説明

ガス状二酸化塩素を用いた閉鎖空間の除染

閉鎖空間内での二酸化塩素の気相付与方法であって、以下の工程:
前記閉鎖空間を環境制御して約5%〜約56%の範囲内の相対湿度(RH)を達成する工程と;
二酸化塩素ガスを発生させる工程と;
気相付与の間に、前記閉鎖空間内の汚染物質を除去するのに効果的であり、更に前記閉鎖空間内の腐食を軽減するのに効果的である、二酸化塩素ガス濃度及び接触時間の特定条件下で、二酸化塩素ガスを導入する工程と;
を含む前記方法。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2009年6月4日に出願された米国特許仮出願第61/184,298号の優先権の利益を主張し、その開示内容は、参照することにより本明細書中に組み込まれる。
【0002】
2010年4月28日に同時に出願された、表題「REMEDIATION OF GYPSUM BOARD USING GASEOUS CHLORINE DIOXIDE」の出願の開示内容は、参照することにより本明細書中に組み込まれる。
【発明の分野】
【0003】
本発明は、腐食を軽減又は除去する条件下でガス状二酸化塩素を用いた閉鎖空間の浄化(remediation)又は除染の方法に関する。
【発明の背景】
【0004】
二酸化塩素(ClO)の殺菌剤としての用途は公知である。二酸化塩素は、強力な酸化剤かつ殺菌剤であり、食品の殺菌、臭気制御、炭疽菌及び他の微生物の除染、カビの浄化、中国製ウォールボード(Chinese wallboard)の浄化、医療廃棄物の殺菌、並びにオイル及びガス注入抗井刺激(oil and gas injection well stimulation)を含む、広範囲の気相付与に用いられてきた。
【0005】
例えば、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)胞子(炭疽菌)を含む手紙の発見後に、ワシントンDCのHart Senate Office Buildingを除染するために2001年に二酸化塩素ガスが用いられた。米国特許出願第11/270,973号(米国特許公開第2006/0228253号)明細書は、燻蒸及び滅菌のための二酸化塩素ガスの大規模での使用方法を開示している。同様に、DC、ニュージャージー州及びフロリダ州ではそこで炭疽菌が発見された後に、二酸化塩素ガスを用いて郵便物処理施設及び他の商業ビルが除染された。
【0006】
米国特許出願第11/576,498号(米国特許公開第2009/0081310号)明細書は、カビ浄化に対する二酸化塩素の効果的な大規模での使用方法を開示している。
【0007】
米国特許仮出願第61/173,844号及び第61/252,422号明細書は、硫酸塩還元細菌を除去し、そして、ウォールボードと接触している反応性の金属硫化物を酸化するための、既存の建造物中の石膏ボードの二酸化塩素を用いたその場での浄化方法を開示している。
【0008】
二酸化塩素は実効性のある燻蒸剤として多数の成果を有し、そして、一般的な容認を得ているにもかかわらず、それを気相殺菌剤として広く用いるには重大な欠点がある。ClOの酸化力が高いので、燻蒸処理の完了時に閉鎖構造物内にある所定のアイテムが腐食を示す傾向がある。二酸化塩素は、塩素よりも金属に対しての腐食性が低いことが当該技術分野で周知であるが、建築物内の、その構造物自体又はその中にある内容物において見出される所定の金属に対して、二酸化塩素の気相付与は腐食を生じさせることがあることが示されている。
【0009】
本発明の或る観点は、ガス状二酸化塩素を用いて首尾良い除染を達成しながら、建築物内の内容物、例えば、電子機器(例えば、電話機器、コンピューター、コピー機、及び他の電子オフィス機器)、備品などの腐食を軽減することである。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、閉鎖空間内に二酸化塩素を気相付与する間の腐食を軽減する方法であって:
約56%を超えない相対湿度に前記閉鎖空間を環境制御(climatizing)する工程;
二酸化塩素ガスを発生させる工程;及び、
所望レベルの標的生物の死滅又は汚染物質の酸化を達成するのに有効な濃度−時間(CT)値で、二酸化塩素ガスを前記閉鎖空間へ導入する工程;
を含む、前記方法に関する。
【0011】
本発明は、閉鎖空間内に二酸化塩素を気相付与する方法であって:
前記閉鎖空間をx(%)に等しい相対湿度に環境制御する工程;
二酸化塩素ガスを発生させる工程;及び、
y(ppm−時間)に等しい二酸化塩素のCT値で、二酸化塩素ガスを閉鎖空間へ導入する工程であって、ここで、yは6x−870x+32100±1000に等しく、xは%RHに等しい5〜56の数であるものとする、前記工程;
を含む前記、方法にも関する。
【0012】
本発明は、閉鎖空間内に二酸化塩素を気相付与する方法であって:
前記閉鎖空間を環境制御して約5%〜約56%の範囲内の相対湿度(RH)を達成する工程;
二酸化塩素ガスを発生させる工程;及び、
閉鎖空間中に適切な時間にわたって25ppm〜10,000ppmの範囲の濃度で二酸化塩素を導入して、y(ppm−時間)に等しい二酸化塩素のCT値を達成するための工程であって、ここで、y=6x−870x+32100±1000であり、xは%RHに等しい5〜56の数であるものとする、前記工程;
を含む、前記方法に更に関する。
【0013】
本発明はまた、閉鎖空間内に二酸化塩素を気相付与する方法であって:
前記閉鎖空間を環境制御して約5%〜約56%の範囲内の相対湿度(RH)を達成する工程;
二酸化塩素ガスを発生させる工程;及び、
二酸化塩素ガス濃度及び接触時間の特定の条件下に二酸化塩素ガスを導入する工程であって、ここで、気相付与の間に、前記特定の条件は閉鎖空間内の汚染物質を除去するのに有効であり、かつ閉鎖空間内の腐食を軽減するのに更に有効であるものとする、前記工程;
を含む、前記方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】48%RH及び54%RHでの腐食試験についての処理データを要約するグラフである。
【0015】
【図2】図2A〜2Dは、48%RH及び54%RHにおいてClOに曝された鋼物体の写真である。
【0016】
【図3】種々のRH値での金属物体についての腐食データを要約する表である。
【0017】
【図4】軟鋼(mild steel)についてのRHに応じた重量損失のプロットである。
【0018】
【図5】CT及びRHに応じた胞子ストリップ死滅率のプロットである。
【0019】
【図6】本発明の方法に用いるのに適当な装置の模式図である。
【0020】
【図7】構造物内の湿度制御するための、図6に示した装置の使用を模式的に示し;図7Aはガス状ClOの付与での環境制御工程、図7Bはガス状ClOの付与での中間工程、及び図7Cはガス状ClOの付与での燻蒸の間の環境制御工程を模式的に示す。
【0021】
【図8A】ClOの発生装置の使用を模式的に示す。
【0022】
【図8B】ガス状ClOを構造物へ導入するための装置の使用を模式的に示す。
【0023】
【図8C】システムから過剰な流体をポンプオフするための装置の使用を模式的に示す。
【0024】
【図9】本発明の方法に用いるのに適当な代替的装置の模式図である。
【0025】
【図9A】環境制御装置の使用を模式的に示す。
【0026】
【図9B】二酸化塩素を発生させるための装置の使用を模式的に示す。
【0027】
【図9C】二酸化塩素ガスを構造物へ導入するための装置の使用を模式的に示す。
【0028】
【図9D】二酸化塩素ガスを構造物から除去(scrubbing)するための装置の使用を模式的に示す。
【発明の詳細な記載】
【0029】
過去の浄化の成果に基づいて、充分な死滅を達成するために、建築物の二酸化塩素燻蒸は、目標ClO濃度750ppm及び曝露時間12時間の総濃度9000ppm−時間(CT)で、最小相対湿度(RH)約65%を必要とすることが一般に認められている。他の研究者らは、ClO濃度125〜10550ppmに対して70%を超えるRHを推奨している。現在のEPAガイドラインの下で、建築物浄化用のClOの付与は、相対湿度75%及び曝露9000ppm−時間を必要とする。
【0030】
Material Demand Studies: Interaction of Chlorine Dioxide Gas with Building Materialsという表題の、2008年9月に発行されたEPAレポートは、カーペット、塗装鋼、石膏ウォールボード、天井タイル、木材、及びコンクリートの試料についてRH75%超及び温度約25℃超で実施されたグローブボックス試験を記載している。二酸化塩素濃度1000ppm及び2000ppmが、目標CT12,000ppm−時間に対して用いられた。二酸化塩素要求量は建築物の種類によって変化するが、この試験の間に電子部品、流量計、及びポンプの腐食の結果という重大な操作上の問題に遭遇した。試験チャンバー内のステンレス鋼部分についても腐食が観察された。
【0031】
閉鎖空間内に二酸化塩素を気相付与して汚染物質の除去を達成しかつ閉鎖空間内の腐食を軽減する本発明の方法において、閉鎖空間を環境制御して約5%〜約56%の範囲内の、好ましくは約35%〜約53%の範囲内の、より好ましくは約40%〜約52%の範囲内の、更により好ましくは約45%〜約50%の範囲内の、最も好ましくは約45%〜約48%の範囲内の、相対湿度(RH)を達成する。閉鎖空間の環境制御は、温度約10℃(50°F)〜約32℃(90°F)、好ましくは約18℃(65°F)〜約29℃(85°F)で実施される。「汚染物質の除去」とは、汚染物質の少なくとも95%を除去すること、又は好ましくは、汚染物質の少なくとも98%を除去すること、又はより好ましくは、汚染物質の少なくとも99%を除去することであると定義される。
【0032】
