説明

ガスタービンコンバインドサイクルプラント及びガスタービンコンバインドサイクルプラントのパージ方法

【課題】排ガスボイラのパージに要する時間を短くすると共に、運転効率の低下を抑制することを目的とする。
【解決手段】GTCCプラント10には、ガスタービン16からの排ガスを煙管22に流入させると共に排ガスボイラ20への流入を遮断する第1位置、及び排ガスを排ガスボイラ20へ流入させると共に煙管22への流入を遮断する第2位置の何れかに位置する排気バイパスダンパ24、圧縮機12で圧縮された圧縮空気を排ガスボイラ20へ抽気させる抽気管26、抽気管26に設けられ開状態で圧縮空気を排ガスボイラ20へ抽気させ、閉状態で圧縮空気の抽気を遮断するバルブ28が設けられている。排ガスボイラ20内のガスをパージする場合に、ガスタービン16が駆動している状態で、排気バイパスダンパ24が第1位置に位置し、バルブ28が開状態となり、パージが終了した場合に、排気バイパスダンパ24が第2位置に位置し、バルブ28が閉状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンコンバインドサイクルプラント及びガスタービンコンバインドサイクルプラントのパージ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンコンバインドサイクル(Gas Turbine Combined Cycle)プラントは、ガスタービンから排気される排ガスから熱回収する排ガスボイラ(Heat Recovery Steam Generator:以下、「HRSG」ともいう。)の蒸気によって蒸気タービンを駆動させる。
【0003】
ガスタービンコンバインドサイクルプラントは、ガスタービンによるサイクルから蒸気タービンを含めた複合サイクルへ移行する場合に、排ガスボイラ内に残留しているガスをパージする必要がある。
【0004】
ここで、ガスタービンからの排ガスを用いて上記パージを行う場合、排ガスボイラに可燃性ガスが残留している可能性があるため、米国防火協会による安全基準NFPA85によれば、ガスタービンからの排ガスの温度が100°F(37.8℃)以下でなければ、上記パージのために排ガスを用いることはできないとされている。
【0005】
このため、特許文献1には、ガスタービン入口ガイドベーン(IGV)を調整又は位置決めし直して、ガスタービン排気温度を必要な温度範囲まで低下させた後に、ガスタービンとHRSGとの間に設けられている排気バイパスダンパをパージ位置に開く技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−8076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の技術では、HRSGをパージするために排気温度が低下するようにガスタービンを運転しなければならないため、排気温度が低下するまで待ち時間が生じ、パージに要する時間が長く、ガスタービンコンバインドサイクルプラントの運転効率も低下する。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、排ガスボイラのパージに要する時間を短くすると共に、運転効率の低下を抑制するガスタービンコンバインドサイクルプラント及びガスタービンコンバインドサイクルプラントのパージ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のガスタービンコンバインドサイクルプラントは以下の手段を採用する。
【0010】
すなわち、本発明に係るガスタービンコンバインドサイクルプラントは、空気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮手段と、燃料と前記圧縮手段によって生成された前記圧縮空気との燃焼により生成された燃焼ガスにより駆動し、排気口から排ガスを排気するガスタービンと、流路を介して前記排気口に接続され、前記排ガスから熱回収して蒸気を発生させる排ガスボイラと、前記流路に設けられ、前記排ガスを大気に放出する煙管と、前記流路に設けられ、前記排ガスを前記煙管に流入させると共に前記排ガスボイラへの流入を遮断する第1位置、及び前記排ガスを前記排ガスボイラへ流入させると共に前記煙管への流入を遮断する第2位置の何れかに位置する遮断手段と、前記圧縮手段によって生成された圧縮空気を前記排ガスボイラへ抽気させるための抽気管と、前記抽気管に設けられ、開状態で前記圧縮空気を前記排ガスボイラへ抽気させ、閉状態で前記圧縮空気の前記ガスボイラへの抽気を遮断する開閉手段と、前記排ガスボイラ内のガスをパージする場合に、前記ガスタービンが駆動している状態で、前記遮断手段が前記第1位置に位置すると共に前記開閉手段が開状態となり、前記パージが終了した場合に、前記遮断手段が前記第2位置に位置すると共に前記開閉手段が閉状態となるように、前記遮断手段及び前記開閉手段を制御する制御手段と、を備えている。
