説明

ガラスパネル

【課題】ガラスパネルの生産性、断熱性能を向上させる。
【解決手段】ガラスパネル1は、スペーサ5を介して間隔をおいて配設された一対の板カラス2,3と、板ガラス2,3の周縁部を接合する高分子材料からなる接合部材4と、板ガラス2,3と接合部材4とで囲まれ減圧された空間6と、接合部材4の内周側で板ガラス2に設けられた排気孔7と、排気孔7内に配設された吸着材8と、排気孔7を外側から覆う蓋材9とを有する。吸着材8は、LiとMgOとを、ステンレス製容器・ボールによる振動ボールミルを用いてメカニカルアロイングを行い混合した材料(Li−MgO)を用いた。これにより、例えばある程度の真空度までは真空ポンプで排気し、後は吸着材で残存気体を吸着して所定の真空度を得る等の方法により、生産効率の高い断熱性に優れたガラスパネル1を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱を必要とするガラスパネル、もしくは断熱性能を変化させることを必要とするガラスパネルであって、例えば住宅等の建築物、冷蔵庫、ショーケース等の保温保冷機器、自動車、鉄道車両等の車体・機体他に使用可能なガラスパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止の観点から省エネルギーが強く望まれており、住宅分野においても優れた断熱性能を有する複層ガラス、あるいは対向するガラスにより形成される空間を減圧とし、断熱性能を向上させるガラスパネルが用いられている。
【0003】
この一対のガラスの周縁部を接合する接合材料として、ガラス材料、有機高分子系材料等が提案されている。
【0004】
例えば、ガラス材料を用いた場合、封着を行うために400〜500℃の加熱プロセスが必要であることから、高分子系材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。高分子系材料の場合、外部からの気体の侵入により長期信頼性に問題があるため、低圧空間に活性化されたゲッター材を設けることが提案されている。
【特許文献1】特開2001−206740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の上記従来の構成では、ゲッター材の活性化のため、真空下で約800℃に加熱しており、加熱装置が必要である。
【0006】
また、ゲッター材加熱の際は周辺部も高温となるため、複層ガラスの間隙部の開口部に接して金属製の容器を配設したり、コーナー部を斜めに切断したりという加工が必要であったり、ガラスに悪影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
また、接合部材が特に高分子材料である場合、ゲッター材活性化時に高温にすることは高分子材料自体の劣化につながり、ガラスパネルの耐久性が悪化することも考えられる。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、生産性、断熱性能に優れたガラスパネルを提供することを目的とする。
【0009】
さらに、季節や必要に応じて断熱性能を変化させることのできるガラスパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、スペーサを介して間隔をおいて配設された一対の板カラスと、前記一対の板カラスの周縁部を接合する接合部材と、前記一対の板ガラスと前記接合部材とに囲まれた空間に配設され少なくとも常温減圧下で窒素もしくは酸素を吸着する吸着材とを備えたことを特徴とする。
【0011】
常温減圧にて窒素もしくは酸素を吸着するため、ガラスパネル中で高温加熱することなく、内部の残留ガスあるいは接合部材等からの発生ガスや経時的な侵入ガスを吸着することができる。
【0012】
さらに、例えば工業的に到達容易な真空度までガラスパネル内部空間を真空ポンプで排気し、その後の残存気体は吸着材で加熱なしに吸着することにより、接合部材が高分子材料、ガラス材料、金属材料他材料に関わらず、真空排気時間を短縮でき、効率よくガラスパネルを生産することができる。
【0013】
また、吸着材として、少なくとも、メカニカルミリングにより混合された、Liと硬度5以上の固体物質を含む吸着材、もしくは、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトからなる吸着材を用いることにより、常温減圧にて窒素もしくは酸素を吸着し、低圧保持することができる。
【0014】
