説明

ガス遮断装置

【課題】ガス遮断装置内が浸水時異常検知することを目的とする。
【解決手段】流量を計測する流量検出手段8と、検出値より瞬時流量を流量演算手段15で演算し、流量検出手段8で調整した信号増幅を増幅度判定手段18で判定し、増幅度が所定値以上の場合に計時を開始し、流量演算手段15で求めた流量より流量検出手段8の計測条件を計測条件設定手段16で設定するが、時間計測手段19と計測条件設定手段16とから計測時間中の計測条件比率を計測比率演算手段20で求め、計測比率が所定比率以上の時、流量検出手段8の異常と判定し、ガスの供給を遮断手段22で遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス遮断装置に関し、特に雨水等の浸入による電子部品等の誤動作に起因する誤計測や誤遮断を防止するガス遮断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のガス遮断装置としては、図4、図5に示すようなものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4はガス遮断装置1とアダプタ2との正面図を示し、図5はその側面から見たZ軸方向の断面図である。アダプタ2はガス遮断装置1に所定の機能を追加可能な制御回路3を搭載しかつガス遮断装置1に着脱可能な構成になっている。
【0004】
ガス遮断装置1は、ガス流入口1aとガスを使用する設備等にガスを供給する供給口1bを備えている。また、ガス遮断装置1内部にはガス流量を計測する計測手段を備えており(図示せず)、流入口1aから流入し供給口1bから供給されるガス流量を計測する。ガス遮断装置1の正面に表示手段1cが設けられ、使用量の積算値等が表示される。また、異常検出時ガスの供給を遮断するための遮断弁(図示せず)が設けられ、異常検出しガス供給を停止する遮断状態から復帰するための復帰操作部1dが設けられている。端子蓋1eを取り外すと通信装置を接続可能な通信端子等を有する接続端子1jが現れる。ガス遮断装置1に所定の機能を追加可能な制御回路3を接続すると、種々の機能、例えば通信装置として無線通信を行う機能であったり、所定日時より一定時間毎のガス使用量を記憶する機能等がある。
【0005】
アダプタ2は図5に示すように、ケース部は箱状の形状を有しており、ケース本体部2bと外蓋部2cと中蓋部2dとで構成されている。このケース内に制御回路3を収納され、アダプタ部2を構成する。
【0006】
ケース本体部2bは側面の一部を開口部としており、ここより制御回路3を収納する。中蓋部5dはケース本体部5bの開口部を覆い、脱着可能である。外蓋部2cは中蓋部2dを更に覆い、脱着が可能である。図4に示すように、ケース本体部2bの下部に凹部2eを設け、中蓋部2dの下部に対応した凸部2fを設け、はめ込んでいる。そして固定部材(ネジ等)2aで、固定する。ケース本体部2bと中蓋部2dとの間には密閉部材(Oリング等)2gを用いて密閉し、雨水がケース本体2b内部に浸入するのを抑制する。
【0007】
中蓋部2dには制御回路3の配線1hを引き出す配線孔2h設けられ、配線1hは制御回路3から中蓋部2dの配線孔2hを通り、更にアダプタ上部の配線シール部材2j付の配線孔2kを通ってガス遮断装置1の下部に設けられた配線孔1kを通り、更にガス遮断装置用制御回路1gに設けられた接続端子1jに接続される。制御回路3と接続端子1jとを接続する配線1hは、アダプタ2の上部より引き出されており、端子蓋1eをガス遮断装置1に固定部材1fで取り付けることにより、ガス遮断装置1内に収納されて、外部に露出しない構造としている。
【特許文献1】特開2005−61864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の構成では、ガス遮断装置を設置する工事担当者が通信装置や警報器或いは制御装置からの配線を接続する為に前面の端子蓋を開け接続した後、端子蓋
