説明

ガス栓用保護キャップ

【課題】 ガス栓の接続部を保護するとともに、誤開放操作のときには過流出防止機構によりガスの流出を防止するようにしたガス栓用保護キャップを提供すること。
【解決手段】 ガスの過流出防止機構14が内蔵されているガス栓2の接続部10に装着されるガス栓用保護キャップ。この保護キャップは、ガス栓2の接続部10を覆うように装着されるキャップ本体32を備え、キャップ本体32は接続部10に対向する端壁部36を有する。接続部10に装着した状態において、キャップ本体32の端壁部36と接続部10の先端部との間に放出空間46が存在し、キャップ本体32には、更に、この放出空間46に放出された燃料用ガスを外部に放出するための放出孔46が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス栓の接続部に装着されるガス栓用保護キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガス埋設管からの燃料用ガスをガスコンロなどのガス機器に供給するためにガス栓が設けられる(例えば、特許文献1参照)。このようなガス栓は、送給流路が設けられたガス栓本体を備え、ガス栓本体の基部側に第1接続部が設けられ、その先端部側に第2接続部が設けられ、送給流路にはガスの過流出を防止するための過流出防止機構が配設されている。このガス栓本体の第1接続部には、例えばガス埋設管に接続されたガス配管が接続され、またその第2接続部には、例えばガス機器に接続されたガスホースが接続される。
【0003】
このようなガス栓においては、未使用のとき(換言すると、接続部に例えばガスホースを接続していないとき)、その接続部をホコリなどから保護するとともに、ガス栓を誤開放操作したときのガス流出を防止するために、この接続部にガス栓用保護キャップが装着される。この保護キャップは例えば合成樹脂などから形成され、その装着状態においてガス栓本体の接続部との間を密封し、接続部へのホコリなどの付着、また誤開放操作時のガス流出を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−207495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したガス栓用保護キャップを用いる場合、ガス栓本体の接続部との間を密封状態に保てるときには問題はないが、経年的変化によって保護キャップにひび割れが生じたり、顧客による接続部への取付けが不完全であると、この接続部と保護キャップとの間を通してガスが微小漏れし、安全上好ましくない状態となる。
【0006】
本発明は、ガス栓の接続部を保護するとともに、誤開放操作のときにはガス栓に内蔵された過流出防止機構によりガスの流出を防止するようにしたガス栓用保護キャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載のガス栓用保護キャップは、ガスの過流出防止機構が内蔵されているガス栓の接続部に装着されるガス栓用保護キャップであって、
前記接続部を覆うように装着されるキャップ本体を備え、前記キャップ本体は前記接続部に対向する端壁部を有しており、前記接続部に装着した状態において、前記キャップ本体の前記端壁部と前記接続部の先端部との間に放出空間が存在しており、前記キャップ本体には、更に、前記放出空間に放出された燃料用ガスを外部に放出するための放出孔が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載のガス栓用保護キャップでは、前記放出孔には、燃料用ガスの透過を許容し且つ液体の透過を阻止する選択透過性部材が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に記載のガス栓用保護キャップは、ガスの過流出防止機構が内蔵されているガス栓の接続部に装着される保護キャップであって、
前記接続部を覆うように装着されるキャップ本体を備え、前記キャップ本体は前記接続部に対向する端壁部を有しており、前記接続部に装着した状態において、前記キャップ本体の前記端壁部と前記接続部の先端部との間に放出空間が存在しており、前記キャップ本体には、更に、前記放出空間に放出されたガスを外部に放出するための放出孔が設けられているとともに、その一部に弾性変形可能な薄肉部が設けられており、前記薄肉部の弾性変形によって、前記放出孔が開閉されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4に記載のガス栓用保護キャップは、ガスの過流出防止機構が内蔵されているガス栓の接続部に装着される保護キャップであって、
前記接続部を覆うように装着されるキャップ本体を備え、前記キャップ本体は前記接続部に対向する端壁部を有しており、前記接続部に装着した状態において、前記キャップ本体の前記端壁部と前記接続部の先端部との間に放出空間が存在しており、前記キャップ本体には、更に、前記放出空間に放出された燃料用ガスを外部に放出するための放出孔が設けられているとともに、前記放出空間内にて第1の位置と第2の位置との間を移動自在に開閉部材が配設されており、前記開閉部材が前記第1の位置にあるときには、前記放出空間と前記放出孔が連通され、また前記開閉部材が前記第2の位置にあるときには、前記放出空間と前記放出孔との連通が遮断されることを特徴とする。
【0011】
更に、本発明の請求項5に記載のガス栓用保護キャップは、ガスの過流出防止機構が内蔵されているガス栓の接続部に装着される保護キャップであって、
