ガードケーブル
【課題】道路の延長方向へ一定の間隔をあけて立設した支柱間に上下方向に間隔をあけて複数本のケーブルを架設して車両飛び出し防止を図るガードケーブルを提供する。
【解決手段】支柱3は、道路の延長方向に相対峙する側面にスリット6が設けられ、複数本のケーブル2はスリット6を貫通させ支柱3間に架設され、支柱3の中空部にケーブル間隔保持材7が抜き差し可能に嵌められており、ケーブル間隔保持材7には、抜け止め部を備え且つケーブル2を緩く囲う遊嵌部73が設けられ、遊嵌部73は、支柱3の傾斜に対してその抜け止め部からケーブル2が抜け外れないようにケーブル2を遊嵌させており、最下位のケーブル間隔保持材7aの下方には、最下位のケーブル2aを支持するケーブル受け部12を有する支持部材10が抜き差し可能に嵌め込まれて連接されている。
【解決手段】支柱3は、道路の延長方向に相対峙する側面にスリット6が設けられ、複数本のケーブル2はスリット6を貫通させ支柱3間に架設され、支柱3の中空部にケーブル間隔保持材7が抜き差し可能に嵌められており、ケーブル間隔保持材7には、抜け止め部を備え且つケーブル2を緩く囲う遊嵌部73が設けられ、遊嵌部73は、支柱3の傾斜に対してその抜け止め部からケーブル2が抜け外れないようにケーブル2を遊嵌させており、最下位のケーブル間隔保持材7aの下方には、最下位のケーブル2aを支持するケーブル受け部12を有する支持部材10が抜き差し可能に嵌め込まれて連接されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路の延長方向へ一定の間隔をあけて立設した支柱間に、同支柱の上下方向に間隔をあけて複数本のケーブルを架設して車両飛び出し防止を図るガードケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の延長方向へ一定の間隔をあけて立設した支柱間に、同支柱の上下方向に間隔をあけて複数本のケーブルを架設して成るガードケーブルが、主に中央分離帯や路肩に設置されている。その目的は、進行方向を誤った車両が路外、対向車線または歩道などに逸脱するのを防ぐと共に、車両乗員へのダメージ及び車両の損傷を最小限にとどめて、車両の進行方向を正常な方向に復元させることである。
【0003】
こうしたガードケーブルとして、例えば下記の特許文献1には、筒型の略四角柱で、地面に深く植設された支柱間に密接に固定されたケーブルの略中央部に一定間隔でケーブル間隔保持材を設置する構成が開示されている。前記ケーブル間隔保持材は、その一側にケーブルを固定させるための固定用溝がケーブルの本数に応じて設けられており、差込棒を用いて前記ケーブルに固定する構成とされている。
また、特許文献2にはやはり地面に深く植設された支柱の外周面の上下方向にケーブル間隔保持材を固定し、同ケーブル間隔保持材に設けられたケーブル押さえ部で複数のケーブルを挟持して成るガードケーブルが開示されている。
【0004】
しかし、上記した特許文献1及び2は、支柱を地中深く植設して、同支柱が衝突エネルギーにしっかり耐える構造のガードケーブルである。また、ケーブル間隔保持材は、ケーブル本体及び支柱の外周面に固定される構成である。
上記のようなガードケーブルは、支柱へ車両が衝突すると同支柱が折れ曲がって走行車に危険であると共に、支柱の折れ曲がりに伴ってケーブルが下方へ撓んで車両が反対車線へ飛び出し二次的被害が生じる虞があった。また、ケーブル及び支柱に固定されたケーブル間隔保持材は衝突時の衝撃で外れ飛び、後続の走行車両や対向車線の走行車両に二次的被害を生じさせる虞があった。
【0005】
上記の問題点を鑑み、本出願人は、先の特願2010−149180号で地中と抜き挿し可能に立設した支柱20が車両衝突時に進行方向に積極的に倒れる構造のガードケーブルを出願した。更に、図14、図15A、Bに示すように、支柱20のスリット21内に複数のケーブル22を配置させると共に、同支柱20の中空部内にケーブル22を貫通させる遊嵌部23aを有するケーブル間隔保持材23を上下のケーブル22間に抜き差し可能に介在させ、同ケーブル間隔保持材23は下方のケーブル22を掴み持つ様態で支柱20内へ収めたガードケーブルを提案した。
したがって、車両の衝突時に支柱20が転倒する際には、同支柱20のスリット21内に収められたケーブル22が抜き差し可能に収められたケーブル間隔保持材23と共に支柱20から外れ出ることができる。すると、ケーブル22は車両の衝突時に転倒する支柱20の前後の支柱20によってその高さ位置を保持して車両がケーブル22を乗り越えることを防止できる。また、外れ出たケーブル間隔保持材23はケーブル22を掴み持ってぶら下がるので飛散による二次的被害を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−270467号公報
【特許文献2】実開平1−111710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の作用効果を確実に得るためには、車両の衝突時に支柱20の転倒に伴ってケーブル22とケーブル間隔保持材23とが支柱20からスムーズに外れることが重要である。しかし、上記したケーブル間隔保持材23は、図15A、Bに示したようにケーブル22を貫通させる遊嵌部23aの高さhがケーブル22の径より少し大きい程度であり、遊嵌部23aの頂部とケーブル22とは密接に接触する様態で支柱20のスリット21内に収まる構成である。つまり、ケーブル間隔保持材23の遊嵌部23aはケーブルとの空き幅が無い構造である。
前記の状態で支柱20に車両が衝突し同支柱20が進行方向へ傾斜し始めると、ケーブル間隔保持材23は、水平高さ位置を保持するケーブル22…に対して次第に角度が付き、ケーブル間隔保持材23と下方に接触するケーブル22とが互いに関渉して抉じれ、がたついてしまう。斯くすると、支柱20の傾斜が途中で止まりケーブル22を下方へ撓ませてしまったり、衝突が大きいとケーブル22からケーブル間隔保持材23が外れ出て、飛散する虞がある。
【0008】
本発明の目的は、上記問題点を解決することであり、支柱が車両の衝突時に道路の延長方向に倒れる際、スリット内のケーブル間隔保持材がケーブルと抉じられず、ケーブル間隔保持材がケーブルから抜け外れることなくスムーズに支柱から外れてケーブルにぶら下がることができ、ケーブル間隔保持材の飛散の防止と乗員の安全を効果的に発揮できるガードケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係るガードケーブルは、
断面中空の支柱が一定間隔をあけて立設されると共に、複数本のケーブルを上下に間隔を開けて支柱間に架設するガードケーブルであって、
前記支柱は、道路の延長方向に相対峙する側面に、上端から下方へ切り欠いたスリットが設けられていること、
前記複数本のケーブルは、上下に間隔を開けて前記スリットを貫通させ支柱間に架設されていること、
前記支柱の中空部には、上下に隣接するケーブルの間に位置するケーブル間隔保持材が抜き差し可能に嵌められてケーブルの上下の間隔を保持しており、上位に位置するケーブル間隔保持材の下端部は、下位に位置するケーブル間隔保持材の上端部に接していること、
前記ケーブル間隔保持材には、抜け止め部を備える遊嵌部が設けられ、前記遊嵌部によりケーブルを緩く囲っており、
前記遊嵌部は、支柱の傾斜に伴ってケーブル間隔保持材が傾斜しても、遊嵌部の上部及び下部の両方にケーブルが接触して抜け止め部からケーブルが抜け外れないようにケーブルを遊嵌させており、
最下位に位置するケーブル間隔保持材の下方には、最下位のケーブルを支持するケーブル受け部を有する支持部材が抜き差し可能に嵌め込まれて連接されており、同支持部材のケーブル受け部は、支柱のスリットへ挿入する繋ぎ部分に設けられ、同支柱のスリットの底部へ載置されて前記最下位のケーブル間隔保持材を支持していること、
を特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載したガードケーブルにおいて、
ケーブル間隔保持材に設けられたケーブルを貫通させる遊嵌部の上部は、逆U字形状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載したガードケーブルにおいて、
隣接する上下のケーブル間隔保持材同士は、連接可能な連接部が相対峙する配置で連接され積み重ねられていることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1に記載したガードケーブルにおいて、
支持部材には、最下位のケーブル間隔保持材と連接可能な連接部が設けられており、そのケーブル受け部はスリットの底部と接触する部分にリブを設けていることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載したガードケーブルにおいて、
支柱の中空部内へ抜き挿し可能なケーブル間隔保持材は、支柱の外周を囲むスリット開き防止用のリング部材と、スリットへ挿入する繋ぎ部分を介して連結されており、前記リング部材は、その上縁又は下縁にフランジを設けていることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載したガードケーブルにおいて、
支柱は、平面視が長方形であり、その長辺側が道路の延長方向に相対峙する配置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1〜6に記載したガードケーブルは、以下の効果を奏する。
