説明

ガリウム含有窒化物バルク単結晶を得るためのプロセス、得られた結晶から不純物を排除するためのプロセス、及びガリウム含有窒化物バルク単結晶からなる基板を製造するためのプロセス

本発明は、ガリウム含有窒化物バルク単結晶を得るためのプロセス、得られた結晶から不純物を排除するプロセス、及びガリウム含有窒化物バルク単結晶からなる基板を製造するプロセスを提供することを目的とする。本発明は、ミネラライザが添加された超臨界アンモニア含有溶媒中において、ガリウム含有フィードストックから単結晶ガリウム含有窒化物を得るプロセスであって、上記プロセスは、
金属の形態からガリウム含有窒化物多結晶までフィードストックを変換する第1ステップと、
フィードストックが徐々に溶解され、そしてフィードストックの溶解温度より高い温度で少なくとも1つの単結晶シード上においてガリウム含有窒化物が選択的に結晶化されることにより、ガリウム含有窒化物が結晶化されその後ガリウム含有窒化物バルク単結晶が得られる第2ステップと、を有することを特徴とするプロセスにある。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明の目的は、ミネラライザが添加された超臨界アンモニア含有溶媒から結晶化させることにより、ガリウム含有フィードストックからガリウム含有窒化物バルク単結晶を得るプロセスにある。本発明に係るプロセスにより得られる製品に含まれる不純物を少なくとも部分的に排除し、そして当該製品を、たとえばオプトエレクトロニクスデバイスを製造するためのエピタキシャル基板として使用する。本発明は、ガリウム含有窒化物バルク単結晶中における不純物を排除するか、及び/又はそれらの不純物のレベルを下げる方法を提供することを目的とする。
【0002】
AlN、GaNのような、XIII族元素の窒化物に基づくオプトエレクトロニクスデバイスは、通常積層される窒化物層と異なるサファイヤ若しくは窒化ケイ素基板上で成長される(いわゆるエピタキシャル成長)。最もよく使用される有機金属気相成長法(MOCVD)において、気相のアンモニア、及び金属有機化合物からGaNを成長させるが、得られる成長速度では、バルク状の層を提供することができない。また、バッファー層を積層することにより、欠陥密度を約10/cm以下に減少させることができる。さらに、バルク単結晶ガリウム窒化物を得るための他の方法が提案されている(「GaNフィルムの光学パターン」 M.K.Kelly, O.Ambacher, Appl. Phys. Lett. 69(12)(1996) 及び「薄膜状のInGaN発光ダイオード膜の製造」WSWrong, T.Sands, Appl. Phys. Lett. 75(10)(1999))。他の方法には、気相のハライドを使用するエピタキシャル成長(ハライド気相エピタキシャル成長法−HVPE)が含まれる。この方法により、直径2インチのGaN基板を作製することができる。しかしながら、それらの品質は、レーザダイオードとしては十分ではない。なぜならば、それらの欠陥密度は、約10〜10/cmまで及ぶからである。近年、欠陥密度を減少させるため、横方向エピタキシャル成長法(ELOG)が用いられるようになってきた。この方法において、最初GaN層をサファイヤ基板上に成長させ、その後SiO層を、ストリップ状若しくはグリッド状にそのGaN層上に成長させる。このようにして作製された基板上において、GaNを横方向に成長させることができる。この横成長により、欠陥密度を10/cmまで減少させることができる。窒化ガリウム、及びXIII族(IUPAC、1989)の他の金属の窒化物のバルク単結晶を成長させることは極端に困難である。窒化物が金属と窒素に分解されるため、塩から結晶化させる標準的な方法、及び昇華方法は用いることができない。
【0003】
HNP法(「III-V窒化物の高圧結晶成長の見通し」S.Porowski et al., Inst. Phys. Conf. Series, 137, 369 (1998))において、この分解は、高圧下において窒素を使用することにより抑制される。結晶の成長は、その溶融ガリウム中において、即ち液相中において実行される。これにより、およそ10mmのサイズのGaNテンプレートが作製される。ガリウムに窒素を十分溶解させるためには、約1500℃の温度、1500MPaの圧力を必要とする。
【0004】
他の既知の方法において、成長プロセスの間、温度を低下させ、圧力を減少させるために、超臨界のアンモニアが提案されている。特に、ガリウムとアンモニアとを混合したものがI族元素アジド(KNH若しくはLiNH)を含むならば、これらのガリウムとアンモニアとの混合物から、結晶性ガリウム含有窒化物を得ることが可能となる。このプロセスは、550℃以下の温度で、500MPaの圧力下で実行され、それにより約5μmのサイズの結晶が作製される(「BN、AlN、及びGaN、さらにそれらの混合物のアンモノ法及び結晶成長」R.Dwilinski et al., Proc. EGW-3, Warsaw, June 22-24, 1998, MRS Internet Journal of Nitride Semiconductor Research, http://nsr.mij.mrs.org/3/25)。
【0005】
超臨界アンモニアを使用することにより、良好に結晶化されたGaNを含むフィードストックからガリウム含有窒化物を結晶化することができる(「超臨界アンモニア中におけるガリウム含有窒化物の結晶成長」J.W.Kolis et al., J.Cryst. Growth 222, 431-434 (2001))。少量のハライド(KI)が添加された超臨界アンモニア中にアミド(KNH)を投入することにより結晶化が可能となった。400℃において340MPaの圧力下で実行されるプロセスにより、約0.5mmのサイズのGaN結晶を得ることができる。しかしながら、化学輸送プロセス、及びシード上における成長は、超臨界溶媒中では観測されなかった。
【0006】
ガリウム含有窒化物結晶を作製するアンモノ塩基性方法が、最近WO02/101120において開示されている。この方法により、I族元素(この出願を通して、族番号は1989年度版IUPACに従う)含有化合物の存在下で、超臨界アンモニア含有溶液中において、少なくとも1つの結晶シード上で結晶化された、ガリウム含有窒化物単結晶を作製することができる。所望の結晶を成長させるためのフィードストックとして、ガリウム含有窒化物を使用する。このようにして得られたガリウム含有窒化物のバルク単結晶は、プロセスにおいて使用されるシードの表面欠陥密度より低い表面欠陥密度を有する。バルク単結晶は、十分なサイズと規則正しい形状を有する。それにより、他のものよりこの結晶をオプトエレクトロニクスデバイスにおけるエピタキシャル基板として工業的に使用することが増える。議論してきた方法の主な利点は、その方法により、成長したGaN単結晶層中における欠陥密度を10/cm以下に減少させることができることである。さらに、この方法により得られるバルク状の窒化物単結晶は、高い電気抵抗率を有し(GaNの単結晶の場合、数Ω・cmの範囲にある)、そして高い結晶性を有する。これは、(0002)面からの、X線ロッキング曲線の半値幅の値が低いこと、一般的に、CuKαl反射に対して60arcsec以下であることにより示される。
【0007】
シード上において窒化ガリウムの結晶を成長させるアンモノ熱合成法がフランス特許出願FR2796657Aに記載されている。WO02/101120に開示された実験、及び、それに基づく経験から、このフランス出願に含まれる教示に従っても、本プロセスの温度分布は、効果的な結晶成長のために上手く選択されることがないか、若しくは、徹底的な調査を行わなければ、超臨界溶媒中における溶解に対してシードが効果的に保護されない。そのため、フランス出願FR2796657Aに開示されたフィードストックとシードの配置は好ましくない。
【0008】
光学半導体装置の寿命は、主に光活性層の結晶性に、特に表面欠陥密度に依存する。GaNベースレーザダイオードの場合において、GaN基板層における欠陥密度を10/cm以下に減少させることが望ましいが、これまで使用されてきた方法では、このことは極端に困難である。
【0009】
オプトエレクトロニクスデバイスを工業的に製造するためには、1cm以上の表面領域を有する、ガリウム含有窒化物の形態の標準的な基板を使用することが必要である。エピタキシャル半導体層を成長させるために使用される基板の、品質及び純度に関する必要条件は非常に高いので、これまで使用されてきた方法を適用することによりそのような基板を得ることは比較的高価であり、時間を消費する。
【0010】
従って、本発明は、これまで使用されてきた方法に存在する制限が無い、ガリウム含有窒化物バルク単結晶を得る新たな方法を提供することを目的とする。この目的は、本発明に係るプロセスの改良により達成される。本発明において、フィードストック及びミネラライザが適切に選択されプロセスのコースが最適化される。さらに、不純物を排除し、上記単結晶から基板を成長させる限り、本発明は、本発明に係る方法により得られたガリウム含有窒化物バルク単結晶を予め処理することをカバーする。
【0011】
本発明に係るガリウム含有窒化物バルク単結晶を得るためのプロセスが、独立クレーム1、23、及び47において規定されているように実行され、一方プロセスの好ましい実施の形態が、対応する従属クレーム(2〜22、24〜32、45〜46及び48〜49)に規定されている。
【0012】
本発明に係る方法により得られるガリウム含有窒化物バルク単結晶から基板を形成するプロセスは、クレーム33及びそれに対応する従属クレーム(34〜36)に記載されているようにカバーされている。
【0013】
アニールにより、若しくは洗浄によって不純物を取り除くことにより、本発明に係る方法により得られるガリウム含有窒化物バルク単結晶における不純物レベルを減少させるプロセスが、独立クレーム37及び41にそれぞれ示され、一方これらのプロセスの好ましい実施の形態が、対応する従属クレームに規定されている(それぞれ38〜40及び42〜44)。
【0014】
ミネラライザが添加された超臨界アンモノ含有溶媒中においてガリウム含有フィードストックから単結晶ガリウム含有窒化物を得るためのプロセスは、フィードストックが金属ガリウムの形態であって、ミネラライザがI族元素、及び/又はそれらの混合物、及び/又はそれらの化合物、特に窒素及び/又は水素を含有する化合物の形態をし、一方アンモニア含有溶媒は、ミネラライザ及びアンモニアの形態をし、さらにプロセスのそれぞれのステップにおいて2つの温度領域が存在し、上記フィードストックは溶解領域に配置され、そして少なくとも1つの単結晶シードが結晶化領域において成長され、そして続いて溶媒を超臨界状態とし、このプロセスは、フィードストックを金属の形態からガリウム含有窒化物多結晶まで変換する第1ステップと、反応系(フィードストック、シード及びミネラライザを含む)の必要不可欠な全ての構成要素が、全プロセスを通してこの系内に不変的に残ったまま、フィードストックを徐々に溶解し、さらに、フィードストックの溶解温度より高い温度で少なくとも1つの単結晶シード上においてガリウム含有窒化物を結晶化させることにより、ガリウム含有窒化物を選択的に結晶化させ、その後ガリウム含有窒化物バルク単結晶が得られる第2ステップと、からなる。
【0015】
本発明に係るプロセスを閉鎖系において実行しても良い。
【0016】
別の実施の形態では、本発明に係るプロセスにおいて、反応系において気体状の成分を、本プロセスの第1ステップの後変更しても良い。
【0017】
本発明に係るプロセスにおいて、ガリウム含有窒化物が、AlGa1−XN(0≦X<1)の一般式を有することが好ましい。
【0018】
ハライド、アミド、イミド、アミド−イミド、窒化物、アジド、若しくはそれらの混合物を、上記の窒素及び/又は水素を含むI族元素化合物として使用することが好ましい。
【0019】
本発明に係るプロセスにおいて、製造されたアンモニア含有溶媒は、I族元素、好ましくはナトリウムと、
(a)他のI族元素のイオン、
(b)II族元素のイオン、好ましくはカルシウムイオン若しくはマグネシウムイオン、
(c)超臨界溶媒のアンモノ塩基性を弱める酸素フリーの化合物(species)を含む1以上の物質、若しくは
(d)II族元素イオン、好ましくはカルシウムイオン若しくはマグネシウムイオン、及び超臨界溶媒のアンモノ塩基性を弱める酸素フリーの化合物を含む1以上の物質、
を含んでいてもよい。
【0020】
上記ミネラライザは、I族元素のアジドの形態であることが好ましい。
【0021】
上記のI族元素のアジドは、LiN、NaN、KN、CsN、若しくはそれらの混合物であることが好ましい。
【0022】
上記の注入されたI族元素アジドの、アンモニアに対するモル比は、1:200〜1:2の範囲に及んでいる。
【0023】
本発明に係るプロセスにおいて、上記溶解領域は、上記結晶化領域の上部にある。
【0024】
本発明によれば、上記2つの領域の間の対流及び化学輸送は、第1ステップにおいては抑制され、そして可溶性ガリウム化合物に対する超臨界溶液の飽和度は減少する。
【0025】
溶解領域に配置された、金属ガリウムを含むルツボの開閉を調整することにより、可溶性のガリウム化合物に対する超臨界溶液の飽和度が減少する。
【0026】
本発明によれば、第1ステップの最初の段階での、溶解領域での温度勾配が、0.1℃/minより高く、そして、そのとき第1ステップにおける、溶解領域での温度は、350℃、好ましくは400℃以上に維持されている。
