説明

ガス生成物質とその合成

テトラゾール環の5−位置で置換された、ビニル化テトラゾールが、水性の方法によって形成される。ビニル化されたテトラゾールを含んでいるガス発生組成物12は、例示的なガス生成装置10内に含まれている。ガス生成システム200はビニル化されたテトラゾールをその内部に含む。乗り物乗員保護システム180はガス生成システム200を組込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2004年6月2日に出願された米国仮出願番号60/576,769の利益を要求する。
【0002】
背景
典型的には、ポリマー化合物はポリマー燃料および/またはバインダーを合成するのに有用である。製造工程は、参照され本明細書の一部として組み込まれる、米国特許3,096,312に記載されたもののような有機溶媒の使用をしばしば含む。環境上の見地から、有機溶媒の使用は、排出物の生態学的衝撃を複雑にする。更に、有機ポリマーの処理手順は比較的長く複雑である。ポリマーは、水中へ有機溶媒を排水することにより一般に沈殿される。従って、環境への配慮により、有機的手順は、溶剤が混合物から蒸留されることを必要とし、そのためにより高いエネルギーおよび高温を要求する。別法として、溶剤は水と混合して処理される。しかしながら、全体のスラリーが廃棄物と考えられるので、この別法はコストが大きくなる。そのため、燃料および/またはバインダーを製造するために使用されるポリマーの公知の製造方法は、水性の合成方法の提供により改善されることができる。ポリマーを製造するための水性のプロセスは、合成の間に排出される揮発性有機化合物を減じることにより、より安全な合成を提供し、合成中の有機溶媒の削除または削減により、合成からの廃棄物の環境影響も減じられるだろう。
【0003】
要約
ポリマーのバインダーおよび/または燃料を合成する改善されたプロセスは、製造工程中の有機溶媒の必要性を回避する。本発明の合成は水性で、水からのろ過の第1工程および酸性水からのろ過の次工程を含んでいる。蒸留または高エネルギーのコストは必要ではない。より詳細には、ポリ(5−ビニルテトラゾール)の合成についてのプロセスが開示される。下に示される反応は、示されるように5−位置で置換された、テトラゾール含有ポリマーを製造する方法の好ましい実施態様を例証する。しかしながら、以下に示す反応において、ニトリル基を含む任意のポリマーが出発ポリマーとして使用されることができ、それにより、基としてテトラゾール環を有しているポリマー生成物が得られると考えられる。
【0004】
【化1】

【0005】
その反応は、乳化剤として様々な界面活性剤を使用した、ポリ(5−ビニルテトラゾール)の改善された水性[2+3]環化付加と呼ばれることがある。上に示されるように、ニトリル基を含んでいる他のポリマーも同じ利益を提供すると信じられているが、好ましい反応性ポリマーはポリ(アクリロニトリル)である。すなわち、テトラゾール基を含有するポリマー生成物を製造するために、他のニトリルポリマーも反応性ポリマーとして使用することができる。上記の反応に関して、反応性ポリマーは、1.0から1.5のモル当量で提供される。アジド塩、またはアジド基を有する塩はニトリルポリマーと混合される。従って、アジ化ナトリウムは、1.1から1.5のモル当量範囲で好ましくは提供される。更に、臭化亜鉛のような触媒試薬も、約0.5から1.5のモル当量範囲で提供される。最後に、ラウリル硫酸アンモニウムまたは他の非金属界面活性剤のような界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウムまたは他の金属界面活性剤、Dial石鹸、Dawn食器用洗剤または他の公知の界面活性剤または分散剤、またはそれの混合物は、0.005から0.05モルの当量範囲で好ましくは提供される。上記のモル量は単に好ましい範囲であることは認識されるだろう。したがって、各成分の異なる有効量をそれぞれ使用することができる。
【0006】
本発明の詳細な説明
本発明により、たとえばガス生成組成物の合成に有用な、ポリマー燃料または成分の合成のための水性の合成法が開発された。
【0007】
その合成は、混合容器内で、少なくとも1つのアジド塩、少なくとも1つの界面活性剤および水を室温でゆっくりと撹拌して均一の混合物を形成することにより始められる。これらの3つの成分を前もって混合する場合、ブレンダーは低速で使用されてもよい。その後、少なくとも1つの反応物ポリマーは、粉末形状で、均質の混合物へ混合され、高速で、急速に撹拌されるか急速に混合され、均質のエマルションを形成する。適切に混合されると、エマルションまたはディスパージョンはミルクのように見えるだろう。その後、その混合物を100℃から20℃に加熱し、所望の期間の間、その温度で保持される。昇温状態は、好ましくは24時間ないし72時間保持される。24時間の加熱により、約40%の収率を提供することが見出された。他方、加熱のより長い期間は改善された収率を与える。
