説明

ガス温風暖房機

【課題】暖房運転にあたり、使用する機器のガス仕様と供給されるガスのミスマッチを防ぎ、異常燃焼を未然に防止する。
【解決手段】ガスの取り入れ口1とガス電磁弁2との間にガス圧力検出装置16を設け、機器のガス仕様と供給ガス圧力を制御器14で比較認識することで、主にガス種間違いによるトラブルを未然に防ぐようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温風により暖房を行うガス温風暖房機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的に図2に示すようなガス温風暖房機がある。
【0003】
図2において、1はガスの取り入れ口であり、2はガス供給の開閉を司るガス電磁弁、3はガス供給圧力をコントロールするガス比例弁であり、ノズル4を介してバーナー5でガスの燃焼を行う。6は点火器である。7は燃焼により発生した排気ガスと空気を混合する燃焼室である。8は対流用ファンであり、温風吹出し口9より温風10を送出する。ケース11の後面には燃焼用の空気12を取り込む対流用フィルター13がある。14は各機能を統括したりする制御器であり、15は運転スイッチである。Aの枠内で囲まれた部分はケース11に組み込まれ一体構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2598213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら昨今、量販店でもガス暖房機が取り扱われることが多くなり、ユーザーの使用ガス区分とガス暖房機のガス仕様とが一致せず、前記従来の構成ではしばしばトラブルが発生している。特にLPガス地域で、一般的に都市ガスと呼ばれている天然ガス仕様のガス暖房機が使われることがあり、この場合、ガス燃焼量の増加により本体の温度が高くなったり、異常燃焼によりススが発生するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来の課題を解決するために、本発明のガス温風暖房機は、ガス供給経路の開閉を行うガス電磁弁上流側に供給されるガスの圧力を検出するガス圧力検出装置を設け、制御器には予め一般市場の供給ガス圧力をデーター変換して記憶させておき、運転操作が行われたとき、前記ガス圧力検出装置からの入力信号と制御器のガス圧記憶値を比較し、その比較結果が一致した場合には前記ガス電磁弁を開成させ、比較結果が不一致の場合にはガス電磁弁を閉成させるようにしたものである。
【0006】
上記発明によれば、器具自体で供給されるガスが適正であるか否かを自動判別し、不適正な場合はガスの供給を停止するようにしているため、安全なガス機器を提供することができる。例えば、天然ガス仕様のガス暖房機器にLPガスが供給されても、制御器に記憶したガス圧力と比較することで仕様間違いであることを事前に検知することができ、専門的な知識があまりない一般の使用者でも仕様間違いによるトラブルを防止することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のガス温風暖房機は、器具自体で供給されるガスが適正であるか否かを自動判別し、不適正な場合はガスの供給を停止するようにしているため、安全なガス機器を提供することができる。
【0008】
特にLPガス地域で天然ガス仕様のガス暖房機を使用されても、供給ガス圧力を検出することで電磁弁を開くことなく、異常燃焼の発生を防ぐことができる。
【0009】
また万一、LPガスの供給ガス圧力が低下し、天然ガスの設定ガス圧力の上限付近で運転された場合は、一定時間経過後にブザーや音声等でガスの仕様を確認するよう警告を発し、さらにそのまま運転継続された場合はガス電磁弁を閉じるので、異常燃焼が継続することはない。
【0010】
また仕様通りのガス種であっても、機器の運転中、何らかの原因で供給ガス圧力がしきい値の上限をオーバーした時、あるいはしきい値の下限以下になった時にはガス電磁弁を閉じるので安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
第1の発明は、ガス供給経路よりの燃料を燃焼させるバーナーと、前記ガス供給経路の開閉を行うガス電磁弁と、前記バーナーへのガス供給量を制御するガス比例弁と、前記バーナーの燃焼ガスと外部より取り込んだ空気を混合する燃焼室と、温風を送出する対流用ファンと、温風吹出し口と、燃焼用の空気を取り込む対流用フィルターと、制御器で構成され、前記ガス供給経路には前記ガス電磁弁の上流側にガス圧力検出装置を設け、前記制御器には予め一般市場の供給ガス圧力をデーター変換して記憶させておき、運転操作を行ったとき、前記ガス圧力検出装置からの入力信号と前記制御器の記憶値を比較し、比較結果が一致の場合は前記ガス電磁弁を開成させ、不一致の場合は前記ガス電磁弁を閉成するとともにエラー表示を行うようにしたものである。