【0027】
第1ステップにおける、結晶化領域で維持された温度により、シードは溶解しないか、若しくは無視できる程度にしか溶解しない。
【0028】
本発明に係るプロセスにおいて、溶解領域における温度は、第1ステップにおいて、結晶化領域の温度より高く維持されており、そして第2ステップにおいては、結晶化領域の温度を、溶解領域における温度より高い値まで上昇させる。
【0029】
第1ステップにおける、結晶化領域での温度は、500℃以下であることが好ましく、より好ましくは400℃以下、さらに好ましくは300℃以下である。
【0030】
本発明によれば、第2ステップの最初の段階での、上記領域間の温度勾配が逆転し、対流による質量輸送が上記領域間で起こる。本発明に係るプロセスにおいて、結晶化領域における、第2ステップの最初の段階での温度勾配によりシードの溶解が可能となる。
【0031】
結晶化領域における、第2ステップの最初の段階での温度勾配は、0.5℃/minより高く、結晶化領域において、可溶性のガリウムに対して、超臨界溶媒を過飽和させた後、結晶化領域での温度を一定のレベルに維持する。
【0032】
本発明に係るプロセスにおいて、上記第2ステップは、第1ステップが未だ完了していない時に始めても良い。
【0033】
本発明によれば、第2ステップにおいて、溶解領域の温度を結晶化領域の温度より低く維持する。
【0034】
上記の第2ステップにおける、結晶化領域での温度は、350℃以上、好ましくは400℃以上、最も好ましくは500℃〜550℃の間の範囲に及んでいる。
【0035】
本発明に係るプロセスは、
ミネラライザがオートクレーブ内に導入され、続いて金属ガリウムの形態のフィードストックがオートクレーブの溶解領域に配置され、そして少なくとも1つのシードがオートクレーブの結晶化領域に載置され、その後オートクレーブがアンモニアで満たされること、
続いて、第1ステップにおいて、溶媒が超臨界状態とされる一方、両領域での温度が異なるように維持され、即ち溶解領域においては、金属ガリウムと超臨界溶媒との間で少なくとも部分的に反応させるため、温度を徐々に且つ選択的に増加させ、同時に、無視しうるレベルでシードが溶解される結晶化領域においてはその温度が維持されること、
続いて、溶解領域において、多結晶の形態のガリウム含有窒化物が得られる値まで温度を増加させ、そして、シードが無視しうる速度で溶解する結晶化領域においては、その温度が維持されること
溶解領域において少なくとも部分的に多結晶のガリウム含有窒化物が得られた後、結晶化領域の平均温度を、溶解領域での平均温度より高い値まで増加させ、対流による化学輸送を引き起こし、そしてガリウム含有窒化物の結晶化が上記シード上で実行されることを特徴とする。
【0036】
本発明に係るプロセスにおいて、ガリウム含有窒化物バルク単結晶の成長速度を制御するプロセスは、このプロセスが、対流及び化学輸送が抑制されている間、金属の形態からガリウム含有窒化物多結晶へとフィードストックを変換する第1ステップと、その後フィードストックの溶解の条件と、可溶性ガリウム化合物に対する超臨界溶液の飽和度が制御され、そして対流が引き起こされた後、フィードストックが、完全に若しくは部分的に使い果たされる限り、フィードストックが徐々に溶解され、フィードストックの溶解温度より高い温度で、少なくとも1つの単結晶シード上でガリウム含有窒化物が選択的に結晶化され、そしてガリウム含有窒化物バルク単結晶が得られる第2ステップとを有することを特徴とする。
【0037】
第2ステップにおけるフィードストックの溶解速度は、リチウム、ナトリウム、カルシウム及びそれらの混合物、並びにそれらの化合物、特に窒素及び/又は水素を含む化合物が含まれる、I族元素からミネラライザを選択することにより、本プロセスの圧力及び温度に依存して、制御される。
【0038】
ミネラライザの、アンモニアに対する好ましいモル比は、本プロセスの一連の条件に従って用いられる。
【0039】
本発明のプロセスにおいて、第2ステップにおける、フィードストックの溶解速度は、溶解領域におけるガリウム含有窒化物多結晶を含むルツボの開閉を調節することにより制御される。
【0040】
本発明によれば、フィードストックの溶解度は、溶解領域において温度が減少することにより第2ステップにおいて増加する。
【0041】
両領域間の温度差により、若しくはそれぞれに対する両領域のポジションを制御することにより対流を制御する。
【0042】
2つの領域を分離するバッフルの開閉を制御することにより、第2ステップにおける対流を制御することが好ましい。
【0043】
本発明に係るプロセスにおいて、第2ステップにおける結晶化領域の超臨界溶液中における、可溶性のガリウム含有化合物の濃度は、それが、結晶化領域の温度が増加することにより窒化ガリウムに対する最小の過飽和度に達するまで増加する。
【0044】
本発明によれば、窒化ガリウムに対する、超臨界溶液の過飽和は、結晶化領域での温度の増加により、当該領域において増加する。
【0045】
本発明に係る方法により得られたガリウム含有窒化物バルク単結晶層から基板を形成するプロセスは、そのようにして得られたガリウム含有窒化物バルク単結晶層がその後分割され、研磨されることを特徴とする。
【0046】
本発明によれば、シード上に結晶化されたガリウム含有窒化物バルク単結晶層は、1mm以上、好ましくは3mm以上の膜厚を有する。
【0047】
本発明に係るプロセスにおいて、気相から結晶化させる方法により、好ましくはMOCVD法若しくはHVPE法を使用して得られる基板上に保護層を積層しても良い。
【0048】
上記保護層は、AlGa1−XN(0≦X<1)の一般式を有することが好ましい。
【0049】
本発明に係る方法により得られたガリウム含有窒化物バルク単結晶において不純物のレベルを下げるためのプロセスは、得られたガリウム含有窒化物バルク単結晶を、約600℃〜約1050℃の間の温度で、できる限り酸素が添加された不活性ガスの雰囲気下でアニールし、それにより、アニール前より高い結晶性を有する材料を製造する。
【0050】
本発明に係るプロセスにおいて、窒素及び/又はアルゴンは不活性ガスとして作用する。
【0051】
本発明によれば、10〜30体積%の間の酸素が添加された不活性ガスの雰囲気下でアニールを実行する。
【0052】
不純物(水素及び/又はアンモニア若しくは結晶化プロセス及び/又はアニールプロセスの間形成される不純物から形成されるイオン)の所望のレベルに達するまで、単一のステップにおいて、若しくは複数のステップにおいてアニール工程を実行しても良い。
【0053】
本発明に係る方法により得られるガリウム含有窒化物バルク単結晶から不純物を取り除くためのプロセスは、上記のようにして得られたバルク状ガリウム含有窒化物の単結晶が、1mm以上、好ましくは3mm以上の膜厚を有し、その後その層は複数のウウェハに分割され、上記ウウェハは、
(a)超臨界アンモニア含有溶媒の雰囲気下で、水若しくは二酸化炭素で濯ぎ洗いされるか、
(b)液体のアンモニア含有溶媒の雰囲気下で、水若しくは二酸化炭素で濯ぎ洗いされるか、若しくは
(c)少なくともいくつかの不純物が、単結晶窒化物から洗い落とされながら、気相の水素、窒化物、アンモニアの作用に供される。
【0054】
(a)超臨界アンモニア含有溶媒の雰囲気下で、水若しくは二酸化炭素で濯ぎ洗いするか、若しくは
(b)液体のアンモニア含有溶媒の雰囲気下で、水若しくは二酸化炭素で濯ぎ洗いすることにより不純物を取り除くプロセスが、超音波を加えることにより補助されることが好ましい。
【0055】
気相の水素、窒素、若しくはアンモニア中において不純物を除去するプロセスが、電子ビームにさらすことにより補助されることが好ましい。
【0056】
ガリウム含有窒化物バルク単結晶を分割するためにワイヤソーを使用しても良い。この分割の前に、アニールを行うことが好ましく、また任意ではあるが、分割の結果として得られたウウェハをアニールすることが好ましい。
【0057】
本発明によれば、作製されたアンモニア含有溶媒は、少なくともI族元素イオン、及びアクセプタ(II族及びIV族)のイオンを含んでおり、得られたガリウム含有窒化物バルク単結晶は、水素を含まないが酸素を含む雰囲気中においてアニールされる。
【0058】
マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)若しくはカドミウム(Cd)などの元素がアクセプターとして作用することが好ましい。
【0059】
超臨界アンモニア含有溶媒中において、ガリウム含有フィードストックからガリウム含有窒化物バルク単結晶を得るためのプロセスは、フィードストックが、金属ガリウムの形態若しくは単結晶ガリウム含有窒化物の形態をしており、上記アンモニア含有溶媒は、I族元素及び/又はそれらの混合物及び/又はそれらの化合物、特に窒素及び/又は水素をふくむ化合物の形態をしたミネラライザが添加されたアンモニアの形態であり、プロセスのそれぞれのステップにおいて2つの温度領域が存在し、フィードストックが溶解領域に配置され、そして少なくとも1つの単結晶シードが再結晶領域に積層され、続いて溶媒を超臨界状態とし、上記プロセスは、第1温度で金属ガリウムを溶液に変換する第1ステップと、その後単結晶のガリウム含有窒化物の形態のフィードストック上にガリウム含有窒化物を選択的に結晶化させる第2ステップと、その後反応系(フィードストック、シード及びミネラライザを含む)の全ての必要不可欠な成分が、当該系において不変的に残ったまま、フィードストックを徐々に溶解し、フィードストックの溶解温度より高い温度で少なくとも1つのシード上においてガリウム含有窒化物を選択的に結晶化することにより、ガリウム含有窒化物を結晶化させ、その後ガリウム含有窒化物バルク単結晶が得られる第3ステップと、を有することを特徴とする。
【0060】
上述のプロセスは閉鎖系で実行しても良い。
【0061】
別の実施の形態では、本発明に係る上述のプロセスにおいて、反応系の気相成分を、本プロセスの第1ステップの後で交換しても良い。
【0062】
上記のように特徴付けられた、ガリウム含有窒化物バルク単結晶を得るためのプロセスは、非常に低い欠陥密度を有し、全体積に対して均一の特性を有するエピタキシャル基板をより多く得ることができるよう十分な体積を有する単結晶ガリウム含有窒化物を単一のプロセスにより得る可能性を保証し、それらの標準化を可能とする。本発明に係る分割プロセスの結果として、全て、アナロジカル特性と統一されたバラメータを備える複数のエピタキシャル基板をガリウム含有窒化物バルク単結晶の厚い層から得ることができる。さらに、本発明によれば、好ましくは気相から結晶化する方法により、分割され研磨されたエピタキシャル基板上に保護層を積層することにより、基板から、当該基板上に後で積層されるエピタキシャル層まで不純物が貫通するおそれを防止される。ワイヤーソーを用いて単結晶層を複数のウウェハに分割した後、当該ウウェハを再び超臨界アンモニア溶媒、水、若しくは二酸化炭素の雰囲気下に導入し、確実にそれらがエピタキシャル基板として役割を果たすように不純物を取り除く。
【0063】
同時に、本発明に係るプロセスにおいて、フィードストックの純度及び利用可能性に関する制限は、十分に減少した。本発明によれば、出発物質として金属ガリウムを使用して、ガリウム含有窒化物バルク単結晶を得ても良く、高純度の金属ガリウムは、例えばHVPEのGaNと比較して、比較的安価であり、容易に入手することができる。
【0064】
本発明に係るプロセスにおいて、改良されたミネラライザを添加するため、高い成長速度のガリウム含有窒化物結晶を得ることができ、さらにI族元素を選択するため、プロセスパラメータをさらに改良することができた。さらに、I族元素をアクセプターと共に使用し、続いてアニールプロセスを実行することにより、バルク状ガリウム含有単結晶においてアクセプタを活性化させ、それにより、電子特性、特にp型ドープを有するガリウム含有窒化物バルク単結晶を得ることができる。
【0065】
本発明に係る方法により得られた最良の基板は、10/cmに近い表面欠陥密度を有する。これは、CuKαl反射に対して60arcsec以下である、(0002)面からの、X線ロッキング曲線の半値幅の値が用いられる。
【0066】
実施した実験により、本発明に係る方法により得られた、最良のガリウム含有窒化物バルク単結晶は、10/cmに近い表面欠陥密度を有し、これによりそれを使用して製造された光学半導体装置の適切な品質と耐久性を保証することが分かった。表面欠陥密度は、(0002)面(CuKαl)からの、X線ロッキング曲線の半値幅の値が60arcsec以下であることにより分かる。
【0067】
本発明の目的は、添付の図面において例示されている。
【0068】
本発明において、単結晶ガリウム含有窒化物を、アンモノ塩基性の一以上のミネラライザを含む超臨界溶媒中において化学輸送により成長させる。そのため、これは、アンモノ塩基性の溶液から結晶化させる技術である。本明細書で使用される如何なる用語も以下の定義に従って理解されるべきである。
【0069】
XIII族元素窒化物とは、XIII族元素からなる窒化物、すなわちアルミニウム、ガリウム及びインジウムをそれぞれ単体で、若しくはそれらの任意の組み合わせとして含む窒化物を意味する。そのような窒化物の中でガリウム含有窒化物が最も好ましい。
【0070】
