説明

ガラス−セラミック物品の製造方法

複数のガラス粒子を合体させることを含む物品の製造方法。物品の例としては、台所用品(例えば、皿)、歯科用ブラケット、強化ファイバー、切削工具インサート、研磨材およびガスエンジンの構造化コンポーネント(例えば、バルブとベアリング)が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
数多くのアモルファス材料(例えば、ガラス)およびガラス−セラミック組成が知られている。あるアモルファス材料は、合体により統合して複雑な形状を有する物品(例えば、2003年2月13日公開PCT出願公開第03/011776号明細書を参照)をはじめとする物品を提供することができる。
【0002】
様々な圧力補助統合方法はセラミック業界で知られており、ホットプレス、ダイ押出し、熱静水圧プレス、焼結−鍛造およびこれらの組み合わせが挙げられる。これらの統合方法は、通常、ホットプレス、ダイ押出しおよび焼結−鍛造におけるようにパンチを用いて直接的か、熱静水圧プレスにおけるように封止した容器のガス加圧により間接的な外力の適用により補助されている。後者の方法において、統合される材料は、容器(例えば、金属容器)に入れて、排気し、雰囲気から離して封止される。封止した材料を機械的にプレスして、ガスにより容器を静水圧的に加圧して、容器を収縮させる。
【0003】
あるアモルファス組成を熱処理すると、ガラス−セラミックスを形成することができる。ガラス−セラミックスは、形成されるガラスよりも耐温度性のある傾向がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アモルファスとガラス−セラミックス材料を含む複雑な形状を有する物品を提供するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はガラスから物品を製造する方法を提供する。任意で、物品は、2種類以上の異なるガラス組成の複合体であってもよい。ある実施形態において、ガラスを任意で熱処理すると、ガラスを少なくとも部分的に結晶化して、ガラス−セラミックを与える。
【0006】
本発明の一実施形態は、外側表面を有する基材(例えば、セラミックス、金属間およびその複合体)を提供する工程と、
外側表面(ガラスがシート、粒子および/またはファイバー等の形態にある場合には、外側表面があると考えられる)を有する少なくともガラス(すなわち、少なくとも1つのガラス)(例えば、シート、粒子(微小球およびファイバーを含む)の形態にある)を提供する工程であって、ガラスが少なくとも2種類の異なる金属酸化物(すなわち、金属酸化物は同じカチオンを有さない)を含み、ガラスがTgとTxとを有し、ガラスのTgとTxの差が少なくとも5K(または、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30Kまたは少なくとも35K)であり、ガラスが20重量%未満のSiO2(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、ゼロ重量パーセントのSiO2)と、20重量%未満のB23(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、またはゼロ重量パーセントのB23)と、40重量%未満のP25(または35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満またはゼロ重量パーセントのP25)とを含有する、工程と、
gより高くガラスを加熱して、ガラスの少なくとも一部が基材の外側表面の少なくとも一部を濡らし、基材の外側表面の少なくとも一部に取り付けられたガラスを含む物品を提供する工程であって、ガラスの加熱が、後の加熱中の圧力が1.0atmの圧力の雰囲気中で実施される以外は、同じように加熱された同じガラスに比べてガラスの緻密化速度を増加するのに十分な1.1atmを超える圧力で(ある実施形態においては、1.25atm、1.5atm、2atm、5atmまたは10atmを超える圧力で)気体雰囲気中で実施され、1.1atmを超える圧力の(ある実施形態においては、1.25atm、1.5atm、2atm、5atmまたは10atmを超える圧力の)気体雰囲気がガラスの外側表面の少なくとも一部と直接接触する工程と、
を含む物品を製造する方法を提供する。任意で、この方法は、それぞれ、TgとTxとを有し、少なくとも1つの追加のガラスについてのTgとTxの(ある実施形態においては、それぞれのTgとTxの)差が少なくとも5K(または、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30Kまたは少なくとも35K)であり、追加のガラスの1つ以上が任意で、20重量%未満のSiO2(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、ゼロ重量パーセントのSiO2)と、20重量%未満のB23(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、またはゼロ重量パーセントのB23)と、40重量%未満のP25(または35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満またはゼロ重量パーセントのP25)とを含有するガラスを含む第2、第3またはそれ以上の異なるガラスで実施することができる。ある実施形態において、ガラス、または、2つ以上のガラスを用いる場合は、ガラスのうち少なくとも1つが、ガラスの総重量に基づいて、合計で40重量パーセント未満の(ある実施形態においては、35、30、25、20、15、10、5重量パーセント未満または0重量パーセント)のSiO2、B23およびP25を含む。ある実施形態において、ガラスの緻密化速度の増加が少なくとも1.1、1.25、1.5、2または少なくとも3倍である。
【0007】
本発明の他の実施形態は、
外側表面を有する基材(例えば、セラミックス、金属間およびその複合体)を提供する工程と、
外側表面を有するガラス(ガラス粒子を含む)を含む少なくとも複数の粒子を提供する工程であって、ガラスが少なくとも2種類の異なる金属酸化物を含み、ガラスがTgとTxとを有し、ガラスのTgとTxの差が少なくとも5Kまたは、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30Kまたは少なくとも35K)であり、ガラスが20重量%未満のSiO2(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、ゼロ重量パーセントのSiO2)と、20重量%未満のB23(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、またはゼロ重量パーセントのB23)と、40重量%未満のP25(または35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満またはゼロ重量パーセントのP25)とを含有する、工程と、
gより高くガラスを加熱して、複数の粒子のガラスの少なくとも一部が基材の外側表面の少なくとも一部を濡らし、基材の外側表面の少なくとも一部に取り付けられたガラスを含む物品を提供する工程であって、ガラスの加熱が、後の加熱中の圧力が1.0atmの圧力の雰囲気中で実施される以外は、同じように加熱された同じガラスに比べてガラスの緻密化速度を増加するのに十分な1.1atmを超える圧力で(ある実施形態においては、1.25atm、1.5atm、2atm、5atmまたは10atmを超える圧力で)気体雰囲気中で実施され、1.1atmを超える圧力の(ある実施形態においては、1.25atm、1.5atm、2atm、5atmまたは10atmを超える圧力の)気体雰囲気が、ガラスを含む粒子の少なくとも一部の外側表面の少なくとも一部と直接接触する工程と、
を含む物品を製造する方法を提供する。任意で、この方法は、それぞれ、TgとTxとを有し、少なくとも1つの追加のガラスについてのTgとTxの(ある実施形態においては、それぞれのTgとTxの)差が少なくとも5K(または、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30Kまたは少なくとも35K)であり、追加のガラスの1つ以上が任意で、20重量%未満のSiO2(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、ゼロ重量パーセントのSiO2)と、20重量%未満のB23(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、またはゼロ重量パーセントのB23)と、40重量%未満のP25(または35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満またはゼロ重量パーセントのP25)とを含有するガラスを含む第2、第3またはそれ以上の異なる複数の粒子(すなわち、それぞれ異なるガラスを含む)で実施することができる。ある実施形態において、ガラス、または、2つ以上のガラスを用いる場合は、ガラスのうち少なくとも1つが、ガラスの総重量に基づいて、合計で40重量パーセント未満の(ある実施形態においては、35、30、25、20、15、10、5重量パーセント未満または0重量パーセント)のSiO2、B23およびP25を含む。ある実施形態において、ガラスの緻密化速度の増加が少なくとも1.1、1.25、1.5、2または少なくとも3倍である。
【0008】
本発明の他の実施形態は、
それぞれ外側表面を有する少なくとも第1および第2のガラス(例えば、シート、粒子(微小球を含む)およびファイバー)を提供する工程であって、第1のガラスが少なくとも2種類の異なる金属酸化物を含み、第1のガラスがTg1とTx1とを有し、Tg1とTx1の差が少なくとも5K(または、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30Kまたは少なくとも35K)であり、第1のガラスが20重量%未満のSiO2(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、ゼロ重量パーセントのSiO2)と、20重量%未満のB23(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、またはゼロ重量パーセントのB23)と、40重量%未満のP25(または35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満またはゼロ重量パーセントのP25)とを含有する、工程と、
少なくともTg1より高く第1および第2のガラスを加熱して、少なくとも第1のガラスを第2のガラスと合体させて物品を提供する工程であって、ガラスの加熱が、後の加熱中の圧力が1.0atmの圧力の雰囲気中で実施される以外は、同じように加熱された同じガラスに比べてガラスの緻密化速度を増加するのに十分な1.1atmを超える圧力で(ある実施形態においては、1.25atm、1.5atm、2atm、5atmまたは10atmを超える圧力で)気体雰囲気中で実施され、1.1atmを超える圧力の(ある実施形態においては、1.25atm、1.5atm、2atm、5atmまたは10atmを超える圧力の)気体雰囲気が第1および第2のガラスの外側表面の少なくとも一部と直接接触する工程と、