【0008】
本発明の手順によって生産されたバインダー/燃料は、ガス生成物質組成物の中で使用されることができ、少なくとも1つの酸化剤と混合され、そして、所望であれば少なくとも1つの第二の燃料、およびガス生成物質組成物において有用な他の公知の成分と混合されることができる。特に、それらは乗り物乗員保護システム中で使用される。
【0009】
ニトリル基またはシアノ(ニトリル)官能基を有する1つ以上の反応性ポリマー化合物は、ポリシアノアクリレート;ポリハロアクリロニトリル(ハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であることができる);ポリトリアリルシアヌレート、セルロース シアノエチル エーテル;およびポリメタアクリロニトリル;から選択することができる。使用が企図される他のニトリル含有化合物としては、ニトリル官能基を含むオリゴマー、コポリマーまたはブロックコポリマーまたはそれらのブレンドがあげられ、たとえば、ポリブタジエン/アクリロニトリルおよびポリスチレン/アクリロニトリル、およびそれらの混合物があげられる。ニトリル含有ポリマーは、たとえば、www.polysciences.comのPolysciences社から入手することができる。反応性ニトリル含有ポリマーまたはオリゴマーの分子量は、数千ダルトンから約100万ダルトンまで変化することができる。一般に、一旦ポリマーが、20,000−30,000の分子量範囲に到達すれば、ほとんどのポリマーでは物質特性(レオロジー)はあまり変わらないと信じられている。ポリアクリロニトリルのほとんどの商用的なソースは、約150,000ダルトンの分子量のポリマーを含有する。水中の反応性ポリマーのモル数は、好ましくは約0.5から1.5までの範囲である。
【0010】
1つ以上のアジド塩類が有機および無機塩類から選ばれることができる。例示的なアジド塩類としては、アンモニウムアジド、カリウムアジドおよびトリメチルシリルアジドがあげられる。
【0011】
1つ以上の界面活性剤は相間移動触媒、たとえば、第四級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリル硫酸アンモニウムのようなラウリル硫酸塩、Dial(登録商標)のようなハンドソープ、Dawn(登録商標)ような食器用洗剤、他の官能性界面活性剤およびそれの混合物から選ばれることができる。
【0012】
1つ以上の触媒試薬は、臭化亜鉛、塩化亜鉛および臭化亜鉛二水和物をはじめとする亜鉛含有化合物から選ばれることができる。触媒試薬はたとえば、繰り返して、触媒有効量で加えられる。一般に、触媒試薬はルイス酸として機能し、アルドリッチ・ケミカル社のような公知のサプライヤから購入することができる。
【0013】
図1および2を再び参照する。ガス生成組成物12はインフレータ10内に含まれており、公知の技術により製造される。ガス生成組成物12がポリマー燃料、バインダー、および/または上記の合成から提供されるような成分を含むであろう。ガス生成組成物12は、当該技術分野において有用であることが知られている任意のガス生成物質をさらに含むことができる。望ましいガス生成物質組成物は、たとえば、ペレット化された形状であることができ、参照され本明細書の一部として組み込まれる、同時に所有される米国特許番号5,035,757、5,872,329および6,210,505に記述されたものを含むが、これらに限定されるものではない。これらのガス生成物質組成物のうちの任意の燃料成分は、設計基準にしたがって、本発明により形成されたポリマー性テトラゾール成分に対して、増大されることがあるし削減されることもあることが認識されるだろう。さらに、本発明に従って形成されたポリマー性テトラゾール成分は、公知のプロペラント生産技術に従って、記載された例示的な組成物、またはガス生成物質として有用な他の組成物と一体とされることができる。
【0014】