前記接続部を覆うように装着されるキャップ本体を備え、前記キャップ本体は前記接続部に対向する端壁部を有しており、前記接続部に装着した状態において、前記キャップ本体の前記端壁部と前記接続部の先端部との間に放出空間が存在しており、前記キャップ本体には、更に、前記放出空間放出された燃料用ガスを外部に放出するための放出孔が設けられているとともに、前記放出孔に第1の位置と第2の位置との間を移動自在に開閉部材が配設されており、前記第1の位置にあるときには、前記開閉部材は前記放出孔を開放し、前記第2の位置にあるときには、前記開閉部材は前記放出孔を閉塞することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載のガス栓用保護キャップによれば、ガス栓本体の接続部にキャップ本体が装着されるので、このキャップ本体によって接続部を保護することがきるとともに、この接続部へのホコリなどの付着を防止することができる。また、キャップ本体はガス栓本体の接続部に対向する端壁部を有し、キャップ本体の端壁部とガス栓本体の接続部の先端部との間に放出空間が存在し、更にキャップ本体には放出孔が設けられているので、ガス栓を誤開放操作したときには、ガスがガス栓の接続部を通して放出空間に流れ、この放出空間から放出孔を通して大気中に放出される。従って、このガスの流れによって、ガス栓に内蔵された過流出防止機能が働き、ガスの過流出が防止され、ガスの流出が防止され、誤開放操作時におけるガスの微小漏れの発生が解消される。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載のガス栓用保護キャップによれば、放出孔に選択透過性部材が設けられているので、この選択透過性部材を通しての燃料用ガスの透過は許容されるが、液体の透過は阻止され、従って、ガス栓を誤開放操作したときのガスの放出は許容されるが、この選択透過性部材を通しての液体(例えば、水)の接続部への付着が防止される。
【0014】
また、本発明の請求項3に記載のガス栓用保護キャップによれば、キャップ本体による保護機能に加え、キャップ本体の端壁部とガス栓の接続部の先端部との間に放出空間が存在し、更に、キャップ本体には放出孔が設けられているとともに、その一部に弾性変形可能な薄肉部が設けられているので、通常、放出孔が閉じた状態に保たれ、放出孔を通してのホコリなどの進入を防止することができ、またガス栓を誤開放操作したときには、ガスがガス栓の接続部を通して放出空間に流れ、このガス流によってキャップ本体の薄肉部が弾性変形して放出孔が開放されて大気中に放出される。従って、このガスの流れによって、ガス栓に内蔵された過流出防止機能が働き、ガスの過流出が防止される。
【0015】
また、本発明の請求項4に記載のガス栓用保護キャップによれば、キャップ本体による保護機能に加え、キャップ本体の端壁部とガス栓の接続部の先端部との間に放出空間が存在し、更に、キャップ本体には放出孔が設けられているとともに、開閉部材が放出空間内にて第1の位置と第2の位置との間を移動自在に配設されているので、通常、開閉部材が第2の位置に位置して放出空間と放出孔との連通が遮断され、放出孔を通してのホコリなどの進入を防止することができ、またガス栓を誤開放操作したときには、ガスがガス栓の接続部を通して放出空間に流れ、このガス流によって開閉部材が第1の位置に位置して放出空間と放出孔とが連通して大気中に放出される。従って、このガスの流れによって、ガス栓に内蔵された過流出防止機能が働き、ガスの過流出が防止される。
【0016】
更に、本発明の請求項5に記載のガス栓用保護キャップによれば、キャップ本体による保護機能に加えて、キャップ本体の端壁部とガス栓の接続部の先端部との間に放出空間が存在し、更に、キャップ本体に放出孔が設けられているとともに、開閉部材がこの放出孔に第1の位置と第2の位置との間を移動自在に配設されているので、通常、開閉部材が第2の位置に位置して放出孔が閉塞され、放出孔を通してのホコリなどの進入を防止することができ、またガス栓を誤開放操作したときには、ガスがガス栓の接続部を通して放出空間に流れ、このガス流によって開閉部材が第1の位置に位置して放出孔が開放されて大気中に放出される。従って、このガスの流れによって、ガス栓に内蔵された過流出防止機能が働き、ガスの過流出が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態のガス栓用保護キャップが装着されたガス栓の一例を示す断面図。
【図2】図1のガス栓用保護キャップを示す斜視図。
【図3】第2の実施形態のガス栓用保護キャップをガス栓に装着した状態を示す部分断面図。
【図4】第3の実施形態のガス栓用保護キャップをガス栓に装着した状態を示す部分断面図。
【図5】第4の実施形態のガス栓用保護キャップをガス栓に装着した状態を示す部分断面図。
【図6】第5の実施形態のガス栓用保護キャップをガス栓に装着した状態を示す部分断面図。
【図7】第6の実施形態のガス栓用保護キャップをガス栓に装着した状態を示す部分断面図。
【図8】第7の実施形態のガス栓用保護キャップをガス栓に装着した状態を示す部分断面図。
【図9】第8の実施形態のガス栓用保護キャップをガス栓に装着した状態を示す部分断面図。
【図10】図9のガス栓用保護キャップを示す正面図。
【図11】第9の実施形態のガス栓用保護キャップをガス栓に装着した状態を示す部分断面図。
【図12】図11のガス栓用保護キャップにおいて薄肉部が弾性変形した状態を示す断面図。
【図13】第10の実施形態のガス栓用保護キャップをガス栓に装着した状態を示す部分断面図。
【図14】図13のガス栓用保護キャップにおいて開閉部材が第1の位置に位置する状態で示す断面図。
【図15】第11の実施形態のガス栓用保護キャップをガス栓に装着した状態を示す部分断面図。
【図16】図15のガス栓用保護キャップにおいて開閉部材が第1の位置に位置する状態で示す断面図。
【図17】第11の実施形態のガス栓用保護キャップをガス栓に装着した状態を示す部分断面図。
【図18】図17のガス栓用保護キャップにおいて開閉部材が第1の位置に位置する状態で示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明に従うガス栓用保護キャップの各種実施形態について説明する。図1において、ガスコンロなどに燃料用ガスを供給するために取り付けられるガス栓2は、燃料用ガスが流れる送給流路4が設けられたガス栓本体6を備え、このガス栓本体6の基部側に流入側の接続部8が設けられ、その先端側に流出側の接続部10が設けられ、送給流路4は流入側の接続部8から流出側の接続部10まで延びている。このようなガス栓2においては、流入側の接続部8(送給流路4の上流部側部11)には、例えばガス埋設管、ガスボンベなどに接続されたガス配管(図示せず)が接続され、また流出側の接続部10(送給流路4の流出側部13)には、例えばガスコンロ、ガスストーブなどのガス機器に接続されたガスホース(図示せず)が接続される。
【0019】
