説明

ガラス、結晶化ガラス、結晶化ガラスの製造方法及び光学部材

【課題】光学非線形性の高いフレスノイト型の結晶を選択的に結晶化でき、しかも十分に高い光学非線形性を発揮できる結晶化ガラスを効率よく製造でき、かつ、ファイバ形状に線引き可能なガラス、そのガラスを用いて得られるフレスノイト型の結晶が析出した結晶化ガラス及びその結晶化ガラスの製造方法、並びに、光学部材を提供する。
【解決手段】光導波用の光学部材を形成するためのガラスであって、アルカリ土類金属の酸化物を20〜35モル%、チタン酸化物を10〜15モル%、ゲルマニウム酸化物を10〜40モル%、ケイ素酸化物を10〜60モル%の割合で含有し、結晶化温度とガラス転移温度との差が100℃以上であるガラス、およびそれらのガラスを熱処理して得られる結晶化ガラス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波用の光学部材を形成するためのガラス、前記ガラスを結晶化させた結晶化ガラス及びその製造方法、並びに前記結晶化ガラスからなる光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、種々の分野において、ガラスは産業を支える基幹材料の一つとして認識されている。ガラスは、安価な上にその秀でた光学特性や各種特性の高い均質性、さらには非晶質構造に基づく賦形性など、他にはない極めて優れた特徴を有する材料である。そのため、今日では、光ファイバやディスプレイ用ガラスなどを例として、種々の機能性材料として用いられている。しかしながら、このようにして得られる機能性材料は、基本的に光を伝達、透過する機能のみを有するものであるため、光に対して能動的に機能を発現する光機能性材料として用いることができない。そのため、光を制御する機能を有する材料は、構造規則性を有しその周期構造に基づく2次光非線形性などを本質的に有している結晶材料にほぼ完全に依存しているといっても過言ではない。
【0003】
結晶化ガラスは、析出結晶を選択することにより、高い透明性、広い透過波長域、成型加工の容易性等のガラス本来の特性と結晶材料に固有の特性とをガラスに付与したものであり、例えば、結晶とガラスの膨張係数を制御することによって作製された低熱膨張性ガラスは工業的にも広く実用化されている。仮に、前述の結晶化ガラス中に、光波に対し能動的に作用可能な光学結晶を析出させることができれば、得られる結晶化ガラスは、ガラスに本来存在しない光波制御性とガラスの優れた賦形性および透明性を併せ持つ新しい光機能性材料となる。
【0004】
ガラス中に光機能性結晶を析出させた報告に関しては、これまでにいくつか報告がなされており、新しい光機能性材料として研究開発が進んでいる。これらは、光非線形の大きな結晶をガラス中に種々の方法を用いて析出させるものである(特許文献1〜5参照)。
【0005】
この光機能性材料を現在の光ネットワーク中に導入する場合においては、伝送用光ガラス光ファイバとの接合性に優れるファイバ形状とすることが望まれる。更に、ファイバ形状にした場合には、効率的に大きな非線形性を有する結晶を析出させる必要がある。その析出結晶候補の1つがフレスノイト型の結晶(化学式 ABC : A, B, Cはそれぞれアルカリ土類金属、遷移金属、14属元素)である。フレスノイト型の結晶が析出した結晶化ガラスは、一般的な光学非線形結晶であるニオブ酸リチウムに匹敵する大きな非線形性を示すことが報告されている(非特許文献1、2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−272198号公報
【特許文献2】特開2003−98563号公報
【特許文献3】特開2003−12347号公報
【特許文献4】特開2000−211944号公報
【特許文献5】特開2008−19123号公報
【非特許文献1】高橋ら アプライド フィジックス レターズ 82号 223頁 (2002年)
【非特許文献2】正井ら ジャーナル オブ アプライド フィジックス 101号 033530頁 (2007年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の結晶化ガラスは、析出結晶の特性に主眼がおかれていたため、熱力学的には比較的結晶化しやすいものであった。そのため、成形中に結晶化してしまう可能性がある。特に、ファイバ型デバイスとして実用化する場合は、まずファイバ曳糸中には結晶化しないことが求められ、更には析出結晶の非線形性が大きいという条件に加えて(1)光が導波する部分での結晶の析出を防ぐ、(2)外的要因により光が導波しない部分のみを結晶化する、という2つの条件を満たす必要があるが、従来の結晶化ガラスでは困難である。
