説明

ガス流中粒子の測定及び/又は分析のためのシステム及び方法

【課題】ガス原料流中の粒子を測定及び分析するためのシステム及びそれを含む方法の提供。
【解決手段】一つの側面において、システムは、並列に配置される粒子計数器と粒子捕捉フィルタとを含む。もう一つの側面において、システムは、ガス原料流から微量の分子状不純物を除去して不純物の存在を減らすための浄化装置を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス原料流をサンプリングしてガス流中の粒子状汚染物質の存在及び特性を明らかにするためのシステム及び方法に関する。詳しく言えば、本発明は、粒子計数器及び粒子捕捉フィルタを含むシステムであって、前記粒子捕捉フィルタが都合よく粒子計数器と並列に配置されているシステムに関する。
【0002】
半導体デバイス製造者など特殊ガスの利用者の多くは、ガス中の浮遊粒子含量が少ないことを要求している。例えば、製造材料中の粒子状汚染物質は、デバイス製造プロセスにおいて低収率をもたらし、完成した半導体デバイスにおいて信頼性の問題を引き起こす。従って、厳密な清浄性の要求が、限定はされないがAr、He、N2、Xe、Kr、Ne、SiH4、SiH2Cl2、NH3、BCl3、CO2、CO、N2O、O2、H2、SiHCl3、PH3、AsH3、BF3、B26、Si26、SiCl4及び他の多くのガスなどのガスに常に課せられている。
【0003】
ガス原料流中の粒子レベルは、比較的均一で一様な流れと、例えばツールの界面が近づいたときの、時間とともに変動するものの間で、いろいろであり得る。ガス原料流における変動性は、バースト状態(スパイク)、時間変動ドリフト(上昇又は下降)、及び/又は段階的変化(上昇又は下降)の形態をとることができる。例えばフローイングトランスフィルシステムやツール供給ラインなどの動的システムでは、ガス原料流は通常十分に混合され、粒子は均一に分布している。しかし、例えばガスボンベ又は他の供給容器などの静的システムでは、粒子レベルは空間的に何桁も変動しかねない。この粒子変動性は、重力沈降及び内表面への拡散などの効果に起因することがある。そのような効果は、供給容器中で、層化を含む不均一な粒子分布を生み出す。
【0004】
ボンベ及びバルクのガスは、ガス原料流に入る前にしばしば自動調整器で減圧される。ガス原料流のこの減圧は、例えば、調整器での「シェディング(shedding)」、不純物の核形成、及び凝集液滴の形成による粒子レベルの増加をもたらすことがある。特定の状況では、浮遊した非揮発性残留物の形成が起こることがある。
【0005】
上記の問題に加え、ガス原料流が例えばシランなどの反応性ガスを含む場合、反応性ガスが大気汚染物質と結合し、浮遊固体物質(粒子)を形成することがある。シランと酸素又は酸化剤との反応は、粒子の形態のシリカ(SiO2)ダストを生じさせる。シラン貯蔵/輸送システム中にいくらかでも水分又は酸素があると、多量の微粒子シリカが生じると予想することができる。これらの固体反応生成物は、浮遊粒子含量の測定に著しい不正確さをもたらしかねない。このような粒子状物質の発生は、システム中の酸素又は酸化剤が消費され且つ酸化剤の発生源がなくなるまで続く。これら及びその他の問題のため、反応性ガスを含むガス原料流について、大気汚染物質の検出及び除去に対する慎重な注意が必要なことがある。
【0006】
ガス原料中での粒子の形成は、通常分子状不純物の存在に由来することが多い。多くの半導体プロセスガスは加圧容器でもって供給されている。そのような高純度ガスが微量の分子状不純物を含むことは一般的であり、例えば、窒素中の炭化水素、シラン中のシロキサン、及び高純度ガスの組成によって他にもそのような不純物がある。これらの不純物は、ガスを製造し、輸送し、加圧容器中に貯蔵するのに使用されるプロセスに由来することがある。ガス貯蔵容器の内部圧力及び温度は、ガスの臨界点圧力及び臨界点温度よりもかなり高いことがよくある。使用者に送られたガス貯蔵容器中では、例えば、N2の臨界点(492psia、−232°F)及びSiH4の臨界点(703psia、26°F)を通常超えている。超臨界流体が、ガスの輸送、貯蔵及び送出システム中に表面汚染物質として存在することがある物質、例えば高分子量炭化水素などの物質に対して高い溶解力を有することはよく知られている。溶解したこれらの不純物は、ガス中に典型的に存在する分子状不純物を増加させることがある。
【0007】
ガス中の粒子汚染の一因となるプロセス変数を制御し、ガスの品質を保証するために、加圧ガス源からの正確な粒子測定が実施される。加圧ガス中の浮遊粒子濃度を測定することが望ましい。しかし、利用できる機器類の圧力の制限のために、貯蔵容器の全圧での粒子含量の測定は実際的でなかろう。従って、ガス試料は、粒子測定のために利用可能な機器類と適合性のあるレベルまでガス圧を低下させるため、例えば、自動圧力調整器、弁、流量制限オリフィスなどの減圧装置を通して移送される。この測定は、ガス原料流に対して、インラインでもオフラインでも実施できる。
【0008】
痕跡量の分子状不純物を有するガスが、ガス圧の低下とともに粒子含量の増加をこうむることは、粒子測定の技術分野では周知である。この品質低下(degradation)は、安定な(すなわち持続的な)浮遊粒子の形成につながる、微量不純物の分子クラスター化に起因する。これらの粒子は、加熱により容易に気化させることができない。更に、場合によっては、減圧のプロセスがガス中に亜臨界状態を生じさせることがよくある。これに関連して、亜臨界ガスは減圧後にその高い溶解力を失う。従って、溶解している不純物は、試料ガス流中で安定な浮遊粒子を形成する傾向がある。減圧中の粒子形成は、0.02マイクロメートルより大きい粒子に関して、スタンダード立方フィートのガス当たり106を超える粒子レベルを生じさせることが知られている。このレベルは、加圧容器中の粒子の実際のレベルをかなり超えている。図1は、典型的なガス原料流1であってガス原料流1と流体連通している弁2などの減圧装置を通過するものの例を提示している。ガス原料流は最初はガスに搬送される低レベルの粒子3を含むが、弁2を通過後には、ガス原料流1中に含まれる粒子又は「核化した」粒子4の量が増加する。低圧ガス流5中の核化粒子4は、下流の粒子計数装置(図示せず)に運ばれる。その後では、容器中の実際の粒子濃度を測定により知ることはできない。従って、減圧プロセスは粒子測定の正確さを実質的に低下させる。
【0009】
この問題を解決するためのこれまでの試みには、耐圧性粒子計数器の製作が挙げられる。そのような装置では、装置の上流で試料ガスを減圧する必要がない。しかし、これらの装置は、測定される粒子の組成及び形態に関する情報を提供できない。
【0010】
同様に、低圧機器を特注の加圧チャンバ(例えば、高圧チャンバ)中に配置して、原料ガス圧の近くで運転することができる。しかし、これは、費用がかかり困難な装置設計の変更であり、従って実際上の問題がある。
