説明

キナーゼ阻害剤として活性なピロロ[3,4−c]ピラゾール誘導体

本明細書中に記載されている式(I)を有するピロロ[3,4−c]ピラゾール誘導体及びその医薬的に許容され得る塩、前記化合物の製造方法及び前記化合物を含む医薬組成物を開示する。本発明の化合物は、非調節プロテインキナーゼ活性に関連する疾患、例えば癌の治療において治療上有用であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロロ−ピラゾール誘導体、前記化合物の製造方法、前記化合物を含む医薬組成物、及び前記化合物の治療剤、特に癌及び細胞増殖性疾患の治療における治療剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテインキナーゼ(PK)の機能障害は多数の疾患の特徴である。ヒト癌に関与するオンコジーン及びプロトオンコジーンの多くはPKをコードする。PKの高い活性は多くの非悪性疾患、例えば良性前立腺肥大、家族性腺腫症、ポリープ症、神経線維腫症、乾せん、アテローム性動脈硬化症を伴う血管平滑筋細胞増殖、肺線維症、関節炎、糸球体腎炎並びに術後狭窄及び再狭窄にも関与している。
【0003】
PKは炎症状態及びウイルスや寄生生物の増殖にも関与している。PKは神経変性疾患の病原性及び発生において重要な役割をも果たし得る。
PKの機能障害または非調節の一般的参照のために、例えばCurrent Opinion in Chemical Biology,3:459-465(1999)を参照されたい。
【0004】
癌細胞の増殖に関与するとして当業界で公知の幾つかのプロテインキナーゼの中には、オーロラキナーゼ、特にオーロラ−2がある。
オーロラ−2は多数の各種腫瘍タイプにおいて過剰発現していることが分かっている。その遺伝子座は、乳癌[Cancer Res.,59(9):2041-4(1999)]及び結腸癌を含めた多くの癌においてしばしば増幅される染色体領域である20q13に位置している。
【0005】
20q13増幅はリンパ節転移陰性乳癌の患者における悪い予後と相関しており、高いオーロラ−2発現は膀胱癌患者における悪い予後及び短い生存時間を示している[J.Natl. Cancer Inst.,94 (17):1320-9(2002)]。癌における異常な中心体機能におけるオーロラ−2の役割の一般的参照のために、Molecular Cancer Therapeutics,2:589-595(2003)も参照されたい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、非調節のプロテインキナーゼ活性、特にオーロラキナーゼ活性に起因する及び/または該活性に関連する疾患を有する宿主に対する治療剤として治療上有用である化合物を提供することである。
本発明の別の目的は、プロテインキナーゼ阻害活性、特にオーロラキナーゼ阻害活性を有している化合物を提供することである。
【0007】
本発明者らは、今回幾つかのピロロ−ピラゾール及びその誘導体がプロテインキナーゼ阻害活性、例えばオーロラキナーゼ阻害活性を有していることを知見した。
【0008】
より具体的には、本発明の化合物は各種の癌の治療において有用である。前記癌には癌腫、例えば膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(小細胞肺癌を含む)、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸癌、甲状腺癌、前立腺癌及び皮膚癌(扁平上皮癌を含む);リンパ系の造血性腫瘍、例えば白血病、急性リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫及びバーキット・リンパ腫;骨髄系の造血性腫瘍、例えば急性及び慢性骨髄性白血病、骨髄形成異常症候群及び前骨髄球性白血病;間葉起源の腫瘍、例えば線維肉腫及び横紋筋肉腫;中枢及び末梢神経系の腫瘍、例えば星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫及びシュワン細胞腫;他の腫瘍、例えばメラノーマ、セミノーマ、奇形癌、骨肉腫、色素性乾皮症、角膜黄色腫、甲状腺濾胞状癌及びカポジ肉腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0009】
PK及びオーロラキナーゼが細胞増殖の調節において重要な役割を有しているので、上記ピロロ−ピラゾールは各種の細胞増殖性疾患、例えば良性前立腺肥大、家族性腺腫症、ポリープ症、神経線維腫症、乾せん、アテローム性動脈硬化症を伴う血管平滑筋細胞増殖、肺線維症、関節炎、糸球体腎炎並びに術後狭窄及び再狭窄の治療においても有用である。
【0010】
従って、第1の態様において、本発明は、変化したプロテインキナーゼ活性に起因する及び/または該活性に関連する細胞増殖性疾患の治療方法であって、治療を要する哺乳動物に対して、有効量の式(I)の化合物:
【化8】

[式中、Rは水素またはメチルであり;
はヒドロキシ、または直鎖もしくは分枝鎖C−Cアルキルもしくはアルコキシ基であり;
は水素またはハロゲン原子であり;
Xはメチレン(−CH−)またはフルオロメチレン(−CHF−)から選択される二価の基であるか、または酸素(−O−)または窒素(−NR’−)(ここで、R’は水素原子、直鎖もしくは分枝鎖C−Cアルキル基またはC−Cシクロアルキル基である)から選択されるヘテロ原子またはヘテロ原子基である]
またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む方法を提供する。
【0011】
上記方法により、変化したオーロラキナーゼ活性に起因する及び/または該活性に関連する細胞増殖性疾患を治療することができる。
上記した方法の好ましい実施態様では、細胞増殖性疾患は癌である。
【0012】
治療され得る癌の特定タイプには、癌腫、扁平上皮癌、骨髄系またはリンパ系の造血性腫瘍、間葉起源の腫瘍、中枢及び末梢神経系の腫瘍、メラノーマ、セミノーマ、奇形癌、骨肉腫、色素性乾皮症、角膜黄色腫、甲状腺濾胞状癌及びカポジ肉腫が含まれる。
【0013】
本発明は、式(I)の化合物:
【化9】

[式中、Rは水素またはメチルであり;
はヒドロキシ、または直鎖もしくは分枝鎖C−Cアルキルもしくはアルコキシ基であり;
は水素またはハロゲン原子であり;
Xはメチレン(−CH−)またはフルオロメチレン(−CHF−)から選択される二価の基であるか、または酸素(−O−)または窒素(−NR’−)(ここで、R’は水素原子、直鎖もしくは分枝鎖C−Cアルキル基またはC−Cシクロアルキル基である)から選択されるヘテロ原子またはヘテロ原子基である]
またはその医薬的に許容され得る塩も提供する。
【0014】
本発明は、式(I)のピロロ−ピラゾール及び医薬的に許容され得る塩の合成方法、並びに前記化合物を含む医薬組成物も包含する。
本発明は以下の詳細説明を参照することにより深く理解できるようになるので、本発明及びその多くの作用効果のより完全な認識は容易に得られるであろう。
【発明の詳細な説明】
【0015】
幾つかのヘテロ環式化合物がプロテインキナーゼ阻害剤として当業界で公知である。公知化合物の中で、3−カルボキサミド−ピラゾール、3−ウレイド−ピラゾール及びその誘導体は、いずれも本出願人の国際特許出願公開第01/12189号パンフレット、同第01/12188号パンフレット、同第02/48114号パンフレット及び同第02/70515号パンフレット中にプロテインキナーゼ阻害剤として開示されている。
【0016】
ピラゾール部分を含み、キナーゼ阻害活性を有する縮合二環式化合物は、いずれも本出願人の国際特許出願公開第00/69846号パンフレット、同第02/12242号パンフレット、同第03/028720号パンフレット、及び未公開の国際特許出願EP03/04862号(2002年5月17日出願の米国特許出願第60/381092号を優先権主張)にも開示されている。
【0017】
上記に加えて、Pierre Fabre Medicamentの国際特許出願公開第02/30927号パンフレットには、アミノフェニル−ピペラジンまたはアミノフェニル−ピペリジン誘導体がプレニルトランスフェラーゼタンパク質に対して阻害活性を有していると開示されている。
本発明の化合物は、援用により本明細書に含まれるとする上記した国際特許出願公開第02/12242号パンフレットの一般式の範囲に入るが、ここに具体的には例示されていない。
【0018】
本発明の式(I)を有する化合物は不斉炭素原子を有し、よって個別の光学異性体として、ラセミ混合物として、または2つの光学異性体の1つを大量に含む他の混合物として存在し得、いずれもが本発明の範囲内であると考えられる。
【0019】
また、すべての考えられる異性体及びその混合物、または式(I)を有する化合物の代謝物及び医薬的に許容され得る生体前駆体(別名プロドラッグ)の抗腫瘍剤としての使用も本発明の範囲内である。
【0020】
プロドラッグは任意の共有結合化合物であり、インビボで式(I)を有する活性な親薬物を放出する。
化合物が互変異性体形態で存在し得る場合には、各形態が平衡状態で存在していてもまたは主に一方の形態で存在していても本発明の範囲内に含まれると認められる。
【0021】
それ故、他の方法で記載されていない限り、以下の式(la)または(lb):
【化10】

を有する互変異性体形態の1つしか示されていないときには、残りの1つも本発明の範囲内に含まれると解されなければならない。
【0022】
本明細書中、特記しない限り、用語「直鎖もしくは分枝鎖C−CまたはC−Cアルキル」に関し、本発明者らは例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル及びsec−ブチルのような基を意図している。
用語「直鎖もしくは分枝鎖C−Cアルコキシ」に関し、本発明者らは例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ及びイソプロポキシのような基を意図している。
【0023】
用語「ハロゲン」に関し、本発明者らはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意図している。
用語「C−Cシクロアルキル」に関し、本発明者らはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルのような基を意図している。
【0024】
明らかに、X基の種類に応じて、式(I)を有する化合物のフェニレン部分に結合しているこのヘテロ環はピペリジノ、4−フルオロピペリジノ、ピペラジノ、4−アルキル−ピペラジノ、4−シクロアルキル−ピペラジノまたはモルホリノ環を表し得る。
【0025】