ガリウム含有窒化物とは、ガリウム、及び任意ではあるがXIII族の中でガリウムとは別の元素との窒化物を意味する。このガリウム含有窒化物は、GaN等の二元化合物、AlGaN、InGaN等の三元化合物およびAlInGaN等の四元化合物を含む。好ましくは、ドーパント量より高いレベルで、ガリウムを実質的に部分的に含んでいることが好ましい。組成比が、結晶化技術のアンモノ塩基性と相反しない限り、ガリウムに対する他の元素の組成比を変更しても良い(上述の化学式は、窒化物の組成を与えることだけ意図している。これらは、相対的な量を示すことを意味するものではない。)
【0071】
ガリウム含有窒化物バルク単結晶とは、特にエピタキシャル基板として使用される、ガリウム含有窒化物からなる単結晶であり、これは、LED若しくはLD等の様々なオプトエレクトロニクスデバイスを製造するためのプロセスにおいて使用される。これらのデバイスを、MOCVD及びHVPE等のエピタキシャル成長法により形成してもよい。このMOCVD及びHVPE等のエピタキシャル成長法において、単結晶の膜厚は、少なくとも1mmであり、より好ましくは少なくとも3mmである。
【0072】
C面、A面若しくはM面とは、六方晶系のXIII族元素窒化物結晶のC面、A面若しくはM面を示す。
【0073】
ガリウム含有窒化物の前駆物質とは、少なくともガリウムを含む物質若しくは混合物であって、これには、I族元素、XIII族元素、窒素及び/又は水素、金属ガリウム、その合金または金属化合物、水素化物、アミド、イミド、アミド−イミド、アジドであって、以下に定義される超臨界アンモニア溶媒に溶解可能なガリウム化合物を形成できるものが含まれていても良い。
【0074】
ガリウム含有フィードストックとは、ガリウム含有窒化物、又はその前駆物質をいう。フィードストックは、フラックス法、HNP法及びHVPE法等の様々な方法により得られるGaN、超臨界アンモニウム含有溶液中において化学反応させた結果、金属ガリウムから、その場で得られるGaN多結晶の形態であっても良い。
【0075】
超臨界アンモニア含有溶液とは、少なくともアンモニアからなる超臨界溶媒であって、ガリウム含有フィードストックを溶解させるために使用される1種以上のI族元素イオンを含んでいても良い。この超臨界アンモニア含有溶媒は、アンモニアの前駆物質、及び/又はそれらの混合物、特にヒドラジンを含んでいても良い。
【0076】
ミネラライザとは、超臨界アンモニア溶媒に、ガリウム含有窒化物の溶解をサポートする1種以上のI族元素イオン及び任意ではあるがII族元素イオンを供給する物質をいう。
【0077】
超臨界溶液のアンモノ塩基性を弱める酸素フリーの化合物を含有する物質は、
a)化合物AmBn(Aは、H及び/又は金属、特にI族元素、NH4+、Si、S、Pを意味し、一方Bは水素、S又はPを意味し、n及びmは、対応する1以下の化学量論係数を意味する。)、及び/又は、
b)S、S、SN、S、S11、P、P、PN
PN、PN4−、PN7−、PN、PN2−
PNCl、P(NH)NH、P10、NP(SNH、NPSNHSH、NP(SH)、PNS等の化合物のグループを含む群から選択される。
ガリウム含有窒化物の結晶格子中に組み込まれた硫黄若しくはシリコン化合物は、ドナーとして作用しうる。また、マグネシウム、亜鉛、若しくはカドミウムは、アクセプターとして作用しうる。ガリウム含有窒化物の結晶格子において、マンガン若しくはクロミウム等のドーパントはそれに磁気特性を与える。一方、リン原子は、窒素原子と等電子数配列であって、純粋なガリウム含有窒化物におけるエネルギーギャップより、そのエネルギーギャップを狭くする。それらの化合物は、超臨界溶媒のアンモノ塩基性を弱めるだけでなく、ガリウム含有窒化物の光学的、電子的、及び磁気的特性を変更する。
【0078】
ガリウム含有フィードストックの溶解とは、フィードストックから、超臨界溶媒に対して可溶性を有するガリウム化合物、例えばガリウム錯体化合物を形成する可逆性または非可逆性プロセスをいう。ガリウム錯体化合物とは、中心に配位されたガリウムが、NHタイプの配位子又はその誘導体NH、NH2−により取り囲まれた錯体化合物を意味する。
【0079】
超臨界溶液は、超臨界アンモニア含有溶媒中に、ガリウム含有フィードストックが溶解した結果得られる溶液を意味する。
【0080】
溶解度:
我々の経験により、充分高い温度、圧力の下では、ガリウム含有窒化物等の固相と、超臨界溶液との間で平衡状態が得られる。そのため、ガリウム含有窒化物の溶解度は、上述のガリウム含有窒化物の溶解プロセスにおいて得られる可溶性ガリウム化合物の平衡濃度と定義される。本発明に係るプロセスにおいて、平衡濃度、すなわち溶解度を、溶液の組成、温度及び/又は圧力を変更することにより制御することができる。
【0081】
溶解度の負の温度係数(負のTCS)とは、他の全てのパラメータが一定に保持される間、各化合物の溶解度が、温度と共に減少することを意味する。一方、溶解度の正の圧力係数(正のPCS)とは、他の全てのパラメータが一定に保持される間、溶解度が圧力と共に増加することを意味する。我々の研究により、超臨界アンモニア溶媒中における、ガリウム含有窒化物の溶解度が、少なくとも300から550℃に亘る温度領域、そして100から550MPaに亘る圧力領域において負の温度係数および正の圧力係数を示すといえる。オートクレーブ内においてフィードストックを溶解し、数日間炉内温度を400℃に保持した後(つまり溶解プロセスの後)、オートクレーブ内の温度を500℃まで増加させ、圧力を200MPaレベルに維持した(結晶化プロセス)ならば、ガリウム含有窒化物を結晶化させることができる。また、別の実施形態では、上昇した圧力を数日間350MPaレベルで維持した状態でフィードストックをオートクレーブ内で溶解させた後(つまり溶解プロセスの後)、圧力を200MPaまで下げ、そして一定温度500℃に維持することにより(結晶化プロセス)、ガリウム含有窒化物を結晶化させることができる。
【0082】
過飽和:
ガリウム含有窒化物に対する超臨界アンモニア溶液の過飽和は、上記超臨界アンモニア含有溶液中における可溶性ガリウム化合物の濃度が、特定の物理化学的条件におけるガリウム含有窒化物の溶解度より高い場合、実際の濃度と溶解度との差として定義することができる。閉鎖系においてガリウム含有窒化物を溶解している間、温度を増加させること、若しくは圧力を減少させることにより過飽和状態を得ることができる。
【0083】
超臨界アンモニア含有溶液におけるガリウム含有窒化物の化学輸送とは、超臨界溶液における、ガリウム含有フィードストックの溶解、超臨界溶液中での可溶性ガリウム化合物の輸送、及び過飽和の超臨界溶液からのガリウム含有窒化物の結晶化を含む連続工程をいう。一般に化学輸送は、温度差、圧力差、濃度差、及び溶解したフィードストックと結晶化した製品との化学的又は物理的な差異により起こる。本件発明に係るプロセスにより、温度差による化学輸送の結果、ガリウム含有窒化物バルク単結晶を得ることができる。しかし、結晶化領域の温度を、溶解領域における温度より高く維持することが必要である。本発明によれば、化学輸送は、対流により起こることが好ましい。
【0084】
既に言及したように、シードとは、本発明に係る方法において、所望のガリウム含有窒化物のバルク単結晶を得るために不可欠なものである。シードの品質が、本発明に係る方法により得られるガリウム含有窒化物のバルク単結晶の結晶性にとって必要不可欠であるという事実からすれば、この方法のために選択されたシードは、できるだけ良好な品質を有すべきである。改良された表面を有する様々な構造若しくはウウェハを使用しても良い。例えば、互いに充分離間され、主基板上に配置され、結晶性窒化物が横成長しやすい表面を多数有する構造をシードとして使用しても良い。さらに、例えば、Siでドープされた、n型電気伝導性を示すホモエピタキシャル表面を有するシードを使用しても良い。HVPE、MOCVD又はMBE等の、気相からガリウム含有窒化物の結晶を成長させる方法を使用して、それらのシードを作製してもよい。成長プロセスの間にSiを1016〜1021/cm3ドープして確実にn型導電性をもたせる。さらに、複合シードを使用することができ、そのようなシードにおいて、主基板の上に直接、若しくは例えばAlNからなるバッファー層上に、SiドープされたGaN層を成長させても良い。さらに、今後の使用のため、本発明に係るプロセスにより、特定のXIII族元素窒化物の六方晶系ウルツ鉱型の結晶格子に対して規定された方向、例えばそれぞれの窒化物のC面、A面若しくはM面を有するホモシード上にバルク単結晶を成長させても良い。
【0085】
過飽和された超臨界アンモニア溶液からの自発結晶化とは、ガリウム含有窒化物結晶の核形成及び成長の望ましくないプロセスを意味し、これらは、オートクレーブ内において、シード表面を除くあらゆる領域で起こる。この定義には、成長した結晶がシードと異なる配向性を有するように、シード結晶の表面上で成長することが含まれる。
【0086】
シード上での選択的結晶化とは、シード表面上で起こる結晶化プロセスを意味し、自発結晶化がない場合だけでなく、自発結晶化が無視しうる程度で起こる場合も含む。このプロセスは、バルク単結晶を得るために必要不可欠であり、同時にこれは本発明の基本的要素の1つである。
【0087】
反応温度及び反応圧力:
本明細書に示した実施例では、オートクレーブ内の温度分布は、超臨界アンモニアの存在しない、空のオートクレーブを使用して測定されている。そのため、これらは、超臨界状態で実行されたプロセスの実際の温度ではない。圧力は直接測定されるか、若しくはプロセスの推定温度、及びオートクレーブの容積に対する、アンモニア含有溶媒の物理化学的データを基にして計算される。
【0088】
MOCVD法(有機金属化学気相成長法)とは、気相からエピタキシャル層を成長させるプロセスを意味し、ガリウム含有窒化物の基板の場合では、アンモニア及び有機金属ガリウム化合物を使用する。
【0089】
HVPE法(ハライド気相エピタキシー法)とは、気相からエピタキシャル層を成長させるプロセスを意味し、窒化物の場合の試薬として金属ハライド及びアンモニアを使用する。
【0090】
オートクレーブとは、本発明に係るアンモノ塩基性プロセスを行うための反応チャンバーを有する閉鎖されかつ加圧された反応容器を意味する。
明細書及びクレームに概説された原則が含まれる限り、異なる構成の加圧反応容器内においても新規なプロセスを実現することができることを注意すべきであるけれども、本発明に係るプロセスを実行するために使用された装置を、図1及び図2に概略的に示している。
【0091】
装置の主な部分は、溶媒を超臨界状態とするために使用されるオートクレーブ1である。このオートクレーブには、オートクレーブ1内の超臨界溶液において化学輸送を高める部品2が設置されている。このオートクレーブ1は、炉4のチャンバー3内に配置される。また、この炉4には、加熱装置5および冷却装置6が備え付けられている。スクリューブロッキング装置7により、オートクレーブ1を確実にチャンバー3内に配置する。炉4を炉ベッド8に組み込み、この炉4及び炉ベッド8の周囲をきつく縛ったスチール製のテープ9で固定する。炉4を備える炉ベッド8を支持ベース10に回動自在に配置し、ピン固定装置11により所望の位置に固定した。結晶化プロセスの間、オートクレーブを傾けることにより、対流及びそれによる化学輸送に影響を与えることができる。オートクレーブ1の水平断面積の70%に相当する大きさの水平バッフル12の形態の装置2により、炉4内に配置されたオートクレーブ1内で対流が起きる。バッフル12は、結晶化領域14と溶解領域13とを分離する。水平バッフル12を、縦方向の長さに関してオートクレーブ1のおよそ中央に配置する。制御装置15により炉4に対するそれぞれの温度を設定することにより、オートクレーブ1のそれぞれの領域の温度の値を100℃〜800℃の範囲において制御する。オートクレーブ1において、炉4の低温領域に対応する溶解領域13を、水平バッフル12の上側に配置する。フィードストック16を溶解領域13に配置し、フィードストック16の量を、その体積が溶解領域13の体積の50%を超えないようにする。同時に、金属ガリウムをフィードストック16としてルツボ内に導入したとき、このルツボの全体積は、溶解領域13の体積の80%を超えるべきではなく、金属ガリウムフィードストック16の量を先の必要条件(溶解領域体積の50%)と適合させるべきである。結晶化領域14は、炉4の高温領域に対応し、分離バッフル12の下側に配置されている。結晶化領域14にシード17を配置し、このシード17が配置された特定のポジションが、上流への対流及び下流への対流の交差する部分の下側であって、結晶化領域14の底部の上側にある。分離バッフル12を冷却手段6の領域に配置する。バッフル12の領域を冷却して、溶解領域13及び結晶化領域14間の温度差を制御しても良い。このプロセス後の冷却工程の間、成長した結晶の溶解を大幅に減少させるために、結晶化領域14の底部のところには、プロセス終了後この領域を冷却するために使用される他の冷却装置18を設ける。
【0092】
ガリウム含有窒化物は、超臨界アンモニアが、I族元素及び任意ではあるがII族元素あるいはその化合物(KNH等)を含有する場合、良い溶解度を示す。図3のグラフは、超臨界アンモニア溶媒中におけるGaNの溶解度が、400℃と500℃Cの温度の場合において、どれだけ圧力に依存するかを示している。この溶解度はモル%:S≡{GaN溶液:(KNH+NH)}×100%と定義される。この実施例において、KNHを、KNH:NH=0.07のモル比で使用する。この場合、Sは温度、圧力およびミネラライザのモル比の3つのパラメータに対してのみの関数である。(即ちS≡S(T,p,x))
の微小変化は次の式で表される。
【数1】

ここで、
【数2】

