形態は、CMC連結タブが、寸法におけるそのような異なる変動に適応させるのに充分な可撓性を与えないときに、図1から図4の実施形態に代えて選択されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に従った第1の実施形態におけるガスタービンの一部分の軸方向半断面図である。
【図2】図1の実施形態におけるその延長部分と共に、燃焼室の内側および外側壁部の下流側端部分の部分斜視図である。
【図3】図1の実施形態における燃焼室およびタービンノズルのアセンブリと内側および外側金属シュラウドとの間の結合部をより詳細に示す部分斜視図である。
【図4】図1の実施形態における燃焼室およびタービンノズルのアセンブリと内側および外側金属シュラウドとの間の結合部をより詳細に示す部分斜視図である。
【図5】燃焼室およびタービンノズルのアセンブリと内側および外側金属シュラウドとの間の連結部材の変形実施形態を示す、図1と同様の軸方向半断面図である。
【図6】図5の実施形態の変形における連結部材をより詳細に示す部分斜視図である。
【図7】図5の実施形態の変形における連結部材をより詳細に示す部分斜視図である。
【図8】本発明に従った他の実施形態におけるガスタービンの一部分の部分軸方向半断面図である。
【図9】図8の実施形態における燃焼室およびタービンノズルのアセンブリと内側および外側金属シュラウドとの間の結合部を示す部分斜視図である。
【図10】図8の実施形態における燃焼室およびタービンノズルのアセンブリと内側および外側金属シュラウドとの間の結合部を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
10 環状燃焼室
11 軸線
12 内側環状壁部
13 外側環状壁部
14 端部壁部
14a、23a 開口部
20 高圧タービンノズル
21 エアフォイル
22 内側壁部
22a 窪み部
23 外側壁部
24 流路
30 内側金属シュラウド
31、32、41、42 部分
31a、32a、36、41a、42a、46、56、66、156、166 フランジ
33、43 空間
36a 溝
37、47 環状シーリングガスケット
40 外側金属シュラウド
45、48、49 ロッド
46a リブ
47a ピン
49a ナット
50 内側連結タブ
51、61、71、81 端部部分
51a、61a、82a、161a 孔部
52、62、72、82、151 フェルール
60 外側連結タブ
66a、156a ハウジング
70、80 金属可撓性タブ
72a、151a 終端部分
150、160 金属タブ
152、162 プラットフォーム
152a、162a セクタ
161 リング形成フェルール
163 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基質複合材料の内側および外側壁部(12、13)を有する環状の燃焼室(10)と、燃焼室の下流側端部と一体化され且つ燃焼室から到来するガス流のためのノズルを通る環状の流路(24)の内側および外側壁部(22、23)の間に延びる複数の固定エアフォイル(21)を備える高圧タービンノズル(20)とを備える、ガスタービンであって、
タービンノズル(20)が、セラミック基質複合材料から作られ、且つろう付けによって燃焼室(10)の下流側端部に結合されることを特徴とする、ガスタービン。
【請求項2】
燃焼室(10)の内側および外側壁部(12、13)の下流側部分は、エアフォイル(21)がろう付けによって結合される流路(24)の内側および外側壁部(22、23)を形成するように、タービンノズル(20)の下流側端部まで延長されることを特徴とする、請求項1に記載のガスタービン。
【請求項3】
各エアフォイル(21)が、第1の径方向端部にて、流路(24)の内側および外側壁部の一方の厚み内に形成されたハウジングすなわち窪み部(22a)にろう付けされることを特徴とする、請求項2に記載のガスタービン。
【請求項4】
エアフォイル(21)の各々が、流路(24)の内側および外側壁部の一方に形成される開口部(23a)にて第2の径方向端部に係合されることを特徴とする、請求項2または3に記載のガスタービン。
【請求項5】
エアフォイル(21)が、該エアフォイルの第2の径方向端部において前記開口部(23a)にろう付けされることを特徴とする、請求項4に記載のガスタービン。
【請求項6】
燃焼室(10)およびタービンノズル(20)により構成されるアセンブリが、前記アセンブリを、内側および外側金属シュラウドにそれぞれ結合する内部および外部連結部材を用いて、内側金属シュラウド(30)および外側金属シュラウド(40)を備える金属ケーシングの内側に保持され、
連結部材が、セラミック基質複合材料の内側連結タブ(50)を備え、各内側連結タブは、内側金属シュラウド(30)に結合される第1の端部と、燃焼室およびタービンノズルのアセンブリ(10、20)に結合される第2の端部とを有し、連結部材が、さらにセラミック基質複合材料から作られる外側連結タブ(60)を備え、各外側連結タブは、外側金属シュラウド(40)に結合される第1の端部と、燃焼室およびタービンノズルのアセンブリ(10、20)に結合される第2の端部とを有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のガスタービン。
【請求項7】
連結タブ(50、60)の第2の端部が、内側または外側環状フェルール(52、62)に固定され、該内側または外側環状フェルール(52、62)が、タービンノズル(20)を通る流路(24)の内側および外側壁部(22、23)を形成する燃焼室壁部の延長部分の外側面にそれぞれ結合されるセラミック基質複合材料から作られることを特徴とする、請求項6に記載のガスタービン。
【請求項8】
エアフォイル(21)の第2の径方向端部も、前記環状フェルール(62)の1つにろう付けされていることを特徴とする、請求項5および7に記載のガスタービン。
