説明

ガラス板構造体

【課題】テレビジョンの画像の表示性に優れ、しかも全体がミラー効果を有するガラス板構造体であって、ショーウィンドウや室内インテリア材料として有効に利用されるガラス板構造体を提供すること。
【解決手段】薄型テレビジョンの表示面に、その表示面よりも面積が大きいガラス板が設置され、そのガラス板は、そのテレビジョンの表示面側の面に全体に亘って光透過性の金属薄膜が形成され、またガラス板のその金属薄膜面上であってテレビジョンの表示面の枠外にはさらに黒色塗膜が形成されていることを特徴とする、テレビジョンの表示面の表示性に優れかつミラー効果に優れたガラス板構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型テレビジョンの表示面に、その表示面より面積が大きいガラス板が設置された構造体に関する。さらに詳しくはテレビジョンが表示されている時にはガラス板上にテレビジョンが表示され、テレビジョンが表示されていない時にはガラス板はミラー効果に優れたガラス板構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板は、透明性、耐久性および強度に優れ、建物や家居の窓や間仕切り材料として古くから使用されている。一方ガラス板の表面に種々の加工を施し、色々な機能を付与した特殊ガラスが開発され、実用化されている。その1つは、ガラス板の表面に金属薄膜を真空蒸着法やスパッタリング法などにより形成させたガラス板がある。
【0003】
この金属薄膜加工したガラス板は、金属の種類や膜厚にもよるが、太陽光(自然光)の遮蔽性能に優れ、省エネ効果、紫外線カットの効果を有するので、最近広く利用されている。一方この金属薄膜加工したガラス板の中で、比較的光透過率が低く、可視光の反射率が高いガラス板は、装飾カラス窓や室内インテリア材料として注目されている。例えば、前記金属薄膜加工したガラス板は、窓ガラス、室内パーティション、展示パネルなどの材料として使用すると、自然光の遮蔽効果のみならず、ガラス板がハーフミラー効果として機能する。
【0004】
このハーフミラー効果は、このガラス板を介して観察した場合、内外の明るさに応じて光の遮蔽効果および反射効果が変化する。例えば、前記ガラス板の窓を介して、室外から室内を見れば、昼間はミラー効果の働きにより、室内の様子や状態は、鮮明に観察され難いが、逆に室外より室内が明るくなると、室外から室内の様子が比較的良く見ることができる。
【0005】
前記ハーフミラー効果を有するガラス板は、テレビジョン(以下単に“TV”)と略称することがある)の画像表示面の前に設置すると、TV画像が表示されている場合、TV画像は、通常のように見ることができるが、TVの電源を切った場合には、当然のことながらTV画像は見ることができないが、TV自体の存在が殆ど分からなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したハーフミラー効果を有するガラス板の後にTVを設置した構造体は、ショーウィンドウとして、例えば、販売店の宣伝、広告、案内、展示などに利用され、また室内の間仕切り材料として、展示パネルとTV画像を同時に表示される室内インテリアとして使用されている。
前記ハーフミラー機能を有するガラス板は、適当なミラー効果及び光透過性を有する。しかしTV画像が表示されている場合は、TV画像に注目が集中するが、TVの電源が切られるとTV本体の存在が顕在化し、TV本体以外の部分の様子が比較的良く見えるようになる。このようにTVの電源が切られた場合でも前記ガラス板を介してTV本体以外の様子が明瞭に見られない程度の強いミラー効果が所望される場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者は、TVの画像が表示されている場合は、TVの画像がガラス板を介して鮮明に観察でき、TVの電源が切られている場合はガラス板を介してTV本体の存在が殆ど認知されず、その上ガラス板の表裏において明るさの差があまりない場合、一方の様子が他方から明瞭に観察することができないか或いは殆ど判別できない構造体の開発について研究を進めた。