このガス栓2には、送給流路4を開閉するための弁機構12及びガスの過流出を防止する過流出防止機構14が設けられている。弁機構12はガス栓本体6の送給流路4に回転自在に配設された弁体16を備え、この弁体16の周側面に弁孔18が設けられている。また、弁機構12は、ガス栓本体6の上端部に装着された操作部材20を含み、この操作部材20と弁体16とが連結部材22を介して連結されている。
【0020】
また、過流出防止機構14は、燃料用ガスの流れ方向に見て弁体16の上流側に配設された弁保持部材24と、この弁保持部材24内に上下方向に移動自在に収容されたボール状弁26とを備え、弁保持部材24の上端部には連通孔28が設けられている。ボール状弁26は、通常、その自重によって図1に実線で示す下降位置に保持され、この下降位置においては連通孔28が開放され、この連通孔28を通しての燃料用ガスの送給が許容される。また、例えば、誤開放操作によって燃料用ガスが過流出するときには、その流れによってボール状弁26が上昇して図1に一点鎖線で示すように弁保持部材24の連通孔28が閉塞され、この連通孔を通して燃料用ガスの送給が遮断される。
【0021】
このようなガス栓2においては、弁機構12の操作部材20を開操作して図1に示す開位置に位置付けると、弁体16の弁孔18が送給流路4の流出側部13と連通され、送給流路4の上流側部11からの燃料用ガスは、弁保持部材24内を流れ、その連通孔28を通して弁体16内を流れ、更に弁孔18を通して送給流路4の下流側部13へと流れる。また、この操作部材20を閉操作して閉位置(図示せず)に位置付けると、弁体16の弁孔18が送給流路4の下流側部13から外れてその連通が解除され、送給流路4を通しての燃料用ガスの送給が遮断される。
【0022】
このガス栓2の流出側の接続部10にガスコンロなどのガス機器を接続しないときには、この接続部10に図1に示すようにガス栓用保護キャップ30が装着される。図1とともに図2を参照して、図示の保護キャップ30は、中空円筒状のキャップ本体32を備え、このキャップ本体32がガス栓2の流出側の接続部10を覆うように着脱自在に装着される。このキャップ本体の先端部には拡大径部34が一体的に設けられ、拡大径部34の端部に端壁部36が設けられ、この端壁部36はガス栓2の接続部10の流出口41に対向して位置する。また、拡大径部34の周側壁38には周方向に間隔をおいて(この実施形態では180度の間隔をおいて)一対の放出孔40が設けられている。尚、図2においては、放出孔40を明確に示すために、保護キャップ30を図1に示す状態から90度回転させた状態で示している。このような保護キャップ30は、例えば合成樹脂などから形成することができる。尚、この放出孔40は、拡大径部34の周側壁38に1つ又は三つ以上設けるようにしてもよい。
【0023】
この実施形態では、更に、キャップ本体32の先端側(図1において右側)にガス栓2の接続部10の先端テーパ部42の外周面形状に対応した内テーパ面44が設けられ、この内テーパ面44は、端壁部36に向けて内径が漸減するように形成されている。
【0024】
このようなガス栓用保護キャップ30は、図1に示すように、ガス栓2の未使用の流出側の接続部10(ガスホースが接続されていない接続部)に被嵌するように装着され、このように装着すると、接続部10の先端テーパ部42の外周面に保護キャップ30の内テーパ面44が当接し、図1に示すような装着状態に保持される。そして、このような装着状態においては、ガス栓2の接続部10の先端部と保護キャップ30の端壁部36との間に放出空間46が存在し、この放出空間46に向けて後述する如く燃料用ガスが放出されるようになる。
【0025】
このように装着した状態においては、図1から明らかなように、保護キャップ30がガス栓2の接続部10を覆い、この接続部10を保護するとともに、接続部10へのホコリなどの付着を防止し、この接続部10をきれいな状態に保つことができる。
【0026】
このような装着状態において、弁機構12の操作部材20を誤って開操作すると、上述したように、弁体16の弁孔18が送給流路4の流出側部13と連通され、送給流路4の上流側部11からの燃料用ガスは、弁保持部材24の連通孔28及び弁体16の弁孔18を通して送給流路4の下流側部13へと流れ、接続部10の流出口41から放出空間46に放出され、更に保護キャップ30の放出孔40を通して大気に放出される。
【0027】
このときの燃料用ガスの放出量は過流出防止機構14を作動させる程度に大きく、このように燃料用ガスがガス栓2の送給流路4を通して流れると、送給流路4を流れる燃料用ガスのガス圧によって、過流出防止機構14のボール状弁26が上昇して弁保持部材24の連通孔28を閉塞し、ボール状弁26による閉塞状態が保たれ、燃料用ガスの過流出が確実に防止される。このように弁機構12の操作部材20を誤開放操作したときには、過流出防止機構14によって燃料用ガスの流出を遮断するので、その流出を確実に防ぐことができるとともに、従来発生していた燃料用ガスの微流出も生じることがない。
【0028】
次いで、図3を参照して、第2の実施形態のガス栓用保護キャップについて説明する。尚、以下の実施形態において、第1の実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0029】
図3において、この第2の実施形態においては、ガス栓用保護キャップ30Aのキャップ本体32Aが先端側(図3において右側)に同じ外径で延び、その先端部にガス栓2の流出側の接続部10に対向するように端壁部36Aが一体的に設けられており、第1の実施形態における拡大径部が省略されている。
【0030】
この保護用キャップ30Aも、上述したと同様に、中空円筒状のキャップ本体32Aがガス栓2の流出側の接続部10を覆うように着脱自在に装着され、かく装着した状態においては、ガス栓2の接続部10の先端部と保護キャップ30Aの端壁部36Aとの間に放出空間46が存在する。そして、この放出空間46に関連して、キャップ本体32Aの先端部には放出孔40が設けられ、この放出孔40は、例えば1の実施形態と同様に周方向に間隔をおいて二つ設けられ、かかる放出孔40は放出空間46と大気とを連通する。この第2の実施形態のその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一である。
【0031】
