説明

ガス遮断装置

【課題】超音波流量計測で計測異常の監視による誤遮断を防止することを目的とする。
【解決手段】流量信号を流量検出手段3で検出し、流量検出値より流量演算手段10で瞬時流量値を演算し、流量検出手段3より流量信号を検出できなかった場合、或いは流量検出手段3における増幅度が所定値以上の場合に計測異常と判定する計測異常判定手段13と、出荷モード解除後から計時を開始し所定期間経過すると計測異常判定手段13の作動を開始させる期間計時手段14と、流量演算手段10で求めた瞬時流量より平均流量を求め、求めた平均流量から異常判定手段16で異常の有無を判定し、異常判定成立時ガスの供給を遮断する遮断手段17とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス遮断装置に関し、特に超音波で流量計測し保安監視するガス遮断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のガス遮断装置としては、図3に示すようなものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1のガス遮断装置について、図3を用いて簡単に構成を説明する。
【0004】
ガス流路内に距離Lだけ離され、かつガス流方向Yに対して角度θをなすように、対向して配置された2つのトランスデューサTD1、TD2を有する。両トランスデューサTD1、TD2の上流側にガス遮断弁101が設けられている。各トランスデューサTD1、TD2はトランスデューサI/F回路102,103を介して送信回路104、受信回路105に接続されている。送信回路104はマイクロコンピュータ(μCOM)106の制御の下で、トランスデューサTD1、TD2の一方を駆動して超音波を発生させる。μCOM106には、各種処理を行うCPU106a、プログラムを格納したROM106bと読み出し専用メモリRAM106cが内蔵されている。受信回路105はガス流路を通過した超音波信号を受信した他方のトランスデューサTD1、TD2からの受信信号を処理する。μCOM106には、表示器107が接続されている。
【0005】
次に従来例のガス遮断装置について、その構成の動作について説明する。μCOM106は、2つのトランスデューサTD1、TD2を用いてサンプリング時間毎ガス流速を計測し、瞬時流量計測処理を行う。又、μCOM106は流量計測処理を行うと共に、正確な流量計測を行えているかを判断する計測異常判断処理を行っている。そして、超音波受信信号を受信時、波高値が閾値を越えた後の伝搬時間を計測する。ここで、閾値を超えるようにゲイン調整を行っているが、CPU106aはゲインを最大にしても閾値を超えた超音波を受信できない時に正確な流速計測が行えないと判断している。
【0006】
CPU106aは、出荷モード解除後、ガス遮断弁の復帰安全確認する復帰処理を行い、混在判断手段、停止手段として働く。出荷モード解除後から、超音波信号の受信状態や、超音波信号によって演算した瞬時流量に基づいて供給ガスと空気との混在無が検出されるまでの間、混在状態が発生していると判断して流量異常の判断を停止する。この停止処理を抜けると、流量異常の判断に基づいて復帰安全確認処理を行う。
【0007】
そして、計測異常が発生していなければCPU106aは瞬時流量の変動が生じているか否かを判断する。前回と最新の瞬時流量差が一定値以上の場合変動有、一定値以下の場合変動無と判断する。また、計測異常が発生していたり、計測できるものの瞬時流量に変動が生じている場合、CPU106aはガス置換中であり、空気と供給ガスが混在しているとして、ガス置換フラグをオンしているかを判断する。
【0008】
ガス置換フラグがオンでなければ、フラグをオンして置換タイマをスタートする。置換フラグがオンしている場合、置換タイマが第1所定時間を超えているかを判断し、超えていた場合、CPU106aは出荷モード復帰手段として働き、ガスの混在に起因した計測異常や流量変動が発生しているのではなく、トランスデューサTD1、TD2等の故障により計測異常が発生していると判断し、出荷モードに移行して処理終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4199106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の構成のガス遮断装置では、出荷モード解除後の復帰安全確認時に、超音波の受信状態や瞬時流量に基づいて空気と供給ガスとの混在を判断し流量異常の判断を停止しているが、停止時にどのように流量異常値を処理するか開示されていない。