を固定部材でとめる際、2箇所を固定すべきところを誤って1箇所のみで固定したり、あるいは何らかの物がはさまった状態で固定される場合があり、端子蓋とガス遮断装置との間に隙間ができ、雨水等が浸入し、ガス遮断装置本体内に水がたまったり、或いは配線孔1k、2kを通りアダプタ2内部に雨水が入り、制御装置3が水没したりすることがある。特にガス遮断装置本体に水がたまったりすると流量計測が正常に行われなくなり、場合によっては誤って流量を計測したり、誤って計測した流量に基づいて保安判定された結果、ガス通路が誤って遮断されたり、逆に異常時であるにもかかわらずガス通路が遮断されない等の不具合が発生することになる。これはガス需要家にとって不便であったり、或いは万が一の場合に保安確保ができないという安全性の面で課題を有している。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するもので、誤った工事によって雨水等が浸入しガス遮断装置内が浸水状態となった場合、浸水状態を早期に検出し直ちにガス事業者のセンターに通報したり、ガス供給を停止し保安を確保する安全性の高いガス遮断装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題を解決するために、本発明のガス遮断装置は、流量を流量検出手段で計測し、その検出値より瞬時流量値を演算する流量演算手段と、流量検出手段で調整した信号増幅を増幅度判定手段で判定し所定値以上の場合計時開始する時間計測手段と、流量演算手段で求めた流量より流量検出手段の計測条件を計測条件設定手段で設定し、時間計測手段と計測条件設定手段とから計測時間中の計測条件比率を計測比率演算手段で求め、計測比率演算手段で所定比率以上の時異常判定手段で流量検出手段に浸水等の異常発生と判定しガスの供給を遮断する遮断手段とからなる。
【0011】
上記発明によれば、流量検出手段が雨水等の浸水状態になっても検出した流量値が変動し、流量検出手段の信号増幅度を上げようとするが、所定以上の増幅度となり流量を正確に計測しようとして計測条件を変更するが、所定時間中の計測条件比率を求めることで浸水状態を判定でき、異常な計測状態が継続するのを遮断することで防止でき、かつ安全性が高い。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガス遮断装置は、誤って雨水等が入り内部が浸水状態になった場合に、その状態を正しく判定し、ガス器具へのガス供給を停止するので、ガス需要家の安全な器具使用を監視できなくなったのにそのままの状態で監視しようとすることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は上記目的を達成する為に、流量を計測する流量検出手段と、前記流量検出手段の検出値より瞬時流量値を演算する流量演算手段と、前記流量検出手段で調整した信号増幅を判定する増幅度判定手段と、前記増幅度判定手段で所定値以上の場合計時開始する時間計測手段と、前記流量演算手段で求めた流量より前記流量検出手段の計測条件を設定する計測条件設定手段と、前記流量演算手段で求めた流量と前記時間計測手段と前記計測条件設定手段とから計測時間中の計測条件比率を求める計測比率演算手段と、前記流量演算手段で求めた瞬時流量より平均流量を求める平均流量演算手段と、前記計測比率演算手段で所定比率以上の時前記流量検出手段に異常発生と判定したり或いは求めた平均流量から異常の有無を判定する異常判定手段と、前記異常判定手段で異常判定成立時ガスの供給を遮断する遮断手段とからなる。
【0014】
そして、流量検出手段で流量信号を検出する為に増幅すると共に、流量値が変動するので安定計測する為に計測条件を変更するが、増幅度が所定値以上になると時間計測開始し
所定時間経過後安定計測の為の計測条件の比率を求め所定値以上の場合、流量検出手段が雨水等の浸入で浸水状態となったと判定し、ガス器具へのガス供給を停止するので、異常な計測状態が継続するのを遮断することで防止でき、かつ安全性が高い。
【0015】