式(I)を有する化合物の医薬的に許容され得る塩には、無機または有機酸(例えば、硝酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、過塩素酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、イセチオン酸及びサリチル酸)との酸付加塩が含まれる。
【0026】
本発明の好ましい化合物は、式(I)[式中、Rは水素またはメチルであり、Rはヒドロキシ、メチルまたはメトキシから選択され、Rは水素またはフッ素原子であり、Xはメチレン、フルオロメチレン、−O−または−NR’(ここで、R’は上記した通りである)から選択される]を有する誘導体である。
【0027】
必要に応じて医薬的に許容され得る塩の形態で存在する式(I)を有する具体的化合物の言及については、実施例の欄及び請求の範囲を参照されたい。
【0028】
上記したように、本発明の更なる目的は、式(I)を有する化合物及びその医薬的に許容され得る塩の製造方法であり、その方法は、
a)式(II)を有する化合物を式(III)有する化合物と反応させて
【化11】

(式中、R及びXは上記した通りであり、Qは低級アルキル基であり、t−Buはtert−ブチルを表し、Zはヒドロキシまたは適当な離脱基である)、式(IV)を有する化合物:
【化12】

を得ること、
b)式(IV)を有する化合物を酸性条件下で反応させて、式(V)を有する化合物:
【化13】

を得ること、
c)式(V)を有する化合物を式(VI)を有する化合物と反応させて:
【化14】

(式中、R及びRは上記した通りであり、Z’はヒドロキシまたは適当な離脱基である)、式(VII)を有する化合物:
【化15】

を得ること、
d)式(VII)を有する化合物を塩基性条件下で反応させて、式(I)を有する化合物を得、所望によりその化合物をその医薬的に許容され得る塩に変換すること
を含む。
【0029】
上記方法は、周知の操作条件に従って作業することにより実施され得る類似方法である。
本方法のステップ(a)によれば、式(II)を有する化合物と式(III)を有する化合物の反応はアミノ誘導体をアシル化するための慣用方法に従って各種方法で実施することができる。例えば、式(II)を有する化合物を式(III)(式中、Zは適当な離脱基として塩素原子を表す)を有するアシルクロリドと反応させ得る。
【0030】
好ましくは、この反応は、適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフランまたはジクロロメタン)中、プロトン捕捉剤(例えば、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン)の存在下で室温〜約60℃の範囲の温度で実施する。式(III)を有する化合物の中で、Qは低級アルキル基、例えばC−Cアルキル基、より好ましくはメチルまたはエチルを表す。
【0031】
本方法のステップ(b)によれば、式(IV)を有する化合物は酸処理によりピロリジン窒素元素において容易に脱保護される。
この反応は通常、無機または有機酸(例えば、塩酸、トリフルオロ酢酸またはメタンスルホン酸)の存在下、適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、低級アルコール(例:メタノールまたはエタノール))中室温〜約40℃の範囲の温度で約1〜約48時間実施され得る。
【0032】
こうした得られた式(V)を有する化合物を更に、本方法のステップ(c)に従って式(VI)を有する化合物と反応させる。上記から当業者には明らかなように、このアシル化反応はカルボキサミドの製造について当業界で広く公知の各種方法及び操作条件で実施され得る。
【0033】
式(V)を有する化合物と式(VI)(式中、Z’はヒドロキシである)を有するカルボン酸の反応は、カップリング剤(例えば、カルボジイミド、すなわち1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド、N−シクロヘキシルカルボジイミド−N’−プロピルオキシメチルポリスチレンまたはN−シクロヘキシルカルボジイミド−N’−メチルポリスチレン)の存在下、適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、トルエンまたはN,N−ジメチルホルムアミド)中約−10℃〜還流までの温度範囲で適当な時間、すなわち約30分〜約96時間実施され得る。この反応は、必要に応じて適当な触媒(例えば、4−ジメチルアミノピリジン)の存在下または追加のカップリング剤(例えば、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール)の存在下で実施される。
【0034】
式(V)を有する化合物と式(VI)を有する化合物の反応は、例えば第3級塩基(例えば、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたはピリジン)の存在下、適当な溶媒(例えば、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサンまたはN,N−ジメチルホルムアミド)中約−30℃〜室温の範囲の温度でクロロギ酸アルキル(例えば、クロロギ酸エチル,イソブチルまたはイソプロピル)を用いる混合無水物法により実施してもよい。
【0035】