【0011】
本発明によると、ガスタービンが、燃料と圧縮手段によって生成された圧縮空気との燃焼により生成された燃焼ガスにより駆動し、排気口から排ガスを排気する。そして、流路を介してガスタービンの排気口に接続された排ガスボイラが、ガスタービンの排ガスから熱回収して蒸気を発生させる。さらに、流路には、排ガスを大気に放出する煙管に流入させると共に排ガスボイラへの流入を遮断する第1位置、及び排ガスを排ガスボイラへ流入させると共に煙管への流入を遮断する第2位置の何れかに位置する遮断手段が備えられる。
【0012】
すなわち、遮断手段が第1位置に位置している場合は、排ガスボイラによる発電は行われず、遮断手段が第2位置に位置している場合は、ガスタービンによる発電と排ガスボイラによる発電が行われる。
【0013】
ここで、排ガスボイラによる発電を行う前に、排ガスボイラ内に残留しているガスをパージしなければならない。
【0014】
本発明によると、ガスタービンコンバインドサイクルプラントには、圧縮空気を排ガスボイラへ抽気させるための抽気管が設けられ、抽気管には、開状態で圧縮空気を排ガスボイラへ抽気させ、閉状態で圧縮空気のガスボイラへの抽気を遮断する開閉手段が設けられている。そして、制御手段によって、排ガスボイラ内のガスをパージする場合に、ガスタービンが駆動している状態で、遮断手段が第1位置に位置すると共に開閉手段が開状態となり、パージが終了した場合に、遮断手段が第2位置に位置すると共に開閉手段が閉状態となるように、遮断手段及び開閉手段が制御される。
【0015】
これによって、ガスタービンが駆動している状態でも、排ガスボイラのパージが可能となるので、排ガスボイラのパージに要する時間を短くすると共に、運転効率の低下を抑制することができる。
【0016】
また、本発明のガスタービンコンバインドサイクルプラントでは、前記抽気管を冷却することによって、前記抽気管を流れる前記圧縮空気を冷却する冷却手段をさらに備えてもよい。
【0017】
本発明によれば、冷却手段によって、抽気管を流れる圧縮空気が冷却されるので、より圧縮比の高い圧縮空気を、排ガスボイラをパージするために用いることができる。
【0018】
また、本発明のガスタービンコンバインドサイクルプラントでは、前記排ガスボイラ内の温度を測定する温度測定手段をさらに備え、前記冷却手段が、前記温度測定手段によって測定された温度が予め定められた温度となるように、前記抽気管に対する冷却量を制御してもよい。
【0019】
本発明によれば、温度測定手段によって測定された温度が予め定められた温度となるように、冷却手段による抽気管に対する冷却量が制御されるので、排ガスボイラへ抽気する圧縮空気の温度をより精度高く制御することができる。
【0020】
また、本発明のガスタービンコンバインドサイクルプラントでは、蒸気を水に戻す復水手段と、前記抽気管を流れる前記圧縮空気と前記復水手段から給水された水とを熱交換する熱交換手段と、をさらに備えてもよい。
【0021】
本発明によれば、熱交換手段によって、抽気管を流れる圧縮空気の熱が復水手段から給水された水へ交換されるので、既存の設備を用いて、より圧縮比の高い圧縮空気を、排ガスボイラをパージするために用いることができる。
【0022】
一方、上記課題を解決するために、本発明のガスタービンコンバインドサイクルプラントのパージ方法は以下の手段を採用する。
【0023】
すなわち、本発明に係るガスタービンコンバインドサイクルプラントのパージ方法は、空気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮手段と、燃料と前記圧縮手段によって生成された前記圧縮空気との燃焼により生成された燃焼ガスにより駆動し、排気口から排ガスを排気するガスタービンと、流路を介して前記排気口に接続され、前記排ガスから熱回収して蒸気を発生させる排ガスボイラと、前記流路に設けられ、前記排ガスを大気に放出する煙管と、前記排ガスを前記煙管に流入させ、前記排ガスボイラへの流入を遮断する第1位置、及び前記排ガスを前記排ガスボイラへ流入させ、前記煙管への流入を遮断する第2位置の何れかに位置する遮断手段と、を備えたガスタービンコンバインドサイクルプラントのパージ方法であって、前記ガスタービンが駆動している状態で、前記遮断手段を前記第1位置に位置させる第1工程と、前記圧縮空気を前記排ガスボイラへ抽気させるための抽気管に設けられた開閉手段を開状態とすることによって、前記圧縮空気を前記排ガスボイラへ抽気させる第2工程と、前記排ガスボイラへ抽気した前記圧縮空気が所定量に達した場合に、前記開閉手段を閉状態とすることによって、前記圧縮空気の前記ガスボイラへの抽気を遮断する第3工程と、前記遮断手段を前記第2位置に位置させる第4工程と、を含む。
