説明

ガス圧接用の環体及びその確認部材を具備する保持部材並びにその環体使用確認方法

【課題】本発明はガス圧接用の環体を使用してガス圧接が行われたことを、圧接後に確認できると共に、ガス圧接作業が安全に行われ、その接合強度が確実で且つ安定して得られるガス圧接用の環体及びその確認部材を具備する保持部材並びにその環体使用確認方法を提供することを目的とする。
【解決手段】2本の鋼材Wを対向させてガス圧接する際に、環体2が接合する端面w間に挟み込んで使用されたことを確認可能にするものであって、底面側に環体設置空間Sを有し且つ上部に分離可能な確認部材設置空間Pを有すると共に凸部を突設させた合成樹脂製の保持体1と、環体設置空間Sに収納する環体2と、環体設置空間Sに冠着する環体用蓋体3と、確認部材設置空間Pに収納する確認部材4と、確認部材設置空間Pに冠着する確認部材用蓋体5とから構成する保持部材と成す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築現場や土木現場等で2本の鋼材をガス圧接する際に用いるものであり、特には特願2001−194204(特許第3629224号)や特願2008−259640などで用いるガス圧接用の環体を使用してガス圧接が行われたことを、圧接後に確認するためのガス圧接用の環体及びその確認部材を具備する保持部材並びにその環体使用確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2本の丸や条などの鋼材を対向させてガス圧接する際に、接合する端面間に、該端面と略同形状で且つ鋼材と略同材料で環状に形成した環体を挟み込んで使用する発想は、本発明者が特願2001−194204や特願2008−259640などで提案したところである。
【0003】
しかしながら特願2001−194204や特願2008−259640は、ガス圧接用の環体を使用してガス圧接が行われると、安定した接合強度が確実に得られるものとなるが、ガス圧接用の環体が使用されてガス圧接を行ったか否かは、接合されたコブの外観を見ても判別が極めてしにくいものであった。このため、ガス圧接用の環体が使用されてガス圧接を行ったことを確認する方法やそのための部材の開発が施工管理者側から要望されていた。
【特許文献1】特願2001−194204号公報
【特許文献2】特願2008−259640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はガス圧接用の環体を使用してガス圧接が行われたことを、圧接後に確認できると共に、ガス圧接作業が安全に行われ、その接合強度が確実で且つ安定して得られるガス圧接用の環体及びその確認部材を具備する保持部材並びにその環体使用確認方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記要望に応えるために成されたものであり、つまり、底面側に環体設置空間を有し且つ上部に分離可能な確認部材設置空間を有すると共に鋼材の外形に接触して位置決めするための凸部を突設させた合成樹脂製の保持体と、環体設置空間に収納する環体と、環体設置空間に冠着する環体用蓋体と、確認部材設置空間に収納する環体使用の確認部材と、確認部材設置空間に冠着する確認部材用蓋体とから構成したガス圧接用の環体及びその確認部材を具備する保持部材と成す。また前記保持体として、底面側に環体設置空間を有する突出部と、該突出部に連結し且つ鋼材の外形に接触して位置決めするための凸部と、該凸部の上方に確認部材設置空間を有する段部とから少なくとも成すと良く、前記突出部と段部の内周面に、係合部を設け、且つ、前記環体用蓋体と確認部材用蓋体の外周面に、前記係合部に嵌入する係合凸部を突設させたものとするのが好ましい。更に前記保持体に、コイルスプリング状に形成した材料から略1周分を切断して作られると共に、その環の合せ箇所にスキ間が設けられた環体と確認部材とが具備されたものとしても良い。
【0006】
