説明

ガラスワイパ装置

本発明は、車体(12)とねじ締結された、特に自動車用のガラスワイパ装置(10)に関する。公知のガラスワイパ装置は、歩行者の衝突をよけないので、歩行者にとっては怪我の危険性が高い。歩行者の怪我の危険を低下させるためには、ねじ(11)を受容するために車体(12)に設けられた受容開口(30)が、該受容開口(30)の縁部にスリット(31)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体にねじ締結された、特に自動車用のガラスワイパ装置に関する。
【0002】
従来技術から公知のガラスワイパ装置は、歩行者の衝突をよけないので、歩行者にとっては怪我の危険性が高くなる。特に、突出したワイパ軸受けは、歩行者にとって高い怪我のリスクをはらんでいる。このようなガラスワイパ装置では、歩行者の衝突保護に対する高い要求を最早満たすことはできない。
【0003】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式のガラスワイパ装置を改良して、今後歩行者がガラスワイパ装置に衝突した際の怪我のリスクを低下させることである。
【0004】
この課題は冒頭で述べた形式の本発明に基づくガラスワイパ装置において、ねじを受容するために車体に設けられた複数の受容開口が、これらの受容開口の縁部にスリットを有していることにより解決される。歩行者が当該ガラスワイパ装置に衝突すると、ねじがスリットに沿って受容開口から押し出される。これにより、ガラスワイパ装置全体が歩行者の衝突を避けられ、これにより、歩行者の怪我のリスクが低下する。
【0005】
ガラスワイパ装置を、できるだけ小さな衝撃力において既に最適に受容開口から押し出せるようにするためには、スリットがワイパ軸に対して平行に延びていてよい。この場合、スリットは衝撃力の作用方向に対して平行に延びている。
【0006】
有利には、車両が路面穴を通過した場合でも、スリットはガラスワイパ装置を確実に車体に結合するように構成されているのが望ましい。但し他方では、スリットは歩行者がガラスワイパ装置に衝突した場合に、ねじが迅速且つ確実に受容開口から押し出されるということを保証することが望ましい。従って、スリットの幅は最大でねじの直径と同一であってよい。
【0007】
同じ理由から、スリットが受容開口への移行域に狭幅部を有していると有利である。その結果、ねじは歩行者の衝突時に、まず最初に狭幅部を通過しなければ、受容開口から離脱することはできない。つまり、最大でねじの直径と同じ幅であってよい狭幅部は、走行中の振動に際しても、ねじが確実に受容開口に残留するということを保証する。
【0008】
有利な構成では、スリットはV字形に形成されていてよい。この構成では、狭幅部の後ろのスリット縁部の間隔は常に増大しているので、ねじは狭幅部を離脱した後に最早摩擦力を克服する必要はなく、延いてはガラスワイパ装置が迅速に歩行者の衝突をよけることができる。
【0009】
ねじは、ゴムエレメントを貫通して差し込まれていてよいので、このゴムエレメントは受容開口に当接している。これにより、当該ゴムエレメントはノイズ緩和に役立っている。
【0010】
ねじを受容開口から押し出すリリース力は、規定された値に個別に調節可能である。個別のリリース力は、例えばねじの締付けトルクによって規定され得る。更に、車体板の厚さも、摩擦力に基づきリリース力に影響を及ぼすことができる。但し、受容開口が、その狭幅部のジオメトリに基づいて特定のリリース力規定することも可能である。
【0011】
車体におけるガラスワイパ装置の組込みを容易にするためには、ゴムエレメントにナットが固定されていてよい。このナットはゴムエレメントに、例えば加硫、接着又はナットの外装射出成形等によって固定され得る。
【0012】
有利には、ガラスワイパ装置にもやはり、ねじを受容するための受容開口が設けられていてよい。
【0013】
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0014】
図1及び図2には、ねじ11により車体12に固定されたガラスワイパ装置10が示されている。ねじ11は、ゴムエレメント13(図4も参照)を貫通して差し込まれている。車体12には複数の受容開口30が設けられており(図3a及び図3b参照)、これらの受容開口30内に、ねじ11がゴムエレメント13と一緒に配置されている。
【0015】
ゴムエレメント13にはナット14が固定されており、このナット14にねじ11がねじ込まれる(図1及び図2)。
【0016】
受容開口30の下位にはスリット31が設けられており、歩行者がガラスワイパ装置10に衝突した場合は、これらのスリット31に沿って、ねじ11がゴムエレメント13と一緒に受容開口30から押し出される。
【0017】
つまり、歩行者が当該ガラスワイパ装置に衝突すると、ねじ11及びゴムエレメント13はスリット31に沿って衝突を下方に避ける。これにより、ガラスワイパ装置10全体が下方に降下する(図3a及び図3b参照)ので、歩行者の怪我の危険が著しく低下される。
【0018】
受容開口30は、スリット31への移行部に狭幅部32を有している(図3b参照)。これらの狭幅部32は、走行中の振動時にねじ11及びゴムエレメント13を受容開口30内で確実に保持することを保証する。
【0019】
狭幅部32の下位でスリットの幅は増大しているので、ねじ11、ゴムエレメント13及びこれらを介して結合されたガラスワイパ装置10は、歩行者の衝突時に迅速に下方に向かって運動可能である。
【0020】
スリット31は、ワイパ軸15(図1参照)に対して平行に延びている。これにより、歩行者がガラスワイパ装置10にぶつかった場合に、ねじ11及びゴムエレメント13が受容開口30から最適に押し出される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ガラスワイパ装置の正面図である。
【図2】ガラスワイパ装置の側面図である。
【図3a】歩行者衝突時のガラスワイパ装置の運動経過を示した図である。
【図3b】歩行者衝突時のガラスワイパ装置の運動経過を示した図である。
【図4】受容開口の詳細図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(12)にねじ締結された、特に自動車用のガラスワイパ装置(10)において、ねじ(11)を受容するために車体(12)に設けられた受容開口(30)が、該受容開口(30)の縁部にスリット(31)を有していることを特徴とする、ガラスワイパ装置。
【請求項2】
スリット(31)がワイパ軸(15)に対して平行に延びている、請求項1記載のガラスワイパ装置。
【請求項3】
スリット(31)の幅が、最大でねじ(11)の直径と同じである、請求項1又は2記載のガラスワイパ装置。
【請求項4】
スリット(31)が、受容開口(30)への移行域に狭幅部(32)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載のガラスワイパ装置。
【請求項5】
スリット(31)がV字形に形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のガラスワイパ装置。
【請求項6】
ねじ(11)がゴムエレメント(13)を貫通して差し込まれている、請求項1から5までのいずれか1項記載のガラスワイパ装置。
【請求項7】
ねじ(11)を受容開口(30)から押し出すことのできるリリース力が、規定された値に個別に調節可能である、請求項1から6までのいずれか1項記載のガラスワイパ装置。
【請求項8】
ゴムエレメント(13)にナット(14)が固定されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のガラスワイパ装置。
【請求項9】
ガラスワイパ装置(10)にもやはり、ねじ(11)を受容するための受容開口が設けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載のガラスワイパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−505881(P2009−505881A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527422(P2008−527422)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【国際出願番号】PCT/EP2006/064826
【国際公開番号】WO2007/023063
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】