【0024】
本発明によると、ガスタービンコンバインドサイクルプラントには、圧縮空気を排ガスボイラへ抽気させるための抽気管が設けられ、抽気管には、開状態で圧縮空気を排ガスボイラへ抽気させ、閉状態で圧縮空気のガスボイラへの抽気を遮断する開閉手段が設けられている。そして、本発明は、排ガスボイラ内のガスをパージさせる場合に、ガスタービンが駆動している状態で、遮断手段が第1位置に位置させると共に開閉手段を開状態とし、パージが終了した場合に、遮断手段を第2位置に位置させると共に開閉手段を閉状態とするように、遮断手段及び開閉手段を制御する。
【0025】
これによって、ガスタービンが駆動している状態でも、排ガスボイラのパージが可能となるので、排ガスボイラのパージに要する時間を短くすると共に、運転効率の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
排ガスボイラのパージに要する時間を短くすると共に、運転効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係るガスタービンコンバインドサイクルプラントの構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る排ガスボイラパージ処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態に係るガスタービンコンバインドサイクルプラントの構成を示す模式図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る排ガスボイラパージ処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3実施形態に係るガスタービンコンバインドサイクルプラントの構成を示す模式図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る排ガスボイラパージ処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第4実施形態に係るガスタービンコンバインドサイクルプラントの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係るガスタービンコンバインドサイクル(以下、「GTCC」という。)プラント10の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0030】
図1に、本第1実施形態に係るGTCCプラント10の構成を示す。
【0031】
GTCCプラント10は、空気を圧縮し圧縮空気を生成する圧縮機12と、燃料と圧縮機12によって生成された圧縮空気とを燃焼させ、燃焼ガスを生成する燃焼器14と、燃焼器14によって生成された燃焼ガスにより駆動し、排気口から排ガスを排気するガスタービン16と、バイパス18を介して排気口に接続され、排ガスから熱回収して蒸気を発生させる排ガスボイラ20と、バイパス18に設けられ、ガスタービン16から排気された排ガスを大気に放出する煙管22と、を備えている。
【0032】
なお、ガスタービン16は、不図示の発電機に接続されており、接続された発電機を回転させ発電を行う。そして、排ガスボイラ20で発生させた蒸気は、不図示の蒸気タービンを駆動させ、該蒸気タービンの回転エネルギーは電力に変換される。
【0033】
また、燃焼器14で用いられる燃料として、例えば、天然ガス、都市ガス、灯油、軽油、ガソリン、A重油などの軽質燃料が用いられる。
【0034】
また、バイパス18には、ガスタービン16から排気された排ガスを煙管22に流入させると共に排ガスボイラ20への流入を遮断する第1位置、及び上記排ガスを排ガスボイラ20へ流入させると共に煙管22への流入を遮断する第2位置の何れかに位置する排気バイパスダンパ24が設けられている。
【0035】
なお、排気バイパスダンパ24が、第1位置に位置している場合とは、ガスタービン16から排気された排ガスが排ガスボイラ20へ流入しないため、排ガスボイラによる発電が行われない場合である。一方、排気バイパスダンパ24が、第2位置に位置している場合とは、ガスタービン16から排気された排ガスが排ガスボイラ20へ流入するため、GTCCプラント10が、ガスタービン16による発電と排ガスボイラ20による発電とを複合して行っている場合である。