を含む物品を製造する方法を提供する。任意で、第2のガラスはTg2とTx2とを有し、Tg2とTx2の差が少なくとも5K(または、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30Kまたは少なくとも35K)である。任意で、第2のガラスは、20重量%未満のSiO2(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、ゼロ重量パーセントのSiO2)と、20重量%未満のB23(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、またはゼロ重量パーセントのB23)と、40重量%未満のP25(または35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満またはゼロ重量パーセントのP25)とを含有する。任意で、この方法は、それぞれ、TgとTxとを有し、少なくとも1つの追加のガラスについてのTgとTxの(ある実施形態においては、それぞれのTgとTxの)差が少なくとも5K(または、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30Kまたは少なくとも35K)であり、追加のガラスの1つ以上が任意で、20重量%未満のSiO2(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、ゼロ重量パーセントのSiO2)と、20重量%未満のB23(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、またはゼロ重量パーセントのB23)と、40重量%未満のP25(または35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満またはゼロ重量パーセントのP25)とを含有するガラスを含む第3、第4のガラスで実施することができる。ガラスは同一の組成、異なる組成またはその組み合わせとしてよい。ある実施形態において、ガラスのうち少なくとも1つが、ガラスの総重量に基づいて、合計で40重量パーセント未満の(ある実施形態においては、35、30、25、20、15、10、5重量パーセント未満または0重量パーセント)のSiO2、B23およびP25を含む。ある実施形態において、ガラスの緻密化速度の増加が少なくとも1.1、1.25、1.5、2または少なくとも3倍である。
【0009】
本発明の他の実施形態は、
それぞれ外側表面を有する少なくとも第1および第2のガラス(例えば、シート、粒子(微小球を含む)およびファイバー)を提供する工程であって、第1のガラスが少なくとも2種類の異なる金属酸化物を含み、第1のガラスがTg1とTx1とを有し、Tg1とTx1の差が少なくとも5K(または、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30Kまたは少なくとも35K)であり、第1のガラスが20重量%未満のSiO2(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、ゼロ重量パーセントのSiO2)と、20重量%未満のB23(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、またはゼロ重量パーセントのB23)と、40重量%未満のP25(または35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満またはゼロ重量パーセントのP25)とを含有し、第2のガラスが少なくとも2種類の異なる金属酸化物を含み、第2のガラスがTg2とTx2とを有し、Tg2とTx2の差が少なくとも5K(または、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30Kまたは少なくとも35K)であり、第2のガラスが20重量%未満のSiO2(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、ゼロ重量パーセントのSiO2)と、20重量%未満のB23(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、またはゼロ重量パーセントのB23)と、40重量%未満のP25(または35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満またはゼロ重量パーセントのP25)とを含有する、工程と、
g1またはTg2より高くガラスを加熱して、第1および第2のガラスを合体させて物品を提供する工程であって、ガラスの加熱が、後の加熱中の圧力が1.0atmの圧力の雰囲気中で実施される以外は、同じように加熱された同じガラスに比べてガラスの緻密化速度を増加するのに十分な1.1atmを超える圧力で(ある実施形態においては、1.25atm、1.5atm、2atm、5atmまたは10atmを超える圧力で)気体雰囲気中で実施され、1.1atmを超える圧力の(ある実施形態においては、1.25atm、1.5atm、2atm、5atmまたは10atmを超える圧力の)気体雰囲気が第1および第2のガラスの外側表面の少なくとも一部と直接接触する工程と、を含む物品を製造する方法を提供する。任意で、この方法は、それぞれ、TgとTxとを有し、少なくとも1つの追加のガラスについてのTgとTxの(ある実施形態においては、それぞれのTgとTxの)差が少なくとも5K(または、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30Kまたは少なくとも35K)であり、追加のガラスの1つ以上が任意で、20重量%未満のSiO2(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、ゼロ重量パーセントのSiO2)と、20重量%未満のB23(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、またはゼロ重量パーセントのB23)と、40重量%未満のP25(または35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満またはゼロ重量パーセントのP25)とを含有するガラスを含む第3、第4のガラスで実施することができる。ガラスは同一の組成、異なる組成またはその組み合わせとしてよい。ある実施形態において、ガラスのうち少なくとも1つが、ガラスの総重量に基づいて、合計で40重量パーセント未満の(ある実施形態においては、35、30、25、20、15、10、5重量パーセント未満または0重量パーセント)のSiO2、B23およびP25を含む。ある実施形態において、ガラスの緻密化速度の増加が少なくとも1.1、1.25、1.5、2または少なくとも3倍である。
【0010】
本発明の他の実施形態は、
外側表面を有するガラス(ガラス粒子を含む)を含む少なくとも第1の複数の粒子を提供する工程であって、ガラスが少なくとも2種類の異なる金属酸化物を含み、ガラスがTgとTxとを有し、ガラスのTgとTxの差が少なくとも5Kまたは、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30Kまたは少なくとも35K)であり、ガラスが20重量%未満のSiO2(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、ゼロ重量パーセントのSiO2)と、20重量%未満のB23(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、またはゼロ重量パーセントのB23)と、40重量%未満のP25(または35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満またはゼロ重量パーセントのP25)とを含有する、工程と、
gより高くガラスを加熱して、第1の複数の粒子のガラスの少なくとも一部を合体させて物品を提供する工程であって、ガラスの加熱が、後の加熱中の圧力が1.0atmの圧力の雰囲気中で実施される以外は、同じように加熱された同じガラスに比べてガラスの緻密化速度を増加するのに十分な1.1atmを超える圧力で(ある実施形態においては、1.25atm、1.5atm、2atm、5atmまたは10atmを超える圧力で)気体雰囲気中で実施され、1.1atmを超える圧力の(ある実施形態においては、1.25atm、1.5atm、2atm、5atmまたは10atmを超える圧力の)気体雰囲気が、ガラスを含む粒子の少なくとも一部の外側表面の少なくとも一部と直接接触する工程と、を含む物品を製造する方法を提供する。ある実施形態においては、セラミックはガラスである。任意で、この方法は、それぞれ、TgとTxとを有し、少なくとも1つの追加のガラスについてのTgとTxの(ある実施形態においては、それぞれのTgとTxの)差が少なくとも5K(または、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30Kまたは少なくとも35K)であり、追加のガラスの1つ以上が任意で、20重量%未満のSiO2(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、ゼロ重量パーセントのSiO2)と、20重量%未満のB23(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、またはゼロ重量パーセントのB23)と、40重量%未満のP25(または35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満またはゼロ重量パーセントのP25)とを含有するガラスを含む第2、第3またはそれ以上の異なる複数の粒子(すなわち、それぞれ異なるガラスを含む)で実施することができる。ある実施形態において、ガラス、または、2つ以上のガラスを用いる場合は、ガラスのうち少なくとも1つが、ガラスの総重量に基づいて、合計で40重量パーセント未満の(ある実施形態においては、35、30、25、20、15、10、5重量パーセント未満または0重量パーセント)のSiO2、B23およびP25を含む。ある実施形態において、ガラスの緻密化速度の増加が少なくとも1.1、1.25、1.5、2または少なくとも3倍である。
【0011】
望ましくは、Tg対Tlの比は少なくとも0.5である。有用なガラス粒子としては、REO−Al23−ZrO2、Y23−Al23−ZrO2、REO−Al23−ZrO2-SiO2およびY23−Al23−ZrO2-SiO2ガラスを含むようなものが例示される。その他の有用なガラスとしては、REO(すなわち、希土類酸化物−Al23およびY23−Al23ガラス)も挙げられる。
【0012】
特定のセラミック組成物を含む本発明による方法の実施形態によって、従来の方法から得られる物品形状およびサイズが形成できる。ガラスの合体は、ガラスを加熱中に加圧すると、一般的に促される。一実施形態において、ガラス(例えば、粒子(ビーズを含む)、ファイバー等)をダイに充填して、ガラスの粘性流れが物品の合体を導くガラス転移を超える温度でホットプレスを行う。
【0013】
本明細書において、
「アモルファス材料」とは、X線回折により求められた長い範囲の結晶構造を欠く、かつ/または「示差熱分析」に記載した試験により求められたDTA(示差熱分析)により求められたアモルファス材料の結晶化に対応する発熱ピークを有する溶融物および/または蒸気相から誘導された材料のことである。
「セラミック」とは、ガラス、結晶質セラミック、ガラス−セラミックおよびこれらの組み合わせのことである。
「ガラス」とは、ガラス転移温度を示すアモルファス材料のことである。
「ガラス−セラミック」とは、ガラスを熱処理することにより形成された結晶を含むセラミックのことである。
「希土類酸化物」とは、酸化セリウム(すなわち、CeO2)、酸化ジスプロシウム(すなわち、Dy23)、酸化エルビウム(すなわち、Er23)、酸化ユーロピウム(すなわち、Eu23)、酸化ガドリニウム(すなわち、Gd23)、酸化ホルミウム(すなわち、Ho23)、酸化ランタン(すなわち、La23)、酸化ルテチウム(すなわち、Lu23)、酸化ネオジミウム(すなわち、Nd23)、酸化プラセオジム(すなわち、Pr611)、酸化サマリウム(すなわち、Sm23)、酸化テルビウム(すなわち、Tb23)、酸化トリウム(すなわち、Th47)、酸化ツリウム(すなわち、Tm23)、酸化イットリウム(すなわち、Yb23)およびこれらの組み合わせのことである。
「REO」とは希土類酸化物のことである。
「Tg」とは、実施例1で求められたようなガラス転移温度のことである。
「Tl」とはガラス融点のことである。
「Tx」とは、実施例1で求められたような結晶化開始温度のことである。
【0014】
さらに、特に断りのない限り、金属酸化物(例えば、Al23、錯体Al23・金属酸化物等)は、例えば、ガラス−セラミックにおいては結晶であり、ガラス、結晶または部分ガラスおよび部分結晶であってもよいものと考えられる。例えば、ガラス−セラミックが、Al23とZrO2とを含み、Al23およびZrO2はそれぞれ、ガラス状態、結晶状態または一部がガラス状態および一部が結晶状態、または他の金属酸化物との反応生成物である場合には(特に断りのない限り、例えば、Al23は結晶Al23またはAl23の特定の結晶相(すなわち、アルファAl23)である場合には、結晶Al23 として、かつ/または1種類以上の結晶錯体Al23・金属酸化物の一部として存在させてもよい。
