説明

ガス用分岐管の封止工具、気密試験方法、気密試験装置及び撤去方法

【課題】 分岐管の気密検査をサービスチー側の末端で行うことができ、分岐管切断時に、残存する分岐管の長さを短くできる分岐管封止工具等を提供する。
【解決手段】 封止工具1は、ストッパー10と、ホールソーを駆動して元管側壁を穿孔する穿孔工具60とを有する。ストッパー10は、穿孔工具60のシャフト80の先端に脱落不能に固定される。ストッパー10は、ゴム製封止体11と、封止体11を孔軸方向に圧縮して径方向に膨張させる手段と、を具備する。封止体11は、貫通孔及び/又は穿孔に嵌め込まれて摩擦によって係止されるとともに、封止体11と面接触しているナット19も、封止体11に摩擦によって係止される。穿孔工具60のシャフト80を回転させてネジ軸20を回転させることによりナット19をカラー15の方向に螺進させ、封止体11を軸方向に圧縮して径方向に膨張させて、貫通孔及び/又は穿孔を封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製のガス供給元管にサービスチーを介して接続された樹脂製の分岐管を封止する工具等に関し、さらには、この工具を使用した分岐管の気密試験方法、気密試験装置等に関する。特には、気密試験の際に作業工程数を少なくでき、さらに、分岐管を切断する際に残存する分岐管の長さをできるだけ短くできる封止工具等に関する。
【背景技術】
【0002】
まず、樹脂製のガス供給元管と樹脂製の分岐管とを有する配管構造の一例を説明する。
図10は、ガス供給元管と分岐管とがサービスチーを介して接続している配管構造の一例を示す図であり、図10(A)は斜視図、図10(B)は一部断面側面図である。
図10(A)に示すように、分岐管110は、元管100からサービスチー120を介して、元管100と直交する方向に延びるように接続されている。サービスチー120は、元管100の外面に融着されたサドル部130と、サドル部130から立ち上がった立上り管部140と、立上り管部140から分岐して延び出した分岐管部150と、を備えている。
【0003】
サドル部130は、略長方形状の板を元管の外周面に沿うように湾曲させた形状であり、内部には電熱線が埋設されている。サドル部130の内面を元管100の外周面に沿わせ、電熱線に電圧を印加するとサドル部130の内側面が加熱され、この加熱作用により内側面が元管100の外周面に融着される。図10(B)に示すように、サドル部130の中央には貫通孔131が開けられている。この貫通孔131は、後述するように、元管100の側壁にホールソーで開けられた穿孔101と連通している。
【0004】
立上り管部140は、サドル部130の貫通孔131の周囲から、元管100と直交する方向に立ち上がっている。立上り管部140の内周面にはネジ141が形成されており、反サドル側端部(上端)の外周面にもネジ143が形成されている。
【0005】
立上り管部140の上端寄りの部分には、ホールソー160が収容されている。ホールソー160は、元管100にサービスチー120を融着した後に、元管100の側壁に、サドル部130の貫通孔131に相対する穿孔101を開けるためのものであり、穿孔作業後も立上り管部140内に残っている。ホールソー160は、図2を参照して後述する専用の穿孔工具60を使用して操作される。穿孔方法については後述する。
【0006】
図11に示すように、ホールソー160は円筒状の部材であり、本体部161と、環状の刃部162とを有する。本体部161の軸上には、断面が六角形状の孔165が開けられている。この孔165は、穿孔工具60(図2参照)のシャフト80の下端係合部82と噛み合う。本体部161の外周面には、立上り管部140の内周面のネジ141と螺合するネジ167が形成されている。刃部162の下端は、先端が鋭利となるように先細に形成されている。
【0007】
再度図10を参照して説明する。立上り管部140の反サドル側端部(上端)には、キャップ170が取り付けられている。キャップ170の内周面には、立上り管部140の外周面のネジ143と螺合するネジ171が形成されている。また、キャップ170と立上り管部140との間には、Oリング173が介されている。
【0008】
分岐管150は、立上り管部140の途中から、立上り管部140と直交かつ元管100と直交する方向に延びている。分岐管150の先端には、電気融着型のソケット180を介して分岐管110が接続している。このような構成により、元管100の内部は、穿孔101、サドル部130の貫通孔131、立上り管部140及び分岐管部150を通って分岐管110と連通している。
【0009】
このような配管構造において既設の分岐管110を修理した場合等は、分岐管110の気密検査を行う必要がある。気密試験を行う際は、まず、図12(A)に示すように、分岐管110の途中をスクイズバー190で挟んで圧縮遮断(スクイズオフ)する。分岐管110をスクイズオフする位置P1は、ソケット180の融着時の圧縮による影響が及ばないように、ソケット180の下流側端部から、分岐管110の外径Dの3倍以上離れた位置とする必要がある。そして、ガスメータ部にボンベや圧力計を取り付けて気密検査を行う。
【0010】
この方法では以下のような問題点が生じる。
(1)ガスメータ部で検査を行うので、需要家(家庭や店舗)の敷地内に入って作業する必要があり、検査日程の調整などに手間がかかる。
(2)分岐管110の、スクイズオフした位置P1から元側(サービスチー側)の部分の検査を行うことができない。
(3)スクイズオフ位置P1は、前述のようにソケット180の下流側端部から、分岐管110の外径Dの3倍以上離れた位置とする必要があり、配管構成や周辺の環境によっては、この距離をとれない場合もある。
【0011】
また、既設の分岐管を撤去する場合は、気密検査時と同様に、ソケット180の下流側端部から、分岐管110の外径Dの3倍以上離れた位置P1をスクイズバー190で挟んで圧縮遮断(スクイズオフ)する。そして、分岐管110のスクイズオフ位置P1から下流側に、分岐管110の外径Dの3倍以上離れた位置P2を切断し、図12(B)に示すように、切断口にキャップ191を取り付ける。この場合、分岐管110の切断位置P2は、ソケット180の下流側端部から、分岐管110の外径Dの6倍以上離れた位置となりる。このように切断位置P2が離れていると、残存する分岐管110の長さが長くなり、他の作業を行っている間に誤って残存している分岐管110を破損するなどの事態が生じる恐れがある。
