説明

ガスレーザ発振器とそれを備えたレーザ加工機

【解決手段】 レーザ発振器1は、レーザガスのガス通路12の途中に流路切り換え手段27を備えている。レーザ光Lを発振しない状態では流路切り換え手段27の流路切り換え板35によりレーザガスがフィルタ32を通過するようにガス通路12を循環させる。そのため、レーザガス中のパーティクル30はフィルタ32によって効率的に捕捉される。他方、レーザ光Lを発振しない時には、図3に示すように流路切り換え板35によりレーザガスがフィルタ32を通過しないようにしてガス通路12内を循環させる。
【効果】 レーザガス中のパーティクル30を効率的に捕捉することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスレーザ発振器とそれを備えたレーザ加工機に関し、より詳しくは、レーザガスからパーティクル(粉塵)を除去するようにしたガスレーザ発振器とそれを備えたレーザ加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザガスを封入したガス容器内に主電極と、主電極間の放電空間にレーザガスを流すとともに、ガス容器内でレーザガスを循環するためのファン又はブロアとを設けた放電励起タイプのガスレーザ発振器は公知である(例えば特許文献1、特許文献2)。
こうした従来のガスレーザ発振器においては、放電によってパーティクルと称される電極材の酸化粉が発生し、それがレーザガス中に浮遊することは知られている。このパーティクルが共振器を構成する一対のミラーに付着すると、それらの透明性が落ちるとともに、そのパーティクルにレーザ光が吸収されて出力が低下するとともに両ミラーが加熱されて損傷することがあった。また、パーティクルが電極に付着して突起状となると、そこに放電電流が集中して電極が損傷したり、レーザガス中を浮遊するパーティクルが多いと、パーティクルを伝って電極以外に電流が流れることによって放電エネルギーが奪われてレーザ光の出力が低下するという問題が生じる。
そこで、従来ではガスレーザ発振器のガス通路に付着したパーティクルを除去するために定期的にメンテナンスが行われている。このような現状を考慮すると、ガスレーザ発振器内で発生して浮遊するパーティクルを除去することができれば、レーザガスの寿命を延ばすことができるとともに、メンテナンス間隔を長くすることができ、ランニングコストを低減することが可能となる。
【特許文献1】特開平3−255680号公報
【特許文献2】特許第2936264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来、上述したガスレーザ発振器において、レーザガスからパーティクルを除去するための提案がなされている。より詳細には、上記特許文献1のレーザ発振器においては、レーザガスの循環流路の途中を仕切り部材で内外2つの流路に区分し、外側の流路にパーティクルを捕捉するためのダストフィルタを設けている。しかしながら、この特許文献1の装置においては、上記ダストフィルタによってレーザガスの流れに抵抗がかかるので、レーザガスの循環の流れが悪くなり、しかも多くのレーザガスは上記ダストフィルタを設けていない内側の流路を流れることになる。そのため、この特許文献1の装置においては、ダストフィルタによるパーティクルの捕捉率が悪いという欠点があった。
他方、上記特許文献2の装置においては、レーザチャンバに接続した小径の外部配管を介してレーザガスの一部を吸引し、外部配管の途中に配置されたフィルタによってパーティクルを除去した後、レーザチャンバに戻すようにしている。しかしながら、この特許文献2の装置においては、上記外部配管へはレーザガスの一部しか取り込むことができないため、パーティクルの捕捉率が悪いという欠点があった。また、この特許文献2の装置においては、レーザガスの一部を上記外部配管に取り込むためのポンプをレーザチャンバ内のレーザガス循環用ブロアとは別に設けなければならなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した事情に鑑み、請求項1に記載した本発明は、レーザガスが放電電極間に形成される放電空間を通過して循環するガス通路を備えたガスレーザ発振器において、
上記ガス通路の途中に、レーザガス中のパーティクルを捕捉する捕捉手段を有する捕捉通路と捕捉手段を有さない非捕捉通路とを設けるとともに、レーザガスが一方の通路を通過して循環するように流路を切り換える流路切り換え手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2に記載した本発明は、上記請求項1の構成を前提として、上記流路切り換え手段は、レーザ発振の停止時にレーザガスを上記捕捉通路に通過させることを特徴とするものである。
