説明

ガス液化燃料転換用のプラズマリアクタ

非熱的な繰り返しパルス化滑り放電リアクタは、パルス化高電圧電位を供給するように構成される高電圧電源と、ガスの流入口と、液体吸収剤の流入口と、生成物の流出口と、高電圧電源に接続される複数の第1電極と、接地される複数の第2電極と、トラフと、を含み、複数の第1電極は複数の第2電極から放電領域によって分離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して燃料の生産に関する。より具体的には、炭化水素ガスの液体炭化水素への変換に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、採取、精製および/または輸送の効率的な実施が不可能であるために、年間30億〜120億ドルの天然ガスが排出されてフレアに失われていると推定されている。天然ガスの採取、精製および/または輸送に関する方法は知られているが、それらは、面倒であると共に、遠隔地または沖合の天然ガス埋蔵地点においては容易に実施し得ないような傾向がある。
【0003】
天然ガスは種々の既知の方法によって液体燃料に転換されることができる。このような方法には、例えば、フィッシャー・トロプシュ(Fischer-Tropsch)法、およびモービル(Mobil)法、並びにプラズマアシストガス液化(gas-to-liquid:GTL)技術が含まれる。フィッシャー・トロプシュ法およびモービル法は、最初に、軽質の炭化水素(すなわち炭化水素ガス)を高圧および1300Kまでの高温において合成ガスに変換する多段の合成ステップを含んでいる。合成ガスは、一酸化炭素(CO)および水素(H)の混合物である。それは、通常、炭化水素ガスを酸素欠乏燃焼させることによって形成される。次の反応がこれらの周知のプロセスの典型的な例である。
CO+H→液体炭化水素(フィッシャー・トロプシュ法)
CO+H→CHOHおよび/または他の液体炭化水素(モービル法)
【0004】
熱的な運転条件が極端であるので、合成ガス改質器は、大型の重量建造物となり、運転にも経費が掛かる。商業的に実現可能にするためには、GTLプラントは非常に大型かつ複雑なものにならざるを得ない。ガスの圧縮および加熱に高い運転エネルギー消費が必要であり、それは、このような方法によって生産される燃料の全コストの約60〜80%を占める。さらに、従来のプロセスのすべての段階に一般的に高価な改質触媒が使用され、システムからの触媒の回収が必要になる。
【0005】
軽質炭化水素の液体燃料への転換に関する別の方策は非熱的プラズマアシスト法によるものである。米国特許第7,033,551号(‘551特許)明細書は、電気化学的電池と誘電体バリア放電とを有するリアクタシステムを開示している。このリアクタシステムにおいては、液体生成物の形成は、主として、バリアガス放電の非熱的プラズマ内におけるガス状炭化水素ラジカルのオリゴマー化によって生起する。非熱的プラズマは、低いガス温度(約100℃〜約600℃)において大気圧のガス圧力の下でエネルギー電子によって生起する軽質のアルカン分子の解離によって、最初のラジカル濃度を供給する。バリア放電と連結される電気化学的電池は、プラズマ内の余剰の水素の酸化と、一次ガスの部分酸化および酸化縮合とを可能にする。最終組成物は、液体炭化水素の混合物を含み、その低含有量成分はアルコールである。
【0006】
米国特許第7,033,551号明細書に記載される方法は、バリア放電リアクタの内部において炭化水素分子に対する「ホットな」電子の作用の下で生起する解離プロセスであって、反応(1)による解離プロセスの実現に基づいている。
+RH→R・+H・+e (1)
反応(1)において、RHは炭化水素の一般式であり、eは電子である。ラジカルRおよびHは、このようなプロセスにおける高い活性化エネルギー(>400kJ/mol)において形成される。同様に高い活性化エネルギーを含む同様のプロセスを、光アシストプロセスによっても促進することができる。この場合は、‘551特許に記述されるように、紫外線(UV)放射源(hv)が必要なエネルギーを供給する。
hv+RH→R・+H・ (2)
反応(1)および(2)における大きな活性化エネルギーの必要性は、未活性化炭化水素分子のエネルギー状態によるものである。そのエネルギー状態は、その解離成分のエネルギー状態よりも遥かに低いレベルにある。電子の衝撃による各結合の破壊事象(すなわち解離)は電子状態の励起によってのみ生起し、そうする際に、著しく多量のエネルギーを消費するのである。上記の解離反応後の高炭化水素の再形成(反応(3))時に放出されるエネルギーを考慮しても、このプロセスのエネルギー消費量は、通常、最終製品1kg当たり100kWhより高くなる。
2R・→R (3)
【0007】
米国特許第6,375,832号(‘832特許)明細書は、バリア放電の作用の下での液体生成物の合成を開示しているが、この場合、触媒は使用してもしなくてもよい。‘832特許に記載される合成プロセスにおいては、炭化水素ラジカルのオリゴマーは、原料ガスの解離と、フリーラジカルの断片からの直接結合および酸化縮合による炭化水素の再形成との結果として生成される。
CH→C→C10 (4)
COが原料ガス混合物中に酸化剤として導入されると、二酸化炭素の転換も生起し、液体炭化水素の形成に寄与する。CO分解の結果として、アルコールを生成することもできる。このプロセスは反応5〜7によって要約される。
CO+e→CO+O・+e (5)
RH+O・→R・+OH (6)
R・+OH・→ROH (7)
【0008】
上記のプラズマアシスト法の制限因子は、バリア放電リアクタ内における転換プロセスの非連鎖的特性と、一次ラジカル形成プロセスの高い活性化エネルギー(>400kJ/mol)とである。その結果、液体生成物の生産に必要な比エネルギー消費量は、普通、製品1kg当たり100kWhを超える。バリア放電プラズマアシスト法の別の重要な制限は、バリア放電プラズマの低い電流(10−5〜10−6A/cm)と低い出力密度(1〜10W/cm)とである。これはリアクタシステムの能力を低下させる。さらに、上記のプラズマアシスト法は原料ガスの温度しか制御しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、パルス化高電圧電源に個別に接続される複数の第1電極と、接地される複数の第2電極と、トラフと、を含むリアクタであって、複数の第1電極が複数の第2電極から放電領域によって分離されるリアクタ内にガス状の炭化水素を導入するステップと、液体の吸収剤をトラフに導入するステップと、放電領域に非熱的な繰り返しパルス化滑り放電を発生させるステップと、液体の炭化水素組成物を生成するステップと、を含むプロセスが提供される。一実施形態によれば、リアクタ内における液体吸収剤の液位が放電領域のごく近傍に維持される。いくつかの実施形態においては、複数の第1電極のそれぞれが、パルス化高電圧電源にコンデンサを介して接続される。いくつかの実施形態においては、非熱的な繰り返しパルス化ガス放電リアクタの単一パルスの持続時間が100nsより短い。いくつかの実施形態においては、非熱的な繰り返しパルス化ガス放電リアクタの内部の電界強度が8kV/cm未満である。いくつかの実施形態においては、プラズマの比エネルギーが約0.2J/cm〜約2.5J/cmである。
【0010】
いくつかの実施形態においては、ガス状の炭化水素がC、C、CまたはCアルカンである。いくつかの実施形態においては、ガス状の炭化水素が、メタン、エタン、n−プロパン、iso−プロパン、n−ブタン、iso−ブタン、tert−ブタン、またはこれらの任意の2以上のガスの混合物である。
【0011】