式(V)を有する化合物と式(VI)(式中、Z’は適当な離脱基である)を有するカルボン酸誘導体の反応は、第3級塩基(例えば、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたはピリジン)の存在下、適当な溶媒(例えば、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリルまたはN,N−ジメチルホルムアミド)中約−10℃〜還流の範囲の温度で実施され得る。
【0036】
式(VI)を有する化合物の特徴は、Rに結合しており、ここに星印を付した不斉炭素原子が存在していることである。
【化16】

【0037】
よって、式(VI)を有する化合物は単一のエナンチオマーの形態またはラセミ混合物も含めたその混合物として存在し得る。
明らかに、本発明の方法で使用される式(VI)を有する化合物の種類に応じて、この炭素原子で適切に定義された立体化学を有する式(VII)を有する対応化合物を得ることができる。
【0038】
本発明の好ましい実施態様によれば、ステップ(c)は所与のエナンチオマー形態の式(VI)を有する適当な化合物を反応させることにより実施される。
【0039】
また、式(VI)を有する化合物のラセミ混合物を使用し、光学的に純粋な形態の式(I)を有する最終化合物を所望する場合には、式(VII)を有する中間体化合物または式(I)を有する最終化合物を慣用の手段に従って作業することにより光学分割しなければならない。単なる例として、ラセミ化合物の分割のための一般的な技術の例には、ジアステレオマー塩誘導体の分別結晶または分取キラルHPLCが含まれる。
【0040】
最後に、本方法のステップ(d)によれば、式(VII)を有する化合物を例えばカルバメート基を選択的に加水分解し得る慣用方法に従って作業することによりピラゾール窒素原子において脱保護させる。
【0041】
例えば、この反応は塩基性条件下、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムまたは第3級アミン(例えば、トリエチルアミン)の存在下、適当な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、水及びその混合物)中で実施され得る。典型的には、この反応は室温〜約60℃の範囲の温度で約30分間〜約96時間実施する。
【0042】
最後に、式(I)を有する化合物の医薬的に許容され得る塩またはこの塩からの遊離化合物はいずれも慣用の方法に従って得られることができる。
本発明の方法の出発物質は公知であるかまたは公知方法に従って容易に製造される。
【0043】
例えば、式(II)(式中、Qはエチルを表す)を有する化合物の製造は、上記した国際特許出願公開第02/12242号パンフレット(特に、p.249の実施例26参照;この化合物はここでは3−アミノ−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1,5−ジカルボン酸5−tert−ブチルエステル1−エチルエステルと命名されている)に開示されている。
【0044】
同様に作業することにより、式(II)(式中、Qはエチル以外の低級アルキル基を表す)を有する別の化合物もこうして製造することができる。
式(III)を有する化合物及び式(VI)を有する化合物、例えばZ及びZ’が塩素原子のようなハロゲン原子のものは公知であるか、または対応の公知カルボン酸から慣用の方法に従って作業することにより容易に得ることができる。
【0045】
また、当業者には明らかなように、その変異体を含めて上記した方法に従って製造される式(I)を有する化合物が異性体の混合物として得られるならば、慣用の方法に従って実施されるその式(I)を有する単一異性体への分離も本発明の範囲内である。
【0046】
薬理
式(I)を有する化合物はプロテインキナーゼ阻害剤、特にオーロラキナーゼ阻害剤として活性であり、よって例えば腫瘍細胞の非調節増殖を制限するために有用である。
式(I)を有する化合物は、治療上各種腫瘍、例えば上に挙げた腫瘍の治療及び他の細胞増殖性疾患、例えば乾せん、アテロール性動脈硬化症を伴う血管平滑筋細胞増殖並びに手術後狭窄及び再狭窄の治療において使用され得る。
【0047】
特定化合物の阻害活性及び効力をSPA技術(Amersham Pharmacia Biotech)の使用に基づくアッセイ方法により測定する。このアッセイは、キナーゼによる放射能標識したホスフェート部分のビオチニル化基質への転移を含む。生じた33P−標識ビオチニル化産物をストレプトアビジン被覆したSPAビーズ(ビオチン能力130pmol/mg)に結合させ、発された光をシンチレーションカウンターで測定した。
【0048】
オーロラ−2活性の阻害活性
キナーゼ反応:最終容量30μlの緩衝液(HEPES 50mM(pH7.0),10mM MgCl,1mM DTT,0.2mg/ml BSA,3μM オルトバナデート)中の8μMのビオチニル化ペプチド(LRRWSLGの4リピート)、10μMのATP(0.5uCi P33γ−ATP)、7.5ngのオーロラ2阻害剤を96U底ウェルプレートの各ウェルに添加した。室温で60分間インキュベートした後、反応を停止し、100μlのビード懸濁液を添加することによりビオチニル化ペプチドを捕捉した。
【0049】
層化(stratification):100μlのCsCl(5M)を各ウェルに添加し、4時間放置した後放射能をTop−Count機器でカウントした。
【0050】
IC50測定:阻害剤を0.0015〜10μMの範囲の異なる濃度で調べた。実験データを、4パラメータロジスティック式を用いるコンピュータープログラムGraphPad Prizmにより分析した:
y=ボトム+(トップ−ボトム)/(1+10((logIC50−x)*勾配))
ここで、xは阻害剤濃度の対数であり、yは応答であり、yはボトムで始まり、S字形でトップに行く。
【0051】
計算:
実験方法:反応は、3.7nMの酵素ヒストン及びATP(冷/標識ATPを1/3000の一定比とする)を含有する緩衝液(10mM Tris(pH7.5),10mM MgCl,0.2mg/ml BSA,7.5mM DTT)中で実施した。反応をEDTAで停止させ、基質をリン膜(Millipore製マルチスクリーン96ウェルプレート)上で捕捉した。十分に洗浄した後、マルチスクリーンプレートをトップカウンターで読んだ。ATP及びヒストン濃度の各々について対照(時間ゼロ)を調べた。
【0052】
実験設計:反応速度を4つのATP、基質(ヒストン)及び阻害剤濃度で調べた。80ポイント濃度マトリックスをそれぞれのATP及び基質K値及び阻害剤IC50値(KまたはIC50値の0.3,1,3,9倍)のあたりで設計した。阻害剤の非存在下及び異なるATP及び基質濃度での予備時間経過実験から、K測定実験に関する反応の直線範囲での単一エンドポイント時間(10分)を選択することができる。
【0053】
カイネティックパラメーター推定値:カイネティックパラメーターは、完全データ組(80ポイント)を用いる[式1](ATPに関する競合阻害剤,ランダムメカニズム)による同時非線形最小二乗回帰により推定した。
【数1】

ここで、A=[ATP]、B=[基質]、I=[阻害剤]、Vm=最大速度、Ka,Kb,KiはそれぞれATP、基質及び阻害剤の解離定数、α及びβはそれぞれ基質−ATP結合及び基質−阻害剤結合の共同性因子である。
【0054】
細胞培養物に対する抗増殖効果及び細胞周期に対する抑制効果を評価するために本発明の化合物を更にインビトロで試験した。
【0055】
インビトロ細胞増殖アッセイ
ヒト結腸癌細胞系HCT−116を、10% FCS(イタリアのEuroClone)、2mM L−グルタミン及び1% ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したF12培地(Gibco)を用いて24ウェルプレート(Costar)に5000細胞/cmで接種し、37℃、5% CO及び96%の相対湿度で維持した。翌日、プレートをDMSO中10mMストックから始めて化合物の適切な希釈物5μlで2回処理した。各プレートには2つの未処理対照ウェルを含めた。処理から72時間後、培地を取り除き、細胞を0.5mlの0.05%(w/v)トリプシン、0.02%(w/v)EDTA(Gibco)を用いて各ウェルから分離した。サンプルを9.5mlのアイソトン(Coulter)で希釈し、Multisizer 3細胞カウンター(Beckman Coulter)を用いてカウントした。データを対照ウェルの%として評価した:
CTRの%=(処理−ブランク)/(対照−ブランク)
【0056】
IC50値をマイクロソフト・エクセルのS字曲線の当てはめを用いてLSW/データ分析により計算した。
【0057】
インビトロ細胞周期分析
ヒト結腸癌細胞系HCT−116を24ウェルプレート(Costar)に5000細胞/cmで接種し、上記したように培養した。指数関数的増殖相の細胞を異なる濃度の化合物を用いて24時間処理した。また、分離したアポトーシスまたは有糸分裂細胞のロスを避けるために培地上清を集めた。その後、細胞をPBSを用いて洗浄し、0.05%(w/v)トリプシン、0.02%(w/v)EDTA(Gibco)により分離した。培地を用いてトリプシン活性を停止させた。付着及び非付着細胞フラクションをプールし、2000rpmで10分間遠心した。細胞を再びPBS中に懸濁させ、Multisizer 3細胞カウンター(Beckman Coulter)を用いてカウントした。固定させるために、エタノール(70%,v/v)を添加し、細胞を−20℃で一晩保持した。
【0058】
固定した細胞1mlを2000rpmで5分間遠心し、PBSで洗浄した後、暗所において200 lのクエン酸ナトリウム(0.1%w/v(pH7.5))中の25 g/ml ヨウ化プロピジウム(Sigma)及び15ug/ml RNAse A(Sigma)、0.001%(v/v) Nonidet P40(Sigma)を添加することにより室温で1時間染色した。サンプルをフローサイトメトリーにより488nm励起(FACS Calibur;Beckton Dickinson)でCell Quest 3.0ソフトウェア(Beckton Dickinson)を用いて分析した。通常、10000現象(2回活性化でモジュールDDMを差別し、1回ゲーティングで細胞のみを差別)を集め、細胞周期プロフィールをCellQuest(Verity Software)を用いて記録した。集団の細胞周期分布をModfit 3.1ソフトウェァ(Verity Software)の改変モデルを用いて計算し、G0/G1,S,G2/M及び倍数性の%で表示した。
【0059】
上記アッセイを考慮すると、本発明の式(I)を有する化合物は顕著なプロテインキナーゼ阻害活性、例えばオーロラ−2阻害活性を有していた。例として、細胞抗増殖効果(IC50;nM)及び細胞周期ブロッキングを発揮し、倍数性を誘導し得る能力(200nMでG2/M+倍数性の%)についてオーロラ−2キナーゼ阻害剤として調べた本発明の4つの代表的化合物の実験データを報告している下記表1を参照されたい。