さらに、請求項3に記載した本発明は、請求項1又は請求項2に記載したガスレーザ発振器と、該ガスレーザ発振器及びレーザ加工機の作動を制御する制御装置とを備えたレーザ加工機において、
上記制御装置は、レーザ加工機から入力される信号に基づいて上記流路切り換え手段を切り換え制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
上述した構成によれば、レーザガスが循環するガス通路の途中に、捕捉手段を有する捕捉通路と捕捉手段を有さない非捕捉通路を設けて、捕捉通路にレーザガスを通過させるだけでレーザガス中から効率的にパーティクルを除去することができる。また、レーザ光を発振する際にはレーザガスが非捕捉通路を通過して循環している状態でレーザ光を発振させることで、出力が低下することなくレーザ光を発振することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、図1において1はレーザ加工機であり、このレーザ加工機1は板状の被加工物2を所要の形状に切断加工できるようになっている。
レーザ加工機1は、被加工物2を支持して水平面のX軸方向に移動可能な加工テーブル3と、この加工テーブル3を跨いで配置された門型フレーム4と、この門型フレーム4に取り付けられて上記X軸方向と直交するY軸方向に移動可能な加工ヘッド5と、上記門型フレーム4の隣接位置に配置されてレーザ光Lを発振するガスレーザ発振器6とを備えている。上記加工テーブル3は図示しない第1駆動機構によってX軸方向に移動されるようになっており、上記加工ヘッド5は門型フレーム4に配置された図示しない第2駆動機構によってY軸方向に移動できるようになっている。
また、レーザ加工機1は制御装置7を備えており、この制御装置7は、上記第1駆動機構と第2駆動機構およびガスレーザ発振器6の作動を制御できるようになっている。制御装置7は、作業者によって操作される操作盤7Aを備えており、作業者がこの操作盤7Aを操作して所要の事項を制御装置7に入力できるようになっている。この制御装置7には、加工対象となる被加工物2の材質や加工形状および寸法等の加工データに応じた加工プログラムが予め設定されて保存されている。
【0007】
そして、作業者がガスレーザ発振器6をレーザ光Lが発振可能な状態にするとともに加工テーブル3上に板状の被加工物2を載置して位置決め保持させたら、操作盤7Aを操作して被加工物2を加工するために必要な事項を制御装置7に入力し、加工を開始させる。制御装置7は予め設定された加工プログラムに基づいてガスレーザ発振器6および上記両駆動機構の作動を制御する。すなわち、制御装置7は先ず両駆動機構を作動させて加工ヘッド5を被加工物2における加工開始点に相対移動させ、その後、ガスレーザ発振器6からレーザ光を発振して被加工物2に照射させるとともに、両駆動機構を介して加工ヘッド5と加工テーブル3とを相対移動して被加工物2を所要の形状に切断加工するようになっている。
【0008】
しかして、本実施例は、軸流型のガスレーザ発振器6を以下のように構成することで、レーザガス中のパーティクルを効率的に除去できるようにしたものである。すなわち、図2の概略構成図に示すように、ガスレーザ発振器6は、同一構造を有する2本の円筒状をしたプラズマチューブ11と、レーザガスが各プラズマチューブ11内を通過して循環するガス通路12を備えている。
上記2本のプラズマチューブ11は軸方向において一列となるように配設されており、それら両プラズマチューブ11の互いに対向する端部は共通の支持部材としての中央マニホールド13によって支持されている。フロント側(図面上の左側)のプラズマチューブ11の他端は支持部材としてのフロントマニホールド14によって支持されており、他方、リア側(図面上の右側)のプラズマチューブ11の他端はリアマニホールド15によって支持されている。
フロントマニホールド14のフロント側の端面には出力ミラーとしてのフロントミラー16が取り付けられており、リアマニホールド15のリア側の端面にはリアミラー17が取り付けられている。これらのフロントミラー16とリアミラー17は相互に対向して配置されており、プラズマチューブ11内で発振されたレーザ光Lはフロントミラー16とリアミラー17の間で共振されてから一部がフロントミラー16を透過して外部へ出射されるようになっている。
【0009】
上記プラズマチューブ11のそれぞれには、軸方向において相互に対向する位置に一対の放電電極21、22が二組直列に配置されており、一対の放電電極21,22間に放電空間が形成されている。各一対の放電電極のうち一方をグランド側の放電電極21として各プラズマチューブ11の両端部側に、すなわち各マニホールド13〜15側にそれぞれ配置してあり、かつ他方の非グランド側の放電電極22を各プラズマチューブ11の軸方向の中央部に配置している。本実施例では、グランド側の放電電極21を陽極としてあり、非グランド側の放電電極22を陰極としている。なお、グランド側の放電電極21を陰極とし、非グランド側の放電電極22を陽極としてもよい。