米国特許5,037,757は、アミノテトラゾール、テトラゾール、ビテトラゾールおよびそれらの金属塩類のようなテトラゾール化合物、および1,2,4−トリアゾール−5−オンまたは3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール−5−オンおよびこれらの化合物の金属塩類のようなトリアゾール化合物を含む、アジド非含有のガス生成化合物を開示する。これらの化合物のある種の金属塩類(アルカリ土類金属塩)は、少なくとも部分的には、高温スラグ形成剤として機能することができる。例えば、テトラゾールまたはビテトラゾールのカルシウム塩は、燃焼に際して、高温スラグ形成剤として機能する酸化カルシウムを生成する。マグネシウム、ストロンチウム、バリウムおよび恐らくセリウム塩類は同様に作用するだろう。低温スラグ形成剤と組み合わされて、濾過可能なスラグが形成されるだろう。それらが燃焼により、より低い融点のケイ酸塩または炭酸塩を与えることができるので、アルカリ金属塩類(リチウム、ナトリウム、カリウム)を低温スラグ形成剤と、少なくとも一部分見なすことができる。
【0015】
酸化剤は、一般にシステム中にある酸素のすべてまたは大部分を供給する。さらに、しかしながら、それらは、反応系に高温スラグ形成剤を含ませる好ましい方法である。アルカリ土類金属硝酸塩および硝酸セリウムはすべて高温スラグ形成能を備えた酸化剤であるが、ほとんどのこれらの塩類は吸湿性で、有効に使用するのが難しい。硝酸ストロンチウムと硝酸バリウムは、無水の状態で得るのが簡単で、優れた酸化剤である。高温スラグ形成剤と組み合わされたとき、アルカリ土類金属およびアルカリ金属の硝酸塩、塩素酸塩および過塩素酸塩は他の有用な酸化剤である。
【0016】
高温スラグ形成剤として機能する物質は、燃焼温度以上の融点を有しているか、または燃焼温度以上の融点を有する化合物へ分解する。アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物およびシュウ酸塩は有用な高温スラグ形成剤である。溶融する前に分解して、非常に高い融点(2800℃)を有する酸化マグネシウムを形成するので、炭酸マグネシウムおよび水酸化マグネシウムは非常に有用な高温スラグ形成剤である。上述のように、それらが高温スラグ形成剤および酸化剤としての両方として役立ち、それにより、単位重量当たりの生成ガス量を増加させるので、硝酸ストロンチウムのような酸化剤は特に有益である。
【0017】
酸化剤ほど効率的でないが、5−アミノテトラゾール、テトラゾールまたはジテトラゾールのカルシウムまたはストロンチウム塩のような、燃料としての金属塩類も、有用な高温スラグ形成剤である。チタン、ジルコニウムおよびセリウムの酸化物のような高い融点を有する他の金属酸化物も、有用な高温スラグ形成剤である。
【0018】
低温スラグ形成剤として機能する物質は、燃焼温度以下の融点を有しているか、または燃焼の間に燃焼温度以下の融点を有する化合物を形成する。二酸化ケイ素(SiO)、三酸化二硼素(B)、五酸化バナジウム(V)、ケイ酸ナトリウム(NaSiO)、ケイ酸カリウム(KSiO)、炭酸ナトリウム(NaCO)および炭酸カリウム(KCO)のような化合物は、低温スラグ形成剤の例である。
【0019】
上記に示されたように、例示的な火工品、スラグ成形性のガス生成物質混合物は、以下の物質のそれぞれを少なくとも1つ含むことができる。
a.上記の水性方法により合成されたポリマー性テトラゾールから選ばれた燃料、およびアミノテトラゾール、テトラゾール、ビテトラゾール、およびこれらの化合物の金属塩類をはじめとするテトラゾール化合物、並びにトリアゾール化合物およびトリアゾール化合物の金属塩類から選ばれた二次的な燃料。
b.アルカリ金属、アルカリ土類金属、ランタニドおよびアンモニウムの硝酸塩および過塩素酸塩を含む群から選択されるか、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩素酸塩または過酸化物を含む群から選ばれた、酸素含有酸化剤化合物。
c.アルカリ土類金属または遷移金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、シュウ酸塩、過酸化物、硝酸塩、塩素酸塩および過塩素酸塩を含む群、または、テトラゾール類、ビテトラゾール類およびトリアゾール類のアルカリ土類金属塩類を含む群から選ばれた高温スラグ成形物質。
d.二酸化ケイ素、三酸化二硼素および五酸化バナジウムを含む群、アルカリ金属のケイ酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩または塩素酸塩を含む群、テトラゾール類、ビテトラゾール類およびトリアゾール類のアルカリ金属塩類を含む群または、様々な天然のクレー、マイカおよびタルクを含む群から選ばれた低温スラグ成形物質。
【0020】