【0036】
さらに、GTCCプラント10は、圧縮機12からの圧縮空気を排ガスボイラ20へ抽気させるための抽気管26を備えている。そして、抽気管26には、開状態で圧縮空気を排ガスボイラ20へ抽気させ、閉状態で圧縮空気の排気ガスボイラ20への抽気を遮断するバルブ28が設けられている。
【0037】
抽気管26を介して排ガスボイラ20へ抽気される圧縮空気は、圧縮機12で生成された圧縮空気の一部である。また、バルブ28の開度は調節可能とされ、圧縮機12から排ガスボイラ20へ抽気される圧縮空気の量を任意に変化させてもよい。
【0038】
また、排気バイパスダンパ24は、ダンパ駆動部30によって、上記第1位置及び上記第2位置の何れかに位置するように駆動され、バルブ28は、バルブ駆動部32によって、上記開状態及び閉状態の何れかの状態とされる。
【0039】
そして、GTCCプラント10には、GTCCプラント10全体の制御を司る制御部34が備えられている。
【0040】
本第1実施形態に係る制御部34は、排ガスボイラ20内のガスをパージする場合に、ガスタービン16が駆動している状態で、排気バイパスダンパ24が第1位置に位置すると共にバルブ28が開状態となり、上記パージが終了した場合に、排気バイパスダンパ24が第2位置に位置すると共にバルブ28が閉状態となるように、排気バイパスダンパ24及びバルブ28を制御する排ガスボイラパージ処理を実行する。
【0041】
次に、本第1実施形態に係るGTCCプラント10の作用を説明する。
【0042】
図2は、制御部34によって実行される排ガスボイラパージ処理の流れを示すフローチャートであり、同図に示される排ガスボイラパージ処理を実行するための排ガスボイラパージプログラムは制御部34が備えている不図示の記憶手段の所定領域に予め記憶されている。なお、バルブ28は、排ガスボイラパージ処理が実行される前には閉状態とされている。
【0043】
まず、ステップ100では、排気バイパスダンパ24が、第1位置に位置しているか否かを判定し、肯定判定の場合は、ステップ104へ移行する一方、否定判定の場合は、ステップ102へ移行する。すなわち、本ステップで否定判定となった場合とは、排気バイパスダンパ24が第2位置に位置している場合である。
【0044】
ステップ102では、排気バイパスダンパ24を第1位置へ位置するようにダンパ駆動部30へ第1移動信号を送信し、ステップ104へ移行する。ダンパ駆動部30は、制御部34から送信された第1移動信号を受信すると、排気バイパスダンパ24を第2位置から第1位置へ移動させる。
【0045】
ステップ104では、バルブ28が開状態となるようにバルブ駆動部32へ開信号を送信する。バルブ駆動部32は、制御部34から送信された開信号を受信すると、バルブ28を開状態とする。
【0046】
次のステップ106では、所定の空気量が排ガスボイラ20へ抽気されたか否かを判定し、肯定判定の場合は、ステップ108へ移行する一方、否定判定の場合は、所定の空気量が排ガスボイラ20へ抽気されるまで待ち状態となる。すなわち、本ステップが肯定判定となる場合とは、排ガスボイラ10のパージが終了したことを示す。
【0047】
なお、本第1実施形態では、上記所定の空気量を、一例として、排ガスボイラ20の体積の3倍の空気量とするが、所定の空気量は、排ガスボイラ20をパージできる量であればよく、これに限られない。そして、本第1実施形態に係るGTCCプラント10では、ステップ106において肯定判定となる場合を、所定の空気量が抽気されるまでの予め導出された時間が経過した場合とするが、これに限らず、排ガスボイラ20へ抽気される空気量を測定し、測定結果が所定の空気量となった場合等としてもよい。
【0048】
ステップ108では、バルブ28が閉状態となるようにバルブ駆動部32へ閉信号を送信する。バルブ駆動部32は、制御部34から送信された閉信号を受信すると、バルブ28を閉状態とする。
【0049】
次のステップ110では、排気バイパスダンパ24が第2位置へ位置するようにダンパ駆動部30へ第2移動信号を送信する。ダンパ駆動部30は、制御部34から送信された第2移動信号を受信すると、排気バイパスダンパ24を第1位置から第2位置へ移動させ、本プログラムを終了する。
【0050】