いくつかの実施形態においては、ガス状の炭化水素が、CO、空気または酸素も含む。いくつかの実施形態においては、ガス状の炭化水素がCOも含む。
【0012】
いくつかの実施形態においては、リアクタが固体触媒も含む。いくつかの実施形態においては、固体触媒は、アルミナ、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、またはこれらの任意の2以上の材料の混合物である。
【0013】
いくつかの実施形態においては、液体の吸収剤が、ガソリン、ディーゼル燃料、ケロシン、液体アルカン、またはこれらの任意の2以上の材料の混合物である。
【0014】
いくつかの実施形態においては、各放電に先立つ電荷展開時間が、約10μs〜100μs、約10μs〜80μs、約20μs〜50μs、または約35μsである。いくつかの実施形態においては、単一の放電時間が約10nsの程度である。
【0015】
いくつかの実施形態においては、液体の炭化水素組成物が飽和炭化水素を含み、非熱的な繰り返しパルス化ガス放電の比エネルギーが、パルス当たり約0.5J/cm〜約2J/cmである。いくつかの実施形態においては、液体の炭化水素組成物がオレフィンを含み、非熱的な繰り返しパルス化ガス放電の比エネルギーが、パルス当たり約2J/cmである。いくつかの実施形態においては、リアクタが、ゼオライト、第IIB族、第IVB族、第VB族または第VIB族の元素の酸化物、第VIIIB族の元素、あるいはこれらの任意の2以上の材料の混合物を含む固体触媒を含む。
【0016】
いくつかの実施形態においては、液体の炭化水素組成物が炭化水素油を含み、ガス放電の比エネルギーが1個の放電パルス当たり約2J/cm〜約2.5J/cmである。いくつかのこのような実施形態においては、リアクタが、カチオン、金属酸化物、第IIA族、第IIIA族、第IVB族、第VB族または第VIIIB族の元素の錯体、あるいはこれらの任意の2以上の材料の混合物を含む固体触媒を含む。
【0017】
いくつかの実施形態においては、ガス状の炭化水素がOも含み、そのO濃度は、火炎点火限界よりも低い。
【0018】
いくつかの実施形態においては、リアクタが、第HA族、第IVA族、第IIB族、第IVB族の元素の酸化物、および第VIIIB族の元素を含む固体触媒を含む。
【0019】
別の態様において、非熱的な繰り返しパルス化滑り放電リアクタである装置が提供される。このリアクタは、パルス化高電圧電位を供給するように構成される高電圧電源と、ガスの流入口と、液体吸収剤の流入口と、生成物の流出口と、パルス化高電圧電源に個別に接続される複数の第1電極と、接地される複数の第2電極と、トラフと、を含み、複数の第1電極は複数の第2電極から放電領域によって分離される。いくつかの実施形態においては、複数の第1電極のそれぞれがパルス化高電圧電源にコンデンサを介して接続される。
【0020】
いくつかの実施形態においては、トラフが固体触媒を含む。いくつかのそのような実施形態においては、固体触媒が、アルミナ;アルミノケイ酸塩;アルミノリン酸塩;ゼオライト;金属酸化物;カチオン;第IIB族、第IVB族、第VB族または第VIB族の元素の酸化物;第VIIIB族の元素;第IIA族、第IIIA族、第IVB族、第VB族または第VIIIB族の元素の錯体、あるいはこれらの任意の2以上の材料の混合物を含む。
【0021】
いくつかの実施形態においては、高電圧パルス発生器が、100ns未満の単一パルスを供給するように構成される。いくつかの実施形態においては、リアクタが、非熱的な繰り返しパルス化ガス放電リアクタの内部において8kV/cm未満の電界強度を有するように構成される。いくつかの実施形態においては、リアクタが、約0.1〜約5J/cmの比エネルギーを有する放電を供給するように構成される。
【0022】
いくつかの実施形態においては、複数の第1電極および複数の第2電極がリアクタ本体に装着される。いくつかの実施形態においては、複数の第1電極および複数の第2電極がリアクタ本体に環状に配置されて装着される。
【0023】
いくつかの実施形態においては、トラフが、リアクタ本体内に環状または多角形の形態に形成される。いくつかの実施形態においては、トラフがポリテトラフルオロエチレンを含む。いくつかの実施形態においては、リアクタ本体が、トラフをリアクタ本体の中心部分に連結する1以上の半径方向のチャンネルも含む。
【0024】
いくつかの実施形態においては、リアクタが液体吸収剤の容器も含む。いくつかの実施形態においては、リアクタが受器も含む。
【0025】
いくつかの実施形態においては、第1および第2電極が、鉄、クロム、ニッケル、金、銀、銅、白金、イットリウム、イリジウム、パラジウム、レニウム、ルテニウム、モリブデン、タングステン、チタン、バナジウム、これらの合金、これらの酸化物、グラファイト、あるいはこれらの任意の2以上の材料の混合物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】種々の実施形態による、プラズマリアクタガス液化変換器システムおよびプロセスのフローチャート図である。
【図2】一実施形態による、リアクタのプラズマチャンバ内の電極および放電プラズマの模式的な断面図である。
【図3】一実施形態による、電極および放電プラズマの図2と直交する関係にある模式的な断面図である。
【図4】一実施形態による、環状の電極配置を有する反応チャンバの図で、カバーを取り外した状態の図である
【図5】種々の実施形態による、容器と液体の流れとの模式図である。
【図6】種々の実施形態による、ガス放電リアクタの外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の詳細説明においては、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照する。図面においては、同様の記号は、通常、文脈にそうでない旨明記されない限り、同様の構成要素を特定的に示す。発明を実施するための形態(the detailed description)、図面および請求項に記述される例示的な実施形態は、制限を意味するものではない。本明細書に提示される主題事項の本質または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することが可能であり、他の変更を加えることができる。また、本技術は、本明細書において事例によって例示されるが、それは、決して制限的なものと見做されるべきではない。
【0028】
本明細書においては、非熱的なパルス化滑り放電を用いて天然ガスから液体燃料を調製する装置およびプロセスが提供される。液体燃料は、天然ガスから、例えば反応8〜10に表現されるような、ガス分子の振動および回転励起を利用して形成される。
+RH→RH+e (8)
RH+H・→(R・)+H (9)
(R・)+RH→R+H・ (10)
ガスを振動励起および回転励起レベルに刺激するのに必要な活性化エネルギーは、反応1〜3および5〜7において述べたガスの解離の場合よりも遥かに低い。本明細書において用いる記号として、eは電子であり、RHは炭化水素の断片であり、「・」はフリーラジカル種を示し、「」は振動励起または回転励起状態を示す。反応の開始においては、RHは、天然ガスのC〜C炭化水素の断片、あるいは、初期に形成される小さいR化合物のことを指しているが、分子鎖が形成され始めると、RHは、引き続いて生じるより大きな炭化水素の断片であって、プラズマ内部に残留し、従って継続的に回転励起および振動励起される炭化水素の断片のことも指すことができることが認められるであろう。これによってさらに大きな炭化水素の断片が形成される。分子鎖の末端反応11および水素回収反応12は、炭化水素燃料形成の全体的なスキームにおける付加的な反応である。