【0011】
加圧フィルタ装置を利用して、事前の減圧なしに試料流から粒子を捕捉することもできる。これらの捕捉粒子はその後、光学顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法、液体媒体への温浸又は溶解とこれに続く液体の組成分析などのような、種々の手段を用いて調べることができる。しかし、この試験法は、ガス供給源に由来する粒子とサンプリングシステムで形成された擬似粒子とを区別できない。
【0012】
加圧ガス中の問題となる分子状不純物は、減圧に先立ち、吸収剤、吸着剤、触媒浄化器及びガス精製の技術分野で公知の他の装置を利用して除去することができる。この方法は、減圧中の粒子形成を実質的に減少させ、あるいはなくすことが知られている。しかし、そのような浄化器は、ガス原料流を粒状又はペレット状浄化媒体の床を通過させることにより運転する。この床は、加圧容器から流れてくる実際の粒子を除去するフィルタとしても働く傾向があり、あるいは浄化媒体からガス流へ新たな粒子を導入することがある。従って、加圧容器中の実際の粒子含量は床タイプ浄化器の下流では正確に測定できない。
【0013】
ガス流の加熱及び減圧装置の加熱が、減圧中の不純物の核化を防止しようとして利用されている。この方法は、膨張したガス流中の核化粒子の形成を防止するには通常効果的でない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、ガス原料流中の粒子を測定及び/又は分析するための改良された信頼性のあるシステムであって、分子状不純物が擬似不純物測定値の一因となる前にそのような不純物を効果的に除去するシステムが、当該技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一つの側面において、本発明は、ガス原料流中の粒子を測定及び/又は分析するためのシステムであって、粒子計数器及び粒子捕捉フィルタを含み、当該粒子捕捉フィルタが当該粒子計数器と並列に配置されているシステムを提供する。
【0016】
もう一つの側面において、本発明は、より低圧のガス原料流中の粒子含量を測定するためのシステムであって、ガス原料流中の不純物を除去し浄化ガス原料流を提供する浄化装置、当該浄化装置と流体連通している減圧装置であって浄化ガス原料流がこの減圧装置を通過して当該より低圧のガス原料流を提供する減圧装置、当該より低圧のガス原料流中の粒子含量を測定する粒子計数器、及び当該粒子計数器と並列に配列されている粒子捕捉フィルタを含むシステムを提供する。
【0017】
更にもう一つの側面において、本発明は、より低圧のガス原料流中の粒子含量を測定するための方法であって、ガス原料流を浄化装置を通過させて浄化ガス原料流を提供する工程を含み、当該浄化装置は当該浄化ガス原料流中に含まれる粒子を実質的に除去せず、当該ガス原料流が第1の圧力にある工程を含む。この方法はまた、当該浄化ガス原料流の一部を減圧装置へ導いて浄化ガス原料流の当該一部の圧力を当該第1の圧力より低い圧力に低下させ、そして当該浄化ガス原料流中に含まれる粒子含量を、当該第1の圧力より低い圧力にある浄化ガス原料流の当該一部を粒子計数器に送り、そして当該浄化ガス原料流の別の部分を粒子捕捉フィルタに送ることにより測定する工程を含む。粒子捕捉フィルタは粒子計数器と並列に配置される。
【0018】
本発明の多くの利点は、同様の数字は同様の構成要素を表す同一縮尺ではない添付の図面を参照することにより、当業者がよりよく理解することがである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
ここには、ガス原料流中の粒子の測定及び/又は分析に使用できるシステム及び方法をが記載される。このシステム及び方法は、例えば、粒子の数又は粒子カウント、ガス原料流中の粒子の濃度密度、粒径分布、粒子形態、及び/又は粒子組成を測定するのに使用できる。ガス原料流中で測定できる粒子の平均寸法は、0.02ミクロン(μm)から10μm、又は0.05μmから1μm、又は0.1μmから1μmの範囲でよい。測定可能な粒子の平均量は、1/sq.ft(平方フィート)から10,000,000sq.ft、又は1/sq.ftから10,000sq.ft、又は1/sq.ftから1,000sq.ftの範囲でよい。
【0020】
このシステム及び方法は、自燃物、可燃物、酸化剤、腐食剤及び不活性ガスを含む、種々のガス及び超臨界流体原料流に使用できる。分析可能なガス原料流の例としては、不活性ガス(例えば、Ar、He、N2、Xe、Kr、Neなど)、SiH4、CF4、WF6、SiH2Cl2、NH3、NF3、Cl2、BCl3、C26、CO2、CO、F2、N2O、CHF3、O2、H2、HBr、HCl、HF、CH4、SiHCl3、SF6、PH3、AsH3、BF3、B26、Si26、SiCl4、SiF4及び他の多くのものなどのエレクトロニクス特殊ガス(ESG)が挙げられるが、これらに限定はされない。「ガス」という用語は、蒸気、過飽和ガス及び超臨界流体を包含する。特定の超臨界流体の例は、係属中の米国特許出願公開第2004/0144399号明細書に提示されており、それは参照によりそのままここに組み入れられる。システムは、例えば、種々の粒子状物質を測定及び/又は分析するために使用でき、それには、例えば、分子状クラスター及び液滴や、金属、有機物又は他の物質からなる浮遊固体微粒子や、種々の他の汚染粒子を含めることができる。
【0021】
ここに記載のシステムは、粒子計数器及び粒子捕捉フィルタを用いて、プロセスガス流の代表試料中の粒子を測定及び分析する。このシステムは、有意量の粒子をガス原料流に加えず、除去もしない。そのような干渉があると、サンプリングされるガス原料流中の測定粒子濃度が変化しかねない。特定の態様では、電解研磨された配管及び/又は高い清浄度の弁を、サンプリングの偏りを減らすために使用してもよい。更に、これら及びその他の態様において、システムは、重力沈降、又は分子ブラウン運動に対する反作用による管壁への拡散に起因する粒子の輸送損失を最小限にする。
【0022】