【0015】
緻密化速度が増加すると、処理性の改善、低エネルギー消費および処理時間の短縮化を促進するため有利である。
【0016】
任意で、本発明によるあるガラス物品を熱処理すると、ガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換して、ガラス−セラミックを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
一般に、本発明の方法を実施するのに有用なガラスを含むガラスおよびセラミックスは、適切な金属酸化物源を加熱して(火炎中を含む)、溶融物、望ましくは均一な溶融物を形成し、溶融物を急冷してガラスまたはガラスを含むセラミックを提供することにより作製することができる。
【0018】
本発明を実施するのに有用なガラスとしては、REO−Al23−ZrO2、Y23−Al23−ZrO2、REO−Al23−ZrO2-SiO2およびY23−Al23−ZrO2-SiO2ガラスを含むようなものが例示される。その他の有用なガラスとしては、REO(すなわち、希土類酸化物−Al23およびY23−Al23ガラス)も挙げられる。有用なガラス処方としては、共晶組成物またはそれに近いものが挙げられる。本明細書に開示されたREO−Al23−ZrO2、Y23−Al23−ZrO2、REO−Al23−ZrO2-SiO2およびY23−Al23−ZrO2-SiO2組成物に加えて、共晶組成物をはじめとするその他組成物が、本開示内容に目を通せば当業者に明白であろう。例えば、共晶組成物を含む様々な組成物を示した相図が業界で知られている。
【0019】
任意の金属酸化物(すなわち、一般組成物に必要とされるもの以外の金属酸化物)としては、理論的な酸化物基準で、Al23、BaO、CaO、Cr23、CoO、CuO、Fe23、GeO2、HfO2、Li2O、MgO、MnO、NiO、Na25、NiO、Na2O、P25、希土類酸化物、Sc23、SiO2、SrO、Ta25、TeO2、TiO2、V23、Y23、ZnO、ZrO2およびこれらの組み合わせが例示される。
【0020】
Al23、BaO、CaO、CuO、希土類酸化物(例えば、CeO2、Dy23、Er23、Eu23、Gd23、Ho23、La23、Lu23、Nb25、Nd23、Pr611、Sm23、Ta25、Th47、Tm23およびYb23およびこれらの混合物)、TiO2、ZrO2のような金属酸化物の商業的供給源をはじめとする供給源が業界で公知であり、酸化物自身、錯体酸化物、鉱物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物等が挙げられる。
【0021】
さらに、(理論酸化物基準で)Al23の商業的供給源を含めた供給源としては、ボーキサイト(天然に産出するボーキサイトと合成されたボーキサイトの両方を含む)、か焼ボーキサイト、水和アルミナ(例えば、ベーマイトおよびギブサイト)、アルミニウム、バイヤー法アルミナ、アルミニウム鉱物、ガンマアルミナ、アルファアルミナ、アルミニウム塩、窒化アルミニウムおよびこれらの組み合わせが挙げられる。Al23供給源は、Al23を含有していても、Al23のみを提供するものであってもよい。あるいは、Al23供給源は、Al23を含有していても、Al23およびAl23以外の1種類以上の金属酸化物(錯体Al23・金属酸化物の材料またはこれを含むもの(例えば、Dy3Al512、Y3Al512、CeAl1118等))を提供するものであってもよい。
【0022】
希土類酸化物の商業的供給源を含めた供給源としては、希土類酸化物粉末、希土類金属、希土類含有鉱物(例えば、バストネス石およびモナズ石)、希土類塩、希土類窒化物および希土類炭酸塩が挙げられる。希土類酸化物供給源は、希土類酸化物を含有していても、希土類酸化物のみを提供するものであってもよい。あるいは、希土類酸化物供給源は、希土類酸化物を含有していても、希土類酸化物および希土類酸化物以外の1種類以上の金属酸化物(錯体希土類酸化物・その他金属酸化物の材料またはこれを含むもの(例えば、Dy3Al512、CeAl1118等))を提供するものであってもよい。
【0023】
(理論酸化物基準で)ZrO2の商業的供給源を含めた供給源としては、酸化ジルコニウム粉末、ジルコン砂、ジルコニウム、ジルコニウム含有鉱物およびジルコニウム塩(例えば、炭酸、酢酸、硝酸、塩化、水酸化ジルコニウムおよびこれらの組み合わせ)が挙げられる。さらに、あるいは、この代わりに、ZrO2供給源は、ZrO2を含有、またはZrO2およびハフニアのような他の金属酸化物を含有していてもよい。(理論酸化物基準で)HfO2の商業的供給源を含めた供給源としては、酸化ハフニウム粉末、ハフニウム、ハフニウム含有鉱物およびハフニウム塩が挙げられる。さらに、あるいは、この代わりに、HfO2供給源は、HfO2を含有、またはHfO2およびZrO2のような他の金属酸化物を含有していてもよい。
【0024】
BaOの商業的供給源を含めた供給源としては、酸化バリウム粉末、バリウム含有鉱物、バリウム塩、硝酸バリウムおよび炭酸バリウムが挙げられる。酸化バリウム供給源は、酸化バリウムを含有していても、酸化バリウムのみを提供するものであってもよい。あるいは、酸化バリウム供給源は、酸化バリウムを含有していても、酸化バリウムおよび酸化バリウム以外の1種類以上の金属酸化物(錯体酸化バリウム・その他金属酸化物の材料またはこれを含むもの)を提供するものであってもよい。
【0025】
CaOの商業的供給源を含めた供給源としては、酸化カルシウム粉末およびカルシウム含有鉱物が挙げられる。酸化カルシウム供給源は、酸化カルシウムを含有していても、酸化カルシウムのみを提供するものであってもよい。あるいは、酸化カルシウム供給源は、酸化カルシウムを含有していても、酸化カルシウムおよび酸化カルシウム以外の1種類以上の金属酸化物(錯体酸化カルシウム・その他金属酸化物の材料またはこれを含むもの)を提供するものであってもよい。
【0026】
Nb25の商業的供給源を含めた供給源としては、酸化ニオブ粉末、ニオブ含有鉱物(例えば、コルンブ石、タンタル石およびユークセン石)、ニオブ塩、ニオブ金属およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
Ta25の商業的供給源を含めた供給源としては、酸化タンタル粉末、タンタル含有鉱物(例えば、コルンブ石、タンタル石およびユークセン石)、タンタル塩、タンタル金属およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
希土類酸化物の商業的供給源を含めた供給源としては、希土類酸化物粉末、希土類金属、希土類含有鉱物(例えば、バストネス石およびモナズ石)、希土類塩、希土類窒化物および希土類炭酸塩が挙げられる。希土類酸化物供給源は、希土類酸化物を含有していても、希土類酸化物のみを提供するものであってもよい。あるいは、希土類酸化物供給源は、希土類酸化物を含有していても、希土類酸化物および希土類酸化物以外の1種類以上の金属酸化物(錯体希土類酸化物・その他金属酸化物の材料またはこれを含むもの(例えば、Dy3Al512、CeAl1118等))を提供するものであってもよい。
【0029】
SiO2の商業的供給源を含めた供給源としては、シリカ粉末、ケイ素金属、ケイ素含有鉱物が挙げられる。酸化ケイ素供給源は、酸化ケイ素を含有していても、酸化ケイ素のみを提供するものであってもよい。あるいは、酸化ケイ素供給源は、酸化ケイ素を含有していても、酸化ケイ素および酸化ケイ素以外の1種類以上の金属酸化物(錯体酸化ケイ素・その他金属酸化物の材料またはこれを含むもの)を提供するものであってもよい。
【0030】
SrOの商業的供給源を含めた供給源としては、酸化ストロンチウム粉末、炭酸ストロンチウムおよびストロンチウム含有鉱物が挙げられる。酸化ストロンチウム供給源は、酸化ストロンチウムを含有していても、酸化ストロンチウムのみを提供するものであってもよい。あるいは、酸化ストロンチウム供給源は、酸化ストロンチウムを含有していても、酸化ストロンチウムおよび酸化ストロンチウム以外の1種類以上の金属酸化物(錯体酸化ストロンチウム・その他金属酸化物の材料またはこれを含むもの)を提供するものであってもよい。
【0031】
TiO2の商業的供給源を含めた供給源としては、酸化チタン粉末、チタン金属およびチタン含有鉱物が挙げられる。酸化チタン供給源は、酸化チタンを含有していても、酸化チタンのみを提供するものであってもよい。あるいは、酸化チタン供給源は、酸化チタンを含有していても、酸化チタンおよび酸化チタン以外の1種類以上の金属酸化物(錯体酸化チタン・その他金属酸化物の材料またはこれを含むもの)を提供するものであってもよい。
【0032】
(理論酸化物基準で)Y23の商業的供給源を含めた供給源としては、酸化イットリウム粉末、イットリウム、イットリウム含有鉱物およびイットリウム塩(例えば、炭酸、硝酸、塩化、水酸化イットリウムおよびこれらの組み合わせ)が挙げられる。Y23供給源は、Y23を含有していても、Y23のみを提供するものであってもよい。あるいは、Y23供給源は、Y23を含有していても、これのみおよびY23以外の1種類以上の金属酸化物(錯体Y23・金属酸化物の材料またはこれを含むもの(例えば、Y3Al512))を提供するものであってもよい。
【0033】
(理論酸化物基準で)ZrO2の商業的供給源を含めた供給源としては、酸化ジルコニウム粉末、ジルコン砂、ジルコニウム、ジルコニウム含有鉱物およびジルコニウム塩(例えば、炭酸、酢酸、硝酸、塩化、水酸化ジルコニウムおよびこれらの組み合わせ)が挙げられる。さらに、あるいは、この代わりに、ZrO2供給源は、ZrO2を含有、またはZrO2およびハフニアのような他の金属酸化物を含有していてもよい。(理論酸化物基準で)HfO2の商業的供給源を含めた供給源としては、酸化ハフニウム粉末、ハフニウム、ハフニウム含有鉱物およびハフニウム塩が挙げられる。さらに、あるいは、この代わりに、HfO2供給源は、HfO2を含有、またはHfO2およびZrO2のような他の金属酸化物を含有していてもよい。
【0034】
任意で、本発明によるセラミックスは、一般組成物に必要とされるもの以外の追加の金属酸化物をさらに含む。ある金属酸化物を添加すると、本発明により作製されたセラミックスの特性および/または結晶構造または微細構造、ならびに、セラミックを製造する原材料および中間体の処理が変わる。例えば、MgO、CaO、Li2OおよびNa2Oのような酸化物を添加すると、ガラスのTgとTxの両方が変化するのが観察された。理論に拘束されるのは望むところではないが、かかる添加がガラスの形成に影響するものと考えられる。さらに、例えば、かかる酸化物の添加によって、全体の系の融点が減少し(すなわち、系を低融点共晶へと促し)、ガラスの形成が容易になる。多成分系(四元等)の錯体共晶だと、良好なガラス形成能となる。その動作範囲の液体溶融物の粘度およびガラスの粘度もまた、一般組成物に必要とされるもの以外の金属酸化物の添加に影響される。
【0035】
Al23、REOおよびZrO2またはHfO2をのうち少なくとも1つを含むNb25またはTa25ガラスのうち少なくとも1つを含めると、ガラスの結晶化に多大な影響を与える。(例えば、ガラスから形成された結晶ZrO2または結晶HfO2のうち少なくとも1つ速度を増加する(ある実施形態においては、Nb25またはTa25を含まない同じガラスを同じように加熱処理することにより作製された比較のガラス−セラミックに比べて少なくとも1.5、2、2.5または少なくとも3倍(すなわち、比較のガラスは、Nb25またはTa25を用いずにガラスを作製した以外はAl23、REOおよびZrO2またはHfO2のうち少なくとも1つ、およびNb25および/またはTa25を含むガラスと同じように作製され熱処理される(すなわち、かかるガラスは、ガラスの総重量に基づいて)ゼロ重量パーセントのNb25またはTa25を含む)))。
【0036】