更に本発明は上記目的を達成する為に、異常発生時にガスの供給を遮断するガス遮断装置であって、流量を計測する流量検出手段と、前記流量検出手段の検出値より瞬時流量値を演算する流量演算手段と、前記流量検出手段で調整した信号増幅を判定する増幅度判定手段と、前記増幅度判定手段で所定値以上の場合計時開始する時間計測手段と、前記流量演算手段で求めた流量より前記流量検出手段の計測条件を設定する計測条件設定手段と、前記時間計測手段と前記計測条件設定手段とから計測時間中の計測条件比率を求める計測比率演算手段と、前記流量演算手段で求めた瞬時流量より平均流量を求める平均流量演算手段と、前記計測比率演算手段で所定比率以上の時前記流量検出手段に異常発生と判定したり或いは求めた平均流量から異常の有無を判定する異常判定手段と、前記異常判定手段で異常判定成立時ガスの供給を遮断する遮断手段とからなる。
【0016】
そして、流量検出手段で流量信号を検出する為に増幅すると共に、流量値が変動するので安定計測する為に計測条件を変更するが、増幅度が所定値以上になると時間計測開始し所定時間経過後安定計測の為の計測条件の比率を求め所定値以上の場合、流量検出手段が雨水等の浸入で浸水状態となったと判定し、ガス器具へのガス供給を停止するので、異常な計測状態が継続するのを遮断することで防止でき、かつ安全性が高い。
【0017】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるガス遮断装置の概略構成図を示す図で、図2は同ガス遮断装置に搭載される制御装置の制御ブロック図である。図4、図5と同相当物には同一番号を付している。
【0018】
図1で、ガス遮断装置1は各家庭の庭等に設置され、このガス遮断装置1を経由した後、各家庭で使用する種々のガス器具が設置された場所まで配管され、ガスが供給される。そのガス遮断装置1の内部構成は流路4と制御装置5とがある。流路4はガス遮断装置1の流入口1aより入口側流路4aを介し、底部の流路4bを経て、出口側流路4cを介し、各ガス器具へガスを供給する供給口1bにつながっている。流路4には超音波信号を送受信する上流側送受信器6と下流側送受信器7とが流れ方向に対向して取り付けられている。上流側送受信器6、及び下流側送受信器7には各々制御装置5と接続する端子6a、7aがある。
【0019】
図2は制御装置の制御ブロック図である。流量検出手段8は上流側送受信器6、下流側送受信器7、切替手段9、送信手段10、受信手段11、伝搬時間計測手段12、振幅判定手段13、及び増幅度調整手段14とからなる。超音波を送信または受信する上流側送受信器6と、同じく受信または送信する下流側送受信器7が切替手段9によって送受信の切り換えが可能になっている。この上流側送受信器6或いは下流側送受信器7に超音波信号を出力する送信手段10が接続され、切替手段9によって上流側送受信器6或いは下流側送受信器7を介して超音波信号を受信手段11で受信する。まず送信手段10により上流側送受信器6で超音波信号を送信し、下流側送受信器7で受信し、受信手段11からの受信信号を伝搬時間計測手段12で伝搬時間を計測する。次に、切換手段9により切替えて同様に下流から上流に向かって超音波信号を送信し、伝搬時間を計測する。そして、上流側送受信器6と下流側送受信器7との超音波の伝搬時間差は予め定めた周期毎(例えば2秒毎等)に求められる。受信手段11で受信した超音波信号は振幅判定手段13で適正な大きさの振幅かを判定するが、大きすぎたり小さすぎたりする場合適正な大きさになるように増幅度調整手段14で調整する。増幅度調整手段14は例えば受信波のピーク電圧が例えば500mV程度になるように利得値1から100(30〜60dB)の範囲で増
幅度の制御が可能である。そして次回には調整された増幅度で次回計測時送信手段10より超音波信号を送信する。
【0020】