又、設置した以降未入居であるのにガス事業者が出荷モードを解除して、一部のガス器具のみでエアパージする場合があり、他の配管内にエア等の異ガスが残っている場合がある。この場合、時間経過と共に自然とガス流路内に供給ガス以外の気体と混じることになる。従って、出荷モード解除以降のエアパージにおいてもガス置換が完了し、混在判断が完了したとはいえず、別のガス配管、給湯器配管内のエアが対流により流量計測部が混在状態となり、結果としてガスの混在と誤判定する場合があり、誤遮断が発生するという課題を有している。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するもので、ガス流路内に供給ガスと空気等の異ガスとの混合状態が発生しようとも誤遮断をしない使い勝手の高いガス遮断装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来の課題を解決するために、本発明のガス遮断装置は、異常発生時にガスの供給を遮断するガス遮断装置であって、流量信号を増幅して検出する流量検出手段と、前記流量検出手段の検出値より瞬時流量を演算する流量演算手段と、前記流量検出手段で流量信号が検出できなかった場合、或いは前記流量検出手段における増幅度が所定値以上の場合に計測異常と判定する計測異常判定手段と、出荷モード解除から計時を開始し、所定期間経過すると前記計測異常判定手段を作動開始させる期間計時手段と、前記計測異常判定手段で計測異常と判定成立時にガスの供給を遮断する遮断手段とからなる。
【0013】
上記発明によれば、ガス遮断装置の設置されたままの状態の出荷モード中、或いはガス器具を使用するために出荷モード解除以降ガスを供給できる状態であっても流量検出手段が正しく計測できるかを監視する計測異常判定手段は当初機能無効状態としており、出荷モード解除以降所定期間が経過することにより、その間に異常な増幅度で流量計測があっても計測異常判定手段は誤判定することなく、ガス需要家により充分ガス器具を使用され所定期間が経過した以降に計測異常判定手段を機能有効に切替えることにより、新築家屋において開栓直後でガス配管中に充分供給ガスが充満していない状態であっても、結果出荷モードからの復帰時に誤って遮断するという不具合がなく安全に保安監視を行える。
【発明の効果】
【0014】
本発明のガス遮断装置は、設置された以降、ガス需要家が入居しガス器具を使用開始するまでの所定期間、計測異常判定手段の機能を無効状態とし、所定の期間経過後に機能有効に切替えるので、当初、供給配管中に空気等の異ガスが混入していても、供給ガスによる配管内の置換が行える十分な期間を所定期間に設定することで、供給ガスが充分満たされた状態になった状態で計測異常判定手段の機能を有効にでき、誤遮断するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1におけるガス遮断装置の制御ブロック図
【図2】同実施の形態2におけるガス遮断装置の制御ブロック図
【図3】従来のガス遮断装置の制御ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明は、異常発生時にガスの供給を遮断するガス遮断装置であって、流量信号を増幅して検出する流量検出手段と、前記流量検出手段の検出値より瞬時流量を演算する流量演算手段と、前記流量検出手段で流量信号が検出できなかった場合、或いは前記流量検出手段における増幅度が所定値以上の場合に計測異常と判定する計測異常判定手段と、出荷モード解除から計時を開始し、所定期間経過すると前記計測異常判定手段を作動開始させる期間計時手段と、前記計測異常判定手段で計測異常と判定成立時にガスの供給を遮断する遮断手段とからなる。
【0017】
そして、ガス遮断装置の設置されたままの状態の出荷モード中、或いはガス器具を使用するために出荷モード解除以降ガスを供給できる状態であっても流量検出手段が正しく計測できるかを監視する計測異常判定手段は当初機能無効状態としており、出荷モード解除以降所定期間が経過することにより、その間に異常な増幅度で流量計測があっても計測異常判定手段は誤判定することなく、ガス需要家により充分ガス器具を使用され所定期間が経過した以降に計測異常判定手段を機能有効に切替えることにより、新築家屋において開栓直後でガス配管中に充分供給ガスが充満していない状態であっても、結果出荷モードからの復帰時に誤って遮断するという不具合がなく安全に保安監視を行える。