(A)本発明は、角形鋼管支柱が、その側面(平面視の長辺側)を道路の延長方向に相対峙する配置で一定間隔をあけて立設され、複数本のケーブルを上記支柱の中空部内に挿入したケーブル間隔保持材により上下の間隔を保持し支柱間に架設したガードケーブルにおいて、特に前記ケーブル間隔保持材は、抜け止め部を備えケーブルを貫通させる遊嵌部が設けられ、前記遊嵌部は、支柱の傾斜に対してケーブルとこじられない大きさと形状で開口しており、支柱の傾斜に伴ってケーブル間隔保持材が傾斜しても、遊嵌部の上部及び下部の両方にケーブルが接触して抜け止め部からケーブルが抜け外れないようにケーブルに遊嵌させている。したがって、車両が衝突して支柱が転倒する際に同支柱が傾斜しても、支柱のスリット内の複数のケーブル間隔保持材は、下方に掴み持つケーブルとこじられにくく、支柱の転倒は何ら阻害されないので、支柱の転倒と同じタイミングでケーブルと共に支柱からスムーズに抜け出る。そうすると、ケーブルは同支柱の前後に位置する他の支柱によりその高さ及び上下の間隔の健全状態を安定して保持できる。また、ケーブル間隔保持材は、支柱から抜け出た後も各ケーブルとの掴み状態を保持し、飛散による二次的被害の要因を排除できる。
【0016】
(B)次に、隣接する上下のケーブル間隔保持材同士は、連接可能な雄部と雌部による連接部が相対峙する配置で連接され積み重ねられた構成である。また、支持部材は最下位に位置するケーブルケーブル間隔保持材と連接部により連接され、同支持部材のケーブル受け部は支柱のスリットへ挿入する繋ぎ部分に設けられ、同支柱のスリットの底部へ載置して最下位のケーブルケーブル間隔保持材を支持する構成なので、最下位のケーブル間隔保持材は、支柱の中空部内へ収めた際に、その遊嵌部の頂部でケーブルに支持されることはなく、ケーブルの上部に空間を設けて上下方向の各ケーブル間隔保持材を適切な位置に保持できる。
【0017】
(C)また、鉛直荷重が各ケーブル間隔保持材の雄部及び雌部へ伝わり、上記ケーブル受け部を介してスリットの底部へと伝達されるので、ケーブル自体に負担が殆どがかかることがない。したがって、支柱の転倒時にケーブルはストレス無くスムーズに同支柱から抜けて適切な高さ位置を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明が実施される道路の中央分離帯に設けられたガードケーブルを示した全体斜視図である。
【図2】上記ガードケーブルの平面図である。
【図3】支柱の拡大側面図である。
【図4】支柱のスリット内へケーブルとケーブルケーブル間隔保持材を設置する手順の概要を示した分解斜視図である。
【図5】支柱の中空部内へ挿入したケーブルケーブル間隔保持材及びケーブルの状態を示す一部拡大斜視図である。
【図6】A、Bは、ケーブルケーブル間隔保持材とリング部材の連接構造を示す拡大斜視図である。
【図7】ケーブルケーブル間隔保持材の下端部に設けたケーブル抜け止め部を示す底面図である。
【図8】A、Bはケーブルケーブル間隔保持材のケーブル抜け止め部からケーブルを挿入する概要を示す斜視図である。
【図9】Aは支持部材の全体形状を示す斜視図である。BはAの底面図である。CはAの側面図である。
【図10】最下位に位置するケーブルケーブル間隔保持材の構成を示す拡大斜視図である。
【図11A】図3のI−I矢視断面図である。
【図11B】Aに示す支柱の転倒時の支柱内部を示す断面図である。
【図12】A、Bは、ケーブルケーブル間隔保持材の異なる実施例を示す参考図である。
【図13】Aは実施例3のケーブルケーブル間隔保持材の一例を示す側面図である。Bは、Aのケーブルケーブル間隔保持材を支柱の中空部内へ挿入した状態を示す側面図である。
【図14】従来のガードケーブルの一例を示す斜視図である。
【図15A】従来のガードケーブルにおいて支柱の内部を示す断面図である。
【図15B】従来のガードケーブルにおいて支柱転倒時の支柱内部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、鋼管支柱3が側面を道路の延長方向に相対する配置で一定間隔をあけて立設されると共に、複数本のケーブル2を上下に間隔を開けて支柱3間に架設するガードケーブル1である。
前記支柱3は、道路の延長方向に相対峙する側面に、上端から下方へ切り欠いたスリット6が設けられている。
前記複数本のケーブル2は、上下に間隔を開けて前記スリット6を貫通させ支柱3間に架設されている。
前記支柱3の中空部には、隣接する上下のケーブル2の間に位置するケーブルケーブル間隔保持材7が抜き差し可能に嵌められてケーブル2の上下間隔を保持しており、上位に位置するケーブルケーブル間隔保持材7の下端部は、下位に位置するケーブルケーブル間隔保持材7の上端部に接している。
前記ケーブルケーブル間隔保持材7には、抜け止め部74を備える遊嵌部73が設けられ、前記遊嵌部73によりケーブル2を緩く囲っており、前記遊嵌部73は、支柱3の傾斜に伴ってケーブル間隔保持材7が傾斜しても、遊嵌部73の上部及び下部の両方にケーブル2が接触して抜け止め部74からケーブル2が抜け外れないようにケーブル2を遊嵌させている。
最下位に位置するケーブルケーブル間隔保持材7aの下方には、最下位のケーブル2aを支持するケーブル受け部12を有する支持部材10が抜き差し可能に嵌め込まれて連接されており、同支持部材10のケーブル受け部12は、支柱のスリットへ挿入する繋ぎ部分に設けられ、同支柱のスリット6の底部へ載置されて前記最下位のケーブルケーブル間隔保持材7aを支持する構成とした。
【実施例1】
【0020】
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
本発明のガードケーブルは、下記に説明する構成とされる。即ち、図1〜図3には、道路の中央分離帯の箇所に約3mの間隔を置いて支柱3を立設し、上下方向に間隔をあけて4本のケーブル2を同ケーブル2の両端に設置した端部支柱4により20kNで引張して準備し、同支柱3、3間に架設して構築したガードケーブル1を示した。
前記支柱3は、縦横比が異なる平面視が長方形の角形鋼管支柱である。したがって、同支柱3は、平面視の長辺側が短辺側に対して弱軸側31となり、前記短辺側が長辺側に対して強軸側32を有する構成となる。前記弱軸側31と強軸側32の寸法は、例えば100×50mmであり、前記弱軸側31は衝突荷重に対して積極的に変形する性質を発揮する。
【0021】
上記構成の角管支柱3を、前記弱軸側31が車両の進行方向R、Lに相対峙する配置で、地中へ予め埋設された鞘管5の中空部内へ抜き挿し可能に差し込んで立設されている。
一般的に走行中の車両は大型車では15°以内、小型車では20°以内の角度でガードケーブル1へ衝突することが多く確認されており、上記のように支柱3の弱軸側31を道路の横断方向へ向けていれば、車両は必然的に支柱3の弱軸側31へ衝突する。すると、支柱3は確実に道路の延長方向R(対向車が衝突した場合はL)へ倒れて、車線上に飛び出る虞を緩和できる。
【0022】
前記鞘管5は、特に図3に示すように、支柱3の下端部をその中空部内へ挿入可能な縦横比を有し、高さは例えば約500mmであり、地中レベルと鞘管5の上面とが略一致するように埋設されている。
【0023】
前記鞘管5の埋設方法としては、先ず鞘管5に収まる略同形の棒状部材(図示省略)を同鞘管5内に収め、その状態で地中へ400mm圧入する。そして、鞘管5を地中へ残したまま棒状部材を抜き取り、同鞘管5のみを地中へ更に100mm打設すると、鞘管5は地中へ500mm埋設され、且つその内部には高さ方向に100mmの土が入った状態となる。そのため、鞘管5内へ支柱3が挿入されると、前記鞘管5内の高さ100mmの土が支柱3の下端部を支持して、同支柱3の位置決めが行える。因みに、鞘管5へ支柱3を挿入する深さ位置は約400mmとなる。
上記のように支柱3は、鞘管5とボルトやフックその他の機械的取付具を使用せずに容易に抜き挿し可能に位置決めされている。
勿論、鞘管5の埋設方法は、上記の限りではなく、事前に地上から400mm掘削して設けた坑内に、同鞘管5を地上から500mmの位置まで打設することで、その内部に高さ方向100mmの土が入った状態として実施しても良い。
【0024】
更に、前記支柱3の上端部の弱軸側31、31の上端部には、前記4本のケーブル2…を抜き挿し可能に上縁を開口して下方へ切り欠いたスリット6が形成され、同スリット6、6内に上下方向に間隔をあけたケーブル2を道路の延長方向へ貫通する様態で、前後に位置する支柱間に架設される。
スリット6の形状は、図示のように上下方向に三つの変曲点を有する形状に形成されるが、この限りではなく図示することは省略したが、二つの変曲点を有する湾曲形状、一つの変曲点を有する湾曲形状、三つ又は二つの屈曲点を有する屈曲形状、一つの屈曲点を有する屈曲形状、並びに上部を屈曲点、下部を変曲点とする形状としても同様に実施できる。また、上記屈曲点や変曲点を有さないストレート形状のスリットであっても同様に実施できることを付言する。
【0025】
上記スリット6は、一方の弱軸側31方向から見ると左右対称になる形状(両弱軸側31、31に正対する方向に見ると同一形状)として、両スリット6、6内の貫通する上下の空き幅に変化を持たせている。したがって、車両が支柱3の弱軸側31へ衝突して同支柱3が倒れることに伴い、各ケーブル2…は、スリット6、6の側面形状と上下方向の幅の変化とにより、水平方向の摩擦抵抗を受けながら、確実に一本ずつ順に抜け、ケーブル2と支柱3とで衝突荷重を効果的に吸収することができる。
【0026】