等の係数は、そのパラメータ(例えばT)の変化に対するSの挙動を決定する。この明細書において、偏導関数を係数(coefficient)と呼ぶ(例えば、
【数3】

は、溶解度の温度係数(TCS)である)。
【0093】
図3に示したグラフから分かるように、溶解度は温度の減少関数であり、圧力の増加関数である。これらの依存性に基づいて、溶解度の高い条件下で窒化物を溶解し、溶解度が低い条件下で結晶化させることによって、ガリウム含有窒化物バルク単結晶を成長させることができる。溶解度の負の温度係数は、温度勾配が存在する場合において、ガリウム含有窒化物の化学輸送が低温の溶解領域から高温の結晶化領域へと起こることを意味する。
【0094】
そのため、本発明に係る、ガリウム含有窒化物バルク単結晶を得るためのプロセスは、以下のことからなる。
【0095】
フィードストックを反応容器(オートクレーブ)の上部領域13に配置する一方、少なくとも1つの(ガリウム含有窒化物の)単結晶シード17を、当該反応容器の下部領域に配置する。本発明によれば、フィードストックは金属ガリウムを含む。また、オートクレーブにミネラライザが加えられ、これはアンモニアで充填され、そして密閉される。
【0096】
当該プロセスの第1ステップにおいて、オートクレーブ内の平均温度を増加させ、そしてオートクレーブ内において2つの温度領域を創り出す。増加したある温度において、アンモニアは、超臨界状態に変移され、ミネラライザと反応し、超臨界アンモニア含有溶媒を形成する。この溶媒により、上記反応の上部領域において、金属ガリウムと超臨界アンモニア含有溶液との間の反応を可能とする。反応容器の上部領域の温度が、下部領域での温度より高く維持されるため、対流が抑制される。そのような条件下において、金属ガリウムの形態のフィードストックの、結晶性ガリウム含有窒化物に対する反応は完全となる。この反応は、オートクレーブの(より温度が高い)上部領域だけで起こるので、この反応は局所的である。超臨界アンモニア含有溶媒の雰囲気下において、結晶性ガリウム含有窒化物は、金属ガリウムより、より好ましい溶解度特性を有する。同時に、より低い温度の領域に配置された結晶化シードの溶解を著しく減少させる。
【0097】
第1ステップの最終フェーズにおいて、低部領域の温度を反応容器の上部領域における温度より高い値まで増加させた結果、温度勾配が逆転し、上部領域における温度が僅かに減少した後、本発明に係るプロセスの第2ステップが開始される。これにより、本プロセスの第2ステップにおいて両領域間の対流性化学輸送を引き起こす。本プロセスの第1ステップの間、シードは溶解しないか、若しくは無視しうる程度でしか溶解しない。しかしながら、オートクレーブ内において、温度の勾配が逆転する間、シードはある程度溶解しても良い。そのようなシードの部分的な溶解によりポジティブな結果とすることができる。これは、付加的に表面が浄化されるからである。
【0098】
超臨界アンモニア含有溶媒においてGaNの溶解度の温度係数が負であるため、本プロセスの第1ステップにおいて得られたガリウム含有窒化物多結晶の形態のフィードストックは、反応容器の上部領域において徐々に溶解され、そしてガリウム含有窒化物は、単結晶シード17上で選択的に結晶化する。そのため、本発明に係るプロセスの第2ステップ、即ち実際に結晶化ステップにおいて、(より低い温度を有する)反応容器の上部領域は、溶解領域13となり、一方(より高い温度を有する)下部領域は結晶化領域14となる。
【0099】
別の実施の形態では、本発明に係るガリウム含有窒化物バルク単結晶を得るためのプロセスは3つのステップからなっていても良い。この場合、金属ガリウム及びガリウム含有窒化物結晶の形態のフィードストックをオートクレーブ内に投入しても良い。最初、金属ガリウムを溶液とし、その後第2ステップにおいて、制御された温度条件の下、結晶性ガリウム含有窒化物を、溶解領域において、超臨界アンモニウム含有溶液から、好ましくはガリウム含有窒化物結晶の形態で導入されたフィードストック上に積層しても良い。最終的に、第3ステップにおいて、制御された条件下、(部分的に処理された)フィードストックを徐々に溶解し、その後結晶化領域において単結晶ガリウム含有窒化物上にそれを選択的に成長させる。
【0100】
GaN結晶化プロセス(本プロセスの第2ステップ)においてガリウム含有窒化物多結晶の形態のフィードストックを使用することが好ましい。なぜならば、それは、比較的高価で、容易に入手できない、単結晶ウウェハの形態のフィードストック(例えばHVPE法による)を上手く置き換えることができるからである。多結晶の材料の欠点は、吸収された不純物から多結晶材料を取り除くのが困難であると言うことである。本発明に係るプロセスによれば、この不都合を取り除くことができる。なぜならば、金属ガリウムからGaN多結晶を得ることと(第1ステップ)、結晶化(第2ステップ)とが、1つの連続したプロセスの一部として起こり、さらに不純物を最大限取り除くことができるからである。出発物質として金属ガリウムを使用することは非常に便利である。これは、高純度の金属ガリウムは、HVPEによるGaNと比較して、比較的安価であり、容易に入手可能であるからである。
【0101】
本発明に係るガリウム含有窒化物バルク単結晶を得るための3つのステップからなるプロセスの場合、金属ガリウム及び単結晶ガリウム含有窒化物の形態で、同時に2種のフィードストックを添加することは、原則的に有利な効果を有する。なぜならば、本プロセスの第3ステップにおいて溶解された単結晶ガリウム含有窒化物のロスが非常に減少する。
【0102】
本発明に係るプロセスのためのシードを如何なる方法により得ても良く、HVPE法により得られるGaN結晶を使用することが好ましい。これにより、比較的大きな表面積を有するウウェハの形態のGaN単結晶を得ることができる。そのようなシードを加えることにより、本発明に係るプロセスにおいて、非常に欠陥密度が低く、同時に非常に厚いガリウム含有窒化物バルク単結晶を得ることができる。本発明に係るプロセスにより得られた結晶は、半導体層をエピタキシャル成長させるための基板として完璧な材料である。同時に、本発明に従って実行される別のプロセスのためのシードを準備するためにそれらを使用してもよい。
【0103】
ミネラライザは、I族元素、それらの化合物、特に窒素及び/又は水素を含む化合物、及びそれらの混合物の形態であっても良い。I族元素を、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択しても良く、一方、それらの化合物を、水素化物、アミド、イミド、アミド−イミド、窒化物、及びアジドから選択しても良い。1つのプロセスにおいて、同時に1以上のI族元素を使用しても良い。本発明によれば、ミネラライザは、超臨界溶液のアンモニア塩基性を弱める酸素フリーの物質を含んでいてもよい。特に、硫黄元素を含む化合物(MS、HS、(NHSXのI族硫化物)の形態でそれらを導入する。そのような物質の好ましい具体例は、PHである。溶媒のアンモノ塩基性を弱める酸素フリーの物質の、一緒に導入されたI族元素に対するモル比は、1:100〜1:10である。任意ではあるが、アクセプタ、特にマグネシウムイオン、亜鉛イオン、及びカドミウムイオンを、超臨界アンモニア含有溶液に導入しても良い。これらのイオンを対応する金属、それらの金属のアミド若しくはアジドの形態で導入する。アクセプタイオンの、I族元素イオンのモル比は、1:100と1:5の間、好ましくは1:30と1:10との間にある。
【0104】
1以上のI族元素の形態のミネラライザ、任意ではあるがアクセプタ、及び任意ではあるが超臨界溶媒のアンモノ塩基性を弱める酸素フリーの化合物を含む物質の群から選択されたミネラライザを一緒に添加することにより、ガリウム含有窒化物の溶解を改善し、そしてガリウム含有窒化物バルク単結晶の成長速度を改善することができる。さらに、得られた結晶を適切に予備処理すると共に、I族元素をアクセプタと共に同時に加えることにより、得られたバルク状ガリウム含有窒化物中においてアクセプタを活性化することができる。
【0105】
本発明に係るプロセスにおいて、I族元素アジドの、アンモニアに対するモル比が、1:200〜1:2の範囲に及ぶとき、I族元素アジド、及び任意ではあるがII族元素アジドを使用することは、様々な側面において便利である。固体状の、超高純度の、I族元素及びII族元素アジドは商業的に入手可能である。さらにそれらを容易に浄化することができる。一旦、浄化されると、このアジドは比較的長い間、高純度を保つことができる。これは、それらが、非反応性であり、そして殆ど吸湿性を有さず、それによりそれらが空気中から不純物を吸収しないからである。
【0106】
金属リチウム、金属ナトリウム若しくは金属カリウムなどを取り扱うとき必要不可欠な特定の予備手段若しくは予備装置(たとえばグローブボックス)を使用しなくとも、アジドを保管し、取り扱い、特にオートクレーブに配置しても良い。
【0107】
I族元素及びII族元素のアジドを超臨界アンモニア含有溶液中に溶解する。本発明に係るプロセスにおいてアジドミネラライザを使用することに関する研究により、本プロセスの条件の下においては、アジドアンモニア溶液は、アジドが分解し始めるある温度(NaNの場合これは約250℃である)までは化学的に安定であることが分かってきた。この温度以下では、アジドアンモニア溶液は、フィードストックと殆ど反応せず、このアジドはアンモノ塩基性ミネラライザとして作用しない。しかしながら、超臨界アンモニア含有溶液の温度が、十分高くなると(NaNの場合、300℃以上)、アジドイオンNの激しい分解が起こり、そして分子性の窒素Nが解放される。この工程においてのみ、アジドはミネラライザとして作用し始め、フィードストックの溶解及びシード上におけるガリウム含有窒化物の結晶化を促進する。これにより、フィードストックとして金属ガリウムを用いて実現された本発明に係るプロセスの間、アジドを使用することにより、過飽和、及び溶解しないガリウムの量を制御することを容易にすることができる。
【0108】
アジドを用いることの主な欠点は、アジドの分解の間放出される窒素ガスに由来して、圧力が過剰となることである。圧力の増加は著しく、通常望ましくない。なぜならばより耐久性の高いオートクレーブが必要となるからである。しかし、この効果を排除することが出来る。それを行う方法がいくつかある。具体例として以下に示したものは、限定と解釈すべきではない。最初、他の出発物質(フィードストック、シード等)と共に、空のオートクレーブ(若しくは不活性ガスにより充填されたオートクレーブ)内にアジドを閉じ込め、使用したアジドの分解温度より高い温度まで加熱することによりアジドを分解する。そのとき、このオートクレーブは望ましくない窒素ガスを含有する混合物を含む。その時、この温度を混合物の臨界温度以下に減少させるべきであり、オートクレーブを少なくとも部分的に排気し、溶媒(アンモニア)を注入すべきである。別の実施の形態では、アジドの形態のミネラライザを含む全ての出発物質と、アンモニアとを、本プロセスの最初の段階において、オートクレーブ内に配置する。その後、このオートクレーブを加熱し、アンモニアを超臨界状態とする。適切に制御された温度分布において、ミネラライザは、超臨界アンモニアと反応し、I族元素のイオンを有する超臨界アンモニア含有溶媒を形成し、分子性の窒素Nを放出する。フィードストックを含む金属ガリウムは、超臨界溶媒と反応し、ガリウム含有窒化物多結晶を生成する。その後、オートクレーブは、アンモニア含有溶液の臨界点以下に冷却され、そして、多結晶のGaNの形態のフィードストック、及びI族元素のアミドの形態のシード及びミネラライザを含む反応系の全ての必要不可欠な成分が不変的にオートクレーブ内に残ったまま、完全に排気されるべきである。その後、オートクレーブに再び溶媒(アンモニア)を注入し、そして本発明に係るガリウム含有窒化物バルク単結晶を得るためのプロセスの2ステップ若しくは3ステップのバリエーションを上記のように実行してもよい。アジドの分解の後オートクレーブ内に残っているI族元素及び任意ではあるがII族元素が、非常に高いレベルの純度を有するが、一方で殆ど入手できないことに注意すべきである。
【0109】
本発明に係る方法により得られたガリウム含有窒化物は、AlGa1−x−yInN(0≦x<1、0≦y<1、0≦x+y<1)、好ましくはAlGa1−xN(0≦x<1)の一般式を有し、適用によりそれはドナータイプ、アクセプタタイプ若しくは磁気タイプのドープを含んでいてもよい。
【0110】
本発明に係るプロセスにおいて使用されているように、I族元素のイオンを含む超臨界アンモニア含有溶媒の雰囲気は、得られる単結晶ガリウム含有窒化物の特性を意図的に変更するために導入された他の金属イオン及び他の元素の可溶性のものを含んでいても良い。しかしながら、この雰囲気は、出発物質と共に注入され、このプロセスの間、用いた器具の元素からこの雰囲気中に放出された偶発的な不純物を含む。本発明に係るプロセスにおいて、非常に高純度の試薬を添加することにより、若しくは本発明に係るプロセスのニーズのため付加的に浄化することにより、偶発的な不純物を減少させることは可能である。器具からの不純物は、当該技術分野のエキスパートに知られた原則に従って、構成材料を選択することにより制御することができる。さらに、以下の物質が本プロセスの雰囲気中に存在するならば、ガリウム含有窒化物バルク単結晶は、ドナータイプのドーパント(例えばSi、O)及び/又はアクセプタタイプのドーパント(例えばMg、Zn)及び/又は磁気タイプのドーパント(例えばMn、Cr)を1017〜1021/cmの濃度で受け取ってもよい。これらのドーパントは、ガリウム含有窒化物の光学的、電子的、及び磁気的特性を変更する。