【0060】
興味深いことに、これらの化合物を、上記した国際特許出願公開第02/12242号パンフレット(p.160の5〜7行目参照)に具体的に開示されている構造的に非常に似ている従来化合物(ここでは、参照化合物として記載する)と比較して調べた。参照化合物は本明細書中では、N−{5−フェニルアセチル−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−メチルピペラジノ)ベンズアミドと呼ぶ。
【化17】

【0061】
参照化合物(R=R=R=H;X=NMe)
N−{5−フェニルアセチル−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−メチルピペラジノ)ベンズアミド;
化合物(1)(R=R=H;R=OMe;X=NMe)
N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
化合物(11)(R=R=H;R=Me;X=NMe)
N−{5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
化合物(6)(R=R=H;R=OMe;X=CH
N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−ピペリジン−1−イルベンズアミド;
化合物(5)(R=Me;R=OMe;R=H;X=NMe)
4−(3,4−ジメチルピペラジン−1−イル)−N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}ベンズアミド。
【0062】
【表1】

【0063】
驚くことに、本発明の化合物のオーロラ−2阻害活性は参照化合物のオーロラ−2阻害活性よりも常に非常に優れていた。
更に、上記化合物は、細胞抗増殖効果に加えて、細胞周期をブロックし、倍数性を誘発する能力を有しており、いずれも同一条件下で試験した参照化合物よりも有意に優れていた。
【0064】
上記した結果のすべてから、本発明の式(I)を有する新規化合物は、全体としてみて国際特許出願公開第02/12242号パンフレットに記載されている最も似ている従来化合物より予期せぬほど優れている生物学的プロフィールを有していると見られ、よって変化したオーロラ−2キナーゼ活性に関連する増殖性疾患に対して治療上特に有利である。
【0065】
本発明の化合物は単剤として、または公知の抗癌治療、例えば細胞増殖抑制性または細胞毒性物質、抗生物質タイプ物質、アルキル化剤、代謝拮抗物質、ホルモン物質、免疫物質、インターフェロンタイプ物質、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、COX−2阻害剤)、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗増殖因子受容体物質、抗HER剤、抗EGFR剤、抗血管形成剤(例えば、血管形成抑制剤)、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ras−raf信号伝達経路抑制剤、細胞周期抑制剤、他のcdks抑制剤、チューブリン結合物質、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤等と一緒に化学療法または放射線治療と組み合わせて投与され得る。
【0066】
一定用量として処方する場合、配合製品は下記する用量範囲内の本発明の化合物及び認可されている用量範囲内の他の医薬的に活性な物質を使用する。
式(I)を有する化合物は、配合製剤が不適切な場合には公知の抗癌剤と順次使用してもよい。
【0067】
哺乳動物(例えば、ヒト)に投与するのに適した本発明の式(I)を有する化合物は、通常のルートにより投与され得、用量レベルは患者の年齢、体重及び状態並びに投与ルートに依存する。
【0068】
例えば、式(I)を有する化合物を経口投与するための適当な用量は1回投与あたり約10〜約500mg、1日1〜5回であり得る。本発明の化合物は各種の投与形態で、例えば錠剤、カプセル剤、糖衣錠、フィルムコーティング錠、溶液剤または懸濁液剤の形態で経口的に、座剤の形態で経腸的に、非経口的に(例えば、筋肉内に、または静脈内及び/または鞘内及び/または脊髄内注射または注入により)投与され得る。
【0069】
本発明は、式(I)有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩と共に医薬的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物も包含する。前記賦形剤は担体または希釈剤であり得る。
本発明の化合物を含む医薬組成物は通常慣用の方法に従って製造され、適当な薬剤形態で投与される。
【0070】
例えば、経口用固体剤形は、活性化合物と共に希釈剤、例えばラクトース、デキスロース、サッカロース、スクロース、セルロース、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプン;滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシアム、ステアリン酸カルシウム及び/またはポリエチレングリコール;結合剤、例えばデンプン、アラビアガム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えばデンプン、アルギン酸、アルギネートまたはデンプングリコール酸ナトリウム;飽和剤;染料;甘味料;湿潤剤、例えばレシチン、ポリソルベート、ラウリルスルフェート;更に通常医薬製剤中に使用されている非毒性で薬理学的に不活性な物質を含有し得る。医薬製剤は公知の方法で、例えば混合、造粒、錠剤化、糖コーティングまたはフィルムコーティング法の手段により製造され得る。