上記構成のガードケーブル1には更に、スリット6の上下方向に複数貫通させるケーブル2の上下の間隔を保持するケーブルケーブル間隔保持材7が支柱3の中空部内に設置されている。以下、ケーブル間隔保持材7について図3〜図11に基づいて具体的に説明する。
本実施例ではケーブル2を上下方向に4本使用するため、使用するケーブル間隔保持材7は上下のケーブルの間となるため3個であるが、ケーブルの数に応じて個数は変化する。
図示した前記ケーブル間隔保持材7は、軽量な樹脂製の略四角柱とされ、角形鋼管支柱3の中空部内へ抜き挿し可能に挿入可能な大きさとされている。
このケーブル間隔保持材7は、隣接する上下のケーブル間隔保持材7同士を連接可能に連接部が相対峙する配置で設けられている。具体的には、上端部と下端部の短辺側の側面の略中央位置に、上下のケーブル間隔保持材7、7同士を積み重ね状態で連接する雄部70と雌部71とが相対峙する配置にそれぞれ2個ずつ設けられている。前記雄部70と雌部71は、図示の通り軸心が一致する位置に配置されているので所謂ロケット鉛筆の如くに上下のケーブル間隔保持材7、7同士を積み重ね状態に容易に連接できる。勿論この限りではなく、例えば最上段に配置されるケーブル間隔保持材においては、上端部に雌部を設ける必要が無く、下端部に雄部70を設けるのみの構成で実施することができる。
【0027】
つまり、幅が狭い支柱3の中空部内へケーブル間隔保持材7、7同士を連接する際に、上位のケーブル間隔保持材7(b)の雄部70の軸芯を下位のケーブル間隔保持材7(a)の雌部71に合わせるのみで積み重ね作業を正確に行える(図4参照)。また、ケーブル間隔保持材同士の積み重ね状態は上下方向に連接された状態でスリット6内に設置されているので、車両衝突による支柱転倒に伴ってケーブル2とケーブル間隔保持材7…が支柱上部(スリット内)から抜け出る際に、ガタが生じることなく一体物としてスムーズに抜け出ることができる。
【0028】
また、ケーブル間隔保持材7の下方にはケーブル2を貫通させる遊嵌部73が設けられている。この遊嵌部73は、支柱3が転倒して傾斜する際に、ケーブル2とこじられない(関渉しない)大きさで同ケーブル2を緩く囲った形状に開口されている。前記遊嵌部73は、大きく開口すればその分支柱の傾斜時にケーブルと関渉する虞が少なくなるが、反面強度を低下させてしまう。それで、本実施例では下方から中央位置を超える位置まで開口するが、その上部の形状を逆U字形状に形成した。
図3、5に示すように、複数本のケーブル2は、ケーブル間隔保持材7によりスリット6内において鉛直方向の同軸上で且つ支柱の鉛直方向の中心軸に交わるように架設される。したがって、スリット6内に収納される各ケーブル2は支柱3が傾斜する際に、ケーブル間隔保持材7の中心軸上を通るので、遊嵌部73の軸線上を一番深く開口できる逆U字形状に形成すると、ケーブル2に対して最大の開口量(傾斜許容量)が得られ、且つ、U字形状のR加工部分により強度も必要十分な程度確保することができる。もちろん、ケーブル間隔保持材7に必要十分な強度がある場合には、矩形状に開口して実施することもできる。
【0029】
上記支柱3の中空部内へ抜き挿し可能なケーブル間隔保持材7には、支柱3の外周を囲んでスリット6の左右方向への開きを防止する目的のリング部材8がスリット6へ挿入する繋ぎ部分を介して連結されている。
具体的には、図6A、Bに示すように、ケーブル間隔保持材7の長辺側の上端縁でスリット6へ挿入する繋ぎ部分に設けたフック受け部72と、リング部材8の長辺側の上端縁でスリット6へ挿入する繋ぎ部分に設けたフック部80とを互いに掛け合わせることで一体的に組み合わされる。これらの連結手段が上記のようにスリット6へ挿入する繋ぎ部分に設けられているので、支柱3の中空部内へ挿入する際に、前記連結箇所がスリット6内を移動してスムーズな挿入作業を行える。前記リング部材8は、その上縁にフランジ81を設けて補強している。勿論、下縁にフランジ81を設けても良い。
【0030】
図示例では、リング部材8を組み合わせたケーブル間隔保持材7を全てに使用して実施しているが、この限りではなく二段目に配置されるケーブル間隔保持材7bにのみリング部材8を設けるなど適宜適用数を変更して実施できる。
前記リング部材8は、上記ケーブル間隔保持材7と異なる材質を用いることができる。因みに、第四ケーブル2dの上部には 雨水の進入防止として樹脂製でやはり下方にケーブルを貫通させる遊嵌部90を設けた蓋材9が被せられる。この蓋材9は支柱3の外形より大きく直ぐに取り外すことができる形状とされている。
【0031】
次に、第一のケーブル2aの上部へ配設されるケーブル間隔保持材7aについて説明する。このケーブル間隔保持材7aはスリット6内の最下位に配置されるものである。前記したようにケーブル間隔保持材7には大きく開口した遊嵌部73があるため、最下位に配置されるとケーブル間隔保持材7aが遊嵌部73の頂部位置まで下がった状態でケーブル2aの上部へ載置されることになり、支柱3内の各ケーブル2の間隔保持が適切に行えない。
したがって、ケーブル間隔保持材7aの下方には、ケーブル間隔保持材7aを支持する支持部材10が同最下位のケーブルケーブル間隔保持材7aと連接可能な連接部により抜き差し可能に嵌め込まれて連接されている。
具体的には、前記支持部材10は、図9A、B、C及び図10に示すように、ケーブル間隔保持材7と断面形状が略同様の四角柱とされ、その短辺側の略中央位置に最下位のケーブルケーブル間隔保持材7aの雄部70を差し入れる雌部11が設けられている。更に、最下位のケーブル2aを支持するケーブル受け部12が支柱3のスリット6へ挿入する繋ぎ部分に設けられ、同支柱のスリット6の底部にケーブル受け部12の下側が載置される構成(図5参照)とされている。つまり、ケーブル間隔保持材7aをスリット6の底部(支柱3)で支持させる構成である。
【0032】
前記ケーブル受け部12の先端には支柱3の外周面に沿う態様のフランジ13が取り付けられて、がたつきを防止している。
上記したように最下位のケーブル間隔保持材7aは、支持部材10のケーブル受け部12を介してスリット6の底部に支持されることで、支柱3の中空部内へ挿入されても遊嵌部73の頂部まで下がることなく適切な位置で支柱3内に収納できる。
また、図5に示すように、鉛直荷重がケーブル間隔保持材7c、7bでは雄部及び雌部を介して伝わり、最終的には上記支持部材10のケーブル受け部12を介してスリット6の底部へ伝達されるのでケーブル2自体に負担が殆どがかかることがない。したがって、支柱3の転倒時に各ケーブル2はストレス無くスムーズに同支柱3から抜け出ることができる。
前記したようにケーブル受け部12は鉛直荷重が集中する部分となる。したがってケーブル受け部12の下部であるスリット6の底部と接触する部分にリブ12aを設けることが好適に実施される。
【0033】
次に、ケーブル間隔保持材7の下端部に設けられるケーブル抜け止め部74について説明する。先ず、前記抜け止め部74を設ける目的は、車両の衝突時に支柱3が転倒することに伴い、上記ケーブル2と、ケーブル間隔保持材7が支柱3から抜け出たとき、ケーブル間隔保持材7は、どこにも支持されておらず単にケーブルの上に載置されているのみであるため道路上へ飛散して二次的被害を及ぼすことを防止することにある。つまり、支柱3から抜け出たときに、ケーブル間隔保持材7が上記抜け止め部74によって各ケーブル2を掴んだ様態として飛散を防止するのである。
具体的には、図6〜図8に示すように、ケーブル抜け止め部74はケーブル間隔保持材7の下端部を平面的に見てその外形部から中心方向に向かって伸びる、L字形状の二本の腕部74a、74aから成る。前記外形部とは、図示例では短辺側の内側両側面である。この腕部74aと74aの先端は開口可能な空き部Wを有する。この空き部Wからケーブルを嵌め入れることが可能となるが、その空き部Wはケーブル2の直径よりかなり小幅にしている。
【0034】
また、腕部74a、74aの両先端部は、対峙させたとき逆V字形状となるように片側に傾斜した形状に形成(図8B参照)されて下方の開き幅W1を広くしてケーブル2を押し込んで嵌め入れやすくしている。しかし、一度腕部74a間を貫通して挿入されたケーブル2は、腕部74aの上方の空き幅はケーブル2の直径よりかなり小幅な上記空き部Wであり抜け出ることが難しい構成である。したがって、支柱3の転倒に伴いケーブル間隔保持材7が支柱3から抜け出る際に、同ケーブル間隔保持材7はケーブル2に繋がったまま抜けてぶら下がるので、どこかに飛散することがないのである。
【0035】
上記腕部74a、74aの配置としては、図7に示すように、ケーブル間隔保持材7を平面的に見て略対角線上となる配置にすることが好適に実施される。腕部74aを対角に設けることで、ケーブル2を挿入する際に、腕部74aとケーブル2とに角度が生じ、前記空き部Wが開きやすくなりケーブル2の嵌め入れが容易になる利点がある。
上記の構成は、図4に示した蓋部9の下端部についても、腕部91a、91aで成るケーブル抜け止め部91を同様の構成で設けて、蓋部9の飛散を防止することも好適に実施できる。
【0036】
ここで、図4〜図11から支柱3の前記スリット6、6内に貫通するケーブル2の間にケーブル間隔保持材7を保持させる手順を説明する。