ここに記載のシステムは、連続プロセス原料流と組み合わせて、あるいはここにおいて「オフラインサンプリング」と記載する側流又は試料流抜取システムと組み合わせて使用することができる。ここに記載のシステムは、原料ガス管路に挿入された、いわゆる等速サンプルプローブを含めて、当該技術分野で公知のガス試料抜取装置の1つと組み合わせて使用してもよい。この点に関し、この明細書においてガス原料流と称するサンプリングすべき別な流れは、プロセスガス管路、加圧ガスボンベ、又はISOモジュール(すなわち、ガスのバルク輸送に好適な単一統合ユニットに配列された円筒管)から抜き取られる。オフラインサンプルシステムは、粒子計数器又は粒子捕捉フィルタを流れるガス原料流の排気又は他の形態の排出の制御を必要とする場合がある。ガス原料流が反応性ガスを含む態様においては、オフラインサンプルシステムは、不活性パージ(すなわち、1種以上の不活性ガスによるガス管路のパージ)、排気(すなわち、1以上の真空ポンプを用いるガス管路の排気)、及び/又は排出制御を行うサブシステムを更に含むことができる。ガス原料流が容易に凝縮するガス(すなわち、周囲温度又はそれより高い温度で液体になるガス)を含む場合などのような、その他の態様においては、システムの管路及び/又はそこに含まれるシステムの構成要素にヒートトレースを施してもよい。これらの態様では、ヒートトレースを、最初のシステムの乾燥のために管路へガス原料流を導入する前に、不活性パージ及び/又は圧力サイクル(すなわち圧力の変動を用いる)と組み合わせて使用してもよく、その理由は、ガスが管路中の微量の残存水分又は酸化剤と反応することがあるからである。
【0023】
図2は、シランを含むガス流中の粒子を測定及び分析するために使用される、本発明によるオフラインサンプルシステムの態様の1例を提示するものである。図2に示されるもののような一部の態様では、システム10は通気エンクロージャ内に収容され、周囲温度にある。ガス原料流25は、貯蔵タンク、加圧ガスボンベ、トランスフィルライン、ガス分配ライン、又は他の手段(図示せず)などの供給源20から供給することができる。供給源20は容量が大きくても小さくてもよい。供給源20からガスの少なくとも一部を取り出してガス原料流25とし、これをサンプリングシステム10を通して供給する。ガス原料流25は一般に、例えば供給源の容量、ガス原料流25の種類、含まれるガスが超臨界状態にあるかどうかなどにより、4psia〜10,000psig、又は0psig〜3,000psig、又は100psig〜1,600psigの範囲の圧力でシステム10に導入される。システム10は更に、システム10と流体連通していて不活性ガスパージ及びその他の手段に利用される不活性ガス源30を含む。不活性ガス浄化器35が不活性ガス源30と流体連絡しており、そのようなパージ/フラッシュ操作用に浄化した不活性ガスを提供する。
【0024】
ガス原料流25がシランを含む態様では、不活性ガスパージ及びそれに続く1以上の排気サイクルを、ガス原料流の導入より前に実施すべきである。やはり図2を参照すると、不活性ガスパージは弁V9及びV19を閉じ弁V7及びV8を開くことにより実施される。ガス原料流25の分析後、不活性ガスパージを同様な方法で行い、残存シランをシステムから除去することができる。排気サイクルは、弁V8、V9及びV19を閉じ、弁V7を開くことにより実施される。
【0025】
図2に示される態様は、粒子計数器50及び/又はメンブレンタイプのフィルタなどの粒子捕捉フィルタ60を使用し、ガス原料流中の粒子を測定及び検出する。粒子計数器50は、複数の圧力調整器を通してガス原料源に接続することができる。これらの機器を通る流れは、流量制御弁及び質量流量計により調節される。一部の態様では、システムは大気圧付近の圧力で運転する。これらの態様では、供給源20と粒子計数器50の間で、流入するガス原料流25の減圧が必要な場合がある。図2に示されるシステムでは、減圧は直列に配置された2つの圧力調節器52及び54を使って2段階で実施される。このような多段階の減圧は、減圧過程の間に起こりがちな粒子の発散とガスの凝縮を最小限にする。本発明の他の態様では、一段階の減圧を利用してもよい。他の態様では、粒子計数器50に進むガス原料流25は、その圧力が十分に低いので減圧しなくてもよい。
【0026】
本発明の他の好ましい態様では、粒子計数器50は耐圧性であり、あるいは耐圧格納容器(図2には図示せず)に入れられる。計器又は格納容器がガス源20の全圧に耐えられる場合、試料流の減圧は必要ない。この態様において、圧力調節器52及び54は、ガス流の浮遊粒子含量の正確な測定値を得るのに必要とはされない。
【0027】
システム10に使用するのに好適な粒子計数器50の例は、コロラド州BoulderのParticle Measuring Systems(PMS),Inc.により製造されている。PMS Inc.のモデルMicro LPC−HSは、633nmのHeNeレーザーを用い80nmで80%を超える計数効率で、50nm程度の小さな相当光散乱径を有する粒子を検出できる。この計器は、毎分0.1スタンダード立方フィート(SCFM)又は毎分2.8スタンダードリットル(SLPM)の試料流量を必要とする。Micro LPC−HSは、2/ft3未満又は0.2/分未満のゼロカウントレベルを有し、80,000/ft3までの粒子濃度を測定できる。この計器は、閾値が50、100、150、200、300、500、700及び1,000ナノメートル(nm)の、8サイズのチャンネルを有する。サンプリング間隔は、1秒から100時間までの範囲で設定できる。
【0028】
一部の好ましい態様では、粒子計数器50は光学式粒子計数器(OPC)であり、これは自動リアルタイムの粒子計数を可能にし、例えばシランと残存水分及び酸素との反応により発生する擬似カウントの即座のリアルタイムの検出を可能にする。これらの反応は、サンプリングプロセス始動の際のサンプリングシステムの不十分なパージ/乾燥に帰因して起こることがある。この場合、OPCのリアルタイム計数能力を利用して、システムの定常状態粒子レベルに到達後はそのような混乱状態を退けることができる。
【0029】
使用しないときには、粒子計数器50は、弁V1とV2を閉じることによりシステムから隔離できる。これにより、そうでなければシステムに入ることがある汚染物質から粒子計数器50を離しておくことができる。
【0030】
本発明の好ましい態様では、粒子計数器50を捕捉フィルタ60と組み合わせて、そのような擬似カウントをシステムから除去する時を確認する手段を提供する。本発明のそのような態様では、ガス原料流を、同時に又は逐次的に、測定のため粒子計数器50及び捕捉フィルタ60へ導くことができる。例えば、ガス原料流25をまず粒子計数器50へ導くことができ、次いでガス原料流25の一部を捕捉フィルタ60へ導いて、粒子計数器50により観察された結果を確認し、そして下記でより詳細に説明するように粒子の特性を更に調べることができる。これらの態様では、隔離されている捕捉フィルタはそのときにのみ流入するガス原料流25にさらされる。
【0031】
粒子捕捉フィルタ60は、粒子計数器50に対してサンプリングシステムの平行な脚部に位置することが好ましい。粒子捕捉フィルタ60は、減圧をしてもしなくても運転でき、そしてガス原料流25はシステムの全圧又は低下させた圧力で粒子捕捉フィルタ60を通って流れることができる。この直接サンプリング法は、減圧装置の「シェディング」及び不純物の核形成に起因する擬似粒子カウントの可能性を最小限にする。捕捉フィルタ60はまた、限定はされないが走査型電子顕微鏡法(SEM)、エネルギー分散型X線分光法(EDS)、光学顕微鏡及びその他の手段などの種々の分析機器で、捕捉された汚染物質粒子を調査することも可能にする。この技術は、粒子の形態及び組成に関して追加情報を与える。そのような情報は、システム内の粒子源の特定と排除に役立つ。