そして、所定周期毎計測し求めた伝搬時間は流量演算手段15で瞬時流量値に換算される。計測条件設定手段16は求めた瞬時流量より流路4内の圧力変動状態を検出し、計測回数や計測周期(通常の計測周期、例えば2秒よりはるかに短い時間で計測)等の計測条件を段階的に変えて、常に圧力変動等の影響を受けない安定して流量を計測できるように流量検出手段8を制御する。又瞬時流量値は平均流量演算手段17に入力され、所定個数の瞬時流量値を集合して平均流量値として算出される。一方流量検出手段8の超音波信号の振幅レベルを調節する増幅度を増幅度判定手段18で監視する。通常流量が大きくなると超音波信号受信感度が低下するので増幅度が大きくなる傾向がある。
【0021】
流量演算手段15で求めた瞬時流量が所定流量、例えば1000L/h以下の状態で増幅度判定手段18の増幅度が所定値以上の場合、時間計測手段19により流量検出手段8の異常監視の1時間のタイマを計測スタートする。異常監視のタイマをスタートすると共に、計測条件設定手段16の計測条件の監視を計測比率演算手段20でスタートする。計測条件は圧力変動等の状態に応じ、数段階の計測条件があるが、所定段階以上の計測条件で計測し始めた回数をカウントし、1時間の監視タイマ内で流量計測できる全サンプリング回数に対する所定段階以上の計測条件で計測した回数比率を求める。
【0022】
そして、異常判定手段21は、求められた平均流量で使用器具の監視を行ったり、現在の流量検出手段8に異常はないか監視を行う。異常判定手段21は、計測比率演算手段20が所定比率以上になった場合、通常の小流量の範囲で異常に大きな増幅度になっているのは流量検出手段8が何らかの原因で、例えば雨水等の浸水で異常な流量検出をしていると判定し、遮断信号を出力する。又異常判定手段21には、流量域毎に対応した使用時間の制限時間値、あるいは使用最大流量の監視判定値等が記憶されている。例えばストーブ等へガスを供給するホースが何らかの原因で外れた時、異常な大流量が発生するが、そのような状態を監視するための合計流量遮断値や、器具の通常使用する最大使用時間よりはるかに長く使用された場合に対応して使用時間の制限時間を規定した使用時間遮断の制限時間等が記憶されている。この設定値と平均流量値とを異常判定手段21で比較判定することで、流量値が使用最大流量値を超えていないか、或いは器具の使用時間が登録流量に対応した連続使用の制限時間を超えていないか等を監視する。
【0023】
この異常判定手段21で異常成立と判定した時、遮断手段22に遮断信号を送ってガス供給を停止する。また、報知通信手段23は、遮断状態や遮断内容を液晶表示素子等に表示すると共にガスの安全監視を行っているガス事業者のセンターに電話回線等の通信により通報する。
【0024】
次に、以上のように構成されたガス遮断装置1の動作を説明する。ガス需要家宅にガス事業者がガス遮断装置1を設置し、端子蓋1eを開けて、通信装置や警報器(図示せず)等を接続した後、端子蓋1eを固定部材1f(ビス等)で固定しようとして、固定部材1fの固定が緩かったり、締め方が甘かったり、或いは接続線等が何らかの原因ではさまった場合、雨水が端子蓋1eとガス遮断装置1本体との隙間より進入する場合がある。この場合で浸入した雨水がガス遮断装置1の下部に位置している流路4の部分に溜まり、上流側送受信器6や下流側送受信器7等が浸水し水没状態となる。このような状態で流量を流量検出手段8で検出する。超音波信号の伝搬時間が検出値として計測され、この信号が流量演算手段15に送られて瞬時流量値として換算されるが、水没した状態のため上流側送受信器6や下流側送受信器7の端子6aや7a間のインピーダンスが低下するため、超音波信号の大きさが不安定でかつ変動するので、器具を全く使用していない流量状態であっても伝搬時間計測手段12で計測した伝搬時間値が変化するので、結果流量演算手段15
で求めた流量値が変動する。又端子間インピーダンスが低下する為、超音波信号が小さくなるが、その状態を受信手段11で受信し信号レベルが振幅判定手段13で所定値以下であるのを判定すると、常にピーク値が500mVになるように増幅度調整手段14では増幅度を大きくする。結果器具が使用されていない低流量状態であるのに流量信号を検出する信号の増幅度が次第に大きくなる。
【0025】