(R・)+RH→R+H (11)
2H→H (12)
いくつかの実施形態においては、このプロセスは反応1で示すような解離反応を含むこともできる。この場合は、システムのエネルギーが、解離反応が生起し得るレベルに変化するが、このような解離反応は、全体的な反応の連鎖に低度の寄与しかもたらさない。
【0029】
反応8〜11によって示されるプロセスは、結果としてRが形成される連鎖反応機構であり、このような連鎖反応機構は、反応1および3によって表現されるバリア放電プラズマ中の短経路の解離−再形成とは異なる。さらに、反応8〜11は、バリアガス放電法の解離プロセスよりも低い活性化エネルギーで生起する。本明細書において具現化される連鎖反応機構が必要とする活性化エネルギーは、具体的な反応化学種に応じて、バリアガス放電法より、数分の1、または数桁分の1である。また、この連鎖反応機構は、ガス放電作用の全期間にわたって、プラズマ内に一定量のフリーラジカルも供給する。
【0030】
本明細書に記述する非熱的なパルス化滑り放電を発生させる装置に必要なパラメータは、バリア放電システムに必要パラメータとは大きく異なる。例えば、非熱的なパルス化滑り放電に必要な電界強度は、バリア放電のそれの約26%である。それにも拘わらず、1つの放電チャンネル内に蓄積されるエネルギーは遥かに高く約3300%である。従って、本発明の非熱的なパルス化滑り放電はバリア放電システムより大きい能力を提供する。表1はこのようなパラメータのいくつかの例を示している。
【0031】
【表1】

【0032】
従って、本発明の技術は、一態様において、標準的にはガス状の炭化水素を、非熱的な繰り返しパルス化滑り放電を用いて、標準的には液体の炭化水素に転換するための装置および方法に関する。この装置は、高電圧のパルス化電源に接続される複数の第1電極と、接地される複数の第2電極と、を有する反応チャンバを含む。第1電極および第2電極は放電領域または間隙によって分離される。第1および第2電極は、各第1電極に対して、放電領域の反対側に第2電極が位置するように、対として配置される。いくつかの実施形態においては、第1および第2電極はピン電極である。
【0033】
放電領域は、少なくとも1種類の液体吸収剤を含むトラフのごく近傍に配置される。第1電極に高電圧の電位が印加されると、放電領域内部に放電が生じる。続いて、この放電は、第1電極から、それと対になっている第2電極に伝播する。放電の伝播は、液体吸収剤の表面に沿っているか、あるいは、液体吸収剤の液面のごく近傍の範囲内に生じる。この放電は、第1電極から第2電極に、液体吸着剤の表面に沿って滑走するように、あるいは滑るように伝播すると言われているので、本明細書では、この放電を「滑り放電(gliding discharge)」と命名している。放電を維持するため、高電圧電位はパルス化され、各パルスが放電に関与する。この装置によって開始されかつ維持される放電は非熱的である。この装置は、それ自体として、非熱的な繰り返しパルス化滑り放電を生成する。
【0034】
この装置の運転において発生するプラズマは非熱的プラズマである。本明細書において用いる用語としての「非熱的プラズマ(non-thermal plasma)」または「コールドプラズマ(cold plasma)」は、熱力学的平衡状態にないプラズマである。非熱的プラズマにおける電子は高い電子温度を有するが、プラズマ中の他の原子および分子の温度は相対的に低く、従って、システムは熱力学的平衡状態にないのである。
【0035】
非熱的プラズマに比べて、熱的プラズマ(thermal plasma)または「ホットプラズマ(hot plasma)」は、ガスをガス放電中において数1000ケルビンの温度に強加熱する結果として生成され、その結果、熱的プラズマ中のガス分子、イオンおよび電子のエネルギー分布、従ってシステムのエネルギー分布は、熱分解を伴う熱力学的平衡状態にある。高温の結果として生じる粒子間の大量の衝突、特に電子と重い正イオンまたは中性粒子との間の衝突によって、エネルギーの急速な再分布が生じ、その結果、熱力学的平衡が達成されるのである。このため、放電領域における温度は、すべての粒子について一様に非常に高温である。
【0036】
電極およびトラフに加えて、反応チャンバは、また、放電が生起するチャンバにガス状の炭化水素を導入するためのガス流入口と、液体吸収剤をトラフ内に循環させるための液体吸収剤の流入および流出口と、生成物の流出口と、ガスをチャンバから排出し得るベントと、を含む。反応チャンバの形状および設計は、具体的には制限されないが、環状の配置(すなわち円形)、多角形(すなわち、三角形、正方形または長方形、五角形、六角形など)配置、直線配置、または設計し得る他の配置とすることができる。但し、これらに制限されるものではない。
【0037】
種々の実施形態において、装置は、また、反応チャンバと連通するガス源と、チャンバへのガスの流量を決定するための計器と、を含むことができる。この装置は、液体吸着剤を循環する流体ポンプも含むことができる。この装置は、捕集装置あるいは製品容器も含むことができる。さらにまた、この装置は、反応チャンバからの排出ガスを採取しまたは洗浄する装置も含むことができる。
【0038】
本明細書において用いる用語としての「ガス状の炭化水素(gaseous hydrocarbons)」または原料ガス炭化水素(feedgas hydrocarbons)は、標準の温度および圧力において気体状態で存在する軽質の炭化水素材料である。軽質の炭化水素材料は、通常、1〜4個の炭素原子を有する低位の炭化水素である。例えば、このような軽質の炭化水素材料として、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、iso−ブタンおよびtert−ブタン、またはこれらの任意の2以上の化合物の混合物が含まれ得るが、これに限定されない。いくつかの実施形態においては、軽質の炭化水素は、天然ガスまたは石油の生産に付随するものであってもよく、あるいは、埋め立て作業の結果として、または他の天然ガスの鉱床もしくは産出の結果として生成される。
【0039】
このような材料が反応チャンバに流入して非熱的な滑り放電にかけられると、ガス状の炭化水素の分子は回転励起および振動励起されるが、そのエネルギーレベルは、分子の結合を直ちにイオン状態またはフリーラジカル状態に破壊するには不十分であることが、理論に拘束されることなく信じられている。その代わりに、振動励起および回転励起された分子は相互に作用して、反応8〜11および12に記述したような機構を介して、より高位の炭化水素を形成する。このようにして形成される高位炭化水素は5〜20個の炭素原子を有する。
【0040】
繰り返すと、上記の非熱的な繰り返しパルス化滑り放電は、前述の反応8〜11および以下の8’〜11’によって表現されるような低位炭化水素から高位炭化水素への段階的な分子鎖形成機構を提供することが、理論に拘束されることなく信じられている。
HRH+e→HRH+e (8')
HRH+HRH→HR−RH+H (9')
HR−RH+e→[HR−RH]+e (10')
HRH+[HR−RH]→HR−R−RH+H (11')
すなわち、炭化水素HRHおよびHR−RHは、反応(8’)および(10’)のように、滑りプラズマの電子によって振動励起および回転励起される。続いて、この励起された炭化水素は他の励起炭化水素と相互作用してもよく、それによって反応(3)および(5)のようにより高位の炭化水素を形成する。滑りプラズマのエネルギーは、ガス状炭化水素がプラズマと接触した瞬間に即時かつ完全なイオン化またはフリーラジカル形成が生じる事態が回避されるように、あるいは少なくとも最小化されるように調整される。HR−RHおよびHR−R−RHとして表現される高位の炭化水素が十分なサイズに達すると、それは、液体炭化水素生成物としてプラズマから落下もしくは凝縮して、液体吸収剤によって反応チャンバ内において捕集され、それから取り出される。上記の反応において、Rは、任意のサイズの任意の炭化水素の断片を意味するように意図されており、本明細書においては、低位炭化水素から高位炭化水素への分子鎖形成機構を一般的に記述するためにのみ用いられる。