【0018】
第2の発明は、特に第1の発明において、前記期間計時手段で前記計測異常判定手段を動作させた以降、前記流量検出手段における増幅度が所定値以上の場合、再度、所定期間の計時を作動開始させるリトライ判定手段を備えたものである。
【0019】
そして、十分な期間を設けた後でも、異ガスの混入が認められた場合には、再度所定期間の計時を行うことで、計測異常判定手段による誤遮断を防止できる。
【0020】
第3の発明は、第1または第2の発明の遮断装置の手段の全てもしくは一部をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0021】
そして、プログラムであるのでマイコン等を用いて本発明のガス遮断装置の一部あるいは全てを容易に実現することができる。また記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることでプログラムの配布やインストール作業が簡単にできる。
【0022】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるガス遮断装置の制御ブロック図を示す図である。図3と同相当物には同一番号を付している。
【0023】
図示していないが、ガス遮断装置は各家庭の庭等に設置され、このガス遮断装置を経由した後、各家庭で使用する種々のガス器具が設置された場所まで配管され、ガスが供給される。そのガス遮断装置の内部構成は流路と制御装置とがある。流路はガス遮断装置の流入口より入口側流路を介し、底部の流路を経て、出口側流路を介し、各ガス器具へガスを供給する供給口につながっている。流路の上流と下流には超音波信号を送受信する上流側送受信器1と下流側送受信器2とが対向して取り付けられている。
【0024】
図1は同ガス遮断装置の制御ブロック図である。流量検出手段3は上流側送受信器1、下流側送受信器2、切替手段4、送信手段5、受信手段6、伝搬時間計測手段7、振幅判定手段8、及び増幅度調整手段9とからなる。超音波を送信または受信する上流側送受信器1と、同じく受信または送信する下流側送受信器2が切替手段4によって送受信の切り換えが可能になっている。この上流側送受信器1或いは下流側送受信器2に超音波信号を
出力する送信手段5が接続され、切替手段4によって上流側送受信器1或いは下流側送受信器2を介して超音波信号を受信手段6で受信する。
【0025】
この構成において、まず送信手段5により上流側送受信器1で超音波信号を送信し、下流側送受信器2で受信し、受信手段6からの受信信号を伝搬時間計測手段7で伝搬時間を計測する。次に、切替手段4により切替えて同様に下流から上流に向かって超音波信号を送信し、伝搬時間を計測する。そして、上流側送受信器1と下流側送受信器2との超音波の伝搬時間差は予め定めた周期毎(例えば2秒毎等)に求められる。受信手段6で受信した超音波信号は振幅判定手段8で適正な大きさの振幅かを判定するが、大きすぎたり小さすぎたりする場合は適正な大きさになるように増幅度調整手段9で調整する。そして、次回は調整された増幅度で送信手段5より超音波信号を送信する。
【0026】
そして、所定周期毎に計測し求めた伝搬時間は流量演算手段10で瞬時流量値に換算される。又、瞬時流量値は平均流量演算手段11に入力され、所定個数の瞬時流量値を集合して平均流量として算出される。一方、流量検出手段3の超音波信号の振幅レベルを調節する増幅度を増幅度判定手段12で監視する。通常、流量が大きくなると超音波信号受信感度が低下するので増幅度が大きくなる傾向がある。
【0027】
計測異常判定手段13は、流量検出手段3の異常の有無を判定する。例えば、増幅度判定手段12の増幅度が所定値以上の場合、何らかの原因で超音波受信信号が異常に低下していると判断する。又、流量検出手段3で例えば上流側送受信器1より超音波信号を送信し下流側送受信器2で受信できなかった場合、或いは下流側送受信器2で超音波信号を受信し伝搬時間計測手段7で計測した伝搬時間が本来の供給ガス以外の伝搬時間を検出した場合、空気やヘリウムガス等の異ガス混入と判定し、正しく超音波による流量計測ができないと判定する。
【0028】
