説明

ガス化装置の制御装置

【課題】一定重量の燃料を安定的に供給することが可能なガス化装置の制御装置を提供する。
【解決手段】ロードセル61・61と、実重量演算手段661と、ポテンショメータ62と、記憶部67と、タッチパネル63と、重量差演算手段662と、回転数補正手段663と、を備え、回転数補正手段663は、重量差演算手段662によって演算された燃料重量差ΔWにおいて、タッチパネル63によって設定された燃料重量Wdよりも実重量演算手段661によって演算された燃料重量Wrが大きい場合は、スクリュウコンベア40の回転数を減少する補正を行い、重量差演算手段662によって演算された燃料重量差ΔWにおいて、タッチパネル63によって設定された燃料重量Wdよりも実重量演算手段661によって演算された燃料重量Wrが小さい場合は、スクリュウコンベア40の回転数を増加する補正を行うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス化装置の制御装置に関し、詳しくは、ホッパ内の燃料をガス化炉に供給するスクリュウコンベアの供給量制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス化装置の制御装置に係るスクリュウコンベアの燃料供給量を制御する技術は公知となっている(例えば、特許文献1参照)。ここで、ガス化装置の一つとして、おが粉等を燃料とする木質バイオマス発電プラントが広く知られており、特許文献1に記載されているガス化装置の制御装置は、スクリュウコンベアの回転数を一定に制御することにより、ホッパ内の燃料を一定体積ずつガス化炉に供給することが可能である。
【0003】
しかし、燃料の体積が一定であっても比重が変化すると燃料の重量が変化するが、特許文献1に記載されているガス化装置の制御装置は、スクリュウコンベアの回転数が一定であるため、一定重量の燃料を安定的に供給することができず、これにより、ガス化装置の生成ガス量が不安定になる、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−82963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、一定重量の燃料を安定的に供給することが可能なガス化装置の制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
すなわち、請求項1においては、ホッパ内の燃料をガス化炉に供給するスクリュウコンベアの燃料供給量を制御するガス化装置の制御装置であって、前記ホッパ内の燃料重量を検出する重量検出手段と、前記重量検出手段によって検出された前記ホッパ内の燃料重量の単位時間当たりの変化量に基づいて、前記ガス化炉に供給された実際の燃料重量を演算する実重量演算手段と、前記スクリュウコンベアの回転数を検出する回転数検出手段と、前記スクリュウコンベアの回転数と供給可能な燃料重量との関係について規定するマップを記憶する記憶手段と、前記ガス化炉に供給する燃料重量を前記マップに基づいて設定する予定重量設定手段と、前記実重量演算手段によって演算された燃料重量と前記予定重量設定手段によって設定された燃料重量との差を演算する重量差演算手段と、前記スクリュウコンベアの回転数を補正する回転数補正手段と、を備え、前記回転数補正手段は、前記重量差演算手段によって演算された燃料重量差において、前記予定重量設定手段によって設定された燃料重量よりも前記実重量演算手段によって演算された燃料重量が大きい場合は、前記スクリュウコンベアの回転数を減少する補正を行い、前記重量差演算手段によって演算された燃料重量差において、前記予定重量設定手段によって設定された燃料重量よりも前記実重量演算手段によって演算された燃料重量が小さい場合は、前記スクリュウコンベアの回転数を増加する補正を行うものである。
【0008】
請求項2においては、前記記憶手段は、前記スクリュウコンベアの回転数を減少する補正を行う場合の最小補正値と、前記スクリュウコンベアの回転数を増加する補正を行う場合の最大補正値と、を記憶し、前記回転数補正手段は、前記最小補正値から前記最大補正値の範囲内において、前記スクリュウコンベアの回転数を減少および増加する補正を行うものである。
【0009】