先ず、最下位に位置する第一のケーブル間隔保持材7aは、その下端部に設けたケーブル抜け止め部74の空き部Wから第一のケーブル2aを嵌め入れた上で、支持部材10を連接して組み合わせると共に(図10参照)、上端部から上記リング部材8を嵌め入れて組み合わせる。上記構成としたケーブル間隔保持材7aを、支柱3の中空部内へ挿入する。挿入方法としては、図4、5、10に示すように、ケーブル間隔保持材7aは支柱3の中空部内へ差し入れ、前記支持部材10のケーブル受け部12が、支柱3のスリット6にくるように配置すると共に、前記リング部材8が支柱3の外周位置にくるように配置すると、両者を連結する繋ぎ部分(フック受け部72、フック部80、ケーブル受け部12)が、支柱3のスリット6内に収まる位置となるのでスムーズに挿入することができる。
ケーブル抜け止め部74に第一のケーブル2aが嵌め入れられた前記ケーブル間隔保持材7aを、支柱3へ挿入後、同ケーブル受け部12の上面に第一のケーブル2aを載置して配設する。
【0037】
次に、第二のケーブル2bをスリット6、6内へ挿入し、第二のケーブル間隔保持材7bを支柱3の中空部内へ挿入する。この際、用意する第二のケーブル間隔保持材7bとは、上述したリング部材8を組み合わせたものであることが好ましい。挿入方法は上述した第一のケーブル間隔保持材7aと略同様であるため以下省略する。
上記のように挿入した第二のケーブル間隔保持材7bは、その下端部の短辺側の二側面に設けた上記雄部70の軸芯を、第一のケーブル間隔保持材7aのやはり上端部の短辺側の二側面に設けた上記雌部71へ合わせて挿入すると、上下のケーブル間隔保持材7a、7bを連接できる。この上下のケーブル間隔保持材同士の連接は全て同じあるため以下省略する。そして、ケーブル間隔保持材7bのケーブル抜け止め部74の空き部Wからケーブル2bを嵌め入れる。
そして、第三のケーブル2cをスリット6内に挿入し、リング部材8を組み合わせた第三のケーブル間隔保持材7cを挿入し、その下端部に設けたケーブル抜け止め部74の空き部Wからケーブル2cを嵌め入れる。
続いて、第四のケーブル2dを挿入して、スリット6、6内へ4本のケーブル2を貫通させ、雨水の進入防止として、支柱3の上端部に樹脂製の蓋材9が被せられる。この際にもやはり、蓋材9の下端部に設けたケーブル抜け止め部91の空き部Wからケーブル2dを嵌め入れる。
【0038】
したがって、図11Aに示すように、ケーブル間隔保持材7(a〜c)とケーブル2(a〜d)とは、十分な隙間hを保持して配置される。
上記の配置に構成された支柱3の弱軸側31へ車両が衝突すると、図11Bに示すように、支柱3が車両の進行方向へ傾斜してゆく。その際、支柱3のスリット6内の複数のケーブル間隔保持材7a〜7cは、大きく開口した遊嵌部73が支柱3の傾斜に伴ってケーブル間隔保持材7a〜7cが傾斜しても、遊嵌部73の上部及び下部の両方にケーブル2が接触して抜け止め部74からケーブル2が抜け外れないように同ケーブル2を遊嵌させているので、上記隙間h(図11A)〜h3の範囲をケーブル2と関渉する虞が無く、支柱3が傾斜してその内部からケーブル間隔保持材7が抜け出るまでの間にケーブル抜け止め部74からケーブル2が外れることはない。
【0039】
また、大きく開口した遊嵌部73により下方に掴み持つケーブル2a〜2cと関渉してこじれにくくなるので、支柱3の転倒を何ら阻害させず、支柱3の転倒と同じタイミングでケーブル2と共にスムーズに支柱3から抜け出ることができる。また、最下位のケーブル間隔保持材7aが抜け出るのは最後であるため、ケーブル2aとはかなりの角度が付くことになるが、その際もケーブル2aと殆ど関渉せずスムーズに支柱3から抜け出ることができる。
因みに、スリット6の底部に支持される支持部材10は、支柱の転倒に伴って第一のケーブル間隔保持材7aからスムーズに離別し、同スリット6の底部に残るので同ケーブル間隔保持材7aが抜け出ることを阻害することはない。
更に、各ケーブル2d〜2aがスリット6内の屈曲形状又は湾曲形状、及び空き幅Wの変化により摩擦抵抗を受けながら一本ずつ順番に同スリット6から抜けてゆくので、同支柱3は効果的に衝突荷重を吸収しながら倒れて、各ケーブル2が上下左右方向へ撓むことを防止できる。斯くすると、上下のケーブル2の間隔は、衝突箇所の支柱3の前後に位置する支柱の各ケーブル間隔保持材7によって確実に保持されて車両の飛び出しを可及的に防止できる。
また、ケーブル間隔保持材7a〜7c及び蓋材9は、支柱3の転倒に伴ってスリット6からケーブル2と共に抜け出た際に、図11Bに示すように各抜け止め部74、91によって各ケーブル2a〜2dにぶら下がり飛散することを確実に防止することができる。
【実施例2】
【0040】
本発明のガードケーブル1を構成するケーブル間隔保持材7の形状は上述した限りではない。図12A、図12Bに示す形状においても実施可能である。
図12Aに示したケーブル間隔保持材7’は、本体形状が略四角柱で、遊嵌部74’がケーブル2と関渉しない大きさに形成されている点は実施例1と同様であるが、ケーブル抜け止め部74’を構成する腕部74a’、74a’が対角線上に配置されるのではなく、四角柱の長辺側側面に平行する直線上に設けて実施することができる。この場合、ケーブルを嵌め入れる際、前記腕部74a’は上方へは折れ上がることを許容し、下方へ折れ下がること抑制する構成として、ケーブル2を嵌め入れやすく抜け難くする。
図12Bに示したケーブル間隔保持材7’’は、図12Aに示したような、直線上の腕部74a’’、74a’’で成るケーブル抜け止め部74’’を有し、本体形状が楕円形状の筒型に成形している。この形状は支柱3の中空部内への挿入をよりスムーズに行える、のみならず汎用性が高い利点がある。
【実施例3】
【0041】
本発明のガードケーブル1を構成するケーブル間隔保持材7の更なる実施例を図13A、図13Bに示した。
実施例1では、図6に示したように、ケーブル間隔保持材7にはリング部材8が着脱可能に組み合わせる構成としていたが、図13A、図13Bに示すように、予めリング部材8を一体形成したケーブル間隔保持材7Tとして実施することもできる。また、ケーブル抜け止め部74Tは、腕部74aT、74aTがL字形状ではなく半円弧形状として形成することも好適に実施される。
【0042】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施例の構成に限定されない。その目的と要旨を逸脱しない範囲において、当業者が必要に応じて行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のため言及する。
【符号の説明】
【0043】
1 ガードケーブル
2 ケーブル(2a〜2c)
3 支柱
31 弱軸側
32 強軸側
4 端部支柱
5 鞘管
6 スリット
7 ケーブル間隔保持材(7’、7’’、7T)
70 雄部
71 雌部
72 フック受け部
73 遊嵌部
74 抜け止め部(74’、74’’、74T)
74a 腕部(74a’、74a’’、74aT)
8 リング部材
80 フック部
9 蓋材
90 遊嵌部
91 抜け止め部
10 支持部材
11 雌部
12 ケーブル受け部
12a リブ部
13 フランジ
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路の延長方向へ一定の間隔をあけて立設した支柱間に、同支柱の上下方向に間隔をあけて複数本のケーブルを架設して車両飛び出し防止を図るガードケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の延長方向へ一定の間隔をあけて立設した支柱間に、同支柱の上下方向に間隔をあけて複数本のケーブルを架設して成るガードケーブルが、主に中央分離帯や路肩に設置されている。その目的は、進行方向を誤った車両が路外、対向車線または歩道などに逸脱するのを防ぐと共に、車両乗員へのダメージ及び車両の損傷を最小限にとどめて、車両の進行方向を正常な方向に復元させることである。
【0003】
こうしたガードケーブルとして、例えば下記の特許文献1には、筒型の略四角柱で、地面に深く植設された支柱間に密接に固定されたケーブルの略中央部に一定間隔でケーブル間隔保持材を設置する構成が開示されている。前記ケーブル間隔保持材は、その一側にケーブルを固定させるための固定用溝がケーブルの本数に応じて設けられており、差込棒を用いて前記ケーブルに固定する構成とされている。
また、特許文献2にはやはり地面に深く植設された支柱の外周面の上下方向にケーブル間隔保持材を固定し、同ケーブル間隔保持材に設けられたケーブル押さえ部で複数のケーブルを挟持して成るガードケーブルが開示されている。
【0004】
しかし、上記した特許文献1及び2は、支柱を地中深く植設して、同支柱が衝突エネルギーにしっかり耐える構造のガードケーブルである。また、ケーブル間隔保持材は、ケーブル本体及び支柱の外周面に固定される構成である。
上記のようなガードケーブルは、支柱へ車両が衝突すると同支柱が折れ曲がって走行車に危険であると共に、支柱の折れ曲がりに伴ってケーブルが下方へ撓んで車両が反対車線へ飛び出し二次的被害が生じる虞があった。また、ケーブル及び支柱に固定されたケーブル間隔保持材は衝突時の衝撃で外れ飛び、後続の走行車両や対向車線の走行車両に二次的被害を生じさせる虞があった。
【0005】
上記の問題点を鑑み、本出願人は、先の特願2010−149180号で地中と抜き挿し可能に立設した支柱20が車両衝突時に進行方向に積極的に倒れる構造のガードケーブルを出願した。更に、図14、図15A、Bに示すように、支柱20のスリット21内に複数のケーブル22を配置させると共に、同支柱20の中空部内にケーブル22を貫通させる遊嵌部23aを有するケーブル間隔保持材23を上下のケーブル22間に抜き差し可能に介在させ、同ケーブル間隔保持材23は下方のケーブル22を掴み持つ様態で支柱20内へ収めたガードケーブルを提案した。