また、本発明は、スペーサを介して間隔をおいて配設された一対の板ガラスと、前記一対の板ガラスの周縁部を接合する接合部材とからなり、前記一対の板ガラスと前記接合部材とに囲まれた空間内部の圧力が任意に変化することを特徴とする。
【0015】
例えば内部に空気を封入した場合、静止空気の熱伝導率は約0.025W/mKである。一方、これを真空排気することにより空気による熱伝導をなくし断熱性能を向上させることができる。これを任意で行うことにより、そのときの環境に適するよう断熱性能を変化させることのできるガラスパネルを得ることができる。
【0016】
また、空間内部に存在する気体の少なくとも一部を吸着材が吸脱着することにより、前記空間内部の圧力が任意に変化することを特徴とするガラスパネルである。
【0017】
高断熱が必要なときは空間内部に存在する気体を吸着することにより気体による熱伝導をなくし、断熱性能を向上させる。一方、高断熱が望ましくない場合は、吸着した気体をガラスパネル内部の空間に放出し気体による熱伝導を与えることにより、断熱性能を低下させる。このように、そのときの環境に適するよう断熱性能を変化させることのできるガラスパネルを得ることができる。
【0018】
また、このとき吸着材が温度制御により気体の吸脱着を行う、すなわち常温付近では気体を吸着し、加温により気体を放出し、また常温付近まで冷却することにより気体を吸着するという繰り返しにより、応答性の優れた可変断熱性を有することができる。
【0019】
また、吸着材として、少なくとも、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを用いることにより、例えば常温では窒素を吸着し、加熱により窒素を脱離することができるため、上記圧力の変化、すなわち断熱性能を変化させることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のガラスパネルは、ガラスパネル内で高温加熱の必要なしに窒素等活性の低い気体を吸着可能である吸着材を適用することにより、生産性、断熱性能に優れたガラスパネルを提供することができる。
【0021】
さらに、例えば住宅にて、高度の断熱が必要なとき、例えば冬の暖房時はガラスパネルの内部を真空として断熱性能を向上させる一方、断熱が必要でないとき、例えば外気温と近い気温にしたい時などはガラスパネルの内部の圧力を増大させて断熱性能を悪化させる等、季節や必要に応じて断熱性能を変化させることのできるガラスパネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の請求項1に記載のガラスパネルの発明は、スペーサを介して間隔をおいて配設された一対の板カラスと、前記一対の板カラスの周縁部を接合する接合部材と、前記一対の板ガラスと前記接合部材とに囲まれた空間に配設され少なくとも常温減圧下で窒素もしくは酸素を吸着する吸着材とを備えたことを特徴とする。
【0023】
吸着材は、一対の板ガラスと接合部材とで囲まれた空間、もしくは前記空間と連通した部位に、そのまま配設してもよいし、容器や袋材等に封入して配設してもよい。
【0024】
このとき、所定圧に真空排気後、吸着材、もしくは吸着材を封入した容器を前記空間と通じるようにすることが望ましい。例えば所定圧に達したあと、外部からの物理的刺激により、吸着材を密閉した容器に通気孔を設け前記空間と通じさせること、また、吸着材を、Ar等不活性物質もしくは真空下で容器・袋に充填し、前記容器・袋を前記空間内部に配設して減圧し、減圧により圧力差で開口部を形成させる等の方法があるが、特に指定するものではない。
【0025】
また、本発明において吸着とは、表面への吸着の他に内部への吸収、あるいは収着、あるいは吸蔵も含むものとする。
【0026】
また、前記所定圧とは、ガラスパネルが性能を発揮する圧力、すなわち10Pa、もしくは1Pa以下でもよく、また、それより高い圧力にてガラスパネルと容器が通じるようにしてもよい。
【0027】
また、本容器あるいは吸着材は、外観上見えないところに配設したり、あるいはスペーサとして用いたりすることも可能である。
【0028】
また、板ガラス、接合部材、スペーサは特に指定するものではなく、公知のものを使用することができる。
【0029】
さらに、空間内部を光を透過可能な芯材、例えばエアロゲル等で充填してもよい。
【0030】
本発明の請求項2に記載のガラスパネルの発明は、スペーサを介して間隔をおいて配設された一対の板ガラスと、前記一対の板ガラスの周縁部を接合する接合部材とからなり、前記一対の板ガラスと前記接合部材とに囲まれた空間内部の圧力が任意に変化することを特徴とする。
【0031】