又、底面側に少なくとも環体設置空間を有すると共に鋼材の外形に接触して位置決めするための凸部を突設させた合成樹脂製の保持体と、環体設置空間に収納する環体と、保持体の上方に設ける環体使用の確認部材と、該確認部材と環体を連結すると共に分離可能な両端を有した連結杆とから少なくとも構成したガス圧接用の環体及びその確認部材を具備する保持部材と成す。また前記保持体として、底面側に環体設置空間を有する突出部と、該突出部に連結し且つ鋼材の外形に接触して位置決めするための凸部と、環体が収納されるための穴とから少なくとも成されたものとするのが良く、前記連結杆を確認部材と環体を5cm以上離す長さとするのが好ましい。他方、環体の外周に突起状の確認部材を突出させ、ガス圧接後、確認部材が接合箇所に溶解した跡が残るものとしても良い。
【0007】
更に2本の鋼材を対向させて接合する端面間に、環体が合成樹脂製の保持体を介在させて挟み込まれると共に、鋼材を挿通させて保持体に収納した金属製の確認部材が、或は鋼材を挿通させて保持体の開口側に位置させた確認部材が、保持体或は環体から切離されて接合箇所から遠ざけられ、ガス圧接完了後、確認部材が鋼材に遊嵌した状態で残され、該確認部材を確認することで、ガス圧接用の環体使用確認が出来る方法と成す。又、確認部材を環体に直接突出させて設け、ガス圧接後、溶解した確認部材の跡の有無で環体使用確認が出来る方法と成しても良い。
【発明の効果】
【0008】
請求項1のように底面(11)側に環体設置空間(S)を有し且つ上部に分離可能な確認部材設置空間(P)を有すると共に鋼材(W)の外形に接触して位置決めするための凸部(13)を突設させた合成樹脂製の保持体(1)と、環体設置空間(S)に収納する環体(2)と、環体設置空間(S)に冠着する環体用蓋体(3)と、確認部材設置空間(P)に収納する環体使用の確認部材(4)と、確認部材設置空間(P)に冠着する確認部材用蓋体(5)とから構成したことにより、環体(2)を使用してガス圧接が行われたことが圧接後に確認できるものとなり、且つガス圧接用の環体(2)と確認部材(4)が収納された新商品として販売が可能となる。更に本発明品が用いられてガス圧接作業を行うと、環体(2)のセット作業が極めて簡単でより確実で且つ安全に行えるものとなるため、接合強度が確実で安定して得られるものとなる。更に環体(2)の管理がより容易に行えるものとなる。
【0009】
請求項2のように保持体(1)として、底面(11)側に環体設置空間(S)を有する突出部(12)と、該突出部(12)に連結し且つ鋼材(W)の外形に接触して位置決めするための凸部(13)と、該凸部(13)の上方に分離可能な確認部材設置空間(P)を有する段部(14)とから少なくとも成されることにより、環体(2)と確認部材(4)の収納が極めて容易で且つ環体(2)を端面(w)間に簡単に挟み込めると共に、加圧後、確認部材(4)の分離も容易なものとなる。
【0010】
請求項3に示すように突出部(12)と段部(14)の内周面に、係合部(12a),(14a)を設け、且つ、環体用蓋体(3)と確認部材用蓋体(5)の外周面に、係合部(12a),(14a)に嵌入する係合凸部(31),(51)が突設されることにより、環体(2)と確認部材(4)の収納が確実に行え、運搬時や使用時に環体(2)と確認部材(4)がずれにくくなり、且つ、環体用蓋体(3)と確認部材用蓋体(5)が外れにくくなり、環体(2)と確認部材(4)の落下が殆どないものとなるため、運搬や管理が簡単なものとなる。
【0011】
請求項4に示すように環体(2)と確認部材(4)が、コイルスプリング状に形成した材料から略1周分を切断して作られると共に、その環の合せ箇所にスキ間(21),(41)が設けられることにより、製造コストを安価にすることが出来るものとなり、特に環体(2)にスキ間(21)を設けることにより、接合されてコブ成形時に内部の空気がスキ間(21)から自然に抜け、コブの成形がスムーズに行えるものとなる。
【0012】
請求項5のように底面(11)側に少なくとも環体設置空間(S)を有すると共に鋼材(W)の外形に接触して位置決めするための凸部(13)を突設させた合成樹脂製の保持体(1)と、環体設置空間(S)に収納する環体(2)と、保持体(1)の上方に設ける環体使用の確認部材(4)と、該確認部材(4)と環体(2)を連結すると共に分離可能な両端を有した連結杆(6)とから構成したことにより、請求項1と同様な効果が得られると共に保持体(1)の構造及びと確認部材(4)を収納させる機能が簡略出来るものとなるため、安価な新商品として販売が可能になる。又、部品点数が少なくなるため、管理が容易となる。
【0013】
