説明

ガスメータ

【課題】電子制御ユニット(以下、ユニットと省略)と接続するケーブルがコネクタで終端された場合でも、ユニットを収容するユニットケース(以下、ケースと省略)の密閉性を損なわずにユニットにケーブルを接続可能である、組み立てが簡易なガスメータの提供。
【解決手段】ガスメータは、遮断弁等のデバイスを収容する本体部2を有し、本体部2から導出されたデバイスに接続されたケーブルを、本体部2に取り付けられるケース4内に密閉状態で収容されたユニット5に接続して構成され、ケーブル6のケーブルコネクタ61を本体部2に固定し、ケース4内のユニット5のプリント基板51にユニット側コネクタ52を取り付け、該コネクタ52の差込接続部をケース4から密閉構造で突出させ、その差込接続部をケーブルコネクタ61に差込接続することによりケース4と本体部2の取り付けの位置合わせがなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水対策等のために電子制御ユニットをユニットケース内に密閉収容するガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスメータは、ガスの遮断制御等の各種制御や処理を行うマイコンやそれを実装したプリント基板等から構成される電子制御ユニットと、遮断弁等のガス供給に関わるデバイスやガス流量計測手段を有する本体部よりなる。また、電子制御ユニットを収容するユニットケースは本体部に取り付けられる。このようなガスメータは、屋外に設置されることが多いので、雨水等によって電子制御ユニットが故障してしまうことを防ぐため、ユニットケースは密閉されている。
【0003】
しかし、ガスメータにおいて、電子制御ユニットは、本体部内の遮断弁等のデバイスと、ケーブルを介して電気接続する必要があるため、ユニットケース内にケーブルを引き込んでいた。このケーブルの引き込みにより、ユニットケースの密閉性が損なわれないようにしなければならない。
【0004】
特許文献1には、図8に示すように、電子機器の筐体10を密閉構造とし、当該筐体10へのケーブル引込部11を下記のグロメット12で塞ぎ、筐体の密閉構造を保つ技術が開示されている。このグロメット12は、ケーブル13が挿入される孔12aをケーブル毎に有し、当該孔12aはケーブル13の接続前においては、薄膜により閉塞されている。この薄膜は、ケーブル13を筐体10内に引き込む段階で、ケーブル13により破られるが、筐体10にケーブル13が固定された後は、孔12aにケーブル13が装着された状態で、弾性によりケーブル13の外周に密着するので、ケーブル引込部11により筐体10の密閉性が損なわれることがないようになっている。
【特許文献1】特開2003−46270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、電子制御ユニットへ接続するケーブルは、複数まとめられてコネクタで終端されることがあるが、複数の接続端がコネクタで終端されたケーブル束は、図8のようにガスメータを構成した場合にグロメットに設けられた孔に挿入することはできず、また、挿入したとしても、その後、ユニットケースの密閉性を保つことができない。
【0006】
また、ガスメータの組み立ての際、ケーブルと電子制御ユニットとの接続作業、ユニットケースと本体部との位置合わせ作業等の各種作業が必要である。これらの作業量は少なく、組み立てが簡易な方が好ましい。
【0007】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、電子制御ユニットと接続するケーブルが複数まとめられてコネクタで終端された場合でも、電子制御ユニットを収容するユニットケースの密閉性を損なわずに電子制御ユニットに当該ケーブルを接続可能であり、組み立てが簡易なガスメータを提供する、ことをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、ガス供給に関わるデバイスを収容する本体部を有し、該本体部から導出されたデバイスに接続されたケーブルを、本体部に取り付けられるユニットケース内に密閉状態で収容された電子制御ユニットに接続して構成されるガスメータであって、ケーブルの終端にケーブルコネクタを接続し、該ケーブルコネクタを上記本体部に固定し、ユニットケース内の電子制御ユニットを構成するプリント基板にユニット側コネクタを取り付け、該ユニット側コネクタの差込接続部をユニットケースから密閉構造で突出させ、
該突出した差込接続部を上記本体部に固定されたケーブルコネクタに差込接続することによりユニットケースと上記本体部の取り付けの位置合わせがなされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のガスメータによれば、電子制御ユニットと接続するケーブルが複数まとめられてコネクタで終端された場合でも、電子制御ユニットを収容するユニットケースの密閉性を損なわずに電子制御ユニットに当該ケーブルを接続できる。また、本発明のガスメータは、その組み立てが簡易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図5を用いて、本発明の第1実施例のガスメータについて説明する。図1は、本発明の第1実施例のガスメータの一例の外観図、図2は、図1のガスメータのユニットケースを説明する斜視図である。図3は、ユニットケース、電子制御ユニット及び本体部の要部を簡略化して示す断面図であり、図4は、図3の部分拡大図である。図5は、固定部材の斜視図である。