閉鎖空間内の汚染物質は:細菌、胞子、カビ、マイコトキシン、アレルゲン、昆虫、幼虫、クモガタ綱の動物、トカゲ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されることができる。閉鎖空間は、金属製物体、非金属製物体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される物体を含んでいることができる。
【0033】
閉鎖空間内の金属製物体は、鋼、アルミニウム、鉄、銅、クロム、鉛、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属から形成されることができる。非金属製物体は、木材、れんが、石材、シンダーコンクリート、セラミックタイル、天井タイル、カーペット、織物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から形成されることができる。
【0034】
本発明の或る実施態様では、y(ppm/時間)に等しい二酸化塩素のCT値で二酸化塩素ガスを閉鎖空間へ導入し、ここで、y=6x−870x+32100±1000であり、xは%RHに等しい。更なる実施態様では、CT値約29,000ppm−時間〜約1000ppm−時間で二酸化塩素ガスを閉鎖空間へ導入する。更に別の実施態様では、濃度約25ppm〜約10,000ppm、好ましくは約500ppm〜約30,000ppmで二酸化塩素ガスを閉鎖空間へ導入する。
【0035】
本発明の別の実施態様において、閉鎖空間内に二酸化塩素を気相付与する間の腐食を軽減する方法は、以下の工程:
前記閉鎖空間を環境制御して約5%〜約56%の範囲内の相対湿度を達成する工程;及び、
CT値約1000ppm−時間〜約29,000ppm−時間で二酸化塩素を前記閉鎖空間へ導入する工程;
を含む。
【0036】
ClOの気相付与の間における腐食軽減試験
本明細書で用いる「CT」又は総濃度は、二酸化塩素濃度に曝露時間(hour)を掛けた時間重み付け平均に等しい。二酸化塩素濃度対曝露時間(時間)のプロットにおいて、CTは曲線の下側の面積に等しくなるであろう。例えば、12時間の曝露時間にわたる時間重み付け平均二酸化塩素濃度が750ppmであった場合、CTは9000ppm−時間となるであろう。
【0037】
二酸化塩素の気相又は蒸気相での付与において、典型的な二酸化塩素濃度は500〜3000ppmの範囲内にあり、そして曝露時間は一般に約8〜12時間である。例えば、12時間の期間にわたる約500〜1500ppmの範囲の時間平均化二酸化塩素濃度は、カビ胞子を死滅させかつアレルゲン作用を除去するのに有効であることが見出されている(CT=6000〜18000ppm−時間)。同様に、CT9000ppm−時間は炭疽菌を死滅させるのに有効であることが見出されている。
【0038】
これらの範囲の二酸化塩素濃度に基づいて、実験室内のClO曝露チャンバーにおいて実験室腐食試験を行った。図1に示すように、材料の選択群への二酸化塩素の腐食作用を平均相対湿度48%、53%、54%、及び72%において決定した。各試料に対して約9000CT(ppm時間)に等しい二酸化塩素の総濃度を達成するのに充分な二酸化塩素濃度を用いて、48%、53%、及び54%に等しいRHにおいて6時間にわたる試験を行った(図1及び3参照)。72%に等しいRHにおいては、約6400CT(ppm時間)に等しい二酸化塩素の総濃度を達成するのに充分な二酸化塩素濃度を用いた(図3参照)。試験した試料は、アルミニウム;銅;亜鉛めっき鋼;亜鉛めっき仕上げ釘;鋼仕上げ釘;カッターナイフのかみそり刃;西洋かみそりのかみそり刃;軟鋼;及び軟鋼(スカッフ処理(scuffed))を含んでいた。
【0039】
腐食試験の実施において、望ましい各%RHレベルに対する目標設定値は以下の通りであった。
《表》

【0040】
%RHを低下させることが必要となった場合は、ストリッパーカラム温度を下げた。%RHを上昇させることが必要となった場合は、ストリッパーカラム温度を上げた。これらの温度調節は、ストリッパーカラムHO浴を用いて行った。その逆が再加熱カラム/チャンバーについて当てはまる。%RHを低下させることが必要となった場合は、再加熱カラム温度を上げた。%RHを上昇させることが必要となった場合は、再加熱カラム温度を下げた。この設定値の調節はチャンバー温度にも影響を与えることに留意しなければならない。全ての温度調節は再加熱カラム/チャンバーHO浴を用いて行った。
【0041】
最初に、両方の水浴を作動させ、そして、上記の望ましい設定値に調節した。次いで、ストリッパーカラムポンプ及びチャンバー送風機を作動させた。ストリッパーカラムを冷水道水でドレインラインまで満たし、そして、ストリッパーカラムHO浴が冷えてその設定値まで下がるようにチャンバーハッチを開けたままにした。典型的には、水浴を冷却するのに約2時間を要した。設定値に到達した後、試料をチャンバー内に置き、そして、ハッチを閉めた。ClOを導入するために、ClO溶液がドレインラインに到達して燻蒸が始まるまでストリッパーカラムにClO溶液を充填しながら、同時にストリッパーカラムから水道水をあけた。燻蒸する間、カラムに新たなClOを周期的に充填して所望の濃度を達成し、そして、濃度を維持した。二酸化塩素溶液の流量を800mL/時間に設定した。燻蒸を終了しようとするとき、両方の排気口を開け、そして、ストリッパーカラムから最も離れた口に真空ノズルを設置した。チャンバーを排気する間、ストリッパーカラムから出てくる水が透明になるまで新たな水道水でストリッパーカラムをフラッシングした。試料を取り出した。図2A〜2D、図3、及び図4において腐食試験の結果を見ることができる。
【0042】
図3に示すように、RH又はClO濃度に関わらず、アルミニウム、銅、亜鉛めっき鋼、又は亜鉛めっき仕上げ釘において、腐食はほとんど〜全く観察されなかった。対照的に、二酸化塩素の気相付与の間、相対湿度は、鋼仕上げ釘;カッターナイフのかみそり刃;西洋かみそりのかみそり刃;軟鋼に生じた腐食の量に直接的に関連している(図2A〜2D及び図3参照)。換言すれば、RHが高まるにつれ、腐食の量が増加する。増加するRHにおける二酸化塩素に曝露された軟鋼において示された腐食重量損失を図4に示す。
【0043】
目標RHにおける許容することのできる死滅レベルについての試験
実験室試験を行って相対湿度及び温度の試験条件を確立した。図5に示されるように、平均相対湿度45%、55%、65%、及び75%において二酸化塩素を用いた死滅率を決定した。106のバチルス・アトロフェウス(Bacillus atrophaeus)胞子を含む紙ストリップ(胞子ストリップ)を燻蒸チャンバー内に置いた。チャンバー及び試験ストリップを目標の相対湿度及び温度条件を維持しながら最低1時間にわたり安定化させた。次いで、これらの条件を維持しながら試験条件に合致する特定の濃度及び時間(CT)に対して二酸化塩素ガスをチャンバーに導入した。次いで、胞子ストリップを回収して培養により死滅を決定した。
【0044】
図5に示されるように、次式:y=6x−870x+32100±1000
(式中、xは相対湿度(%)に等しく、そして、yはCT、すなわち、二酸化塩素の総濃度(ppm−時間)に等しい)
に従って6log死滅(six log kill)が達成された。
【0045】
同様に、図5に示されるように、RH45%では、CT5100(ppm時間)に等しい二酸化塩素の総濃度によって、6log死滅を達成することができる。5100ppm時間のCTは、二酸化塩素を用いた燻蒸のための標準を設定する政府機関及び当業者によって確立された二酸化塩素の許容レベルの範囲内に充分入る。実際に、二酸化塩素の気相付与に対してCT9000ppmv−時間を用いるのが通例である。RH約35%においてCT9000ppmv−時間を用いて6log死滅を達成した。
【0046】
《目標RHを達成するための燻蒸すべき閉鎖空間の環境制御》
燻蒸すべき閉鎖空間内の高い相対湿度(すなわち、65〜70%の範囲内)を必要とする、従来の二酸化塩素の気相付与とは対照的に、本発明の改良された方法においては、目標とする低湿度(約45%)を達成することが必要である。燻蒸の前に、エミッターを使用して水だけによって、浄化を必要とする空間内の相対湿度を下げる(又は、或る場合には上げる)ことができる。これをシステム内の温度を調節することによって行い、そして好ましい実施態様において、以下のようにして達成する。
【0047】
本発明の或る実施態様を模式的に示す図6〜8を参照することにより本発明を更に理解することができる。好ましい実施態様において、エミッター及び冷却機を用いることにより、閉鎖空間又は構造物(例えば、建築物又は家)内の相対湿度を低下させることを達成できる。最初に、図6を参照するに、或る容量の水をエミッター100内に配置する。好ましい実施態様において、エミッター100の底部に水約2〜3フィートを配置する。次いで、この水を冷却機120に通して、建築物140の温度と比べた場合の適切な露点温度まで水温を下げる。例えば、燻蒸すべき建築物140又は他の閉鎖空間内の温度が75°Fである場合に、前記水には露点温度約52°Fが必要とされる。
【0048】
この温度を達成するために、連続的に水を冷却するポンプ260を用いて水をエミッター100から冷却機120を通して循環させる。エミッター内の水の上部にあるエアスペース内の一連の「コンデンサー」パイプ200を通して冷却水をエミッター中に還流する(図7A)。
【0049】
エミッター100において目標とする露点温度が達成された後は、送風機130を用いて建築物140から空気をエミッター100に通すことによって、燻蒸すべき閉鎖空間内の目標湿度を達成する。エミッター内のコンデンサーパイプを通って循環する露点温度の冷水により、空気から水蒸気が凝縮されるにつれて、エミッター100を通過する空気中の湿度は低下する。