【0012】
一方、前述のホールソー160を使用して元管100に穿孔101を開ける際には、専用の穿孔工具60(図2参照)が使用される(例えば、特許文献1参照)。この穿孔工具60は、ホールソー160で元管100に穿孔101を開ける際のみにしか使用されないので、この穿孔工具を有効活用するためにも、気密検査などのための分岐管110のガス遮断に利用したいとの要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000−199564
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、サービスチー側で分岐管の気密検査を行うことができるとともに、分岐管切断時に、残存する分岐管の長さをできるだけ短くできる分岐管封止工具等を提供することを目的とする。さらには、現在元管を穿孔する際に使用されている工具を利用できる分岐管封止工具等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の分岐管の気密試験方法は、 樹脂製のガス供給元管にサービスチーを介して接続された樹脂製の分岐管の気密試験方法であって、 前記サービスチーは、 前記元管と連通する貫通孔を有し、前記元管の外面に融着されたサドル部と、 該サドル部の前記貫通孔周囲から立ち上がった立上り管部と、 該立上り管部から分岐して延び出し、その先端側が前記分岐管に接続される分岐部と、 前記立上り管部の反サドル側の管端部に取り付けられた、同管端部を塞ぐキャップと、 前記元管の側壁に、前記サドル部の貫通孔に相対する穿孔を開けるためのホールソーと、を備えるものであり、 該気密試験方法は、 前記サドル部の貫通孔及び/又は前記元管側壁の穿孔を封止するストッパーを、前記立上り管部を通して取り付ける工程と、 前記分岐管に圧縮空気を送り込んで該分岐管内及び前記サービスチー内を所定の圧力とした後、所定時間放置して圧力低下量を測定する工程と、を含み、 前記ストッパーが、前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込まれるゴム製封止体、及び、該封止体を孔軸方向に圧縮して径方向に膨張させる手段、を有し、 前記ストッパーのゴム製封止体を、前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込んだ後に、該封止体を孔軸方向に圧縮して径方向に膨張させて該孔を封止することを特徴とする。
【0016】
従来の一般的な気密試験方法においては、事前に分岐管へのガスの流入を遮断するために、分岐管のスクイズ作業、分岐管切断作業の及び分岐管再接続作業が必要になる。一方、本発明においては、ガスを遮断するために、サービスチーのサドル部の貫通孔及び/又は元管の穿孔を封止するストッパーを、サービスチーの立上り管部を通して取り付ける作業のみですむ。したがって、検査に必要な作業工程を減らすことができる。
【0017】
本発明においては、 前記ホールソーを駆動して前記元管側壁を穿孔するための、以下ア)〜ウ)を有するサービスチー穿孔工具を用い、ア)前記立上り管部の反サドル側の管端部に気密に取り付けられる本体、イ)該本体に対して繰り出し・引き込み可能に設けられた、前記ホールソーを押し引きするシャフト、ウ)前記本体に取り付けられた、前記立上り管部内に連通する検査口、 前記ストッパーを、前記穿孔工具の前記シャフトの先に保持させて、前記サドル部の貫通孔及び/又は前記元管側壁の穿孔に取り付けることができる。
【0018】
本発明によれば、既存のサービスチー穿孔工具を用いてストッパーをサービスチーに装着して、サドル部の貫通孔及び/又は元管の穿孔を封止することができるので、新たな工具を準備する必要がない。
【0019】
本発明においては、 前記ストッパーを前記穿孔工具の前記シャフトの先に保持させ、 前記ストッパーを保持した前記シャフトを前記サービスチーの前記立上り管部内に挿入し、 前記シャフト押し込んで、前記ストッパーの前記ゴム製封止体を前記サドル部の貫通孔及び/又は前記元管側壁の穿孔に嵌め込み、 前記サービスチー穿孔工具の前記シャフトを回転させることにより、前記ゴム製封止体を孔軸方向に圧縮することとできる。
【0020】
本発明によれば、ネジ機構などによって、シャフトの回転力をゴム製封止体を軸方向に圧縮する力に変換するので、比較的簡単な方法によって強い力でゴム製封止体を圧縮できる。
【0021】
本発明のストッパーは、 樹脂製のガス供給元管に接続されたサービスチーのサドル部の貫通孔及び/又は前記元管側壁の穿孔を封止するストッパーであって、 前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込まれるゴム製封止体と、 該封止体を孔軸方向に圧縮して径方向に膨張させる手段と、を具備することを特徴とする。
【0022】
ゴム製封止体を径方向に膨張させることにより、ゴム製封止体の外表面はサドル部の貫通孔及び/又は元管の穿孔の内壁により密に密着するので、貫通孔及び/又は穿孔を気密に封止できる。
【0023】
本発明においては、 前記封止体膨張手段が、 前記ゴム製封止体の軸芯に挿通されたネジ軸と、 前記ゴム製封止体を軸方向両側から挟むように配置された、前記ネジ軸に挿通されたカラー及び前記ネジ軸に螺合したナットと、を有し、 前記ゴム製封止体は、前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込まれて摩擦によって係止され、 さらに、前記ゴム製封止体と面接触している前記ナットが、前記ゴム製封止体に摩擦によって係止され、 前記ネジ軸を回転させることにより前記ナットを前記カラーの方向に螺進させ、これにより前記ゴム製封止体を軸方向に圧縮して径方向に膨張させて、前記貫通孔及び/又は前記穿孔を封止することとできる。
【0024】