ある実施形態において、ガラスは、ガラスの総重量に基づいて少なくとも35(ある実施形態においては、少なくとも40、45、50、55、60、65、70または少なくとも75、ある実施形態においては、35〜75、40〜75、45〜75、50〜75、55〜75または60〜75)重量パーセントのAl23、REO(例えば、Gd23、La23および/またはNd23、ある実施形態においては、ガラスの総重量に基づいて、少なくとも0.5、1、2、3、4、5または少なくとも10、ある実施形態においては、0.5〜70、1〜70、5〜70、10〜70、0.5〜50、1〜50、5〜50、10〜50、0.5〜40、1〜40、5〜40、10〜40、0.5〜30、1〜30、5〜30、10〜30、0.5〜25、1〜25、5〜25または10〜25重量パーセントのREO)およびZrO2(ガラスの総重量に基づいて、ある実施形態において、ZrO2および/または(集合的に)HfO2)(ある実施形態においては、少なくとも5、10、15または少なくとも20、ある実施形態においては、5〜30、5〜25、10〜25、10〜30、15〜30、20〜30、15〜25または15〜20重量パーセントのZrO2(ある実施形態において、ZrO2および/または(集合的に)HfO2))ならびにNb25またはTa25のうち少なくとも1つ(ガラスの総重量に基づいて、ある実施形態においては、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20または少なくとも25、ある実施形態においては、1〜20、5〜20、10〜20または5〜15重量パーセントのNb25またはTa25のうち少なくとも1つ)を含み、ガラスの総重量に基づいて、合計で10(ある実施形態においては、ガラスの総重量に基づいて、合計で9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.1またはゼロ重量パーセント以下)重量パーセント以下のAs23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2およびV25を含有する。Nb25および/またはTa25を含めることに関するさらなる詳細については、例えば、2003年9月18日出願の米国特許出願第10/666615号明細書の同時継続出願を参照のこと。
【0037】
場合によっては、Na2O、P25、SiO2、TeO2、V23およびこれらの組み合わせからなる群より選択される限られた量の金属酸化物を組み込むのが好ましい。商業的供給源を含めた供給源としては、酸化物自身、錯体酸化物、鉱物、炭酸塩、酢酸塩、窒化物、塩化物、水酸化物等が挙げられる。これらの金属酸化物を添加して、例えば、得られる研磨粒子の物理特性を修正し、かつ/または処理を改善してもよい。これらの金属酸化物は、用いるときは、一般的に、例えば、所望の特性に応じて、ガラス−セラミック材料の0超〜20重量%、ある実施形態においては、0超〜5重量%、さらに0超〜2重量%で添加する。
【0038】
失透してガラス−セラミックスを形成するガラスについては、結晶化もまた、一般組成に必要とされるもの以外の材料の添加に影響される。例えば、ある金属、金属酸化物(例えば、チタン酸塩およびジルコン酸塩)およびフッ化物は、例えば、核形成剤として作用して、結晶の不均一核形成となり有用である。また、ある酸化物を添加すると、再加熱の際にガラスから失透する準安定相の性質が変化する。他の態様において、結晶ZrO2を含む本発明によるセラミックスについては、ZrO2の正方晶/立方体を安定化させることが知られている金属酸化物(例えば、Y23、TiO2、CaOおよびMgO)を添加するのが望ましい。
【0039】
ある実施形態において、溶融物に対して酸化物形成またはその合金の負のエンタルピーを有する少なくとも1種類の金属(例えば、Al、Ca、Cu、Cr、Fe、Li、Mg、Ni、Ag、Ti、Zrおよびこれらの組み合わせ)、Mを含む微粒子金属材料を添加する、またはこれらをその他原材料とその他合わせることにより、金属酸化物供給源の少なくとも一部(ある実施形態において、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95重量パーセント)を得るのが有利である。理論に拘束されることは望むところではないが、金属の酸化に関連する発熱反応から得られる熱は、均一な溶融物の形成および得られるガラスに有用であると考えられる。例えば、原材料内での酸化反応により生成されたさらなる熱は、不十分な熱伝達を排除、最小または少なくとも減少して、x、yおよびz寸法が150マイクロメートルを超えるときは特に、溶融物の形成および均質性を促すものと考えられる。さらなる熱の利用可能性は、完了するまで様々な化学反応および物理的処理(例えば、緻密化および球状化)を行う補助となるものと考えられる。さらに、ある実施形態については、酸化反応により生成されたさらなる熱の存在によって、材料の高融点のために困難または実施できない溶融物の形成が実際に可能となるものと考えられる。さらに、酸化反応により生成されたさらなる熱の存在によって、作製できなかった、または所望のサイズ範囲で作製できなかったガラスの形成が実際に可能になるものと考えられる。
【0040】
本発明を実施するのに有用なガラスの実施形態は、例えば、好適な炉(例えば、誘導または抵抗加熱炉、ガス燃焼炉またはアーク炉)において金属酸化物供給源を溶融することにより作製することができる。得られる溶融物を冷却(例えば、溶融物を冷却媒体(例えば、高速エアジェット、液体、金属板(冷却金属板を含む)、金属ロール(冷却金属ロールを含む)、金属ボール(冷却金属ボールを含む)等)へ放出する)する。
【0041】
ガラスの実施形態はまた、自由落下冷却によるレーザースピン溶融、テイラー(Taylor)ワイヤ技術、プラズマトロン技術、金づちと金床技術、遠心急冷、エアガンスプラット冷却、シングルローラおよびツインローラ急冷、ローラ−プレート急冷および縣滴溶融抽出(例えば、セラミックスの急冷凝固(Rapid Solidification of Ceramics)、ブルックウェイら(Brockway et al.)、金属およびセラミックス情報センター(Metals And Ceramics Information Center)、防護情報分析センター局(A Department of Defense Information Analysis Center)、オハイオ州コロンビア(Columbus,OH)、1984年1月を参照)のようなその他の技術によっても得ることができる。ガラスの実施形態は、好適な前駆体の熱(炎またはレーザーまたはプラズマ補助)分解、金属前駆体の物理蒸気合成(PVS)および機械化学処理のような他の技術によっても得られる。
【0042】
ある方法において、本発明に有用なガラスは、例えば、米国特許第6,254,981号明細書(キャッスル(Castle))に開示された火炎溶融を利用して作製することができる。この方法において、金属酸化物供給源材料(例えば、粒子の形態にある、「供給粒子」と呼ぶことがある)をバーナー(例えば、メタン−エアバーナー、アセチレン−酸素バーナー、水素−酸素バーナー等)に直接供給してから、例えば、水、冷却油、空気等で急冷する。供給粒子は、例えば、金属酸化物供給源を研削、凝集(例えば、スプレー乾燥)、溶融または焼結により形成することができる。火炎に供給された供給粒子のサイズが、通常、得られるガラス粒子/ビーズのサイズを決める。
【0043】
本発明は、例えば、寸法に制限のないセラミック物品を得るのに有用である。ガラス転移温度より高い温度で実施された合体工程によりこれが可能であることが分かった。例えば、本発明を実施するのに有用なガラスは、吸熱(Tx)より低い温度での発熱(Tg)の存在により明らかな通り、大幅な結晶化が生じる(Tx)前にガラス転移(Tg)する。これによって、比較的に小さなガラス片から任意の寸法の物品をバルク製造することができる。より具体的には、例えば、本発明による物品は、本発明を実施するのに有用なガラス粒子(ビーズおよび微小球)、ファイバー等をTgをより高く加熱して、ガラス粒子等を合体させてある形状を形成して、合体した形状を冷却して、物品を提供することができる。ある実施形態において、加熱は、約725℃〜約1100℃の範囲の少なくとも1つの温度で行う。
【0044】
ある実施形態について、合体は、結晶化温度(Tx)よりかなり高い温度で実施してもよい。理論に拘束されることは望むところではないが、比較的遅い結晶化運動によって、粘性フローについてより高い温度を利用可能となると考えられる。意外にも、合体は、本発明による方法により促進されることを知見した。理論に拘束されることは望むところではないが、ガス圧の増加によりガラスの粘度が減じて、緻密化速度が増加すると考えられる。
【0045】
熱処理は、ガラスを熱処理して、ガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換して、ガラス−セラミックスを与えるのに業界で知られた様々な方法で実施することができる。例えば、熱処理は、抵抗、誘導またはガス加熱炉を用いて、バッチで行うことができる。あるいは、例えば、熱処理は、例えば、ロータリキルンを用いて連続的に実施することができる。ロータリキルンの場合に、材料は、例えば、高温で操作されるキルンに直接供給することができる。高温の時間は、数秒(ある実施形態においては、5秒未満)から数分から数時間にわたる。温度は、900℃〜1600℃、一般的には1200℃〜1500℃の範囲内である。バッチでの熱処理のいくつか(例えば、核形成工程)と他を連続的に(例えば、結晶成長工程について、所望の密度を得るために)を実施することも本発明の範囲に含まれる。核形成工程について、温度は、一般的に、約900℃〜約1100℃、ある実施形態においては、約925℃〜約1050℃の範囲である。密度工程と同様に、温度は、一般的に、約1100℃〜約1600℃、ある実施形態においては、約1200℃〜約1500℃の範囲である。この熱処理は、例えば、材料を高温で炉に直接供給することにより行ってもよい。あるいは、例えば、材料は、低温(例えば、室温)で炉に供給してから、所定の加熱速度で所望の温度まで加熱してもよい。空気以外の雰囲気中で熱処理を実施することもまた本発明の範囲に含まれる。場合によっては、還元雰囲気中で熱処理するのが望ましい。また、例えば、熱静水圧プレス、またはガス圧力炉のようなガス圧力下で熱処理するのが望ましい。
【0046】
本発明によるセラミックスを製造するための金属酸化物供給源およびその他添加剤の特定の選択は、例えば、得られるセラミックスの所望の組成および微細構造、所望の結晶度、もしあれば、得られるセラミックスの所望の物理的特性(例えば、硬さまたは靭性)、望ましくない不純物の存在の排除または最小化、得られるセラミックスの所望の特徴、および/またはセラミックスを作製するのに用いる特定のプロセス(装置ならびに溶融および/または固化前および/または最中の原材料の精製をはじめとする)を考慮に入れるのが一般的である。
【0047】
金属酸化物供給源およびその他添加剤は、本発明に利用する方法および装置に好適な任意の形態とすることができる。原材料は、酸化物ガラスおよびアモルファス金属を作製するのに業界に公知の技術および装置を用いて溶融および冷却することができる。望ましい冷却速度としては、50K/s以上のものが挙げられる。業界に公知の冷却技術としては、ロール冷却が挙げられる。ロール冷却は、例えば、一般的に、融点より20〜200℃高い温度で金属酸化物供給源を溶融し、高圧下で高速ロータリロールにスプレーすることにより(空気、アルゴン、窒素等のガスを用いて)溶融物を冷却/急冷することにより実施することができる。一般的に、ロールは金属製であり、水冷される。溶融物を冷却/急冷するのに金属ブック鋳型も有用である。
【0048】
溶融物を形成、溶融物を冷却/急冷および/またはその他ガラスを形成する他の技術としては、蒸気相急冷、プラズマスプレー、溶融抽出およびガス噴霧が挙げられる。蒸気相急冷は、例えば、金属合金または金属酸化物供給源を、用いるスパッタリングターゲットへと形成するスパッタリングにより実施することができる。ターゲットは、スパッタリング装置の所定の位置に固定し、被覆する基材をターゲットの反対の位置に配置する。10-3トルの標準的な圧力の酸素およびArガス、ターゲットと基材との間に放電を生成させ、Arまたは酸素イオンがターゲットに衝突して反応スパッタリングを開始させて、組成物のフィルムを基材に蒸着させる。プラズマスプレーに関するさらなる詳細については、2002年8月2日出願の米国特許出願第10/211,640号明細書の同時継続出願を参照のこと。