【0050】
次いで、除湿された空気は建築物140内に戻る。建築物140内の目標相対湿度が達成されるまでこのプロセスを周期的に継続した後に、燻蒸を開始することができる。
【0051】
換言すれば、燻蒸を開始する前の最初の段階において、システムのバルブ構成(210,220,230)はエミッター100内の全ての水を冷却機120に直接通過させることができ、これによって、エミッター100内の水を必要な露点温度まで低下させる。この構成を用いて、送風機130を用いて空気を建築物からエミッター100内の上部スペースへ送り込みながら、エミッター100の上部のコンデンサーコイル200を通して水を循環させ続けることによって、空気が冷却コンデンサーコイル200を通過する。
【0052】
建築物140内の目標相対湿度が達成されれば、燻蒸を開始することができる。次いで、システム内のバルブ構成(220,230)を切り替えて、冷却機120が二重壁の向流型熱交換器115を含む分離タンク110内の水温を制御するようにする(図7B)。このことは二酸化塩素溶液を冷却機120に直接通さなければならないことを回避するために行われる。燻蒸プロセスの間、以下でより詳細に記載するように、二酸化塩素溶液をエミッター100中に注入し、そこでエミッター100内の水を通るバブリングエアがガスを揮散(strip out)し、次いでそれを建築物140中に運ぶ。エミッター内の水は熱交換器115に連続的に通され、前記熱交換器は、冷却機120によって冷温に保たれる冷水の中間タンク110内に位置する。このことにより、エミッター内の水の露点温度が維持される。
【0053】
図7を参照するに、最初に環境制御工程(7A)に対してシステム中のバルブを適合させる。この最初の始動工程において、水は直接にエミッターから冷却機に向かって進み続け、そして、空気は建築物からエミッターへ通されて除湿される。中間工程(7B)において、バルブを適合させて、熱交換器115を保持している水の中間タンク110を、冷却機がほぼ露点温度まで冷却する。このことを達成するために、水は冷却機120から中間タンク110へ移動し、そして、冷却機120に戻る。最後に、燻蒸の間の環境制御工程(7C)において、エミッター100からの水を中間タンク110内に位置する熱交換器115へポンプ輸送するように、バルブ(210,220,230)を適合させる。エミッター100から循環する水が中間タンク110内の熱交換器を通り、その間、中間タンク110内の水は冷却機120によってほぼ露点に保たれる。中間タンク110内の冷水は、最大の冷却効率を得るために、中間タンク110内の小型水中ポンプ105によって向流で連続的に熱交換器を循環する。
【0054】
同様に図6に示すように、システムの空気ループを平衡化された圧力下に置く。このことは、送風機130を用いて、建築物140からエミッター100及びスクラバー280へ空気を引いて(吸引による)、そして、再び戻すことにより達成される。好ましい実施態様において、送風機130は約5000立方フィート/分間(CFM)で作動する。更に、送風機150は建築物140から少量の空気を取り、そして、それをエミッター100内の水中に通して二酸化塩素ガスを揮散させる。好ましい実施態様において、送風機150は約100CFMで作動する。
【0055】
燻蒸工程のために、図8を参照するに、ポンプ250によって水をエミッター100から二酸化塩素発生器170に通して、溶液保持タンク180へポンプ輸送する(図8A)。次いで、ポンプ190を用いて溶液保持タンク180からエミッター100へ溶液をポンプ輸送する(図8B)。必要な場合には、ポンプ200をバックアップポンプとして用いて、エミッターへの溶液の流量を増加させる。エミッター内の水に空気を送る送風機150によって、エミッター100内の溶液から二酸化塩素を揮散させる。
【0056】
最終的に、化学物質をシステム内に導入して二酸化塩素を発生させるので、システム内の水溶液の体積が増加する。従って、エミッター内で一定の体積を維持するためには、廃棄物貯蔵タンク160を設けるのが有利であり、この廃棄物貯蔵タンク160は、ポンプ250によってシステムからタンク160へバルブ240を経過して過剰の流体を送り込むことによって、システムから体積を移動させる。
【0057】
図6〜8における全体のシステムは、建築物中にガスを注入すること、そして、前記建築物内の目標相対湿度を維持することの両方に対して設計されている。或る実施態様において、このことは、エミッター内の空気を露点温度に維持することにより達成される。この実施態様によると、空気が建築物に入ると、建築物内のより高い温度(例えば、約75°F)のため空気は暖められる。エミッターからの空気の温度が上昇するにつれて、相対湿度は低下する。換言すれば、エミッター内の空気が露点にあるので、バブルされそして建築物中に注入される任意のガスは、本質的に飽和している(100%RH)。この空気が建築物に入って暖まると、湿度は目標RHまで低下する。
【0058】
構造物内で二酸化塩素ガスの必要濃度が達成され、そして、目標CTを達成するのに必要な時間にわたりその濃度が維持されたならば、建築物内の空気からそのガスを除去する。このことは、調整弁300を閉じ、調整弁290を開け、そして、空気をスクラバー280に通すことにより達成される。スクラバーは活性炭の容器であるか、あるいは、酸中和剤及び脱塩素剤又は他の機能的化学薬剤(例えば、アスコルビン酸)を用いた液体スクラバーであることができる。構造物内の空気中の二酸化塩素の測定濃度が目標濃度未満に低下するまでスクラバーを通して空気を連続的に循環させる。
【0059】
本発明の更なる実施態様を模式的に示す図9を参照することによって、本発明を更に理解することができる。この更なる実施態様において、閉鎖空間又は構造物(例えば、建築物又は家)内の相対湿度を低下させる工程、及び前記構造物に二酸化塩素ガスを導入する工程を、エミッター及びスクラバーの両方として機能するエミッター/スクラバーと、除湿機及び空気再加熱ユニットの両方として機能する空気処理ユニットとを用いることにより達成することができる。
【0060】
最初に、図9Aを参照するに、送風機120によって吸引下に空気を、構造物100からエミッター/スクラバー150に、空気処理ユニット110に引いて、そして、前記構造物中に戻して再循環させる。空気処理ユニットの一部であるか又はそれとは別個であることができる送風機120は、空気再循環ループ中の任意の位置に配置することができる。
【0061】
空気処理ユニット110を通した空気の再循環の間、空気から湿気を除去するのに充分な温度に冷却コイル140を設定することによって、目標の相対湿度を達成する。コイル140上を通過する空気は、コイルの温度に近い温度まで効率的に冷却される。前記コイルを出る空気の相対湿度は、この時点で100%に近づいている。空気処理ユニット110を出る空気中の所望の相対湿度を達成するために、加熱コイル130を用いて建築物内の空気の温度まで空気を再加熱する。再加熱コイルは電気コイルであることができるか、又は冷却プロセスからの廃熱を利用することができるか、あるいは、その両方を組み合わせることができる。
【0062】
空気処理ユニットの冷却及び再加熱能力を、空気が空気処理ユニットを1回通過することにより所望の目標相対湿度を達成するか、又は空気が空気処理ユニットを2回以上通過した後に所望の目標相対湿度を達成する大きさにすることができる。
【0063】
同様に図9Aに示すように、システムの空気ループを平衡化された圧力下に置く。このことは、送風機120を用いることにより達成され、前記送風機120は、構造物100からエミッター/スクラバー150に、空気処理ユニット150に空気を引いて(吸引による)、そして、構造物中に戻す。この実施態様において、送風機120は好ましい流量約3000立方フィート/分間(CFM)で作動する。送風機120は、冷却コイル140又は再加熱コイル130の空気流量設計パラメータを超えないという条件で任意の流量で作動することができる。
【0064】
二酸化塩素溶液の生成工程について、図9Bを参照するに、最初に、二酸化塩素生成プロセスの必要を満たすのに充分な体積の水を戻りタンク250に加える。この実施態様において、好ましい体積は約250USガロンである。ポンプ260のスイッチを入れ、戻りタンク250から、二酸化塩素発生器270を通り、そして溶液タンク290へ水を送り込む。戻りタンク250内の全ての水が発生器270を通り溶液タンク290中に移されるまでこれを継続する。
【0065】
二酸化塩素ガス導入工程について、図9Cを参照するに、冷却コイル140及び再加熱コイル130の両方を作用させながら、エミッター/スクラバー150及び空気処理ユニット110を通る気流を送風機120によって維持する。その結果、エミッター/スクラバーにより気流中に導入された湿気は、空気が構造物に戻される前にいずれも除去される。
【0066】
気流に二酸化塩素ガスを導入するために、エミッター/スクラバーは最初にエミッターとして機能するように構成されなければならない。エミッター/スクラバードレイン上のバルブ180、190及び200を適合させて、エミッター/スクラバーから流出する液体を戻りタンク250へ流し戻す(drain back)。次いで、バルブ210を適合させて、ポンプ280からの流体がエミッター/スクラバー150内のスプレーヘッダーバー220を通って運ばれる。
【0067】
空気がエミッター/スクラバーを通って流れているときに、ポンプ280を作動させてスプレーヘッド220を通してエミッター/スクラバーに二酸化塩素溶液を送る。エミッター/スクラバー内のインピンジメントバンク160は二酸化塩素溶液と空気との間の密接な接触を確実にする。この接触によって、二酸化塩素ガスが溶液から放出されて気流に入ることが可能になる。
【0068】