したがって、車両の衝突時に支柱20が転倒する際には、同支柱20のスリット21内に収められたケーブル22が抜き差し可能に収められたケーブル間隔保持材23と共に支柱20から外れ出ることができる。すると、ケーブル22は車両の衝突時に転倒する支柱20の前後の支柱20によってその高さ位置を保持して車両がケーブル22を乗り越えることを防止できる。また、外れ出たケーブル間隔保持材23はケーブル22を掴み持ってぶら下がるので飛散による二次的被害を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−270467号公報
【特許文献2】実開平1−111710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の作用効果を確実に得るためには、車両の衝突時に支柱20の転倒に伴ってケーブル22とケーブル間隔保持材23とが支柱20からスムーズに外れることが重要である。しかし、上記したケーブル間隔保持材23は、図15A、Bに示したようにケーブル22を貫通させる遊嵌部23aの高さhがケーブル22の径より少し大きい程度であり、遊嵌部23aの頂部とケーブル22とは密接に接触する様態で支柱20のスリット21内に収まる構成である。つまり、ケーブル間隔保持材23の遊嵌部23aはケーブルとの空き幅が無い構造である。
前記の状態で支柱20に車両が衝突し同支柱20が進行方向へ傾斜し始めると、ケーブル間隔保持材23は、水平高さ位置を保持するケーブル22…に対して次第に角度が付き、ケーブル間隔保持材23と下方に接触するケーブル22とが互いに関渉して抉じれ、がたついてしまう。斯くすると、支柱20の傾斜が途中で止まりケーブル22を下方へ撓ませてしまったり、衝突が大きいとケーブル22からケーブル間隔保持材23が外れ出て、飛散する虞がある。
【0008】
本発明の目的は、上記問題点を解決することであり、支柱が車両の衝突時に道路の延長方向に倒れる際、スリット内のケーブル間隔保持材がケーブルと抉じられず、ケーブル間隔保持材がケーブルから抜け外れることなくスムーズに支柱から外れてケーブルにぶら下がることができ、ケーブル間隔保持材の飛散の防止と乗員の安全を効果的に発揮できるガードケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係るガードケーブルは、
断面中空の支柱が一定間隔をあけて立設されると共に、複数本のケーブルを上下に間隔を開けて支柱間に架設するガードケーブルであって、
前記支柱は、道路の延長方向に相対峙する側面に、上端から下方へ切り欠いたスリットが設けられていること、
前記複数本のケーブルは、上下に間隔を開けて前記スリットを貫通させ支柱間に架設されていること、
前記支柱の中空部には、上下に隣接するケーブルの間に位置するケーブル間隔保持材が抜き差し可能に嵌められてケーブルの上下の間隔を保持しており、上位に位置するケーブル間隔保持材の下端部は、下位に位置するケーブル間隔保持材の上端部に接していること、
前記ケーブル間隔保持材には、抜け止め部を備える遊嵌部が設けられ、前記遊嵌部によりケーブルを緩く囲っており、
前記遊嵌部は、支柱の傾斜に伴ってケーブル間隔保持材が傾斜しても、遊嵌部の上部及び下部の両方にケーブルが接触して抜け止め部からケーブルが抜け外れないようにケーブルを遊嵌させており、
最下位に位置するケーブル間隔保持材の下方には、最下位のケーブルを支持するケーブル受け部を有する支持部材が抜き差し可能に嵌め込まれて連接されており、同支持部材のケーブル受け部は、支柱のスリットへ挿入する繋ぎ部分に設けられ、同支柱のスリットの底部へ載置されて前記最下位のケーブル間隔保持材を支持していること、
を特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載したガードケーブルにおいて、
ケーブル間隔保持材に設けられたケーブルを貫通させる遊嵌部の上部は、逆U字形状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載したガードケーブルにおいて、
隣接する上下のケーブル間隔保持材同士は、連接可能な連接部が相対峙する配置で連接され積み重ねられていることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1に記載したガードケーブルにおいて、
支持部材には、最下位のケーブル間隔保持材と連接可能な連接部が設けられており、そのケーブル受け部はスリットの底部と接触する部分にリブを設けていることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載したガードケーブルにおいて、
支柱の中空部内へ抜き挿し可能なケーブル間隔保持材は、支柱の外周を囲むスリット開き防止用のリング部材と、スリットへ挿入する繋ぎ部分を介して連結されており、前記リング部材は、その上縁又は下縁にフランジを設けていることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載したガードケーブルにおいて、
支柱は、平面視が長方形であり、その長辺側が道路の延長方向に相対峙する配置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1〜6に記載したガードケーブルは、以下の効果を奏する。
(A)本発明は、角形鋼管支柱が、その側面(平面視の長辺側)を道路の延長方向に相対峙する配置で一定間隔をあけて立設され、複数本のケーブルを上記支柱の中空部内に挿入したケーブル間隔保持材により上下の間隔を保持し支柱間に架設したガードケーブルにおいて、特に前記ケーブル間隔保持材は、抜け止め部を備えケーブルを貫通させる遊嵌部が設けられ、前記遊嵌部は、支柱の傾斜に対してケーブルとこじられない大きさと形状で開口しており、支柱の傾斜に伴ってケーブル間隔保持材が傾斜しても、遊嵌部の上部及び下部の両方にケーブルが接触して抜け止め部からケーブルが抜け外れないようにケーブルに遊嵌させている。したがって、車両が衝突して支柱が転倒する際に同支柱が傾斜しても、支柱のスリット内の複数のケーブル間隔保持材は、下方に掴み持つケーブルとこじられにくく、支柱の転倒は何ら阻害されないので、支柱の転倒と同じタイミングでケーブルと共に支柱からスムーズに抜け出る。そうすると、ケーブルは同支柱の前後に位置する他の支柱によりその高さ及び上下の間隔の健全状態を安定して保持できる。また、ケーブル間隔保持材は、支柱から抜け出た後も各ケーブルとの掴み状態を保持し、飛散による二次的被害の要因を排除できる。
【0016】
(B)次に、隣接する上下のケーブル間隔保持材同士は、連接可能な雄部と雌部による連接部が相対峙する配置で連接され積み重ねられた構成である。また、支持部材は最下位に位置するケーブルケーブル間隔保持材と連接部により連接され、同支持部材のケーブル受け部は支柱のスリットへ挿入する繋ぎ部分に設けられ、同支柱のスリットの底部へ載置して最下位のケーブルケーブル間隔保持材を支持する構成なので、最下位のケーブル間隔保持材は、支柱の中空部内へ収めた際に、その遊嵌部の頂部でケーブルに支持されることはなく、ケーブルの上部に空間を設けて上下方向の各ケーブル間隔保持材を適切な位置に保持できる。
【0017】
(C)また、鉛直荷重が各ケーブル間隔保持材の雄部及び雌部へ伝わり、上記ケーブル受け部を介してスリットの底部へと伝達されるので、ケーブル自体に負担が殆どがかかることがない。したがって、支柱の転倒時にケーブルはストレス無くスムーズに同支柱から抜けて適切な高さ位置を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明が実施される道路の中央分離帯に設けられたガードケーブルを示した全体斜視図である。
【図2】上記ガードケーブルの平面図である。
【図3】支柱の拡大側面図である。
【図4】支柱のスリット内へケーブルとケーブルケーブル間隔保持材を設置する手順の概要を示した分解斜視図である。
【図5】支柱の中空部内へ挿入したケーブルケーブル間隔保持材及びケーブルの状態を示す一部拡大斜視図である。
【図6】A、Bは、ケーブルケーブル間隔保持材とリング部材の連接構造を示す拡大斜視図である。
【図7】ケーブルケーブル間隔保持材の下端部に設けたケーブル抜け止め部を示す底面図である。
【図8】A、Bはケーブルケーブル間隔保持材のケーブル抜け止め部からケーブルを挿入する概要を示す斜視図である。
【図9】Aは支持部材の全体形状を示す斜視図である。BはAの底面図である。CはAの側面図である。
【図10】最下位に位置するケーブルケーブル間隔保持材の構成を示す拡大斜視図である。
【図11A】図3のI−I矢視断面図である。
【図11B】Aに示す支柱の転倒時の支柱内部を示す断面図である。
【図12】A、Bは、ケーブルケーブル間隔保持材の異なる実施例を示す参考図である。
【図13】Aは実施例3のケーブルケーブル間隔保持材の一例を示す側面図である。Bは、Aのケーブルケーブル間隔保持材を支柱の中空部内へ挿入した状態を示す側面図である。
【図14】従来のガードケーブルの一例を示す斜視図である。
【図15A】従来のガードケーブルにおいて支柱の内部を示す断面図である。
【図15B】従来のガードケーブルにおいて支柱転倒時の支柱内部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、鋼管支柱3が側面を道路の延長方向に相対する配置で一定間隔をあけて立設されると共に、複数本のケーブル2を上下に間隔を開けて支柱3間に架設するガードケーブル1である。