【0041】
反応チャンバを通って循環される液体吸収剤は、非熱的滑りプラズマの伝播のアシスト、液体炭化水素生成物の捕集、およびシステムの冷却を含むいくつかの機能を担うが、その機能はこれらに限定されない。適切な液体吸収剤としては、ガソリン、ディーゼル燃料、ケロシン、軽油、液体アルカン、またはこれらの任意の2以上の液体の混合物が含まれるが、これらに限定されない。炭化水素ガス転換システムの運転中、液体吸収剤は、非熱的な繰り返しパルス化プラズマのごく近傍に維持され、従って、プラズマ内において生成される液体炭化水素の吸収が促進される。このような配置によって、放電パルス後の液体炭化水素生成物の容易な除去(例えば、形成から約10−5秒以内)が可能になる。この容易な除去は、反応チャンバ内の温度を中程度に維持するようにも作用し、加熱による生成物および吸収剤の損失を防止する。
【0042】
非熱的な滑りプラズマによる炭化水素の形成は、他の非熱的プラズマ機構とは著しい対照をなしている。例えば、バリア放電、コロナ放電、マイクロ波放電およびアーク放電のような他の非熱的プラズマは、炭化水素ガスからの直接的なイオン化およびフリーラジカル種形成に基づいている。続いて、イオン化された化学種またはフリーラジカル種が高位の炭化水素生成物に再形成される。
【0043】
従って、いくつかの実施形態においては、第1電極および第2電極間の間隙に発生するプラズマは、誘電体バリア放電内に発生するものではない。さらに、いくつかの実施形態においては、第1および第2電極間の領域に、クオーツのような、あるいはジルコニア、アルミナ、ガラスなどの材料のような誘電体の酸化物材料が存在しない。このため、本発明の技術によって生成されるプラズマは、誘電体バリア放電に基づくものではない。さらに、非熱的な滑りプラズマは、従来型の合成ガスまたはCO原料よりも高い出力密度を有するガス混合物を利用し得る可能性のために、リアクタ効率を強化し得る機構を提供する。
【0044】
液体炭化水素生成物は多様な燃料製品または汎用化学品を含んでもよい。例えば、C〜C20またはそれ以上の高位炭化水素を調製してもよい。このような炭化水素として、C〜C20アルカン、アルケン、アルキン、それらの異性体、またはこれらの任意の2以上の化合物の混合物が含まれるが、これらに限定されない。炭化水素の混合物は、さらに、ガソリン、ディーゼル燃料、ケロシン燃料、炭化水素ワックス、炭化水素油に見られるような製品を含むことができる。またさらに、生成物の液体炭化水素に酸素および/または窒素を導入するために、酸素化材料または窒素化材料を、ガス状の炭化水素原料と共に導入してもよい。このような酸素または窒素含有炭化水素として、アルコール、アルデヒド、エステル、アミン、カルボン酸およびケトンが含まれ得るが、これに限定されない。
【0045】
いくつかの実施形態においては、気体の酸化剤を炭化水素ガスと共にプラズマの中に導入してもよい。このような気体酸化剤は、炭化水素ガス転換の生成物の中に組み込み得る酸素原子およびラジカルを供給する。このプロセスに使用される適切な気体酸化剤として、空気、O、HO、NO、およびCO、またはこれらの任意の2以上の酸化剤の混合物が含まれ得るが、これらに限定されない。この炭化水素転換の生成物としては、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、またはこれらの任意の2以上の酸素化炭化水素の混合物のような酸素化炭化水素が含まれるが、これらに限定されない。酸素化炭化水素生成の選択性および効率を強化するため、反応チャンバ内において、固体触媒を場合により使用してもよい。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、非熱的な繰り返しパルス化滑り放電の比エネルギーによって、振動温度Tvの正確な制御ができるようになる。この制御によって生成物の分布の選択が部分的に可能になる。前述のように、非熱的プラズマは、相対的に低温であり、その温度自体は調整されない。例えば、非熱的プラズマの温度は通常1000K未満である。しかし、ガスの振動温度Tは、非熱的な滑り放電の比エネルギーの制御によって制御することができ、1,300Kから10,000Kの間に調整することができる。Tの制御によって活性化エネルギーが調整可能になり、所望の反応経路を制御できる。しかし、非熱的プラズマの場合通例であるが、電子の温度Tは高い。例えば、いくつかの実施形態においては、Tは10,000Kより高い。従って、プラズマの比エネルギーを約0.1〜約3J/cmに適切に制御することによって、所望のTを選択することができる。種々の実施形態においては、繰り返しパルス化スパーク放電の非熱的プラズマの適切な比エネルギーは、約0.2〜約2.5J/cm、約0.2〜約0.5J/cm、約0.75〜約1.25J/cm、約1.5〜約2.0J/cm、約2.0〜約2.5J/cmである。いくつかの実施形態によれば、非熱的な繰り返しパルス化プラズマの最小エネルギーは約0.2J/cmである。いくつかの実施形態によれば、非熱的な繰り返しパルス化プラズマの最大エネルギーは約2.5J/cmである。
【0047】
炭化水素ガス転換システムの運転の間、非熱的な繰り返しパルス化プラズマのパルス間のエネルギーは変動する可能性があり、それによって液体炭化水素生成物の流れに変化が生じる。例えば、多重パルスにわたってエネルギーが2倍または3倍に漸増すると、飽和炭化水素の生成から、オレフィンおよび炭化水素油への移行が可能になる。理論に拘束されることなく、電極間の電界強度が、非熱的な繰り返しパルス化プラズマから原料ガスの炭化水素へのエネルギーの効率的な転移の制御における1つの因子であることが見出された。このため、いくつかの実施形態においては、電極間の電界強度が10kV/cm未満である。他の実施形態においては、電極間の電界強度が8kV/cm未満である。他の実施形態においては、電極間の電界強度が約5kV/cm〜約10kV/cmである。さらに他の実施形態においては、電極間の電界強度が約5kV/cm〜約8kV/cmである。
【0048】
非熱的プラズマ発生の比エネルギーも、非熱的な繰り返しパルス化滑り放電によって生成される液体炭化水素の種類に影響することもある。例えば、システムの比エネルギーを、飽和炭化水素、オレフィン、炭化水素油、または酸素化炭化水素を生成するように変えることができる。飽和炭化水素を生成するには、非熱的プラズマの比エネルギーは約0.75J/cm〜約1.25J/cmであり、オレフィンを生成するには、非熱的プラズマの比エネルギーは約1.5J/cm〜約2.0J/cmである。いくつかの実施形態においては、オレフィン生成の場合、非熱的プラズマの比エネルギーは約2J/cmである。炭化水素油生成の場合は、非熱的プラズマの比エネルギーは約2.0J/cmより大きい。例えば、炭化水素油生成の場合、非熱的プラズマの比エネルギーは約2.0J/cm〜約2.5J/cmである。酸素化炭化水素生成の場合は、非熱的プラズマの比エネルギーは約0.1J/cm〜約0.5J/cmである。
【0049】
本発明のプロセスは比較的低い総括的エネルギー消費量を提供する。いくつかの実施形態においては、総括的エネルギー消費量は約1kWh/kg未満である。いくつかの実施形態においては、総括的エネルギー消費量は約1kWh/kgである。いくつかの実施形態においては、総括的エネルギー消費量は約0.5〜1.5kWh/kgである。このため、反応経路(2)〜(5)の活性化エネルギーは、バリア放電プロセスの場合より十分に低い。