流量演算手段15で求めた瞬時流量が変動すると計測条件設定手段16はその状態より器具を使用していないのに供給するガス圧が変動した場合の流量状態と同じ状態と判定し、圧力変動時の計測条件に変更制御する。即ち2秒毎に定期的に計測するが、その時の超音波を送信し計測する計測条件、例えば計測回数を増加させ流量を安定的に計測する。時間計測手段19や計測比率演算手段20は流量演算手段15からの瞬時流量が所定流量以下(例えば1000L/h以下等)で、増幅度判定手段18が所定増幅度(例えば利得値60以上等)以上に達した状態と判定すると、ガス遮断装置1の下部に位置する流量検出手段8が何らかの原因で浸水等により端子間インピーダンスが低下し異常状態になったと判定し、時間計測手段19は流量検出手段8の異常監視タイマを計測スタートする。同時に計測比率演算手段20は時間計測手段19の異常監視タイマ中の流量計測回数に対する計測条件を変更して流量を計測している回数比率を求める。例えば80%以上等の所定比率に達すると流量検出手段8が浸水等により端子間インピーダンスが低下し異常状態になったと判定し異常判定手段21に遮断信号を出力する。通常GHP(ガスヒートポンプ装置)等の圧力変動を起こす器具が使用された場合、計測条件設定手段14は脈動状態を検出すると計測条件が上がり、安定流量を検出すると計測条件が段階的に下がったりと交互に計測条件が変化するが、ガス遮断装置1内の流量検出手段8等が水没し端子間インピーダンスが低下すると常に計測条件が最も上位の計測条件で計測し続ける。
【0026】
しかしながらガス遮断装置の電源(図示せず)は通常は電池を使用するが、上記従来のような、常に上位の計測条件で計測されると大容量の電池が必要となるため、このように早期に異常状態を検出することは、小容量の電池での構成が可能となる点でも大きな効果を奏する。
【0027】
この異常判定手段21で異常成立と判定した時、遮断手段22に遮断信号を送ってガス供給を停止する。また、報知通信手段23は、遮断状態や遮断内容を液晶表示素子等に表示すると共にガスの安全監視を行っているガス事業者のセンターに電話回線等の通信により通報する。ガス事業者は直ちにガス遮断装置1を交換する等の対応措置を実施でき、速やかに異常状態を回避することが可能である。
【0028】
一方並行して、平均流量演算手段12で流量演算手段15で求めた瞬時流量を所定個数毎の平均流量値として演算される。求められた平均流量は異常判定手段21には、流量域毎に対応した使用時間の制限時間値、あるいは使用最大流量の監視判定値等が記憶されている。例えばストーブ等へガスを供給するホースが何らかの原因で外れた時、異常な大流量が発生するが、そのような状態を監視するための合計流量遮断値や、器具の通常使用する最大使用時間よりはるかに長く使用された場合に対応して使用時間の制限時間を規定した使用時間遮断の制限時間等が記憶されている。この設定値と平均流量値とを異常判定手段21で比較判定することで、流量値が使用最大流量値を超えていないか、或いは器具の使用時間が登録流量に対応した連続使用の制限時間を超えていないか等監視し、超えた場合遮断信号を出力する。
【0029】
なお、本実施の形態に使用した構成は一例であり、又使用形態も本実施の形態に限定されるものではない。
【0030】
以上のように、何からの原因でガス遮断装置1の端子蓋1eが緩んだ状態で固定され、
雨水等が浸入しガス遮断装置1の下部に位置する流量検出手段8が浸水状態になったり、最悪その上部に位置する制御装置5迄が水没するような状態になったのを、流量検出手段8からの検出した流量信号の変化や流量を検出制御する増幅度調整手段14の増幅度を監視することにより、流量検出手段8の異常を早期に検出できるので、浸水することにより本来器具を使用していないのに流量を計測して異常なガス使用量として積算したり、異常な流量が検出されたとして保安機能が働き、ガスを遮断する等の誤遮断といった異常動作を継続して起すことを防止し、ガス器具を使用するガス需要家を安全に監視するためのガス遮断装置が異常であることを早期に判定し通報するので、安全性や信頼性が極めて高く、かつ使い勝手が高い効果がある。
【0031】