【0008】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、光学非線形性の高いフレスノイト型の結晶を選択的に結晶化でき、しかも十分に高い光学非線形性を発揮できる結晶化ガラスを効率よく製造でき、かつ、ファイバ形状に線引き可能なガラス、そのガラスを用いて得られるフレスノイト型の結晶が析出した結晶化ガラス及びその結晶化ガラスの製造方法、並びに、光学部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定量のアルカリ土類金属の酸化物、特定量のチタン酸化物、特定量のゲルマニウム酸化物、特定量のケイ素酸化物及び特定量の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、バナジウム、銅から選ばれる少なくとも1種を含有させて得られるガラスは、ファイバ形状に線引きすることが容易であり、加熱することでフレスノイト型の結晶を選択的に結晶化でき、得られる結晶化ガラスも十分な光学非線形性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明のガラスは、アルカリ土類金属の酸化物を20〜35モル%、チタン酸化物を10〜15モル%、ゲルマニウム酸化物を10〜40モル%、ケイ素酸化物を10〜60モル%の割合で含有することを特徴とするものである。あるいは、上記のガラスに酸化ストロンチウム、酸化ニオビウム、酸化ホウ素または酸化ビスマスを30モル%以下、更には鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、バナジウム、銅から選ばれる少なくとも1種を1〜3モル%含有することを特徴とするガラスである。上記のガラスは、結晶化温度とガラス転移温度との差が100℃以上であることを特徴とする。
【0011】
一方、本発明の結晶化ガラスは、上記本発明のガラスを熱処理することによって得られる、フレスノイト型の結晶が析出していることを特徴とするものである。結晶化ガラスの形態は特に限定されることは無く、バルクガラスであっても、ファイバ型であっても、問題は無い。本発明の結晶化ガラスの製造方法は、2とおり存在する。一方は、上記本発明のガラスを電気炉中で加熱することを特徴とする。他方は、上記本発明のガラスにレーザ光を照射して加熱することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の光学部材は、上記本発明の結晶化ガラスからなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のガラスは、高い非線形性を有するフレスノイト型の結晶を析出可能で、かつ、結晶化温度とガラス転移温度との差が100℃以上であることから、熱安定に優れ、ファイバ形状への線引きも容易である。また、上記ガラスを用いて作製された本発明の結晶化ガラスはフレスノイト型結晶が析出しており、高い光学非線形性を発揮できる。また、結晶化ガラスを製造するには、前記のガラスを加熱するだけでよく、製造方法も簡易で生産性も高い。また、本発明の光学部材は、フレスノイト型の結晶による高い光学非線形性を有し、更に形状に自由度があるためファイバ型にも応用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0015】
先ず、本発明のガラスは、アルカリ土類金属の酸化物を20〜35モル%、チタン酸化物を10〜15モル%、ゲルマニウム酸化物を10〜40モル%、ケイ素酸化物を10〜60モル%の割合で含有する。
【0016】
ここで、アルカリ土類金属の酸化物の含有割合が20モル%未満では、得られるガラスを加熱してフレスノイト型の結晶を析出させる際に析出結晶が少なくなり、他方35モル%を超えると、熱安定性が低下し、ガラス転移温度以上において結晶化が進行しやすくなり透明で均一なガラスが得られなくなる。好ましくは、25〜35モル%である。また、析出フレスノイト型結晶は、そのc軸方向の長さが長いほど光学非線形性が大きいことが明らかになっているため、アルカリ土類金属の酸化物の中でも、イオン半径の大きいバリウム酸化物が望ましい。
【0017】