【0111】
図4に示した本発明に係るプロセスの好ましい実施の形態において(実施例I)、アンモニア含有溶液を超臨界状態とした後、上部領域、即ちオートクレーブ13の溶解領域における第1ステップの温度を、450℃のレベルまで上昇させ、一定の時間の間維持する(図4)。同時に、オートクレーブ13の下部領域、即ち結晶化領域14の温度を約250℃のレベルに維持する。このような条件下で、溶解領域において、無視しうる速度でシードを溶解しながら、溶解領域において金属ガリウムをガリウム含有窒化物多結晶に変換する。
【0112】
この具体例において、金属ガリウムの反応が完全となり結晶性GaNが得られるまで、若しくはそれ以上、本プロセスの第1ステップを実行する。このような条件下において、溶解領域で得られたGaNは多結晶の形態であり、さらに改良された表面を有する。
【0113】
続いて、約3日後、本プロセスの第2ステップを開始し、結晶化領域を、溶解領域の温度を超える温度まで加熱し、この温度を、第1ステップのエンドでのレベルと同じレベルに原則的に維持する。両領域の間に温度差を設け、温度勾配を、本プロセスの第1ステップにおいて維持された温度勾配に対して逆転させ、溶解領域においてフィードストックを溶解し、両領域間の化学輸送を対流により起こした後、GaNに関する超臨界アンモニア含有溶液の過飽和が達成されたとき、結晶化領域において、シード上でGaNが選択的に結晶化する。
【0114】
本発明によれば、第2ステップにおける、両領域の温度差を幅広い範囲、好ましくは数℃〜百数十℃の間の範囲で変化させても良い。さらに、本発明によれば、両領域の温度差を、本プロセスの途中で変更してもよい。このように、得られたガリウム含有窒化物バルク単結晶の成長速度及び品質を制御することが可能となる。
【0115】
本発明に係るプロセスは、いくつかの変更と共に実行しても良い。図5に示された、本発明の他の実施例において(実施例III)、第2ステップが、第1ステップが終了する前、つまり金属ガリウムの一部が超臨界アンモニア含有溶媒と完全には反応していない時に開始することを特徴とする。本発明のこの実施の形態において、溶解領域において約450℃のレベルの一定の温度が達成された後直ぐ、オートクレーブの結晶化領域の加熱を開始する。金属ガリウムの殆どをガリウム含有窒化物多結晶に変換したとき、両領域間の化学輸送は開始されるが、ある一定時間の間金属ガリウムを溶液に変換することを続ける。他の実施の形態において、本発明のこの実施例は、上述のものと異ならない。本発明に係るガリウム含有窒化物バルク単結晶を得るためのプロセスの他の好ましいバリエーションであって、本プロセスの3ステップの実施の形態を含むバリエーション、並びに構成されたミネラライザの使用が、実施例IV(3ステップのプロセス)、実施例V−VII(構成されるミネラライザ)に示されている。アジドの形態のミネラライザを使用することが実施例VIII〜XIIIに例示されている。
【0116】
本発明に係るプロセスにより得られるガリウム含有窒化物バルク単結晶は、非常に低い表面欠陥密度を有する。本発明に係る方法により得られた最も良好な基板は、CuKαl反射に対して60arcsec以下である、(0002)面からの、X線ロッキング曲線の半値幅の値により、10/cmに近い表面欠陥密度を有する。それは、約0.1ppm以上、1.0ppm若しくは10ppm以上の濃度でI族元素を含んでいても良い。さらに、I族元素の濃度が、500ppmレベルである場合でさえ、本発明に係るプロセスにより得られるガリウム含有窒化物バルク単結晶の品質は十分である。本発明に係るプロセスを介して直接得られた製品サンプルのSIMSプロファイル(二次イオン質量分析法)では、I族元素が、10カウント/sのレベルで存在することを示した。これは、カリウムが約500ppmのオーダーで存在することが示されている。さらに、反応雰囲気中に存在するいくつかの遷移金属(Fe、Cr、Ni、Co及びTi)は、少なくとも表面に近い層において測定可能なシグナルを発生する。比較して、HVPE法により得られるGaNシード結晶のアナログプロファイルは、カリウムが約1ppmのレベルでのみ存在することを示している。一方、遷移金属のプロファイルはノイズレベルであり、このノイズは、HVPE法により得られたシード結晶中において、非常に少ない量の上述の元素が存在することを証明している。本発明に係るプロセスにより得られたガリウム含有窒化物バルク単結晶は、特定の後処理に供され、それらはエピタキシャル基板として使用される。この後処理は、
a)バルク単結晶を、好ましくはワイヤソーにより切断する工程と、
b)超臨界アンモニア溶液、水、若しくは二酸化炭素等の様々な媒質中において、超臨界溶液から得られる単結晶ガリウム含有窒化物を洗浄し、上記結晶から不純物を取り除く工程と、
c)約600℃〜約1050℃の間の温度で、任意的ではあるが酸素を添加しつつ、不活性ガスの雰囲気下で、超臨界溶液から得られた単結晶ガリウム含有窒化物をアニールし、それによりアニール前より良好な結晶性を有する材料を得、及び/又はバルク状のガリウム含有窒化物の単結晶を活性化させる工程とからなる。
【0117】
切断:
バルク単結晶を切断するためにワイヤソーを使用する。しかし、ワイヤソーを使用するため、結晶の厚みは、1mm、好ましくは3mmを超えるべきである。シードの湾曲部のため、HVPE法によりサファイヤ基板上に得られたバルク単結晶は、ワイヤソーにより分割できるほど十分に厚くない。この出願に記載した方法によれば、単結晶の厚みが1mmを超えない場合でさえ、高い結晶性を有するガリウム含有窒化物バルク単結晶を得ることができ、それをウウェハに分割することができる。さらに、得られたガリウム含有窒化物バルク単結晶は、酸素等の不純物を殆ど含有せず、それにより、レーザダイオード等の窒化物半導体に基づくオプトエレクトロニクスデバイスに使用される。その後、ワイヤソーにより結晶を切断した後に得られた基板は、両サイド研磨される。基板が、気相からの成長プロセスを対象としているという事実のため、それらの基板は結晶の主軸に対して0.05°〜0.2°の間のオフ角でワイヤソー上に配置される。超臨界アンモニア含有溶液から得られたバルク単結晶が、他の中から、I族元素の不純物を含むので、MOCVD法を使用して、バッファ層若しくは保護層を形成することが好ましい。これらの層は、本発明に記載されたプロセスにより得られた基板から、エピタキシャル法、例えばMOCVD法により上記基板上に積層された層まで不純物が貫通することを防止する。このプロセスは、実施例XIVに例示されている。
【0118】
洗浄:
洗浄プロセスは、実施例XVに例示されている。
【0119】
アニール:
約600℃〜約1050℃までの間の温度で、任意ではあるが酸素が添加された不活性ガスの雰囲気下において、ガリウム含有窒化物バルク単結晶をアニールし、それによりアニール前より良好な結晶性を有する材料を得る。アニールプロセスにより、得られたガリウム含有窒化物バルク単結晶の少なくとも表面近くの層から、第1ステップにおいて実行される反応により生成される不純物、例えば水素及びアンモニア、並びに結晶化工程及び/又はアニール工程の間形成された不純物からのイオンを取り除くことができる。アニールプロセスの間、水素、アンモニア、及び成長プロセスの間形成された他のイオンは、別の変化を受け、ガリウム含有窒化物バルク単結晶からそれらを取り除くことが好ましい。成長プロセスの間起こる反応の雰囲気下において形成される単結晶ガリウム含有窒化物の他の不純物、例えば、可能であれば微量のII族元素、並びに使用される器具からのTi、Fe、Co、Cr及びNi等の他の元素とともに、ミネラライザとして当該系に導入されたI族元素、I族元素のドープをアニールプロセスにおいて取り除く。
【0120】
さらに、超臨界条件において、アンモニア含有溶媒は、他の中から、水素イオン(H+)及びアミドイオン(NH)に自動的に分離する。そのような場合において、超臨界分解溶媒において、アクセプタイオンは、単結晶のガリウム含有窒化物の構造内に組み込まれる可能性がある。ガリウム含有窒化物中におけるアクセプタを水素に対して不動化される。それらを、アニールプロセスにより活性化してもよい。
【0121】
上記処理は、Japanese Patent Bulletinに出版された特許番号5−183189に記載されている。一般的に、それは水素フリーの不活性ガスの雰囲気下において、若しくは酸素含有の不活性ガスの雰囲気下で実行しても良い。そのようなケースにおいて、より短いアニール処理をすることにより、ポジティブな活性化効果を得ることができる。一般的に、電子ビームにより半導体若しくは装置をアニールするために使用される炉をこのアニールプロセスにおいて用いてもよい。アニールプロセスは、実施例XIVに例示されている。実施例VIと共に実施例XVIは、ガリウム含有窒化物バルク単結晶中におけるアクセプタを活性化するためにアニールが使用されるプロセスを示している。
【0122】
以下の実施例は、本発明を例示するものであって、その技術範囲を限定するものと解すべきではない。
【0123】
実施例I(ガリウム含有窒化物バルク単結晶を得るための2ステッププロセス)
容積36.2cmの高圧オートクレーブ1の結晶化領域に、HVPE法により得られたガリウム含有窒化物の形態の3つのシード結晶(膜厚200μm、全表面積3.6cm)を導入すると共に、溶解領域に、純度6Nの金属ガリウムの形態のフィードストック3.16g(約45mmol)を導入した。4Nの金属ナトリウム1.36g(約59mmol)をこのオートクレーブ内に配した。次に、このオートクレーブを5Nのアンモニア15.4gで充填し、密閉し、そして一連の炉4内に置いた。
【0124】
緩やかに加熱することにより(0.4℃/min)、溶解領域の温度を450℃まで上昇させ、同時に、結晶化領域において温度を250℃に維持した。1日後、溶解領域における温度が450℃に達した(図4)。3日間の後、ガリウムを溶液に部分的に変換し、さらにGaN多結晶に対して非可溶性ガリウムを完全に反応させた後、オートクレーブ内の圧力が約260MPaに達した状態で、結晶化領域の温度を、500℃まで(約2℃/minで)上昇させた。このような条件下において(本プロセスの第2ステップ)、オートクレーブをその後8日間維持した(図4)。本プロセスの結果として、溶解領域において、フィードストック(例えば、GaN多結晶)が部分的に溶解し、全膜厚が約220μmの両面単結晶層の形態のシード上でガリウム含有窒化物が結晶化される。
【0125】
実施例II(ガリウム含有窒化物バルク単結晶を得るための2ステッププロセス)
金属ナトリウム1.36gを使用する代わりに、a)4Nの金属リチウム0.4gを使用し、b)4Nの金属カリウム2.3gを使用し、c)4Nの金属ナトリウム0.68gを使用し、d)4Nのナトリウムアジド1.92gを使用し、本プロセスの11日後に、それぞれa)70μm、b)200μm、c)360μm、及び d)400μmガリウム含有窒化物バルク単結晶層が成長したこと以外、実施例1と同じような手順で行った。
【0126】
実施例III(ガリウム含有窒化物バルク単結晶を得るための2ステッププロセス)
溶解領域が、目標温度450℃に達するとき、即ち本プロセスの最初の段階から約4時間の期間の後、結晶化領域の第2ステップの最初の段階(約2℃/minの速度)の加熱を始めること以外、実施例1と同じ手順で行った。さらに数時間の後、結晶化領域の温度は500℃に達する。この状態(即ち、溶解領域において450℃、そして結晶化領域において500℃)を、本プロセスの最後まで維持した。8日の後、実施例Iと同様の、ガリウム含有窒化物バルク単結晶の成長速度を得た。
【0127】
実施例IV(ガリウム含有窒化物バルク単結晶を得るための3ステッププロセス)
容積90cmの高圧オートクレーブ1の結晶化領域に、膜厚200μm、全表面積1.9cmのガリウム含有窒化物の形態の3つのシード結晶を配置すると共に、溶解領域に、純度6Nの金属ガリウムの形態のフィードストック4.51g(約65mmol)と、HVPE法により得られた単結晶ガリウム含有ウウェハの形態のフィードストック1.5g(約18mmol)とを導入した。4Nの金属ナトリウム5.9g(約151mmol)をこのオートクレーブ内に配した。次に、このオートクレーブを5Nのアンモニア39.3gで充填し、密閉し、そして一連の炉内に置いた。
【0128】
2℃/minで加熱することにより、溶解領域の温度を175℃まで上昇させ、一方、結晶化領域において温度を225℃に維持した。次の3日の間、この温度を維持した(図6)。この期間の間、金属ガリウムの溶液との反応を完全とする一方、溶解領域において成長した単結晶GaNの形態のフィードストックは、十分に溶解しないか、若しくは結晶化領域に配置されたシードは溶解しない。実際、一連の温度において、第1ステップでは、両領域において質量の対流変換はない。本プロセスの第2ステップにおいて、溶解領域の温度は緩やかに3日間で500℃まで上昇し(図6)、本プロセスの8日目までこのレベルを維持した。結晶化領域における温度を、変化させずに225℃のレベルに保った。これにより、溶解領域において成長したフィードストック上において、超臨界溶媒から、ガリウム含有窒化物を結晶化することができる。結晶化領域(下部領域)におけるシード結晶は、十分に溶解しなかった。本プロセスの第3ステップにおいて、オートクレーブ内において、温度勾配(約2℃/min)を逆転させた(溶解領域における温度は、425℃のレベルに設定され、一方結晶化領域においては500℃のレベルに設定した)。このため、GaN多結晶の溶解プロセスは、溶解領域において開始され、結晶化領域に対する材料の化学輸送が開始され、シード上でGaNが結晶化した。本プロセスのこのステップにおいて、オートクレーブ内の圧力は、約260MPaであった。これらの条件下において、次の8日間オートクレーブを維持した(図6)。本プロセスの結果、フィードストックの部分溶解(即ち、第2ステップにおいて得られた層の完全な溶解、及びHVPE法により結晶化されたウウェハの形態のフィードストックとして導入された単結晶ガリウム含有窒化物の部分溶解)が溶解領域において起こり、そして、ガリウム含有窒化物の結晶化がシード上で起こり、全膜厚が約300μmの両面単結晶層を得た。