減損した二酸化塩素溶液は、エミッター/スクラバー150からバルブ190及び200を介して戻りタンク250へ流し戻される。ミストエリミネーター170を用いて、エミッタースクラバーを出る空気から水滴を除去する。ミストエリミネーター170によって空気から取り出された液体は、バルブ180を介して、戻りタンク250中に流し戻される。
【0069】
次いで、減損した二酸化塩素溶液を、ポンプ260によって、戻りタンク250から二酸化塩素発生器270を介して溶液タンク290に送り込む。このことにより、消費された溶液は二酸化塩素を再充填されて、そして、すぐに使える状態でポンプ280によってエミッター/スクラバーに戻る。構造物内に二酸化塩素の必要濃度が達成され、そして、必要な時間にわたりその濃度に保持されて目標CTを達成するまで、このプロセスが続く。
【0070】
二酸化塩素の必要濃度が構造物内で必要時間にわたり維持されて目標CTが達成される場合、ポンプ280を止めて、そして、構造物から二酸化塩素ガスを除去するスクラビングプロセスを開始することができる。
【0071】
スクラビング工程について、図9Dを参照するに、冷却コイル140及び再加熱コイル130の両方が働いている状態で、エミッター/スクラバー150及び空気処理ユニット110を通る気流が送風機120によって維持される。その結果、エミッター/スクラバーによって気流中に導入される湿気は、空気が構造物に戻される前にいずれも除去される。
【0072】
最初に、エミッター/スクラバー150をスクラバーとして用いるように適合させなければならない。エミッター/スクラバードレイン上のバルブ180、190及び200を適合させる結果として、エミッター/スクラバーからの流体は、いずれもスクラバー溶液タンク220へ流れる。バルブ210を適合させて、ポンプ230からの流れをエミッター/スクラバー内のスプレーヘッド220へ運ぶ。
【0073】
充分なスクラバー溶液を、構造物中に残る二酸化塩素ガスの量を除去するのに必要な濃度で、スクラバータンク220に充填する。スクラバー溶液は、気流から二酸化塩素ガスをスクラビングするのに適当な酸中和剤及び脱塩素剤又は他の化学薬剤であることができる。
【0074】
ポンプ230のスイッチを入れて、バルブ210を介してスクラバー流体をエミッター/スクラバー150内のスプレーヘッダー220へ送り込む。エミッター/スクラバー内のインピンジメントバンク160は、二酸化塩素ガスを含有する気流とスクラバー溶液との間の密接な接触を確実にする。この接触によって、二酸化塩素ガスがスクラバー溶液と反応して気流から除去されることが可能になる。
【0075】
スクラバー溶液は、エミッター/スクラバーのインピンジメントバンク160からバルブ190及び200を介してスクラバー溶液タンク220に流れる。ミストエリミネーター170を用いて、エミッター/スクラバーを出る空気から水滴を除去する。ミストエリミネーター170によって空気から取り出された液体は、バルブ180を介してスクラバー溶液タンク220へ流し戻される。
【0076】
スクラバー溶液をエミッター/スクラバーにポンプ輸送し、そして、構造物内の空気中の二酸化塩素ガスの測定濃度が目標濃度未満に低下するまで、構造物からの空気をエミッター/スクラバーに通して再循環させる。
【0077】
例えば、二酸化塩素の生成に用いられる化学薬品、又はシステムをフラッシングするのに用いられる水により、システムに導入される液体の全体積を適切に収容するために、戻りタンク250、溶液タンク290及びスクラバー溶液タンク230は、導入される液体の全てを収容するのに充分な体積を有するような大きさにされる。
【0078】
その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第11/576,498号及び第11/170,973号に記載のように、気相付与について、燻蒸すべき閉鎖空間内の相対湿度を目標値まで増加させるようにシステムを適合させる必要がある場合がある。
【0079】
二酸化塩素の生成及び閉鎖空間中への導入
二酸化塩素は83ミリメートル水銀柱を超える分圧では安定しないので、高圧ガスボンベで購入することはできない。従って、除染場所で二酸化塩素ガスを生成しそれに続いて燻蒸すべき閉鎖空間中に導入しなければならない。一般に、亜塩素酸塩溶液(例えば、NaClO)を酸溶液で処理してClOを含む酸性溶液を生成し、次いでこれを水中に気体としてフラッシングして水性ClOを生成することにより二酸化塩素溶液を生成することができる。他の前駆物質、例えば、塩素酸ナトリウムを用いることもできる。
【0080】
二酸化塩素を発生させる幾つかの化学的手段及びそれらの対応する二酸化塩素前駆化学物質が当該技術分野において公知であり、そして適切な手段及び化学物質の選択は当業者の能力の範囲内である。二酸化塩素を発生させる典型的な化学的手段は、米国特許第4,689,169号(Masonら)明細書、第5,204,081号(Masonら)明細書、第5,227,306号(Eltomiら)明細書、第5,258,171号(Eltomiら)明細書、第5,965,004号(Cowleyら)明細書、及び第6,645,457号(Masonら)明細書に開示されており、これらの全体は参照することにより本明細書に組み込まれる。目的は腐食をなくすことであるので、二酸化塩素はできる限りの最高純度でなければならない。具体的には、導入される二酸化塩素ガス中に存在する塩素ガスは約5%未満、好ましくは約0.5%未満のレベルであることが好ましい。
【0081】
或る施態様において、本発明は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,468,479号に開示され及び特許請求の範囲に記載されているような、二酸化塩素発生器などの装置を用いることにより二酸化塩素を生成する工程を含む方法を提供する。直接にガスとして、又は、好ましくは水性(若しくは他の適切な液体担体)二酸化塩素の混合物として二酸化塩素を発生させる。過剰の亜塩素酸ナトリウムを用いて発生器を運転することによって、不純物として塩素ガスが発生する可能性を低下させることが好ましい。二酸化塩素を発生させる他の一般に受け入れられている方法としては、例えば、米国特許公開第2006/0068029号(米国特許出願第11/131021号)明細書に見出すことができ、その全体は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0082】
別の実施態様において、上記の環境制御工程において記載され且つ図6〜8に示されるものと同じ装置を用いて、a)浄化を必要とする空間内に二酸化塩素ガスを導入し、b)導入した二酸化塩素ガスを前記空間内に分布させ、そしてc)燻蒸を必要とする含まれている内容物にガスが浸透するのを可能にするのに充分な時間にわたって及び濃度で前記空間内に二酸化塩素ガスを保持する。
【0083】
この方法の観点は、米国特許出願第11/576,498号に記載されており、その全体は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0084】
特に、生成した二酸化塩素を直接に、又は代わりに、貯蔵タンクを介して間接的に、エミッターへ移す。或る好ましい実施態様において、エミッターは、例えば、図6〜8に示される前記ストリッパーの装置である。エミッターを運転して、空気中の二酸化塩素が実質的に爆発限界未満となるように、ガス状二酸化塩素濃度を維持する。更なる実施態様において、エミッターは、図9に示される前記の複合エミッター/スクラバーである。
【0085】
上記のように、この工程を通じて相対湿度は特定の用途に対する目標百分率に維持される必要がある。従って、二酸化塩素溶液の温度の適切な調整によって同じ装置を用いることによって、あるいは、除湿及び空気再加熱を兼備した空気処理ユニットを用いることによって、目標相対湿度を達成するための環境制御(すなわち、除湿又は加湿による)及び浄化を同時に行う。
【0086】
湿度及び温度を制御することによって閉鎖空間内の相対湿度を制御することに加えて、閉鎖空間内の照明レベルを、好ましくは実質的に暗黒まで低下させて、二酸化塩素が塩素に分解するのを最小限にすることができる。赤外線カメラ又は同様の装置を用いることによりこのプロセスをモニタリングする。除染プロセスを通じて、典型的には、温度、相対湿度、除染剤の濃度、及び接触時間を測定して記録する。
【0087】
次いで、二酸化塩素ガスの変化する発生速度を開始する(initiate)。浄化を必要とする空間内の種々の材料へ浸透するのに充分な二酸化塩素を提供するために、初期速度は高い。材料の要求を考慮するように、そして、浄化を必要とする空間の予め決定された初期装入量を二酸化塩素残留レベルまで与えるように、この速度は予め決定される。次いで、二酸化塩素発生速度を適当に低下させて、浄化を必要とする空間の空気中の予め決定された二酸化塩素濃度を、予め決定された時間にわたり維持する。このことは、種々の手段、例えば、エミッターに供給される溶液中の二酸化塩素の濃度を低下させること、又はエミッターへの二酸化塩素溶液の流量を低下させること、により達成することができる。
【0088】
二酸化塩素ガス濃度を決定して、浄化を必要とする空間からの減衰又は減損速度を補正する。浄化を必要とする空間は前記空間の外側の領域に対してわずかに負圧であることが好ましく、そして剥離性シーラント(例えば、硬化性フォーム)を用いることにより前記空間を密閉することができる。更に、浄化を受ける間、浄化すべき空間を実質的に軽量の不透質テント内に囲うことによって、導入された二酸化塩素ガスの光誘発分解を避けることができる。別の実施態様において、テントは実質的にガスに対して不透質である。
【0089】