請求項6のように保持体(1)として、底面(11)側に環体設置空間(S)を有する突出部(12)と、該突出部(12)に連結し且つ鋼材(W)の外形に接触して位置決めするための凸部(13)と、環体(2)が収納されるための穴(16)とから少なくとも成すことにより、保持体(1)の構造が簡単であると共に材料費が少なくなるので、製造コストを安く押えることができるものとなる。
【0014】
請求項7に示すように連結杆(6)を、確認部材(4)と環体(2)の間が5cm以上離れる長さとすることにより、環体(2)を端面(w)間に挟み込んだ後、確認部材(4)を環体(2)と切離して接合箇所から遠ざけることが容易に行えるものとなる。
【0015】
請求項8に示すように底面(11)側に環体設置空間(S)を有すると共に鋼材(W)の外形に接触して位置決めするための凸部(13)を突設させた合成樹脂製の保持体(1)と、環体設置空間(S)に収納する環体(2)と、環体設置空間(S)の上部に冠着する環体用蓋体(3)と、環体(2)の外周に突出させた突起状の確認部材(4)とから構成したことにより、請求項1と同様な効果が得られると共に保持体(1)の構造及び確認部材(4)を収納させる機能が簡略でき、且つ確認部材(4)の構造が極めて簡単なものとなるため、より安価な新商品として販売が可能になる。又、部品点数が少なくなるため、管理が容易となる。
【0016】
請求項9のように保持体(1)として、底面(11)側に環体設置空間(S)を有する突出部(12)と、該突出部(12)に連結し且つ鋼材(W)の外形に接触して位置決めするための凸部(13)と、確認部材(4)を外側に露出させて環体(2)を収納するための穴(16)とから少なくとも成すことにより、保持体(1)の構造が簡単であると共に材料費が少なくなるので、製造コストを安く押えることができるものとなる。
【0017】
請求項10のように2本の鋼材(W)を対向させてガス圧接する際に、鋼材(W)を対向させて接合する端面(w)間に環体(2)が、合成樹脂製の保持体(1)を介在させて挟み込まれると共に、鋼材(W)を挿通させて保持体(1)に収納した金属製の環体使用の確認部材(4)が、保持体(1)から切離されて接合箇所から遠ざけられることにより、ガス圧接完了後、確認部材(4)が鋼材(W)から抜けずに残されるものとなるため、この確認部材(4)を見つけることで、環体(2)が使用されてガス圧接を行ったことが圧接後であっても確認できるものとなるのである。
【0018】
請求項11に示すように2本の鋼材(W)を対向させてガス圧接する際に、鋼材(W)を対向させて接合する端面(w)間に環体(2)が、合成樹脂製の保持体(1)を介在させて挟み込まれると共に、鋼材(W)を挿通させて保持体(1)の開口側に位置させた金属製の環体使用の確認部材(4)が、環体(2)から切離されて接合箇所から遠ざけられ、ガス圧接後、確認部材(4)を確認することにより、請求項10と同様の効果が得られる。
【0019】
請求項12に示すように2本の鋼材(W)を対向させてガス圧接する際に、鋼材(W)を対向させて接合する端面(w)間に環体(2)が、合成樹脂製の保持体(1)を介在させて挟み込まれ、鋼材(W)がガス圧接された後、形成したコブ部分の表面に、確認部材(4)の溶解された跡を確認することにより、請求項10と同様の効果が得られると共に確認する際、形成されたコブ部分の表面を確認すれば直ぐに判断できるため、確認作業が極めてスムーズに行えるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1、図4は本発明品の実施形態を示す図であり、この図に基づいて説明する。(1)は底面(11)側に環体設置空間(S)を有する突出部(12)と、該突出部(12)に連結し且つ鋼材(W)の外形に接触して位置決めするための複数の凸部(13)と、該凸部(13)の上方に分離可能な確認部材設置空間(P)を有する段部(14)とから成された合成樹脂製の保持体であり、該保持体(1)の段部(14)には、確認部材設置空間(P)が分離可能にするためのミシン目(15)が設けられている。また前記突出部(12)の内周面には係合部(12a)が複数設けられており、且つ、前記段部(14)の内周面にも係合部(14a)が複数設けられている。又、前記凸部(13)は開口側に行くに従って若干広がるように設けられると共に鋼材(W)の外形が手で圧入できる程度に突設されている。
【0021】