本発明の封止工具は、 樹脂製のガス供給元管にサービスチーを介して接続された樹脂製の分岐管において、前記分岐管へのガス流入を遮断する封止工具であって、 前記に記載のストッパーと、 ホールソーを駆動して前記元管側壁を穿孔するための、以下ア)〜イ)を有するサービスチー穿孔工具と、ア)前記立上り管部の反サドル側の管端部に気密に取り付けられる本体、イ)該本体に対して繰り出し・引き込み可能に設けられた、前記ホールソーを押し引きするシャフト、を有し、 前記ストッパーが、 該ストッパーの前記ネジ軸が前記穿孔工具の前記シャフトの先端に同軸上に保持されるとともに、前記シャフトに脱落不能に固定される手段を有し、 該シャフト固定手段により前記ストッパーを前記穿孔工具の前記シャフトの先に保持させて前記サドル部の貫通孔及び/又は前記元管側壁の穿孔を通して取り付けられ、 前記ストッパーのゴム製封止体を、前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込んだ後に、該封止体が孔軸方向に圧縮されて径方向に膨張されて該孔を封止することを特徴とする。
【0025】
本発明においては、 前記シャフト固定手段が、 前記シャフトに形成された、外方向に張り出すストッパーと、 前記ネジ軸に軸方向に移動可能に装着された袋ナット組立体と、を有し、 前記シャフトを前記ネジ軸の軸方向と直交する方向から該袋ナット組立体に挿入した後、前記ストッパーを前記軸方向の両側から前記ネジ軸と該袋ナット組立体とで挟み込み、前記ネジ軸を前記シャフトに固定することとできる。
【0026】
分岐管の封止作業は、一般に、地下の狭い場所やガスバッグの中などの十分な作業スペースのない場所で行われる。また、地下で行う場合は、治具等を誤って落とすと、泥が付着して洗浄作業など余分な作業が必要になる。このため、封止工具はできるだけコンパクトであり、外れやすい部品等が存在しないことが好ましい。本発明によれば、ストッパーを封止工具に外れないように固定することができるので、工具を垂直姿勢のみでなく様々な姿勢に保持できる。さらに、この封止工具は軸方向に押し引きされるが、この際も、ストッパーは軸方向において袋ナット組立体で抜け止めされているので、穿孔工具を軸方向に引いてもストッパーが穿孔工具から外れない。
【0027】
本発明においては、 前記袋ナット組立体と、前記カラーとの間に低摩擦材料からなるスラストワッシャーが介されていることが好ましい。
【0028】
本発明によれば、スラストワッシャーにより袋ナットとカラーとの相対回動がスムーズになり、ストッパーをシャフトに固定する際に袋ナットを軽い力で回転させることができる。
【0029】
本発明の気密試験装置は、 樹脂製のガス供給元管にサービスチーを介して接続された樹脂製の分岐管の気密試験装置であって、 前記サービスチーは、 前記元管と連通する貫通孔を有し、前記元管の外面に融着されたサドル部と、 該サドル部の前記貫通孔周囲から立ち上がった立上り管部と、 該立上り管部から分岐して延び出し、その先端側が前記分岐管に接続される分岐部と、 前記立上り管部の反サドル側の管端部に取り付けられた、同管端部を塞ぐキャップと、 前記元管の側壁に、前記サドル部の貫通孔に相対する穿孔を開けるためのホールソーと、を備えるものであり、 該気密試験装置は、 前記立上り管部を通して取り付けられる、前記サドル部の貫通孔及び/又は前記元管側壁の穿孔を封止するストッパーと、 前記ホールソーを駆動して前記元管側壁を穿孔するための、以下ア)〜ウ)を有するサービスチー穿孔工具と、ア)前記立上り管部の反サドル側の管端部に気密に取り付けられる本体、イ)該本体に対して繰り出し・引き込み可能に設けられた、前記ホールソーを押し引きするシャフト、ウ)前記本体に取り付けられた、前記立上り管部内に連通する検査口、 前記分岐管に圧縮空気を送り込んで該分岐管内及び前記サービスチー内を所定の圧力とした後、所定時間放置して圧力低下量を測定する試験装置と、を含み、 前記ストッパーが、前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込まれるゴム製封止体、及び、該封止体を孔軸方向に圧縮して径方向に膨張させる手段、を有し、 前記ストッパーが、前記穿孔工具の前記シャフトの先に保持されて前記サドル部の貫通孔及び/又は前記元管側壁の穿孔に取り付けられ、 前記ストッパーのゴム製封止体が、前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込まれた後に、該封止体が孔軸方向に圧縮されて径方向に膨張されて該孔を封止することを特徴とする。
【0030】
本発明の分岐管撤去方法は、 樹脂製のガス供給元管にサービスチーを介して接続された樹脂製の分岐管の撤去方法であって、 前記サービスチーは、 前記元管と連通する貫通孔を有し、前記元管の外面に融着されたサドル部と、 該サドル部の前記貫通孔周囲から立ち上がった立上り管部と、 該立上り管部から分岐して延び出し、その先端側が前記分岐管に接続される分岐部と、 前記立上り管部の反サドル側の管端部に取り付けられた、同管端部を塞ぐキャップと、 前記元管の側壁に、前記貫通孔に相対する穿孔を開けるためのホールソーと、を備えるものであり、 該撤去方法は、 前記サドル部の貫通孔及び/又は前記元管側壁の穿孔を封止するストッパーを、前記立上り管部を通して取り付ける工程と、 前記分岐管を切断・撤去する工程と、を含み、 前記ストッパーが、前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込まれるゴム製封止体、及び、該封止体を孔軸方向に圧縮して径方向に膨張させる手段、を有し、 前記ストッパーのゴム製封止体が、前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込まれた後に、該封止体が孔軸方向に圧縮されて径方向に膨張されて該孔を封止することを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、分岐管を切断する際に、サービスチーと分岐管とを接続するソケットの下流端から、分岐管の外径程度下流の位置で切断することができる。前述のように、従来の例では、ソケットの下流端から、分岐管の外径の4倍程度の位置で切断する必要があった。これに比べて、本発明では切断位置をソケットの下流端から分岐管の外径程度の位置とすることができ、残存する分岐管の長さを短くできる。
【発明の効果】