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2におけるガス遮断装置に搭載される制御装置の制御ブロック図である。図1、図4及び図5と同相当物には同一番号を付している。
【0032】
図3は制御装置の制御ブロック図である。流量検出手段8は上流側送受信器6、下流側送受信器7、切替手段9、送信手段10、受信手段11、伝搬時間計測手段12、振幅判定手段13、及び増幅度調整手段14とからなる。超音波を送信または受信する上流側送受信器6と受信または送信する下流側送受信器7が切替手段9によって送受信の切り換えが可能になっている。この上流側送受信器6或いは下流側送受信器7に超音波信号を出力する送信手段10が接続され、切替手段9によって上流側送受信器6或いは下流側送受信器7を介して超音波信号を受信手段11で受信する。まず送信手段10により上流側送受信器6が超音波信号を送信し、下流側送受信器7で受信し、受信手段11からの受信信号を伝搬時間計測手段12で伝搬時間を計測する。次に、切換手段9により切替えて同様に下流から上流に向かって超音波信号を送信し、伝搬時間を計測する。そして、上流側送受信器6と下流側送受信器7との超音波の伝搬時間差は予め定めた周期毎に求められる。受信手段11で受信した超音波信号は振幅判定手段13で適正な大きさの振幅かを判定するが、大きすぎたり小さすぎたりする場合適正な大きさになるように増幅度調整手段14で調整する。増幅度調整手段14は例えば受信波のピーク電圧が例えば500mV程度になるように利得値1から100(30〜60dB)の範囲で増幅度制御が可能である。そして次回には調整された増幅度で次回計測時送信手段10より超音波信号を送信する。
【0033】
そして、所定周期毎計測し求めた伝搬時間は流量演算手段15で瞬時流量値に換算される。計測条件設定手段16は求めた瞬時流量より流路4内の流れ状態を判定し、計測回数や計測周期等の計測条件を変えて常に安定して流量計測できるように流量検出手段8を制御する。又瞬時流量値は平均流量演算手段17に入力され、所定個数の瞬時流量値を集合して平均流量値として算出される。一方流量検出手段8の超音波信号の振幅レベルを調節する増幅度を増幅度判定手段18で監視する。通常流量が大きくなると超音波信号受信感度が低下するので増幅度が大きくなる傾向がある。
【0034】
増幅度判定手段18の増幅度が所定値以上の場合、時間計測手段19により流量検出手段8の異常監視のタイマを計測スタートする。異常監視のタイマをスタートすると共に、計測条件設定手段16の計測条件の監視を計測比率演算手段20でスタートする。
【0035】
そして、異常判定手段21は、求められた平均流量で使用器具の監視を行ったり、現在の流量検出手段8に異常はないか監視を行う。異常判定手段21は、計測比率演算手段20が所定比率以上になった場合、通常の小流量の範囲で異常に大きな増幅度になっているのは流量検出手段8が何らかの原因で、例えば雨水等の浸入で異常な流量検出をしていると判定し、遮断信号を出力する。
【0036】
次に、以上のように構成されたガス遮断装置1の動作を説明する。ガス需要家宅にガス
事業者がガス遮断装置1を設置し、端子蓋1eを開けて、通信装置や警報器(図示せず)等を接続した後、端子蓋1eを固定部材1f(ビス等)で固定しようとして、固定部材1fの固定が緩かったり、締め方が甘かったり、或いは接続線が何らかの原因ではさまった場合、雨水が端子蓋1eとガス遮断装置1本体との隙間より進入する場合がある。この場合で浸水した雨水がガス遮断装置1の下部に位置している流路4の部分に溜まり、上流側送受信器6や下流側送受信器7等が浸水し水没状態となる。このような状態で流量を流量検出手段8で検出する。超音波信号の伝搬時間が検出値として計測され、この信号が流量演算手段15に送られて瞬時流量値として換算されるが、水没した状態のため上流側送受信器6や下流側送受信器7の端子6aや7a間のインピーダンスが低下するため、超音波信号の大きさが不安定でかつ変動するので、器具を全く使用していない流量状態であるのに伝搬時間計測手段12で計測した伝搬時間値が変化するので、結果流量演算手段15で求めた流量値が変動する。又端子間インピーダンスが低下する為、超音波信号が小さくなるが、その状態を受信手段11で受信し信号レベルが振幅判定手段13で所定値以下であるのを判定すると増幅度調整手段14では常にピーク値が500mVになるように増幅度を大きくする。結果器具が使用されていない低流量状態であるのに流量信号を検出する信号の増幅度が次第に大きくなる。