【0032】
本発明の好ましい態様では、捕捉フィルタ60は、捕捉フィルタ60をシステムから取り外すのを可能にする2つの継手71、72を有する。捕捉フィルタ60は、弁V3、V4、V17及びV18が閉じれば継手71、72で容易に取り外すことができる。
【0033】
システム10から取り外したならば、捕捉フィルタ60に集められた粒子を以下の方法を利用して分析することができる。最初に、捕捉フィルタ60の表面のバックグラウンド汚染物質(すなわち、ガス原料流25への暴露前に捕捉フィルタ60の表面に存在していることがある汚染物質)を、試料汚染物質から分離することが好ましい。バックグラウンド汚染物質は、典型的には、フィルタの製造と取扱いの過程で発生する。この点で、粒子捕捉法でもってフィルタ60のバックグラウンド汚染物質の表面密度を測定し補償しなければならない。顕微鏡法を利用して、未暴露のフィルタ上のバックグラウンド粒子の数を測定する。これは、フィルタ表面の一部のみを調査することにより行うことができる。フィルタの表面積の一部、ABを検査し、その領域のバックグラウンド粒子の数、NBを得る。試料ガス又は超臨界流体への暴露後、表面積の一部、APを調査し、その領域のバックグラウンド粒子及び捕捉粒子の総数、NPを測定する。次いで、暴露されたフィルタの全表面の捕捉粒子の総数Nを、
N=A(NP/AP−NB/AB
として得る。上式において、Aはフィルタの全表面積である。Vが暴露されたフィルタを通過した試料ガス又は超臨界流体の体積であるとすれば、試料の単位体積当たりの粒子濃度Cは次のとおりとなる。
C=N/V
【0034】
サンプリングシステム10は、粒子フィルタ60の両側のサイクル/パージを可能にし、且つフィルタ60周辺の流れの初期化を可能にするためのバイパス管路40も有する。バイパス管路40は弁V5を含み、解放時に、例えばターボ分子真空ポンプなどの下流の真空ポンプ70により、不活性ガス源30からの不活性ガスによるサンプリングシステム10のサイクルパージを可能にする。真空ポンプ70は、弁60が開けば、流動管路130を通じてシステム10と流体連通する。
【0035】
本発明の一部の態様では、真空ポンプ70を用いて低圧の供給源から試料流体を抜き出す。試料流体は、粒子計数器50又は捕捉フィルタ60を通過してから真空ポンプ70を通過し、次いで排出制御システム80に入る。排出制御システム80と、1つ以上のバーナー90は、例えば、ガス再生利用システム、燃焼システム、排気システム、ガス洗浄システム、吸着システム、吸収システム、又は精製及び貯蔵システムを含むことができる。このようなシステムは排気流排出制御の技術分野でよく知られている。
【0036】
本発明の一部の態様では、捕捉フィルタ60は、トラックエッチフィルタでも、あるいは多孔質アルミナフィルタでもよい。OPCとは違い、捕捉フィルタには測定可能な粒子濃度の上限がない。ポリカーボネートのトラックエッチフィルタメンブレンは、15nm程度の小さい細孔径で入手可能である。アルミナフィルタメンブレンは、20nm程度の小さい細孔径で入手可能である。アルミナフィルタの細孔密度が高くなると、高流量での流動抵抗が最小限になる。高流量は、最低限の時間で大量のガスをサンプリングするのに有益である。粒子捕捉フィルタ60は、例えばマサチューセッツ州BedfordのMillipore Corporation製のモデル番号xx4502500の25mmのステンレス鋼フィルタハウジングなどの、耐圧フィルタハウジング内に収容することができる。このフィルタハウジングはフィルタメンブレンを収納し、それは例えばテフロン(登録商標)のO−リングなどの種々のエラストマー材料によりシールすることができる。このフィルタメンブレンは、例えば、シランを含めた種々の高圧ガス中の粒子の捕捉に、使用することができる。ガス原料流中の粒子は、フィルタに捕捉後、限定はされないが光学顕微鏡法、SEM及びEDSなどの種々の技術を利用して、分析することができる。
【0037】
本発明の好ましい態様では、粒子捕捉フィルタ60は、例えばテフロン(登録商標)の微孔質メンブレンなどの、耐薬品性フィルタ媒体でよい。そのようなメンブレンは、その粗い表面構造のため、EDS又は顕微鏡を用いる粒子の調査には適さない。しかし、そのようなフィルタに捕捉された粒子は、種々の酸又は溶媒への温浸又は溶解により、組成及び捕捉された総質量に関して分析することができる。この場合、酸又は溶媒は液体クロマトグラフィを含めた様々な公知の手段により分析される。
【0038】
サンプリングシステム10は、直ぐに操作するために、且つ選択されるどのようなガス原料源にも接続するために、設計される。このシステムは、定期的なボンベの認証試験、シラン分配システムの逐次的な粒子調査試験、又はガストランスフィルシステム又はガス分配システムの連続警戒監視に使用することができる。
【0039】
システム10に入ってくるガス原料流25の圧力は、典型的には、例えばダイヤフラムタイプの圧力計などの圧力計を使用して測定される。図2に示したシステムでは、試料原料ガスを現場のバーナーシステムすなわち90に送る。しかし、原料ガス流25の種類によっては、試料原料ガスは排気してもよく、再生利用してもよく、あるいは排出制御システム80又は吸着剤、吸収剤、ガス洗浄器、浄化器及び貯蔵システム(図示せず)に送ってもよく、又はメインのガス原料供給源(図示せず)に再循環して戻してもよい。
【0040】
流量制御装置120は一般に、試験中に粒子計数器又は粒子捕捉フィルタを通る試料ガスの流量を制御及び監視するために用いられる。流量制御装置120は、手動操作の流量制御弁と、例えば質量流量計などの流量計とを含んでもよく、あるいは流量制御装置120は、例えば質量流量制御装置などの自動式の流量制御装置を含んでもよい。流量制御装置120から下流の試料ガスは、真空ポンプ70とも流体連通する流動管路140を通して排気することができる。
【0041】
本発明の好ましい態様では、システムを使用していないときにその清浄な内部を空気作動の弁で隔離することができる。各試料採取の作業前に、サイクルパージとサンプリングの手順をプロセスロジックコントローラ(PLC)(図示せず)を用いて自動的に行うことができる。PLCは、圧力伝送器とヒートトレース温度制御器からの入力を受け取って、真空圧力サイクルが運転の間規定の範囲内にあるようにする。一部の態様では、ヒートトレースされた管路をサイクルパージの間100℃に保持する。システムは50Torr未満に排気され、サイクルパージの間に少なくとも150回大気圧に戻される。
【0042】