【0049】
ガス噴霧は、供給粒子を溶融してそれらを溶融物に変換するものである。かかる溶融物の薄ストリームを、破裂エアジェット(すなわち、ストリームを微細な液滴と分割する)と接触させて噴霧する。得られる実質的に不連続な略楕円形のガラス粒子を回収する。溶融抽出は、例えば、米国特許第5,605,870号明細書(ストローム−オルセンら(Strom−Olsen et al.))に開示されている通りに実施することができる。例えば、2001年4月4日公開のPCT出願公開国際公開第01/27046A1号パンフレットに開示されている通り、レーザービーム加熱を利用した容器を使わないガラス形成技術も、本発明によるガラスを作製するのに有用である。
【0050】
冷却レートは、急冷ガラスの特性に影響するものと考えられる。例えば、ガラスのガラス転移温度、密度およびその他特性が、冷却レートを変化させる。
【0051】
急冷はまた、冷却中、所望の酸化状態を維持し、かつ/または影響を与える還元、中和または酸化環境のような制御された雰囲気下で実施してもよい。雰囲気はまた、過冷却液体から結晶運動に影響させることにより、ガラス形成に影響し得る。例えば、結晶化のない大きな過冷却Al23溶融物が、空気中に比べてアルゴン雰囲気中で報告されている。
【0052】
粒子の作製に関して、例えば、得られるセラミック(例えば、ガラスまたはガラスを含むセラミックは所望よりも大きなサイズであってもよい。ロールクラッシュ、カナリアミル、ジョークラッシュ、ハンマーミル、ボールミル、ジェットミル、インパクトクラッシュ等をはじめとする業界に知られた粉砕および/または破砕技術を用いて、セラミックを小さな片へと変換することができ、一般的に変換される。場合によっては、2回または複数の粉砕工程が望ましい。例えば、セラミックが形成された(固化した)後、所望より大きな形態にあってもよい。第1の粉砕工程には、これらの比較的大きな塊または「チャンク」を粉砕して小さな片を形成することが含まれる。これらのチャンクのこの粉砕は、ハンマーミル、インパクトクラッシャーまたはジョークラッシャーで行ってもよい。これらの小さな片を続いて粉砕して、所望の粒子サイズ分布を生成してもよい。所望の粒子サイズ分布(グリットサイズまたは等級と呼ばれることがある)を生成するためには、多数の粉砕工程を実施する必要がある。通常、粉砕条件を最適化して、所望の粒子形状および粒子サイズ分布を得る。
【0053】
粒子の形状は、例えば、ガラスの組成、冷却された幾何形状、および粒子が粉砕により形成された場合には、ガラスが粉砕される方法(すなわち、用いる粉砕技術)に応じて異なる。
【0054】
ガラスを含む本発明によるある物品を熱処理すると、ガラスを増加または少なくとも部分的に結晶化して、ガラス−セラミックを提供することができる。ガラス−セラミックスを形成するためのあるガラスの熱処理は業界に周知である。ガラス−セラミックスを核形成し成長させる加熱条件は様々なガラスについて知られている。あるいは、当業者であれば、業界に公知の技術を用いてガラスの時間−温度−変形(TTT)調査から適切な条件を決めることができる。本発明の開示内容を読めば、当業者であれば、本発明によるガラスのTTT曲線を与え、本発明による結晶質セラミックス、ガラス−セラミックスおよびガラスを含むセラミックを提供するための適切な核形成および/または結晶成長条件を決めることができる。
【0055】
一般的に、ガラス−セラミックスは、形成されるガラスより強い。従って、材料の強度を、例えば、ガラスが結晶質セラミック相に変換される程度まで調整してもよい。あるいは、またはこれに加えて、材料の強度は、例えば、形成される核形成部位の数に影響され、これを用いると結晶相の結晶の数およびサイズに影響する。ガラス−セラミックスの形成に関するさらなる詳細については、例えば、ガラス−セラミックス、P.W.マクミラン(McMillan)、アカデミックプレス(Academic Press)、第2版、1979年を参照のこと。
【0056】
例えば、Al23、La23およびZrO2を含むガラスのようなガラスの熱処理中、La2Zr27および、ZrO2が存在する場合には、立方/正方晶ZrO2、場合によっては、単斜晶ZrO2のような相の形成が約900℃を超える温度で観察されている。理論に拘束されることは望むところではないが、ジルコニア関連相が第1の相でガラスから核形成をするものと考えられる。例えば、Al23、ReAlO3(式中、Reは少なくとも1つの希土類カチオンである)、ReAl1118、Re3Al512、Y3Al512等の相は、約925℃を超える温度で生じると考えられる。この核形成工程中の結晶子サイズはおよそ数ナノメートルである。例えば、10〜15ナノメートルと小さい結晶が観察されている。長い熱処理温度は、一般的に、結晶子の成長および結晶化の進行につながる。少なくともある実施形態については、約1300℃で約1時間の熱処理により完全な結晶化がなされる。
【0057】
本発明により作製されたあるセラミック物品は、セラミックの金属酸化物総重量に基づいて、20重量%未満のSiO2(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、ゼロ重量パーセントのSiO2)と、20重量%未満のB23(または15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、またはゼロ重量パーセントのB23)と、40重量%未満のP25(または35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満またはゼロ重量パーセントのP25)とを含有する。
【0058】
材料の微細構造または相組成物(ガラス状/結晶)は数多くの方法で求めることができる。例えば、光学顕微鏡、電子顕微鏡、示差熱分析(DTA)およびx線回折(XRD)を用いて様々な情報が得られる。
【0059】
光学顕微鏡を用いると、ガラスは、結晶境界のような光散乱中心がないため一般的に、大部分が透明であり、一方、結晶材料は結晶構造を示し、光散乱効果のために不透明である。
【0060】
DTAを用いて、材料の対応のDTAトレースが発熱結晶イベント(Tx)を含む場合には、材料をアモルファスと分類する。Txより低い温度で同じトレースが吸熱イベント(Tg)を含む場合には、ガラス相からなると考えられる。材料のDTAトレースがかかるイベントを含んでいない場合には、結晶相を含有すると考えられる。
【0061】
示差熱分析(DTA)は、以下の方法を用いて実施することができる。DTAは、−140+170メッシュサイズフラクション(すなわち、105−マイクロメートル開口部サイズおよび90−マイクロメートル開口部サイズスクリーン間で集めたフラクション)を用いて実行する(ドイツ、ゼルブのネッチインスツルメンツ(Netzsch Instruments,Selb,Germany)より「ネッチ(NETZSCH)STA409DTA/TGA」という商品名で入手されるような計器を用いて)ことができる。各スクリーニングされた試料の量(一般的に、約400ミリグラム(mg))を100−マイクロリットルのAl23試料ホルダに入れる。各試料を静的エアで10℃/分のレートで室温(約25℃)から1100℃まで加熱する。
【0062】
粉末x−線回折XRDを用いて(ニュージャージー州、モーウォーのフィリップス(Phillips,Mahwah,NJ)より「フィリップス(PHILLIPS)XRG3100」という商品名で入手できるようなx線回折装置を用いて、銅Kα1放射線が1.54050オングストロームで)、結晶材料のXRDトレースに存在するピークを、回折データの国際センター(International Center for Diffraction Data)が公表しているJCPDS(粉末回折標準委員会(Joint Committee on Powder Diffraction Standards))データベース提供の結晶相のXRDパターンと比べることにより、材料に存在する相を求めることができる。さらに、XRDを定性的に用いると、相の種類を求めることができる。広い拡散強度ピークの存在は、材料のアモルファス性を示すものである。広いピークと明確なピークの両方の存在は、アモルファスマトリックス中に結晶物質が存在することを示すものである。初期に形成されたガラスまたはセラミック(結晶化前のガラスを含む)は、所望のものよりサイズが大きい。ロールクラッシュ、カナリアミル、ジョークラッシュ、ハンマーミル、ボールミル、ジェットミル、インパクトクラッシュ等をはじめとする業界に知られた粉砕および/または破砕技術を用いて、ガラスまたはセラミックを小さな片へと変換することができる。場合によっては、2回または複数の粉砕工程が望ましい。例えば、セラミックが形成された(固化した)後、所望より大きな形態にあってもよい。第1の粉砕工程には、これらの比較的大きな塊または「チャンク」を粉砕して小さな片を形成することが含まれる。これらのチャンクのこの粉砕は、ハンマーミル、インパクトクラッシャーまたはジョークラッシャーで行ってもよい。これらの小さな片を続いて粉砕して、所望の粒子サイズ分布を生成してもよい。所望の粒子サイズ分布(グリットサイズまたは等級と呼ばれることがある)を生成するためには、多数の粉砕工程を実施する必要がある。通常、粉砕条件を最適化して、所望の粒子形状および粒子サイズ分布を得る。所望のサイズの得られた粒子は、大きすぎる場合には、再粉砕したり、小さすぎる場合には再溶融のための原材料として「再利用」および使用してもよい。
【0063】
粒子の形状は、例えば、セラミックの組成および/または微細構造、冷却された幾何形状、およびセラミックが粉砕される方法(すなわち、用いる粉砕技術)に応じて異なる。通常、「塊状の」形状が好ましい場合には、この形状を得るために、用いるエネルギーを多くする。逆に、「鋭い」形状が好ましい場合には、この形状を得るために、用いるエネルギーを少なくする。粉砕技術をまた変更して、異なる所望の形状を得てもよい。ある粒子については、1:1〜5:1の平均アスペクト比が一般的に望ましく、他の実施形態においては、1.25:1〜3:1、さらに1.5:1〜2.5:1である。
【0064】
本発明により作製されたセラミック物品(ガラス−セラミックスを含む)は、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99または100体積パーセントの結晶子を含み、結晶子の平均サイズは、1マイクロメートル未満である。他の態様において、本発明により作製されたセラミック物品(ガラス−セラミックスを含む)は、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99または100体積パーセントの結晶子を含み、結晶子の平均サイズは、0.5マイクロメートル未満である。他の態様において、本発明により作製されたセラミックス(ガラス−セラミックスを含む)は、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99または100体積パーセントの結晶子を含み、結晶子の平均サイズは、0.3マイクロメートル未満である。他の態様において、本発明により作製されたセラミック物品(ガラス−セラミックスを含む)は、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99または100体積パーセントの結晶子を含み、結晶子の平均サイズは、0.15マイクロメートル未満である。他の態様において、本発明により作製されたセラミック物品(ガラス−セラミックスを含む)は、少なくとも1つの共晶微細構造特徴(すなわち、コロニーおよびラメラ構造)または非気泡性微細構造のうち少なくとも1つを含まない。
【0065】
他の態様において、本発明により作製されたあるセラミック物品は、例えば、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100体積パーセントのガラスを含む。他の態様において、本発明により作製されたあるセラミック物品は、例えば、100または少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99または100体積パーセントの結晶質セラミックを含む。