上記各一対の放電電極21、22は図示しない配線を介して、電源としての直流高電圧回路に接続してあり、各プラズマチューブ11内の放電電極21,22間にレーザガスを流通させた状態で各一対の放電電極21、22間に主電圧を印加することにより、各一対の放電電極21,22間で主放電を行なわせてレーザガスを励起してレーザ光Lを発振させるようになっている。そして、各放電電極21,22間で発振されたレーザ光Lは、前述したようにフロントミラー16を透過してプラズマチューブ11の外部へ出射され、その後、上記導光手段8を介して加工ヘッド5へ導かれてから被加工物2に照射されるようになっている。
なお、各一対の放電電極21,22間にはレーザ光Lを発振させないときには低電圧の予備電離電圧を印加するようにしている。
【0010】
また、ガスレーザ発振器6は、上記各マニホールド13〜15に一端を接続された各パイプ23〜25と、中央のパイプ24の他端と接続された送風手段としてのブロア26と、端部のパイプ23,25の他端と接続された流路切り換え手段27、27と、ブロア26と各流路切り換え手段27,27との間を連絡する各連絡パイプ28、28と、各パイプ23〜25の途中に配置されてレーザガスを冷却する各熱交換器29とを備えている。
【0011】
上記制御装置7によりブロア26が作動されると、両方の連絡パイプ28,28の2方向に向けてレーザガスが送り出されるようになっている。このブロア26によって、レーザガスはブロア26よりもフロント側(左側)の連絡パイプ28と、フロント側の流路切り換え手段27内と、パイプ23とそれに配置された熱交換器29と上記フロントマニホールド14とを介してフロント側のプラズマチューブ11にレーザガスが供給される。また、レーザガスはブロア26よりもリア側の連絡パイプ28と、リア側(右側)の流路切り換え手段27と、パイプ25とそれに設けた熱交換器29およびリアマニホールド15とを介してリア側のプラズマチューブ11に供給されるようになっている。
そして、各プラズマチューブ11に供給されて、その内部を軸方向に沿って流通したレーザガスは、中央マニホールド13からパイプ24を介して熱交換器29を通ってブロア26内に流入し再び各連絡パイプ28,28へ送出されるようになっている。
つまり、上記両プラズマチューブ11と各マニホールド13〜15と上記各パイプ23〜25と各連絡パイプ28、各熱交換器29、各流路切り換え手段27およびブロア26の内部空間によって、ガス通路12が構成されている。
【0012】
次に、フロント側とリア側の流路切り換え手段27、27は構成が同じであって、それらの配置方向が逆になるだけなので、フロント側の流路切り換え手段27の構成のみを説明する。すなわち、図3〜図5に示すように、フロント側に位置する流路切り換え手段27は、内部に空間を有する箱形のハウジング31と、このハウジング31内に設けられてレーザガス中のパーティクル30を捕捉するフィルタ32と、ハウジング31内を通過するレーザガスが上記フィルタ32を有する捕捉通路33とフィルタ32を有しない非捕捉通路34とのどちらかを通過するように切り換えるための流路切り換え板35と、流路切り換え板35を揺動する駆動源となるロータリーエアシリンダ36とを備えている。このロータリーエアシリンダ36は上記制御装置7によって作動を制御されるようになっている。
流路切り換え板35はロータリーエアシリンダ36によりフィルタ32の出口を塞ぐとともに連絡パイプ28からパイプ23へ連通する非捕捉通路34を形成する位置(図3参照)と上記非捕捉通路34を塞ぐとともに、フィルタ32の入口へレーザガスを導く捕捉通路33を形成する位置(図4参照)とに揺動されるようになっている。
フロント側の流路切り換え手段27は以上のように構成されており、前述したように、リア側の流路切り換え手段27はフロント側と逆の配置で同様に構成されている。
【0013】
レーザ加工機1は以上のように構成されており、さらに制御装置7は上記ガスレーザ発振器6の作動を次のように制御するようになっている。ガスレーザ発振器6を立ち上げる際には、流路切り換え板35によりレーザガスが捕捉通路33を通過するように位置させておく。
そのため、ブロア26によってガス通路12内を循環して流通するレーザガスは、全て両方の流路切り換え手段27,27のフィルタ32を通過することになり、その際にレーザガス中にパーティクル30が存在すればフィルタ32によって捕捉される。なお、フィルタ32によってレーザガスの流通速度は低下するが、この時点では放電電極21,22に主電圧は印加されておらず、レーザ光Lは発振されていないので問題は生じない。
【0014】