必要とされる時間重み付けされた平均濃度及び接触時間が達成されれば、二酸化塩素の発生を停止する。次の工程において、発生器、貯蔵器及びエミッターを新しい水でパージする。それに続いて、水に、酸中和剤及び脱塩素剤又は二酸化塩素をスクラビングする他の薬剤を注入することができる。次いで、このスクラビング溶液をエミッターに供給しそして送風機を作動させたままにすると、エミッターが浄化された空間内の環境空気組成物から二酸化塩素をスクラビングし始める。
【0090】
代わりに、酸中和剤及び脱塩素剤又は二酸化塩素をスクラビングする他の薬剤を注入された水を含む別個のスクラバーシステムへ前記環境空気を通すことによって、前記環境空気から二酸化塩素をスクラビングすることができる。浄化された空間内の環境空気組成物が、外部環境を再び開いて再住居する上で許容することのできる限度に戻されるまで、このプロセスを続ける。
【0091】
エミッターは浄化を必要とする空間の内部又は外部に位置させることができる。しかしながら、浄化を必要とする空間内にエミッターを置くことが大変に好ましく、それは汚染された空気が浄化を必要とする空間から出されないからである。
【0092】
実施例1−実験室試験
2つの同一のチャンバー試験において、二酸化塩素による腐食を受けやすいことが知られている種々の金属の試料を、バチルス・アトロフェウス(Bacillus atrophaeus)の1000胞子を含む3log(log 103)胞子ストリップ及びクロストリジウム・スポロゴニエス(Claustridium sporogonies)の1000胞子を含む3log(log 103)胞子ストリッップと共に設置した。試料は、仕上げ釘、かみそりの刃、ペーパークリップ、及び金属やすりを含んでいた。最初の試験では、相対湿度75%で合計250ppmv/時間の二酸化塩素の濃度及び時間(CT)に試料を曝露した。第2の試験は、試験時間にわたり相対湿度45〜50%に湿度を保持した以外は同一内容であった。曝露の完了後に、金属試料を評価しかつ胞子ストリップを増殖に対して培養した。各試験において、胞子ストリップのいずれについても増殖はなかった。相対湿度75%の試験条件下では、試験片は全て中程度から重度の発錆及び腐食を示した。相対湿度45〜50%においては、発錆及び腐食を示した試験片はなかった。
【0093】
実施例2−フィールド試験
2500立方フィートの建造物を密閉して、そして、二酸化塩素ガスを用いた処理に対する準備をした。処理プロセスを通じて構造物から50〜100CFMで空気を引くことにより構造物を負圧下に維持した。引いた空気をカーボンフィルタに通してスクラビングすることにより二酸化塩素の排出を防止した。構造物全体にわたり6ヶ所で温度及び相対湿度をモニタリングした。外部の6トンHVACシステムを住宅構造物に接続して温度及び湿度制御を与えた。
【0094】
処理の前に建築構造物内の10ヶ所で、細菌増殖についてサンプリングを行った。試験した場所の9ヶ所がウォールボードの裏紙において硫酸塩還元細菌に陽性であった。バチルス・アトロフェウスの6log(log 106)及び3log(log 103)胞子ストリップを、密閉された壁の空洞内に埋め込んで二酸化塩素の浸透を評価した。処理領域内に10試料の金属製物体及び試験片を置いた。これらの金属製物体及び試験片は全て、より高い相対湿度レベルにおける二酸化塩素曝露に対して感受性であることが知られている材料であった。試験片はスカッフ処理された軟鋼及び高炭素鋼であった。物品は被覆されていない鋳鋼、やすり、かみそり刃、及び被覆されていない仕上げ釘であった。
【0095】
適切な大きさのガスストリッパーを備えた1日当たり6000ポンド(6000lb/日)の二酸化塩素システムを用いて建築構造物に二酸化塩素を付与した。構造物全体にわたって2800〜3800ppmvの範囲の濃度を達成するように、構造物に二酸化塩素ガスを加えた。12時間にわたり構造物に二酸化塩素を加えてこれらの濃度を維持した。処理時間中、構造物内の相対湿度を32〜45%に保った。構造物の二酸化塩素(CT)総曝露は37,000ppmv/時間であった。
【0096】
6log(log 106)及び3log(log 103)胞子ストリップはいずれも処理後に非活性化されており、そして試験した10ヶ所の壁試料はいずれも処理後に細菌増殖に対して陰性であった。かみそり刃がわずかに発錆を示したことを除いて、他の試験材料で発錆又は腐食を示したものはなかった。
【0097】
実施例3−フィールド試験
構造物を覆い(envelope)内に密閉し、構造物にスクラビングシステムを取り付けて覆い内で負圧を維持し、そして温湿度制御装置を取り付けて環境レベルを維持することにより二酸化塩素を用いた燻蒸に対して構造物を準備した。構造物は約3200平方フィートの設置面積及び53000立方フィートの容積を有していた。処理の間、相対湿度レベル38%〜56%の範囲に構造物を保った。約14時間にわたり連続的に二酸化塩素を加えて平均濃度約3800ppmvを維持した。構造物の全処理は、平均で二酸化塩素52,000ppmv時間であった。
【0098】
処理前、10ヶ所のドライウォールをサンプリングして、嫌気性、好気性、及び硫酸塩還元細菌を培養することによって細菌増殖の存在を決定した。全ての場所が、ウォールボード表面上、ウォールボードのフロント紙及び裏紙内、並びに石膏のコア内で増殖を示した。全ての場所が細菌増殖を示した。燻蒸の前に、壁の空洞内深くに6log胞子ストリップを挿入した。燻蒸の前に、サンプリングの間に作った壁の全ての貫通部を「配管工の栓(plumber’s plugs)」で塞いだ。
【0099】
燻蒸後、サンプリング場所のいずれにおいても細菌増殖は観察されなかった。胞子ストリップは全て、完全に不活性化された。燻蒸後、アリ、ハエ、幼虫、ハチ、シロアリ、及びクモを含む、多くの種類の昆虫及びクモガタ綱の動物が構造物の全体にわたり死んでいるのが観察された。燻蒸された空間内の壁及び床で多くのヤモリも燻蒸後に死んでいるのが見出された。
【0100】
高湿度での二酸化塩素燻蒸に対して感受性であることが知られているスカッフ処理された軟鋼及び高炭素鋼などの曝露された金属を、燻蒸後6時間、30日間、及び60日間に検査した。燻蒸による腐食の証拠は観察されなかった。
【0101】
実施例4−フィールド試験
二酸化塩素ガスを用いた処理を行うために5つの住宅構造物を選択した。これらの構造物の大きさは2400〜5000平方フィートの範囲で、屋根の下の容積は35000〜70000立法フィートの範囲であった。二酸化塩素ガスを用いた処理の前に発錆又は腐食の徴候について、二酸化塩素を用いる処理の前にそれぞれの住宅構造物を検査した。二酸化塩素に対して感受性であることが知られている材料を詳細に検査した。これらの物品は、ピクチャーウォール送風機ガー、仕上げ釘、安価なキャビネットヒンジ、及び磨り減ったねじ頭であった。燻蒸の前にこれらの物品全ての写真を撮った。燻蒸前に、これらの物品の中で腐食又は錆を示しているものはなかった。
【0102】
二酸化塩素1500ppmv〜4500ppmvの濃度で二酸化塩素ガスを用いて各構造物を燻蒸した。二酸化塩素濃度に時間を掛けた総量(CT)は、9000ppm時間〜54,000ppm時間の範囲であった。燻蒸の直後及び燻蒸の30日後に全ての構造物を検査した。いずれの構造物にも腐食又は発錆は観察されなかった。感受性の高い材料は全て、燻蒸の直後及び30日後の評価で腐食なしであった。
【0103】
燻蒸前の構造物内で測定された湿度は65%〜80%の範囲であった。燻蒸の直前に、湿度制御システムを用いて相対湿度レベルを48%又はそれ未満に調整した。このプロセスは冷却コイルを用いて空気から湿気を除去しそして再加熱コイルを用いて構造物内の温度を維持した。
【0104】
燻蒸の間の構造物内の温度は65°F〜85°Fの範囲であった。処理プロセスを通じて湿度を43%〜54%の範囲に維持した。燻蒸後、湿式スクラビングシステムを用いて建築物から0.1ppm未満の濃度まで二酸化塩素を除去した。スクラビング循環の間の湿度は相対湿度30%〜54%の範囲であった。
【0105】
二酸化塩素のスクラビング後の間に、外気を用いて72時間にわたり構造物をパージした。パージ空気は温度35°F〜75°Fの範囲であり相対湿度40%〜85%の範囲であった。ドライウォールコアの培養試験によって、並びに、構造物壁内の「胞子ストリップ」の挿入によって、構造物全体にわたる二酸化塩素の浸透を検証した。全ての試験及び全ての構造物における全てのコア試料及び全ての挿入された胞子ストリップについて、二酸化塩素による死滅ひいてはその浸透が明確に示された。
【0106】
実施例5−中国製ウォールボード汚染
序論
メディアレポートは、中国製ウォールボードが銅管を腐食させ、宝飾品及び銀食器を黒ずませることがあり、そして人々を病気にする可能性のあるガスを放出するという関心事が中国製ウォールボードを含む構造物に居住する自家所有者及びアパートの住人の間で広がっていることを指摘する。
【0107】
フロリダ州保健局(FDOH)により資金提供を受けた研究は、中国製ウォールボードが米国南東部に共通する温度及び相対湿度(RH)条件下で多くの還元されたイオウガスを発生させる能力を実際に有していることを確認した。FDOH研究は、高いRHレベルに曝露されたときに中国製ウォールボード試料から発生するものとして硫化水素、硫化カルボニル及び二硫化炭素を確認した。任意のRHレベルにおいて同等の米国製ドライウォール製品からは、これらのガスのいずれも発生しないことが示された。アメリカ合衆国環境保護庁(USEPA)による中国製ウォールボードの別の分析は、中国製ドライウォール材料自体にこれら3種の化合物のいずれかが存在することを示さなかった。
【0108】