【0032】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、分岐管の気密試験時に分岐管へのガス流入を遮断するために、ストッパーをサービスチーの貫通孔及び/又は元管の穿孔に挿入した後ゴム製封止体を径方向に膨張させて、貫通孔及び/又は穿孔を封止する。したがって、従来の、分岐管をスクイズオフする方法に比べて作業工程数を減らすことができる。また、ストッパーを挿入してゴム製封止体を径方向に膨張させる作業を、従来の元管の穿孔に使用されている穿孔工具を利用して行うようにすれば、穿孔工具を有効活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係るガス管封止工具を示す側面図である。
【図2】サービスチー穿孔工具を示す一部断面側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るストッパーを示す図であり、図3(A)は側面図、図3(B)は図3(A)のB−B断面図、図3(C)は平面図である。
【図4】図3のストッパーの袋ナットAを示す図であり、図4(A)は斜視図、図4(B)は平面図、図4(C)は側断面図である。
【図5】ストッパーを穿孔工具に取り付ける方法を説明する図である。
【図6】図1の封止工具をガス配管に装着した状態を示す一部断面側面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る気密検査方法を示すフローチャートである。
【図8】サービスチーにガスバッグを取り付けた状態で作業している様子を説明するための図であり、図8(A)はキャップを外した状態、図8(B)は封止工具を取り付けた状態を示す。
【図9】本発明の実施の形態に係る分岐管撤去方法を示すフローチャートである。
【図10】分岐管を有する配管構造の一例を示す図であり、図10(A)は斜視図、図10(B)は側断面図である。
【図11】ホールソーを示す側断面図である。
【図12】従来の分岐管切断方法を説明する図であり、図12(A)は切断位置を示す側断面図であり、図12(B)は切断口にキャップを取り付けた状態の側断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る分岐管封止工具を説明する。
分岐管封止工具1は、前述のサービスチーを介して元管に分岐管を接続する際に、元管を穿孔する穿孔工具60と、ストッパー10とから構成される。この分岐管封止工具1は、分岐管の気密検査や分岐管の撤去などの作業時に、元管から分岐管へのガス流入を遮断する場合に使用される。
【0035】
まず、図2を参照して穿孔工具60について説明する。
穿孔工具60は、サービスチー120(図10参照)の立上り管部140の反サドル側管端部(上端)に取り付けられる本体70と、本体70に対して繰り出し・引き込み可能に設けられた、ホールソー160を押し引きするシャフト80と、本体70に取り付けられた、立上り管部内に連通する検査口90とを備える(特開2000−199564参照)。
【0036】
本体70は、軸上に並んだ小径部71と大径部72とを有する。小径部71には軸上を延びる貫通孔73が開けられている。この貫通孔73には、シャフト80が挿入される。大径部72には、小径部71側から順に、貫通孔73と同軸上の小径中空部74と大径中空部75とが形成されている。大径中空部75の内径は、サービスチー120の立上り管部140の外径に対応している。大径中空部75の内周面には、立上り管部140の外周面に形成されたネジ143に噛み合うネジ76が形成されている。さらに、大径中空部75と小径中空部74との間の段部には、Oリング79が嵌め込まれるOリング溝77が形成されている。
【0037】
本体70の大径部72には、検査口90が、貫通孔73と直交する方向に延びるように形成されている。この検査口90の内部は、大径部72の小径中空部74に連通している。検査口90は、ガス漏れ検査時の圧縮空気注入や圧力測定、作業後のエアパージなどを行うためのものである。
【0038】
シャフト80は、本体70に開けられた貫通孔73にスライド可能に挿入されている。シャフト80の両端部は、断面形状が六角形に形成されている。上端(反立上り管部側)の端部81には、図示せぬハンドルが係合し、下端(立上り管部側)の端部82は、ホールソー160(図11参照)の本体部161に形成された六角孔165に係合する。上端係合部81の下方には、外方向に張り出す上ストッパー85が固定されている。また、下端係合部82の上方には、外方向に張り出す下ストッパー86が形成されている。
【0039】
シャフト80は、本体70に対して、上ストッパー85が本体70の小径部71の上面に当接する位置と、下ストッパー86が本体70の大径部72の小径中空部74の底面に当接する位置との間をスライド可能であるとともに、両ストッパー85、86によって本体70に抜け止めされている。
【0040】
次に、図10、図11も参照してこの穿孔工具60で元管を穿孔する方法について説明する。
予め、ホールソー160を収納したサービスチー120を元管100の分岐管110が接続される箇所に、電熱融着により固定しておく。そして、穿孔工具60のシャフト80の下端係合部82を、ホールソー160の上面に形成した六角孔165に係合させる。次に、穿孔工具60の本体70の内面に形成したネジ76と、サービスチー120の立上り管部140の外面に形成したネジ143を螺合させて、穿孔工具60を立上り管部140に取り付ける。
【0041】
次に、穿孔工具60のシャフト80の上端係合部81にハンドルを取り付け、ハンドルを回してシャフト80を回転させる。ホールソー160は、立上り管部140の内周面と螺合しているので、シャフト80の回転に伴い、ホールソー160は下方に向けて螺進する。ホールソー160は立上り管部140内を下方に進み、やがて環状刃162の先端が元管100の側壁に到達する。さらにシャフト80を回転させると、環状刃162によって元管100の側壁に環状の切れ目が入り、やがて側壁がくり抜かれて穿孔101が開けられる。くり抜かれた元管の側壁はホールソー160の内部に保持される。
【0042】
側壁が穿孔された後、シャフト80を反対方向に回転させると、ホールソー160は立上り管部140内を上方に螺進する。ホールソー160を立上り管部140の上端付近まで螺進させた後、穿孔工具60をホールソー160から取り外す。くり抜かれた元管100の側壁はホールソー160内に残される。最後に、立上り管部140の上端をキャップ170で塞ぐ。
【0043】