【0037】
流量演算手段15で求めた瞬時流量が変動すると計測条件設定手段16はその状態より器具を使用していないのに供給するガス圧が変動した場合の流量状態と同じ状態と判定し、圧力変動時の計測条件に変更制御する。即ち定期的に計測するが、その時の超音波を送信し計測する計測回数を増加させたり、通常の計測周期より短い計測周期で計測し流量を安定的に計測する。時間計測手段19や計測比率演算手段20は、増幅度判定手段18が所定増幅度(例えば利得値60以上等)以上に達した状態と判定すると、ガス遮断装置1の下部に位置する流量検出手段8が何らかの原因で浸水等により端子間インピーダンスが低下し異常状態になったと判定し、時間計測手段19は流量検出手段8の異常監視タイマを計測スタートする。同時に計測比率演算手段20は時間計測手段19の異常監視タイマ中の流量計測回数に対する計測条件を変更して流量を計測している回数比率を求める。例えば80%以上等の所定比率に達すると流量検出手段8が浸水等により端子間インピーダンスが低下し異常状態になったと判定し異常判定手段21に遮断信号を出力する。通常GHP等の圧力変動を起こす器具が使用された場合、計測条件設定手段14は脈動状態を検出すると計測条件が上がり、安定流量を検出すると計測条件が段階的に下がったりと交互に計測条件が変化するが、ガス遮断装置1内の流量検出手段8等が水没し端子間インピーダンスが低下すると常に計測条件が最も上位の計測条件で計測し続ける。
【0038】
しかしながらガス遮断装置の電源(図示せず)は通常は電池を使用するが、上記従来のような、常に上位の計測条件で計測されると大容量の電池が必要となるため、このように早期に異常状態を検出し、警告もしくは遮断等の対応措置をとることは大きな効果を奏する。
【0039】
この異常判定手段21で異常成立と判定した時遮断手段22に遮断信号を送ってガス供給を停止する。また、報知通信手段23は、遮断状態や遮断内容を液晶表示素子等に表示すると共にガスの安全監視を行っているガス事業者のセンターに電話回線等の通信により通報する。ガス事業者は直ちにガス遮断装置1を交換する等の対応措置を実施でき、速やかに異常状態を回避することが可能である。
【0040】
一方並行して、平均流量演算手段12で流量演算手段15で求めた瞬時流量を所定個数毎の平均流量値として演算される。求められた平均流量は異常判定手段21には、流量域毎に対応した使用時間の制限時間値、あるいは使用最大流量の監視判定値等が記憶されている。例えばストーブ等へガスを供給するホースが何らかの原因で外れた時、異常な大流量が発生するが、そのような状態を監視するための合計流量遮断値や、器具の通常使用す
る最大使用時間よりはるかに長く使用された場合に対応して使用時間の制限時間を規定した使用時間遮断の制限時間等が記憶されている。この設定値と平均流量値とを異常判定手段21で比較判定することで、流量値が使用最大流量値を超えていないか、或いは器具の使用時間が登録流量に対応した連続使用の制限時間を超えていないか等監視し、超えた場合遮断信号を出力する。
【0041】
なお、本実施の形態に使用した構成は一例であり、又使用形態も本実施の形態に限定されるものではない。
【0042】