次に、作業者により上記加工テーブル3に被加工物2が載置されてから位置決めされ、上記加工プログラムによる加工を実行するために操作盤7Aの自動モードボタンが押されると、制御装置7は、両方の流路切り換え手段27,27のロータリーエアシリンダ36を同期して作動させて、各流路切り換え板35をレーザガスが非捕捉通路34を通過するように揺動させる。そのため、ブロア26によって送出されているレーザガスは、フィルタ32を通過することなく非捕捉通路34を通過してガス通路12を循環する。この場合、レーザガスはフィルタ32を通過することなくハウジング31内を流通していくので、前述したようにレーザガスをフィルタ32に通過させる場合と比較すると、レーザガスの流通速度は速くなっている。
【0015】
このように、両方の流路切り換え手段27,27の非捕捉通路34を介してレーザガスがガス通路12を循環している状態において、制御装置7は予め設定した加工プログラムを実行する。そして、制御装置7は、加工プログラムを実行するなかで、レーザ光を発振するための指令により図示しない電源から放電電極21、22に主電圧を印加させるので、両プラズマチューブ11、11内の放電空間でレーザガスが主放電励起されてレーザ光Lが発振されて前述したようにフロントミラー16からレーザ光Lが外部に向けて出射される。
その後、レーザ光Lは、導光手段8と加工ヘッド5を介して被加工物2に照射されてレーザ加工が開始され、さらに上記両駆動機構を介して加工ヘッド5と被加工物2が水平面のX軸方向とY軸方向に相対移動されるので、被加工物2が所要の形状に切断加工される。また、制御装置7は加工プログラムのレーザ発振を停止するための指令により放電電極21,22への主電圧の印加を停止し、レーザ光Lの発振を停止させる。このようにして、加工プログラムが最後まで実行されて、加工テーブル3上の被加工物2に対する加工が終了したら、制御装置7は、ブロア26を作動させた状態において両方の流路切り換え板35をレーザガスが捕捉通路33を通過するように揺動させる。そのため、全てのレーザガスは両方の流路切り換え手段27,27の捕捉通路33とそのフィルタ32を通過してガス通路12を循環するようになっている。それにより、レーザガス中にパーティクル30がある場合には、両方の流路切り換え手段27,27のフィルタ32によって捕捉されるようになっている。
このように、加工プログラムを自動で実行している間は、放電空間を流通するレーザガスの速度が落ちないようにレーザガスは非捕捉通路33を通過させ、それ以外の段取り時間などには捕捉通路32を通過させるようにする。
【0016】
なお、レーザ加工機1を手動モードでレーザ発振させる場合には、作業者が操作盤7AのレーザONボタンを押す。すると、先ず、両方の流路切り換え手段27、27の流路切り換え板35が揺動される。それにより、両方の流路切り換え手段27,27の非捕捉通路34を介してレーザガスが流通するようになる。そして、その数秒後に放電空間を流通するレーザガスの流通速度が所定の流速に達したら、放電電極21、22に電源から主電圧が印加されて主放電が行われ、レーザ光Lが発振される。
【0017】
以上のように、本実施例のレーザ加工機1のガスレーザ発振器6は、流路切り換え手段27,27を備えており、被加工物2に切断加工を施す時、つまりレーザ光Lを発振する際には、レーザガスは両方の流路切り換え手段27,27の非捕捉通路34を通って循環する。他方、被加工物2に切断加工を施さない時、つまりレーザ光Lを発振しない時には、全てのレーザガスは流路切り換え手段27,27の捕捉通路33とそこのフィルタ32を通過して循環する。
そのため、被加工物2に切断加工を施す際にレーザガスはフィルタ32によって流通速度が低下しないため、プラズマチューブ11,11内で発振されるレーザ光Lの出力が低下する恐れがない。
他方、切断加工をしていない状態では、全てのレーザガスはフィルタ32を通過して循環して流通するため、レーザガス中に存在するパーティクル30をフィルタ32によって効率的に捕捉することができる。このようにパーティクル30を捕捉する際にはフィルタ32が抵抗となってレーザガスの流通速度が遅くなるが、この状態ではレーザ光Lは発振されていないのでレーザ光Lの出力が低下するという問題は生じない。
【0018】
次に、図6は本発明の第2実施例を示したものであり、この第2実施例は、パレットチェンジャ51を備えたレーザ加工機1に本発明のガスレーザ発振器6を用いたものである。この第2実施例のガスレーザ発振器6や加工テーブル3とそれをX軸方向に移動させる第1駆動機構の構成、加工ヘッド5とそれをY軸方向に移動させる第2駆動機構の構成は上記第1の実施例と同じである。
パレットチェンジャ51は、被加工物2を載置して保持する複数のパレットPを備えており、パレットチェンジャ51の作動は制御装置7に制御されるようになっている。制御装置7は、パレットチェンジャ51の作動を制御して、加工テーブル3に被加工物2を保持したパレットPを搬入し、切断加工の終了後に加工テーブル3からパレットPを搬出した後に、新たなパレットPを加工テーブル3に搬入するようになっている。