内部に封入する気体としては、空気、窒素、水分、二酸化炭素等、特に指定するものではない。
【0032】
例えば空気の場合、一対の板ガラスの間の距離を約0.5mmとすると、内部の圧力を10Paもしくは1Paとすることにより空気の熱伝導をほぼなくすことができる。また、内部の圧力を10000Paもしくは1000Paとすることにより空気の熱伝導をほぼ常圧と同じ熱伝導とすることができる。
【0033】
これにより、内部の圧力に応じて、ガラスパネルの熱伝導を可変とすることができる。
【0034】
本発明の請求項3に記載のガラスパネルの発明は、請求項2に記載の発明において、空間内部に存在する気体の少なくとも一部を吸着材が吸脱着することにより、前記空間内部の圧力が任意に変化することを特徴とする。
【0035】
吸着材は、内部に存在する気体を吸脱着することが可能なものであれば、特に指定するものではない。
【0036】
本発明の請求項4に記載のガラスパネルの発明は、請求項3に記載の発明における前記吸着材が、温度制御により気体の吸脱着を行うことを特徴とする。
【0037】
温度制御により気体の吸脱着を行うとは、気体の吸着温度が望ましくは50℃以下、好ましくは常温付近であり、気体の脱離温度が望ましくは200℃以下、さらに望ましくは150℃以下、さらに望ましくは100℃以下でおこなうことが好ましい。
【0038】
本発明の請求項5に記載のガラスパネルの発明は、請求項1または請求項3または請求項4に記載の発明における前記吸着材が、少なくとも、メカニカルミリングにより混合された、Liと硬度5以上の固体物質を含むことを特徴とする。
【0039】
硬度が5以上である固体物質としては、Si、B、c−C(ダイヤモンド)、SiO、SiC、c−BN(立方晶窒化ホウ素)、Al、MgO、TiO等があげられる。
【0040】
また、その他の成分を添加することも可能である。
【0041】
メカニカルミリングによる混合とは、機械的に混合することを指し、特に指定するものではない。また、高活性な気体吸着性物質を作製するため、不活性気体中、例えばAr、He等の雰囲気中、あるいは真空下でメカニカルミリングを行うことが好ましい。
【0042】
また、メカニカルミリングを行う際、別にCを添加したり、冷却下で行ったり、アルコール等を少量滴下したりして、容器への付着を防いだりしても構わない。
【0043】
メカニカルミリングにより混合された、Liと硬度5以上の固体物質を含む吸着材を用いることにより、例えば約940kJ/molという大きい結合エネルギーを有する非極性分子である窒素分子を吸着可能とし、また酸素分子も吸着可能とすることから、経時的に侵入するガス、あるいは製造時の残存ガスや材料からの発生ガス等を吸着することができ、耐久性にも生産性にも優れたガラスパネルを得ることができる。
【0044】
また、吸着材は少なくとも窒素もしくは酸素を吸着可能とするものであるが、窒素もしくは酸素以外にさらに吸着する気体については、指定するものではない。特に窒素、酸素を吸着することにより、経時的に侵入してくる気体、もしくは生産時に残留しているガスを吸着できるので効果的である。
【0045】
また、少なくとも常温減圧下で吸着可能であればよく、常温あるいはLiの融点以下の雰囲気にて、常圧、加圧下での吸着も当然ながら可能である。
【0046】
また、吸着材の使用形態としては、粉体、圧縮成型、ペレット化、シート状、薄膜状、あるいは別容器への収容、他物質への蒸着といった使用方法をあげられるが、特に指定するものではない。
【0047】
また、上記吸着材の他に汎用的な吸着材を併用することも可能である。
【0048】
他の吸着材とは、水分や酸素等を吸着可能であるもの、例えば酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ゼオライト、シリカゲル、不飽和脂肪酸、鉄や鉄化合物等があげられるが、特に指定するものではない。また、複数使用することも可能である。
【0049】
本発明の請求項6に記載のガラスパネルの発明は、請求項1または請求項3または請求項4に記載の発明における前記吸着材が、少なくとも、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを含むことを特徴とする。
【0050】
これにより化学的に安定な窒素を化学吸着可能であり、減圧下でも窒素あるいは酸素を吸着することができる。
【0051】
また、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトの銅サイトのうち、少なくとも60%以上の銅サイトが、銅1価サイトであることが好ましい。これにより、気体吸着量をさらに増大することが可能となる。