(2)は環体設置空間(S)に収納する環体であり、該環体(2)は鋼材(W)の端面(w)と略同形状で且つ鋼材(W)と略同材料で形成されている。この環体(2)はコイルスプリング状に形成した材料から略1周分を切断して作られると共に、その環の合せ箇所にはスキ間(21)が設けられている。また環体(2)の太さは鋼材(W)の大きさに合せて2mm〜5mmを用いるのが好ましいが、これに限定されるものではない。尚、前記環体(2)は本発明者が提案した特願2008−259640或は本発明者が他の提案の中で使用する環体(2)を用いても良い。
【0022】
(3)は環体設置空間(S)に冠着する環体用蓋体であり、該環体用蓋体(3)の外周面には、係合部(12a)に嵌入するための係合凸部(31)が複数突設されている。尚、前記係合凸部(31)は必ずしも必要ではない。(4)は確認部材設置空間(P)に収納する環体使用で金属製の確認部材であり、該確認部材(4)は鋼材(W)が挿通する大きさに形成されていれば良く、環体(2)と同様に形成し、その環の合せ箇所にスキ間(41)を設けておくと良い。また確認部材(4)の太さは環体(2)と同じとするのが製作上好ましい。尚、前記確認部材(4)にスキ間(41)は必ずしも設けなくて良い。(5)は確認部材設置空間(P)に冠着する確認部材用蓋体であり、該確認部材用蓋体(5)の外周面には、係合部(14a)に嵌入する係合凸部(51)が複数突設されている。また前記確認部材蓋体(5)の中央には、鋼材(W)を挿通させるための挿通穴(52)が設けられている。
【0023】
図2、図5は他の本発明の実施形態を示す図であり、これは前記実施形態と比べ、確認部材(4)が環体(2)と一体に形成されており、且つ保持体(1)の構造が簡略され、これに伴って環体用蓋体(3)と確認部材用蓋体(5)が不要である。この構造について詳細に説明すると、保持体(1)は、底面(11)側に環体設置空間(S)を有する突出部(12)と、該突出部(12)に連結し且つ鋼材(W)の外形に接触して位置決めするための複数の凸部(13)と、環体(2)が収納されるために穿設した穴(16)とから成され、それは合成樹脂で形成されている。尚、前記突出部(12)には係合部(12a)が不要であり、且つ、段部(14)も不要である。又、前記環体(2)は前記実施形態と略同じであるが、該環体(2)の一端は連結杆(6)に連結し、該連結杆(6)の他端は確認部材(4)と連結して一体化している。前記連結杆(6)の両端には、環体(2)と確認部材(4)が分離するための切欠(7)が設けられている。また前記連結杆(6)の長さとしては、確認部材(4)と環体(2)の間隔が5cm以上になるようにするのが好ましい。
又、図6は図5のものと構造的には同じであるが、連結杆(6)が保持体(1)の内部に納まったものである。これは図2のものに対して、保持体(1)が異なる。つまり、保持体(1)の外形が大きく、その内壁と凸部(13)との間に連結杆(6)が入る隙間を設けている。
【0024】
図3、図7は別の本発明の実施形態を示す図であり、これは図1の実施形態と比べ、突起状の確認部材(4)が環体(2)の外周から突出して一体に形成されており、且つ保持体(1)の構造が簡略され、これに伴って確認部材用蓋体(5)が不要である。この構造について詳細に説明すると、保持体(1)は、底面(11)側に環体設置空間(S)を有する突出部(12)と、該突出部(12)に連結し且つ鋼材(W)の外形に接触して位置決めするための複数の凸部(13)と、確認部材(4)を外側に露出させて環体(2)を収納するために突出部(12)に穿設した穴(16)とから合成樹脂で形成されている。また前記保持体(1)の側面内側には環体用蓋体(3)を固定させるための係合凸部(17)が設けられている。尚、前記突出部(12)には係合部(12a)が不要であり、且つ、段部(14)も不要である。又、前記環体用蓋体(3)は図1のものとは反対に開口側を上にして使用されるため、凸部(13)に遊嵌させる凹部(32)が複数設けられていると共に、前記係合凸部(17)に嵌入する凹部(33)が複数設けられている。
【0025】