本第2実施例においては、パレットチェンジャ51による加工テーブル3へのパレットPの搬入出作動と関連させて、制御装置7によりガスレーザ発振器6の流路切り換え手段27,27の作動を制御するようになっている。
【0019】
すなわち、現場の作業者は制御装置7の操作盤7Aを操作して、レーザ発振器6を作動させ、図4に示すようにレーザガスが流路切り換え手段27、27の捕捉通路33を通過するようにしておく。
この後、作業者は、操作盤7Aにより連続加工のためのプログラムを設定し、レーザ加工機1を自動運転モードにする。
この後、パレットチェンジャ51側の第1のパレットPに作業者により被加工物2が載置され、その後に作業者は操作盤7AによりパレットPへの被加工物2のセット完了ボタンを押す。
この時点で、加工テーブル3へのパレットPの受け入れ準備が終了していれば、パレットチェンジャ51によって第1のパレットPが加工テーブル3上に搬入されて位置決めされる。すると、制御装置7は、図示しないセンサによってパレットPが加工テーブル3上に搬入されたことを認識できるので、制御装置7は図3に示すようにレーザガスが流路切り換え手段27,2の非捕捉通路34を通過するように流路切り換え板35を揺動させる。
この後、制御装置7は予め設定された自動モードの加工プログラムに従って上述した第1の実施例と同様に被加工物2に対して所要の切断加工を施す。
【0020】
この間にパレットチェンジャ51側の第2のパレットPに被加工物2が作業者によって載置され、作業者は被加工物2のセット完了ボタンを押しておく。
そして、加工テーブル3上の第1のパレットPに対する切断加工が終了したら、制御装置7はガスレーザ発振器6の流路切り換え手段27、27をレーザガスが捕捉通路33を通過するように切り換える。
その後、パレットチェンジャ51により加工テーブル3から第1のパレットPが搬出された後に第2のパレットPが加工テーブル3に搬入されて位置決めされたら、制御装置7は流路切り換え手段27、27を図4に示すようにレーザガスが非捕捉通路34を通過するように切り換える。このように、パレット交換の間には、レーザガスが捕捉通路33を通過しているので、第1のパレットPでの加工時に発生してレーザガス中に浮遊するパーティクル30はフィルタ32によって除去される。その後、制御装置7は第2のパレットP上の被加工物2に対して切断加工を施す。このような第2実施例においても、上述した第1の実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
なお、上記本発明は二軸直交型あるいは三軸直交型のレーザ発振器にも適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図。
【図2】図1に示したガスレーザ発振器6の概略構成図。
【図3】図2に示した要部の断面図。
【図4】図2の要部の異なる状態を示す断面図。
【図5】図4のV―V線に沿う断面図。
【図6】本発明の第2実施例を示す全体の構成図。
【符号の説明】
【0022】
1‥レーザ加工機 2‥被加工物
6‥ガスレーザ発振器 11‥プラズマチューブ
12‥ガス通路 23,24、25‥パイプ
27‥流路切り換え手段 28‥連絡パイプ
30‥パーティクル 32‥フィルタ
33‥捕捉通路 34‥非捕捉通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザガスが放電電極間に形成される放電空間を通過して循環するガス通路を備えたガスレーザ発振器において、
上記ガス通路の途中に、レーザガス中のパーティクルを捕捉する捕捉手段を有する捕捉通路と捕捉手段を有さない非捕捉通路とを設けるとともに、レーザガスが一方の通路を通過して循環するように流路を切り換える流路切り換え手段を設けたことを特徴とするガスレーザ発振器。
【請求項2】
上記流路切り換え手段は、レーザ発振の停止時にレーザガスを上記捕捉通路に通過させることを特徴とする請求項1に記載のガスレーザ発振器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載したガスレーザ発振器と、該ガスレーザ発振器及びレーザ加工機の作動を制御する制御装置とを備えたレーザ加工機において、
上記制御装置は、レーザ加工機から入力される信号に基づいて上記流路切り換え手段を切り換え制御することを特徴とするレーザ加工機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−123665(P2010−123665A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294411(P2008−294411)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】