システムは、サイクルパージの前には大気ガスを排除するため、サンプリング後は残存ガスを除去するため、浄化した不活性ガスでフラッシュ洗浄される。サンプリングするガスの種類により、フラッシュ洗浄サイクルはこれらのガスを、例えば試料ガスがシランを含む場合などに、再生利用システム、バーナー、又はガス洗浄容器に送ることができる。その他の態様では、フラッシュ洗浄サイクルはガスを大気へ排気することができる。サンプリング手順の前後には、システムをガス原料源に接続したままパージ操作を行う。不活性ガスでのフラッシュ洗浄操作の間は、試料源の弁は閉じている。サンプリングされるガスがシランを含む態様では、このパージガスはシランバーナー、再生利用システム、又はガス洗浄器に送られる。不活性フラッシュ洗浄プロセスを利用して、システムがシラン源と接続していない間、シラン源との接続継手をパージしてもよい。このパージの目的は、汚染物質が開放のサンプリングシステムに入るのを防止することである。不活性ガスは、シラン入口管路から大気へ発散する。
【0043】
図2に示されるような、本発明の好ましい態様では、システム中の痕跡水分を最小限にするためヒートトレースを含むべきである。これらの態様では、粒子計数器及び捕捉フィルタの上流にある全てのシステム構成要素をヒートトレースするのが好ましい(図2の太線を参照)。ヒートトレースは、例えばシステム配管、弁、フィルタハウジング、圧力調節器及びその他の構成要素の外表面に取り付けることができる、電気抵抗発熱体を含む。このヒートトレースは、温度表示器及び温度制御装置、例えばプロセスコントローラ又はサーモスタットなどに温度フィードバックを供給するため、例えば熱電対などの温度検出装置を含む。温度制御装置は、システム内で設定温度を維持するように発熱体への電力を調節するよう設計された電気回路を含む。このような加熱により、システムの内部表面から微量の吸着水分を迅速に除去し、そして試験プロセス後に微量の残存試料流体をシステムから除去するのを可能にする。一部の態様において、システム10は、管路中の残存水分を検出することができる水分分析器100を利用してもよく、そして例えば、ガス原料流中の水分レベルが所望のレベルを外れた場合に種々の弁を作動させることができる。この態様及びその他の態様において、システム10は、ガス原料流中の酸素の存在を検出するのに水分分析器と同じようにして働く酸素検出器を使用してもよい。
【0044】
本発明の別の好ましい態様では、ここに記載の方法及びシステムを利用して、より高圧のガス原料流から1以上の浄化装置を使用して微量の不純物を除去して浄化ガス原料流とし、この浄化ガス原料流の圧力を下げて、結果として粒子を生成することなしに、より低圧のガス原料流にしてもよい。ここで使用する「より低圧のガス原料流」という用語は、自動圧力調節器、弁、流量制限オリフィスなどであるがこれらに限定されない減圧装置を通過した浄化ガス原料流を指すものである。最初のガス原料流の圧力は、浄化後に粒子測定に利用できる機器と適合性のあるレベルに下げられる。例えば、本発明の一態様においては、ガス原料流は、150〜10,000psigの範囲の初期圧力にあることができる。次いで、減圧装置が浄化ガス原料流の圧力を0〜150psigの範囲の圧力に下げる。ここに記載の圧力範囲は、ガス原料流の初期圧力、使用される減圧装置の種類、粒子測定装置、及び/又は他の変数に応じて様々であることができる。
【0045】
ここで使用する「浄化ガス原料流」という用語は、1以上の浄化装置を通過してそれに含まれる種々の不純物を除去したガス原料流を指すものである。記載されるシステム及び方法は、減圧装置に起因することがあるガス原料流の粒子含量の増加などの、悪影響を及ぼさない。一部の態様では、浄化ガス原料流の粒子含量は、浄化装置を通過する前のガス原料流の粒子含量と実質的に同じである。
【0046】
ここでの「不純物」という用語は、ガス原料流の組成に応じ、初期のガス原料流中に存在するシロキサン、炭化水素、水分及び他の汚染物質などであるがこれらに限定されない少量の汚染物質を指すものである。一部の態様においては、ガス原料流中に存在する不純物は、シランガス原料流中のシロキサン、あるいは窒素及び/又はシランガス原料流中の炭化水素である。ここで使用する浄化装置は、ガスの化学組成に悪影響を与えずに、ガス原料流中に含まれる不純物(例えば、約5体積%以下、又は1体積%以下、又は0.01体積%以下)を実質的に全て除去する装置である。一部の態様において、浄化装置は、ガスの粒子含量に実質的に影響を与えず、あるいは粒子を浄化ガス原料流から実質的に除去したりそれに加えたりしない。これらの態様において、浄化ガス原料流の粒子含量は、初期のガス原料流の粒子含量(すなわち、10%以内、又は5%以内、又は1%以内の粒子量)と実施的に同じである。次いで、浄化ガス原料流は減圧装置を通過し、より低圧のガス原料流を提供する。次いで、このより低圧のガス原料流は粒子計数器に送られる。
【0047】
次に図3を参照すると、本発明のシステムのもう一つの好ましい態様が示されている。図3のシステムは図2のシステムと同様であるが(同様の番号は同様の構成要素を表している)、但し、図3のシステムは、例えばガス原料流25中の分子状不純物などの、不純物を除去するための浄化装置700を含む。ここに記載のシステム及び方法とともに使用される浄化装置700は、例えば、拡散デニューダでも、コールドトラップでも、それらの両方でもよい。拡散デニューダは、下流の減圧装置と組み合わせて高圧で運転される特殊プロセスガスの浄化手段として従来技術では使用されておらず、及び/又はガス膨張過程で微量の分子状不純物の核形成を防止するのに使用されていない。同様に、コールドトラップは流動する流れから不純物を除去する手段としてガス技術の分野で周知ではあるが、コールドトラップすることは、減圧前に加圧流から不純物を除去する手段としても、減圧の際の粒子の形成を防止する手段としても、一般に応用されてこなかった。
【0048】
本発明の1つの好ましい態様において、浄化装置700は、例えば、図4(A)、4(B)及び4(C)にそれぞれ示されている減圧装置52の上流に配置されたセントラルデニューダ710、環状デニューダ720及びフィンデニューダ730などのような、拡散タイプのデニューダ装置である。この場合、一部の態様では、より低圧のガス原料流25bを利用して、図2及び3のより低圧の粒子計数装置50のための試料流を提供することができる。
【0049】