次に本発明の環体使用確認方法を図8に基づいて説明する。先ず始めに図1に示す本発明品を使用する場合について説明する。予め保持体(1)の環体設置空間(S)に環体(2)を収納し、その上から環体用蓋体(3)を、環体設置空間(S)が密閉するように冠着すると共に、保持体(1)の確認部材設置空間(P)に確認部材(4)を収納し、その上から確認部材用蓋体(5)を確認部材設置空間(P)に冠着させておく(図4参照)。先ず対向する2本の鋼材(W)の一方の端面(w)を、確認部材用蓋体(5)の挿通穴(52)に挿通すると、前記端面(w)は、確認部材(4)を通過し、その端面(w)の外周は凸部(13)に接触して位置決めされながら更に奥に入れられる。すると、前記端面(w)は環体用蓋体(3)を介して環体(2)に当接するのである。その後、圧接器にセットされた対向する2本の鋼材(W)の端面(w)同士が突き合されることにより、環体(2)は合成樹脂製の保持体(1)と環体用蓋体(3)を端面(w)間に挟み込まれて取付けられるのである[図8(a)参照]。
【0026】
その後、確認部材(4)を収納した部分の保持体(1)の外周を回転させるか、或は左右方向に力を加えると、ミシン目(15)から確認部材設置空間(P)部分が分離される[図8(b)参照]。分離した確認部材設置空間(P)に収納された確認部材(4)を、図8(c)に示す矢印のように移動させて接合箇所から離しておく。その後、ガス圧接が行われて接合箇所にコブを形成させる。ガス圧接後、接合状態の検査を行う際に、確認部材(4)が有ることを目視で確認することにより、圧接加工に環体(2)を使用したことが確認できるものとなるのである。尚、前記確認部材(4)の周囲の合成樹脂材料は加熱時に焼却されて消失する[図8(d)参照]。この時の確認部材(4)としては、鋼材(W)から容易に外れたり、後から取付けたり出来ないように頑強であることが必要であり、一般に環体(2)と同じ太さの鉄材を使用すれば、後から簡単に取付けることは殆ど不可能である。また前記確認部材(4)は接合状態の検査が行われた後は、鋼材(W)の端部に寄せておけば、コンクリート打設時に一体化されるので、一々外さなくても問題は生じない。
【0027】
次に図2に示す本発明品を用いた環体使用確認方法について説明する。予め環体(2)の先端を保持体(1)の突出部(12)に設けた穴(16)から入れ、回しながら環体(2)を環体設置空間(S)に収納させておく。この時、図5に示すように連結杆(6)と確認部材(4)は保持体(1)の外に出ると共に該確認部材(4)は保持体(1)の開口側に位置されるのである。尚、この時、図6に示すように連結杆(6)を、図2のものよりも大きい専用の保持体(1)の内側に配置させるものとしても良い。先ず始めに対向する2本の鋼材(W)の一方の端面(w)を、確認部材(4)に挿通させて、環体(2)に当接させるまで押込む。この時、鋼材(W)の外周は凸部(13)に接触しながら自然に位置決めされるのである。その後は上記同様に、圧接器にセットされた対向する2本の鋼材(W)の端面(w)同士を突き合すことにより、環体(2)は合成樹脂製の保持体(1)を介して端面(w)間に挟み込まれて取付けられる。そして、連結杆(6)の両端に設けた切欠(7)を、適宜工具によって力を加えることにより、前記連結杆(6)の両端は、環体(2)と確認部材(4)とから分離される。又、その分離した確認部材(4)は上記同様に接合箇所から離しておく。そしてガス圧接が行われて接合箇所にコブを形成させる。その後、接合状態の検査を行う際に、確認部材(4)が有ることを目視で確認することにより、圧接加工に環体(2)を使用したことが確認できるのである。また前記確認部材(4)は接合状態の検査が行われた後は、上記同様に鋼材(W)の端部に寄せ、コンクリート打設時に一体化させれば良い。
【0028】
次に図3に示す本発明品を用いた環体使用確認方法について説明する。予め環体(2)の先端の外周に突出させた確認部材(4)を、保持体(1)に設けた穴(16)に挿入して外へ出し、環体(2)を環体設置空間(S)に収納しておく。又、その後、環体用蓋体(3)の凹部(32)を保持体(1)の凸部(13)に遊嵌させて環体用蓋体(3)が挿入され、且つ、係合凹部(33)が係合凸部(17)に嵌入されることにより、環体設置空間(S)が密閉されるのである。この状態のものをガス圧接作業の前に用意しておけば良い。先ず始めに対向する2本の鋼材(W)の一方の端面(w)に保持体(1)を冠着させる。この時、鋼材(W)の外周は凸部(13)に接触しながら自然に位置決めされる。その後は上記同様に、圧接器にセットされた対向する2本の鋼材(W)の端面(w)同士を突き合すことにより、環体(2)は合成樹脂製の保持体(1)を介して端面(w)間に挟み込まれて、ガス圧接されて接合箇所にコブを形成する。その後、接合状態の検査を行う際に、確認部材(4)の溶解した跡が凸部として残るので、その跡が有るか否かを目視で確認すれば良い。