【0071】
経口投与用分散液剤の例は、シロップ剤、乳濁液剤及び懸濁液剤であり得る。
例えば、シロップ剤は、担体としてサッカロース、またはサッカロースとグリセリン及び/またはマンニトール、及びソルビトールを含有し得る。
【0072】
懸濁液剤及び乳濁液剤は、担体として天然ガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルアルコールを含有し得る。筋肉内注射用懸濁液剤または溶液剤は、活性化合物と共に医薬的に許容され得る担体、例えば滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、所望により適量の塩酸リドカインを含有し得る。静脈内注射または注入用溶液剤は、担体として滅菌水を含有し得、滅菌の水性等張性塩溶液の形態であることが好ましい。また、静脈内注射または注入用溶液剤は担体としてプロピレングリコールを含有し得る。
【0073】
座剤は、活性化合物と共に医薬的に許容され得る担体、例えばカカオバター、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤またはレシチンを含有し得る。
本発明を限定することなく本発明をよりうまく説明する目的で、下記実施例を提示する。
【実施例】
【0074】
一般的方法
フラッシュクロマトブラフィーは、シリカゲル(メルクグレード9385,60Å)で実施した。HPLC/MSは、996 Waters PDA検出器を備えたWaters 2790 HPLCシステム及びエレクトロスプレー(ESI)イオン源を備えたMicromass mod.ZQシングル4重極質量分光計を用い、Waters X Terra RP 18(4.6×50mm,3.5μm)カラムで実施した。移動相Aは酢酸アンモニウム5mM緩衝液(酢酸/アセトニトリル=95:5でpH5.5)であり、移動相BはHO/アセトニトリル(5:95)であった。8分間で10→90% B勾配で、90% Bで2分間保持。220nm及び254nmでUV検出。流速:1ml/2分。注入容量:10μl。フルスキャンで質量は100〜800amuである。キャピラリー電圧は2.5KVであった。ソース温度は120℃であった。コーンは10Vであった。保持時間(HPLC r.t.)は220nmまたは254nmでの分で表す。質量はm/z比で表す。H−NMR分光法は、5mm二重共鳴プローブ(1H{15N−31P}ID_PFG Varian)を備え、400.45MHzで操作するMercury VX 400を用いて実施した。
【0075】
実施例1
3−アミノ−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1,5−ジカルボン酸5−tert−ブチル1−エチルの製造
0〜5℃においてTHF(500ml)中の3−アミノ−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−5(1H)−カルボン酸tert−ブチル(20g,89ミリモル)及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA,92ml,528ミリモル)の混合物にテトラヒドロフラン(THF,250ml)中にエチルクロロカーボネート(8.9ml,93ミリモル)を含む溶液をゆっくり添加した。反応物を同一温度で2時間保持した後室温まで放置し、一晩撹拌した。得られた混合物を真空下で蒸発乾固させ、生じた残渣を酢酸エチル(AcOEt)及び水で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固させた。混合物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/シクロヘキサン=4/6→7/3)により精製して、19gの標記化合物を白色固体として得た;[M+H] 297。
【0076】
実施例2
3−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1,5−ジカルボン酸5−tert−ブチル1−エチルの製造
ジクロロメタン(DCM,320ml)及びジメチルホルムアミド(DMF,0.52ml)中に4−(4−メチル−1−ピペラジニル)−安息香酸(11.7g,53ミリモル)を含む懸濁液に塩化オキサリル(23.2ml,265ミリモル)を添加した。混合物を6.5時間還流した後、揮発物を減圧下で注意深く除去した(残渣をトルエンで3回排出)。
【0077】
乾燥THF(620ml)及びDIEA(54.4ml,0.32mol)中に3−アミノ−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1,5−ジカルボン酸5−tert−ブチル1−エチル(13.1g,44.3ミリモル)を含む溶液に生じた4−メチルピペラジノ−ベンゾイルクロリド二塩酸塩を室温で撹拌しながら滴下した。生じた懸濁液を室温で16時間、40℃で1時間撹拌した。
【0078】