ここで「拡散デニューダ」と称する拡散タイプのデニューダ装置は、不純物及び粒子検出の技術分野ではよく知られている。そのような装置は一般に、大気のサンプリング又は空気中の粒子の含量を変えることなく分子状不純物を除去することが必要な他の用途に使用される。それらは、後の分析のため空気試料から微量の分子状不純物を表面上に集めるための手段としても利用される。そのような装置は、典型的には大気圧及び大気温度の条件下で使用するように設計され、99%を超える空気中不純物を除去することが示されている。拡散デニューダは、分子状不純物の比較的高い拡散速度を利用して、浮遊粒子含量に有意の影響を与えることなくガス原料流からそれらを除去する管状流動装置である。典型的な粒子は、ガス原料流中で典型的な分子よりもはるかに遅い拡散速度を有する。これは主に、粒子の大きさが分子よりも大幅に大きいことによる。例えば、0.02マイクロメートルの粒子は、N2中でわずか0.019cm2/秒の拡散係数を持つ(より大きな粒子は、ガス中での可動性の低さにより更に小さい拡散係数を有する)。対照的に、分子状不純物の典型的な拡散係数はより大きい値である。例えば、水の空気中での拡散係数は0.22cm2/秒である。従って、浮遊粒子は流動するガスについて行く傾向があるが、その一方分子状不純物はより容易に表面へと拡散する傾向がある。
【0050】
本発明の好ましい態様では、浄化装置700は、ガス原料流から分子状不純物を実質的に全て除去するが、それに含まれる粒子は実質的に除去しない拡散デニューダである。減圧前のガス原料流中の粒子の除去速度をもたらすのに用いられる変数としては、ガスの流量、デニューダの長さ、及び装置の水力半径が挙げられる。拡散デニューダでは、ガス原料流中の不純物は、化学反応性表面、スクリーンタイプ又は多孔質のバリアの背後に収容された吸収剤又は他の浄化媒体に曝される。バリアは、粒状又はペレット状浄化媒体を物理的に収容するように、且つ媒体床を直接ガスが流れるのを防ぐように設計される。従って、不純物は浄化媒体中にとどまる一方で、残りのガス原料流は浄化原料ガスとして通過する。空気から水分不純物を除去するために使用される拡散デニューダの1つの特定の例では、拡散デニューダ内の浄化媒体は、空気を含むガス原料流を囲み管状ステンレス鋼のスクリーンで空気から分離される、Drierite(商標)などの乾燥用物質からなる。水分は空気からスクリーンを通って周囲のDrierite(商標)へと拡散し、そして除去される。空気を含むガス原料流からアンモニア不純物を除去するための従来のデニューダの更に別の例では、浄化装置は、粒子含量に影響を与えずにガス原料流からNH3不純物を吸収するシュウ酸で内部をコーティングされるガラスの流動管である。
【0051】
本発明の好ましい態様では、デニューダなどの浄化装置内の浄化媒体は、活性炭、乾燥剤(例えばDrierite(商標))、フェノール樹脂(例えばAmbersorb(商標))、ニッケル触媒、銅触媒など種々の公知の吸着剤、吸収剤又は触媒物質からなることができ、それらは除去すべき不純物の種類及び/又はガス原料流組成に応じて選択される。ここに記載のシステムの1つの例では、Ambersorb(商標)ペレットからなる浄化媒体を、両端が閉じていてその周囲をガス原料流が流れるステンレス鋼のスクリーン管からなるパケットに収容する。例えば、図4(A)(同様の番号は図2及び3との関連で同様の構成要素を示す)に示す態様では、粒子430を含有する、圧力1400psigのSiH4を含むものなどのガス原料流25が、例えば、減圧器52を通過する前にセントラルデニューダ710を通過する。この特定の態様では、セントラルデニューダ710は、例えば、初期のSiH4ガス原料流からシロキサン及び微量の炭化水素などの不純物を除去する一方で、加圧貯蔵容器(図示せず)に由来する現実の粒子を妨げることなく通過させることができる。セントラルデニューダ710は、例えば、直径1/4インチの管状スクリーンを含んでもよく、あるいは数個のそのような管状スクリーンを直径1/2インチの加圧ガス管内に長手方向に直列に配列したものを含んでもよい。SiH4ガス原料流の圧力は、高純度自動圧力制御器(図示せず)を使用して低下させて、例えば80psigなどのより低圧のガス原料流25bにすることができる。その後、粒子430を含むSiH4のより低圧のガス原料流25bは、通常の低圧粒子計数機器(図示せず)へと流れることができる。
【0052】
本発明の別の好ましい態様では、例えば環状デニューダ720などのような、粒状活性炭からなる浄化媒体は、初期のガス原料流がそれを通って流れるステンレス鋼の管状スクリーンからなるバリアを含む。例えば、1つの特定の態様において、圧力2000psigで窒素を含む初期ガス原料流25が、図4(B)に示すとおり、環状デニューダ720を通過してから減圧器52を通過することができる。この態様において、環状デニューダ720は、初期のN2ガス原料流から水分及び微量の炭化水素など問題となる不純物を除去する一方で、加圧貯蔵容器20に由来する現実の粒子を妨げずに通過させる。1つの特定の態様において、環状デニューダ720は、直径1/4インチの管状スクリーンを含んでもよく、あるいは数個のそのような管状スクリーンを直径1/2インチの加圧ガス管内に長手方向に直列に配列したものを含んでもよい。次いで、浄化したN2ガス原料流の圧力を、例えば流動制限オリフィスなどの減圧装置52を用いて0psigに下げることができる。その後、粒子430を含むより低圧のガス原料流25bは、通常の低圧粒子計数機器(図示せず)へと流れることができる。
【0053】
多孔質バリアの背後に収容される浄化媒体を含み、且つ好適な減圧装置の上流に位置する他の同様の配置構成を、ここに記載のシステム及び方法とともに利用することができる。そのような配置構成は、例えば、スクリーンタイプ又は多孔質バリア中に収容された浄化媒体から構成され、減圧装置の上流のガス管路中に挿入されたフラットパケットからなることができる。
【0054】
更にもう一つの態様においては、浄化装置は、図4(B)に示す環状デニューダ720などの、ガス原料流25への暴露のための手段を提供するため、加圧ガス管路の内側の露出表面に固定された粒状又はペレット状浄化媒体を含む。この媒体は、好適な接着材料を利用して固定される。この態様では、媒体をガス原料流から隔離するのにバリアは必要ない。更に別の態様の例を図4(C)に示し、この場合には浄化装置はフィンデニューダ730であって、浄化媒体はガス管路の内壁に固定され、あるいは他の内部表面、例えば平らなフィン、シャッター、容器などに固定されて、不純物除去のために大きな表面積を提供する一方で、正確な粒子測定を確実にするため、含まれるガスに同伴される粒子430の減圧前の移送を妨げない。
【0055】
一部の態様では、ここに記載のシステム及び方法は、浄化媒体の交換又は再生を考慮に入れることができる。再生は、高温での高純度不活性再生ガスへの暴露などの、とは言えこれに限定はされない、ガス精製の技術分野で公知の方法を利用して行うことが可能である。交換は、デニューダ材料の取り外し又はガス管路からのセントラルデニューダ装置全体の取り外しにより実施される。
【0056】
更に別の態様において、浄化装置は、流れの粒子含量に影響を与えずに減圧前に不純物を除去するために、より高い凝縮点/凝固点の不純物の極低温コールドトラップを含んでもよい。
【0057】