【0050】
炭化水素ガス転換システムの運転の間、電流パルスの持続時間も生成物の形成において1つの役割を担う。従って、いくつかの実施形態においては、電流パルスの持続時間が100ナノ秒(ns)未満である。他の実施形態においては、電流パルスが約50ns〜約100nsである。電流パルスのタイミングおよびパルスの持続時間は、パルスの繰返し速度を表す。いくつかの実施形態によれば、この繰返し速度は最大約10kHzに達することができる。繰返し速度に関する下限値は存在しないが、いくつかの実施形態においては、繰返し速度が約0.5kHz〜約10kHzである。
【0051】
本発明のプロセスは、リアクタ内における軽質炭化水素の高い転換率(すなわち収率)をもたらす。いくつかの実施形態によれば、この転換率は、原料の軽質炭化水素をベースとして約80%より高い。いくつかの実施形態においては、この転換率は原料の軽質炭化水素をベースとして約85%より高い。いくつかの実施形態においては、この転換率は原料の軽質炭化水素をベースとして約88%より高い。いくつかの実施形態においては、この転換率は原料の軽質炭化水素をベースとして約90%より高い。いくつかの実施形態においては、この転換率は原料の軽質炭化水素をベースとして約92%より高い。いくつかの実施形態においては、この転換率は原料の軽質炭化水素をベースとして約95%より高く、いくつかの実施形態においては、この転換率は原料の軽質炭化水素をベースとして約98%より高い。いくつかの実施形態においては、この転換率もしくは収率は、原料の軽質炭化水素をベースとして、約80%〜約99.5%、約80%〜約98%、約80%〜約95%、約85%〜約99.5%、約85%〜約98%、または約85%〜約95%である。いくつかの実施形態においては、この転換率もしくは収率は、原料の軽質炭化水素をベースとして約80%〜約90%である。
【0052】
ここで図1を参照すると、炭化水素ガス転換システム100の全般的な概略図が示されている。システム100は、非熱的な滑り放電111を発生させ、かつそれを維持する反応チャンバ110を含む。システム100は、また、高電圧電源130と、液体吸収剤ポンプ140と、炭化水素ガス源120と、受器150と、を含む。図示されているように、反応チャンバ110は、炭化水素源120、受器150およびベント160と連通している。
【0053】
図2および3に示すように、反応チャンバ200は、コンデンサ211を介して高電圧電源280に接続される複数の第1電極210を含む。また、反応チャンバ200は、接地される複数の第2電極220も含む。第1電極210および第2電極220は、各第1電極210が対になる第2電極220を有するように一直線上に並べられ、かつ、間隙もしくは放電領域290だけ相互に離して配置される。図3に示すように、複数の第1電極210および複数の第2電極220は、実質的に水平の平面内において直線状の列に配置される。図2および3は、図3が直線状に配置された一連の電極の上面図であるのに対して、図2は単一の電極対の側面図であるという点で関係している。別の実施形態においては、複数の第1電極および複数の第2電極を、実質的に水平の平面内に、以下の図4に表現されるように、第1電極が円周上に配置され、第2電極を中心部の円周上に配置され、各第1電極が対になる第2電極を有するように配置されるように、環状に配置することができる。
【0054】
間隙もしくは放電領域290は、非熱的な滑り放電が開始されかつ維持される場所である。図2に示すように、放電領域290は、反応チャンバ200の本体230内に形成されるトラフ250のすぐ上部に位置している。トラフ250は、第1壁面251と、第2壁面252と、凹設部253と、有する。第1および第2電極210、220も、第1電極210が第1壁面251の上端部の近傍に位置し、第2電極220が第2壁面252の上端部の近傍に位置するように、トラフ250のごく近傍に配置される。
【0055】
反応チャンバ200の本体230は、第1および第2電極210、220の装着をできるようにすると共に、その中にトラフ250が形成される基板である。本体230用の適切な材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(Teflon)、スチレン、およびこれらの混合物またはコポリマーのようなプラスチック材料、あるいはガラス、あるいはセラミックスのような、当分野で知られる絶縁体が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態においては、本体230はテフロン(Teflon)から作製される。
【0056】
図4に示すように、環状配置の非限定的一実施形態例は、複数の第1電極410と、複数の第2電極420と、トラフ450と、を含む。第1電極410および第2電極420は放電間隙490によって分離される。各第1電極410は、コンデンサ411を介して、高電圧接続ポート413が提供する円形の導体412に接続される。また、液体吸収剤の流入口415と、ガス流入口(図示せず)と、反応チャンバおよび放電部を絶縁するカバーを固定するためのガスケット部分462と、カバーを反応チャンバの上に固定するためのネジまたは他の固定装置を受け入れる穿孔495と、が含まれる。トラフ450は、1以上の半径方向のチャンネル445によって、中心の受器部分446に連結されることができる。本明細書においては、「半径方向のチャンネル(radial channel)」という用語は、トラフを捕集受器に連結するために設けられる任意のチャンネルのことを言う。この捕集受器は、反応チャンバの中心部またはその外周上のいずれかに配置され、かつ、環状構成に限定されるのではなく、電極およびトラフのいかなる環状、多角形、あるいは直線配置にも関係づけることができる。トラフ450と、1以上の半径方向のチャンネル445とは、炭化水素が放電内に生成されてトラフ450内に捕集されるに連れて、かつそれに伴って、トラフ450内の吸収剤および生成された炭化水素の容量が増大するに連れて、吸収剤および生成された炭化水素が中心の受器部分446のような捕集領域に搬送されるように構成される。中心の受器部分446は、さらに、生成された炭化水素および吸収剤をトラフから集める容器に流体接続することができる。また、トラフ450と、1以上の半径方向のチャンネル445とは、吸収剤および生成された任意の炭化水素の液位を滑り放電のごく近傍に維持するようにも構成される。従って、1以上の半径方向のチャンネル445は、吸収剤および生成された任意の炭化水素がトラフ450から完全に流出することを許容せず、トラフ450内の液体の容積が増大した時にのみ液体を流出させる。
【0057】
電極は、電極を通って電圧を効率的に導通する導体から作製される。電極は、例えば次のような材料から調製することができるが、これらに限定されない。すなわち、鉄、クロム、ニッケル、金、銀、銅、白金、パラジウム、レニウム、ルテニウム、モリブデン、タングステン、チタン、バナジウム、これらの合金、これらの酸化物、グラファイトなど、鉄、クロム、ニッケル、金、銀、銅、白金、イットリウム、イリジウム、パラジウム、レニウム、ルテニウム、モリブデン、タングステン、チタン、バナジウム、これらの合金、これらの酸化物、グラファイトなど、である。いくつかの実施形態によれば、電極はグラファイト被覆処理される。すなわち、いくつかの実施形態においては、金属ベースの電極がグラファイト被覆処理される。
【0058】