米国特許5,872,329は、酸化剤として硝酸アンモニウムを使用し、硝酸アンモニウム相安定剤として硝酸カリウムを使用する、乗り物乗客拘束システムのための非アジドガス生成物質を開示する。相安定化された硝酸アンモニウムと組み合わされる燃料は、上記の水性剛性により形成されたポリマー性テトラゾールに加え、カチオン性アミン成分およびアニオン成分を有する、テトラゾール類およびトリアゾールのアミン塩類を含む群から選ばれる。アニオン性の成分はテトラゾールまたはトリアゾール環を含み、テトラゾール環の5−位置に1つのR基が置換しているか、またはトリアゾール環の3−位置および5−位置に2つのR基が置換している。R基は、水素、および任意の窒素含有化合物、たとえば、アミノ、ニトロ、ニトロアミノ、テトラゾリル、およびトリアゾリル基から選ばれる。カチオン性アミン成分は、アンモニア、ヒドラジン、グアニジン化合物、たとえば、グアニジン、アミノグアニジン、ジアミノグアニジン、トリアミノグアニジン、ジシアンジアミド、ニトログアニジン、窒素置換されたカルボニル化合物、たとえば、尿素、カルボヒドラジド、オキサミド、オキサミックヒドラジド、ビス−(カルボンアミド)アミン、アゾジカルボンアミド、およびヒドラゾジカルボンアミド、およびアミノアゾール、たとえば、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−ニトロ−1,2,4−トリアゾール、5−アミノテトラゾールおよび5−ニトロアミノテトラゾールから選択される。任意の不活性添加物、たとえば、クレーまたはシリカを、バインダー、スラグ形成剤、クーラントまたは加工助剤として使用することができる。非アジドプロペラントで構成された任意の点火助剤も、公知の点火助剤、たとえばBKNOの代わりに利用されることができる。ガス生成物質は、粉砕された成分の乾式混合および圧密によって調製される。
【0021】
ガス生成物質組成物中の主燃料として使用される他の高窒素非アジドとしては、特に以下から選択されるテトラゾールおよびトリアゾールのアミン塩があげられる:5,5’−ビス−1H−テトラゾールのモノグアニジニウム塩(BHT・1GAD)、5,5’−ビス−1H−テトラゾールのジグアニジニウム塩(BHT・2GAD)、5,5’−ビス−1H−テトラゾールのモノアミノグアニジニウム塩(BHT・1AGAD)、5,5’−ビス−1H−テトラゾールのジアミノグアニジニウム塩(BHT・2AGAD)、5,5’−ビス−1H−テトラゾールのモノヒドラジニウム塩(BHT・1HH)、5,5’−ビス−1H−テトラゾールのジヒドラジニウム塩(BHT・2HH)、5,5’−ビス−1H−テトラゾールのモノアンモニウム塩(BHT・1NH)、5,5’−ビス−1H−テトラゾールのジアンモニウム塩(BHT・2NH)、5,5’−ビス−1H−テトラゾールのモノ−3−アミノ−1,2,4−トリアゾリウム塩(BHT・1ATAZ)、5,5’−ビス−1H−テトラゾールのジ−3−アミノ−1,2,4−トリアゾリウム塩(BHT・2ATAZ)、5,5’−アゾビス−1H−テトラゾールのジグアニジニウム塩(ABHT−2GAD)、および5−ニトロアミノ−1H−テトラゾールのモノアンモニウム塩(NTA−1NH)。非アジド燃料は一般にガス生成組成物の合計の重量の、15−65%、好ましくは20−55%を構成する。
【0022】
テトラゾールまたはトリアゾールの先のアミン塩類は、たとえば、相安定化された硝酸アンモニウムと乾燥混合され、それにより燃焼の際に生成される固形物の総量を最小にする。酸化剤は、ガス生成組成物の合計の重量の、約35から85重量%の濃度で一般に使用される。5,872,329の組成物に関し、酸化剤は一般にガス発生組成物の合計重量の約35から85重量%で使用される。同時に所有され、1996年7月2日に許可され、参照され本明細書の一部として組み込まれる、米国特許5,531,941、「Process For Preparing Azide−Free Gas Generant Composition」に教示されるように、硝酸アンモニウムは硝酸カリウムによって安定される。PSANは85−90%のANおよび10−15%のKNを含み、ANとKNの共結晶化のような任意の適当な手段によって形成され、それにより−40℃から107℃の間で起こる純粋な硝酸アンモニウム(AN)に生じる固体−固体の相変化が防止される。KNは純粋なANを安定させるために好ましく使用されるが、当業者には他の安定化剤がANと共に使用されてもよいことを容易に認識するだろう。
【0023】