以上説明したように、本第1実施形態に係るGTCCプラント10は、排ガスボイラ20内のガスをパージする場合に、ガスタービン16が駆動している状態で、排気バイパスダンパ24を第1位置に位置させると共にバルブ28を開状態とし、パージが終了した場合に、排気バイパスダンパ24を第2位置に位置させると共にバルブ28を閉状態とするので、ガスタービン16が駆動している状態でも、排ガスボイラのパージが可能となり、排ガスボイラのパージに要する時間を短くすると共に、運転効率の低下を抑制することができる。
【0051】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0052】
図3に、本第2実施形態に係るGTCCプラント10の構成を示す。なお、図3における図1と同一の構成部分については図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0053】
本第2実施形態に係るGTCCプラント10は、抽気管26に、抽気管26を冷却することによって、抽気管26を流れる圧縮空気を冷却する冷却装置40を備えている。なお、本第2実施形態に係る冷却装置40は、抽気管26に水を噴霧するスプレー部42を備えており、スプレー部42は、給水管44を介して、不図示の給水タンクと接続されている。そして、給水管44に設けられているバルブ46を開状態とすることで、スプレー部42から水が抽気管26へ噴霧される。
【0054】
なお、バルブ46は、バルブ駆動部48によって、開状態及び閉状態の何れかの状態とされる。
【0055】
また、制御部34は、バルブ駆動部48を制御することによって、冷却装置40による冷却の開始及び停止の制御を行う。
【0056】
次に、本第2実施形態に係るGTCCプラント10の作用を説明する。
【0057】
図4は、本第2実施形態に係る制御部34によって実行される排ガスボイラパージ処理の流れを示すフローチャートであり、同図に示される排ガスボイラパージ処理を実行するための排ガスボイラパージプログラムは制御部34が備えている不図示の記憶手段の所定領域に予め記憶されている。なお、以下の図4に対する説明において、図2と同様の処理については図2と同一の符号を付して、その説明を省略し、主に図2に示される排ガスボイラパージ処理と異なる処理について説明する。
【0058】
ステップ100で肯定判定となった場合、及びステップ102に示す処理が終了した場合は、ステップ200へ移行する。
【0059】
ステップ200では、抽気管26の冷却を開始するように冷却装置40へ冷却開始信号を送信し、ステップ104へ移行する。冷却装置40は、制御部34から送信された冷却開始信号を受信すると、抽気管26の冷却を開始する。なお、本第2実施形態では、冷却装置40は、抽気管26へ水の噴霧を開始する。
【0060】
ステップ108では、バルブ28が閉状態となるようにバルブ駆動部32へ閉信号を送信し、ステップ202へ移行する。
【0061】
ステップ202では、抽気管26の冷却を停止するように冷却装置40へ冷却停止信号を送信し、ステップ110へ移行する。冷却装置40は、制御部34から送信された冷却停止信号を受信すると、バルブ駆動部48がバルブ46を閉状態とする。これにより、冷却装置40は、抽気管26への水の噴霧を停止するので、抽気管26の冷却が停止される。
【0062】
以上説明したように、本第2実施形態に係るGTCCプラント10は、冷却装置40によって、抽気管26を流れる圧縮空気が冷却されるので、より圧縮比の高い圧縮空気を、排ガスボイラ20をパージするために用いることができる。
【0063】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
【0064】
図5に、本第3実施形態に係るGTCCプラント10の構成を示す。なお、図5における図3と同一の構成部分については図3と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0065】
本第3実施形態に係るGTCCプラント10は、温度センサによって排ガスボイラ20内の温度を測定し、該温度を示す温度情報を出力する温度測定部50を備えている。本第3実施形態に係る温度測定部50は、温度センサとして熱電対を用いるが、これに限らず、抵抗測温体等の他の接触型の温度センサ、及び赤外線温度センサ等の非接触型の温度センサ等の他の温度センサを用いてもよい。
【0066】
また、制御部34は、温度冷却装置40に対して冷却の開始及び停止の制御を行うと共に、温度測定部50で測定された温度(以下、「測定温度」という。)と、排ガスボイラ20のパージのために適した温度として予め定められた温度(例えば、100°F(37.8℃)であり、以下、「設定温度」という。)とのを比較する。そして、制御部34は、温度測定部50による測定温度が設定温度となるように,冷却装置40の抽気管26に対する冷却量を制御する。