図5は、液体吸収剤の液位が容器内において維持される液体吸収剤系統の図解である。この容器は、反応チャンバを通る循環用としての液体吸収剤ポンプへの供給用である。液体炭化水素の生成物が形成され、それに伴って液体吸収剤の容積が増大すると、容積の増大によって生成物が受器に回収される。液体吸収剤は、生成物と同じ化学組成かまたは類似の化学組成であるように選択されるので、生成物を液体吸収剤から分離する必要は全くない。本明細書に記述するように、生成物の分布は、電極に供給する高電圧電力と、使用するガス状炭化水素の選択とに基づいて調整することができる。
【0059】
図5に示すように、ポート545により、容器540には吸収剤245が最初に入れられる。容器540は、ある量の吸収剤245を保持するように機能し、生成物の液体炭化水素215を最初に捕集するためのものである。反応チャンバにおいて、液体炭化水素の生成物が発生して、液体吸収剤245に吸収されるに連れて、液体吸収剤245の容積が増大する。液体吸収剤245の容積が増大すると、生成物は受器550に流れ、液体生成物215として捕集される。液体吸収剤245の流れを維持するために、材料は、容器540から出されて(参照符号225として表現される)、液体吸収剤ポンプ(図示せず)によって反応チャンバを通して循環させられる。図5に示す容器システムは、単に1つのこのような構成の図解である。
【0060】
図6は、反応チャンバ600が、液体吸収剤用の第1流入口615と、炭化水素ガス用の第2流入口620と、高電圧パルス発生器からのケーブル用の接続ポート630と、接地接続端640と、生成物の流出口650と、を含むことができることを表現している。
【0061】
前述のように、電極は実質的に水平の平面内に配置される。これは、液体吸収剤を非熱的プラズマのごく近傍に閉じ込めかつ流動させることを容易にするためである。また、実質的に水平な配置によって、非熱的プラズマに関する液体吸収剤の一様な分布が可能になる。液体吸収剤までのプラズマの距離に関して本明細書で用いる「ごく近傍(close proximity)」という表現は、プラズマが液体吸収剤の表面に接触することはあり得るが液体吸収剤がプラズマに入ることはない距離であり、液体生成物がプラズマ内部から液体吸収剤によって容易に吸収され得る距離である。いくつかの実施形態においては、ごく近傍というのは約0.5mm未満の距離のことを言う。
【0062】
当初の炭化水素ガスの組成の調整は、生成される液体炭化水素の種類に影響し得る。例えば、ある1つの非酸素化炭化水素原料ガスを選択すると、所与の生成物分布を得ることができるが、別の非酸素化炭化水素原料ガスまたはこのような炭化水素の混合物を選択すると、大きく異なった生成物分布がもたらされることもある。非酸素化炭化水素原料ガスから得られる液体炭化水素生成物には、分枝状または非分枝状C〜C20飽和炭化水素、分枝状または非分枝状C〜C20不飽和炭化水素、またはこれらの任意の2以上の材料の混合物が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0063】
図1、2および3を再度参照すると、トラフ250は、場合により触媒260を含んでもよい。この触媒は、それぞれ非熱的プラズマ内部で形成され得る炭化水素、水素および酸素ラジカルからの炭化水素断片の再形成に関して活性を有するものである。しかし、トラフ内に触媒は存在してもしなくてもよいことが注記される。このため、いくつかの実施形態においては、反応チャンバが触媒を含まず、他の実施形態においてはトラフが触媒を含まない。
【0064】
上記のように、反応チャンバ200のトラフ250における触媒260は任意選択的である。しかし、反応チャンバが触媒を含む実施形態においては、液体炭化水素の形成を促進するために、触媒をトラフの内部に配置することができる。飽和炭化水素生成用として適切な触媒組成物には、ゼオライト、アルミナ、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩、第IA族(Li、NaおよびK)、第IIA族(Be、Mg、Ca、SrおよびBa)、第IB族(Cu、AgおよびAu)、第IIB族(Zn、CdおよびHg)または第VIIIB族(Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、PdまたはPt)の元素、あるいはこれらの任意の2以上の触媒の混合物が含まれるが、これらに限定されない。オレフィン生成用として適切な触媒組成物には、ゼオライト、第IIB族(Zn、CdおよびHg)、第IVB族(C、Si、Ge、SnおよびPb)、第VB族(N、P、As、SbおよびBi)または第VIB族(Cr、Mo、W)の元素の酸化物、第VIIIB族(Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、PdおよびPt)の元素、あるいはこれらの任意の2以上の触媒の混合物が含まれるが、これらに限定されない。炭化水素油生成用の適切な触媒としては、カチオン、金属酸化物、および第IIA族、第IIIA族、第IVB族、第VB族または第VIIIB族の元素の錯体、あるいはこれらの任意の2以上の触媒の混合物が含まれるが、これらに限定されない。酸素化炭化水素生成用の適切な触媒としては、第IIA族、第IVA族、第IIB族、第IVB族または第VIIB族の元素、あるいはこれらの任意の2以上の触媒の混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
本明細書に記述する装置は、モジュール化、拡大縮小化およびポータブル化に適しており、従って、沖合の掘削リグおよび環境上敏感な地点のような、他の方式では到達し難い地点に搬送しかつそのような場所で簡便なプロセスとして用いることができる。この装置は、天然ガスを、ディーゼル燃料、ガソリン(揮発油)、合成軽油、ケロシン、および通常の燃料輸送車両において陸送、海上輸送および鉄道輸送が可能な他の炭化水素燃料のような安定な燃料に転換することができる。
【0066】
本明細書において用いる用語としての「約(about)」は当業者によって理解され、それが用いられる文脈に応じてある程度変化する。「約」が当業者に明解でない形で用いられる場合は、それが用いられる文脈に応じて、この「約」は特定の語句のプラスまたはマイナス10%までを意味するものとする。
【0067】
本明細書において用いる用語としての「複数(plurality)」は、この語に接続して用いられる品目の2つ以上を意味する。例えば、複数の電極は、2以上の電極、あるいは、電極を含む装置の構成に必要な個数であって、装置およびその構成要素の物理的な寸法によってのみ限定される個数の電極を意味する。
【0068】
本明細書において例示的に記述される実施形態は、任意の1つまたは複数の要素、1つまたは複数の制限が欠落していて、それが本明細書に特定的に開示されていなくても、適切に実用化することができる。従って、例えば、「含む(comprising/including/containingなど)」という用語は、開放的にかつ制限なしに読まれるべきである。さらに、本明細書において用いる用語および表現は、説明のための用語として用いられており、制限のための用語ではない。すなわち、このような用語および表現の使用に、提示されかつ記述される特徴のいかなる均等物あるいはその一部分をも排除する意図は全くなく、特許請求される技術の範囲内において種々の修正形態が可能であることが認められる。さらに、「から本質的に構成される(consisiting essentially of)」という語句は、具体的に引用される要素と、特許請求される技術の基本的かつ新規な特性に実質的に影響を及ぼさない付加的な要素とを含むように理解されるであろう。「から構成される(consisiting of)」という語句は、特定されないいかなる要素も排除する。