【請求項9】
内側または外側環状フェルール(52、62)が、燃焼室およびタービンノズルのアセンブリ(10、20)と内側または外側金属シュラウドとの間の環状空間(33、43)の下流側端部を閉鎖するためのシーリングガスケット(37、47)を保持するために、内側または外側金属シュラウド(30、40)と一体化されるフランジ(36、46)と協働する部分(56、66)を支持することを特徴とする、請求項7または8に記載のガスタービン。
【請求項10】
内側および外側連結タブ(50、60)の第1の端部が、内側および外側金属シュラウド(30、40)にそれぞれ直接的に固定されることを特徴とする、請求項6から9のいずれか一項に記載のガスタービン。
【請求項11】
内側および外側連結タブ(50、60)の第1の端部が、可撓性金属タブ(70、80)を介して、内側および外側金属シュラウド(30、40)に結合されることを特徴とする、請求項6から9のいずれか一項に記載のガスタービン。
【請求項12】
可撓性金属タブ(70、80)が、セラミック基質複合材料の連結タブ(50、60)に結合されたそれぞれの第1の端部と、対応する金属シュラウドに固定されたフェルール(72、82)と一体化されたそれぞれの第2の端部とを有することを特徴とする、請求項11に記載のガスタービン。
【請求項13】
燃焼室(10)およびタービンノズル(20)により形成されるアセンブリが、前記アセンブリを内側および外側シュラウドにそれぞれ結合する内側および外側連結部材を用いて、内側および外側金属シュラウド(30、40)を備える金属ケーシングの内側に保持され、連結部材が、内側および外側金属連結タブ(150、160)を備え、該内側および外側金属連結タブが、それぞれ、内側および外側金属シュラウド(30、40)に結合されているそれぞれの第1の端部と、燃焼室およびタービンノズルのアセンブリ(10、20)に結合されているそれぞれの第2の端部とを有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のガスタービン。
【請求項14】
金属連結タブの第2の端部が、タービンノズルを通る流路(24)の内側および外側壁部(22、23)を形成する燃焼室壁部の延長部分にそれぞれ固定された、内側および外側のセクタ化された金属プラットフォーム(152、162)と一体化されていることを特徴とする、請求項13に記載のガスタービン。
【請求項15】
セクタ化されたプラットフォーム(152、162)が、ネジ(153、163)を用いて燃焼室およびタービンノズルのアセンブリ(10、20)に機械的に結合され、該ネジが、タービンノズルを通る流路(24)の内側および外側壁部(22、23)を形成する燃焼室壁部の延長部分を通過し、且つエアフォイル(21)に螺入されることを特徴とする、請求項14に記載のガスタービン。
【請求項16】
ネジは、金属から作られていることを特徴とする、請求項15に記載のガスタービン。
【請求項17】
ネジは、セラミック基質複合材料から作られていることを特徴とする、請求項15に記載のガスタービン。
【請求項18】
内側または外側のセクタ化されたプラットフォーム(152、162)が、燃焼室およびタービンノズルのアセンブリ(10、20)と内側または外側金属シュラウドとの間の環状空間(33、43)の下流側端部を閉鎖する環状シーリングガスケット(37、47)を保持するために、内側または外側金属シュラウド(30、40)と一体化されているフランジ(36、46)と協働する部分(156、166)を支持することを特徴とする、請求項14から17のいずれか一項に記載のガスタービン。
【請求項19】
内側および外側金属連結タブ(150、160)の第1の端部が、それぞれ、内側および外側金属シュラウド(30、40)に固定されているそれぞれのフェルール(151、161)と一体化されていることを特徴とする、請求項13から18のいずれか一項に記載のガスタービン。
【請求項20】
燃焼室(10)およびタービンノズル(20)により形成されるアセンブリが、前記アセンブリを内側および外側シュラウドにそれぞれ結合する内側および外側連結部材によって、内側金属シュラウド(30)および外側金属シュラウド(40)を備える金属ケーシングの内側に保持され、連結部材以外の手段が、燃焼室から到来するガス流によってノズルのエアフォイルに誘起される回転力が、連結部材によって取り出されることを回避するように、少なくとも1つの金属シュラウド(30、40)に対してタービンノズル(20)が回転するのをロックするために設けられていることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載のガスタービン。
【請求項21】
回転を防止するための手段が、対応する内側または外側金属シュラウドと一体化したフランジ(36、46)と共に回転する内側または外側環状フランジ(52、62)の少なくとも一方を拘束するロッキング要素(38)を備えることを特徴とする、請求項7から12のいずれか一項に従属する請求項20に記載のガスタービン。
【請求項22】
回転を防止するための手段が、対応する内側または外側金属シュラウドと一体化したフランジ(36、46)と共に回転する、内側または外側のセクタ化されたプラットフォーム(152、162)の少なくとも一方を拘束するロッキング要素(38)を備えることを特徴とする、請求項14から19のいずれか一項に従属する請求項20に記載のガスタービン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−2765(P2006−2765A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−169180(P2005−169180)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(500045316)
【Fターム(参考)】