中国製ウォールボード問題を解決するのに大きな有望性を示す1つの技術は、ガス状二酸化塩素(ClO)燻蒸法であり、この燻蒸法は、2001年の炭疽菌事件後に建築物内に存在するバチルス・アントラシス(すなわち、炭疽菌)汚染の拡大に対する技術的解決を図る上でUSEPA及びアメリカ合衆国郵便公社(USPS)を支援しながらSabre Technical Services,LLC(Sabre社)により独自に開発されたものである。Sabre社のClO燻蒸技術を用いて、the Hart Senate Office Building及びUSPS Curseen-Morris Processing and Distribution Center (P&DC)(ワシントンDC)、the USPS Trenton P&DC(ハミルトンタウンシップ,ニュージャージー州)、並びに the former American Media, Inc. Building(ボーカラートン,フロリダ州)から炭疽菌汚染を除去した。これらのClO燻蒸付与の規模は、小さくは100,000立方フィート(ft)〜大きくは14,000,000ft超の範囲であった。
【0109】
種々の害された構造物から得られた中国製ウォールボードの試料を用いて、Sabre社の研究開発施設(スリンガーランズ,ニューヨーク州)で行われた予備試験研究は、取り付けられたウォールボード材料に対する浄化処理剤として、ClOが実際に能力を有していることを示した。このようにして、ClOの浸透に関する実験室観察を実際の害された構造物内で確認するために、2009年6月6日にフロリダ州フォートメイヤーズの問題の住宅での実地技術検証プロジェクトを計画した。
【0110】
プロジェクトの目的
この実地技術検証プロジェクトの目的は:1)ClO燻蒸法が構造物全体にわたるガス浸透を生じさせて悪臭のある還元されたイオウ化合物の効果的な除去をもたらすことを実証すること;2)ClOが処理される構造物内で金属の腐食又は材料の漂白の点で許容することのできない変化を引き起こさないことを立証すること;及び3)硫酸塩還元細菌(SRB)が還元されたイオウガス発生の問題に重要な役割を演じていることが結果として決定された場合に、ウォールボード材料内に存在する硫酸塩還元細菌を不活性化するClOの能力を更に調査すること、であった。
【0111】
効果サンプリングアプローチ
害された構造物から還元されたイオウ化合物を除去するClOの成果を決定する上でその決定を複雑化する主因は、構造物内にこれらのガスが低濃度で存在する場合にこれらのガスを測定及び分析することが困難なことである。Sabre社は、試験構造物から還元されたイオウ化合物を除去するClOガスの効果を実証すべく種々の代替手段を用いた。
【0112】
ガス浸透−ClO処理の間で、効果的な微生物死滅が起こる前に基材酸化の効果が生ずる。微生物死滅を達成する前の基材の自然的な酸化の「要求」を克服するために、最初に所定の最小「濃度×時間」(CT)値を蓄積しなければならない。この原理が、液状及びガス状の両方のClO付与における付与量を計算する際の、意思決定の基礎をなす。従って、壁空洞内部及び基材自体内を含む構造物全体に広がった微生物死滅を示すことができる限りは、それらの場所における還元されたイオウ化合物も効果的に酸化されたと推論することが合理的である。
【0113】
試験構造物全体に広がった微生物死滅、及びその含みとしての還元されたイオウ化合物の効果的な酸化が起こったことを証明するために、Sabre社の試験アプローチは2つの代替的な微生物死滅の尺度を含んでいた。第一に、中国製ウォールボードは、通常のウォールボードと比較して、とりわけ、塗装されていない紙層において、高いSRBレベルを含んでいることが示さている。このように、処理前及び処理後のこの層におけるSRBレベルを試験することは、如何に充分にClOガスがウォールボード中に浸透して材料中に存在する還元された任意のイオウ化合物を酸化するかを示す良好な指標を提供する。第二に、既知の力価のバチルス・アトロフェウス菌胞子を含む生物学的指標(BI)である胞子ストリップを構造物全体の中で代表的な場所の壁空洞内部に配置する。バチルス・アトロフェウス種はClOガスを用いて不活性化することが最も困難であるものとして広く認識されている。従って、構造物の「届きにくい」領域(すなわち、壁の空洞内部)に広がったBIの不活性化は、還元されたイオウ化合物の酸化の広がりも構造物全体にわたって生じたことを示す。
【0114】
主観的臭気除去−還元されたイオウ化合物の臭気は極めて不快であり、高性能の分析機器の検出限界以下のレベルで、ヒトの嗅覚(すなわち、臭気)によって検出することができる。このように、処理前及び処理後にSabre社の社員及び第三者機関の感覚を用いて、還元されたイオウ化合物臭気の試験構造物からの除去におけるClOの有効性を評価した。
【0115】
銅黒ずみ除去効果−還元されたイオウ化合物は害された構造物内の銅材料を経時的に黒ずませ及び腐食することが示されている。黒ずみを生じさせる汚染された建築物内の曝露期間は典型的な環境条件下で1〜4週間であると報告されている。処理後の試験構造物内に曇りのない銅試片をおいて経時的にモニタリングした。
【0116】
試験構造物
5683 Kensington Loop in The Residences at Bell Tower Park(フォートメイヤーズ,フロリダ州)に位置する「Berkshire Floor Plan」を有するコートヤードホーム(Courtyard Home)を実地技術検証場として用いた。この2,429平方フィート2階建て住宅は、寝室3、浴室3.5、キッチン、グランドルーム、ダイニングルーム、ランドリールーム及び壁続きの車2台分のガレージからなっている。この住宅は、寝室1、浴室1及び小キッチンからなる286平方フィートのゲスト用のカバナも備えている。主住宅及びゲストカバナは、スクリーン天井囲い(screen ceiling enclosure)、れんが基礎(brick foundation)及び小スパを備えたプライベートコートヤードでつながっている。
【0117】
燻蒸の間、主住宅、ゲストカバナ及びプライベートコートヤードを含む構造物全体を不透性のポリエチレンシート材料で閉鎖してClOガスが周囲環境に放出されるのを防止した。
【0118】
試験方法及び材料
ClO燻蒸法の有効性を幾つかの異なる方法でモニタリングした。燻蒸時間の間中、重要なプロセスパラメータをモニタリングして、害された構造物内に目標とする処理条件が達成されたことを確実にした。これらのプロセスパラメータは、温度、RH、ClO濃度、及びClOCT「単位」として表される燻蒸剤の用量を含んでいた。
【0119】
構造物全体にわたってウォールボード材料から処理前及び処理後のSRB試料を集めて、それらの中に存在する細菌を不活性化し、そして、あらゆる還元されたイオウ化合物を酸化するする上でのClOガスの有効性を評価した。また、建築物壁空洞全体の中で代表的な場所にBI胞子ストリップを配置して、構造物全体にわたるガス浸透の広がりが生じたことを実証づけた。
【0120】
銅及び他の金属に対するClOの腐食能力、カーペットに対するClOの漂白能力及び処理前及び処理後の構造物内の臭気存在を含む幾つかの重要な変数について、Sabre社の社員及び第三者機関による視覚及び嗅覚観察を実施した。
【0121】
温度及びRH−4つの代表的な位置で燻蒸の間中、構造物内の温度及びRH条件をモニタリングした。モニタリングした位置はそれぞれ、家庭の暖房、換気及び空調(HVAC)システム及び気流の運動特性に基づいて温度及びRH条件を制御する上で潜在的な問題領域であると思われる場所であった。選択されたモニタリング位置は、1階のマスタースイートクロゼット内;ガレージの屋根裏アクセスポイント(attic access point)内部;ゲストカバナのキッチン内;及び2階のスイート#2クロゼット内の屋根裏アクセスポイント内部であった。
【0122】
燻蒸に対して選択される目標の温度及びRH条件は全てのモニタリング位置で温度80°F±5°F及びRHレベル45%±5%であった。
【0123】
Onset Computer社によって製造されたHOBO(商標)モデルU12−011 TEMP/RH Data Loggersを用いることにより温度及びRHレベルをモニタリングした。この計器の温度測定範囲は精度±0.63°Fで−4〜158°Fである。RH測定範囲は精度±2.5%で5%〜95%である。燻蒸プロセスの間中、温度及びRH測定値をリアルタイムでモニタリングし5分間隔で記録を取った。
【0124】
ClO濃度及びCT値−温度及びRHモニタリングに対して選択された4つの代表的な位置と同じ位置で燻蒸プロセスの間中ClO濃度レベルをモニターした。住居のHVACシステム及び気流運動特性の知見に基づいて再度これらの位置を選択した。
【0125】
このプロジェクトに対して選択された目標ClOパラメータは、全てのモニタリング位置で平均濃度500ppm以上及びCT値2,000ppm以上9,000ppm以下であった。ClO濃度のモニタリングは、ガスが構造物中に最初に導入された後間もなく始まり、そして、燻蒸プロセスの間にわたって周期的な間隔で継続した。
【0126】
内径4分の1インチの高密度ポリエチレン(HDPE)配管(tubing)で構成された試料捕集システムによってモニタリングを実施した。4つの選定したモニタリング位置から移動実験室設備内で建築物の外側に位置する中央サンプリングマニホールドまでHDPE配管を通した。試料を捕集して訓練された技術者によって分析した。サンプリングマニホールドに連続的に空気が流れるので、試料はそれが採取された時点における建築物内の目下の条件を表した。サンプリングマニホールドの下流側に真空ポンプを配置して空気を動かしてシステムに通し、そして、それを燻蒸プロセスの間にわたって連続的に構造物に戻した。
【0127】
強緩衝化pH7ヨウ化カリウム溶液15ミリリットルに流量1.0リットル/分間で通した空気2リットルの試料を、インピンジメントを介してサンプリングマニホールドから捕集した(US Occupational Safety and Health Administration Method ID126SGXの修正法)。捕集後、滴定液として0.1規定のチオ硫酸ナトリウム溶液を用いて、比色滴定によって試料を分析した(American Water Works Association Method 4500-ClO2-Eの修正法及び前記方法の修正した2段階バージョン)。