【0066】
本発明により作製されたある物品は、REOとAl23とを含むガラスを含み、ガラスの総重量に基づいて合計で少なくとも80(85、90、95、97、98、99または100)重量パーセントのガラスがREOとAl23とを含む。
【0067】
他の態様において、本発明により作製されたある物品は、REOとAl23とを含むガラス(すなわち、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99または100体積パーセントのガラス)を含むセラミックを提供し、ガラスの総重量に基づいて合計で少なくとも80(85、90、95、97、98、99または100)重量パーセントのガラスがREOとAl23とを含む。
【0068】
他の態様において、本発明により作製されたある物品は、REOとAl23とを含むガラス−セラミックを提供し、ガラス−セラミックの総重量に基づいて合計で少なくとも80(85、90、95、97、98、99または100)重量パーセントのガラス−セラミックがREOとAl23とを含む。ガラス−セラミックは、例えば、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95体積パーセントのガラスを含む。ガラス−セラミックは、例えば、少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10または5体積パーセントの結晶質セラミックを含む。
【0069】
他の態様において、本発明は、REOとAl23とを含むガラス−セラミックであって、平均結晶子サイズが1マイクロメートル未満(一般的に、500ナノメートル未満、さらに300、200または150ナノメートル未満、ある実施形態においては、100、75、50、25または20ナノメートル未満)の結晶子を含む微細構造を示し、(b)共晶微細構造特徴または非気泡性微細構造のうち少なくとも1つを含まないガラス−セラミックを提供する。ガラス−セラミックは、例えば、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95体積パーセントのガラスを含む。ガラス−セラミックは、例えば、少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10または5体積パーセントの結晶質セラミックを含む。
【0070】
他の態様において、本発明により作製されたある物品は、結晶質セラミックを含むセラミック(すなわち、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99または100体積パーセントの結晶質セラミック)を含むセラミックを提供し、結晶質セラミックの総重量に基づいて合計で少なくとも80(85、90、95、97、98、99または100)重量パーセントの結晶質セラミックがREOとAl23とを含む。セラミックは、例えば、少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2または1体積パーセントのガラスを含む。
【0071】
他の態様において、本発明により作製されたある物品は、結晶質セラミックを含むセラミック(すなわち、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99または100体積パーセントの結晶質セラミック)を含むセラミックを提供し、セラミックの総重量に基づいて合計で少なくとも80(85、90、95、97、98、99または100)重量パーセントのセラミックがREOとAl23とを含む。セラミックは、例えば、少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2または1体積パーセントのガラスを含む。
【0072】
本発明により作製されたある物品は、REOとAl23とを含むガラスを含み、ガラスの総重量に基づいて合計で少なくとも80(85、90、95、97、98、99または100)重量パーセントのガラスがREOとAl23とを含む。
【0073】
他の態様において、本発明により作製されたある物品は、REOとAl23とZrO2とを含むガラス(すなわち、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99または100体積パーセントのガラス)を含むセラミックを提供し、ガラスの総重量に基づいて合計で少なくとも80(85、90、95、97、98、99または100)重量パーセントのガラスがREOとAl23とZrO2とを含む。
【0074】
他の態様において、本発明により作製されたある物品は、REOとAl23とZrO2とを含むガラス−セラミックを提供し、ガラス−セラミックの総重量に基づいて合計で少なくとも80(85、90、95、97、98、99または100)重量パーセントのガラス−セラミックがREOとAl23とZrO2とを含む。ガラス−セラミックは、例えば、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95体積パーセントのガラスを含む。ガラス−セラミックは、例えば、少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10または5体積パーセントの結晶質セラミックを含む。
【0075】
他の態様において、本発明は、REOとAl23とZrO2とを含むガラス−セラミックであって、(a)平均結晶子サイズが1マイクロメートル未満(一般的に、500ナノメートル未満、さらに300、200または150ナノメートル未満、ある実施形態においては、100、75、50、25または20ナノメートル未満)の結晶子を含む微細構造を示し、(b)共晶微細構造特徴または非気泡性微細構造のうち少なくとも1つを含まないガラス−セラミックを提供する。ガラス−セラミックは、例えば、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95体積パーセントのガラスを含む。ガラス−セラミックは、例えば、少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10または5体積パーセントの結晶質セラミックを含む。
【0076】
他の態様において、本発明により作製されたある物品は、結晶質セラミックを含むセラミック(すなわち、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99または100体積パーセントの結晶質セラミック)を含むセラミックを提供し、結晶質セラミックの総重量に基づいて合計で少なくとも80(85、90、95、97、98、99または100)重量パーセントの結晶質セラミックがREOとAl23とZrO2とを含む。セラミックは、例えば、少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2または1体積パーセントのガラスを含む。
【0077】
他の態様において、本発明により作製されたある物品は、結晶質セラミックを含むセラミック(すなわち、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99または100体積パーセントの結晶質セラミック)を含むセラミックを提供し、セラミックの総重量に基づいて合計で少なくとも80(85、90、95、97、98、99または100)重量パーセントのセラミックがREOとAl23とZrO2とを含む。セラミックは、例えば、少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2または1体積パーセントのガラスを含む。
【0078】
他の態様において、本発明により作製されたある物品は、REOとAl23とZrO2とSiO2とを含むガラス(すなわち、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99または100体積パーセントのガラス)を含むセラミックを提供し、ガラスの総重量に基づいて合計で少なくとも80(85、90、95、97、98、99または100)重量パーセントのガラスがREOとAl23とZrO2とを含む。
【0079】
他の態様において、本発明により作製されたある物品は、REOとAl23とZrO2とSiO2とを含むガラス−セラミックを提供し、ガラス−セラミックの総重量に基づいて合計で少なくとも80(85、90、95、97、98、99または100)重量パーセントのガラス−セラミックがREOとAl23とZrO2とを含む。ガラス−セラミックは、例えば、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95体積パーセントのガラスを含む。ガラス−セラミックは、例えば、少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10または5体積パーセントの結晶質セラミックを含む。
【0080】
他の態様において、本発明は、REOとAl23とZrO2とSiO2とを含むガラス−セラミックであって、(a)平均結晶子サイズが1マイクロメートル未満(一般的に、500ナノメートル未満、さらに300、200または150ナノメートル未満、ある実施形態においては、100、75、50、25または20ナノメートル未満)の結晶子を含む微細構造を示し、(b)共晶微細構造特徴または非気泡性微細構造のうち少なくとも1つを含まないガラス−セラミックを提供する。ガラス−セラミックは、例えば、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95体積パーセントのガラスを含む。ガラス−セラミックは、例えば、少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10または5体積パーセントの結晶質セラミックを含む。
【0081】
他の態様において、本発明により作製されたある物品は、結晶質セラミックを含むセラミック(すなわち、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99または100体積パーセントの結晶質セラミック)を含むセラミックを提供し、結晶質セラミックの総重量に基づいて合計で少なくとも80(85、90、95、97、98、99または100)重量パーセントの結晶質セラミックがREOとAl23とZrO2とSiO2とを含む。セラミックは、例えば、少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2または1体積パーセントのガラスを含む。
【0082】
他の態様において、本発明により作製されたある物品は、結晶質セラミックを含むセラミック(すなわち、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99または100体積パーセントの結晶質セラミック)を含むセラミックを提供し、セラミックの総重量に基づいて合計で少なくとも80(85、90、95、97、98、99または100)重量パーセントのセラミックがREOとAl23とZrO2とSiO2を含む。セラミックは、例えば、少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2または1体積パーセントのガラスを含む。
【0083】
本発明によるセラミックス中に存在する結晶相としては、アルミナ(例えば、アルファおよび遷移アルミナ)、BaO、CaO、Cr23、CoO、Fe23、GeO2、HfO2、Li2O、MgO、MnO、NiO、Na2O、Na2O、P25、REO、Sc23、SiO2、SrO、TeO2、TiO2、V23、Y23、ZnO、ZrO2「錯体金属酸化物」(「錯体Al23・金属酸化物」(例えば、錯体Al23・REO))およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0084】
Al23、REOまたはY23のうち少なくとも1つ、およびZrO2またはHfO2のうち少なくとも1つを含むセラミックスに関する、製造、使用および特性をはじめとするさらなる詳細については、2001年8月2日出願の米国特許出願第09/922,527号明細書、同第09/922,528号明細書および同第09/922,530号明細書、2002年8月2日出願の米国特許出願第10/211,629号明細書、同第10/211,598号明細書、同第10/211,630号明細書、同第10/211,639号明細書、同第10/211,034号明細書、同第10/211,044号明細書、同第10/211,628号明細書、同第10/211,640号明細書および同第10/211,684号明細書にある。