期間計時手段14は、出荷モード解除後より所定期間の期間計時をスタートする。ガス遮断装置は、出荷時に出荷モードに設定されており、この出荷モードにおいて、計測異常判定手段13は、機能無効で異常判定を作動させていない。そして、ガス事業者によりガス遮断装置が設置された後、この出荷モード状態より解除され、通常のガス器具が使用される状態になると期間計時手段14における計時をスタートする。その後、所定期間の期間計時が完了すると、計測異常判定手段13は機能有効に切り替わり、各種の計測に関する異常判定を実施する。
【0029】
出荷モード解除手段15は、例えば、テストスイッチと呼ばれるリードスイッチ等でなりガス事業者が出荷モード状態を解除するために磁石などにより操作され、操作信号が入力される。操作されると出荷モード状態に至らせたり、又解除し復帰させる復帰スイッチ(図示せず)を操作させると、所定時間経過後、ガス器具を使用可能となる通常状態 に至る。
【0030】
増幅度判定手段12は、計測異常判定手段13が機能無効の間、ガス器具が使用されていないのに流量演算手段10で求めた瞬時流量が大きく、かつ、増幅度判定手段で判定された増幅度が所定値以上の値を示している時、出荷モード解除後も充分配管内に供給ガスと他の気体との混合状態が発生していると判定し、その時に計測した瞬時流量を用いず、正常な増幅度の時に計測した瞬時流量を採用し、平均流量演算手段11に出力する。
【0031】
増幅度判定手段12は、複数の判定値を有し、例えば上流側送受信器1や下流側送受信器2にダスト等がたまり、次第に大きな増幅度でないと流量計測できなくなる判定値や、上流側送受信器1や下流側送受信器2が断線し高い増幅度となり流量計測不可と判定する判定値など、複数の判定値を有する。例えば、ガス配管中が空気等の異ガスと混合状態に
あると前述のダスト検出レベルを超える場合や、計測不可の判定値を超える場合があり、本来ガス器具の停止状態であるのに器具流量のような高い流量を示すことがある。
【0032】
そして、異常判定手段16は、求められた平均流量で使用器具の監視を行ったり、現在の流量検出手段3に異常はないか監視を行う。異常判定手段16は、流量域毎に対応した使用時間の制限時間値、あるいは使用最大流量の監視判定値等が記憶されている。例えば、ガスストーブ等へガスを供給するホースが何らかの原因で外れた時、異常な大流量が発生するが、そのような状態を監視するための合計流量遮断値や、ガス器具を通常使用する最大使用時間よりはるかに長く使用された場合に対応して使用時間の制限時間を規定した使用時間遮断の制限時間等が記憶されている。この設定値と平均流量とを異常判定手段16で比較判定することで、流量値が使用最大流量値を超えていないか、或いはガス器具の使用時間が登録流量に対応した連続使用の制限時間を超えていないか等を監視する。
【0033】
この異常判定手段16で異常成立と判定した時、遮断手段17に遮断信号を送ってガス供給を停止する。また、報知通信手段18は、遮断状態や遮断内容を液晶表示素子等(図示せず)に表示すると共に、ガスの安全監視を行っているガス事業者のセンター(図示せず)に電話回線等の通信手段により通報する。
【0034】
次に、以上のように構成されたガス遮断装置の動作を説明する。ガス遮断装置は新築、或いは検満による交換設置時は、テストスイッチと呼ばれるスイッチの操作により出荷モード状態にある。そして、ガス需要家が入居しガス器具を使用開始する前にガス事業者により出荷モードが解除され、遮断手段17が復帰される。そして、ガス器具を使用してガス漏れや配管内の空気などの供給ガスとは異なる異ガスをパージする。
【0035】
しかしながら、即座にガスが使用できるように、未入居の段階より出荷モードが解除されている場合もある。こうした場合、ガステーブルのみのガス器具を使用しガスパージを終えている場合もあり、充分にガス配管内が供給ガスで満たされていないことがある。こうした状況下で、流量計測を実施すると、時間が経つにつれ流路内は、供給ガスや空気等の混合状態となり、上流側送受信器1や下流側送受信器2等より送信される超音波は、この混合気体の中を伝搬することとなり、屈折が起こり受信する信号レベルは小さくなる。
【0036】
このような状態で流量を流量検出手段3の振幅判定手段8で検出すると増幅度調整手段9で信号増幅されるが、混合状態が継続する為に増幅度が異常に高くなる。このような状態で超音波信号の伝搬時間が検出値として計測され、この信号が流量演算手段10に送られて瞬時流量値として換算されるが、混合状態のため上流側送受信器1や下流側送受信器2間の受信信号のレベルが変動すると共に、信号の伝搬時間が絶えず変動するため、ガス器具を全く使用していない流量状態であるのに伝搬時間計測手段7で計測した伝搬時間値が変化するので、結果、流量演算手段10で求めた流量値が変動する。