スラグ形成剤、バインダー、加工助剤またはクーラントが望まれる場合、クレー、珪藻土、アルミナまたはシリカのような不活性な成分が、ガス生成組成物の0.1−10%の濃度で提供され、燃焼に際して生成される有毒の流出物が最小限にされる。従って、本発明により形成されたガス生成組成物は、典型的には、約20−60重量%の燃料、約40−80重量%の酸化剤、および概略で約0から20重量%で任意に含まれる他の成分を含むことができる。
【0024】
水性の合成において記載された様々な成分は、公知のサプライヤまたは公知のプロセスから得られることができることが認識されるだろう。例えば、ポリ(アクリロニトリル)のようなニトリル基を含んでいるポリマーは、たとえば、ペンシルバニア州のPolysciences社から得られることができる。ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル社も、反応性ポリマー、アジド塩および塩化アンモニウムを提供することができる。たとえば、ラウリル硫酸アンモニウムのような界面活性剤はイリノイ州シカゴのローディアケミカル社によって提供されることができる。
【0025】
実施例
ポリ(5−ビニルテトラゾール)の水性合成:
反応成分の混合の方法および順番は重要ではない。反応容器は、誘導コイルのような加熱手段、およびローターのような撹拌手段を備えて提供される。所望により、他の加熱および撹拌手段が提供されることができる。1モル当量のポリアクリロニトリル(Polysciences社製)、1.1モル当量のアジ化ナトリウム(アルドリッチ社製)、0.5モル当量の臭化亜鉛二水和物(アルドリッチ社製)、および28重量%の水溶液としてのラウリル硫酸アンモニウム約0.0025モル当量(Rhodia社製)が、反応容器に加えられた。水中でのポリマーの最終モル濃度は約1である。例示的なバッチは約47.7グラムのポリマー、64.29グラムのアジド塩、117.41グラムの臭化亜鉛二水和物、2.25mlの界面活性剤および900mlの水を使用する。過剰のアジド塩が使用され、少なくとも0.5モル当量の亜鉛が使用される限り、モル比は変化することができる。界面活性剤の量も、最高0.1当量、最低0.000001モル当量の範囲で変えることができる。水の量も変化することができ、典型的には約0.1から5モル当量の溶液であることができる。
【0026】
一般に、成分はすべて反応容器に加えられ、混合され、内部に密閉される。混合物は好ましくは連続的に撹拌され加熱される。好ましくは約170℃、約80−100psiである。
【0027】
その混合物はその後、温度を維持しつつ、好ましくは12−48時間の間、反応される。この場合は、混合物は約24時間反応させ、次いで室温に冷却した。その後、ミルク状の内容物はブーフナー漏斗でろ過され、等量の水で洗浄された。次に、内容物は、3.0リットル(1.0−10.0リットルの間)の冷水(0.1−24℃の間)中に分散され、迅速に撹拌した。
【0028】
その後、HCl、HSOまたはHNOのような酸を加えサスペンジョンのpHを1−3の間に調節し、ついで混合物を約20分間連続的に撹拌した。その後、そのサスペンションは、ナイロンスクリーンを使用してブーフナー漏斗で再度ろ過され、等量の水で洗浄された。漏斗中にゴム状の湿った物質が残された。ついでこれを取り出し、標準的なはさみを使用して、比較的小さな片に切断した。その後、物質は約1.0リットルの水中に懸濁され過剰(少なくとも1モル当量)の水酸化アンモニウム(アルドリッチ社製)を、サスペンジョンを撹拌しながら、サスペンジョンに加えた。サスペンションはゆっくり溶解され、熱(約25−100℃)が加えられ、溶解速度が増加された。その混合物は比較的大きな粘度になり、撹拌が停止された。その後、その溶液は、平らなパンに注がれ、空気乾燥されて、過剰のアンモニアが除去された。その後、物質は、オーブンの中でさらに乾燥させられ、次に、ボールミルにかけられて微粉砕された。水酸化アンモニウムの追加の後、生成物は完全に反応させられた。乾燥および物質加工のすべての他の工程が完了された。赤外分析法と元素分析は、生成物はポリ(5−ビニルテトラゾール)であるたことを示していた。
【0029】
実施例1に記載された方法が一般的な合成方法の例示であることは認識されるべきである。シアノまたはニトリル官能基を有する任意のポリマーが、等しいモル量で等価な化合物として使用されることができ、それによりテトラゾール環の5−位で置換されたポリマー性のビニルテトラゾールを得ることができる。
【0030】
【化2】

【0031】
一般に、上記で詳述したように、5−位で置換された、ビニル化テトラゾールを形成する方法は、次の工程を含んでいる:
1.反応容器を提供する工程;