この第2の実施形態のガス栓用保護キャップ30Aにおいても、その基本的構成が第1の実施形態のものと実質上同一であるので、上述したと同様に、ガス栓2の接続部10を保護することができる。また、操作部材を誤開放操作したときには、ガス栓2の送給流路4を通して流れた燃料用ガスが放出空間46に放出され、更に保護キャップ30Aの放出孔40を通して大気に放出され、この燃料用ガスの過流出によって、過流出防止機構が閉塞状態(ボール状弁が弁保持部材の連通孔を閉塞した状態)となり、上述したと同様にして燃料用ガスの過流出が確実に防止される。
【0032】
次に、図4を参照して、第3の実施形態のガス栓用保護キャップについて説明する。この第3の実施形態においては、第2の実施形態のガス栓用保護キャップの先端部に修正が施されている。
【0033】
図4において、この第3の実施形態においては、ガス栓用保護キャップ30Bのキャップ本体32Bが先端側まで同じ外径で延び、その先端部にガス栓2の流出側の接続部10に対向するように端壁部36Bが一体的に設けられ、この端壁部36Bに放出孔40Bが設けられている。
【0034】
この保護用キャップ30Bも、上述したと同様に、中空円筒状のキャップ本体32Bがガス栓2の流出側の接続部10を覆うように着脱自在に装着され、かく装着した状態においては、ガス栓2の接続部10の先端部と保護キャップ30Bの端壁部36Bとの間に放出空間46が存在する。この実施形態では、更に、この放出空間46に関連して、キャップ本体32Bの端壁部36Bには、放出空間46に内側にL字状に突出する突出壁52が設けられ、この突出壁52は端壁部36Bの放出孔40Bの内側に間隔をおいて位置し、これら両者間に放出流路54を規定する。この第3の実施形態のその他の構成は、上述した第2の実施形態と実質上同一である。
【0035】
この第3の実施形態のガス栓用保護キャップ30Bにおいても、その基本的構成が第2の実施形態のものと実質上同一であるので、上述したと同様に、ガス栓2の接続部10を保護することができる。加えて、突出壁52が端壁部36Bの放出孔40Bの内側に位置するので、放出孔40Bを通してのホコリなどの進入が防止され、接続部10へのホコリなどの付着をより効果的に防ぐことができる。また、操作部材を誤開放操作したときには、ガス栓2の送給流路4を通して流れた燃料用ガスが放出空間46に放出され、更に保護キャップ30Bの放出流路54及び放出孔40Bを通して大気に放出され、この燃料用ガスの過流出によって、過流出防止機構が閉塞状態となり、上述したと同様にして燃料用ガスの過流出が確実に防止される。
【0036】
次に、図5を参照して、第4の実施形態のガス栓用保護キャップについて説明する。この第4の実施形態においては、第2の実施形態のガス栓用保護キャップの先端部に修正が施されている。
【0037】
図5において、この第4の実施形態においては、ガス栓用保護キャップ30Cのキャップ本体32Cの先端部が幾分先細に構成され、その先端部にガス栓2の流出側の接続部10に対向するように端壁部36Cが設けられ、この端壁部36Cに放出孔40Cが設けられている。
【0038】
この保護用キャップ30Cも、上述したと同様に、中空円筒状のキャップ本体32Cがガス栓2の流出側の接続部10を覆うように着脱自在に装着され、かく装着した状態においては、ガス栓2の接続部10の先端部と保護キャップ30Cの端壁部36Cとの間に放出空間46が存在する。この第4の実施形態のその他の構成は、上述した第2の実施形態と実質上同一である。
【0039】
この第4の実施形態のガス栓用保護キャップ30Cにおいても、その基本的構成が第2の実施形態のものと実質上同一であるので、上述したと同様に、ガス栓2の接続部10を保護することができる。また、操作部材を誤開放操作したときには、ガス栓2の送給流路4を通して流れた燃料用ガスが放出空間46に放出され、更に保護キャップ30Cの放出孔40Cを通して大気に放出され、この燃料用ガスの過流出によって、過流出防止機構が閉塞状態となり、上述したと同様にして燃料用ガスの過流出が確実に防止される。
【0040】
次いで、図6を参照して、第5の実施形態のガス栓用保護キャップについて説明する。この第5の実施形態においては、第1の実施形態のガス栓用保護キャップの先端部に修正が施されている。
【0041】
図6において、この第5の実施形態においては、ガス栓用保護キャップ30Dのキャップ本体32Dの先端部(図6において右端部)に拡大径部34Dが設けられ、この拡大径部34Dが先端に向けて先細に形成され、この拡大径部34Dの先端部にガス栓2の流出側の接続部10に対向するように端壁部36Dが設けられている。また、この拡大径部36Dの内環状壁部62(キャップ本体32Dから径方向外方に延びる環状壁部)に、周方向に間隔をおいて一対の放出孔40Dが設けられている。
【0042】
この保護用キャップ30Dも、上述したと同様に、中空円筒状のキャップ本体32Dがガス栓2の流出側の接続部10を覆うように着脱自在に装着され、かく装着した状態においては、ガス栓2の接続部10の先端部と保護キャップ30Dの端壁部36Dとの間に放出空間46が存在する。この第5の実施形態のその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一である。
【0043】
この第5の実施形態のガス栓用保護キャップ30Dにおいても、その基本的構成が第1の実施形態のものと実質上同一であるので、上述したと同様に、ガス栓2の接続部10を保護することができる。加えて、放出孔40Dが保護キャップ30Dの拡大径部34Dの内環状壁部62に設けられているので、燃料用ガスは後述するようにしてこの放出孔40Dからガス栓2側に向けて放出されるようになり、従って、ガス栓2の操作者側に流れる量が少なくなり、安全性を確保することができる。また、操作部材を誤開放操作したときには、ガス栓2の送給流路4を通して流れた燃料用ガスが放出空間46に放出され、更に保護キャップ30Dの放出孔40Dを通してガス栓2側に向けて大気に放出され、この燃料用ガスの過流出によって、過流出防止機構が閉塞状態となり、上述したと同様にして燃料用ガスの過流出が確実に防止される。
【0044】
次に、図7を参照して、第6の実施形態のガス栓用保護キャップについて説明する。この第6の実施形態においては、第2の実施形態のガス栓用保護キャップの先端部に修正が施されている。
【0045】