チタン酸化物の含有割合が10モル%未満では、得られるガラスを加熱してフレスノイト型の結晶を析出させる際に光非線形材料として使用するために十分な量の結晶が析出しなくなり、他方15モル%を超えると、フレスノイト型の結晶がガラス中に析出して透明で均一なガラスが得られなくなる、あるいは、熱安定性を示す結晶化温度とガラス転移温度の差が100℃未満になり、ファイバ形状にするための線引きが困難になる。好ましくは、10〜15モル%である。
【0018】
ゲルマニウム酸化物の含有割合が10モル%未満では、析出フレスノイト型結晶におけるゲルマニウム含有量が少なくなり、充分な光学非線形性が得られない。実際に、大きな光学非線形性をもたらす材料の目安となる酸素分極率が組成から見積もることができるが、この値が小さくなる。他方、40モル%を超えると、ガラス転移温度以上において結晶化が進行しやすくなり、急冷をせずガラスを作製した際に透明で均一なガラスファイバが得られない。好ましくは、15〜35モル%である。
【0019】
ケイ素酸化物の含有割合が10モル%未満では、ガラス転移温度以上において結晶化が進行しやすくなり、急冷をせずガラスを作製した際に透明で均一なガラスファイバが得られなくなり、他方、60モル%を超えると、析出フレスノイト型結晶におけるシリカ含有量が多くなり、得られる結晶化ガラスの光学非線形性が低下する。好ましくは、15〜55モル%であり、20〜50モル%であることが特に好ましい。
【0020】
また、本発明のガラスは、上記のガラス組成に加えて、酸化ストロンチウム、酸化ニオビウム、酸化ホウ素または酸化ビスマスを30モル%以下、更には鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、バナジウム、銅から選ばれる少なくとも1種を1〜3モル%含有してもよい。酸化ストロンチウム、酸化ニオビウム、酸化ホウ素または酸化ビスマスを30モル%以下の割合で含有するガラスは、結晶化温度とガラス転移温度との差がより大きくなり、ファイバ形状にする際の線引きが良好になる。また、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、バナジウム、銅から選ばれる少なくとも1種を1〜3モル%含有するガラスは、赤外波長域に吸収を持ち、赤外レーザを照射することにより、位置選択的に結晶化を誘起させることが可能である。さらに、遷移金属酸化物を添加することにより、ガラス転移温度が低下し、遷移金属を含まないガラスよりもより低温で結晶化しやすいという特徴がある。
【0021】
上述のガラスは、熱安定性を示す結晶化温度とガラス転移温度との差が100℃以上であり、かつ、フレスノイト結晶が析出するならば、他の構成元素を含むことができる。
【0022】
尚、結晶化温度とは示唆熱分析(DTA)により求められる温度であって、10℃/分で昇温しながら測定したときに得られるDTA曲線において、ガラス転移温度以上の温度域において現れるプラトー(平坦)部と、結晶化による発熱が確認された温度以上の曲線部における初めの変曲点とを結ぶ接線の交点として定義される温度である。実際には、結晶化温度よりも低温で結晶が析出する場合があり、熱物性の目安(指標となる)の温度といえる。参考のために、図5に典型的なガラスのDTA曲線を示す。
【0023】
次に、上記本発明のガラスを好適に製造することが可能な方法を説明する。すなわち、本発明のガラスを好適に製造することが可能な方法は、前述の必須成分及び他の成分の材料を、前記必須成分が前述の含有割合となるように秤量して混合し、得られた混合物を溶融する方法が挙げられる。
【0024】
また、このような材料を混合した混合物を溶融させる方法としては特に制限されず、ガラスを製造することが可能な公知の方法を適宜採用することができ、例えば、坩堝を用いて1300〜1550℃の温度条件で10分〜3時間程度加熱して前記混合物を溶融する方法を採用してもよい。このとき、前記材料の混合物を溶融させるために用いる坩堝としては白金坩堝を用いる。例えば、アルミナ坩堝を用いた場合には、前記材料中に坩堝からアルミナが溶出するため、ガラス中からのフレスノイト型の結晶の析出を妨げる。
【0025】
以上、本発明のガラスについて説明したが、以下に本発明の結晶化ガラスについて説明する。
【0026】