請求項3においては、前記記憶手段は、前記最大補正値と前記最小補正値との差がいくつかに分割された単位補正値を記憶し、前記回転数補正手段は、前記最小補正値から前記最大補正値の範囲内において、前記スクリュウコンベアの回転数を前記単位補正値を用いて段階的に減少および増加する補正を行うものである。
【0010】
請求項4においては、前記記憶手段は、前記重量差演算手段によって演算された燃料重量差に係る閾値を記憶し、前記回転数補正手段は、前記重量差演算手段によって演算された燃料重量差が前記閾値を超える場合に、前記スクリュウコンベアの回転数を減少および増加する補正を行うものである。
【0011】
請求項5においては、前記記憶手段は、前記スクリュウコンベアの回転数に係る最小回転数と、前記スクリュウコンベアの回転数に係る最大回転数と、を記憶し、前記回転数補正手段による補正後のスクリュウコンベアの回転数が前記最小回転数と前記最大回転数との範囲内にあるか否かを判定する判定手段を備え、前記判定手段は、前記回転数補正手段による補正後のスクリュウコンベアの回転数が、前記最小回転数よりも高く前記最大回転数よりも低い場合は、前記回転数補正手段による補正後のスクリュウコンベアの回転数を選択し、前記回転数補正手段による補正後のスクリュウコンベアの回転数が、前記最小回転数よりも低い場合は、前記最小回転数を選択し、前記回転数補正手段による補正後のスクリュウコンベアの回転数が、前記最大回転数よりも高い場合は、前記最大回転数を選択するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
請求項1においては、ガス化炉に実際に供給された燃料重量に応じてスクリュウコンベアの回転数を補正することにより、一定重量の燃料を安定的に供給することが可能である。これにより、ガス化装置の生成ガス量が安定する。
【0014】
請求項2においては、スクリュウコンベアの回転数の補正範囲を制限できるため、過大な補正による回転数の大幅な変更に起因するガス化装置の誤作動を防止することが可能である。
【0015】
請求項3においては、スクリュウコンベアの回転数の変更が緩やかであるため、急激な回転数の変更によるガス化装置の誤作動を防止することが可能である。
【0016】
請求項4においては、外乱に起因する僅かな重量変動の場合は、スクリュウコンベアの回転数が変更されないため、回転数の頻繁な変更によるガス化装置の誤作動を防止することが可能である。
【0017】
請求項5においては、スクリュウコンベアの回転数の変更範囲を制限できるため、過大・過小な回転数によるガス化装置の誤作動を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】制御装置を備えるガス化装置を模式的に示す図。
【図2】制御装置の制御ブロック図。
【図3】記憶部に記憶されるマップ図。
【図4】制御装置の制御フロー図。
【図5】制御装置の別の制御フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態について説明する。
【0020】
図1に示すガス化装置1は、例えば、おが粉を燃料とする木質バイオマス発電プラントである。なお、以下の説明における「燃料」は、特に断りがない限り「おが粉」を指すものとする。ガス化装置1は、サイロ10、切り出しコンベア20、ホッパ30、スクリュウコンベア40、ガス化炉50、および制御装置60等で構成される。ガス化装置1では、サイロ10に貯溜される燃料11が切り出しコンベア20によって搬送されてホッパ30に投入され(図1に示す燃料21)、ホッパ30内の燃料31がスクリュウコンベア40によって搬送されてガス化炉50に供給される。なお、スクリュウコンベア40からガス化炉50までの間は、適宜の搬送装置70によって燃料が搬送される。ガス化炉50に供給するスクリュウコンベア40の燃料供給量は、制御装置60によって制御される。
【0021】
図2に示す制御装置60には、ロードセル61・61、ポテンショメータ62、タッチパネル63、モータ64、およびインバータ65が接続される。
【0022】
ロードセル61・61は、本発明に係る「重量検出手段」の実施の一形態である。ロードセル61・61は、ホッパ30内の燃料重量を検出する。ロードセル61・61は、スクリュウコンベア40の搬送方向におけるホッパ30の下部の両端部に取り付けられる。なお、以下の説明におけるロードセル61・61によって検出された燃料重量は、二つのロードセル61・61によって検出されたホッパ30内の燃料重量の平均値である。