図7において、この第6の実施形態においては、ガス栓用保護キャップ30Eのキャップ本体32Eが先端側まで同じ外径で延び、その先端部にガス栓2の流出側の接続部10に対向するように端壁部36Eが一体的に設けられ、この端壁部36Eに放出孔40Eが設けられている。この形態では、更に、この放出孔40Eに選択透過性部材72が装着されている。選択透過性部材72は、燃料用ガスなどの燃料用ガスは透過するが、水などの液体の透過を阻止する。このような選択透過性部材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの熱可塑性樹脂粉末を用いて成形した連続気孔を有する多孔質体から構成することができる。
【0046】
この保護用キャップ30Eも、上述したと同様に、中空円筒状のキャップ本体32Eがガス栓2の流出側の接続部10を覆うように着脱自在に装着され、かく装着した状態においては、ガス栓2の接続部10の先端部と保護キャップ30Eの端壁部36E(具体的には、選択透過性部材72)との間に放出空間46が存在する。この第6の実施形態のその他の構成は、上述した第2の実施形態と実質上同一である。
【0047】
この第6の実施形態のガス栓用保護キャップ30Eにおいても、その基本的構成が第2の実施形態のものと実質上同一であるので、上述したと同様に、ガス栓2の接続部10を保護することができる。加えて、キャップ本体32Eの放出孔40Eに選択透過性部材72が装着されているので、ホコリなどの放出空間46内への進入を確実に防止することができ、ガス栓2の接続部10をよりきれいな状態に保つことができる。また、操作部材を誤開放操作したときには、ガス栓2の送給流路4を通して流れた燃料用ガスが放出空間46に放出され、更に保護キャップ30Eの放出孔40Eに装着された選択透過性部材72を通して大気に放出され、この燃料用ガスの過流出によって、過流出防止機構が閉塞状態となり、上述したと同様にして燃料用ガスの過流出が確実に防止される。
【0048】
尚、このような選択透過性部材は、第1〜第5の実施形態の保護キャップにおけるキャップ本体の放出孔に設けるようにしてもよい。
【0049】
次に、図8を参照して、第7の実施形態のガス栓用保護キャップについて説明する。この第7の実施形態においては、第2の実施形態のガス栓用保護キャップの先端部に修正が施されている。
【0050】
図8において、この第7の実施形態においては、ガス栓用保護キャップ30Fのキャップ本体32Fが先端側まで同じ外径で延び、その先端部には、ガス栓2の流出側の接続部10に対向するように端壁部36Fが設けられ、この端壁部36Fによって、キャップ本体32Fの先端に設けられた放出孔40Fが開閉されるように構成されている。
【0051】
更に説明すると、この端壁部36Fの一部(この実施形態では、その上端部)が薄肉部82を介してキャップ本体32Fに一体的に接続され、この薄肉部82が弾性変形可能に構成されている。この端壁部36Fは、通常、図8に実線で示す閉位置に位置して放出孔40Fを閉塞し、また燃料用ガスが後述するように放出空間46を通して流れると、その圧力によって薄肉部82を支点として二点鎖線で示すように開放され、開放された放出孔40Fを通して二点鎖線の矢印84で示すように外部に放出される。
【0052】
この保護用キャップ30Fも、上述したと同様に、中空円筒状のキャップ本体32Fがガス栓2の流出側の接続部10を覆うように着脱自在に装着され、かく装着した状態においては、ガス栓2の接続部10の先端部と保護キャップ30Fの端壁部36Fとの間に放出空間46が存在する。この第7の実施形態のその他の構成は、上述した第2の実施形態と実質上同一である。
【0053】
この第7の実施形態のガス栓用保護キャップ30Fにおいても、その基本的構成が第2の実施形態のものと実質上同一であるので、上述したと同様に、ガス栓2の接続部10を保護することができる。加えて、キャップ本体32Fの放出孔40Fが端壁部36Fによって開閉される構成となっているので、ホコリなどの放出空間46内への進入を防止することができ、ガス栓2の接続部10をきれいな状態に保つことができる。また、操作部材を誤開放操作したときには、ガス栓2の送給流路4を通して流れた燃料用ガスが放出空間46に放出され、かく放出された燃料用ガスのガス圧によって、キャップ本体32Fの端壁部36Fが二点鎖線で示すように回動して放出孔40Fが開放され、開放された放出孔40Fを通して大気に放出される。従って、この場合においても、この燃料用ガスの過流出によって、過流出防止機構が閉塞状態となり、上述したと同様にして燃料用ガスの過流出が確実に防止される。
【0054】
次に、図9及び図10を参照して、第8の実施形態のガス栓用保護キャップについて説明する。この第8の実施形態においては、第2の実施形態のガス栓用保護キャップの先端部に修正が施されている。
【0055】
図9及び図10において、この第8の実施形態においては、ガス栓用保護キャップ30Gのキャップ本体32Gが先端部まで同じ外径で延び、その先端部には、ガス栓2の流出側の接続部10に対向するように端壁部36Gが設けられている。この形態では、端壁部36Gは円錐状に形成され、先端に向けて先細に形成されている。また、この端壁部36Gには、放射状に複数(図示の形態では、8つ)のスリット92が設けられているとともに、端壁部36Gの基部(キャップ本体32Gとの接続部)に薄肉部94が設けられ、かかる薄肉部94が弾性変形可能に構成され、この端壁部36Gによって、キャップ本体32Gの先端に設けられた放出孔40Gが開閉されるように構成されている。即ち、この端壁部36Gは、通常、図9に実線で示すとともに図10に示す閉位置に位置して放出孔40Gを閉塞し、また燃料用ガスが後述するように放出空間46を通して流れると、その圧力によって薄肉部94を支点として二点鎖線で示すように開放され、開放された放出孔40Gを通して二点鎖線の矢印96で示すように外部に放出される。尚、この形態では、端壁部36Gの基部に薄肉部94を設けているが、この端壁部94の中央部に薄肉部を設け、この中央部が弾性変形して放出孔40Gが開放されるようにしてもよく、或いは端壁部94の全体を薄肉部として形成し、端壁部94の全体が弾性変形して放出孔40Gが開放されるようにしてもよい。
【0056】