2.水、少なくとも1つのアジド塩、少なくとも1つの界面活性剤、少なくとも1つの亜鉛含有化合物、および少なくとも1つのシアノまたはニトリル官能基を有するポリマーを反応容器に加える工程、ここで水、アジド塩、界面活性剤、亜鉛含有化合物およびポリマーを反応容器に加える順番は変えることができる;
3.反応容器の内容物を混合して液体混合物とし、混合物を反応させる工程;
4.反応容器の内容物を洗浄し、ろ過し、ろ液/水混合物を生成する工程;
5.ろ液/水混合物を酸性にし、pHを約1−3とし、これを撹拌する工程;
6.酸性化されたろ液/水混合物をろ過し、酸性化されたろ液/水混合物から固体を分離する工程;
7.水中に固体を懸濁し、水酸化アンモニウムのような塩基の過剰量を、撹拌しつつサスペンジョンに加える工程;
8.塩基/水混合物中に固体を溶解しスラリーを形成する工程;および
9.コンテナ内へスラリーを注ぎ、スラリーを乾燥させ、最終固体物を形成する工程。
【0032】
本発明の異なる態様では、本発明の組成物は、燃料、バインダー、および/または本明細書で例示されたようにして形成された成分が、ガス生成システム内に使用されることができる。例えば、図2の中で概略的に示されるように、公知の方法で作られた乗り物乗員保護システムは、ハンドル中のエアバッグインフレータおよびシートベルトアセンブリーと電気的に接続された衝突センサーを含む。本発明の水性方法により形成されたポリマー性ガス生成燃料/バインダー、または成分は、公知のようにガス生成組成物内に組込まれる。本発明のガス生成物質組成物は、より広範な乗り物乗員保護システム内またはガス生成システム内のサブアセンブリーの両方において使用されることができる。より具体的には、自動車のガス生成システムの中で使用されるそれぞれのガス生成装置は、本明細書において記載されているガス生成組成物を含むことができる。
【0033】
図1に示されるように、例示されるインフレータは、付随するエアバッグの展開力を調整するためにデュアルチャンバー設計を組込む。一般に、本明細書の記載のように形成されたガス生成物質12を含むインフレータは、公知のように製造されることができる。それぞれが参照され本明細書の一部として組み込まれる、米国特許番号6,422,601、6,805,377、6,659,500、6,749,219および6,752,421は、典型的なエアバッグインフレータ設計を例証する。ガス生成物質12は他の成分の間に、本発明の水性方法によって形成されたポリマーのテトラゾール、ポリ(5−ビニルテトラゾール)を含むことが認識されるだろう。得られるインフレータは、水性のポリ(5−ビニルテトラゾール)の製造方法に関連して述べた上記の理由および利点のために、それほど高価でなく、製造するのがより簡単である。
【0034】
図2を参照する。上に記載された例示的なインフレータ10も、エアバッグシステム200に組み入れられることができる。ガス生成またはエアバッグシステム200は少なくとも1つのエアバッグ202、および本発明に従うガス生成組成物12を含み、エアバッグの内部と流体連絡が可能にするようにエアバッグ202に連結されたインフレータ10を含んでいる。エアバッグシステム200はさらに衝突センサー210を含むか、またはこれと連絡を有する。衝突センサー210は、例えばエアバッグインフレータ10の起動によって衝突の際にエアバッグシステム200の発動の信号を発する公知のクラッシュセンサーアルゴリズムを含んでいる。
【0035】
図2を再び参照する。エアバッグシステム200は、安全ベルトアセンブリー150のような追加の要素を含む、より広範な、より包括的な乗り物乗員拘束システム180に組み入れられることができる。図2は、そのような拘束システムの1つの例示的な実施態様の概略図を示す。安全ベルトアセンブリー150は安全ベルトハウジング152、およびハウジング152から伸びる安全ベルト100を含んでいる。安全ベルトリトラクタメカニズム154(例えばばね式のメカニズム)が、ベルトの端部分に連結されることができる。さらに、衝突の際にリトラクタメカニズムを始動させるために、プロペラント12を含む安全ベルトプリテンショナー156が、ベルトリトラクターメカニズム154に連結されることができる。本発明の安全ベルト実施態様と共に使用されることができる典型的なシートベルトリトラクタメカニズムは、参照され本明細書の一部として組み込まれる、米国特許5,743,480、5,553,803、5,667,161、5,451,008、4,558,832および4,597,546に記載されている。本発明の安全ベルトの実施態様と共に使用できる典型的なプリテンショナーの例は、米国特許番号6,505,790および6,419,177に記載され、これらは参照のために本明細書に組み込まれる。