前記支柱3は、道路の延長方向に相対峙する側面に、上端から下方へ切り欠いたスリット6が設けられている。
前記複数本のケーブル2は、上下に間隔を開けて前記スリット6を貫通させ支柱3間に架設されている。
前記支柱3の中空部には、隣接する上下のケーブル2の間に位置するケーブルケーブル間隔保持材7が抜き差し可能に嵌められてケーブル2の上下間隔を保持しており、上位に位置するケーブルケーブル間隔保持材7の下端部は、下位に位置するケーブルケーブル間隔保持材7の上端部に接している。
前記ケーブルケーブル間隔保持材7には、抜け止め部74を備える遊嵌部73が設けられ、前記遊嵌部73によりケーブル2を緩く囲っており、前記遊嵌部73は、支柱3の傾斜に伴ってケーブル間隔保持材7が傾斜しても、遊嵌部73の上部及び下部の両方にケーブル2が接触して抜け止め部74からケーブル2が抜け外れないようにケーブル2を遊嵌させている。
最下位に位置するケーブルケーブル間隔保持材7aの下方には、最下位のケーブル2aを支持するケーブル受け部12を有する支持部材10が抜き差し可能に嵌め込まれて連接されており、同支持部材10のケーブル受け部12は、支柱のスリットへ挿入する繋ぎ部分に設けられ、同支柱のスリット6の底部へ載置されて前記最下位のケーブルケーブル間隔保持材7aを支持する構成とした。
【実施例1】
【0020】
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
本発明のガードケーブルは、下記に説明する構成とされる。即ち、図1〜図3には、道路の中央分離帯の箇所に約3mの間隔を置いて支柱3を立設し、上下方向に間隔をあけて4本のケーブル2を同ケーブル2の両端に設置した端部支柱4により20kNで引張して準備し、同支柱3、3間に架設して構築したガードケーブル1を示した。
前記支柱3は、縦横比が異なる平面視が長方形の角形鋼管支柱である。したがって、同支柱3は、平面視の長辺側が短辺側に対して弱軸側31となり、前記短辺側が長辺側に対して強軸側32を有する構成となる。前記弱軸側31と強軸側32の寸法は、例えば100×50mmであり、前記弱軸側31は衝突荷重に対して積極的に変形する性質を発揮する。
【0021】
上記構成の角管支柱3を、前記弱軸側31が車両の進行方向R、Lに相対峙する配置で、地中へ予め埋設された鞘管5の中空部内へ抜き挿し可能に差し込んで立設されている。
一般的に走行中の車両は大型車では15°以内、小型車では20°以内の角度でガードケーブル1へ衝突することが多く確認されており、上記のように支柱3の弱軸側31を道路の横断方向へ向けていれば、車両は必然的に支柱3の弱軸側31へ衝突する。すると、支柱3は確実に道路の延長方向R(対向車が衝突した場合はL)へ倒れて、車線上に飛び出る虞を緩和できる。
【0022】
前記鞘管5は、特に図3に示すように、支柱3の下端部をその中空部内へ挿入可能な縦横比を有し、高さは例えば約500mmであり、地中レベルと鞘管5の上面とが略一致するように埋設されている。
【0023】
前記鞘管5の埋設方法としては、先ず鞘管5に収まる略同形の棒状部材(図示省略)を同鞘管5内に収め、その状態で地中へ400mm圧入する。そして、鞘管5を地中へ残したまま棒状部材を抜き取り、同鞘管5のみを地中へ更に100mm打設すると、鞘管5は地中へ500mm埋設され、且つその内部には高さ方向に100mmの土が入った状態となる。そのため、鞘管5内へ支柱3が挿入されると、前記鞘管5内の高さ100mmの土が支柱3の下端部を支持して、同支柱3の位置決めが行える。因みに、鞘管5へ支柱3を挿入する深さ位置は約400mmとなる。
上記のように支柱3は、鞘管5とボルトやフックその他の機械的取付具を使用せずに容易に抜き挿し可能に位置決めされている。
勿論、鞘管5の埋設方法は、上記の限りではなく、事前に地上から400mm掘削して設けた坑内に、同鞘管5を地上から500mmの位置まで打設することで、その内部に高さ方向100mmの土が入った状態として実施しても良い。
【0024】
更に、前記支柱3の上端部の弱軸側31、31の上端部には、前記4本のケーブル2…を抜き挿し可能に上縁を開口して下方へ切り欠いたスリット6が形成され、同スリット6、6内に上下方向に間隔をあけたケーブル2を道路の延長方向へ貫通する様態で、前後に位置する支柱間に架設される。
スリット6の形状は、図示のように上下方向に三つの変曲点を有する形状に形成されるが、この限りではなく図示することは省略したが、二つの変曲点を有する湾曲形状、一つの変曲点を有する湾曲形状、三つ又は二つの屈曲点を有する屈曲形状、一つの屈曲点を有する屈曲形状、並びに上部を屈曲点、下部を変曲点とする形状としても同様に実施できる。また、上記屈曲点や変曲点を有さないストレート形状のスリットであっても同様に実施できることを付言する。
【0025】
上記スリット6は、一方の弱軸側31方向から見ると左右対称になる形状(両弱軸側31、31に正対する方向に見ると同一形状)として、両スリット6、6内の貫通する上下の空き幅に変化を持たせている。したがって、車両が支柱3の弱軸側31へ衝突して同支柱3が倒れることに伴い、各ケーブル2…は、スリット6、6の側面形状と上下方向の幅の変化とにより、水平方向の摩擦抵抗を受けながら、確実に一本ずつ順に抜け、ケーブル2と支柱3とで衝突荷重を効果的に吸収することができる。
【0026】
上記構成のガードケーブル1には更に、スリット6の上下方向に複数貫通させるケーブル2の上下の間隔を保持するケーブルケーブル間隔保持材7が支柱3の中空部内に設置されている。以下、ケーブル間隔保持材7について図3〜図11に基づいて具体的に説明する。
本実施例ではケーブル2を上下方向に4本使用するため、使用するケーブル間隔保持材7は上下のケーブルの間となるため3個であるが、ケーブルの数に応じて個数は変化する。
図示した前記ケーブル間隔保持材7は、軽量な樹脂製の略四角柱とされ、角形鋼管支柱3の中空部内へ抜き挿し可能に挿入可能な大きさとされている。
このケーブル間隔保持材7は、隣接する上下のケーブル間隔保持材7同士を連接可能に連接部が相対峙する配置で設けられている。具体的には、上端部と下端部の短辺側の側面の略中央位置に、上下のケーブル間隔保持材7、7同士を積み重ね状態で連接する雄部70と雌部71とが相対峙する配置にそれぞれ2個ずつ設けられている。前記雄部70と雌部71は、図示の通り軸心が一致する位置に配置されているので所謂ロケット鉛筆の如くに上下のケーブル間隔保持材7、7同士を積み重ね状態に容易に連接できる。勿論この限りではなく、例えば最上段に配置されるケーブル間隔保持材においては、上端部に雌部を設ける必要が無く、下端部に雄部70を設けるのみの構成で実施することができる。
【0027】
つまり、幅が狭い支柱3の中空部内へケーブル間隔保持材7、7同士を連接する際に、上位のケーブル間隔保持材7(b)の雄部70の軸芯を下位のケーブル間隔保持材7(a)の雌部71に合わせるのみで積み重ね作業を正確に行える(図4参照)。また、ケーブル間隔保持材同士の積み重ね状態は上下方向に連接された状態でスリット6内に設置されているので、車両衝突による支柱転倒に伴ってケーブル2とケーブル間隔保持材7…が支柱上部(スリット内)から抜け出る際に、ガタが生じることなく一体物としてスムーズに抜け出ることができる。
【0028】
また、ケーブル間隔保持材7の下方にはケーブル2を貫通させる遊嵌部73が設けられている。この遊嵌部73は、支柱3が転倒して傾斜する際に、ケーブル2とこじられない(関渉しない)大きさで同ケーブル2を緩く囲った形状に開口されている。前記遊嵌部73は、大きく開口すればその分支柱の傾斜時にケーブルと関渉する虞が少なくなるが、反面強度を低下させてしまう。それで、本実施例では下方から中央位置を超える位置まで開口するが、その上部の形状を逆U字形状に形成した。
図3、5に示すように、複数本のケーブル2は、ケーブル間隔保持材7によりスリット6内において鉛直方向の同軸上で且つ支柱の鉛直方向の中心軸に交わるように架設される。したがって、スリット6内に収納される各ケーブル2は支柱3が傾斜する際に、ケーブル間隔保持材7の中心軸上を通るので、遊嵌部73の軸線上を一番深く開口できる逆U字形状に形成すると、ケーブル2に対して最大の開口量(傾斜許容量)が得られ、且つ、U字形状のR加工部分により強度も必要十分な程度確保することができる。もちろん、ケーブル間隔保持材7に必要十分な強度がある場合には、矩形状に開口して実施することもできる。
【0029】
上記支柱3の中空部内へ抜き挿し可能なケーブル間隔保持材7には、支柱3の外周を囲んでスリット6の左右方向への開きを防止する目的のリング部材8がスリット6へ挿入する繋ぎ部分を介して連結されている。
具体的には、図6A、Bに示すように、ケーブル間隔保持材7の長辺側の上端縁でスリット6へ挿入する繋ぎ部分に設けたフック受け部72と、リング部材8の長辺側の上端縁でスリット6へ挿入する繋ぎ部分に設けたフック部80とを互いに掛け合わせることで一体的に組み合わされる。これらの連結手段が上記のようにスリット6へ挿入する繋ぎ部分に設けられているので、支柱3の中空部内へ挿入する際に、前記連結箇所がスリット6内を移動してスムーズな挿入作業を行える。前記リング部材8は、その上縁にフランジ81を設けて補強している。勿論、下縁にフランジ81を設けても良い。
【0030】
図示例では、リング部材8を組み合わせたケーブル間隔保持材7を全てに使用して実施しているが、この限りではなく二段目に配置されるケーブル間隔保持材7bにのみリング部材8を設けるなど適宜適用数を変更して実施できる。