ホールソー160を完全にサービスチー120から取り外す際は、穿孔工具60のシャフト80をさらに回転させて、ホールソー160を立上り管部140から外れるまで上方に螺進させる。
【0044】
次に、図3、図4を参照してストッパー10を説明する。
ストッパー10は、図3に示すように、サービスチー120のサドル部130の貫通孔131及び元管100に開けられた穿孔101、又はいずれか一方に嵌め込まれるゴム製封止体11と、穿孔工具60のシャフト80と係合するネジ軸20と、封止体11の孔軸方向の両側に配置されたカラー15及びナット17と、穿孔工具60のシャフト80をネジ軸20に係止させる袋ナット組立体とを有する。袋ナット組立体は、袋ナットA30及び袋ナットB40とからなる。
【0045】
ゴム製封止体11は、高さ方向中央がやや外方向に膨らんだ樽状の部材である。封止体11の軸芯には貫通孔12が開けられている。この貫通孔12にネジ軸20が挿通される。
【0046】
ネジ軸20はロッド状の部材で、図3(B)に示すように、上から順に大径軸部21、中径軸部22及び小径軸部23を有する。大径軸部21と中径軸部22には、袋ナットA30及びB40が装着され、小径軸部23にはカラー15、ゴム製封止体11及びナット17が上から順に装着される。大径軸部21の上面の軸上には、断面形状が長方形状の孔25が形成されている。この孔に、穿孔工具60のシャフト80の六角形状の下端係合部82が係合する。小径軸部23の下半分の外周面にはネジ27が形成されている。また、小径軸部23の下端には、同部と直交する方向に、ボルト28が挿通されて固定されている。このボルト28はナット17の抜け止めのためのものである。
【0047】
袋ナットA30は、図4に示すように、角が切り欠かれた中空円筒状の部材であり、円筒部31と上部32を有する。円筒部31の内径は、ネジ軸20の大径軸部21の径に対応する。上部32の軸上には貫通孔33が開けられている。さらに、上部32には、貫通孔33から外周の一部へ達する開口34が形成されている。開口34の外縁は、図4(B)に示すように、軸芯から外れた位置を中心とした円の外周の一部をなすように形成されている。この開口34の両端間の距離は、穿孔工具60のシャフト80の下ストッパー86の外径よりも大きく設定されている。さらに、この開口34の両端から、円筒部31の高さ方向中央よりやや下方まで延びる切り欠き35が形成されている。円筒部31の外周面の、切り欠き35の下方にはネジ36が形成されている。
【0048】
円筒部31の下端には、下方向に延びる円筒状の延長部37が形成されている。この延長部37の内面には環状の溝38が形成されている。同溝38には、図3(B)に示すようにストップリング39が嵌め込まれている。
【0049】
袋ナットB40も円筒状の部材であり、円筒部41と下部42とを有する。円筒部41の内径は、袋ナットA30の円筒部31の外径に対応する。円筒部41の内周面の上部には、袋ナットA30の円筒部31に形成したネジ36と螺合するネジ44が形成されている。円筒部41の外面は一面にローレット加工されている。下部42の軸上には貫通孔47が開けられている。同貫通孔47の径は、ネジ軸20の小径軸部23の径に対応する。
【0050】
袋ナットA30及び袋ナットB40をネジ軸20に取り付ける方法を説明する。
まず、袋ナットA30の円筒部31に下方からネジ軸20の大径軸部21を挿通する。そして、ネジ軸20の下方からストップリング39を挿通して、袋ナットA30の延長部37に形成した溝38に嵌め込む。ストップリング39は袋ナットA30の円筒部31の内面から内方向に張り出すように装着される。このストップリング39と袋ナットA30の上部32によって、袋ナットA30がネジ軸20に抜け止めされる。次に、袋ナットB40の下部42に形成された貫通孔47の上方からネジ軸20の小径軸部23を挿通する。そして、袋ナットB40を上方にスライドさせ、袋ナットB40の内周面に形成されたネジ44を、袋ナットA30の外周面に形成されたネジ36と螺合させ、両ナット30、40を固定する。これにより、袋ナットA30及びB40が、ネジ軸20に取り付けられる。
【0051】
ネジ軸20の小径軸部23には、上から(中径軸部22側から)順に、袋ナットB40、スラストワッシャー19、カラー15及びゴム製封止体11が挿通されており、封止体11の下方にはナット17がネジ27に螺合している。スラストワッシャー19は、摩擦係数の低いフッ素樹脂などで作製され、カラー15は、高強度の材料で作製される。このように、封止体11は、孔軸方向の両側から、カラー15とナット17とによって挟まれている。なお、封止体11の貫通孔12の下半分は小径軸部23のネジ27に接しているが、上半分は小径軸部23の外周面に密接しているので、封止体11と小径軸部23間のシール性は保持されている。
【0052】
図5を参照して、ストッパー10を、穿孔工具60のシャフト80に装着する方法を説明する。
まず、図5(A)に示すように、袋ナットB40を袋ナットA30に対して回転させて袋ナットA30を上方へ繰り出し、袋ナットA30の上部32とネジ軸20の大径軸部21の上面との間に十分なスペースを開けておく。次に、穿孔工具60のシャフト80を、ネジ軸20の軸方向と直交する方向から、袋ナットA30の開口34と切り欠き35を通して、貫通孔33に位置決めする。そして、穿孔工具60のシャフト80の下端係合部82を、ストッパー10の大径軸部21に形成した孔部25に係合させ、下ストッパー86を大径軸部21上に載置する。
なお、袋ナットB40とカラー15との間に低摩擦材料で作製されたスラストワッシャー19が介されているので、袋ナットB40とカラー15との相対回動がスムーズになり、袋ナットB40を軽い力で回転させることができる。
【0053】
その後、袋ナットB40を袋ナットA30に対して反対方向に回転させる。これにより、袋ナットA30は袋ナットB40の方向に引き込まれ、図5(B)に示すように、穿孔工具60の下ストッパー86が、袋ナットA30の上部32とネジ軸20の大径軸部21の上面との間に挟まれる。これにより、ストッパー10は穿孔工具60のシャフト80に脱落不能に取り付けられるとともに、穿孔工具60のシャフト80とストッパー10のネジ軸20とが一体に回転するように連結される。
【0054】
次に、図6を参照してこの封止工具1を使用して分岐管を封止する方法を説明する。より具体的な方法については後述する。