【0023】
ポテンショメータ62は、本発明に係る「回転数検出手段」の実施の一形態である。ポテンショメータ62は、スクリュウコンベア40の回転軸近傍に設けられ、スクリュウコンベア40の回転数を検出する。
【0024】
タッチパネル63は、本発明に係る「予定供給量設定手段」の実施の一形態である。タッチパネル63により、作業者がガス化炉50に供給する燃料重量(以下「予定重量」という。)Wdを設定する。タッチパネル63には、予定重量Wd等が表示される。
【0025】
モータ64は、スクリュウコンベア40を回転させるアクチュエータとなるものである。モータ64の出力軸は、適宜の減速機等を介してスクリュウコンベア40の回転軸と接続される。
【0026】
インバータ65は、制御装置60からの制御信号に応じてモータ64に電力を供給してモータ64を所定の回転数で回転駆動させるものである。
【0027】
制御装置60は、処理部66と、記憶部67と、ポート等を有する。
【0028】
処理部66は、CPU(Central Processing Unit)等で構成される。処理部66は、実重量演算手段661、重量差演算手段662、回転数補正手段663、および判定手段664に係る機能を有する。
【0029】
実重量演算手段661は、スクリュウコンベア40によってガス化炉50に供給された実際の燃料重量(以下「実重量」という。)Wrを演算する。実重量Wrは、ロードセル61・61によって検出されたホッパ30内の燃料重量の単位時間当たりの変化量に基づいて演算される。
【0030】
重量差演算手段662は、実重量Wrと予定重量Wdとの差(以下「重量差」という。)ΔWを演算する。
【0031】
回転数補正手段663は、スクリュウコンベア40の回転数を補正する。つまり、回転数補正手段663は、インバータ65への制御信号を補正して、モータ64の回転数を変更する。具体的には、回転数補正手段641は、予定重量Wdよりも実重量Wrが大きい場合は、スクリュウコンベア40の回転数を減少する補正を行い、予定重量Wdよりも実重量Wrが小さい場合は、スクリュウコンベア40の回転数を増加する補正を行う。つまり、回転数補正手段641は、予定重量Wdよりも実重量Wrが大きい場合(実際の燃料の供給量が予定よりも多い場合)は、スクリュウコンベア40の回転数を減少させてスクリュウコンベア40の燃料供給量を少なくし、予定重量Wdよりも実重量Wrが小さい場合(実際の燃料の供給量が予定よりも少ない場合)は、スクリュウコンベア40の回転数を増加させてスクリュウコンベア40の燃料供給量を多くする。
【0032】
判定手段664は、回転数補正手段663による補正後のスクリュウコンベア40の回転数が最小回転数Nminと最大回転数Nmaxとの範囲内にあるか否かを判定し、その判定結果に応じて、回転数補正手段641による補正後のスクリュウコンベア40の回転数、最小回転数Nmin、および最大回転数Nmaxの内から、適切な回転数を選択する。
【0033】
記憶部67は、本発明に係る「記憶手段」の実施の一形態である。記憶部67は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等で構成される。記憶部67は、マップ671、最小補正値ΔNmin、最大補正値ΔNmax、単位補正値ΔN1、閾値ΔWd、最小回転数Nmin、および最大回転数Nmaxを記憶する。
【0034】
マップ671は、スクリュウコンベア40の回転数と供給可能な燃料重量(予定重量Wd)との関係について規定するものである(図3参照)。つまり、マップ671は、任意の回転数におけるスクリュウコンベア40が供給可能な燃料重量(予定重量Wd)について規定するものである。予定重量Wdは、マップ671に基づいてタッチパネル63により作業者によって設定される。
【0035】
最小補正値ΔNminは、スクリュウコンベア40の回転数を減少する補正を行う場合の最小の補正値である。つまり、最小補正値ΔNminは、スクリュウコンベア40の回転数を減少する補正を行う場合の下限値を規定する。
【0036】
最大補正値ΔNmaxは、スクリュウコンベア40の回転数を増加する補正を行う場合の最大の補正値である。つまり、最大補正値ΔNmaxは、スクリュウコンベア40の回転数を増加する補正を行う場合の上限値を規定する。