【0085】
一般的かつ望ましくは、本発明によるセラミックの比重と呼ばれることもある(真の)密度は、一般的に、理論密度の少なくとも70%である。より望ましくは、本発明によるセラミックの(真の)密度は、理論密度の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または100%である。
【0086】
本発明による物品としては、台所用品(例えば、皿)、歯科修復材、歯科用ブラケット、眼科用レンズおよびその他光学要素、IR透過窓およびコーティング、強化ファイバー、切削工具インサート、研磨材料およびガスエンジンの構造化コンポーネント(例えば、バルブとベアリング)が例示される。その他物品としては、本体またはその他基材の外側表面にセラミックの保護コーティングを有するものが挙げられる。さらに、例えば、本発明によるセラミックは、マトリックス材料として用いることができる。例えば、本発明によるセラミックスは、ダイヤモンド、立方−BN、Al23、ZrO2、Si34およびSiCのようなセラミック材料等のバインダーとして用いることができる。ガラスまたはガラス−セラミックはまた、エレクトロニクス用パッケージおよび核廃棄物のイモビライザーとして用いてもよい。かかる材料を含む有用な物品としては、複合体基材コーティング、切削工具インサート研磨凝集体およびビトリファイド砥石のような結合研磨物品が例示される。本発明によるセラミックスは、例えば、複合体物品のモジュラス、熱抵抗性、耐摩耗性および/または強度を増大するために、バインダーとして用いることができる。
【0087】
本発明の利点および実施形態を以下の限定されない実施例によりさらに説明するが、これらの実施例に挙げられた特定の材料および量、その他条件および詳細は本発明を不当に限定するものではない。特に断らない限り、部およびパーセンテージはすべて重量基準である。特に断りのない限り、実施例は全て、大量のSiO2、B23、P25、GeO2、TeO2、As23およびV25は含んでいなかった。
【実施例】
【0088】
実施例1〜3
ポリエチレン瓶に、38.75グラムのアルミナ粒子(アリゾナ州、タクソンのコンデアビスタ(Condea Vista,Tucson,AZ)より「APA−0.5」という商品名で入手)、42.5グラムの酸化ランタン粒子(カリフォルニア州、マウンテンパスのモリコープ社(Molycorp,Inc.,Mountain Pass,CA)より入手)、18.75グラムのイットリア安定化酸化ジルコニウム粒子(ジョージア州、マリエッタのジルコニアセールス社(from Zirconia Sales,Inc.,Marietta,GA)より「HSY−3」という商品名で入手)および180グラムのDI水を充填した。約200グラムのジルコニアミリング媒体(ニュージャージー州、バウンドブルックの東ソーセラミックス事業部より「YTZ」という商品名で入手)を瓶に添加し、混合物を120回転毎分(rpm)で24時間ミリングした。ミリング後、ミリング媒体を取り出し、スラリーをガラス(「パイレックス(登録商標)(PYREX(登録商標))」)パンに注ぎ、ヒートガンを用いて乾燥した。得られた乾燥した混合物を、乳鉢と乳棒で研削し、70−メッシュのスクリーン(212−マイクロメートルの開口部サイズ)を通してスクリーニングした。
【0089】
研削およびスクリーニング後、−70メッシュスクリーン粒子のいくつかを水素/酸素トーチ火炎に供給した。粒子を溶融して、溶融ガラスビーズを生成するのに用いたトーチは、以下の速度で水素および酸素を分配するペンシルバニア州、ヘラータウンのベツレヘム装置社(Bethlehem Apparatus Co.,Hellertown,PA)より入手したベツレヘム(Bethlehem)ベンチバーナーPM2D型番Bであった。内側リングについては、水素フローレートは1分当たり8標準リットル(SLPM)であり、酸素フローレートは3SLPMであった。外側リングについては、水素フローレートは23(SLPM)であり、酸素フローレートは9.8SLPMであった。乾燥および分級した粒子を、トーチ火炎に直接供給して、それらを溶融し、表面に冷水を流して(約8リットル/分)、傾斜したステンレス鋼表面(幅約51センチメートル(cm)(20インチ)、傾斜角45度)へ移動して、ビーズを形成した。
【0090】
実施例2および3のビーズを、原材料および用いた原材料の量を以下の表1に示す通りとした以外は、実施例1に記載した通りにして作製した。用いた原材料の供給源を以下の表2に示す。
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】

【0093】
実施例1〜3の材料のいくつかの様々な特性/特徴を次のようにして測定した。粉末X線回折(1.54050オングストロームの銅Kα1放射線でX線回折計を用いて(ニュージャージー州、モーウォーのフィリップス(PHILLIPS,Mahwah,NJ)より「フィリップス(PHILLIPS)XRG3100」という商品名で入手)を用いて)、実施例材料に存在する相を定性的に測定した。広い拡散強度ピークの存在は、材料のアモルファス性を示すものであった。広いピークと明確なピークの両方の存在は、アモルファスマトリックス中に結晶物質が存在することを示すものであった。様々な実施例で検出された相を以下の表3に示す。
【0094】
【表3】

【0095】
示差熱分析(DTA)のために、材料をスクリーニングしてガラスビーズを90〜125マイクロメートルのサイズ範囲内に保持した。DTA(ドイツ、ゼルプのネッチインスツルメンツ(Netzsch Instruments,Selb,Germany)より「ネッチ(NETZSCH)STA409DTA/TGA」という商品名で入手した機器を用いて)を実施した。100マイクロリットルのAl23試料ホルダに入れた各スクリーニングされた試料の量は400ミリグラムであった。各試料を静的エアで10℃/分の速度で室温(約25℃)から1200℃まで加熱した。ガラス転移温度(Tg)および結晶転移温度(Tx)温度を下記の表3に示す。
【0096】
実施例4〜6および比較例A〜C
実施例4〜6および比較例A〜Cのそれぞれについて、実施例1〜3の約4グラムのガラスビーズを、それぞれ、グラファイトダイに入れ、単軸プレス装置(カリフォルニア州、ブレアのサーマルテクノロジー社(Thermal Technology Inc.,Brea,CA)より「HP−50」という商品名で入手)を用いてホットプレスした。窒素雰囲気中で、915℃で48.3メガパスカル(MPa)(1平方インチ当たり7000ポンド(7ksi))の圧力でホットプレスを実施した。実施例4〜6のガラスビーズのホットプレス中、68.9kPa(10psi)の圧力で窒素を導入した。ホットプレス機器の変位制御ユニットによりガラスビーズの緻密化をモニターした。緻密化速度を、緻密化時間プロットの傾斜からそれに対応して誘導した。
【0097】
窒素を流した雰囲気にした(すなわち、過圧なし)以外は、それぞれ実施例4〜6に記載した通りにして、比較例A〜Cを作製した。実施例4〜6の緻密化速度を比較例A〜Cの緻密化速度でそれぞれ除算して実施例4〜6についての相対緻密化速度を求めた。結果を以下の表4に示す。
【0098】
【表4】

【0099】
本発明の様々な修正および変更は、本発明の範囲および目的から逸脱することなしに当業者には明白であり、本発明はここに規定した説明のための実施形態に不当に限定されないものと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側表面を有する基材を提供する工程と、
外側表面を有する少なくともガラスを提供する工程であって、前記ガラスが少なくとも2種類の異なる金属酸化物を含み、前記ガラスがTgとTxとを有し、前記ガラスの前記Tgと前記Txの差が少なくとも5Kであり、前記ガラスが20重量%未満のSiO2と、20重量%未満のB23と、40重量%未満のP25とを含有する、工程と、
前記Tgより高く前記ガラスを加熱して、前記ガラスの少なくとも一部が前記基材の前記外側表面の少なくとも一部を濡らし、前記基材の前記外側表面の前記少なくとも一部に取り付けられた前記ガラスを含む物品を提供する工程であって、前記ガラスの加熱が、後の加熱中の圧力が1.0atmの圧力の雰囲気中で実施される以外は、同じように加熱された同じガラスに比べて前記ガラスの緻密化速度を増加するのに十分な1.1atmを超える圧力で気体雰囲気中で実施され、1.1atmを超える圧力の気体雰囲気が前記ガラスの外側表面の少なくとも一部と直接接触する工程と、
を含む物品を製造する方法。
【請求項2】
前記ガラスの緻密化速度の増加が少なくとも1.5倍である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガラスの加熱が少なくとも1.25atmの圧力の雰囲気中で実施される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記Tgと前記Txの差が少なくとも25Kである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ガラスがTlを有し、前記Tg対Tlの比が少なくとも0.5である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量に基づいて、合計でガラスの40重量パーセント未満のSiO2、B23およびP25を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ガラスがREO−Al23ガラスである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量に基づいて、合計で少なくとも80重量パーセントのAl23とREOとを含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ガラスがREO−Al23−ZrO2ガラスである請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量に基づいて、合計で少なくとも80重量パーセントのAl23とREOとZrO2とを含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記物品がガラスを含み、前記方法が、前記ガラスを熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換して、ガラス−セラミックを提供する工程をさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記ガラスの加熱が少なくとも2atmの圧力の雰囲気中で実施される請求項1に記載の方法。
【請求項13】
外側表面を有する基材を提供する工程と、
外側表面を有するガラスを含む少なくとも複数の粒子を提供する工程であって、前記ガラスが少なくとも2種類の異なる金属酸化物を含み、前記ガラスがTgとTxとを有し、前記ガラスの前記Tgと前記Txの差が少なくとも5Kであり、前記ガラスが20重量%未満のSiO2と、20重量%未満のB23と、40重量%未満のP25とを含有する、工程と、
前記Tgより高く前記ガラスを加熱して、前記複数の粒子の前記ガラスの少なくとも一部が前記基材の前記外側表面の少なくとも一部を濡らし、前記基材の前記外側表面の前記少なくとも一部に取り付けられた前記ガラスを含む物品を提供する工程であって、前記ガラスの加熱が、後の加熱中の圧力が1.0atmの圧力の雰囲気中で実施される以外は、同じように加熱された同じガラスに比べて前記ガラスの緻密化速度を増加するのに十分な1.1atmを超える圧力で気体雰囲気中で実施され、1.1atmを超える圧力の気体雰囲気が、ガラスを含む前記粒子の少なくとも一部の前記外側表面の少なくとも一部と直接接触する工程と、
を含む物品を製造する方法。
【請求項14】