本発明の結晶化ガラスは、上記本発明のガラスを結晶化させたものである。すなわり、アルカリ土類金属の酸化物を20〜35モル%、チタン酸化物を10〜15モル%、ゲルマニウム酸化物を10〜40モル%、ケイ素酸化物を10〜60モル%の割合で含有し、且つ、フレスノイト型の結晶が析出していることを特徴とするものである。あるいは、アルカリ土類金属の酸化物を20〜35モル%、チタン酸化物を10〜15モル%、ゲルマニウム酸化物を10〜40モル%、ケイ素酸化物を10〜60モル%、および、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、バナジウム、銅から選ばれる少なくとも1種を1〜3モル%の割合で含有し、且つ、フレスノイト型の結晶が析出していることを特徴とするものである。
【0027】
更には、上記本発明のガラスと同様の他成分を含有していてもよい。
【0028】
また、本発明の結晶化ガラスは、フレスノイト型の結晶がガラス全体に析出しているため、2次光非線形性を示す材料として好適に用いることができる。
【0029】
次に、本発明の結晶化ガラスを好適に製造することが可能な本発明の結晶化ガラスの製造方法について説明する。
【0030】
本発明の結晶化ガラスの製造方法は、上記本発明のガラスを加熱してフレスノイト型の結晶が析出させることを特徴とする。尚、加熱処理の時間は、加熱温度や目的とするフレスノイト型の結晶の結晶化の程度等によっても異なるものであり、特に制限されず、所望の量のフレスノイト型の結晶が得られる時間加熱すればよい。
【0031】
フレスノイト型の結晶の結晶相形成の有無、あるいは結晶化の程度は、X線解析により確認できる。また、結晶化の程度は用途等に応じて適宜選択すればよい。
【0032】
また、加熱処理の方法としては特に制限されず、フレスノイト型の結晶を析出させることが可能な公知の方法を適宜採用でき、例えば、レーザ光を照射して加熱する方法、あるいは、電気炉、ホットプレート、白熱灯等の熱源を用いて加熱する方法等種々の方法を適宜採用できる。なお、熱源を用いて加熱する方法は、大面積を容易に且つ効率的に加熱することが可能な方法である。
【0033】
特に、レーザ光を照射する方法では、ガラスの照射領域のみを加熱でき、所望の領域に選択的にフレスノイト型の結晶を析出させることが可能であるため、好ましい加熱方法である。用いるレーザには制限はなく、レーザ光の照射領域に対し、温度を制御しつつ均一に加熱できるものが好適に用いられ、紫外レーザ、YAGレーザ、炭酸ガスレーザ等の種々のレーザを適宜用いることができる。さらに、レーザの照射強度も特に制限されず、適宜調整することが可能である。なお、照射強度が高すぎるとアブレーションが起こる、あるいは、表面にクラックが発生する等の問題が生じる場合があるため、照射強度はこのような問題が発生しない範囲で調整することが好ましい。
【0034】
最後に、本発明の光学部材について説明する。本発明の光学部材は、上記本発明の結晶化ガラスからなるファイバ型であることを特徴とするものである。従って、本発明のファイバ型光学部材は、フレスノイト型結晶が析出しているため、本来ガラスには存在しない2次光学非線形性を賦与したものになる。さらに、ファイバ形状であるため、伝送用光ファイバとの接続が容易で、また光との作用長が長いため、より大きな光変調効果が得られるという利点がある。
【実施例】
【0035】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明は実施例より何ら制限されるものではない。
【0036】
表1〜3にモル%表示で示す組成のガラスを、白金ルツボを用いて1300〜1550℃で溶解する溶融法により作製した。尚、表中の「実」は実施例を、「比」は比較例を示す。
【0037】
そして、各ガラスのガラス転移点Tg(単位:℃)及び結晶化温度Tx(単位:℃)を示差熱分析(DTA)によりそれぞれ測定した。尚、結晶化温度Tx(単位:℃)は10℃/分で昇温しながら測定したときに得られるDTA曲線において、ガラス転移温度以上の温度域において現れるプラトー(平坦)部と、結晶化による発熱が確認された温度以上の曲線部における初めの変曲点とを結ぶ接線の交点として定義される温度して求めた。Ts、Tx及び(Tx−Tg:単位℃)を表1〜3に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
【表3】

【0041】
実施例1〜17のガラスは、結晶化温度とガラス転移温度との差(Tx−Tg)が100℃以上であり、熱的に安定なガラスであることがわかる。比較例1〜6のガラスは、(Tx−Tg)が100℃未満であり、熱的に不安定で、ファイバに線引きするのが困難である。
【0042】