【0037】
単位補正値ΔN1は、最大補正値ΔNmaxと最小補正値ΔNminとの差がいくつかに分割された補正値である。ここで、この分割する数は、最小補正値ΔNminから最大補正値ΔNmaxの範囲内において、スクリュウコンベア40の回転数を緩やかに補正する観点から定められる。
【0038】
閾値ΔWdは、重量差演算手段によって演算された燃料重量差(重量差ΔW)に係る閾値である。つまり、閾値ΔWdは、重量差ΔWが不感帯に入るか否かを定める閾値である。
【0039】
最小回転数Nminは、スクリュウコンベア40の回転数に係る最小回転数である。つまり、最小回転数Nminは、スクリュウコンベア40の回転数の下限値を規定する。
【0040】
最大回転数Nmaxは、スクリュウコンベア40の回転数に係る最大回転数である。つまり、最大回転数Nmaxは、スクリュウコンベア40の回転数の上限値を規定する。
【0041】
なお、制御装置60は、CPU、ROM、およびRAM等がバスで接続される構成であるが、ワンチップのLSIによって構成することも可能である。
【0042】
次に、制御装置60の制御フローについて説明する。
【0043】
図4に示すように、スクリュウコンベア40は、基本回転数Nbで回転する(S1)。基本回転数Nbは、作業開始時においては経験値等により任意に設定される。
【0044】
そして、実重量演算手段661は、所定時間毎に実重量Wrを演算し(S2)、重量差演算手段662は、予定重量Wdと実重量Wrとを比較して(予定重量Wdから実重量Wrを減じて)重量差ΔWを演算する(S3)。
【0045】
そして、重量差ΔWが閾値ΔWd以下である場合(S4:Y)、回転数補正手段663は、スクリュウコンベア40の回転数を補正しない。つまり、スクリュウコンベア40は、継続して基本回転数Nbで回転する(S1)。
【0046】
一方、重量差ΔWが閾値ΔWdより大きい場合(S4:N)、回転数補正手段663は、スクリュウコンベア40の基本回転数Nbを補正する。
【0047】
ここで、S5において予定重量Wdよりも実重量Wrが大きい場合(S5:Y)、回転数補正手段663は、現段階の補正値ΔNnに対して単位補正値ΔN1を減じて、次段階の補正値ΔN(n+1)を演算する(S6)。
【0048】
そして、S7において次段階の補正値ΔN(n+1)が最小補正値ΔNmin以下である場合(S7:Y)、回転数補正手段663は、最小補正値ΔNminを選択する(S8)。
【0049】
そして、回転数補正手段663は、スクリュウコンベア40の基本回転数Nbに対して最小補正値ΔNminを減じて、スクリュウコンベア40の回転数N(n+1)を演算する(S9)。
【0050】
また、S7において次段階の補正値ΔN(n+1)が最小補正値Δminよりも大きい場合(S7:N)、回転数補正手段663は、補正値ΔN(n+1)を採用する(S10)。
【0051】
そして、回転数補正手段663は、スクリュウコンベア40の基本回転数Nbに対して補正値ΔN(n+1)を減じて、スクリュウコンベア40の回転数N(n+1)を演算する(S11)
【0052】
一方、S5において予定重量Wdよりも実重量Wrが小さい場合(S5:N)、回転数補正手段663は、現段階の補正値ΔNnに対して単位補正値ΔN1を加えて、次段階の補正値ΔN(n+1)を演算する(S12)。
【0053】
そして、S13において次段階の補正値ΔN(n+1)が最大補正値ΔNmax以上である場合(S13:Y)、回転数補正手段663は、最大補正値ΔNmaxを選択する(S14)。
【0054】
そして、回転数補正手段663は、スクリュウコンベア40の基本回転数Nbに対して最大補正値ΔNmaxを加えて、スクリュウコンベア40の回転数N(n+1)を演算する(S15)。
【0055】
また、S13において次段階の補正値ΔN(n+1)が最大補正値ΔNmaxよりも小さい場合(S13:N)、回転数補正手段663は、補正値ΔN(n+1)を選択する(S16)。
【0056】
そして、回転数補正手段663は、スクリュウコンベア40の基本回転数Nbに対して補正値ΔN(n+1)を加えて、スクリュウコンベア40の回転数N(n+1)を演算する(S17)。
【0057】