まず、サービスチー120のキャップ170を外して、前述の穿孔工具60でホールソー160を取り外す。次に、封止工具1のストッパー10をサービスチー120の立上り管部140の上開口から挿入し、穿孔工具60の本体70のネジ76を立上り管部140のネジ143に螺合させて、封止工具1をサービスチー120に取り付ける。この際、前述のように、ストッパー10は穿孔工具60にしっかりと取り付けられており穿孔工具60から外れないので、狭い場所などでも容易に取り扱うことができる。
【0055】
この状態においては、ストッパー10の外周面とサービスチー120の立上り管部140や分岐管部150の内周面との間には、スキマが開いている。分岐管110の内部は、このスキマを介して穿孔工具60の本体70の中空部74や検査口90と連通している。
【0056】
そして、穿孔工具60のシャフト80を押し込む。すると、ストッパー10のゴム製封止体11の外周面は、サービスチー120のサドル部130の貫通孔131の内周面、又は元管100の穿孔101の内周面、あるいはその両方に接触する。次に、穿孔工具60のシャフト80の上端係合部81にハンドルを取り付け、ハンドルを回転させる。すると、シャフト80に係合しているストッパー10のネジ軸20が回転するが、ゴム製封止体11は貫通孔131や穿孔101の内周面と摩擦によって係止されているので、ほとんど回転しない。なお、ゴム製封止体11の貫通孔12の内周面もネジ軸20の小径軸部23に接触しており、両者間の摩擦も生じるが、ゴム製封止体11と樹脂製の元管100やサービスチー120との摩擦力の方が大きいので、ゴム製封止体11はネジ軸20とともには回転し難い。
【0057】
また、ゴム製封止体11の下側の面はナット17と面接触しているので、両者の摩擦力によってナット17もほとんど回転しない。ナット17はネジ軸20の小径軸部23に螺合しているので、ネジ軸20が回転するとナット17は相対的に小径軸部23上を上方に螺進する。すると、ナット17とカラー15との間の距離が縮まり、両者間に挟まれているゴム製封止体11は孔軸方向に圧縮されて中央部が拡径する。これによって、ゴム製封止体11の外周面とサービスチー120の貫通孔131及び/又は元管100の穿孔101の内周面とがより密に接触し、貫通孔131及び/又は穿孔101をより密に封止することができる。なお、カラー15もゴム製封止体11の上側の面と接触しているので、ほとんど回転しない。
【0058】
なお、袋ナットA30は、前述のように、その上部32とネジ軸20の大径軸部21との間で穿孔工具60のシャフト80のストッパー86を挟んで固定しているので、袋ナットA30とこの袋ナットA30に螺合している袋ナットB40も、シャフト80とともに回転する。ここで、袋ナットB40と、ほとんど回転しないカラー15との間にはスラストワッシャー19が介されているので、袋ナットB40はカラー15に対してスムーズに回動する。
【0059】
作業終了後に封止工具60を取り外す際は、ハンドルを逆方向に回転させてストッパー10の本体を逆方向に回転させる。すると、ナット17がネジ軸20の小径軸部23上を下方に螺進し、カラー15とナット17との間の距離が広がる。これにより、ゴム製封止体11を圧縮していた力が解除され、ゴム製封止体11は元の大きさに戻り、ゴム製封止体11の外表面とサービスチー120の貫通孔131及び/又は元管100の穿孔101の内周面との摩擦力が弱くなる。ハンドルを所定だけ回転させた後、穿孔工具60の本体70をサービスチー120の立上り管部140から取り外す。その後、ストッパー10をサービスチー120から抜きとる。
なお、ネジ軸20の小径軸部23のナット17の下方にはボルト28が取り付けられているため、ハンドルを回転させてナット17を下方に螺進させても、ナット17がネジ軸20から脱落することはない。
【0060】
図7、図8を参照して、本発明の封止工具を使用して分岐管の気密試験を行う方法の一例を説明する。
まず、S1でサービスチー120の立上り管部140にノーブローガスバックを取り付ける。図8に示すように、ノーブローガスバッグ200とは、ガスが漏出するおそれがある作業を行う際に、漏出したガスをバッグ内部に留めてガスの漏出を防止するために使用される用具である。ノーブローガスバッグ200を使用することにより、元管のガスを遮断せずに各種の作業を行うことができる。ノーブローガスバッグ200は、透明の樹脂製の袋体201の上下に各々開口203、205が形成された袋体である。上下の開口203、205は、周囲がゴム204、206で縁取られた絞り口となっている。
【0061】
ノーブローガスバッグ200を取り付ける際は、ガスバッグ200の下開口205のゴム206を開いてサービスチー120の立上り管部140の外側に嵌め込む。これにより、立上り管部140は、ガスバッグ200内に突出した状態となる。
【0062】
ノーブローガスバッグ200を取り付けた後、図8(A)に示すように、S2でキャップ170を取り外し、S3でガスバッグ200の上開口203から穿孔工具60を入れて、同工具60ホールソー160を取り外す。次に、S4で、図8(B)に示すように、前述の方法で封止工具1をサービスチー120の立上り管部140に取り付けて、ストッパー10でサービスチー120の貫通孔131と元管100の穿孔101を塞ぐ。その後、S5でノーブローガスバッグを取り外した後、検査を開始する。この際、まずS6で、封止工具1の穿孔工具60の検査口90から圧縮空気を注入する。図6に示すように、圧縮空気は、検査口90から穿孔工具60の中空部74、サービスチー120の立ち上がり管部140内に流れ、ストッパー10の外側を通って分岐管部150から分岐管110に注入される。所定の圧力(例えば3kPa)になるまで空気を注入後、S7にて1分以上放置し、S8で圧力の低下があるかないかを水柱ゲージなどによって判定する。圧力低下がなければS9でガス漏れなしと判断する。一方、S8で圧力低下があればS10でガス漏れあると判断し、ガス漏れ位置の確認作業などを行う。
【0063】
検査終了後、S11でサービスチー120の立上り管部140の再度ノーブローガスバッグ200を取り付ける。その後、S12で封止工具1を取り外し、S13でサービスチー120の立上り管部140にキャップ170を取り付けた後、S14でノーブローガスバッグ200を取り外す。最後に、S15で需要家側からガスパージを行う。