【0036】
安全ベルトアセンブリ150は、たとえば、プリテンショナー内に組み込まれた火工品(図示せず)の活性化により、ベルトプリテンショナー156の起動の信号を発する公知のクラッシュセンサーアルゴリズムを含む衝突センサ158(例えば慣性センサあるいは加速度計)を含むかまたは接続される。先に参照され本明細書に組み込まれた米国特許番号6,505,790および6,419,177は、そのような方法で作動するプリテンショナーの例を提供する。
【0037】
安全ベルトアセンブリー150、エアバッグシステム200、およびより広範な乗り物乗員保護システム180は、本発明により企図されたガス生成システムを例証するが、本発明により企図されるガス生成システムを制限するものではない。 本発明の実施態様の上記の記述は、例示の目的だけのためにあり、本発明を何らの意味でも制限するものではないことが理解されるだろう。そのため、ここに示された様々な構造・操作上の機能は、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的範囲を逸脱することなく、当業者による多くの改良を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明に従って形成されたガス生成組成物を含む例示的なエアバッグインフレータである。
【図2】図2は、図1のインフレータおよび本発明に従って形成されたガス生成組成物を組込む、例示的な乗り物乗員拘束システムの概要図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、5−位で置換されたビニル化テトラゾールの形成方法:
反応容器を提供する工程;
反応容器に水を加える工程;
反応容器に少なくとも1つのアジド塩を加える工程;
反応容器に少なくとも1つの界面活性剤を加える工程;
反応容器にシアノまたはニトリル官能基を有する少なくとも1つのポリマーを加える工程;
上記において、水、アジド塩、界面活性剤、およびポリマーを反応容器に加える順番は変えることができる;
反応容器の内容物を混合して液体混合物とする工程;
反応容器の内容物を加熱して、反応容器の内容物を反応させる工程;
反応容器の内容物を冷却する工程;
反応容器の内容物をろ過し、ろ液を生成する工程;
ろ液を水で洗浄し、ろ液/水混合物を生成する工程;
ろ液/水混合物を約1.0リットルから10リットルの冷水中に分散させ、これを撹拌する工程;
分散されたろ液/水混合物を酸性にし、pHを約1−3とし、これを撹拌する工程;
酸性化されたろ液/水混合物をろ過し、酸性化されたろ液/水混合物から固体を分離する工程;
固体を洗浄する工程;
水中に固体を懸濁し、過剰量の水酸化アンモニウムを、サスペンジョンを撹拌しつつサスペンジョンに加える工程;
固体を水酸化アンモニウム混合物中に溶解しスラリーを形成する工程;および
コンテナ内へスラリーを注ぎ、スラリーを乾燥させ、最終固体物を形成する工程。
【請求項2】
反応容器の内容物を加熱する工程が、スラリーを約100−200℃の範囲の温度に加熱することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
スラリーが約170℃に加熱される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
水は約0.5から約5モル当量で加えられ、アジド塩は約0.5から1.5モル当量で加えられ、界面活性剤は触媒量で加えられ、触媒試薬は約0.5から約1.5モル当量で加えられ、反応性ポリマーは約0.5から1.5モル当量で加えられる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
最終の固体がポリ(5−ビニルテトラゾール)である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
固体を水酸化アンモニウム中に溶解する工程が、水と懸濁された固体を加熱してスラリーを形成し、スラリーを約25から100℃に加熱することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
最終の固体物を微粉末に粉砕する工程を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
反応容器の内容物が、約12から48時間反応された後に冷却される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