【0037】
ガス遮断装置は最初出荷モード状態で設置されているが、設置形態により、出荷モードが解除され復帰された状態の場合もある。出荷モード解除状態より通常の供給ガスを使用できる状態になってから期間計時手段14がタイマカウント開始し、このカウントの間は、計測異常判定手段13の機能は無効状態となっている。この期間計時手段14で計時する所定期間は、通信などで可変できるが、例えば、数週間に設定する。
【0038】
そして、期間計時手段14が計時作動中に増幅度判定手段12の出力信号により供給ガス以外の気体との混合状態である信号が出力された場合、その時の流量演算手段10の瞬時流量は使用せず、例えば、増幅度判定手段12の出力信号が異常と判定する前の正常状態の増幅度で計測した瞬時流量を使用し、平均流量演算手段11に出力する。
【0039】
又、期間計時手段14で所定期間の計時が行われたら、計測異常判定手段13を機能有効に切替える。即ち、この所定期間の間にガス需要家がガス器具を使用することにより供給配管内は充分供給ガスにパージされ、切り替わり、他の気体との混合状態になることはなく、混合状態での流量計測が発生しない。
【0040】
その以降、増幅度判定手段12が所定レベル以上となる場合は、上流側送受信器1や下流側送受信器2が経年劣化し或いはダスト等により正常計測できにくい流路状態となった可能性が高い。そこでこのような状態を計測異常判定手段13で検出し異常判定手段16に出力し遮断手段17を駆動し、ガス供給停止を行う。
【0041】
この異常判定手段16で異常成立と判定した時、遮断手段17に遮断信号を送ってガス供給を停止する。また、報知通信手段18は、遮断状態や遮断内容を液晶表示素子等に表示すると共にガスの安全監視を行っているガス事業者のセンターに電話回線等の通信により通報する。ガス事業者は直ちにガス遮断装置を交換する等の対応措置を実施でき、速やかに異常状態を回避することが可能である。
【0042】
一方並行して、平均流量演算手段11で流量演算手段10で求めた瞬時流量を所定個数毎の平均流量として演算される。異常判定手段16には、流量域毎に対応した使用時間の制限時間値、あるいは使用最大流量の監視判定値等が記憶されている。例えば、ガスストーブ等へガスを供給するホースが何らかの原因で外れた時、異常な大流量が発生するが、そのような状態を監視するための合計流量遮断値や、ガス器具の通常使用する最大使用時間よりはるかに長く使用された場合に対応して使用時間の制限時間を規定した使用時間遮断の制限時間等が記憶されている。
【0043】
そして、この設定値と平均流量とを異常判定手段16で比較判定することで、流量値が使用最大流量値を超えていないか、或いはガス器具の使用時間が登録流量に対応した連続使用の制限時間を超えていないか等監視し、超えた場合遮断信号を出力する。
【0044】
なお、本実施の形態に使用した構成は一例であり、又使用形態も本実施の形態に限定されるものではない。
【0045】
以上のように、ガス遮断装置の計測異常判定手段13は供給配管中の気体の混合の有無に係わらず最初機能無効状態であり、期間計時手段14による所定期間が経過すると計測異常判定手段13は機能有効となり、流量検出部の機能が正常に動作しているか否かを監視することにより、流量検出手段3が誤って混合気体下で流量計測し、あたかも流量検出手段3の異常であると誤判定し誤遮断するのを防止することができ、ガス遮断装置を正常に動作させるので、安全性や信頼性が極めて高く、かつ誤遮断によりガス事業者が不要出動することなく使い勝手が高い効果がある。
【0046】
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2におけるガス遮断装置の制御ブロック図を示す図である。図1や図3と同相当物には同一番号を付している。
【0047】
図2は同遮断装置の制御ブロック図であり、実施の形態1と異なるのは、リトライ判定手段19を設けた点である。リトライ判定手段19は、期間計時手段14が起動した後、流量検出手段3の超音波信号の信号レベルを監視する増幅度判定手段12より所定値以上の増幅度に達したのを入力されると、期間計時手段14の計時をゼロから再スタートさせる。即ち、出荷モード解除以降、供給ガス配管中のエアパージが充分なされず、供給ガス以外の異ガスとの混合状態にあると判定し、計測異常判定手段13の機能有効切替えを更に遅延させる。