【0029】
このように本発明品を用いれば、ガス圧接用の環体(2)が使用されたか否かが、圧接後に確認できると共に接合強度が確実に且つ安定して得られるものとなるのである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明品はガス圧接だけでなく、高周波誘導加熱方式でも充分に対応することが可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明品の実施形態の分解部品を示す一部切欠いた斜視図である。
【図2】他の発明品の実施形態の分解部品を示す一部切欠いた斜視図である。
【図3】別の発明品の実施形態の分解部品を示す一部切欠いた斜視図である。
【図4】図1が組立てられた状態を示す断面図である。
【図5】図2が組立てられた状態を示す断面図である。
【図6】図2の変形したものが組立てられた状態を示す断面図である。
【図7】図3が組立てられた状態を示す断面図である。
【図8】本発明方法の要部を示す説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1 保持体
11 底面
12 突出部
13 凸部
14 段部
12a,14a 係合部
16 穴
2 環体
21 スキ間
3 環体用蓋体
31,51 係合凸部
4 確認部材
5 確認部材用蓋体
6 連結杆
W 鋼材
w 端面
S 環体設置空間
P 確認部材設置空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の鋼材(W)を対向させてガス圧接する際に、該鋼材(W)の端面(w)と略同形状で且つ前記鋼材(W)と略同材料で形成された環体(2)が、接合する端面(w)間に挟み込んで使用されたことを確認可能にするものであって、底面(11)側に環体設置空間(S)を有し且つ上部に分離可能な確認部材設置空間(P)を有すると共に前記鋼材(W)の外形に接触して位置決めするための凸部(13)を突設させた合成樹脂製の保持体(1)と、前記環体設置空間(S)に収納する環体(2)と、前記環体設置空間(S)に冠着する環体用蓋体(3)と、前記確認部材設置空間(P)に収納する環体使用の確認部材(4)と、前記確認部材設置空間(P)に冠着する確認部材用蓋体(5)とから構成したことを特徴とするガス圧接用の環体及びその確認部材を具備する保持部材。
【請求項2】
前記保持体(1)が、底面(11)側に環体設置空間(S)を有する突出部(12)と、該突出部(12)に連結し且つ前記鋼材(W)の外形に接触して位置決めするための凸部(13)と、該凸部(13)の上方に確認部材設置空間(P)を有する段部(14)とから少なくとも成された請求項1記載のガス圧接用の環体及びその確認部材を具備する保持部材。
【請求項3】
前記突出部(12)と段部(14)の内周面に、係合部(12a),(14a)を設け、且つ、前記環体用蓋体(3)と確認部材用蓋体(5)の外周面に、前記係合部(12a),(14a)に嵌入する係合凸部(31),(51)が突設された請求項2記載のガス圧接用の環体及びその確認部材を具備する保持部材。
【請求項4】
前記環体(2)と前記確認部材(4)が、コイルスプリング状に形成した材料から略1周分を切断して作られると共に、その環の合せ箇所にスキ間(21),(41)が設けられた請求項1記載のガス圧接用の環体及びその確認部材を具備する保持部材。
【請求項5】
2本の鋼材(W)を対向させてガス圧接する際に、該鋼材(W)の端面(w)と略同形状で且つ前記鋼材(W)と略同材料で形成された環体(2)が、接合する端面(w)間に挟み込んで使用されたことを確認可能にするものであって、底面(11)側に少なくとも環体設置空間(S)を有すると共に前記鋼材(W)の外形に接触して位置決めするための凸部(13)を突設させた合成樹脂製の保持体(1)と、前記環体設置空間(S)に収納する環体(2)と、前記保持体(1)の上方に設ける環体使用の確認部材(4)と、該確認部材(4)と前記環体(2)を連結すると共に分離可能な両端を有した連結杆(6)とから構成したことを特徴とするガス圧接用の環体及びその確認部材を具備する保持部材。