【0052】
さらに、銅1価サイトのうち、酸素三配位の銅1価サイトが、気体分子とより強い相互作用を生じ、気体を化学吸着可能であることが明らかとなっている。よって、銅1価サイトのうち、少なくとも70%以上を酸素三配位の銅1価サイトとすることが好ましい。これにより、気体の吸着容量が増大すると共に、より強固に気体を吸着する化学吸着容量を増大させることが可能となる。
【0053】
また、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトは加温により窒素等を脱離することができ、その後冷却することにより再度吸着する。従って、加温により圧力を増大させ断熱性能を悪化させ、冷却により圧力を低減し断熱性能を向上することを容易に行うことが可能となる。
【0054】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0055】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるガラスパネルの一例を示す断面図である。
【0056】
図1に示すように、ガラスパネル1は、Low−E膜付板ガラス2と、板ガラス2のLow−E膜側に約0.2mmの間隔をあけて配設された板ガラス3と、板ガラス2の周縁部と板ガラス3の周縁部の間に配置され板ガラス2,3の周縁部を接合する高分子材料からなる接合部材4と、接合部材4の内周側で板ガラス2と板ガラス3の間に配置され板ガラス2と板ガラス3の間隔を保つスペーサ5と、板ガラス2,3と接合部材4とで囲まれ減圧された空間6と、接合部材4の内周側で板ガラス2に設けられた排気孔7と、排気孔7内に配設された吸着材8と、排気孔7を外側から覆う蓋材9とを有する。
【0057】
吸着材8は、1molのLiと2molのMgOとを、ステンレス製容器・ボールによる振動ボールミルを用いてメカニカルアロイングを行い混合した材料(Li−MgO)を用いた。
【0058】
また、吸着材8の吸着量を測定するため、吸着材8(Li−MgO)の窒素吸着量評価を行った。
【0059】
低圧側から順に窒素吸着量を評価することにより、約10Paで0.5cm/gSTP、約100Paで6.1cm/gSTP、約1000Paで12.3cm/gSTP吸着することを確認した。
【0060】
ガラスパネル1作製時、真空ポンプと排気孔7を介してつながれた空間6内に、容器に封入された吸着材8が配置されている。排気孔7を介して空間6を減圧とした後、吸着材8を封入した容器を空間6と通じさせ、その後、空間6と真空ポンプとの通気孔部(排気孔7)の外側を蓋材9で覆って密閉化した。
【0061】
その後、ガラスパネル1を所定時間放置しておくことにより、所定の性能を得た。
【0062】
吸着材8を用いないガラスパネルと比較して、所定の性能を得るための真空ポンプによる真空排気時間は減少した。また、吸着材8を用いないガラスパネルと比較して、ガラスパネル内での吸着材高温処理なしに、所定の圧力を長期間維持できた。
【0063】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2におけるガラスパネルの一例を示す断面図である。
【0064】
図2に示すように、ガラスパネル1は、Low−E膜付板ガラス2と、板ガラス2のLow−E膜側に約0.2mmの間隔をあけて配設された板ガラス3と、板ガラス2の周縁部と板ガラス3の周縁部の間に配置され板ガラス2,3の周縁部を接合する低融点ガラスからなる接合部材4と、接合部材4の内周側で板ガラス2と板ガラス3の間に配置され板ガラス2と板ガラス3の間隔を保つスペーサ5と、板ガラス2,3と接合部材4とで囲まれ減圧された空間6と、接合部材4の内周側で板ガラス2に設けられた排気孔7と、板ガラス3における空間6に面する部分に形成された凹部内に配設された吸着材8と、排気孔7を外側から覆う蓋材9と、板ガラス3における空間6とは反対側の面に吸着材8に近づけて取り付けたヒータ10とを有する。
【0065】
吸着材8は、含まれる銅サイトのうち、少なくとも60%以上が銅1価サイトから成っている銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトから成っている。なお、この銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトの窒素吸着量は、10Paで標準状態にて6.6cc/g、13200Paで11.3cc/gの窒素ガス吸着能力を有している。また酸素も同様に10Paで2.8cc/gの吸着能力を有している。