図2及び3を参照すると、システム10は、例えば、粒子計数器50、PLC又は他のシステム構成要素と電気通信するコンピュータ110を利用してもよい。コンピュータ110は、ガス原料流の特定のパラメータ(すなわち、粒子濃度、圧力、温度、水分含量、酸素含量など)に基づき、システム内の特定の弁を操作してシステムを自動化することができる。好ましい態様では、システム10は、ガス原料流中の粒子状物質の量を測定するセンサー(図示せず)と、このセンサーが設定点を超える量の粒子状物質を測定するとセンサーが試料流の入口弁の閉止を指示するようにセンサーと電気通信する制御装置(図示せず)を利用することができる。
【0058】
本発明によりガス原料流中の粒子含量を測定する好ましい方法は、ガス原料流の少なくとも一部を浄化装置を通過させて浄化ガス原料流にする工程であって、当該浄化装置が浄化ガス原料流中に含まれる粒子を実質的に除去せず、当該ガス原料流が第1の圧力にある工程を含む。次に、例えば、当該浄化ガス原料流の一部を減圧装置に導いて、浄化ガス原料流の当該一部の圧力を第1の圧力より低い圧力に下げることができる。次に、第1の圧力より低い圧力にある浄化ガス原料流の当該一部を粒子計数器に送り、また当該浄化ガス原料流の別の一部を粒子捕捉フィルタに送ることにより、浄化ガス原料流中に含まれる粒子含量を測定し、当該粒子捕捉フィルタは当該粒子計数器と並列に配置される。
【0059】
本発明のこのほかの目的、利点及び新規な特徴は、以下の例を考察することにより当業者に明らかになるであろうが、これらの例は限定しようとするものではない。
【実施例】
【0060】
〔例1〕
図2及び3に示すタイプの粒子計数システムを種々の圧縮ガスボンベに接続した。このシステムでは、耐圧性且つ耐食性の粒子計数器(Particle Measuring Systems(PMS),Inc.のCylinder Gas System(CGS) M100型)を用いた。従って、計器の上流で試料圧力を低下させる必要はなかった。この計器は、ガス試料流中に浮遊している大きさが0.16マイクロメートルほどの小さい粒子を測定する。試料ガスを各ボンベから実流量19cm3/分で抜き出して、計器を通過させた。これらの試験では粒子捕捉フィルタは使用しなかった。計器の上流で試料ガスのろ過は行わなかった。典型的には50℃への試料管路のヒートトレースを使用して、凝縮性ガス中の液滴形成を最小限にし、そして試料管路配管中の低水分含量を維持した。計器の下流で、試料ガスの減圧、流量制御、排除(abatement)と排気を行った。サンプリングシステムの圧力サイクル運転と加熱を行い、サンプリング前に大気汚染物質を除去した。圧力サイクル運転後に、少なくとも57スタンダードリットル(2スタンダードft3)のガスを各試験ボンベからサンプリングした。試験結果を表1に示す。
【0061】
各事例の低粒子濃度は、本発明を使用すれば、外部汚染物質、液滴形成又は他の不正確さの要因による測定上の妨害がないことを明らかにしている。
【0062】
【表1】

【0063】
〔例2〕
本特許出願において記載されたタイプの粒子計数システムを圧縮SiH4(シラン)ガスボンベに接続した。計器又は粒子捕捉フィルタの上流では、試料ガスのろ過を行わなかった。典型的には50℃への試料管路のヒートトレースを使用して、試料管路配管中の低水分含量を維持した。試料ガスの流量制御及び排除は、粒子計数器及び粒子捕捉フィルタの下流で行った。サンプリングシステムの圧力サイクル運転と加熱を行い、サンプリング前に大気汚染物質を除去した。
【0064】
このシステムでは、耐圧性粒子計数器(コロラド州BoulderのParticle Measuring Systems(PMS),Inc.のCylinder Gas System(CGS) M100型)を用いた。従って、計器の上流で試料圧力を低下させる必要はなかった。この計器は、ガス試料流中に浮遊している大きさが0.16マイクロメートルほどの小さい粒子を測定する。試料ガスを776psigのSiH4ボンベから19cm3/分の実流量で抜き出し、計器を通過させた。このガスではスタンダードリットル当たりわずか0.047の粒子濃度が測定された。この低い粒子濃度は、本発明を使用すれば、試験システムに外部汚染物質、粒子の形成又は他の不正確さの要因による妨害がないことを明らかにしている。
【0065】
耐圧性且つ耐食性の粒子捕捉フィルタアセンブリもこの試験システムで使用した。捕捉フィルタは、0.1マイクロメートルの細孔を有する直径3.8cmのWhatmanポリカーボネートトラックエッチメンブレンからなっていた。試料のSiH4は、ボンベからおよそ1スタンダードリットル/分で流れた。サンプリングはおよそ362分間続行した。従って、合計容量がおよそ362スタンダードリットルのSiH4の試料が粒子捕捉フィルタを通過した。
【0066】
次いで、粒子捕捉フィルタを、倍率5万倍でフィールドエミッションSEM(FESEM)により調べた。このSEMでの調査は、フィルタ全域のラスターパターンにおいて観察点を手動で進めて行った。合計で901箇所をフィルタ表面上で調査した。全観察面積は露出されたフィルタ表面のおよそ0.0015%に相当した。エネルギー分散型X線分光法(EDS)を利用して、観察された表面粒子のうち4つの組成を測定した。表面粒子の1つのSEM顕微鏡写真及びEDSスペクトルを図5に示す。このデータは、表面粒子の原因がSEM及びEDS観察で調べる前の捕捉フィルタの白金金属コーティングであったことを示している。この調査で他の粒子タイプは見られなかった。
【0067】
これらの試験は、本発明を利用して反応性試料ガスに暴露された表面上の粒子の組成を得ることができ、また粒子の源を決定できることを示している。EDSデータはまた、SiH4試料流中の本来の粒子含量がほとんどないことを示す粒子計数器の観察を補強している。
【0068】
好ましい態様の上記の例及び記載は、特許請求の範囲により定義される本発明を限定するのではなく、説明するものであると理解されたい。容易に理解されることであるが、上述の特徴の多くの変形及び組み合わせを、特許請求の範囲に記載した本発明から逸脱せずに利用することができる。そのような変形は、本発明の精神及び範囲からの逸脱とは見なされず、そのような変形は全て特許請求の範囲の記載の範囲内に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】減圧装置を通る典型的なガス原料流を説明する図である。
【図2】オフライン試料システムとしてここで説明する本発明の1つの態様によるシステムの模式図である。
【図3】オフライン試料システムとしてここで説明する本発明の別の態様によるシステムの模式図である。
【図4】本発明の一側面のいくつかの態様を説明する図である。
【図5】本発明のシステムにより捕捉された粒子のSEM顕微鏡写真及びEDSスペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス原料流中の粒子を測定及び/又は分析するためのシステムであって、
粒子計数器、及び
粒子捕捉フィルタ、