【請求項6】
前記保持体(1)が、底面(11)側に環体設置空間(S)を有する突出部(12)と、該突出部(12)に連結し且つ前記鋼材(W)の外形に接触して位置決めするための凸部(13)と、前記環体(2)が収納されるための穴(16)とから少なくとも成された請求項5記載のガス圧接用の環体及びその確認部材を具備する保持部材。
【請求項7】
前記連結杆(6)が、前記確認部材(4)と前記環体(2)を5cm以上離す長さである請求項5記載のガス圧接用の環体及びその確認部材を具備する保持部材。
【請求項8】
2本の鋼材(W)を対向させてガス圧接する際に、該鋼材(W)の端面(w)と略同形状で且つ前記鋼材(W)と略同材料で形成された環体(2)が、接合する端面(w)間に挟み込んで使用されたことを確認可能にするものであって、底面(11)側に環体設置空間(S)を有すると共に前記鋼材(W)の外形に接触して位置決めするための凸部(13)を突設させた合成樹脂製の保持体(1)と、前記環体設置空間(S)に収納する環体(2)と、前記環体設置空間(S)の上部に冠着される環体用蓋体(3)と、前記環体(2)の外周に突出させた突起状の確認部材(4)とから構成したことを特徴とするガス圧接用の環体及びその確認部材を具備する保持部材。
【請求項9】
前記保持体(1)が、底面(11)側に環体設置空間(S)を有する突出部(12)と、該突出部(12)に連結し且つ前記鋼材(W)の外形に接触して位置決めするための凸部(13)と、前記確認部材(4)を外側に露出させて前記環体(2)を収納するために前記突出部(12)に穿設した穴(16)とから少なくとも成された請求項8記載のガス圧接用の環体及びその確認部材を具備する保持部材。
【請求項10】
2本の鋼材(W)を対向させてガス圧接する際に、該鋼材(W)の端面(w)と略同形状で且つ前記鋼材(W)と略同材料で形成された環体(2)が、接合する端面(w)間に挟み込んで使用されたことを確認可能にする方法であって、2本の前記鋼材(W)を対向させて接合する端面(w)間に、前記環体(2)が、合成樹脂製の保持体(1)を介在させて挟み込まれると共に、前記鋼材(W)を挿通させて前記保持体(1)に収納した金属製の環体使用の確認部材(4)が、前記保持体(1)から切離されて接合箇所から遠ざけられ、ガス圧接後、前記確認部材(4)を確認することを特徴とするガス圧接用の環体使用確認方法。
【請求項11】
2本の鋼材(W)を対向させてガス圧接する際に、該鋼材(W)の端面(w)と略同形状で且つ前記鋼材(W)と略同材料で形成された環体(2)が、接合する端面(w)間に挟み込んで使用されたことを確認可能にする方法であって、2本の前記鋼材(W)を対向させて接合する端面(w)間に、前記環体(2)が、合成樹脂製の保持体(1)を介在させて挟み込まれると共に、前記鋼材(W)を挿通させて前記保持体(1)の開口側に位置させた金属製の環体使用の確認部材(4)が、前記環体(2)から切離されて接合箇所から遠ざけられ、ガス圧接後、前記確認部材(4)を確認することを特徴とするガス圧接用の環体使用確認方法。
【請求項12】
2本の鋼材(W)を対向させてガス圧接する際に、該鋼材(W)の端面(w)と略同形状で且つ前記鋼材(W)と略同材料で形成された環体(2)が、接合する端面(w)間に挟み込んで使用されたことを確認可能にする方法であって、2本の前記鋼材(W)を対向させて接合する端面(w)間に、外周に金属製の確認部材(4)を突出させて設けた前記環体(2)が、合成樹脂製の保持体(1)を介在させて挟み込まれ、前記鋼材(W)がガス圧接された後、形成されたコブ部分の表面に、前記確認部材(4)の溶解した跡を確認することを特徴とするガス圧接用の環体使用確認方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−155271(P2010−155271A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335455(P2008−335455)
【出願日】平成20年12月27日(2008.12.27)
【出願人】(394024983)東海ガス圧接株式会社 (12)
【出願人】(596171384)株式会社 徳武製作所 (14)
【Fターム(参考)】