【0067】
次に、本第3実施形態に係るGTCCプラント10の作用を説明する。
【0068】
図6は、本第3実施形態に係る制御部34によって実行される排ガスボイラパージ処理の流れを示すフローチャートであり、同図に示される排ガスボイラパージ処理を実行するための排ガスボイラパージプログラムは制御部34が備えている不図示の記憶手段の所定領域に予め記憶されている。なお、以下の図6に対する説明において、図4と同様の処理については図4と同一の符号を付して、その説明を省略し、主に図4に示される排ガスボイラパージ処理と異なる処理について説明する。
【0069】
ステップ104では、バルブ28が開状態となるようにバルブ駆動部32へ開信号を送信し、ステップ300へ移行する。
【0070】
ステップ300では、温度測定部50から排ガスボイラ20の測定温度の大きさを示す温度情報を取得する。
【0071】
次のステップ302では、ステップ300で取得した温度情報により示される測定温度が設定温度以下であるか否かを判定し、肯定判定の場合は、ステップ106へ移行する一方、否定判定の場合は、ステップ304へ移行する。
【0072】
ステップ304では、冷却装置40による抽気管26に対する冷却量を増加させるための冷却量増加信号を冷却装置40へ送信した後、ステップ106へ移行する。冷却装置40は、制御部10から送信された冷却量増加信号を受信すると、抽気管26に噴霧する水の量を予め設定された量だけ増加する。
【0073】
ステップ106では、所定の空気量が排ガスボイラ20へ抽気されたか否かを判定し、肯定判定の場合は、ステップ108へ移行する一方、否定判定の場合は、ステップ300へ戻る。
【0074】
以上説明したように、本第3実施形態に係るGTCCプラント10は、温度測定部50によって測定された測定温度が設定温度となるように、冷却装置40による抽気管26に対する冷却量が制御されるので、排ガスボイラ20へ抽気する圧縮空気の温度をより精度高く制御することができる。
【0075】
〔第4実施形態〕
以下、本発明の第4実施形態について説明する。
【0076】
図7に、本第4実施形態に係るGTCCプラント10の構成を示す。なお、図7における図1と同一の構成部分については図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0077】
本第4実施形態に係るGTCCプラント10は、排ガスボイラ20で発生した蒸気を水(飽和水)に戻す復水器60と、抽気管26を流れる圧縮空気と復水器60から給水された水とを熱交換する熱交換器62と、を備えている。
【0078】
復水器60からの水は、復水ポンプ64によって給水管66を介して熱交換器62へ給水される。なお、給水管66は、熱交換器62を介して排ガスボイラ20へ至る給水管66A、及び熱交換器62を介さずに排ガスボイラ20へ至る給水管66Bに分岐し、排ガスボイラ20へ至る前で再び合流する。
【0079】
そして、熱交換器62によって、圧縮機12から抽気された圧縮空気は、復水器60から給水された水と熱交換される。これによって、圧縮空気の温度は低下し、温度が低下した圧縮空気は、排ガスボイラ20へ送られる。一方、熱交換器62へ給水された水は、給水管66Bを流れる水と共に排ガスボイラ20へ給水される。
【0080】
以上説明したように、本第4実施形態に係るGTCCプラント10は、熱交換器62によって、抽気管26を流れる圧縮空気と復水器60から給水された水とが熱交換されるので、既存の設備を用い、より圧縮比の高い圧縮空気を、排ガスボイラ20をパージするために用いることができる。
【0081】
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記各実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0082】
例えば、上記第2,3実施形態では、冷却装置40として、抽気管26に水を噴霧するスプレー装置を用いる場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、冷却装置40として、抽気管26に冷風を送風する送風装置、例えばペルチェ素子等の熱電素子を用いた冷却装置等、他の冷却装置を用いてもよい。なお、冷却装置40として送風装置を用いた場合、第3実施形態に係る排ガスボイラパージ処理のステップ304では、抽気管26への送風量を増加させる。また、冷却装置40として熱電素子を用いた冷却装置を用いた場合、上記ステップ304では、熱電素子に印加する電圧の量を増加させる。
【0083】