次に、S9、S11、S15、S17のそれぞれにおいて、回転数補正手段663が演算したスクリュウコンベア40の回転数N(n+1)が、最小回転数Nminから最大回転数Nmaxの範囲内にある場合、つまり、最小回転数Nminよりも高く最大回転数Nmaxよりも低い場合(S18:Y)、判定手段664は、回転数N(n+1)を基本回転数Nbとする(S19)。
【0058】
そして、スクリュウコンベア40の回転数N(n+1)が、最大回転数Nmaxよりも高い場合(S18:N、S20:Y)、判定手段664は、最大回転数Nmaxを基本回転数Nbとする(S21)。
【0059】
また、スクリュウコンベア40の回転数N(n+1)が、最小回転数Nminよりも低い場合(S18:N、S20:N、S22)、判定手段664は、最小回転数Nminを基本回転数Nbとする(S23)。
【0060】
なお、図4に示す制御フローは、切り出しコンベア20の駆動が停止している(つまり、ホッパ30への燃料の投入が停止されている)状態における、スクリュウコンベア40の燃料供給量に係る制御を示すものであるが、ホッパ30内の燃料が少なくなって所定の最低重量に達すると、切り出しコンベア20が駆動してホッパ30への燃料の投入が再開される。燃料投入中は、スクリュウコンベア40は、切り出しコンベア20が駆動した時の回転数で維持される。燃料投入再開後、ホッパ30内の燃料量が所定の最大重量に達すると、切り出しコンベア20の駆動が停止される。
【0061】
以上のように本発明の実施の一形態に係るガス化装置1の制御装置60は、ホッパ30内の燃料をガス化炉50に供給するスクリュウコンベア40の燃料供給量を制御するガス化装置1の制御装置60であって、ホッパ30内の燃料重量を検出するロードセル61・61と、ロードセル61・61によって検出されたホッパ30内の燃料重量の単位時間当たりの変化量に基づいて、ガス化炉50に供給された実際の燃料重量Wrを演算する実重量演算手段661と、スクリュウコンベア40の回転数を検出するポテンショメータ62と、スクリュウコンベア40の回転数と供給可能な燃料重量との関係について規定するマップ671を記憶する記憶部67と、ガス化炉50に供給する燃料重量をマップ671に基づいて設定するタッチパネル63と、実重量演算手段661によって演算された燃料重量Wrとタッチパネル63によって設定された燃料重量Wdとの差ΔWを演算する重量差演算手段662と、スクリュウコンベア40の回転数を補正する回転数補正手段663と、を備え、回転数補正手段663は、重量差演算手段662によって演算された燃料重量差ΔWにおいて、タッチパネル63によって設定された燃料重量Wdよりも実重量演算手段661によって演算された燃料重量Wrが大きい場合は、スクリュウコンベア40の回転数を減少する補正を行い、重量差演算手段662によって演算された燃料重量差ΔWにおいて、タッチパネル63によって設定された燃料重量Wdよりも実重量演算手段661によって演算された燃料重量Wrが小さい場合は、スクリュウコンベア40の回転数を増加する補正を行うものである。
【0062】
このような構成により、ガス化炉50に実際に供給された燃料重量に応じてスクリュウコンベア40の回転数を補正することにより、一定重量の燃料を安定的に供給することが可能である。これにより、ガス化装置1の生成ガス量が安定する。
【0063】
そして、記憶部67は、スクリュウコンベア40の回転数を減少する補正を行う場合の最小補正値ΔNminと、スクリュウコンベア40の回転数を増加する補正を行う場合の最大補正値ΔNmaxと、を記憶し、回転数補正手段663は、最小補正値ΔNminから最大補正値ΔNmaxの範囲内において、スクリュウコンベア40の回転数を減少および増加する補正を行うものである。
【0064】
このような構成により、スクリュウコンベア40の回転数の補正範囲を制限できるため、過大な補正による回転数の大幅な変更に起因するガス化装置1の誤作動を防止することが可能である。
【0065】
また、記憶部67は、最大補正値ΔNmaxと最小補正値ΔNminとの差がいくつかに分割された単位補正値ΔN1を記憶し、回転数補正手段663は、最小補正値ΔNminから最大補正値ΔNmaxの範囲内において、スクリュウコンベア40の回転数を単位補正値ΔN1を用いて段階的に減少および増加する補正を行うものである。
【0066】
このような構成により、スクリュウコンベア40の回転数の変更が緩やかであるため、急激な回転数の変更によるガス化装置1の誤作動を防止することが可能である。
【0067】