【0129】
実施例V(構成されたミネラライザ)
内径40mm、長さ480mmを有する、600cmの高圧オートクレーブの溶解領域に、金属ガリウム(6N)の形態のフィードストック53.0gを投入した。同じオートクレーブの結晶化領域に、HVPE法により得られたガリウム含有窒化物ウェハの形態のフィードストック(約1インチの直径を有し、2.0gの質量を有する)を導入した。ミネラライザとして、4Nの金属ナトリウム12.0g、及び4Nの金属カリウム19.5gをこのオートクレーブ内に配置した。続いて、オートクレーブに255.0gのアンモニア(5N)を充填し、オートクレーブを密閉し、一連の炉内に配置した。溶解領域の温度を450℃まで1℃/minで増加させ(図7)、結晶化領域は加熱せず、その温度は250℃を超えなかった。このようにして、KNH:NH=0.035、NaNH:NH=0.035のモル比の超臨界アンモニア含有溶液を得た。この温度分布は、オートクレーブ内において、4日間維持された(図7)。この間、ガリウムの部分的溶解と、非可溶性ガリウムのGaN多結晶に対する完全な反応が起こった。
【0130】
続いて、オートクレーブ内の圧力が約280MPaに達した状態で、溶解領域の温度を500℃まで(1℃/minで)増加させ、結晶化領域の温度を緩やかに550℃まで(0.1℃/minで)増加させた(図7)。このような条件(本プロセスの第2ステップ)下においてオートクレーブをその後20日間維持した(図7)。本プロセスの結果、フィードストック(例えばGaN多結晶)の部分溶解が、溶解領域において観察され、結晶化領域において、HVPEによるシード上においてガリウム含有窒化物の結晶化が起こった。全膜厚が約2mmである、単結晶層の形態のシードの両面においてガリウム含有窒化物が結晶化した。
【0131】
実施例VI(構成されるミネラライザ)
金属ナトリウム12.0g、金属カリウム19.5gを使用する代わりに、3Nの金属マグネシウム1.2gと共に、4Nの金属カリウム39.0gを使用したこと、そしてガリウム含有窒化物バルク単結晶を24日間プロセス成長させた後、層が約2mmの層が得られたこと以外、実施例Vと同じような手順で行った。
【0132】
実施例VII(構成されたミネラライザ)
内径40mm、長さ480mm、603cmを有する高圧オートクレーブの溶解領域に、53.0g(約750mmol)、純度6Nの金属ガリウムの形態のフィードストックを投入した。そして、結晶化領域に、HVPE法により得られたガリウム含有窒化物の形態のシード(約1インチの直径を有し、0.74gの質量を有する)を投入した。続いて、4Nの金属カリウム38g(約1000mmol)、及び4NのZnS5.0g(50mmol)をこのオートクレーブ内に配置した。続いて、オートクレーブに260gのアンモニア(5N)を充填し、オートクレーブを密閉し、一連の炉内に配置した。
【0133】
2℃/minで加熱することにより、オートクレーブの溶解領域の温度を425℃まで増加させた(図8)。溶解領域が425℃/minの目標温度に達した時、即ち本プロセスの最初から約4時間の期間の後、再結晶領域の加熱を(約2℃/minの割合で)開始した。結晶化領域における温度は、次の数時間後、500℃に達した。オートクレーブ内の圧力は約260MPaであった。このように、モル比がKNH:NH=0.07であって、I族元素イオンに対するS化合物のモル比が1:20である超臨界アンモニア含有溶液を得た。このバランス(即ち、溶解領域において425℃、結晶化領域において500℃)は、本プロセスの最後まで、即ち約8日間維持された(図8)。
【0134】
本プロセスの結果、フィードストックの部分溶解が、溶解領域において観察され、さらに約510μmの全膜厚を有する両面単結晶層の形態のシード上においてガリウム含有窒化物の結晶化が起こった。
【0135】
実施例VIII(アジドミネラライザ)
84cmの高圧オートクレーブの溶解領域に(図1及び2)に、純度6Nの金属ガリウム0.27g、及び、200μmの膜厚を有する、HVPE法により得られたガリウム含有窒化物の形態のフィードストック6.0gを投入した。そして、HVPE法により得られたGaNシード0.5gを同じオートクレーブの結晶化領域に配置した。その後、5Nのナトリウムアジド9.8g、5Nのアンモニア39gをオートクレーブ内に配置した。オートクレーブを密閉し、炉のチャンバ内に配置し、300℃まで加熱した。オートクレーブ内のこの温度をさらに2日間維持した。その期間の間、アジドは分解され、アンモノ塩基性溶媒が生成された。これにより、金属ガリウムを完全に溶解することができる。二日後、オートクレーブ内の溶解領域の温度を、400℃まで増加させる一方、結晶化領域の温度を500℃まで増加させた。さらに14日間オートクレーブ内のこの温度分布を維持した(図9)。そのような条件下において、オートクレーブ内の予期された圧力は、約230MPaであった。実際の圧力は、約330MPaとなった。そしてこの観測された増加は、アジドの分解の間生成された窒素ガスのためであった。このプロセスの結果として、溶解領域においてフィードストックが部分的に溶解し、結晶化領域においてそれぞれのシードの両面において単結晶ガリウム含有窒化物が成長したことが観察された。結晶化された層の全膜厚は、約800μmであった。
【0136】
実施例IX(アジドミネラライザ)
84cmの高圧オートクレーブの溶解領域に(図1及び2)に、6Nの金属ガリウム1.05g、及び、200μmの膜厚を有する、HVPE法により得られたガリウム含有窒化物ウェハの形態のフィードストック6.0gを投入した。そして、HVPE法により得られたGaNシード0.7gを同じオートクレーブの結晶化領域に配置した。その後、5Nのナトリウムアジド4.9g、4Nの金属カリウム2.9g及び5Nのアンモニア3gをオートクレーブ内に配置した。オートクレーブを密閉し、炉のチャンバ内に配置し、300℃まで加熱した。オートクレーブ内のこの温度をさらに2日間維持した(図10)。その期間の間、アジドは分解され、アンモノ塩基性溶媒が生成された。これにより、金属ガリウムを完全に溶解することができた。二日後、オートクレーブ内の溶解領域の温度を、一日間で500℃まで増加させた。その後、溶解領域の温度を450℃まで増加させる一方、結晶化領域の温度を550℃まで増加させた。さらに7日間オートクレーブ内のこの温度分布を維持した(図10)。そのような条件下において、オートクレーブ内の予期された圧力は、約260MPaであった。実際の圧力は、約310MPaとなった。そしてこの観測された増加は、アジドの分解の間生成された窒素ガスのためであった。このプロセスの結果として、溶解領域においてフィードストックを部分的に溶解し、結晶化領域においてそれぞれのシードの両面において単結晶ガリウム含有窒化物が成長したことが観察された。結晶化された層の全膜厚は、約700μmであった。
【0137】
実施例X(アジドミネラライザ)
84cmの高圧オートクレーブの溶解領域に(図1及び2)に、6Nの金属ガリウムの形態のフィードストック8.0gを投入し、さらに、それぞれが250μmの膜厚を有する、HVPE法により得られたGaNシード0.5gを同じオートクレーブの結晶化領域に配置した。そして、HVPE法により得られたGaNシード0.5gを同じオートクレーブの結晶化領域に配置した。その後、5Nのナトリウムアジド4.9g、5Nのアンモニア38gをオートクレーブ内に配置した。オートクレーブを密閉し、炉のチャンバ内に配置した。オートクレーブ内の溶解領域のこの温度を、緩やかに加熱することにより(0.35℃/min)、500℃まで増加させる一方、結晶化領域の温度を300℃のレベルで維持した。溶解領域における目標温度500℃を約1日で達成した(図11)。この期間の間、アジドは分解され、アンモノ塩基性溶媒が生成された。これにより、金属ガリウムを部分的に溶解することができ、全ての非可溶性ガリウムを多結晶性GaNに反応させることができる。3日後、溶解領域の温度を、550℃まで(2℃/minで)増加させた。さらに14日間オートクレーブ内のこの温度分布を維持した(図11)。そのような条件下において、オートクレーブ内の予期された圧力は、約270MPaであった。実際の圧力は、約330MPaとなった。そしてこの観測された増加は、アジドの分解の間生成された窒素ガスのためであった。このプロセスの結果として、溶解領域においてフィードストック(例えばGaN多結晶)が部分的に溶解し、結晶化領域においてそれぞれのシードの両面において単結晶ガリウム含有窒化物が成長したことが観察された。結晶化された層の全膜厚は、約1.6mmであった。
【0138】
実施例XI(アジドミネラライザ)
横成長を受けやすい表面を有するシード(ELOG構造)を使用したこと以外、実施例VIII〜Xに記載された手順を繰り返した。我々のケースにおいて、ELOG構造は、約10μmの高さ、7μmの広さを有するリッジの形状を有する。結晶化領域において、シード上に単結晶ガリウム含有窒化物層が成長することが観測され、成長したGaNは、良好な結晶性を有する。
【0139】
実施例XII(アジドミネラライザ)
NaN:Mg(N=20:1のモル比のナトリウムアジドとマグネシウムアジドとの混合物を使用したこと以外、実施例VIII〜Xに記載の手順を繰り返した。同様な結果が得られ、そしてシード上に積層されたGaNのバルク単結晶は良好な結晶性を有していた。
【0140】
実施例XIII(アジドミネラライザ)
84cmの高圧オートクレーブの溶解領域(図1及び2)に、窒化アルミニウムタブレットの形態のフィードストック0.5gを投入し、さらに6Nの金属ガリウム0.28g、HVPE法により得られたGaNシード1.6gを、同じオートクレーブの結晶化領域に配置した。その後、4Nのナトリウムアジド9.2g、5Nのアンモニア36.6gをオートクレーブ内に配置した。オートクレーブを密閉し、炉のチャンバ内に配置し、そして、オートクレーブ内の温度を、一日で、結晶化領域において325℃まで増加させる一方、溶解領域において温度を275℃まで増加させた。アジドは分解され、アンモノ塩基性溶媒が生成された。これにより、金属ガリウムを全体的に溶解することができた。その後、溶解領域の温度を400℃まで増加させる一方、結晶化領域の温度を500℃まで増加させた(図12)。さらに、一日後、溶解領域及び結晶化領域のそれぞれにおける温度を450℃又は550℃まで非常に緩やかに(約2℃/hで)増加させた。そのような条件下において、オートクレーブ内の予期された圧力は、約260MPaであった。実際の圧力は、約360MPaとなった。そしてこの観測された増加は、アジドの分解の間生成された窒素ガスのためであった。そのような条件下において、オートクレーブをさらに2日間維持した(図12)。このプロセスの結果として、溶解領域においてフィードストック(例えばAlNタブレット)が部分的に溶解し、結晶化領域においてそれぞれのシードの両面において単結晶AlGaN層が成長したことが観察された。結晶化された層の全膜厚は、約10μmであった。混合された窒化物の、積層された層は、良好な結晶性を有し、2つの独立した測定技術(SEM−EDX及びX線回折法)により、層の組成がAl0.2Ga0.8Nであることが明らかにされた。
【0141】
実施例XIV)(切断及びアニール)
実施例I―XIIIにおいて上記のように記載された同様の方法で得られた結晶は、基板としてそれらの結晶を使用するために次のプロセスに供された。
1)HVPE−GaNを用いてシード上で成長させた5mmの単結晶層を炉内に配置し、600℃〜900℃の温度で、少量の酸素を含む窒素雰囲気中で1〜5時間アニールした。
2)タカトリ社により製造されたワイヤーソーに単結晶層を配置した。結晶の主軸に対して適切なオフ角をサンプルに与えるために、サンプルを1°以下の角度で配置した。その後、ワイヤソーを使用して、サンプルを5つのウウェハに分割し、0.05°〜0.2°のオフ角を有するサンプルを得た。
3)続いて、このサンプルを炉内に配置し、再び600℃〜900℃の温度で、少量の酸素を含む窒素雰囲気中で1〜5時間アニールした(このようにして準備されたサンプルはGaN基板と称される)。
4)続いて、このGaN基板を、ロジテック社(Logitech Ltd.)により製造された研磨装置に配置されたワークテーブル上に載置し、それぞれのサイド上において連続的に研磨した。この研磨プロセスにおいて、ダイヤモンドツール、及びシリカ若しくはアルミナスラリー(3〜6若しくは9〜11のpHを有する)を使用した。得られた表面の粗さは10Å以下であった。
5)次のステップにおいて、以下の特定の条件下で、HVPE法を使用することにより、GaN基板表面に、GaN若しくはAlGaNの保護層(数μmの厚み)を被覆し、このようにして、テンプレートタイプの基板を得た。