また、実施例3で得られたガラスを、840℃で、3時間熱処理した後、4℃/分の平均冷却速度で室温まで冷却し、結晶化ガラスを得た。得られた結晶化ガラスのXRDパターンを図1に示すが、フレスノイト型の結晶の析出が確認された。
【0043】
また、実施例5で得られたガラスの光吸収スペクトルを測定した結果、1080nmにおける吸収係数は8.92であった。更に、同ガラスに波長1080nmのCWレーザを照射したところ、0.55W以上において、結晶化が確認できた。図2は、0.7Wでレーザを照射して形成されたドット部より緑色の第二次高調(SH)光が発生している様子を表す写真である。また、同ガラスにおけるガラス部とレーザ照射部のラマンスペクトルを図3に示すが、489、600、733、793、861cm−1に明瞭なピークが確認され、フレスノイト型の結晶の振動モードに対応すると考えられる。
【0044】
また、実施例5で得られたガラスの光吸収スペクトルを測定した結果、1080nmにおける吸収係数は3.14であった。1.55W以上のレーザを照射した場合において、結晶化が確認できた。
【0045】
また、比較例4、比較例5、比較例6、比較例7の各ガラスを加熱処理して結晶化させたが、図4に示すように実施例3と比較例4ではフレスノイト型の結晶が確認されたが、他は明確なフレスノイト型の結晶化が確認できなかった。ここで、比較例4はTx―Tgの値が75度と低く、ファイバなどの成形加工時に結晶が析出したため、不適である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例3で得られた結晶化ガラスのXRDパターンである。
【図2】実施例5で得られたガラスにレーザ光を照射した際の顕微鏡写真である。
【図3】実施例5で得られたガラスのレーザ照射部分(上部)と未照射部分(下部)のラマンスペクトルである。
【図4】実施例3、比較例4、比較例5、比較例6、比較例7で得られた各結晶化ガラスのXRDパターンである。
【図5】結晶化温度を説明するための図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波用の光学部材を形成するためのガラスであって、アルカリ土類金属の酸化物を20〜35モル%、チタン酸化物を10〜15モル%、ゲルマニウム酸化物を10〜40モル%、ケイ素酸化物を10〜60モル%の割合で含有することを特徴とするガラス。
【請求項2】
酸化ストロンチウム、酸化ニオビウム、酸化ホウ素または酸化ビスマスを30モル%以下の割合で含有することを特徴とする請求項1記載のガラス。
【請求項3】
鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、バナジウム、銅から選ばれる少なくとも1種を1〜3モル%含有することを特徴とする請求項1または2に記載のガラス。
【請求項4】
結晶化温度とガラス転移温度との差が100℃以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のガラス。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のガラスを熱処理してなり、フレスノイト型の結晶が析出していることを特徴とする結晶化ガラス。
【請求項6】
ファイバ形状であることを特徴とする請求項5記載の結晶化ガラス。
【請求項7】
請求項1〜4の何れか1項に記載のガラスを所定形状に成形し、加熱してフレスノイト型の結晶を析出させることを特徴とする請求項5記載の結晶化ガラスの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜4の何れか1項に記載のガラスを線引きしてファイバ形状に成形し、加熱してフレスノイト型の結晶を析出させることを特徴とする請求項6記載の結晶化ガラスの製造方法。
【請求項9】
加熱をレーザ照射により行うことを特徴とする請求項7または8記載の結晶化カラスの製造方法。
【請求項10】
請求項6に記載の結晶化ガラスからなることを特徴とするファイバ型の光学部材。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−274882(P2009−274882A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124671(P2008−124671)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】