前記リング部材8は、上記ケーブル間隔保持材7と異なる材質を用いることができる。因みに、第四ケーブル2dの上部には 雨水の進入防止として樹脂製でやはり下方にケーブルを貫通させる遊嵌部90を設けた蓋材9が被せられる。この蓋材9は支柱3の外形より大きく直ぐに取り外すことができる形状とされている。
【0031】
次に、第一のケーブル2aの上部へ配設されるケーブル間隔保持材7aについて説明する。このケーブル間隔保持材7aはスリット6内の最下位に配置されるものである。前記したようにケーブル間隔保持材7には大きく開口した遊嵌部73があるため、最下位に配置されるとケーブル間隔保持材7aが遊嵌部73の頂部位置まで下がった状態でケーブル2aの上部へ載置されることになり、支柱3内の各ケーブル2の間隔保持が適切に行えない。
したがって、ケーブル間隔保持材7aの下方には、ケーブル間隔保持材7aを支持する支持部材10が同最下位のケーブルケーブル間隔保持材7aと連接可能な連接部により抜き差し可能に嵌め込まれて連接されている。
具体的には、前記支持部材10は、図9A、B、C及び図10に示すように、ケーブル間隔保持材7と断面形状が略同様の四角柱とされ、その短辺側の略中央位置に最下位のケーブルケーブル間隔保持材7aの雄部70を差し入れる雌部11が設けられている。更に、最下位のケーブル2aを支持するケーブル受け部12が支柱3のスリット6へ挿入する繋ぎ部分に設けられ、同支柱のスリット6の底部にケーブル受け部12の下側が載置される構成(図5参照)とされている。つまり、ケーブル間隔保持材7aをスリット6の底部(支柱3)で支持させる構成である。
【0032】
前記ケーブル受け部12の先端には支柱3の外周面に沿う態様のフランジ13が取り付けられて、がたつきを防止している。
上記したように最下位のケーブル間隔保持材7aは、支持部材10のケーブル受け部12を介してスリット6の底部に支持されることで、支柱3の中空部内へ挿入されても遊嵌部73の頂部まで下がることなく適切な位置で支柱3内に収納できる。
また、図5に示すように、鉛直荷重がケーブル間隔保持材7c、7bでは雄部及び雌部を介して伝わり、最終的には上記支持部材10のケーブル受け部12を介してスリット6の底部へ伝達されるのでケーブル2自体に負担が殆どがかかることがない。したがって、支柱3の転倒時に各ケーブル2はストレス無くスムーズに同支柱3から抜け出ることができる。
前記したようにケーブル受け部12は鉛直荷重が集中する部分となる。したがってケーブル受け部12の下部であるスリット6の底部と接触する部分にリブ12aを設けることが好適に実施される。
【0033】
次に、ケーブル間隔保持材7の下端部に設けられるケーブル抜け止め部74について説明する。先ず、前記抜け止め部74を設ける目的は、車両の衝突時に支柱3が転倒することに伴い、上記ケーブル2と、ケーブル間隔保持材7が支柱3から抜け出たとき、ケーブル間隔保持材7は、どこにも支持されておらず単にケーブルの上に載置されているのみであるため道路上へ飛散して二次的被害を及ぼすことを防止することにある。つまり、支柱3から抜け出たときに、ケーブル間隔保持材7が上記抜け止め部74によって各ケーブル2を掴んだ様態として飛散を防止するのである。
具体的には、図6〜図8に示すように、ケーブル抜け止め部74はケーブル間隔保持材7の下端部を平面的に見てその外形部から中心方向に向かって伸びる、L字形状の二本の腕部74a、74aから成る。前記外形部とは、図示例では短辺側の内側両側面である。この腕部74aと74aの先端は開口可能な空き部Wを有する。この空き部Wからケーブルを嵌め入れることが可能となるが、その空き部Wはケーブル2の直径よりかなり小幅にしている。
【0034】
また、腕部74a、74aの両先端部は、対峙させたとき逆V字形状となるように片側に傾斜した形状に形成(図8B参照)されて下方の開き幅W1を広くしてケーブル2を押し込んで嵌め入れやすくしている。しかし、一度腕部74a間を貫通して挿入されたケーブル2は、腕部74aの上方の空き幅はケーブル2の直径よりかなり小幅な上記空き部Wであり抜け出ることが難しい構成である。したがって、支柱3の転倒に伴いケーブル間隔保持材7が支柱3から抜け出る際に、同ケーブル間隔保持材7はケーブル2に繋がったまま抜けてぶら下がるので、どこかに飛散することがないのである。
【0035】
上記腕部74a、74aの配置としては、図7に示すように、ケーブル間隔保持材7を平面的に見て略対角線上となる配置にすることが好適に実施される。腕部74aを対角に設けることで、ケーブル2を挿入する際に、腕部74aとケーブル2とに角度が生じ、前記空き部Wが開きやすくなりケーブル2の嵌め入れが容易になる利点がある。
上記の構成は、図4に示した蓋部9の下端部についても、腕部91a、91aで成るケーブル抜け止め部91を同様の構成で設けて、蓋部9の飛散を防止することも好適に実施できる。
【0036】
ここで、図4〜図11から支柱3の前記スリット6、6内に貫通するケーブル2の間にケーブル間隔保持材7を保持させる手順を説明する。
先ず、最下位に位置する第一のケーブル間隔保持材7aは、その下端部に設けたケーブル抜け止め部74の空き部Wから第一のケーブル2aを嵌め入れた上で、支持部材10を連接して組み合わせると共に(図10参照)、上端部から上記リング部材8を嵌め入れて組み合わせる。上記構成としたケーブル間隔保持材7aを、支柱3の中空部内へ挿入する。挿入方法としては、図4、5、10に示すように、ケーブル間隔保持材7aは支柱3の中空部内へ差し入れ、前記支持部材10のケーブル受け部12が、支柱3のスリット6にくるように配置すると共に、前記リング部材8が支柱3の外周位置にくるように配置すると、両者を連結する繋ぎ部分(フック受け部72、フック部80、ケーブル受け部12)が、支柱3のスリット6内に収まる位置となるのでスムーズに挿入することができる。
ケーブル抜け止め部74に第一のケーブル2aが嵌め入れられた前記ケーブル間隔保持材7aを、支柱3へ挿入後、同ケーブル受け部12の上面に第一のケーブル2aを載置して配設する。
【0037】
次に、第二のケーブル2bをスリット6、6内へ挿入し、第二のケーブル間隔保持材7bを支柱3の中空部内へ挿入する。この際、用意する第二のケーブル間隔保持材7bとは、上述したリング部材8を組み合わせたものであることが好ましい。挿入方法は上述した第一のケーブル間隔保持材7aと略同様であるため以下省略する。
上記のように挿入した第二のケーブル間隔保持材7bは、その下端部の短辺側の二側面に設けた上記雄部70の軸芯を、第一のケーブル間隔保持材7aのやはり上端部の短辺側の二側面に設けた上記雌部71へ合わせて挿入すると、上下のケーブル間隔保持材7a、7bを連接できる。この上下のケーブル間隔保持材同士の連接は全て同じあるため以下省略する。そして、ケーブル間隔保持材7bのケーブル抜け止め部74の空き部Wからケーブル2bを嵌め入れる。
そして、第三のケーブル2cをスリット6内に挿入し、リング部材8を組み合わせた第三のケーブル間隔保持材7cを挿入し、その下端部に設けたケーブル抜け止め部74の空き部Wからケーブル2cを嵌め入れる。
続いて、第四のケーブル2dを挿入して、スリット6、6内へ4本のケーブル2を貫通させ、雨水の進入防止として、支柱3の上端部に樹脂製の蓋材9が被せられる。この際にもやはり、蓋材9の下端部に設けたケーブル抜け止め部91の空き部Wからケーブル2dを嵌め入れる。
【0038】
したがって、図11Aに示すように、ケーブル間隔保持材7(a〜c)とケーブル2(a〜d)とは、十分な隙間hを保持して配置される。
上記の配置に構成された支柱3の弱軸側31へ車両が衝突すると、図11Bに示すように、支柱3が車両の進行方向へ傾斜してゆく。その際、支柱3のスリット6内の複数のケーブル間隔保持材7a〜7cは、大きく開口した遊嵌部73が支柱3の傾斜に伴ってケーブル間隔保持材7a〜7cが傾斜しても、遊嵌部73の上部及び下部の両方にケーブル2が接触して抜け止め部74からケーブル2が抜け外れないように同ケーブル2を遊嵌させているので、上記隙間h(図11A)〜h3の範囲をケーブル2と関渉する虞が無く、支柱3が傾斜してその内部からケーブル間隔保持材7が抜け出るまでの間にケーブル抜け止め部74からケーブル2が外れることはない。
【0039】
また、大きく開口した遊嵌部73により下方に掴み持つケーブル2a〜2cと関渉してこじれにくくなるので、支柱3の転倒を何ら阻害させず、支柱3の転倒と同じタイミングでケーブル2と共にスムーズに支柱3から抜け出ることができる。また、最下位のケーブル間隔保持材7aが抜け出るのは最後であるため、ケーブル2aとはかなりの角度が付くことになるが、その際もケーブル2aと殆ど関渉せずスムーズに支柱3から抜け出ることができる。
因みに、スリット6の底部に支持される支持部材10は、支柱の転倒に伴って第一のケーブル間隔保持材7aからスムーズに離別し、同スリット6の底部に残るので同ケーブル間隔保持材7aが抜け出ることを阻害することはない。
更に、各ケーブル2d〜2aがスリット6内の屈曲形状又は湾曲形状、及び空き幅Wの変化により摩擦抵抗を受けながら一本ずつ順番に同スリット6から抜けてゆくので、同支柱3は効果的に衝突荷重を吸収しながら倒れて、各ケーブル2が上下左右方向へ撓むことを防止できる。斯くすると、上下のケーブル2の間隔は、衝突箇所の支柱3の前後に位置する支柱の各ケーブル間隔保持材7によって確実に保持されて車両の飛び出しを可及的に防止できる。
また、ケーブル間隔保持材7a〜7c及び蓋材9は、支柱3の転倒に伴ってスリット6からケーブル2と共に抜け出た際に、図11Bに示すように各抜け止め部74、91によって各ケーブル2a〜2dにぶら下がり飛散することを確実に防止することができる。