その結果、ハーフミラー機能を有するガラス板をTVの画像表示面に設置し、そのTVの画像表示面以外のガラス板の領域に黒色塗料を塗布して塗膜を形成させた構造物は、その構造物を例えばウインド・ガラスとして使用するか或いはウインドの内側に設置すると、ミラー効果が一層高まり、一方より他方が明るくなった場合でも、他方の様子を殆ど観察されないばかりでなく、TVの画像が表示されている時には、TVの画像の存在がより鮮明に映し出され、またTVの電源が切られた場合には、TV本体の存在が殆ど認知されない効果となり、ガラス板が全体として優れたミラー効果を奏し得ることが判った。
【0008】
本発明は、前記知見に基づいて完成されたものであり、本発明によれば、薄型テレビジョンの表示面に、その表示面よりも面積が大きいガラス板が設置され、そのガラス板は、そのテレビジョンの表示面側の面全体を亘って光透過性の金属薄膜が形成され、またガラス板のその金属薄膜上であってテレビジョンの表示面の枠外にはさらに黒色塗膜が形成されていることを特徴とする、テレビジョンの表示面の表示性に優れかつミラー効果に優れたガラス板構造体が提供される。
さらに、本発明のガラス板構造体においては、下記(1)〜(5)の態様であることが好ましい。
(1)該金属薄膜は真空蒸着法またはスパッタリング法によりガラス板表面に形成され
た金属薄膜であること。
(2)該金属薄膜は、アルミニウム金属薄膜であること。
(3)該金属薄膜が形成されたガラス板は、可視光の透過率(波長550nm)が18
〜30%であること。
(4)該金属薄膜が形成されたガラス板は可視光の反射率が20〜30%であること。
(5)該黒色塗膜は黒色顔料を含有する2液型エポキシ樹脂塗料を塗布して形成された
塗膜であること。
【発明の効果】
【0009】
本発明のガラス板構造体は、ミラー効果が強く、またTVの画像の表示性に優れたものである。またTVの電源が切られている場合、全体がミラー効果として機能するばかりでなく、全体が黒色素のミラー効果が強調されているものである。またTVの画像の表示面がその周囲の黒色素のミラー面から強いコントラストで鮮明に浮き出されたものとなり、装飾性やデザイン性にも優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のガラス板構造体の正面図を示す。
【図2】図1のガラス板構造体のX―X’方向の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明のガラス板構造体を図面により具体的に説明する。図1は、本発明のガラス板構造体1の正面図を示す。図1において、ガラス板の中にTV画像の表示面3が点線の枠内で示されている。図1のガラス板2は、横方向が縦方向よりも長い矩形をしているが、逆に縦方向が横方向よりも長い矩形であってもより。また正四角形であってもよい。図1では、TV画像の表示面3は1個であるが、複数個であっても差支えない。
【0012】
図1のガラス板2の中にあるTV画像の表示面3の裏側(図1の反対面)には、TVがその表示面をガラス板に向けて設置されている。ガラス板2はその裏面(TV側面)の表面には全体に亘って光透過性の金属薄膜が形成されている。この金属薄膜の形成によって、ハーフミラー効果が得られる。さらに、ガラス板2のTV画像の表示面3の枠外(つまり点線で囲まれる領域よりも外の部分)は、金属薄膜の表面に黒色塗膜が形成されている。言い換えるとTV画像の表示面3の枠内領域(点線の中)は、ガラス板2の表面には金属薄膜のみが形成され、TV画像の表示面3の枠外には、ガラス板の表面には、金属薄膜と黒色塗膜が形成されている。TV画像の表示面3の外枠の近辺には、センサー窓7を有することができる。
【0013】
図2は、図1のガラス板構造体1の平面図において、X―X’方向の断面図を示す。図2のガラス板2のTV本体4側の面には、全体に亘って金属薄膜5が形成されている。また、図2のガラス板2には、TV本体4が設置されている。また、図2に示されているように、TV画像の表示面の枠外のガラス板2の表面には、金属薄膜5の表面に黒色塗膜6が形成されている。
図2において、TV本体4はその画像の表示面が図1における点線の枠内に位置するようにガラス板2に設置すればよく、その設置手段に特に制限されない。ガラス板2とTV画像の表示面とは、好ましくは5〜10mmの範囲の間隔を有しているのが望ましい。
【0014】