さらに、記憶部67は、重量差演算手段662によって演算された燃料重量差ΔWに係る閾値ΔWdを記憶し、回転数補正手段663は、重量差演算手段662によって演算された燃料重量差ΔWが閾値ΔWdを超える場合に、スクリュウコンベア40の回転数を減少および増加する補正を行うものである。
【0068】
このような構成により、外乱に起因する僅かな重量変動の場合は、スクリュウコンベア40の回転数が変更されないため、回転数の頻繁な変更によるガス化装置1の誤作動を防止することが可能である。
【0069】
そして、記憶部67は、スクリュウコンベア40の回転数に係る最小回転数Nminと、スクリュウコンベア40の回転数に係る最大回転数Nmaxと、を記憶し、回転数補正手段663による補正後のスクリュウコンベア40の回転数が最小回転数Nminと最大回転数Nmaxとの範囲内にあるか否かを判定する判定手段664を備え、判定手段664は、回転数補正手段663による補正後のスクリュウコンベア40の回転数が、最小回転数Nminよりも高く最大回転数Nmaxよりも低い場合は、回転数補正手段663による補正後のスクリュウコンベア40の回転数を選択し、回転数補正手段663による補正後のスクリュウコンベア40の回転数が、最小回転数Nminよりも低い場合は、最小回転数Nminを選択し、回転数補正手段663による補正後のスクリュウコンベア40の回転数が、最大回転数Nmaxよりも高い場合は、最大回転数Nmaxを選択するものである。
【0070】
このような構成により、スクリュウコンベア40の回転数の変更範囲を制限できるため、過大・過小な回転数によるガス化装置1の誤作動を防止することが可能である。
【0071】
次に、制御装置60の別の制御フローについて説明する。
【0072】
図5に示すように、制御装置60は、スクリュウコンベア40が駆動中(S1)に切り出しコンベア20の駆動を停止(S2)させると、その停止された時t1から時間をカウントする(S3)
【0073】
さらに、時間t1をカウントすると同時に、時間t1におけるホッパ30内の燃料重量W1をロードセル61・61によって検出する(S4)
【0074】
その後、時間t2(S5)におけるホッパ30内の燃料重量W2をロードセル61・61によって検出し(S6)、燃料重量W2が予定重量Wdよりも大きい場合は(S7:N)、制御装置60は、スクリュウコンベア40の回転数を変更せずに(S1)、切り出しコンベア20の駆動が停止した状態を継続する(S2)。
【0075】
一方、ホッパ30内の燃料が減少して燃料重量W2が予定重量Wd以下である場合は(S7:Y)、制御装置60は、切り出しコンベア20を駆動させる(S8)。
【0076】
そして、制御装置60は、時間t1から時間t2までの時間Δtを演算し(S9)、燃料重量W2と燃料重量W1との差を時間Δtで割った値Wrを演算する(S10)。つまり、制御装置60は、スクリュウコンベア40がホッパ30に供給した時間Δt当たりの燃料重量Wrを演算する。
【0077】
そして、実重量Wrと予定重量Wdとを比較して(予定重量Wdから実重量Wrを減じて)重量差ΔWを演算し(S11)、重量差ΔWが閾値ΔWd以下の場合は(S12:Y)、スクリュウコンベア40の回転数を変更しない(S1)。
【0078】
一方、重量差ΔWが閾値ΔWdより大きく予定重量Wdよりも大きい場合は(S12:N、S13:Y)、スクリュウコンベア40の回転数を所定数減少させ(S14)、重量差ΔWが閾値ΔWdより大きく予定重量Wdよりも小さい場合は(S12:N、S13:N)、スクリュウコンベア40の回転数を所定数増加させる(S15)。
【符号の説明】
【0079】
1 ガス化装置
30 ホッパ
40 スクリュウコンベア
50 ガス化炉
60 制御装置
61 ロードセル(重量検出手段)
62 ポテンショメータ(回転数検出手段)
63 タッチパネル(予定供給量設定手段)
67 記憶部(記憶手段)
661 実重量演算手段
662 重量差演算手段
663 回転数補正手段
664 判定手段
671 マップ
Nmax 最大回転数
Nmin 最小回転数
Wd 予定重量
Wr 実重量
ΔN1 単位補正値
ΔNmax 最大補正値
ΔNmin 最小補正値
ΔW 燃料重量差
ΔWd 閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパ内の燃料をガス化炉に供給するスクリュウコンベアの燃料供給量を制御するガス化装置の制御装置であって、