【0048】
次に、以上のように構成されたガス遮断装置の動作を説明する。ガス遮断装置は、新築、或いは検満による交換設置時、ガス事業者が磁石操作、例えばテストスイッチと呼ばれるリードスイッチを介して設定された出荷モード状態にある。ガス需要家が入居しガス器具を使用開始する前にガス事業者により出荷モードが解除され、遮断手段17が復帰される。そしてガス器具を使用しガス漏れや配管内の空気などの供給ガスとは異なる異ガスをパージする。しかし、種々に設置形態があり、例えば即座にガスが使用できるように、未入居の段階より出荷モードが解除されている場合もある。
【0049】
こうした場合、ガステーブルのみを使用しガスパージを終える等簡単にパージされた場合もあり、充分にガス配管内が供給ガスに交換され満たされていない場合がある。こうした状況下で流量計測を実施していると、時間が経過するにつれ流路内は、対流などにより供給ガスや空気等とが混合状態となり、上流側送受信器1や下流側送受信器2等より送信される超音波は、混合気体の中を伝搬することとなる。
【0050】
従って、送信された超音波は、密度の異なる気体間を通過する際、屈折を起こしつつ受信側の送受信器に到達する。この時、概して受信する超音波信号レベルは小さくなる。このような状態を流量検出手段3の振幅判定手段8で検出すると増幅度調整手段9で信号増幅されるが、信号レベルが小さい為混合状態での増幅度は本来の供給ガスの場合に比較し異常に高くなり、このような状態が長時間継続する。
【0051】
こうした状態で超音波信号の伝搬時間が計測されると異なった気体間での伝搬時間を計測したり、混合状態下の信号レベル低い状態での計測となるため、さまざまな伝搬時間となり、この信号が流量演算手段10に送られて瞬時流量値として換算される。結果、増幅度が高い状態で、かつ混合状態で計測するので、上流側送受信器1や下流側送受信器2間の受信信号のレベルが変動すると共に信号の伝搬時間が絶えず変動するため、ガス器具を全く使用していない流量状態であるのに伝搬時間計測手段7で計測した伝搬時間値が変化するので、本来ガス器具を使用していないのに流量演算手段10で求めた流量値が変動する。
【0052】
前述の設置時の状態があるために、ガス遮断装置は最初出荷モード状態で設置され、計測異常判定手段13は機能無効としている。しかし設置時に、出荷モードが解除され復帰された状態にされる場合もあり、計測異常判定手段13の機能は引き続き機能無効としている。出荷モード解除状態より通常の供給ガスを使用できる状態になってから期間計時手段14が所定期間のタイマカウントを開始する。この所定期間は通信などで可変できるが、ガス需要家の入居からガス器具の使用期間を考慮し、例えば数週間の計時期間に設定されており、まず期間タイマのカウントを行う。
【0053】
期間計時手段14がカウント中に、増幅度判定手段12より所定増幅度以上と判定された出力信号が入力されると、供給ガス以外の気体との混合状態であるとの信号が出力され、リトライ判定手段19に入力される。リトライ判定手段19は、混合状態であるとの信号を受けると、期間計時手段14に対して、計時の再カウントを指示する。これによって、期間計時手段14は計時タイマをリセットし再度カウントし直す。又同時にその時の流量演算手段10の瞬時流量は使用せず、増幅度判定手段12の出力信号が異常と判定する前の正常状態の増幅度で計測した瞬時流量を使用し、平均流量演算手段11に出力する。
【0054】
そして、期間計時手段14により所定期間が計時されると、計測異常判定手段13の機能有効に切替える。即ち、この所定期間の間にガス需要家がガス器具を使用することにより供給配管内は充分供給ガスにパージされて、供給ガスに切り替わり、他の気体との混合状態になることはなく、混合状態での流量計測値を採用しない。その所定期間以降に増幅
度判定手段12が所定レベル以上となる場合は、上流側送受信器1や下流側送受信器2が経年劣化し或いはダスト等により正常計測できにくい流路状態となった可能性が高い。そこでこのような状態を計測異常判定手段13で検出し異常判定手段16に出力し遮断手段17を駆動し、ガス供給停止を行う。
【0055】