TV本体4は、TV画像の表示面の周囲に額縁を介してガラス板2に接合した状態で固定化されていてもよく、TV本体4はガラス板2と独立して設置していてもよい。TV本体4がガラス板2と独立して設置している場合、TV本体4は天井から吊られていてもよく、また、床面に据付台を置いて、その上に設置してもよい。ガラス板2は、単板のフロートガラスが一般的に使用され、厚さは、5〜10mm、好ましくは6〜8mmのものが適当である。ガラス板2の周囲は、例えばサッシ枠を設置することもできる。
【0015】
ガラス板2の片面に形成される金属薄膜5は、通常真空蒸着法或いはスパッタリング法によって形成されたものである。この金属薄膜5は、ガラス板2に形成されると通常ハーフミラー効果を有するものが適当である。この金属薄膜5の種類は、薄膜の形成の容易性、価格、耐久性、色再現性、透過性、反射率の点でアルミニウム薄膜であることが好ましい。
【0016】
金属薄膜5は、ガラス板2に形成される場合、その可視光の透過率(550nm波長)が18〜30%の範囲であるのが好ましく、また可視光の反射率が20〜30%の範囲であることが望ましい。
【0017】
金属薄膜5が形成された表面には黒色塗膜6が形成されるが、前述したように、この黒色塗膜6は、TV画像の表示面3には形成されるべきではない。黒色塗膜6はTV画像の表示面の枠外の領域に形成される。
【0018】
黒色塗膜6は、黒色顔料(例えばカーボンブラック)を含有する塗液をスプレー法やカレンダー印刷法によって、金属薄膜上に塗布し乾燥すればよい。特に好ましい塗膜は黒色顔料を含有する2液型エポキシ樹脂をスプレー法により塗布し、乾燥・焼付けて形成されたものである。この2液型エポキシ樹膜による塗膜は、耐熱性および耐久性に優れている。黒色塗膜は、10〜50μm、好ましくは15〜40μmの厚みを有しているものが有利である。
【0019】
黒色塗膜6の形成により、ガラス板2の表面から見た場合、ミラー効果が高まり、TV画像の存在が一層強調される。またTVの電源がきられた場合には、TV本体の存在が殆ど確認できず、全体がミラー効果を有することになる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明のガラス板構造体は、黒色素のミラー効果がTV画像の周囲に強調されたものであり、TV画像の表示性に優れた効果を有する。またTVの電源が切られた場合でも全体がミラー効果を有し、TV本体の存在を殆ど感じさせないものである。そのため、展示性、デザイン性、装飾性に優れたガラス板であって、ショーウィンドウや室内インテリアなどの材料として有効に利用しうる。
【符号の説明】
【0021】
1; ガラス板構造体
2; ガラス板
3; テレビジョン画像の表示面
4; テレビジョン本体
5; 金属薄膜
6; 黒色塗膜
7; センサー窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄型テレビジョンの表示面に、その表示面よりも面積が大きいガラス板が設置され、そのガラス板は、そのテレビジョンの表示面側の面に全体に亘って光透過性の金属薄膜が形成され、またガラス板のその金属薄膜面上であってテレビジョンの表示面の枠外にはさらに黒色塗膜が形成されていることを特徴とする、テレビジョンの表示面の表示性に優れかつミラー効果に優れたガラス板構造体。
【請求項2】
該金属薄膜は、真空蒸着法またはスパッタリング法によりガラス板面に形成された金属薄膜である請求項1記載のガラス板構造体。
【請求項3】
該金属薄膜は、アルミニウム金属薄膜である請求項1記載のガラス板構造体。
【請求項4】
該金属薄膜が形成されたガラス板は、可視光の透過率(波長550nm)が18〜30%である請求項1記載のガラス板構造体。
【請求項5】
該金属薄膜が形成されたガラス板は、可視光の反射率が20〜30%である請求項1記載のガラス板構造体。
【請求項6】
該黒色塗膜は、黒色顔料を含有する2液型エポキシ樹脂塗料を塗布して形成された塗膜である請求項1記載のガラス板構造体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−42501(P2012−42501A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180870(P2010−180870)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(508113745)エイブル株式会社 (1)
【Fターム(参考)】