6)任意ではあるが、上述の保護層を有するGaNテンプレート上、若しくは、保護層を有しないGaNテンプレート上に、3mm厚のGaN層をHVPE法により製造した。前述した手順による分割及び研磨の後、オプトエレクトロニクスデバイスに使用するための、0.5mmの厚さを有するテンプレートタイプの基板を得た。
【0142】
実施例XV(洗浄)
直径1インチ、重さ15gを有する10個のウウェハを、超臨界アンモニア含有溶液から成長法により得られるGaNの形態で、直径40mm、長さ480mm、容積600cmを有する高圧オートクレーブ(図1及び2)に投入した。続いて、255.0gのアンモニア(5N)をオートクレーブに充填し、このオートクレーブを密閉した。その後オートクレーブを炉システム内に配置し、溶解領域の温度を450℃まで加熱し、結晶化領域は550℃の温度まで加熱した。このようにして、アンモニア含有溶液を超臨界状態とした。3日後、電力を炉から遮断した。このような条件下で、オートクレーブ自身を冷却したまま放置した(図13)。本プロセスの結果、SIMSとしてマークされたGaN基板層における不純物のレベルを著しく減少させた。
【0143】
それが高い結晶性を有するため、本発明に係る方法により得られ、そして予め処理されたガリウム含有窒化物バルク単結晶は、窒化物に基づくオプトエレクトロニクス半導体装置、特にレーザダイオードのための基板材料として使用することができる。
【0144】
上記実施例は、本発明に係るプロセスの好ましい実施の形態を例示することを意図したものである。当業者であれば本プロセスを容易に変更することができ、そのような変更は、添付のクレームにおいて規定された本発明の技術的範囲に含まれることが意図される。
【0145】
本発明に係る好ましい実施の形態は、以下の通りである。
【0146】
1 ミネラライザが添加された超臨界アンモニア含有溶媒中において、ガリウム含有フィードストックから単結晶ガリウム含有窒化物を得るための方法であって、
上記フィードストックが、金属ガリウムの形態であり、上記ミネラライザがI族元素(IUPAC1989)及び/又はそれらの混合物及び/又はそれらの化合物、特に窒素及び/又は水素を含む化合物であり、一方、アンモニア含有溶媒がミネラライザ及びアンモニアの形態であり、本プロセスのそれぞれのステップにおいて2つの温度領域が存在し、このフィードストックは、溶解領域に配置され、少なくとも1つの結晶シードが結晶化領域に配置され、続いて当該溶媒が超臨界状態とされ、本プロセスは、金属の形態からフィードストックを変換する第1ステップと、反応系(フィードストック、シード及びミネラライザを含む。)の全ての必要不可欠な成分が全プロセスを通して当該系内において不変的に残ったままで、フィードストックを徐々に溶解し、及びフィードストックの溶解温度より高い温度で少なくとも1つの単結晶シード上でガリウム含有窒化物を選択的に結晶化することにより、ガリウム含有窒化物を結晶化し、その後ガリウム含有窒化物バルク単結晶を得る第2ステップと、を有することを特徴とする。
【0147】
2 それが閉鎖系において実行されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【0148】
3 上記反応系における気相成分が、本プロセスの第1ステップの後変換されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【0149】
4 上記ガリウム含有窒化物が、AlGa1−XN(0≦X<1)の一般式を有することを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【0150】
5 上記の窒素及び/又は水素を含むI族元素の化合物として、水素化物、アミド、イミド、アミド−イミド、窒化物、アジド、若しくはそれらの混合物を使用することを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【0151】
6 作成されたアンモニア含有溶媒が、I族元素のイオン、特にナトリウムのイオンと共に、
(a)他のI族元素のイオン、
(b)II族元素のイオン、好ましくはカルシウムイオン若しくはマグネシウムイオン、
(c)超臨界溶媒のアンモノ塩基性を弱める酸素フリーの化合物(species)を含む1以上の物質、若しくは
(d)II族元素イオン、好ましくはカルシウムイオン若しくはマグネシウムイオン、及び超臨界溶媒のアンモノ塩基性を弱める酸素フリーの化合物を含む1以上の物質、
を含むことを特徴とする請求項1、2又は3記載のプロセス。
【0152】
7 上記ミネラライザが、I族元素の形態であることを特徴とする請求項1、2、又は3に記載のプロセス。
【0153】
8 上記のI族元素のアジドが、LiN、NaN、KN、CsN、若しくはそれらの混合物であることを特徴とする請求項7記載のプロセス。
【0154】
9 アンモニアに対する、投入されるI族元素アジドのモル比が、1:200から1:2の範囲に及んでいることを特徴とする請求項7記載のプロセス。
【0155】
10 上記溶解領域が、上記結晶化領域の上部にあることを特徴とする請求項1、2、若しくは3記載のプロセス。
【0156】
11 上記第1ステップにおいて、両領域間の対流及び化学輸送が抑制され、さらに可溶性ガリウム化合物に対する超臨界溶液の過飽和度が減少することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロセス。
【0157】
12 溶解領域に配置された金属ガリウムを含むルツボの開閉を調整することにより、可溶性ガリウム化合物に対する超臨界溶液の過飽和度を減少させることを特徴とする請求項11記載のプロセス。
【0158】
13 上記溶解領域における、第1ステップの最初の段階での温度勾配が、0.1℃/minより高く、さらに上記溶解領域における、第1ステップの温度が350℃以上、好ましくは400℃以上に維持されることを特徴とする請求項11記載のプロセス。
【0159】
14 上記結晶化領域において、第1ステップの間維持される温度により、上記シードが溶解しないか、若しくは無視しうる程度でしか溶解しないことを特徴とする請求項11記載のプロセス。
【0160】
15 上記溶解領域における温度が、第1ステップにおける結晶化領域の温度より高く維持され、さらに第2ステップにおいて、結晶化領域の温度を、溶解領域の温度より高い値まで増加させることを特徴とする請求項11記載のプロセス。
【0161】
16 上記結晶化領域における、第1ステップの温度が、500℃以下、好ましくは400℃以下、最も好ましくは300℃以下であることを特徴とする請求項15記載のプロセス。
【0162】
17 上記第2ステップの最初の段階での、両領域間の温度勾配が逆転し、対流による質量輸送が上記両領域間で起こることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロセス。
【0163】
18 上記第2ステップの最初の段階での、結晶化領域での温度勾配により、シードを溶解することを可能とすることを特徴とする請求項17記載のプロセス。
【0164】
19 上記第2ステップが、上記第1ステップが未だ完了していない時に開始されることを特徴とする請求項17記載のプロセス。
【0165】
20 上記第2ステップにおいて、溶解領域の温度が結晶化領域の温度より低く維持されていることを特徴とする請求項17記載のプロセス。
【0166】
21 上記結晶化領域における第2ステップの温度が、350℃以上、好ましくは400℃以上であり、最も好ましくは500℃〜550℃の間に及ぶことを特徴とする請求項20記載のプロセス。
【0167】
22 ミネラライザがオートクレーブ内に導入され、続いて金属ガリウムの形態のフィードストックをオートクレーブの溶解領域に配置し、そして少なくとも1つのシードをオートクレーブの結晶化領域に載置し、その後オートクレーブをアンモニアで満たすこと、
続いて、第1ステップにおいて、溶媒を超臨界状態へ変更される一方、溶解領域においては、金属ガリウム及び超臨界溶媒との間で少なくとも部分的に反応させるために温度を徐々に且つ選択的に増加させ、同時に、無視しうるレベルでシードが溶解される結晶化領域においてはこの温度を維持することにより、両領域の温度を異なるように維持し、
続いて、溶解領域において、温度を、多結晶の形態のガリウム含有窒化物が得られる値まで増加させ、そして、シードが無視しうる速度で溶解される結晶化領域においては、その温度を維持し、
溶解領域において少なくとも部分的に多結晶のガリウム含有窒化物が得られた後、結晶化領域の平均温度は、溶解領域での平均温度より高い値まで増加され、対流による化学輸送が引き起こされ、そしてガリウム含有窒化物の結晶化を上記シード上で実行することを特徴とする。
【0168】
23 ガリウム含有窒化物バルク単結晶の成長速度を制御するためのプロセスであって、当該プロセスは、金属の形態からガリウム含有窒化物多結晶までフィードストックを変換しつつ、対流及び化学輸送を抑制する第1ステップと、その後フィードストックの溶解の条件、及び可溶性ガリウム化合物に対する超臨界溶液の過飽和度の条件が制御される第2ステップとを有し、上記フィードストックは、徐々に溶解し、さらに対流が引き起こされた後、フィードストックの溶解領域での温度より高い温度で、少なくとも1つの単結晶シード上においてガリウム含有窒化物が選択的に結晶化され、上記フィードストックが完全に又は部分的に消費され、ガリウム含有窒化物バルク単結晶が得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロセス。
【0169】
24 上記の第2ステップにおけるフィードストックの溶解速度が、リチウム、ナトリウム、カリウム及びそれらの混合物及び化合物、特に窒素及び/又は水素を含むものを含有するI族元素からミネラライザを選択することを介して、本プロセスの圧力及び温度に依存して、制御されることを特徴とする請求項23記載のプロセス。
【0170】
25 上記ミネラライザの、アンモニアに対する好ましいモル比が、本プロセスの一連の条件に従って、使用されることを特徴とする請求項24記載のプロセス。
【0171】
26 上記第2ステップにおけるフィードストックの溶解速度が、溶解領域のガリウム含有窒化物多結晶を含むルツボの開閉度を調整することを介して、制御されることを特徴とする請求項23記載のプロセス。
【0172】
27 溶解領域の温度が減少することを介して、上記第2ステップにおいて、フィードストックの溶解度が増加することを特徴とする請求項23記載のプロセス。
【0173】
28 上記両領域間の温度差を介して対流が制御されることを特徴とする請求項23記載のプロセス。
【0174】
29 上記領域のポジションをそれぞれに対して制御することを介して対流を制御することを特徴とする請求項23記載のプロセス。
【0175】
30 上記2つの領域を分離するバッフルの開閉を制御することを介して第2ステップにおける対流を制御することを特徴とする請求項23記載のプロセス。
【0176】
31 第2ステップにおける結晶化領域の超臨界溶液中における、可溶性のガリウム含有化合物の濃度は、それが、結晶化領域の温度の増加を介してガリウム含有窒化物に対する最小の過飽和度に達するまで増加することを特徴とする請求項23記載のプロセス。
【0177】
32 ガリウム含有窒化物に対する超臨界溶液の過飽和が、結晶化領域における温度の増加を介して、結晶化領域において増加することを特徴とする請求項31記載のプロセス。
【0178】
33 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により得られるガリウム含有窒化物バルク単結晶から基板を形成するプロセスであって、上述のように得られたガリウム含有窒化物バルク単結晶層がその後分割され洗浄されることを特徴とするプロセス。
【0179】
34 上記のシード上に結晶化されたガリウム含有窒化物バルク単結晶層が、1mm以上、好ましくは3mm以上の膜厚を有することを特徴とする請求項33記載のプロセス。
【0180】
35 上述のようにして得られた基板上に、気相から結晶化させる方法により、好ましくはMOCVD法若しくはHVPE法を使用して、保護層を成長させることを特徴とする請求項33記載のプロセス。
【0181】
36 上述のようにして得られた基板上に、AlGa1−XN(0≦X<1)からなる保護層を成長させることを特徴とする請求項35記載のプロセス。
【0182】
37 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により得られるガリウム含有窒化物バルク単結晶中の不純物のレベルを減少させるためのプロセスであって、上述のようにして得られたガリウム含有窒化物バルク単結晶が、約600℃〜約1050℃の間の温度で、できる限り酸素を添加させながら、不活性ガスの雰囲気下でアニールされ、それにより、アニール前より高い結晶性を有する材料を作成することを特徴とするプロセス。
【0183】
38 窒素及び/又はアルゴンが不活性ガスとして作用することを特徴とする請求項37記載のプロセス。
【0184】
39 10〜30体積%の間の酸素を添加した不活性ガス雰囲気中において、アニールが実行されることを特徴とする請求項37又は38記載のプロセス。
【0185】
40 上記アニールプロセスが、不純物(水素、及び/又はアンモニア、若しくは結晶化プロセス及び/又はアニールプロセスの間形成された不純物から形成されたイオン等)が所望のレベルに達するまで、単一のステップにおいて、若しくは複数のステップにおいて実行されることを特徴とする請求項37記載のプロセス。
【0186】