【0069】
本明細書において参照されたすべての出版物、特許出願、発行済み特許および他の文献資料は、各個別の出版物、特許出願、発行済み特許または他の文献資料が、参照によってその全体が組み込まれると特定的にかつ個別に指示されたものであるかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれるテキストに含まれる定義は、それが本開示における定義と矛盾する場合は排除される。
【0070】
以上のように全般的に記述された装置および方法は、以下の実施例を参照することによって理解されるであろう。この実施例は、以上に記述した装置および方法をいかなる意味においても制限するようには意図されていない。
【実施例】
【0071】
本明細書に記述する装置の運転は、軽質炭化水素を含むガス混合物をガス状炭化水素の流入口に導入するステップと、そのガス混合物を、非熱的な繰り返しパルス化滑り放電を含むガス放電チャンバを通して導くステップと、を含む。軽質の炭化水素(C〜C)が非熱的な繰り返しパルス化滑り放電と接触すると、形成されるラジカルが再構成されて、飽和液体C〜C20炭化水素と水素ガスとが再形成される。続いて、この両材料がリアクタから流出して捕集される。ガス放電チャンバ内部の炭化水素の転換率は90%に達することができるが、それは、繰り返しパルス化高電圧(high voltage:HV)発生器の出力を変えることによって調整することができる。リアクタの流出口において液体生成物が捕集される。廃ガス(Hおよび残留C〜C)はガスチューブを通してベントに排出される。代替方式として、残留炭化水素ガスをシステム内に再循環することができる。さらに、排気水素Hを捕集して、他の反応または他の用途に用いるか、あるいは環境に排出することができる。
【0072】
繰り返しパルス化高電圧発生器
繰り返しパルス化高電圧発生器は、リアクタ内部にガス放電を点火し、維持しかつ供給するように設計される半導体の発生器である。繰り返しパルス化高電圧発生器は、炭化水素ガス転換プロセスの遂行に必要なエネルギーの主たる供給源である。高電圧発生器は、HVパルス形成用のアクティブ素子としてサイリスタを含み、繰り返しパルス化モードで作動する。HV発生器のいくつかの運転パラメータを表2に示す。
【0073】
【表2】

【0074】
プラズマ化学リアクタ
リアクタは、ガス放電チャンバを含み、効率的なラジカル形成と液体化学種形成とのための条件を形成する。リアクタは、ガス放電に対するエネルギー供給と、当初ガスの液体への転換の遂行と、その液体の放電領域からの速やかな除去とを提供する。リアクタの外観は図2に示される。
【0075】
【表3】

【0076】
実施例1
最初に液体吸収剤を液体吸収剤容器に注入して、液位を、受器チューブ流入口のすぐ下になるように調整する。周囲ガス温度および大気のガス圧力においてプロセスを実行する。続いて、モル比1:3のプロパン−ブタン原料ガス混合物を、約23L/minの流量で反応チャンバに導入した。液体吸収剤としてはノルマルオクタンを使用した。ガス内に蓄積される1パルス当たりの比エネルギーを1J/cmとし、高電圧パルスの繰返し速度を1000Hzに設定し、電極間の放電間隙を1.5cmとした。反応を1時間運転した。この時間に、96.5mLの液体凝縮液を捕集した。液体凝縮液は、主としてアルカンの混合物であった(収率:87モル%)。
【0077】
実施した実験においては、すべての電気的接続を確立する際の注意と、適正な換気の確保とを含む安全上の注意点が確認された。また、パルス化電源は適正に接地し、排気ガスは、換気、処理または採取され、支持物および表面は電気絶縁するか少なくとも良好に接地し、発生器を起動する前に、リアクタ内部の残留空気を排除するに十分な時間、ガス流れを流動させた。
【0078】
均等物
本開示は、本願に記述する特定の実施形態の表現に制限されるものではない。本開示の本質および範囲から逸脱することなく多くの修正形態および変形態様を構成することが可能であり、これは当業者には明らかなことであろう。本開示の範囲内における機能的に均等な方法および構成は、本明細書に列挙されたもの以外にも、以上の記述から当業者には明らかであろう。このような修正形態および変形態様は、添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されている。本開示は、添付の請求項が関与する均等物の全範囲を含めて、添付の請求項の表現によってのみ制限されるべきである。本開示は、当然変化し得る特定の方法、添加剤、化合物の組成物、または生物学的系に限定されないと理解されるべきである。また、本明細書において用いる用語法は、特定の実施形態を説明するためだけのものであって、制限用としては意図されていないことが理解されるべきである。
【0079】
さらに、開示の特徴または態様がマーカッシュ(Markush)群の表現で記述される場合は、当業者は、それによって、その開示が同様にそのマーカッシュ群の要素の任意の個別要素または下位群の表現においても記述されることを認めるであろう。
【0080】
当業者には明らかであろうが、任意かつすべての目的のために、特に記述される説明を提供する表現において、本明細書に開示されるすべての範囲は、その範囲の任意かつすべての可能な部分範囲と、その部分範囲の組み合わせとを包括する。列挙されるいかなる範囲も、十分に記述的であり、かつ、その同じ範囲を少なくとも等しい半分、1/3、1/4、1/5、1/10などに分割できるものと容易に認めることができる。非限定的な例として、本明細書に言及される各範囲を、下位の1/3、中央の1/3および上位の1/3、などに容易に分割することが可能である。また、当業者には明らかであろうが、「まで(up to)」、「少なくとも(at least)」、「より大きい(greater than)」、「未満(less than)」などのような用語はすべて、引用される数を含んでおり、引き続いて上記のような部分範囲に分割し得る範囲を意味している。最後に、当業者には明らかであろうが、範囲は各個別要素を含む。
【0081】
いくつかの実施形態を例示して説明したが、以下の特許請求の範囲に規定されるような幅の広い態様における技術から逸脱することなく、当分野における通常の知識に従って、変更および修正を加えることができることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状の炭化水素をリアクタに導入するステップであって、前記リアクタは、
それぞれ個別にパルス化高電圧電源に接続される複数の第1電極と、
接地される複数の第2電極と、
トラフと、
を備え、
前記複数の第1電極は前記複数の第2電極から放電領域によって分離される、ステップと、
前記トラフに液体吸収剤を導入するステップと、
前記放電領域に非熱的な繰り返しパルス化滑り放電を発生させるステップと、
液体の炭化水素組成物を生成するステップと、
を含むプロセス。
【請求項2】
前記リアクタ内における前記液体吸収剤の液位が前記放電領域のごく近傍に維持される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記非熱的な繰り返しパルス化ガス放電リアクタの単一パルスの持続時間が100nsより短い、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記非熱的な繰り返しパルス化ガス放電リアクタの内部の電界強度が8kV/cm未満である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