この保護用キャップ30Gも、上述したと同様に、中空円筒状のキャップ本体32Gがガス栓2の流出側の接続部10を覆うように着脱自在に装着され、かく装着した状態においては、ガス栓2の接続部10の先端部と保護キャップ30Gの端壁部36Gとの間に放出空間46が存在する。この第7の実施形態のその他の構成は、上述した第2の実施形態と実質上同一である。
【0057】
この第8の実施形態のガス栓用保護キャップ30Gにおいても、その基本的構成が第2の実施形態のものと実質上同一であるので、上述したと同様に、ガス栓2の接続部10を保護することができる。加えて、キャップ本体32Gの放出孔40Gが端壁部36Gによって開閉される構成となっているので、ホコリなどの放出空間46内への進入を防止することができる。また、操作部材を誤開放操作したときには、ガス栓2の送給流路4を通して流れた燃料用ガスが放出空間46に放出され、かく放出された燃料用ガスのガス圧によって、キャップ本体32Gの端壁部36Gが二点鎖線で示すように回動して放出孔40Gが開放され、開放された放出孔40Gを通して大気に放出される。従って、この場合においても、この燃料用ガスの過流出によって、過流出防止機構が閉塞状態となり、上述したと同様にして燃料用ガスの過流出が確実に防止される。
【0058】
次いで、図11及び図12を参照して、第9の実施形態のガス栓用保護キャップについて説明する。この第9の実施形態においては、第2の実施形態のガス栓用保護キャップの先端部に修正が施されている。
【0059】
図11及び図12において、この第9の実施形態においては、ガス栓用保護キャップ30Hのキャップ本体32Hが先端部まで同じ外径で延び、その先端部には、筒状薄肉部102を介して端壁部36Hが設けられ、この端壁部36Hは、ガス栓2の流出側の接続部10に対向するように設けられている。この形態では、筒状薄肉部102は弾性変形可能に谷状に折曲され、折曲された谷状部に放出孔40Hが設けられている。このような筒状薄肉部102は、通常、図11に示すように折曲された谷状の状態に保たれ、このような谷状状態では、放出孔40Hは閉塞状態となり、また燃料用ガスが後述するように放出空間46を通して流れると、その圧力によって筒状薄肉部102が図12に示すように伸張され、このような伸張状態では、放出孔40Hは開放状態となり、開放状態の放出孔40Hを通して外部に放出される。尚、この形態では、筒状薄肉部102及び端壁部36Aが薄肉状に形成されているが、筒状薄肉部102のみ薄肉状に形成することによって、上述した効果が達成される。
【0060】
この保護用キャップ30Hも、上述したと同様に、中空円筒状のキャップ本体32Hがガス栓2の流出側の接続部10を覆うように着脱自在に装着され、かく装着した状態においては、ガス栓2の接続部10の先端部と保護キャップ30Hの端壁部36Hとの間に放出空間46が存在する。この第9の実施形態のその他の構成は、上述した第2の実施形態と実質上同一である。
【0061】
この第9の実施形態のガス栓用保護キャップ30Gにおいても、その基本的構成が第2の実施形態のものと実質上同一であるので、上述したと同様に、ガス栓2の接続部10を保護することができる。加えて、通常状態においては、キャップ本体32Hの筒状薄肉部102が谷状状態に保持されて放出孔40Hが閉塞状態に保たれるので、ホコリなどの放出空間46内への進入を防止することができる。また、操作部材を誤開放操作したときには、ガス栓2の送給流路4を通して流れた燃料用ガスが放出空間46に放出され、かく放出された燃料用ガスのガス圧によって、キャップ本体32Hの筒状薄肉部102が伸張して伸張状態となって放出孔40Hが開放され、開放された放出孔40Hを通して大気に放出される。従って、この場合においても、この燃料用ガスの過流出によって、過流出防止機構が閉塞状態となり、上述したと同様にして燃料用ガスの過流出が確実に防止される。
【0062】
次に、図13及び図14を参照して、第10の実施形態のガス栓用保護キャップについて説明する。この第10の実施形態においては、第2の実施形態のガス栓用保護キャップの先端側に修正が施されている。
【0063】
図13及び図14において、この第10の実施形態においては、ガス栓用保護キャップ30Iのキャップ本体32Iが先端部まで同じ外径で延び、その先端部にキャップ本体32Iの端壁部を構成する端壁部材112が取付固定され、この端壁部材112は、ガス栓2の流出側の接続部10に対向するように配設されている。この形態では、キャップ本体32Iの先端部には、周方向に間隔をおいて一対の放出孔40Iが設けられている。また、放出空間46内に開閉部材114が配設され、この開閉部材114が図14に示す第1の位置と図13に示す第2の位置との間を移動自在に構成されている。
【0064】
更に説明すると、キャップ本体32Iの内周面には、径方向内方に向けて端壁部材102側に延びる環状突部116が設けられ、この環状突部116によって連通開口117が規定されている。また、端壁部材112の内面には内方(図13及び図4において左方)に延びる弾性支持突部118が一体的に設けられ、この弾性支持突部118の先端部に開閉部材114が取り付けられている。弾性支持突部118は例えば略へ字状に弾性変形可能に構成され、通常、図13に示す第2の位置に保たれ、かかる第2の位置においては、開閉部材114はキャップ本体32Iの環状突部116に接触乃至当接し、放出空間46とキャップ本体32Iの放出孔40Iとの連通を遮断する。また、燃料用ガスが後述するように放出空間46を通して流れると、その圧力によって端壁部材118の弾性支持突部118が図14に示すように弾性的に収縮され、このような収縮状態では、開閉部材114がキャップ本体32Iの環状突部116から離隔して第1の位置に位置し、これによって、放出空間46とキャップ本体32Iの放出孔40Iが連通される。
【0065】
この保護用キャップ30Iも、上述したと同様に、中空円筒状のキャップ本体32Iがガス栓2の流出側の接続部10を覆うように着脱自在に装着され、かく装着した状態においては、ガス栓2の接続部10の先端部と保護キャップ30Iの端壁部材102(キャップ本体32Iの端壁部として機能する)との間に放出空間46が存在する。この第10の実施形態のその他の構成は、上述した第2の実施形態と実質上同一である。
【0066】