41 請求項1〜3のいずれかに記載された方法により得られるガリウム含有窒化物バルク単結晶から不純物を取り除くためのプロセスであって、
上述のようにして得られたバルク状ガリウム含有窒化物の単結晶の層が、1mm以上、好ましくは3mm以上の膜厚を有し、その後当該層は複数のウウェハに分割され、上記ウウェハは、
(a)超臨界アンモニア含有溶媒の雰囲気下で、水若しくは二酸化炭素で濯ぎ洗いし、
(b)液体のアンモニア含有溶媒の雰囲気下で、水若しくは二酸化炭素で濯ぎ洗いし、
(c)少なくともいくつかの不純物が、単結晶窒化物から洗い落とされながら、気相の水素、窒化物、アンモニアの作用に供されることを特徴とするプロセス。
【0187】
42 (a)超臨界アンモニア含有溶媒の雰囲気下で、水若しくは二酸化炭素で濯ぎ洗いするか、若しくは
(b)液体のアンモニア含有溶媒の雰囲気下で、水若しくは二酸化炭素で濯ぎ洗いすることにより不純物を取り除くためのプロセスが、超音波を加えることにより補助されることを特徴とする請求項41記載のプロセス。
【0188】
43 気相の水素、窒素、若しくはアンモニア中において不純物を除去するプロセスが、電子ビームにさらすことにより補助されることを特徴とする請求項41記載のプロセス。
【0189】
44 ガリウム含有窒化物バルク単結晶を分割するためにワイヤソーを使用することを特徴とする請求項33又は41〜43のいずれかに記載のプロセス。
【0190】
45 生成されたアンモニア含有溶媒が、少なくともI族元素イオン、及びアクセプタ(II族及びIV族、IUPAC1989)のイオンを含んでおり、上述のようにして得られたガリウム含有窒化物バルク単結晶は、水素を含まないが酸素を含む雰囲気中においてアニールされることを特徴とする請求項6記載のプロセス。
【0191】
46 マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)若しくはカドミウム(Cd)などの元素がアクセプターとして作用することを特徴とする請求項6記載のプロセス。
【0192】
47 超臨界アンモニア含有溶媒中において、ガリウム含有フィードストックからガリウム含有窒化物バルク単結晶を得るためのプロセスであって、
上記フィードストックが、金属ガリウムの形態の若しくは単結晶ガリウム含有窒化物の形態をしており、上記アンモニア含有溶媒は、I族元素及び/又はそれらの混合物及び/又はそれらの化合物、特に窒素及び/又は水素をふくむものの形態をしたミネラライザが添加されたアンモニアの形態であり、プロセスのそれぞれのステップにおいて2つの温度領域が存在し、フィードストックが溶解領域に配置され、そして少なくとも1つの単結晶シードが再結晶領域に積層され、続いて溶媒を超臨界状態に変換し、上記プロセスは、第1温度で金属ガリウムを溶液に変換する第1ステップと、その後単結晶のガリウム含有窒化物の形態のフィードストック上にガリウム含有窒化物を選択的に結晶化させる第2ステップと、その後フィードストックを徐々に溶解し、フィードストックの溶解温度より高い温度で少なくとも1つのシード上においてガリウム含有窒化物を選択的に結晶化することを介して、ガリウム含有窒化物を結晶化させる第3ステップとを有する一方、反応系(フィードストック、シード及びミネラライザを含む)の全ての必要不可欠な構成要素が、当該系において不変的に残っており、その後ガリウム含有窒化物バルク単結晶が得られることを特徴とするプロセス。
【0193】
48 上述のプロセスを閉鎖系で実行されることを特徴とする請求項47記載のプロセス。
【0194】
49 反応系の気相成分を、本プロセスの第1ステップの後で交換することを特徴とする請求項47記載のプロセス。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】図1は、本発明に使用されるオートクレーブ及び一連の炉の断面を示している。
【図2】図2は、本発明に係るバルク単結晶を得るための装置の概略斜視図を示している。
【図3】図3は、温度T=400℃及びT=500℃において、超臨界アンモニア含有カリウムアミド(KNH2:NH3のモル比が0.07)におけるGaN溶解度の圧力依存性を示している。
【図4】図4は、本発明に係るプロセスの好ましい実施の形態における一時的な温度変化を示している(実施例I)。
【図5】図5は、本発明に係るプロセスの他の好ましい実施の形態における一時的な温度変化を示している(実施例III)。
【図6】図6は、実施例IVのオートクレーブ内での、時間に対する温度変化を示している。
【図7】図7は、実施例V及びVIのオートクレーブ内での、時間に対する温度変化を示している。
【図8】図8は、実施例VIIのオートクレーブ内での、時間に対する温度変化を示している。
【図9】図9は、実施例VIIIのオートクレーブ内での、時間に対する温度変化を示している。
【図10】図10は、実施例IXのオートクレーブ内での、時間に対する温度変化を示している。
【図11】図11は、実施例X−XIIのオートクレーブ内での、時間に対する温度変化を示している。
【図12】図12は、実施例XIIIのオートクレーブ内での、時間に対する温度変化を示している。
【図13】図13は、実施例XVのオートクレーブ内での、時間に対する温度変化を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミネラライザが添加された超臨界アンモニア含有溶媒中において、ガリウム含有フィードストックから単結晶ガリウム含有窒化物を得るためのプロセスであって、
上記プロセスは、
フィードストックを金属の形態からガリウム含有窒化物多結晶まで変換する第1ステップと、
フィードストックが徐々に溶解され、そしてフィードストックの溶解温度より高い温度で少なくとも1つの単結晶シード上においてガリウム含有窒化物が選択的に結晶化されることにより、ガリウム含有窒化物が結晶化されその後ガリウム含有窒化物バルク単結晶が得られる第2ステップと、を有することを特徴とするプロセス。
【請求項2】
上記のI族元素のアジドが、LiN、NaN、KN、CsN、若しくはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
上記第1ステップにおいて、両領域間の対流及び化学輸送を抑制し、さらに可溶性ガリウム化合物に対する超臨界溶液の飽和度が減少することを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項4】
溶解領域に配置された金属ガリウムを含むルツボの開閉を調整することにより、可溶性ガリウム化合物に対する超臨界溶液の飽和度を減少させることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項5】
上記溶解領域における、第1ステップの最初の段階での温度勾配が、0.1℃/minより大きく、さらに上記溶解領域における、第1ステップの温度が350℃以上、好ましくは400℃以上に維持されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項6】
第1ステップにおいて、上記溶解領域における温度が、結晶化領域の温度より高く維持され、さらに第2ステップにおいて、結晶化領域の温度を、溶解領域の温度より高い値まで増加させることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項7】
上記結晶化領域における、第2ステップの最初の段階での温度勾配により、シードを溶解することを可能とすることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項8】
請求項1記載のプロセスにおいて、ガリウム含有窒化物バルク単結晶の成長速度を制御するためのプロセスであって、
上記プロセスは、
対流及び化学輸送を抑制しつつ、フィードストックを金属の形態からガリウム含有窒化物多結晶まで変換する第1ステップと、
その後フィードストックの溶解の条件、及び可溶性ガリウム化合物に対する超臨界溶液の飽和度の条件が制御され、
さらに対流が引き起こされた後、上記フィードストックが完全に又は部分的に消費される間、上記フィードストックが徐々に溶解され、フィードストックの溶解領域での温度より高い温度で、少なくとも1つの単結晶シード上においてガリウム含有窒化物が選択的に結晶化され、そしてガリウム含有窒化物バルク単結晶が得られる第2ステップと、を有することを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項9】
請求項1記載の方法により得られるガリウム含有窒化物バルク単結晶から基板を形成するプロセスであって、上述のように得られたガリウム含有窒化物バルク単結晶層がその後分割され洗浄されることを特徴とするプロセス。
【請求項10】
上記のシード上に結晶化されたガリウム含有窒化物バルク単結晶層が、1mm以上、好ましくは3mm以上の膜厚を有することを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項11】
気相から結晶化させる方法により、好ましくはMOCVD法若しくはHVPE法を使用して、得られた基板上に保護層を成長させることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項12】
上述のようにして得られた基板上に、AlGa1−XN(0≦X<1)からなる保護層を成長させることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項13】
上記アニールプロセスが、不純物(水素、及び/又はアンモニア、若しくは結晶化プロセス及び/又はアニールプロセスの間形成された不純物から形成されたイオン等)が所望のレベルに達するまで、単一のステップにおいて、若しくは複数のステップにおいて実行されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項14】
請求項1に記載された方法により得られるガリウム含有窒化物バルク単結晶から不純物を取り除くためのプロセスであって、
上述のようにして得られたバルク状ガリウム含有窒化物の単結晶の層が、1mm以上、好ましくは3mm以上の膜厚を有し、その後当該層は複数のウウェハに分割され、上記ウウェハは、
(a)超臨界アンモニア含有溶媒の雰囲気下で、水若しくは二酸化炭素により濯ぎ洗いされるか、
(b)液体のアンモニア含有溶媒の雰囲気下で、水若しくは二酸化炭素により濯ぎ洗いされるか、若しくは、
(c)少なくともいくつかの不純物が、単結晶窒化物から洗い落とされながら、気相の水素、窒化物、アンモニアの作用に供されることを特徴とするプロセス。
【請求項15】
(a)超臨界アンモニア含有溶媒の雰囲気下で、水若しくは二酸化炭素で濯ぎ洗いするか、若しくは
(b)液体のアンモニア含有溶媒の雰囲気下で、水若しくは二酸化炭素で濯ぎ洗いすることにより不純物を取り除くプロセスが、超音波を加えることにより補助されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項16】
ガリウム含有窒化物バルク単結晶を分割するためにワイヤソーを使用することを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
超臨界アンモニア含有溶媒中において、ガリウム含有フィードストックからガリウム含有窒化物バルク単結晶を得るためのプロセスであって、
上記フィードストックが、金属ガリウムの形態若しくは単結晶ガリウム含有窒化物の形態をしており、
上記アンモニア含有溶媒は、I族元素及び/又はそれらの混合物及び/又はそれらの化合物、特に窒素及び/又は水素を含む化合物の形態をしたミネラライザが添加されたアンモニアの形態であり、
プロセスのそれぞれのステップにおいて2つの温度領域が存在し、フィードストックが溶解領域に配置され、そして少なくとも1つの単結晶シードを再結晶領域において成長させ、続いて溶媒を超臨界状態とし、
上記プロセスは、
第1温度で金属ガリウムを溶液に変換する第1ステップと、
その後単結晶のガリウム含有窒化物の形態のフィードストック上にガリウム含有窒化物を選択的に結晶化させる第2ステップと、
その後、反応系(フィードストック、シード及びミネラライザを含む)の全ての必要不可欠な成分が当該系に不変的に残ったまま、フィードストックを徐々に溶解し、さらにフィードストックの溶解温度より高い温度で少なくとも1つのシード上においてガリウム含有窒化物を選択的に結晶化することにより、ガリウム含有窒化物を結晶化させ、その後ガリウム含有窒化物バルク単結晶が得られる第3ステップと、を有することを特徴とするプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2006−509708(P2006−509708A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558481(P2004−558481)
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015904
【国際公開番号】WO2004/053206
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(502177901)アンモノ・スプウカ・ジ・オグラニチョノン・オドポヴィエドニアウノシツィオン (12)
【氏名又は名称原語表記】AMMONO Sp.zo.o.
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】