【0012】
これにより、器具自体で供給されるガスが適正であるか否かを自動判別し、器具のガス仕様に応じたガス圧力が検出されないというような不適正な場合はガスの供給を停止するようにしているため、安全なガス機器を提供することができる。例えば、天然ガス仕様のガス暖房機器にLPガスが供給されても、制御器に記憶したガス圧力と比較することで仕様間違いであることを事前に検知することができ、専門的な知識があまりない一般の使用者でも仕様間違いによるトラブルを防止することができる。
【0013】
第2の発明は、異なるガス種に対し、各々異なる供給ガス圧力を一定の範囲内でしきい値として制御器に認識させ、ガス仕様に応じたしきい値の切替えポートを制御器上に設けたもので、機器を生産するガス仕様に応じ切替えポートを移動するだけでよく、制御器の共用化が図れる。また市場において、転宅等でガス種切替えが生じた場合でも、制御器の交換は不要になり安価で行えるため、ユーザーの利益にもつながる。
【0014】
第3の発明は、機器の運転中、設定ガス圧力の上限付近を一定時間経過した時、ブザーや音声等で機器の仕様とガス種の確認をするよう警告を発し、その後確認がとれた時、警告を解除させるスイッチを設け制御器と連動させたものである。一般的に都市ガスやLPガスは、標準的な供給ガス圧力に対して各々上限、下限の範囲があり、ガス種間において上限付近と下限付近がオーバーラップしている。そのため、設定ガス圧力の上限付近で一定時間運転した時、ブザーや音声等で機器の仕様とガス種の確認をするようユーザーに警告することで、万一のガス種間違い等のトラブルが解消できる。
【0015】
第4の発明は、機器の運転中、設定ガス圧力の上限付近を一定時間経過した時、ブザーや音声等でガス種の確認をするよう警告を発し、そのままさらに一定時間経過後には、ガス電磁弁を閉成すると同時にランプ等でエラー表示させるようにしたもので、万一、ユーザーがガス種間違いに気がつかない場合でも、短時間で機器の運転を停止させるので異常燃焼が継続することはない。
【0016】
第5の発明は、機器の運転中、何らかの原因で供給ガス圧力がしきい値の上限をオーバーした時、あるいはしきい値の下限以下になった時にガス電磁弁を閉成すると同時にランプ等でエラー表示させるようにしたものであり、仕様通りのガス種であっても万一の場合には機器を安全側に停止させるものである。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるガス温風暖房機の構成図である。
【0019】
図1において、従来例と同一機能を有するものは同一符号をつけ、詳細説明は省略する。制御器14は所定のシーケンスに基づいてバーナー5の燃焼制御を行うとともに、予め一般市場の供給ガス圧力をデーター変換して記憶している。ガスの取り入れ口1に連通したガス供給経路にはガスの供給/遮断を行うガス電磁弁2が配設され、その上流側には供給されるガスの圧力を検出するガス圧力検出装置16が設けられており、このガス圧力検出装置16で検出されたガス圧は制御器14に電気信号として入力される。
【0020】
以上のように構成されたガス温風暖房機について、以下その動作・作用について説明する。
【0021】
運転スイッチ15で機器への運転が指示されると、ガス取り入れ口1から供給されたガスはガス圧力検出装置16でガス圧が検出され制御器14に入力される。その入力信号と制御器14に記憶している内部データーとを比較し、その比較結果が一致したことを確認した時はガス電磁弁2を開成する。そして、供給されたガスはガス比例弁3で所定の流量に調整されノズル4を介してバーナー5に供給され燃焼が開始されて機器は正常運転に入る。
【0022】
もしこの時、制御器14で比較結果が不一致と認められた場合はガス電磁弁2を閉成し、制御器14と連動したランプ(図示せず)等でエラー表示させるようにしてある。
【0023】
本実施の形態によれば、器具自体で供給されるガスが適正であるか否かを自動判別し、器具のガス仕様に応じたガス圧力が検出されないというような不適正な場合はガスの供給を停止するようにしているため、安全なガス機器を提供することができる。例えば、天然ガス仕様のガス暖房機器にLPガスが供給されても、制御器に記憶したガス圧力と比較することで仕様間違いであることを事前に検知することができ、専門的な知識があまりない一般の使用者でも仕様間違いによるトラブルを防止することができる。
【0024】
また、市場の供給ガスにおいては、表1に示すように供給ガス圧力には各々決められた範囲があり、且つガスの特性も異なっている。そこで制御器14に各々ガス仕様に応じたしきい値の切替えポート17を設け、機器を生産するガス仕様に応じて切替えポート17を移動できるようにしたもので、共用化が図れている。また市場において、転宅等でガス種切替えが生じた場合でも、制御器14の交換は不要になり安価で行えるため、ユーザーの利益にもつながる。