また、上記第4実施形態では、復水器60として、排ガスボイラ20で発生した蒸気を水に戻す復水器を用いる場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、復水器60として、他のボイラで発生した蒸気を水に戻す復水器を用いてもよい。
【0084】
さらに、上記第2実施形態と上記第4実施形態とを組み合わせてもよい。さらに、上記第3実施形態と上記第4実施形態とを組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0085】
10 GTCCプラント
12 圧縮機
16 ガスタービン
20 排ガスボイラ
22 煙管
24 排気バイパスダンパ
26 抽気管
28 バルブ
34 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮手段と、
燃料と前記圧縮手段によって生成された前記圧縮空気との燃焼により生成された燃焼ガスにより駆動し、排気口から排ガスを排気するガスタービンと、
流路を介して前記排気口に接続され、前記排ガスから熱回収して蒸気を発生させる排ガスボイラと、
前記流路に設けられ、前記排ガスを大気に放出する煙管と、
前記流路に設けられ、前記排ガスを前記煙管に流入させると共に前記排ガスボイラへの流入を遮断する第1位置、及び前記排ガスを前記排ガスボイラへ流入させると共に前記煙管への流入を遮断する第2位置の何れかに位置する遮断手段と、
前記圧縮手段によって生成された圧縮空気を前記排ガスボイラへ抽気させるための抽気管と、
前記抽気管に設けられ、開状態で前記圧縮空気を前記排ガスボイラへ抽気させ、閉状態で前記圧縮空気の前記ガスボイラへの抽気を遮断する開閉手段と、
前記排ガスボイラ内のガスをパージする場合に、前記ガスタービンが駆動している状態で、前記遮断手段が前記第1位置に位置すると共に前記開閉手段が開状態となり、前記パージが終了した場合に、前記遮断手段が前記第2位置に位置すると共に前記開閉手段が閉状態となるように、前記遮断手段及び前記開閉手段を制御する制御手段と、
を備えたガスタービンコンバインドサイクルプラント。
【請求項2】
前記抽気管を冷却することによって、前記抽気管を流れる前記圧縮空気を冷却する冷却手段をさらに備えた請求項1記載のガスタービンコンバインドサイクルプラント。
【請求項3】
前記排ガスボイラ内の温度を測定する温度測定手段をさらに備え、
前記冷却手段は、前記温度測定手段によって測定された温度が予め定められた温度となるように、前記抽気管に対する冷却量が制御される請求項2記載のガスタービンコンバインドサイクルプラント。
【請求項4】
蒸気を水に戻す復水手段と、
前記抽気管を流れる前記圧縮空気と前記復水手段から給水された水とを熱交換する熱交換手段と、
をさらに備えた請求項1記載のガスタービンコンバインドサイクルプラント。
【請求項5】
空気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮手段と、燃料と前記圧縮手段によって生成された前記圧縮空気との燃焼により生成された燃焼ガスにより駆動し、排気口から排ガスを排気するガスタービンと、流路を介して前記排気口に接続され、前記排ガスから熱回収して蒸気を発生させる排ガスボイラと、前記流路に設けられ、前記排ガスを大気に放出する煙管と、前記排ガスを前記煙管に流入させ、前記排ガスボイラへの流入を遮断する第1位置、及び前記排ガスを前記排ガスボイラへ流入させ、前記煙管への流入を遮断する第2位置の何れかに位置する遮断手段と、を備えたガスタービンコンバインドサイクルプラントのパージ方法であって、
前記ガスタービンが駆動している状態で、前記遮断手段を前記第1位置に位置させる第1工程と、
前記圧縮空気を前記排ガスボイラへ抽気させるための抽気管に設けられた開閉手段を開状態とすることによって、前記圧縮空気を前記排ガスボイラへ抽気させる第2工程と、
前記排ガスボイラへ抽気した前記圧縮空気が所定量に達した場合に、前記開閉手段を閉状態とすることによって、前記圧縮空気の前記ガスボイラへの抽気を遮断する第3工程と、
前記遮断手段を前記第2位置に位置させる第4工程と、
を含むガスタービンコンバインドサイクルプラントのパージ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−2125(P2012−2125A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137209(P2010−137209)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】