【0011】
本実施例のガスメータ1は、図1に示すように、本体部2と、上カバー3と、ユニットケース4とを備える。
本体部2は、ガス流量を計量する計量室を構成すると共に、その内部に遮断弁や圧力センサ、流量センサ等のガス供給に関わるデバイスを有する。これらデバイスには、後述の電子制御ユニットとの電気接続用のケーブルが接続されており、これらのケーブルは、本体部2から引き出されており、複数まとめられてコネクタで終端されている。
上カバー3は、本体部2の前面に設けられたガス流量表示用のカウンタ(図示せず)を保護するものである。ユニットケース4は、電子制御ユニットを密閉した状態で収容するものであり、本体部2の下側の構造体である計量部本体にネジ等により取り付けられる。
【0012】
ユニットケース4は、図2に示すように、電子制御ユニット5が取り付けられ本体部2(図1参照)へ取り付けられるケース基部41と、電子制御ユニット5を保護するようにケース基部41に取り付けられるケースカバー42と、を有する。
このユニットケース4内に収容される電子制御ユニット5は、ガスの遮断制御等の各種制御や処理を行うマイコンやそれを実装したプリント基板51等から構成され、ネジ等によりケース基部41に固定される。
ケース基部41には、電子制御ユニット5の外周を覆う壁41aが設けられており、壁41aの頂部には、ユニットケース4を密閉するためのパッキンを収容する溝が形成されている。
【0013】
また、ケースカバー42には、図3に示すように、ケース基部41の壁41aの溝に対応して突出する凸壁42aが設けられている。ユニットケース4では、密閉のために、この凸壁42aが、パッキンを収容した上記溝に嵌まるように、ケースカバー42がケース基部41に取り付けられている。
【0014】
以下は、ガスメータ1の特徴部の、電子制御ユニット5と本体部2から導出されたケーブル6との接続構造の説明である。なお、ケーブル6は、それぞれの一端が本体部2の内部の遮断弁等のデバイスと接続されており、他端が複数まとめられてケーブル側コネクタ61で終端されている。
電子制御ユニット5のプリント基板51には、ケーブル側コネクタ61が接続されるユニット側コネクタ52が固定されている。該ユニット側コネクタの差込接続部を前記ユニットケースから密閉構造で突出させ、このユニット側コネクタ52のケーブル側コネクタ61への差込接続部52aは、ユニットケース4から密閉状態で突出するようになっている。具体的には、図4に示すように、ユニット側コネクタ52の差込接続部52aは、ケース基部41に形成された孔41bを介してユニットケース4の外部に導出されており、この導出部分の周囲を孔41bに取り付けられたパッキン41cで覆うことによりユニットケース4の密閉性を維持している。
【0015】
このようにして、ユニットケース4の外部に導出したユニット側コネクタ52と、ケーブル側コネクタ61を差し込んで接続することにより、ユニットケース4の密閉性を損なうことなく、本体部2の内部のデバイスと電子制御ユニット5とを電気接続することができる。
【0016】
さらに、ユニット側コネクタ52は、プリント基板51を介してユニットケース4に固定されることにより当該ケース4に固定されており、また、ケーブル側コネクタ61は、例えば固定部材7を介して本体部2に固定されている。そのため、ユニット側コネクタ52とケーブル側コネクタ61とを差込接続するだけで、ユニットケース4と本体部2との位置合わせを行うことができる。
それ故、ガスメータ1の組み立て(電子制御ユニットの交換を含む)は、本体部2に電子制御ユニット5のユニット側コネクタ52とケーブル側コネクタ61とを接続し、ユニットケース4と本体部2とをネジ等で固定するだけでよく、ユニットケースと本体部との位置合わせ等の作業を省略でき簡単になる。
【0017】
なお、ユニットケース4を本体部2にネジにより固定する際は、ケースカバー42が取り付けられた状態のケース基部41をネジにより固定してもよいし、ケース基部41をネジにより固定してからケース基部41にケースカバー42を取り付けてもよい。
【0018】
次に、固定部材7を説明する。
固定部材7は、ケーブル側コネクタ61を本体部2に固定するためのものであり、図5(A)に示すように、2方が開放された略六面体の構造に延出部71が設けられた形態の部材である。対向する2つの面72にはそれぞれ溝72aが形成されており、これら溝72aも対向している。固定部材7において、溝72aの延在方向に関する一方の側は開放されており、こちら側からケーブル側コネクタ61の取り付けが可能である。
ケーブル側コネクタ61は、図5(B)に示すように、ツバ部61aを有しており、当該ツバ部61aを固定部材7の溝72aにスライドさせて嵌め込むことにより、固定部材7に保持される。
このようにケーブル側コネクタ61を保持する固定部材7が、延出部71に設けられた貫通孔71a(図4参照)貫通孔71に挿通されるネジ8によって本体部2に固定されることで、ケーブル側コネクタ61は本体部2に固定される。
【0019】