前記ホッパ内の燃料重量を検出する重量検出手段と、
前記重量検出手段によって検出された前記ホッパ内の燃料重量の単位時間当たりの変化量に基づいて、前記ガス化炉に供給された実際の燃料重量を演算する実重量演算手段と、
前記スクリュウコンベアの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記スクリュウコンベアの回転数と供給可能な燃料重量との関係について規定するマップを記憶する記憶手段と、
前記ガス化炉に供給する燃料重量を前記マップに基づいて設定する予定重量設定手段と、
前記実重量演算手段によって演算された燃料重量と前記予定重量設定手段によって設定された燃料重量との差を演算する重量差演算手段と、
前記スクリュウコンベアの回転数を補正する回転数補正手段と、を備え、
前記回転数補正手段は、
前記重量差演算手段によって演算された燃料重量差において、前記予定重量設定手段によって設定された燃料重量よりも前記実重量演算手段によって演算された燃料重量が大きい場合は、前記スクリュウコンベアの回転数を減少する補正を行い、
前記重量差演算手段によって演算された燃料重量差において、前記予定重量設定手段によって設定された燃料重量よりも前記実重量演算手段によって演算された燃料重量が小さい場合は、前記スクリュウコンベアの回転数を増加する補正を行うガス化装置の制御装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記スクリュウコンベアの回転数を減少する補正を行う場合の最小補正値と、前記スクリュウコンベアの回転数を増加する補正を行う場合の最大補正値と、を記憶し、
前記回転数補正手段は、前記最小補正値から前記最大補正値の範囲内において、前記スクリュウコンベアの回転数を減少および増加する補正を行う請求項1に記載のガス化装置の制御装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記最大補正値と前記最小補正値との差がいくつかに分割された単位補正値を記憶し、
前記回転数補正手段は、前記最小補正値から前記最大補正値の範囲内において、前記スクリュウコンベアの回転数を前記単位補正値を用いて段階的に減少および増加する補正を行う請求項1または請求項2に記載のガス化装置の制御装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記重量差演算手段によって演算された燃料重量差に係る閾値を記憶し、
前記回転数補正手段は、前記重量差演算手段によって演算された燃料重量差が前記閾値を超える場合に、前記スクリュウコンベアの回転数を減少および増加する補正を行う請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のガス化装置の制御装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記スクリュウコンベアの回転数に係る最小回転数と、前記スクリュウコンベアの回転数に係る最大回転数と、を記憶し、
前記回転数補正手段による補正後のスクリュウコンベアの回転数が前記最小回転数と前記最大回転数との範囲内にあるか否かを判定する判定手段を備え、
前記判定手段は、
前記回転数補正手段による補正後のスクリュウコンベアの回転数が、前記最小回転数よりも高く前記最大回転数よりも低い場合は、前記回転数補正手段による補正後のスクリュウコンベアの回転数を選択し、
前記回転数補正手段による補正後のスクリュウコンベアの回転数が、前記最小回転数よりも低い場合は、前記最小回転数を選択し、
前記回転数補正手段による補正後のスクリュウコンベアの回転数が、前記最大回転数よりも高い場合は、前記最大回転数を選択する請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のガス化装置の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−215809(P2010−215809A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65150(P2009−65150)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】