【0025】
また、LPガス地域でユーザーが間違って天然ガス仕様の機器を、(表1)に示すように供給LPガスのガス圧力が下限側にある状態で使用した時は、一旦機器は運転状態に入る場合がある。
【0026】
【表1】

【0027】
この時、機器は天然ガス仕様のため、制御器14はガス圧力のしきい値の上限付近を認識している。そしてある一定時間経過した時、ブザーや音声等で機器の仕様とガス種の確認をするよう警告を発する。また仮に機器のガス仕様と供給ガスの仕様が一致している場合でも、供給ガス圧力がしきい値の上限付近にある時は、上記と同様の警告を発する。そしてユーザーがガス種の確認をした後、制御器14に連動した警告解除スイッチ18を動作させるようにしてある。ユーザーが間違った仕様の組み合わせを発見できた場合には、警告により機器の運転を停止するなど速やかな対応がとれ、トラブルを未然に防ぐことができる。
【0028】
さらに前記同様、制御器14が設定ガス圧力のしきい値上限付近を認識し、ブザーや音声等で機器の仕様とガス種の確認をするよう警告を発しても、ユーザーが気付かずそのまま運転している場合は、一定時間経過した後ガス電磁弁2を閉成すると同時にランプ等でエラー表示をするため、短時間で機器の運転を停止するため、異常燃焼が継続することはない。
【0029】
また、機器の運転中、何らかの原因で供給ガス圧力がしきい値の上限をオーバーした時、あるいはLPガスボンベが空になり、しきい値の下限以下になった時にガス電磁弁2を閉成すると同時にランプ等でエラー表示をするため、仕様通りのガス種であっても万一の場合には機器を安全側に停止させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明にかかるガス温風暖房機は、ガスの取り入れ口からバーナーまでのガス供給通路にガス圧力検出装置を設け、機器の仕様と供給ガス圧力を制御器で比較認識することで、主にガス種間違いによるトラブルを未然に防ぐようにしたものである。そのため、ガス温風暖房機だけでなく、ガスを燃料とするガス機器全般に関して応用展開ができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例におけるガス温風暖房機の構成図
【図2】従来例におけるガス温風暖房機の構成図
【符号の説明】
【0032】
2 ガス電磁弁
3 ガス比例弁
4 ノズル
5 バーナー
7 燃焼室
8 対流用ファン
9 温風吹出し口
11 ケース
14 制御器
15 運転スイッチ
16 ガス圧力検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス供給経路よりの燃料を燃焼させるバーナーと、前記ガス供給経路の開閉を行うガス電磁弁と、前記バーナーへのガス供給量を制御するガス比例弁と、前記バーナーの燃焼ガスと外部より取り込んだ空気を混合する燃焼室と、温風を送出する対流用ファンと、温風吹出し口と、燃焼用の空気を取り込む対流用フィルターと、制御器で構成され、前記ガス供給経路には前記ガス電磁弁の上流側にガス圧力検出装置を設け、前記制御器には予め一般市場の供給ガス圧力をデーター変換して記憶させておき、運転操作を行ったとき、前記ガス圧力検出装置からの入力信号と前記制御器の記憶値を比較し、比較結果が一致の場合は前記ガス電磁弁を開成させ、不一致の場合は前記ガス電磁弁を閉成するとともにエラー表示を行うようにしたガス温風暖房機。
【請求項2】
異なるガス種に対し、各々異なる供給ガス圧力を一定の範囲内でしきい値として制御器に記憶し、ガス仕様に応じたしきい値の切替えポートを設けたことを特徴とする請求項1記載のガス温風暖房機。
【請求項3】
機器の運転中、設定ガス圧力の上限付近を一定時間経過した時、ブザーや音声等で機器の仕様とガス種の確認をするよう警告を発し、その後確認がとれた時、警告を解除させるスイッチを設けた請求項2記載のガス温風暖房機。
【請求項4】
機器の運転中、設定ガス圧力の上限付近を一定時間経過した時、ブザーや音声等でガス種の確認をするよう警告を発し、そのままさらに一定時間経過後には、ガス電磁弁を閉成するとともにエラー表示を行うようにした請求項2記載のガス温風暖房機。
【請求項5】
機器の運転中、何らかの原因で供給ガス圧力がしきい値の上限をオーバーした時、あるいはしきい値の下限以下になった時にガス電磁弁を閉成するとともにエラー表示を行うようにした請求項2記載のガス温風暖房機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−329547(P2006−329547A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−155266(P2005−155266)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】