前記ガラスの緻密化速度の増加が少なくとも1.5倍である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ガラスの加熱が少なくとも1.25atmの圧力の雰囲気中で実施される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記Tgと前記Txの差が少なくとも25Kである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ガラスがTlを有し、前記Tg対Tlの比が少なくとも0.5である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量に基づいて、合計で40重量パーセント未満のSiO2、B23およびP25を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ガラスがREO−Al23ガラスである請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量に基づいて、合計で少なくとも80重量パーセントのAl23とREOとを含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ガラスがREO−Al23−ZrO2ガラスである請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量に基づいて、合計で少なくとも80重量パーセントのAl23とREOとZrO2とを含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記物品がガラスを含み、前記方法が、前記ガラスを熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換して、ガラス−セラミックを提供する工程をさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記ガラスの加熱が少なくとも2atmの圧力の雰囲気中で実施される請求項13に記載の方法。
【請求項25】
それぞれ外側表面を有する少なくとも第1のガラスと第2のガラスを提供する工程であって、前記第1のガラスが少なくとも2種類の異なる金属酸化物を含み、前記第1のガラスがTg1とTx1とを有し、前記Tg1と前記Tx1の差が少なくとも5Kであり、前記第1のガラスが20重量%未満のSiO2と、20重量%未満のB23と、40重量%未満のP25とを含有する、工程と、
少なくともTg1より高く前記第1および第2のガラスを加熱して、少なくとも前記第1のガラスを前記第2のガラスと合体させて物品を提供する工程であって、前記ガラスの加熱が、後の加熱中の圧力が1.0atmの圧力の雰囲気中で実施される以外は、同じように加熱された同じガラスに比べて前記ガラスの緻密化速度を増加するのに十分な1.1atmを超える圧力で気体雰囲気中で実施され、1.1atmを超える圧力の気体雰囲気が前記第1および第2のガラスの外側表面の少なくとも一部と直接接触する工程と、
を含む物品を製造する方法。
【請求項26】
前記第1のガラスの緻密化速度の増加が少なくとも1.5倍である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ガラスの加熱が少なくとも1.25atmの圧力の雰囲気中で実施される請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記Tg1と前記Tx1の差が少なくとも25Kである請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ガラスがTlを有し、前記Tg1対Tl1の比が少なくとも0.5である請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1のガラスが、前記ガラスの総重量に基づいて、合計で40重量パーセント未満のSiO2、B23およびP25を含む請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ガラスがREO−Al23ガラスである請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量に基づいて、合計で少なくとも80重量パーセントのAl23とREOとを含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ガラスがREO−Al23−ZrO2ガラスである請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量に基づいて、合計で少なくとも80重量パーセントのAl23とREOとZrO2とを含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記物品がガラスを含み、前記方法が、前記ガラスを熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換して、ガラス−セラミックを提供する工程をさらに含む請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記ガラスの加熱が少なくとも2atmの圧力の雰囲気中で実施される請求項24に記載の方法。
【請求項37】
それぞれ外側表面を有する少なくとも第1のガラスと第2のガラスを提供する工程であって、前記第1のガラスが少なくとも2種類の異なる金属酸化物を含み、前記第1のガラスがTg1とTx1とを有し、前記Tg1と前記Tx1の差が少なくとも5Kであり、前記第1のガラスが20重量%未満のSiO2と、20重量%未満のB23と、40重量%未満のP25とを含有し、前記第2のガラスが少なくとも2種類の異なる金属酸化物を含み、前記第2のガラスがTg2とTx2とを有し、前記Tg2と前記Tx2の差が少なくとも5Kであり、前記第2のガラスが20重量%未満のSiO2と、20重量%未満のB23と、40重量%未満のP25とを含有する、工程と、
g1またはTg2より高く前記ガラスを加熱して、前記第1および第2のガラスを合体させて物品を提供する工程であって、前記ガラスの加熱が、後の加熱中の圧力が1.0atmの圧力の雰囲気中で実施される以外は、同じように加熱された同じガラスに比べて前記ガラスの緻密化速度を増加するのに十分な1.1atmを超える圧力で気体雰囲気中で実施され、1.1atmを超える圧力の気体雰囲気が前記第1および第2のガラスの外側表面の少なくとも一部と直接接触する工程と
を含む物品を製造する方法。
【請求項38】
前記第1のガラスの緻密化速度の増加が少なくとも1.5倍である請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ガラスの加熱が少なくとも1.25atmの圧力の雰囲気中で実施される請求項37に記載の方法。
【請求項40】
g1とTx1の差およびTg2とTx2の差が、それぞれ少なくとも25Kである請求項39に記載の方法。
【請求項41】
g1対Tx1の比およびTg2対Tx2の比が、それぞれ少なくとも0.5である請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1および第2のガラスが、それぞれ前記ガラスの総重量に基づいて、合計で40重量パーセント未満のSiO2、B23およびP25を含む請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ガラスがREO−Al23ガラスである請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量に基づいて、合計で少なくとも80重量パーセントのAl23とREOとを含む請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記ガラスがREO−Al23−ZrO2ガラスである請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量に基づいて、合計で少なくとも80重量パーセントのAl23とREOとZrO2とを含む請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第1および第2のガラスが同一の組成を有する請求項40に記載の方法。
【請求項48】
前記第1および第2のガラスが異なる組成を有する請求項40に記載の方法。
【請求項49】
前記物品がガラスを含み、前記方法が、前記ガラスを熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換して、ガラス−セラミックを提供する工程をさらに含む請求項39に記載の方法。
【請求項50】
前記ガラスの加熱が少なくとも2atmの圧力の雰囲気中で実施される請求項37に記載の方法。
【請求項51】
外側表面を有するガラスを含む少なくとも第1の複数の粒子を提供する工程であって、前記ガラスが少なくとも2種類の異なる金属酸化物を含み、前記ガラスがTgとTxとを有し、前記ガラスの前記Tgと前記Txの差が少なくとも5Kであり、前記ガラスが20重量%未満のSiO2と、20重量%未満のB23と、40重量%未満のP25とを含有する、工程と、
前記Tgより高く前記ガラスを加熱して、前記第1の複数の粒子の少なくとも一部を合体させて物品を提供する工程であって、前記ガラスの加熱が、後の加熱中の圧力が1.0atmの圧力の雰囲気中で実施される以外は、同じように加熱された同じガラスに比べて前記ガラスの緻密化速度を増加するのに十分な1.1atmを超える圧力で気体雰囲気中で実施され、1.1atmを超える圧力の気体雰囲気が、前記ガラスを含む前記粒子の少なくとも一部の外側表面の少なくとも一部と直接接触する工程と、
を含む物品を製造する方法。
【請求項52】
前記ガラスの緻密化速度の増加が少なくとも1.5倍である請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記ガラスの加熱が少なくとも1.25atmの圧力の雰囲気中で実施される請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記Tgと前記Txの差が少なくとも25Kである請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記ガラスがTlを有し、前記Tg対Tlの比が少なくとも0.5である請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量に基づいて、合計で40重量パーセント未満のSiO2、B23およびP25を含む請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記ガラスがREO−Al23ガラスである請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量に基づいて、合計で少なくとも80重量パーセントのAl23とREOとを含む請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記ガラスがREO−Al23−ZrO2ガラスである請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量に基づいて、合計で少なくとも80重量パーセントのAl23とREOとZrO2とを含む請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記物品がガラスを含み、前記方法が、前記ガラスを熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換して、ガラス−セラミックを提供する工程をさらに含む請求項53に記載の方法。
【請求項62】
前記ガラスの加熱が少なくとも2atmの圧力の雰囲気中で実施される請求項51に記載の方法。

【公表番号】特表2008−508177(P2008−508177A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523572(P2007−523572)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/022690
【国際公開番号】WO2006/023068
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】