【0064】
以上説明したように本発明の封止工具を使用することにより、以下の利点が得られる。
(1)ほとんどの作業を分岐管110のサービスチー側の末端で行うことができる。
(2)サービスチー120の貫通孔131及び/又は元管100の穿孔101を封止してサービスチー側から検査を行うので、分岐管110の全長に渡って検査を行うことができる。
【0065】
図9を参照して、本発明の封止工具を使用して分岐管の撤去を行う方法の一例を説明する。
まず、S1でノーブローガスバッグ取り付け、S2でサービスチー120のキャップ170を取り外す。そして、S3にて、ガスバッグ200の上開口203から穿孔工具60を入れて、同工具60でホールソー160を取り外す。そして、S4で前述の用法で封止工具1を立上り管部140に取り付けて、サービスチー120の貫通孔131及び/又は元管100の穿孔101を封止する。その後、S5で分岐管110を切断する。この際、図6に示すように、分岐管110のソケット180の下流端から下流側に、分岐管110の外径D程度離れた位置P2を切断する。この長さは、切断後に分岐管110を塞ぐためのキャップとの重なり分程度の長さである。前述した従来の方法では、分岐管110の切断位置は、ソケット180の下流側端部から、分岐管110の外径Dの6倍以上離れた位置であったが、本発明の封止工具1を使用することにより、分岐管110の切断位置をソケットの下流端にできるだけ近い位置とすることができるので、残存する分岐管110の長さを短くできる。
【0066】
そして、S6で分岐管110の切断口にキャップを取り付ける。その後、S7で封止工具1を取り外し、S8で立上り管140の端部にキャップ170を取り付けた後、S9でガスバッグ200を取り外す。
【符号の説明】
【0067】
1 分岐管封止工具
10 ストッパー 11 ゴム製封止体
12 貫通孔 15 カラー
17 ナット
20 ネジ軸 21 大径軸部
22 中径軸部 23 小径軸部
25 孔 27 ネジ
28 ボルト
30 袋ナットA 31 円筒部
32 上部 33 貫通孔
34 開口 35 切り欠き
36 ネジ 37 延長部
38 溝 39 ストップリング
40 袋ナットB 41 円筒部
42 下部 44 ネジ
47 貫通
60 穿孔工具 70 本体
71 小径部 72 大径部
73 貫通孔 74 小径中空部
75 大径中空部 76 ネジ
77 Oリング溝 79 Oリング
80 シャフト 81 上端(反立上り管部側)係合端部
82 下端(立上り管部側)係合端部 85 上ストッパー
86 下ストッパー 90 検査口
100 元管 101 穿孔
110 分岐管 120 サービスチー
130 サドル部 131 貫通孔
140 立上り管部 141 ネジ
143 ネジ
150 分岐管部 160 ホールソー
161 本体部 162 刃部
165 孔 170 キャップ
171 ネジ 173 Oリング
180 ソケット 200 ガスバッグ
201 袋体 203 上側開口
203 ゴム 205 下側開口
206 防護板 210 固定治具
211 ネジ孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のガス供給元管にサービスチーを介して接続された樹脂製の分岐管の気密試験方法であって、
前記サービスチーは、
前記元管と連通する貫通孔を有し、前記元管の外面に融着されたサドル部と、
該サドル部の前記貫通孔周囲から立ち上がった立上り管部と、
該立上り管部から分岐して延び出し、その先端側が前記分岐管に接続される分岐部と、
前記立上り管部の反サドル側の管端部に取り付けられた、同管端部を塞ぐキャップと、
前記元管の側壁に、前記サドル部の貫通孔に相対する穿孔を開けるためのホールソーと、
を備えるものであり、
該気密試験方法は、
前記サドル部の貫通孔及び/又は前記元管側壁の穿孔を封止するストッパーを、前記立上り管部を通して取り付ける工程と、
前記分岐管に圧縮空気を送り込んで該分岐管内及び前記サービスチー内を所定の圧力とした後、所定時間放置して圧力低下量を測定する工程と、
を含み、
前記ストッパーが、前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込まれるゴム製封止体、及び、該封止体を孔軸方向に圧縮して径方向に膨張させる手段、を有し、
前記ストッパーのゴム製封止体を、前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込んだ後に、該封止体を孔軸方向に圧縮して径方向に膨張させて該孔を封止することを特徴とする分岐管の気密試験方法。
【請求項2】
請求項1記載の分岐管の気密試験方法において、
前記ホールソーを駆動して前記元管側壁を穿孔するための、以下ア)〜ウ)を有するサービスチー穿孔工具を用い、
ア)前記立上り管部の反サドル側の管端部に気密に取り付けられる本体、
イ)該本体に対して繰り出し・引き込み可能に設けられた、前記ホールソーを押し引きするシャフト、
ウ)前記本体に取り付けられた、前記立上り管部内に連通する検査口、
前記ストッパーを、前記穿孔工具の前記シャフトの先に保持させて、前記サドル部の貫通孔及び/又は前記元管側壁の穿孔に取り付けることを特徴とする分岐管の気密試験方法。
【請求項3】
請求項2記載の分岐管の気密試験方法において、
前記ストッパーを前記穿孔工具の前記シャフトの先に保持させ、
前記ストッパーを保持した前記シャフトを前記サービスチーの前記立上り管部内に挿入し、
前記シャフト押し込んで、前記ストッパーの前記ゴム製封止体を前記サドル部の貫通孔及び/又は前記元管側壁の穿孔に嵌め込み、
前記サービスチー穿孔工具の前記シャフトを回転させることにより、前記ゴム製封止体を孔軸方向に圧縮することを特徴とする分岐管の気密試験方法。
【請求項4】
樹脂製のガス供給元管に接続されたサービスチーのサドル部の貫通孔及び/又は前記元管側壁の穿孔を封止するストッパーであって、
前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込まれるゴム製封止体と、
該封止体を孔軸方向に圧縮して径方向に膨張させる手段と、
を具備することを特徴とするストッパー。
【請求項5】
前記封止体膨張手段が、
前記ゴム製封止体の軸芯に挿通されたネジ軸と、