【実施例2】
【0040】
本発明のガードケーブル1を構成するケーブル間隔保持材7の形状は上述した限りではない。図12A、図12Bに示す形状においても実施可能である。
図12Aに示したケーブル間隔保持材7’は、本体形状が略四角柱で、遊嵌部74’がケーブル2と関渉しない大きさに形成されている点は実施例1と同様であるが、ケーブル抜け止め部74’を構成する腕部74a’、74a’が対角線上に配置されるのではなく、四角柱の長辺側側面に平行する直線上に設けて実施することができる。この場合、ケーブルを嵌め入れる際、前記腕部74a’は上方へは折れ上がることを許容し、下方へ折れ下がること抑制する構成として、ケーブル2を嵌め入れやすく抜け難くする。
図12Bに示したケーブル間隔保持材7’’は、図12Aに示したような、直線上の腕部74a’’、74a’’で成るケーブル抜け止め部74’’を有し、本体形状が楕円形状の筒型に成形している。この形状は支柱3の中空部内への挿入をよりスムーズに行える、のみならず汎用性が高い利点がある。
【実施例3】
【0041】
本発明のガードケーブル1を構成するケーブル間隔保持材7の更なる実施例を図13A、図13Bに示した。
実施例1では、図6に示したように、ケーブル間隔保持材7にはリング部材8が着脱可能に組み合わせる構成としていたが、図13A、図13Bに示すように、予めリング部材8を一体形成したケーブル間隔保持材7Tとして実施することもできる。また、ケーブル抜け止め部74Tは、腕部74aT、74aTがL字形状ではなく半円弧形状として形成することも好適に実施される。
【0042】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施例の構成に限定されない。その目的と要旨を逸脱しない範囲において、当業者が必要に応じて行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のため言及する。
【符号の説明】
【0043】
1 ガードケーブル
2 ケーブル(2a〜2c)
3 支柱
31 弱軸側
32 強軸側
4 端部支柱
5 鞘管
6 スリット
7 ケーブル間隔保持材(7’、7’’、7T)
70 雄部
71 雌部
72 フック受け部
73 遊嵌部
74 抜け止め部(74’、74’’、74T)
74a 腕部(74a’、74a’’、74aT)
8 リング部材
80 フック部
9 蓋材
90 遊嵌部
91 抜け止め部
10 支持部材
11 雌部
12 ケーブル受け部
12a リブ部
13 フランジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面中空の支柱が一定間隔をあけて立設されると共に、複数本のケーブルを上下に間隔を開けて支柱間に架設するガードケーブルであって、
前記支柱は、道路の延長方向に相対峙する側面に、上端から下方へ切り欠いたスリットが設けられていること、
前記複数本のケーブルは、上下に間隔を開けて前記スリットを貫通させ支柱間に架設されていること、
前記支柱の中空部には、上下に隣接するケーブルの間に位置するケーブルケーブル間隔保持材が抜き差し可能に嵌められてケーブルの上下の間隔を保持しており、上位に位置するケーブルケーブル間隔保持材の下端部は、下位に位置するケーブルケーブル間隔保持材の上端部に接していること、
前記ケーブルケーブル間隔保持材には、抜け止め部を備える遊嵌部が設けられ、前記遊嵌部によりケーブルを緩く囲っており、
前記遊嵌部は、支柱の傾斜に伴ってケーブル間隔保持材が傾斜しても、遊嵌部の上部及び下部の両方にケーブルが接触して抜け止め部からケーブルが抜け外れないようにケーブルを遊嵌させており、
最下位に位置するケーブルケーブル間隔保持材の下方には、最下位のケーブルを支持するケーブル受け部を有する支持部材が抜き差し可能に嵌め込まれて連接されており、同支持部材のケーブル受け部は、支柱のスリットへ挿入する繋ぎ部分に設けられ、同支柱のスリットの底部へ載置されて前記最下位のケーブルケーブル間隔保持材を支持していること、
を特徴とする、ガードケーブル。
【請求項2】
ケーブルケーブル間隔保持材に設けられたケーブルを貫通させる遊嵌部の上部は、逆U字形状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載したガードケーブル。
【請求項3】
隣接する上下のケーブル間隔保持材同士は、連接可能な連接部が相対峙する配置で連接され積み重ねられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載したガードケーブル。
【請求項4】
支持部材には、最下位のケーブルケーブル間隔保持材と連接可能な連接部が設けられており、そのケーブル受け部はスリットの底部と接触する部分にリブを設けていることを特徴とする、請求項1に記載したガードケーブル。
【請求項5】
支柱の中空部内へ抜き挿し可能なケーブルケーブル間隔保持材は、支柱の外周を囲むスリット開き防止用のリング部材と、スリットへ挿入する繋ぎ部分を介して連結されており、前記リング部材は、その上縁又は下縁にフランジを設けていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載したガードケーブル。
【請求項6】
支柱は、平面視が長方形であり、その長辺側が道路の延長方向に相対峙する配置であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載したガードケーブル。
【請求項1】
断面中空の支柱が一定間隔をあけて立設されると共に、複数本のケーブルを上下に間隔を開けて支柱間に架設するガードケーブルであって、
前記支柱は、道路の延長方向に相対峙する側面に、上端から下方へ切り欠いたスリットが設けられていること、
前記複数本のケーブルは、上下に間隔を開けて前記スリットを貫通させ支柱間に架設されていること、
前記支柱の中空部には、上下に隣接するケーブルの間に位置するケーブルケーブル間隔保持材が抜き差し可能に嵌められてケーブルの上下の間隔を保持しており、上位に位置するケーブルケーブル間隔保持材の下端部は、下位に位置するケーブルケーブル間隔保持材の上端部に接していること、
前記ケーブルケーブル間隔保持材には、抜け止め部を備える遊嵌部が設けられ、前記遊嵌部によりケーブルを緩く囲っており、
前記遊嵌部は、支柱の傾斜に伴ってケーブル間隔保持材が傾斜しても、遊嵌部の上部及び下部の両方にケーブルが接触して抜け止め部からケーブルが抜け外れないようにケーブルを遊嵌させており、
最下位に位置するケーブルケーブル間隔保持材の下方には、最下位のケーブルを支持するケーブル受け部を有する支持部材が抜き差し可能に嵌め込まれて連接されており、同支持部材のケーブル受け部は、支柱のスリットへ挿入する繋ぎ部分に設けられ、同支柱のスリットの底部へ載置されて前記最下位のケーブルケーブル間隔保持材を支持していること、
を特徴とする、ガードケーブル。
【請求項2】
ケーブルケーブル間隔保持材に設けられたケーブルを貫通させる遊嵌部の上部は、逆U字形状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載したガードケーブル。
【請求項3】
隣接する上下のケーブル間隔保持材同士は、連接可能な連接部が相対峙する配置で連接され積み重ねられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載したガードケーブル。
【請求項4】
支持部材には、最下位のケーブルケーブル間隔保持材と連接可能な連接部が設けられており、そのケーブル受け部はスリットの底部と接触する部分にリブを設けていることを特徴とする、請求項1に記載したガードケーブル。
【請求項5】
支柱の中空部内へ抜き挿し可能なケーブルケーブル間隔保持材は、支柱の外周を囲むスリット開き防止用のリング部材と、スリットへ挿入する繋ぎ部分を介して連結されており、前記リング部材は、その上縁又は下縁にフランジを設けていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載したガードケーブル。
【請求項6】
支柱は、平面視が長方形であり、その長辺側が道路の延長方向に相対峙する配置であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載したガードケーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【公開番号】特開2012−52322(P2012−52322A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194352(P2010−194352)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000231110)JFE建材株式会社 (150)
【出願人】(000192615)神鋼建材工業株式会社 (61)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000231110)JFE建材株式会社 (150)
【出願人】(000192615)神鋼建材工業株式会社 (61)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】
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