ポリマーが、ポリアクリロニトリル、ポリシアノアクリレート;ポリハロアクリロニトリル(ハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であることができる);ポリトリアリルシアヌレート、セルロース シアノエチル エーテル;ポリメタアクリロニトリル;ニトリル官能基を含むオリゴマー、コポリマーまたはブロックコポリマーまたはそれらのブレンド、たとえば、ポリブタジエン/アクリロニトリルおよびポリスチレン/アクリロニトリル、およびそれらの混合物から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
アジド塩が有機および無機のアジド塩類から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項11】
アジド塩がアンモニウムアジド、カリウムアジドおよびトリメチルシリルアジドから選ばれる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
界面活性剤が第四級アンモニウム塩、ラウリル硫酸塩、ハンドソープ、dish 石けん、およびそれらの混合物から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項13】
以下の工程を含む、5−位で置換されたビニル化テトラゾールの形成方法:
反応容器を提供する工程;
反応容器に水、少なくとも1つのアジド塩、少なくとも1つの界面活性剤、少なくとも1つの亜鉛含有化合物、シアノまたはニトリル官能基を有する少なくとも1つのポリマーを加える工程;上記において、水、アジド塩、界面活性剤、亜鉛含有化合物、およびポリマーを反応容器に加える順番は変えることができる;
反応容器の内容物を混合して液体混合物とし、混合物を反応させる工程;
反応容器の内容物を洗浄し、ろ過し、ろ液/水混合物を生成する工程;および
ろ液/水混合物をpHを約1−3の酸性とし、これを撹拌し、溶液中の固体を形成する工程。
【請求項14】
請求項13記載の方法により形成された固体を含むガス発生組成物。
【請求項15】
請求項14記載の組成物を含む、ガス発生装置。
【請求項16】
請求項14記載のガス発生組成物を含む、ガス発生システム。
【請求項17】
請求項14記載のガス発生組成物を含む、乗り物乗員保護システム
【請求項18】
アジド塩は約1.1モル当量のアジ化ナトリウムであり、界面活性剤は約0.0025モル当量のラウリル硫酸ナトリウムであり、ポリマーは約1.0モル当量のポリアクリロニトリルであり、触媒試薬は約0.5モル当量の臭化亜鉛二水和物である、請求項13記載の方法。
【請求項19】
以下の工程を含む、5−位で置換されたビニル化テトラゾールの形成方法:
反応容器を提供する工程;
反応容器に水を加える工程;
反応容器に水、少なくとも1つのアジド塩、少なくとも1つの界面活性剤、少なくとも1つの亜鉛含有化合物、シアノまたはニトリル官能基を有する少なくとも1つのポリマーを加える工程;上記において、水、アジド塩、界面活性剤、亜鉛含有化合物、およびポリマーを反応容器に加える順番は変えることができる;
反応容器の内容物を混合して液体混合物とし、混合物を反応させる工程;
反応容器の内容物を洗浄し、ろ過し、ろ液/水混合物を生成する工程;および
ろ液/水混合物をpHを約1−3の酸性とし、これを撹拌する工程;
酸性化されたろ液/水混合物をろ過し、酸性化されたろ液/水混合物から固体を分離する工程;
水中に固体を懸濁し、過剰量の塩基を、サスペンジョンを撹拌しつつサスペンジョンに加える工程;
固体を塩基/水混合物中に溶解しスラリーを形成する工程;および
コンテナ内へスラリーを注ぎ、スラリーを乾燥させ、最終固体物を形成する工程。
【請求項20】
塩基が水酸化アンモニウムである、請求項19記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−501824(P2008−501824A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515540(P2007−515540)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/019312
【国際公開番号】WO2005/118715
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(506192641)オートモーティブ システムズ ラボラトリィ、 インク. (39)
【Fターム(参考)】