説明

ガス保安装置

【課題】 ガスの脈動を伴う機器の使用時間を測定できるガス保安装置を提供する。
【解決手段】 超音波センサ1からの測定データによりガスの脈動を認識し、脈動の周期と一定時間毎の脈動回数を記憶する脈動記憶手段6を設け、圧力変化の周期と回数からガス脈動の情報を検知するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流量を計測し異常流量が計測された場合にガス通路を遮断し、ガス使用上の安全性を確保するガス保安装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ガスの使用量を計測するガスメータに、多量の流量が計測された場合や通常ではありえないほどの長時間使用があった場合に異常と判定し、ガス通路を遮断し、安全性を確保するガス保安装置が内蔵されたものが普及している。
【0003】
この種のガス保安装置の流量測定方式では、所定の時間内にメータを通過した体積より流量を測定する膜式メータが一般的である。
【0004】
この膜式メータでは、下流側に例えばガスヒートポンプ(GHP)式等のガス冷暖房器が設置された場合、GHP運転開始後に生じるガス圧力の脈動に対して反応が鈍く、流量変動分が吸収されて平滑にされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記膜式メータを使用している場合には、ガス圧力が脈動している時間を測定し、使用ガス機器を区別して、個別料金体制等を行おうとしても実現できないという問題があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、流量計測に超音波センサを用いてガス圧力が脈動している状態を検出できるガス保安装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガス保安装置は、ガスが流れるとともに遮断手段が配設されたガス流路と、ガス流路の対極する位置に配設され超音波の発信部と受信部からなる超音波センサと、超音波センサを駆動する超音波センサ駆動回路と、超音波センサ駆動回路及び遮断手段を制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、下流から上流方向に超音波が進む場合の送信から受信までの時間差t1から上流から下流方向に超音波が進む場合の送信から受信までの時間差t2を引いた結果が負の値と正の値を含む場合にガスの脈動が発生していると認識する手段と、前記負の値と正の値が交互に出力されるときの前記負の値と正の値の1回の出力を1周期として何周期出力されたかを記憶する脈動記憶手段を有し、前記脈動記憶手段によりガス脈動の発生情報を検知するようにしたものであり、圧力変化の周期と回数からガス脈動の情報を検知することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のガス保安装置によれば、超音波センサからの測定データを用いて、下流から上流方向に超音波が進む場合の送信から受信までの時間差t1から上流から下流方向に超音波が進む場合の送信から受信までの時間差t2を引いた結果が負の値と正の値を含む場合にガスの脈動が発生していると認識し、前記負の値と正の値が交互に出力されるときの前記負の値と正の値の1回の出力を1周期として何周期出力されたかを記憶する脈動記憶手段を設けることにより、脈動の周期や回数を記憶することができるため、ガス脈動の情報を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のガス保安装置の一実施形態について、図1、図2を参照して説明する。
【0009】
図1において、1は超音波センサで、超音波の発信部と受信部から成り、それぞれガス流路2の対極する位置に配設され、発信から受信までの時間を測定する。ガス流路2には、その流路を遮断する遮断手段(図示せず)が配設されている。3は超音波センサ1を駆動する超音波センサ駆動回路であり、4は超音波センサ駆動回路3、遮断手段等、全ての動作を制御する制御回路である。5は制御回路4内に配設された時間計測手段で、一定条件の事象の時間を測定する。
【0010】
以上の構成における動作を図1と図2を参照して説明する。超音波センサ1の発信部から送出された超音波は対極に位置する受信部で受け取られる。この時、超音波の送出時と受け取り時との間で時間差tが生じる。また、超音波は送出から受け取りに至るまでの間にガス流路2を流れるガスを通ってくるので、上流から下流方向に超音波が進む場合には時間差tは小さく、下流から上流方向に超音波が進む場合には時間差tは大きくなる。前者をt2、後者をt1とすると、制御回路4により(t1−t2)を演算すると、その結果は必ず、(+)の値となる。反対方向にガスが流れていると、その結果は(−)となる。つまり、(t1−t2)の演算結果が(+)と(−)に交互に出力されるような状態であれば、ガス流路2を流れるガスの方向は刻々と切り替わっていることになり、ガスの脈動が起こっていると認識できる。
【0011】
そして、ガスが脈動していると認識した場合、脈動している時間を時間計測手段5により測定し、記憶することにより、GHP等の特定ガス機器の使用時間を区別して認識することができる。
【0012】
また、報知部(図示せず)により外部に脈動していることを報知するようにすることもできる。この報知部は、表示器による表示でも、音響手段や通信手段であってもよい。
【0013】
次に、本発明のガス保安装置の他の実施形態について、図3を参照して説明する。なお、上記実施形態と同一の構成要素については同一参照符号を付して説明を省略し、相違点のみを説明する。
【0014】
本実施形態においては、制御回路4内に時間測定手段5に代えて、脈動記憶手段6を設けている。この脈動記憶手段6は、制御回路4で出力される(t1−t2)の演算結果が、(+)と(−)が交互に出力される時、(+)と(−)の1回の出力を1周期として、何周期出力されるかを記憶する。また、この状態が、例えば1日に何回起きているかも記憶する。
【0015】
これによりガス保安装置の下流側に設置された機器によるガス脈動の情報を検知することができる。
【0016】
また、上記各実施形態の時間計測手段5と脈動記憶手段6の両方を設けた構成とすることにより、上記両効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明によれば、脈動記憶手段を設けることにより、脈動の周期や回数を記憶することができるため、ガス脈動の情報を得ることが可能となってガス保安装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のガス保安装置の一実施形態の構成を示すブロック図
【図2】同実施形態の動作フローチャート
【図3】本発明のガス保安装置の他の実施形態の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0019】
1 超音波センサ
2 ガス流路
3 超音波センサ駆動回路
4 制御回路
5 時間計測手段
6 脈動記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスが流れるとともに遮断手段が配設されたガス流路と、ガス流路の対極する位置に配設され超音波の発信部と受信部からなる超音波センサと、超音波センサを駆動する超音波センサ駆動回路と、超音波センサ駆動回路及び遮断手段を制御する制御回路とを備え、
前記制御回路は、下流から上流方向に超音波が進む場合の送信から受信までの時間差t1から上流から下流方向に超音波が進む場合の送信から受信までの時間差t2を引いた結果が負の値と正の値を含む場合にガスの脈動が発生していると認識する手段と、前記負の値と正の値が交互に出力されるときの前記負の値と正の値の1回の出力を1周期として何周期出力されたかを記憶する脈動記憶手段を有し、
前記脈動記憶手段によりガス脈動の発生情報を検知するようにしたガス保安装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−271639(P2007−271639A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168687(P2007−168687)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【分割の表示】特願2000−38576(P2000−38576)の分割
【原出願日】平成12年2月16日(2000.2.16)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】