この第10の実施形態のガス栓用保護キャップ30Iにおいても、その基本的構成が第2の実施形態のものと実質上同一であるので、上述したと同様に、ガス栓2の接続部10を保護することができる。加えて、通常状態においては、端壁部材102の弾性支持突部118によって、開閉部材114は第2の位置に位置してキャップ本体32Iの環状突部116に接触乃至当接状態に保持され、ホコリなどの放出空間46内への進入を防止することができる。また、操作部材を誤開放操作したときには、ガス栓2の送給流路4を通して流れた燃料用ガスが放出空間46に放出され、かく放出された燃料用ガスのガス圧によって、図14に示すように、端壁部材102の弾性支持突部118が収縮して開閉部材114がキャップ本体32Iの環状突部116から離隔して第1の位置に移動し、これによって、連通開口117が開放され、開放された連通開口117及びキャップ本体32Iの放出孔40Iを通して大気に放出される。従って、この場合においても、この燃料用ガスの過流出によって、過流出防止機構が閉塞状態となり、上述したと同様にして燃料用ガスの過流出が確実に防止される。
【0067】
次いで、図15及び図16を参照して、第11の実施形態のガス栓用保護キャップについて説明する。この第11の実施形態においても、第2の実施形態のガス栓用保護キャップの先端側に修正が施されている。
【0068】
図15及び図16において、この第11の実施形態においては、ガス栓用保護キャップ30Jのキャップ本体32Jが先端部まで同じ外径で延び、その先端部にキャップ本体32Jの端壁部を構成する端壁部材122が取付固定され、この端壁部材122は、ガス栓2の流出側の接続部10に対向するように配設されている。この形態では、更に、キャップ本体32Jの先端部には、周方向に間隔をおいて一対の放出孔40Jが設けられている。また、放出空間46内には開閉部材124が配設され、この開閉部材124が図16に示す第1の位置と図15に示す第2の位置との間を移動自在に構成されている。
【0069】
更に説明すると、キャップ本体32Jの先端部内周面には、収容大内径部126が設けられ、かく収容大内径部126を設けることによって環状肩部128が設けられ、この環状肩部128によって連通開口130が規定されている。また、開閉部材124はキャップ本体32Jの収容大内径部126に軸方向(図15及び図16において左右方向)に移動自在に収容され、この開閉部材124と端壁部材122との間に、偏倚手段としてのコイルばね132が介在されている。コイルばね132は開閉部材124をガス栓2の接続部10に向けて弾性的に偏倚し、開閉部材124は、コイルばね132の作用によって図15に示す第2の位置に保たれる。かかる第2の位置においては、開閉部材124はキャップ本体32Jの肩部128に当接し、その先端部でキャップ本体32Jの連通開口130を閉塞するとともに、その周側面によって一対の放出孔40Jを閉塞する。また、燃料用ガスが後述するように放出空間46を通して流れると、図16に示すように、その圧力によってコイルばね132が収縮して開閉部材124がキャップ本体32Jの肩部から離隔して第1の位置に移動し、これによって、キャップ本体32Jの連通開口130が開放されるとともに、キャップ本体32Jの放出孔40Jが開放される。
【0070】
この保護用キャップ30Jも、上述したと同様に、中空円筒状のキャップ本体32Jがガス栓2の流出側の接続部10を覆うように着脱自在に装着され、かく装着した状態においては、ガス栓2の接続部10の先端部と保護キャップ30Jの端壁部材122(キャップ本体32Jの端壁部として機能する)との間に放出空間46が存在する。この第11の実施形態のその他の構成は、上述した第2の実施形態と実質上同一である。
【0071】
この第11の実施形態のガス栓用保護キャップ30Jにおいても、その基本的構成が第2の実施形態のものと実質上同一であるので、上述したと同様に、ガス栓2の接続部10を保護することができる。加えて、通常状態においては、第2の位置に位置する開閉部材124がキャップ本体32Jの連通開口130及び一対の放出孔40Jを閉塞するので、ホコリなどの放出空間46内への進入を確実に防止することができる。また、操作部材を誤開放操作したときには、ガス栓2の送給流路4を通して流れた燃料用ガスが放出空間46に放出され、かく放出された燃料用ガスのガス圧によって、図16に示すように、コイルばね132が収縮して開閉部材124がキャップ本体32Jの肩部128から離れて第1の位置に移動し、これによって、キャップ本体32Jの連通開口130及び一対の放出孔40Jが開放され、開放された連通開口130及び放出孔40Jを通して大気に放出される。従って、この場合においても、この燃料用ガスの過流出によって、過流出防止機構が閉塞状態となり、上述したと同様にして燃料用ガスの過流出が確実に防止される。
【0072】
次に、図17及び図18を参照して、第12の実施形態のガス栓用保護キャップについて説明する。この第12の実施形態においても、第2の実施形態のガス栓用保護キャップの先端側に修正が施されている。
【0073】
図17及び図18において、この第12の実施形態においては、ガス栓用保護キャップ30Kのキャップ本体32Kが先端部まで同じ外径で延び、その先端部にガス栓2の流出側の接続部10に対向するように端壁部36Kが設けられている。この形態では、更に、キャップ本体32Kの端壁部36Kに放出孔40Kが設けられ、この放出孔40Kに開閉部材152が図18に示す第1の位置と図17に示す第2の位置との間を移動自在に配設されている。
【0074】
更に説明すると、開閉部材152は端壁部36Kの放出孔40Kに移動自在に装着された軸部154を有し、この軸部154の一端部(図17及び図18において右端部であって、端壁部36Kかた外方に突出する端部)に開閉部156が設けられ、その他端部(図17及び図18において左端部であって、放出空間46に突出する端部)にばね受け部158が設けられ、このばね受け部158とキャップ本体32Kの端壁部36Kとの間に、偏倚手段としてのコイルばね160が介在されている。コイルばね160は開閉部材152をガス栓2の接続部10に向けて弾性的に偏倚し、この開閉部材152は、コイルばね160の作用によって図17に示す第2の位置に保持される。かかる第2の位置においては、開閉部材152の開閉部156がキャップ本体32Kの端壁部36Kに当接して放出孔40Kを閉塞する。また、燃料用ガスが後述するように放出空間46を通して流れると、図18に示すように、その圧力によってコイルばね160が収縮して開閉部材152が外側に第1の位置に移動してキャップ本体32Kの端壁部36Kから離れ、これによって、キャップ本体32Kの放出孔40Kが開放される。