プラズマの比エネルギーが約0.2J/cm〜約2.5J/cmである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ガス状の炭化水素がC、C、CまたはCアルカンである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ガス状の炭化水素が、メタン、エタン、n−プロパン、iso−プロパン、n−ブタン、iso−ブタン、tert−ブタン、またはこれらの任意の2以上の混合物である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記ガス状の炭化水素が、CO、空気または酸素をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記ガス状の炭化水素がCOをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記リアクタが固体触媒をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記固体触媒が、アルミナ、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、またはこれらの任意の2以上の混合物を含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記液体吸収剤が、ガソリン、ディーゼル燃料、ケロシン、液体アルカン、またはこれらの任意の2以上の材料の混合物である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
単一の放電時間が約10nsである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項14】
各放電に先立つ電荷展開時間が、約10μs〜100μs、約10μs〜80μs、約20μs〜50μs、または約35μsである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項15】
前記液体の炭化水素組成物が飽和炭化水素を含み、前記非熱的な繰り返しパルス化ガス放電の比エネルギーが、パルス当たり約0.5J/cm〜約2J/cmである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記液体の炭化水素組成物がオレフィンを含み、前記非熱的な繰り返しパルス化ガス放電の比エネルギーが、パルス当たり約2J/cmである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記リアクタが、ゼオライト、第IIB族、第IVB族、第VB族または第VIB族の元素の酸化物、第VIIIB族の元素、もしくはこれらの任意の2つ以上の混合物を含む固体触媒を含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記液体の炭化水素組成物が炭化水素油を含み、前記ガス放電の比エネルギーが、1個の放電パルス当たり約2J/cm〜約2.5J/cmである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項19】
前記リアクタが、カチオン、金属酸化物、もしくは第IIA族、第IIIA族、第IVB族、第VB族または第VIIIB族の元素の錯体、もしくはこれらの任意の2以上の混合物を含む固体触媒を含む、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記ガス状の炭化水素がOをさらに含み、前記Oの濃度は、火炎点火限界よりも低い、請求項1に記載のプロセス。
【請求項21】
前記リアクタが、第HA族、第IVA族、第IIB族、第IVB族の元素の酸化物、および第VIIIB族の元素を含む固体触媒を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項22】
非熱的な繰り返しパルス化滑り放電リアクタを含む装置であり、前記リアクタは、
パルス化高電圧電位を供給するように構成される高電圧電源と、
ガスの流入口と、
液体吸収剤の流入口と、
生成物の流出口と、
前記パルス化高電圧電源に個別に接続される複数の第1電極と、
接地される複数の第2電極と、
トラフと、
を含み、
前記複数の第1電極が前記複数の第2電極から放電領域によって分離される、
装置。
【請求項23】
前記トラフが固体触媒を含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記固体触媒が、アルミナ;アルミノケイ酸塩;アルミノリン酸塩;ゼオライト;金属酸化物;カチオン;第IIB族、第IVB族、第VB族または第VIB族の元素の酸化物;第VIIIB族の元素;第IIA族、第IIIA族、第IVB族、第VB族または第VIIIB族の元素の錯体、もしくはこれらの任意の2以上の混合物を含む、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記高電圧パルス発生器が、100nsよりも短い単一パルスを供給するように構成される、請求項22に記載の装置。
【請求項26】
前記リアクタが8kV/cm未満の電界強度を有するように構成される、請求項22に記載の装置。
【請求項27】
前記リアクタが、約0.1〜約5J/cmの比エネルギーを有する放電を供給するように構成される、請求項22に記載の装置。
【請求項28】
前記複数の第1電極および前記複数の第2電極がリアクタ本体に装着される、請求項22に記載の装置。
【請求項29】
前記複数の第1電極および前記複数の第2電極がリアクタ本体に環状に配置されて装着される、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記トラフが前記リアクタ本体内においてリングに形成される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記リアクタ本体が、前記トラフを前記リアクタ本体の中心部分に連結する1以上の半径方向のチャンネルをさらに含む、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
液体吸収剤の容器をさらに含む、請求項22に記載の装置。
【請求項33】
受器をさらに含む、請求項22に記載の装置。
【請求項34】
前記トラフがポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項22に記載の装置。
【請求項35】
前記第1および第2電極が、鉄、クロム、ニッケル、金、銀、銅、白金、イットリウム、イリジウム、パラジウム、レニウム、ルテニウム、モリブデン、タングステン、チタン、バナジウム、これらの合金、これらの酸化物、グラファイト、あるいはこれらの任意の2以上の混合物を含む、請求項22に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−518100(P2013−518100A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551115(P2012−551115)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国際出願番号】PCT/RU2010/000032
【国際公開番号】WO2011/093736
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
2.テフロン
【出願人】(512189266)イーブイオーエナジー,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】