【0128】
温度及びRH条件がそれらの所望の範囲内に平衡化され、そして、構造物中にガス導入が始まった時に、一緒に設置された4つのモニタリング位置のそれぞれで燻蒸ClOCT用量「時計」を開始させた。開始後、それぞれのモニタリング位置で、燻蒸が完了としたと考えられる時点である目標とする用量レベルが達成されるまで各CT時計はClO曝露「単位」を累積した。
【0129】
SRB−中国製ウォールボード材料からのSRBの除去におけるClOガスの有効性を、ClO曝露の前及び直後に住居の壁空洞内部に位置する塗装されていないウォールボード紙の試料を集めることによって評価した。SRB試験に対して壁空洞からの塗装されていないウォールボード紙を選択したが、それはSabre社(ニューヨーク州,スリンガーランズ)の実験室施設でなされた予備的な実験室ワークによって、SRBがこの媒体において濃縮されることが示されたからである。
【0130】
選択された壁及び天井位置に2インチの円形コアを穴あけすることによって処理前のウォールボード紙試料を集めた。住居の中に存在する防湿材の損傷を避けるために、浴室又はランドリールームのいずれからも試料を集めなかった。SRB増殖を促進する条件を含む可能性が最も高い構造物内の代表的な壁空洞であるように試料位置を選択した。全部で20の試料位置を選択した。9つは壁コアでありそして11は天井コアであった。
【0131】
SRBサンプリングのために作ったウォールボードの穴のそれぞれを、2インチのゴム製膨張栓を用いて塞ぎ、サンプリング活動の結果としてClOガスが壁空洞中に浸透しないことを確実にした。
【0132】
20の処理前試料位置のそれぞれから約1インチ離れた位置に同一の2インチの円形コアを穴あけすることによって、処理後のウォールボード紙試料を集めた。
【0133】
集めた後、C461方法−硫酸塩還元細菌分析−存在/非存在を用いた第三者機関による分析のために、ウォールボード紙試料をEMLab P&Kに送った。
【0134】
BI胞子ストリップ−ウォールボード試料を集めたのと同一の20の位置で2インチ膨張栓を挿入する前に、構造物の壁空洞内に、それぞれ約2.5×10力価のバチルス・アトロフェウス胞子を含むBI胞子ストリップを配置した。ClO燻蒸に対する生物学的指標としてのその歴史的な用途によりバチルス・アトロフェウス種を選択した。
【0135】
胞子ストリップは、規定の力価の細菌胞子が含浸されている薄いセルロースパッドである。各胞子ストリップをTyvek(商標)ポーチに入れて、燻蒸剤ガスの効果的な透過を可能にすると共に、外部源による汚染からストリップを保護する。BIは、10 Evergreen Drive, Suite EのSGM Biotech社(モンタナ州,ボーズマン)から入手した(Lot#ACD-113e)。胞子力価の均一性を確保するため同一の製品バッチから全てのBIを供給した。特定のロット番号についての関連製造QA/QCデータを将来の参照のためファイルに保存した。
【0136】
燻蒸後迅速に全てのBIを回収し、そして、分析用にSabre社(ニューヨーク州,スリンガーランズ)の実験室施設に送付した。それぞれの胞子ストリップを、トリプチカーゼソイブロス(BD Diagnostics product #221823, Lot # 7337460)15ミリリットルを含有する増殖培地チューブ内に無菌的に置いて、37℃でインキュベーションした。全体で7日間にわたり指標生物の増殖の有無について胞子ストリップを毎日評価した。
【0137】
視覚的及び嗅覚的観察
ClOの金属に対する腐食能力及び家庭用カーペットに対するClOの漂白能力を、構造物全体にわたって行った処理前及び処理後の視覚的観察によって評価した。
【0138】
構造物内に存在する典型的な金属アイテム(例えば、ねじ、ドアヒンジ、HVACシステム部品など)の観察によって腐食能力を評価した。また、幾つかの銅管片を燻蒸の間にカフェカウンタートップ上へ置いて、ClOが何らかの悪影響(例えば、腐食又は変色)を引き起こさないことを確認した。燻蒸の前に各銅片をきれいに「スカッフ処理」して、ClO曝露による金属における何らかの変化が容易に識別できることを確実にした。処理前後の銅管片の写真を撮り、実施した視覚的観察を記録した。
【0139】
処理前後の両方で構造物全体にわたるカーペットの色及び明るさを観察することにより、ClOの漂白能力を評価した。また、燻蒸前に構造物内のクロゼットからカーペットの断片を取り出し、そして、プロセスの完了後で、処理されたカーペットとの直接的な視覚的比較に用いた。
【0140】
中国製ウォールボードから放出されることがFDOH研究により決定的に示された還元されたイオウガス(例えば、硫化水素、硫化カルボニル及び二硫化炭素)と一般に関連づけられる「腐敗した」特徴について、構造物内から放出される臭気レベルを処理前後の両方で観察した。
【0141】
品質管理
BI胞子ストリップ−処理試料10ごとに陽性対照試料約1の比で燻蒸されたBIと共に、合計2の陽性対照として陽性対照BIを、生死判別試験のためにSabre社の実験室へ提出した。陽性対照は、曝露されたBIと共に実験室に提出されるものと同一組成の未処理(すなわち、燻蒸されていない)BIである。陽性対照は、BI製品の品質の証拠だけでなく代用試験生物の増殖に対して適切な条件が達成されたことの証拠も提供する。陽性対照を燻蒸ガスに曝さないことを除いて、建築物からの実際の試料と同様にして陽性対照試料を扱い、包装しそして発送した。
【0142】
結果
温度及びRH−各モニタリング位置について平均温度及びRHレベルを計算する目的でMicrosoft社のExcel(商標)スプレッドシートに、HOBO(商標)データロガーから温度及びRH生データをエクスポートした。これらの平均温度及びRH値(±1標準偏差)を表1に示す。
【表1】

【0143】
モニタリングデータは、燻蒸の全体を通して温度及びRHが目標レベルに近く維持されたことを示した。ゲストカバナにおいて観察されたわずかに高いRHレベル(51.7%)はコートヤードのスパの水の存在の結果であると考えられた。
【0144】
ClO濃度及びCT値−各モニタリング位置について平均ClO濃度及び累積CT値を計算する目的でMicrosoft社のExcel(商標)スプレッドシートに試料の収集及び解析の生データを入力した。これらの平均ClO濃度及びCT値(±1標準偏差)を表2に示す。
【表2】

【0145】
モニタリングデータは、燻蒸に対して規定された目標範囲内にClO濃度及びCT値が維持されたことを示した。2階の屋根裏アクセスポイントにおいては500ppmよりわすかに低い平均ClO濃度が維持されたが、最小2,000ppm−時間を大きく上回る対応CTがこの位置でも達成された。
【0146】
SRB−燻蒸の前後に壁空洞内から集められ、EMLab P&Kに送られた20の塗装されていないウォールボード紙試料についてのSRB増殖試験結果を表3に要約する。
【表3】

【0147】
SRB増殖データは、燻蒸前の塗装されていないウォールボード紙内におけるSRBの広範囲の存在を示した。20の試料位置のうち12ヶ所でClO処理前にSRBに対して陽性であることが見出された。処理後は、20の位置全てでSRB増殖に対して陰性であることが決定された。
【0148】
BI胞子ストリップ−燻蒸の間、構造物の壁空洞内に配置された20のBI胞子ストリップについての生死判別試験結果を表4に示す。
【表4】

【0149】
BI試験結果は、燻蒸の間で、壁空洞内を含む構造物全体にわたって有効なClOガス浸透が生じたことを立証した。壁空洞内の極めて困難な位置に配置された20のlog10バチルス・アトロフェウス胞子ストリップは、それぞれClO処理後の代用試験生物増殖について陰性であることが見出された。
【0150】
陽性対照BI胞子ストリップ試料は両方とも指標生物増殖に対して陽性であることが見出され、このことによりBI製品の品質が良好であったこと及び代用試験生物の適切な増殖条件が実験室において達成されたことが示された。
【0151】
視覚的及び嗅覚的観察
燻蒸後に構造物内に存在する一般的な金属アイテムについて行われた観察は、ClOガスに対する曝露から腐食の影響が見られなかったことを示した。同様に、カフェカウンタートップ上に置かれた銅管片においても、処理後に一部の銅管片が「金に似た」色合いを有するように見えたという小さな例外を除いて、変化は観察されなかった。
【0152】
燻蒸後に構造物全体にわたってカーペットの色及び明るさについて行われた観察は、ClOガスに対する曝露から有意な漂白の作用が生じなかったことを示した。燻蒸前に構造物から取り出した非処理カーペット片と処理されたカーペットとを直接に並べた比較はこの知見を裏付けた。カーペットの染料ロット及び色は異なって挙動するのでそれらを個別に評価する必要があることに留意すべきである。
【0153】
中国製ウォールボードから発生することが知られている還元されたイオウ化合物に特徴的な腐敗した臭気は、燻蒸前の構造物全体にわたってSabre社の社員及び第三者機関のいずれにも容易に明らかであって、ガレージ及びカバナ領域でとりわけその臭気が強かった。燻蒸後、ClOガスの使用から構造物内に弱い「水泳プールのような」特有のにおいがしたが、還元されたイオウガス臭気は完全に除去されたことが明らかであった。
【0154】
結論
温度、RH、ClO濃度及びCT値を含む全てのプロセスパラメータ目標がこのフィールド技術検証プロジェクトの間に達成され、そして全ての目的が満たされた。
【0155】