図6及び図7を用いて、本発明の第2実施例のガスメータについて説明する。図6は、本発明の第2実施例のガスメータのユニットケース、電子制御ユニット及び本体部の要部を簡略化して示す断面図であり、図7は、図6の部分拡大図である。なお、第1実施形態のガスメータと同様の部分については、同じ参照符号を付し、その説明を省略する。
【0020】
第1実施例のガスメータにおいて、プリント基板51(図3参照)からユニット側コネクタ52のケーブル側コネクタ61への差込接続部52aは、前後方向(図の上下方向)に延在していた。それに対し、本実施例のガスメータでは、図6及び図7に示すように、ユニット側コネクタ52’のケーブル側コネクタ61への差込接続部52a’は、鉛直方向(図の左右方向)に延在している。また、本例では、本体部2’は、ケーブル側コネクタ61を鉛直方向下向き(図の左向き)に突出するように固定できるように、固定部材7が取り付けられる取付部21’が上方(図の右側)に設けられている。
【0021】
本例のガスメータでも、ユニット側コネクタ52’は、パッキン41c’等を用いてユニットケース4’の密閉性を維持した状態で当該ケース4’から導出されると共に当該ケース4’に固定されており、ケーブル側コネクタ61が本体部2’に固定されているので、第1実施例と同様の効果が得られる。
また、図3等で示した第1実施例のガスメータは、電子制御ユニット5を収容するユニットケース4が本体部2の正面側(図3の上側)から取り付けられるが、本例のガスメータでは、電子制御ユニット5’を収容するユニットケース4’が本体部2’の鉛直方向下側(図の左側)から差込接続して取り付けられる。
【0022】
なお、ユニット側コネクタの取付方法は、第1実施例と第2実施例とでは異なる。
図3等の第1実施例では、まず、プリント基板51にユニット側コネクタ52を取り付け、プリント基板51上の対応する配線パターンと該コネクタ52の接続端子を電気接続する。そして、プリント基板51に取り付けられた状態のユニット側コネクタ52を、ケース基部41の孔41bに挿入し、その状態でプリント基板51(すなわち電子制御ユニット5)をケース基部41にネジにより固定する。これにより、ユニット側コネクタ52はユニットケース4に固定される。
それに対し、第2実施例では、ケース基部41’の孔41b’にユニット側コネクタ52の柄の部分52b’を挿入しておく。次に、挿入されたユニット側コネクタ52柄の部分52b’が、プリント基板51’に設けられた孔51a’に挿通されるように、電子制御ユニット5’を配する。その後、ユニット側コネクタ52’と各接続端子と、プリント基板51’上の対応する配線パターンも電気接続させると共に、プリント基板51’(すなわち電子制御ユニット5’)をケース基部41’にネジにより固定する。これにより、ユニット側コネクタ52はユニットケース4に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のガスメータの一例の外観図である。
【図2】図1のガスメータのユニットケースを説明する斜視図である。
【図3】ガスメータのユニットケース、電子制御ユニット及び本体部の一例の要部を簡略化して示す断面図である。
【図4】図3の部分拡大図である。
【図5】固定部材の斜視図である。
【図6】ガスメータのユニットケース、電子制御ユニット及び本体部の他の例の要部を簡略化して示す断面図である。
【図7】図6の部分拡大図である。
【図8】従来のガスメータを説明するための図である。
【符号の説明】
【0024】
1…ガスメータ、2,2’…本体部、3…上カバー、4…ユニットケース、5,5’…電子制御ユニット、6…ケーブル、7…固定部材、8…ネジ、21’…取付部、41,41’…ケース基部、41a…壁、41b,41b’…孔、41c,41c’…パッキン、42…ケースカバー、42a…凸壁、51,51’…プリント基板、51a’…孔、52,52’…ユニット側コネクタ、52a,52a’…差込接続部、61…ケーブル側コネクタ、61a…ツバ部、71…延出部、71a…貫通孔、72a…溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス供給に関わるデバイスを収容する本体部を有し、該本体部から導出された前記デバイスに接続されたケーブルを、前記本体部に取り付けられるユニットケース内に密閉状態で収容された電子制御ユニットに接続して構成されるガスメータであって、
前記ケーブルの終端にケーブルコネクタを接続し、該ケーブルコネクタを前記本体部に固定し、
前記ユニットケース内の電子制御ユニットを構成するプリント基板にユニット側コネクタを取り付け、該ユニット側コネクタの差込接続部を前記ユニットケースから密閉構造で突出させ、
該突出した差込接続部を前記本体部に固定されたケーブルコネクタに差込接続することにより前記ユニットケースと前記本体部の取り付けの位置合わせがなされることを特徴とするガスメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−145306(P2010−145306A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324926(P2008−324926)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】