以上のように、何からの原因でガス遮断装置1の端子蓋1eが緩んだ状態で固定され、雨水等が浸入しガス遮断装置1の下部に位置する流量検出手段8が浸水状態になったり、最悪その上部に位置する制御装置5迄が水没するような状態になったのを、流量検出手段8からの検出した流量信号の変化や流量を検出制御する増幅度調整手段14の増幅度を監視することにより、流量検出手段8の異常を早期に検出できるので、浸水することにより本来器具を使用していないのに流量を計測し異常なガス使用量として積算したり、異常な流量が検出されたとして保安機能が働き、ガスを遮断する等の誤作動といった異常動作を継続して起すことを防止し、ガス器具を使用するガス需要家を安全に監視するためのガス遮断装置が異常であることを早期に判定し通報するので、安全性や信頼性が極めて高く、かつ使い勝手が高い効果がある。
【0043】
なお、以上の実施の形態に係る本ガス遮断装置の手段の全てもしくは一部を実行させるためのプログラムを作成すれば、マイコン等を用いて本発明を実施することができるし、またこのプログラムを記録媒体に記録したり通信回線を用いて配信することにより配布やインストール作業を簡単行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明に係るガス遮断装置は、雨水等で浸水された時の異常状態を検出して、保安監視や流量計測継続が困難であると判定するできるものであり、同様に水道メータやディジタル電力メータ等の器具監視装置全般に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態1におけるガス遮断装置の構成図
【図2】同ガス遮断装置の制御ブロック図
【図3】本発明の実施の形態2における同ガス遮断装置の制御ブロック図
【図4】従来のガス遮断装置の正面図
【図5】同ガス遮断装置の断面図
【符号の説明】
【0046】
8 流量検出手段
15 流量演算手段
16 計測条件設定手段
17 平均流量演算手段
18 増幅度判定手段
19 時間計測手段
20 計測比率演算手段
21 異常判定手段
22 遮断手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常発生時にガスの供給を遮断するガス遮断装置であって、流量を計測する流量検出手段と、前記流量検出手段の検出値より瞬時流量値を演算する流量演算手段と、前記流量検出手段で調整した信号増幅を判定する増幅度判定手段と、前記増幅度判定手段で所定値以上の場合計時開始する時間計測手段と、前記流量演算手段で求めた流量より前記流量検出手段の計測条件を設定する計測条件設定手段と、前記流量演算手段で求めた流量と前記時間計測手段と前記計測条件設定手段とから計測時間中の計測条件比率を求める計測比率演算手段と、前記流量演算手段で求めた瞬時流量より平均流量を求める平均流量演算手段と、前記計測比率演算手段で所定比率以上の時前記流量検出手段に異常発生と判定したり或いは求めた平均流量から異常の有無を判定する異常判定手段と、前記異常判定手段で異常判定成立時ガスの供給を遮断する遮断手段とを備えたガス遮断装置。
【請求項2】
異常発生時にガスの供給を遮断するガス遮断装置であって、流量を計測する流量検出手段と、前記流量検出手段の検出値より瞬時流量値を演算する流量演算手段と、前記流量検出手段で調整した信号増幅を判定する増幅度判定手段と、前記増幅度判定手段で所定値以上の場合計時開始する時間計測手段と、前記流量演算手段で求めた流量より前記流量検出手段の計測条件を設定する計測条件設定手段と、前記時間計測手段と前記計測条件設定手段とから計測時間中の計測条件比率を求める計測比率演算手段と、前記流量演算手段で求めた瞬時流量より平均流量を求める平均流量演算手段と、前記計測比率演算手段で所定比率以上の時前記流量検出手段に異常発生と判定したり或いは求めた平均流量から異常の有無を判定する異常判定手段と、前記異常判定手段で異常判定成立時ガスの供給を遮断する遮断手段とを備えたガス遮断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−8053(P2010−8053A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164091(P2008−164091)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】