ClO燻蒸プロセスはウォールボード材料内に存在するSRBだけでなく、壁空洞内に埋め込まれたBI胞子ストリップをも不活性化することできることが示され、このことは用いたCT値において、害された構造物に完全に浸透して還元されたイオウ化合物を酸化するClOガスの能力を証明した。更に、ClOは処理された構造物内で金属腐食又は材料漂白の点で許容することのできない変化を引き起こさないことが実証された。
【0156】
当業者であれば、本明細書に記載した本発明が二酸化塩素の特定の気相付与に限定されることなく、広範囲の燻蒸及び気相付与、例えば、限定的でなく、炭疽菌又は他の細菌除染、病院内のチャンバー滅菌、カビ浄化、ウォールボード浄化、及び医療廃棄物の消毒を包含することを理解されるであろう。更に、本発明は、本明細書に記載した特定の実施態様により範囲を限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載により規定される。記載した実施態様は本発明の個々の側面の説明として意図されるものであり、そして機能的に等価の方法及び成分は本発明の範囲内にある。実際に、本明細書に示し及び記載したものに加えて、本発明の種々の変形が、上記の記載及び添付の図面から当業者に明確となるであろう。かかる変形は特許請求の範囲内に入ることが意図されている。

頭字語の一覧
BI 生物学的指標
CFM 立法フィート/分間
ClO 二酸化塩素
CT 濃度×時間
DFU 乾燥フィルター単位
F ファーレンハイト
FDOH フロリダ州保健局
HDPE 高密度ポリエチレン
HVAC 暖房、換気及び空調
P&DC 処理及び配送センター
ppm 体積百万分率
RH 相対湿度
Sabre Sabre Technical Services, LLC
SRB 硫酸塩還元細菌
USEPA アメリカ合衆国環境保護庁
USPS アメリカ合衆国郵便公社

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖空間内での二酸化塩素の気相付与方法であって:
前記閉鎖空間をx(%)に等しい相対湿度(RH)に環境制御する工程と;
二酸化塩素ガスを発生させる工程と;
二酸化塩素ガス濃度及び接触時間の特定の条件(CT条件)下に、二酸化塩素ガスを前記閉鎖空間へ導入する工程と;
を含み、前記RHが約5%〜約56%の範囲内にある、前記方法。
【請求項2】
前記RHが約35%〜約53%の範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記RHが約45%〜約48%の範囲内にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
二酸化塩素ガスを導入する前記工程が:二酸化塩素ガスを濃度約25ppm〜約10,000ppmで閉鎖空間へ導入する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記CT条件が、(a)前記閉鎖空間内の汚染物質を除去するのに効果的であり;及び/又は(b)前記気相付与の間の前記閉鎖空間内の腐食を軽減するのに効果的である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記RHが約35%〜約53%の範囲内にある、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記RHが約45%〜約48%の範囲内にある、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記閉鎖空間内の前記汚染物質が、細菌、胞子、カビ、マイコトキシン、アレルゲン、昆虫、幼虫、クモガタ綱の動物、トカゲ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記閉鎖空間が、金属製物体、非金属製物体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される物体を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記金属製物体が、鋼、アルミニウム、鉄、銅、クロム、鉛、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属から形成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記非金属製物体が、木材、れんが、石材、コンクリート、セラミックタイル、天井タイル、カーペット、織物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から形成される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
二酸化塩素ガスを導入する前記工程が:二酸化塩素ガスをCT値約150ppm−時間〜約29,000ppm−時間で閉鎖空間へ導入する工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
二酸化塩素ガスを導入する前記工程が:二酸化塩素ガスをCT値約1,000ppm−時間〜約29,000ppm−時間で閉鎖空間へ導入する工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
二酸化塩素ガスを導入する前記工程が:二酸化塩素ガスをCT値約1,196ppm−時間〜約28,900ppm−時間で閉鎖空間へ導入する工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項15】
二酸化塩素ガスを導入する前記工程が:二酸化塩素ガスをCT値約1,844ppm−時間〜約10,000ppm−時間で閉鎖空間へ導入する工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
二酸化塩素ガスを導入する前記工程が:二酸化塩素ガスをCT値約3,164ppm−時間〜約6,100ppm−時間で閉鎖空間へ導入する工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
二酸化塩素ガスを導入する前記工程が:二酸化塩素ガスを濃度約25ppm〜約10,000ppmで閉鎖空間へ導入する工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項18】
前記二酸化塩素ガスを、濃度約500ppm〜約3,000ppmで閉鎖空間へ導入する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
閉鎖空間を環境制御する前記工程を、温度約50°F〜約90°Fで実施する、請求項5に記載の方法。
【請求項20】
閉鎖空間を環境制御する前記工程を、温度約65°F〜約85°Fで実施する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記二酸化塩素ガスを、y(ppm−時間)に等しい二酸化塩素のCT値で、閉鎖空間へ導入し、ここで、y=6x−870x+32100±1000であり、xは%RHに等しいものとする、請求項1〜8又は12〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記二酸化塩素ガスを適切な時間にわたり閉鎖空間へ導入して、y(ppm−時間)に等しい二酸化塩素のCT値を達成する、請求項1〜8又は12〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
閉鎖空間内に二酸化塩素を気相付与する間の腐食を軽減する方法であって:
前記閉鎖空間を、約56%を超えない相対湿度に環境制御する工程と;
二酸化塩素ガスを発生させる工程と;及び、
所望レベルの標的生物の死滅又は汚染物質の酸化を達成するのに有効なCT値で、二酸化塩素ガスを前記閉鎖空間へ導入する工程と;
を含む、前記方法。
【請求項24】
前記閉鎖空間を環境制御して約5%〜約56%の範囲の相対湿度を達成する工程、並びに、二酸化塩素ガスをCT値約150ppm−時間〜約29,000ppm−時間で閉鎖空間へ導入する工程を更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記二酸化塩素ガスをCT値約1,000ppm−時間〜約29,000ppm−時間で閉鎖空間へ導入する、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記二酸化塩素ガスをCT値約1,196ppm−時間〜約28,900ppm−時間で閉鎖空間へ導入する、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項27】
前記二酸化塩素ガスをCT値約1,844ppm−時間〜約10,000ppm−時間で閉鎖空間へ導入する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記二酸化塩素ガスをCT値約3,164ppm−時間〜約6,100ppm−時間で閉鎖空間へ導入する、請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【公表番号】特表2012−528674(P2012−528674A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513951(P2012−513951)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/032812
【国際公開番号】WO2010/141169
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(511294110)サブレ インテレクチュアル プロパティー ホールディングズ エルエルシー (1)
【氏名又は名称原語表記】Sabre Intellectual Property Holdings LLC
【Fターム(参考)】