【0066】
また、容器に封入した吸着材8を密閉空間に配設し、この密閉空間内に約1500Paとなるよう窒素を導入した後、吸着材8を封入している容器を開通させた。これにより、密閉空間内が1Paとなることを確認した。その度、本吸着材8を80〜150℃に加温すると、吸着した窒素を脱離し約1500Paとなり、さらに常温に冷却すると1Paとなることを確認した。このように、温度制御により密閉空間内の圧力を制御可能となることを確認した。
【0067】
このような吸着材8を減圧容器に封入し、空間6に配設した。空間6を減圧とし、約1500Paとなった時点で排気孔7を外側から覆うように蓋材9を封着し密閉化した。その後、吸着材8を封入した容器と空間6とを通じさせると、ガラスパネル1内は1Paとなり、約1500Paのときと比較してガラスパネル1の断熱性能が向上したことを確認した。
【0068】
吸着材8を用いないガラスパネル1と比較して、所定の性能を得るための真空ポンプによる真空排気時間は減少した。また、吸着材8を用いないガラスパネルと比較して、ガラスパネル内での吸着材高温処理なしに所定の圧力を長期間維持できた。
【0069】
さらに、ガラスパネル1に取り付けたヒータ10により吸着材8部を約80℃に加温することにより、吸着材8が吸着していた空気を放出し、約1500Paとなり断熱性能が悪化することを確認した。
【0070】
また、ヒータ10をOFFにすると再度吸着材8が空気成分を吸着し、空間6内部の圧力が低減しガラスパネル1の断熱性能が向上することを確認した。
【0071】
このように、温度制御で吸着材8の吸脱着を繰り返すことができ、容易に密閉空間6内部の圧力を変えるとすることができる。これにより断熱性能を可変とすることができ、環境や状況に応じて断熱性能を変えることができるガラスパネル1を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のように、本発明は、断熱を必要とするガラスパネル、もしくは断熱性能を変化させることを必要とするガラスパネルを得ることができ、例えば住宅等の建築物、冷蔵庫、ショーケース等の保温保冷機器、自動車、鉄道車両等の車体・機体他に使用可能なガラスパネル等様々な分野で用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態1におけるガラスパネルの一例を示す断面図
【図2】本発明の実施の形態2におけるガラスパネルの一例を示す断面図
【符号の説明】
【0074】
1 ガラスパネル
2 板ガラス
3 板ガラス
4 接合部材
5 スペーサ
6 空間
8 吸着材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペーサを介して間隔をおいて配設された一対の板カラスと、前記一対の板カラスの周縁部を接合する接合部材と、前記一対の板ガラスと前記接合部材とに囲まれた空間に配設され少なくとも常温減圧下で窒素もしくは酸素を吸着する吸着材とを備えたことを特徴とするガラスパネル。
【請求項2】
スペーサを介して間隔をおいて配設された一対の板ガラスと、前記一対の板ガラスの周縁部を接合する接合部材とからなり、前記一対の板ガラスと前記接合部材とに囲まれた空間内部の圧力が任意に変化することを特徴とするガラスパネル。
【請求項3】
空間内部に存在する気体の少なくとも一部を吸着材が吸脱着することにより、前記空間内部の圧力が任意に変化することを特徴とする請求項2に記載のガラスパネル。
【請求項4】
前記吸着材が、温度制御により気体の吸脱着を行うことを特徴とする請求項3に記載のガラスパネル。
【請求項5】
前記吸着材が、少なくとも、メカニカルミリングにより混合された、Liと硬度5以上の固体物質を含むことを特徴とする請求項1または請求項3または請求項4に記載のガラスパネル。
【請求項6】
前記吸着材が、少なくとも、銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトを含むことを特徴とする請求項1または請求項3または請求項4に記載のガラスパネル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−63158(P2008−63158A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239849(P2006−239849)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】