前記ゴム製封止体を軸方向両側から挟むように配置された、前記ネジ軸に挿通されたカラー及び前記ネジ軸に螺合したナットと、
を有し、
前記ゴム製封止体は、前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込まれて摩擦によって係止され、
さらに、前記ゴム製封止体と面接触している前記ナットが、前記ゴム製封止体に摩擦によって係止され、
前記ネジ軸を回転させることにより前記ナットを前記カラーの方向に螺進させ、これにより前記ゴム製封止体を軸方向に圧縮して径方向に膨張させて、前記貫通孔及び/又は前記穿孔を封止することを特徴とする請求項4に記載のストッパー。
【請求項6】
樹脂製のガス供給元管にサービスチーを介して接続された樹脂製の分岐管において、前記分岐管へのガス流入を遮断する封止工具であって、
請求項4又は5に記載のストッパーと、
ホールソーを駆動して前記元管側壁を穿孔するための、以下ア)〜イ)を有するサービスチー穿孔工具と、
ア)前記立上り管部の反サドル側の管端部に気密に取り付けられる本体、
イ)該本体に対して繰り出し・引き込み可能に設けられた、前記ホールソーを押し引きするシャフト、
を有し、
前記ストッパーが、
該ストッパーの前記ネジ軸が前記穿孔工具の前記シャフトの先端に同軸上に保持されるとともに、前記シャフトに脱落不能に固定される手段を有し、
該シャフト固定手段により前記ストッパーを前記穿孔工具の前記シャフトの先に保持させて前記サドル部の貫通孔及び/又は前記元管側壁の穿孔を通して取り付けられ、
前記ストッパーのゴム製封止体を、前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込んだ後に、該封止体が孔軸方向に圧縮されて径方向に膨張されて該孔を封止することを特徴とする封止工具。
【請求項7】
前記シャフト固定手段が、
前記シャフトに形成された、外方向に張り出すストッパーと、
前記ネジ軸に軸方向に移動可能に装着された袋ナット組立体体と、
を有し、
前記シャフトを前記ネジ軸の軸方向と直交する方向から該袋ナット組立体体に挿入した後、前記ストッパーを前記軸方向の両側から前記ネジ軸と該袋ナット組立体とで挟み込み、前記ネジ軸を前記シャフトに固定することを特徴とする請求項6に記載の封止工具。
【請求項8】
前記袋ナット組立体と、前記カラーとの間に低摩擦材料からなるスラストワッシャーが介されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の封止工具。
【請求項9】
樹脂製のガス供給元管にサービスチーを介して接続された樹脂製の分岐管の気密試験装置であって、
前記サービスチーは、
前記元管と連通する貫通孔を有し、前記元管の外面に融着されたサドル部と、
該サドル部の前記貫通孔周囲から立ち上がった立上り管部と、
該立上り管部から分岐して延び出し、その先端側が前記分岐管に接続される分岐部と、
前記立上り管部の反サドル側の管端部に取り付けられた、同管端部を塞ぐキャップと、
前記元管の側壁に、前記サドル部の貫通孔に相対する穿孔を開けるためのホールソーと、
を備えるものであり、
該気密試験装置は、
前記立上り管部を通して取り付けられる、前記サドル部の貫通孔及び/又は前記元管側壁の穿孔を封止するストッパーと、
前記ホールソーを駆動して前記元管側壁を穿孔するための、以下ア)〜ウ)を有するサービスチー穿孔工具と、
ア)前記立上り管部の反サドル側の管端部に気密に取り付けられる本体、
イ)該本体に対して繰り出し・引き込み可能に設けられた、前記ホールソーを押し引きするシャフト、
ウ)前記本体に取り付けられた、前記立上り管部内に連通する検査口、
前記分岐管に圧縮空気を送り込んで該分岐管内及び前記サービスチー内を所定の圧力とした後、所定時間放置して圧力低下量を測定する試験装置と、
を含み、
前記ストッパーが、前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込まれるゴム製封止体、及び、該封止体を孔軸方向に圧縮して径方向に膨張させる手段、を有し、
前記ストッパーが、前記穿孔工具の前記シャフトの先に保持されて前記サドル部の貫通孔及び/又は前記元管側壁の穿孔に取り付けられ、
前記ストッパーのゴム製封止体が、前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込まれた後に、該封止体が孔軸方向に圧縮されて径方向に膨張されて該孔を封止することを特徴とする分岐管の気密試験装置。
【請求項10】
樹脂製のガス供給元管にサービスチーを介して接続された樹脂製の分岐管の撤去方法であって、
前記サービスチーは、
前記元管と連通する貫通孔を有し、前記元管の外面に融着されたサドル部と、
該サドル部の前記貫通孔周囲から立ち上がった立上り管部と、
該立上り管部から分岐して延び出し、その先端側が前記分岐管に接続される分岐部と、
前記立上り管部の反サドル側の管端部に取り付けられた、同管端部を塞ぐキャップと、
前記元管の側壁に、前記貫通孔に相対する穿孔を開けるためのホールソーと、
を備えるものであり、
該撤去方法は、
前記サドル部の貫通孔及び/又は前記元管側壁の穿孔を封止するストッパーを、前記立上り管部を通して取り付ける工程と、
前記分岐管を切断・撤去する工程と、
を含み、
前記ストッパーが、前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込まれるゴム製封止体、及び、該封止体を孔軸方向に圧縮して径方向に膨張させる手段、を有し、
前記ストッパーのゴム製封止体が、前記貫通孔及び/又は前記穿孔に嵌め込まれた後に、該封止体が孔軸方向に圧縮されて径方向に膨張されて該孔を封止することを特徴とする分岐管の撤去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−153676(P2011−153676A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16225(P2010−16225)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000106298)株式会社サンコー (39)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】