【0075】
この保護用キャップ30Kも、上述したと同様に、中空円筒状のキャップ本体32Kがガス栓2の流出側の接続部10を覆うように着脱自在に装着され、かく装着した状態においては、ガス栓2の接続部10の先端部と保護キャップ30Kの端壁部36Kとの間に放出空間46が存在する。この第12の実施形態のその他の構成は、上述した第2の実施形態と実質上同一である。
【0076】
この第12の実施形態のガス栓用保護キャップ30Kにおいても、その基本的構成が第2の実施形態のものと実質上同一であるので、上述したと同様に、ガス栓2の接続部10を保護することができる。加えて、通常状態においては、第2の位置に位置する開閉部材152の開閉部156がキャップ本体32Kの放出孔40Kを閉塞するので、ホコリなどの放出空間46内への進入を確実に防止することができる。また、操作部材を誤開放操作したときには、ガス栓2の送給流路4を通して流れた燃料用ガスが放出空間46に放出され、かく放出された燃料用ガスのガス圧によって、図18に示すように、コイルばね160が収縮して開閉部材152がキャップ本体32Kの端壁部36Kから離れて第1の位置に移動し、これによって、キャップ本体32Kの放出孔40Kが開放され、開放された放出孔40Kを通して大気に放出される。従って、この場合においても、この燃料用ガスの過流出によって、過流出防止機構が閉塞状態となり、上述したと同様にして燃料用ガスの過流出が確実に防止される。
【0077】
以上、本発明に従うガス栓用保護キャップの各種実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定さず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【符号の説明】
【0078】
2 ガス栓
4 送給流路
6 ガス栓本体
8,10 接続部
12 弁機構
14 過流出防止機構
30,30A,30B,30C,30D,30E,30F,30G,30H,30I,30J,30K ガス栓用保護キャップ
32,32A,32B,32C,32D,32E,32F,32G,32H,32I,32J,32K キャップ本体
36,36A,36B,36C,36D,36E,36F,36G,36H,36K 端壁部
40,40A,40B,40C,40D,40E,40F,40G,40H,40I,40J,40K 放出孔
46 放出空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスの過流出防止機構が内蔵されているガス栓の接続部に装着されるガス栓用保護キャップであって、
前記接続部を覆うように装着されるキャップ本体を備え、前記キャップ本体は前記接続部に対向する端壁部を有しており、前記接続部に装着した状態において、前記キャップ本体の前記端壁部と前記接続部の先端部との間に放出空間が存在しており、前記キャップ本体には、更に、前記放出空間に放出された燃料用ガスを外部に放出するための放出孔が設けられていることを特徴とするガス栓用保護キャップ。
【請求項2】
前記放出孔には、燃料用ガスの透過を許容し且つ液体の透過を阻止する選択透過性部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガス栓用保護キャップ。
【請求項3】
ガスの過流出防止機構が内蔵されているガス栓の接続部に装着されるガス栓用保護キャップであって、
前記接続部を覆うように装着されるキャップ本体を備え、前記キャップ本体は前記接続部に対向する端壁部を有しており、前記接続部に装着した状態において、前記キャップ本体の前記端壁部と前記接続部の先端部との間に放出空間が存在しており、前記キャップ本体には、更に、前記放出空間に放出されたガスを外部に放出するための放出孔が設けられているとともに、その一部に弾性変形可能な薄肉部が設けられており、前記薄肉部の弾性変形によって、前記放出孔が開閉されることを特徴とするガス栓用保護キャップ。
【請求項4】
ガスの過流出防止機構が内蔵されているガス栓の接続部に装着されるガス栓用保護キャップであって、
前記接続部を覆うように装着されるキャップ本体を備え、前記キャップ本体は前記接続部に対向する端壁部を有しており、前記接続部に装着した状態において、前記キャップ本体の前記端壁部と前記接続部の先端部との間に放出空間が存在しており、前記キャップ本体には、更に、前記放出空間に放出された燃料用ガスを外部に放出するための放出孔が設けられているとともに、前記放出空間内にて第1の位置と第2の位置との間を移動自在に開閉部材が配設されており、前記開閉部材が前記第1の位置にあるときには、前記放出空間と前記放出孔が連通され、また前記開閉部材が前記第2の位置にあるときには、前記放出空間と前記放出孔との連通が遮断されることを特徴とするガス栓用保護キャップ。
【請求項5】
ガスの過流出防止機構が内蔵されているガス栓の接続部に装着されるガス栓用保護キャップであって、
前記接続部を覆うように装着されるキャップ本体を備え、前記キャップ本体は前記接続部に対向する端壁部を有しており、前記接続部に装着した状態において、前記キャップ本体の前記端壁部と前記接続部の先端部との間に放出空間が存在しており、前記キャップ本体には、更に、前記放出空間放出された燃料用ガスを外部に放出するための放出孔が設けられているとともに、前記放出孔に第1の位置と第2の位置との間を移動自在に開閉部材が配設されており、前記第1の位置にあるときには、前記開閉部材は前記放出孔を開放し、前記第2の位置にあるときには、前記開閉部材は前記放出孔を閉塞することを特徴とするガス栓用保護キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−281365(P2010−281365A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134253(P2009−134253)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】