この異常判定手段16で異常成立と判定した時、遮断手段17に遮断信号を送ってガス供給を停止する。また、報知通信手段18は、遮断状態や遮断内容を液晶表示素子等に表示すると共にガスの安全監視を行っているガス事業者のセンターに電話回線等の通信により通報する。ガス事業者は直ちにガス遮断装置を交換する等の対応措置を実施でき、速やかに異常状態を回避することが可能である。
【0056】
並行して、増幅度判定手段12より所定値以上の増幅度と判断されると、即ち、異ガスとの混合状態と判定された場合、正常な増幅度での計測された瞬時流量が使用されるので、平均流量演算手段11で流量演算手段10で求めた瞬時流量に加え所定個数毎の平均流量として演算される。求められた平均流量は、混合状態での計測流量を使用しないので飛び抜けて異常な流量で異常判定手段16で判定されることはない。そして求めた平均流量により異常判定手段では、流量域毎に対応した使用時間の制限時間値、あるいは使用最大流量の監視判定値等が記憶されている。
【0057】
例えば、ガスストーブ等へガスを供給するホースが何らかの原因で外れた時、異常な大流量が発生するが、そのような状態を監視するための合計流量遮断値や、ガス器具の通常使用する最大使用時間よりはるかに長く使用された場合に対応して使用時間の制限時間を規定した使用時間遮断の制限時間等が記憶されている。この設定値と平均流量とを異常判定手段16で比較判定することで、流量値が使用最大流量値を超えていないか、或いはガス器具の使用時間が登録流量に対応した連続使用の制限時間を超えていないか等監視し、超えた場合遮断信号を出力する。
【0058】
なお、本実施の形態に使用した構成は一例であり、又使用形態も本実施の形態に限定されるものではない。
【0059】
以上のように、ガス遮断装置の計測異常判定手段13は供給配管中の気体が異ガスとの混合状態があるために設置以降機能無効状態であり、所定期間の期間計時手段14により計時中に異ガスとの混合状態が検出されると再度期間タイマをゼロリセットし再度カウントし直し、リトライによる所定期間が経過すると初めて計測異常判定手段13は機能有効となり、流量検出部の機能が正常に動作しているか否かを監視する。
【0060】
このことにより、流量検出手段3が誤って混合気体かで流量計測しあたかも流量検出手段3の異常であると誤判定し誤遮断するのを防止することができ、ガス器具を使用する監視するためのガス遮断装置を正常に動作させるので、安全性や信頼性が極めて高く、かつガス事業者に不要な出動をさせることなく使い勝手が高い効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上のように、本発明に係るガス遮断装置は、設置時の供給配管中の異ガスによる計測異常を防止する為のものであり、同様に水道メータ等の流量計測装置全般に適用できるものである。
【符号の説明】
【0062】
3 流量検出手段
10 流量演算手段
11 平均流量演算手段
12 増幅度判定手段
13 計測異常判定手段
14 期間計時手段
16 異常判定手段
17 遮断手段
19 リトライ判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常発生時にガスの供給を遮断するガス遮断装置であって、
流量信号を増幅して検出する流量検出手段と、
前記流量検出手段の検出値より瞬時流量を演算する流量演算手段と、
前記流量検出手段で流量信号が検出できなかった場合、或いは前記流量検出手段における増幅度が所定値以上の場合に計測異常と判定する計測異常判定手段と、
出荷モード解除から計時を開始し、所定期間経過すると前記計測異常判定手段を作動開始させる期間計時手段と、
前記計測異常判定手段で計測異常と判定成立時にガスの供給を遮断する遮断手段と、
を備えたガス遮断装置。
【請求項2】
前記期間計時手段で前記計測異常判定手段を動作させた以降、前記流量検出手段における増幅度が所定値以上の場合、再度、所定期間の計時を作動開始させるリトライ判定手段を備えた請求項1記載のガス遮断装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の遮断装置の手段の全てもしくは一部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−242256(P2012−242256A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113155(P2011−113155)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】