を含み、当該粒子捕捉フィルタが当該粒子計数器と並列に配置されているガス原料流中粒子の測定及び/又は分析システム。
【請求項2】
浄化したガス原料流を提供するための浄化装置を更に含み、当該浄化装置は当該浄化したガス原料流中に含まれる粒子を実質的に除去しない、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記浄化装置が拡散デニューダ、コールドトラップ、又は両方を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
少なくとも前記粒子計数器と電気通信するマイクロプロセッサを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
真空ポンプを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
温度センサー、加熱源、並びに当該温度センサー及び当該制御装置と電気通信する制御装置を含む試料管路ヒートトレースシステムを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
水分分析器を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
排出制御装置を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの不活性ガス入口システムを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ガス原料流中の粒子状物質の量を測定するセンサーと、当該センサーが設定点を超える量の粒子状物質を測定すると当該センサーが試料流の入口弁を閉じるよう指示を出すように当該センサーと電気通信する制御装置とを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
より低圧のガス原料流中の粒子含量を測定するためのシステムであって、
ガス原料流中の不純物を除去し浄化したガス原料流を提供するための浄化装置、
当該浄化装置と流体連通している減圧装置であって、当該浄化ガス原料流が当該減圧装置を通過してより低圧のガス原料流を提供する減圧装置、
当該より低圧のガス原料流中の粒子含量を測定する粒子計数器、及び
当該粒子計数器と並列に配置されている粒子捕捉フィルタ、
を含むより低圧のガス原料流中粒子含量の測定システム。
【請求項12】
前記浄化装置が拡散デニューダ、コールドトラップ、又は両方を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
少なくとも前記粒子計数器と電気通信するマイクロプロセッサを更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
真空ポンプを更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
温度センサー、加熱源、並びに当該温度センサー及び当該制御装置と電気通信する制御装置を含む試料管路ヒートトレースシステムを更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
水分分析器を更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
排出制御装置を更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
少なくとも1つの不活性ガス入口システムを更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記ガス原料流中の粒子状物質の量を測定するセンサーと、当該センサーが設定点を超える量の粒子状物質を測定すると当該センサーが試料流の入口弁を閉じるよう指示を出すように当該センサーと電気通信する制御装置とを更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
ガス原料流中の粒子を測定及び/又は分析するためのシステムであって、
粒子計数器、
当該粒子計数器と並列に配置され粒子捕捉フィルタ、
少なくとも当該粒子計数器と電気通信するマイクロプロセッサ、
真空ポンプ、
水分分析器、
排出制御装置、
少なくとも1つの不活性ガス入口システム、及び
温度センサー、加熱源、並びに当該温度センサー及び当該制御装置と電気通信する制御装置を含む試料管路ヒートトレースシステム、
を含むガス原料流中粒子の測定及び/又は分析システム。
【請求項21】
前記ガス原料流中の粒子状物質の量を測定するセンサーと、当該センサーが設定点を超える量の粒子状物質を測定すると当該センサーが試料流の入口弁を閉じるよう指示を出す、当該センサーと電気通信する制御装置とを更に含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
浄化したガス原料流を提供するための浄化装置を更に含み、当該浄化装置は当該浄化したガス原料流中に含まれる粒子を実質的に除去しない、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記浄化装置が拡散デニューダ、コールドトラップ、又は両方を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
ガス原料流中の粒子含量を測定するための方法であって、
第1の圧力にあるガス原料流の少なくとも一部を浄化装置を通過させて浄化ガス原料流を提供する工程であって、当該浄化装置は当該浄化ガス原料流中に含まれる粒子を実質的に除去しない工程、
当該浄化ガス原料流の一部を減圧装置へ導いて浄化ガス原料流の当該一部の圧力を当該第1の圧力より低い圧力に低下させる工程、及び
当該浄化ガス原料流中に含まれる粒子含量を、当該第1の圧力より低い圧力にある浄化ガス原料流の当該一部を粒子計数器に送り、そして当該浄化ガス原料流の別の部分を、当該粒子計数器と並列に配置した粒子捕捉フィルタに送ることにより測定する工程、
を含むガス原料流中粒子含量の測定方法。
【請求項25】
前記測定工程が、前記第1の圧力より低い圧力にある浄化ガス原料流の前記一部を粒子計数器に送り、同時に前記浄化ガス原料流の前記別の部分を粒子捕捉フィルタに送る工程を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記浄化装置が拡散デニューダ、コールドトラップ、又は両方を含む、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−215035(P2006−215035A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−27362(P2006−27362)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】