溶媒を減圧下で除去した後、残渣をAcOEt(600ml)で排出し、有機層を水性炭酸ナトリウム(200ml)及びブライン(200ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。
溶媒を蒸発させ、残渣をジエチルエーテル(EtO,135ml)とAcOEt(15ml)の混合物で粉砕し、濾過し、真空下40℃で乾燥して、20gの標記化合物を白色粉末として得た;[M+H] 499。
【0079】
同様に操作し、3−アミノ−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1,5−ジカルボン酸5−tert−ブチル1−エチルを適切なアシルクロリド誘導体と反応させることにより、下記化合物を製造した:
3−{[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1,5−ジカルボン酸5−tert−ブチル1−エチル;[M+H] 513。
3−{[4−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−(5)c]ピラゾール−1,5−ジカルボン酸5−tert−ブチル1−エチル;[M+H] 527。
【0080】
3−{[4−(4−シクロプロピルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1,5−ジカルボン酸5−tert−ブチル1−エチル;[M+H] 525。
3−{[4−(3,4−ジメチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1,5−ジカルボン酸5−tert−ブチル1−エチル;[M+H] 513。
3−[(4−ピペリジン−1−イルベンゾイル)アミノ]−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1,5−ジカルボン酸5−tert−ブチル1−エチル;[M+H] 484。
【0081】
3−{[4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1,5−ジカルボン酸5−tert−ブチル1−エチル;[M+H] 502。
3−[(4−モルホリン−4−イルベンゾイル)アミノ]−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1,5−ジカルボン酸5−tert−ブチル1−エチル;[M+H] 486。
3−{[4−(4−tert−ブチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−(5)c]ピラゾール−1,5−ジカルボン酸5−tert−ブチル1−エチル;[M+H] 541。
【0082】
実施例3
3−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル三塩酸塩の製造
乾燥DCM(240ml)中に実施例2のように製造した3−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1,5−ジカルボン酸5−tert−ブチル1−エチル(19.5g,39.2ミリモル)を含む溶液を撹拌し、ここにジオキサン中の4N 塩酸溶液(122ml,488ミリモル)を添加した。殆ど直ちに白色固体が沈殿した。生じた混合物を室温で24時間撹拌した。EtO(100ml)で希釈した後、固体を濾過し、EtOで十分に洗浄し、真空下50℃で乾燥して、20.1gの標記化合物を得た。この化合物は更に精製することなく次ステップで使用した。[M+H] 399。
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:1.4(t,3H),2.8(d,3H),3.2(m,4H),3.5(m,2H),4.1(m,2H),4.4(q,2H),4.6(m,4H),7.1−8.0(m,4H),10.3(bs,2H),10.7(bs,1H),11.4(s,1H)。
【0083】
適当な中間体から出発して上記したように操作することにより、下記化合物を同様に製造した:
3−{[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)カルボン酸エチル三塩酸塩;[M+H] 413。
3−{[4−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)カルボン酸エチル三塩酸塩;[M+H] 427。
【0084】
3−{[4−(4−シクロプロピルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル三塩酸塩;[M+H] 425。
3−{[4−(3,4−ジメチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル三塩酸塩;[M+H] 413。
3−[(4−ピペリジン−1−イルベンゾイル)アミノ]−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 384。
【0085】
3−{[4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)カルボン酸エチル三塩酸塩;[M+H] 402。
3−{[4−(4−モルホリン−4−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)カルボン酸エチル三塩酸塩;[M+H] 386。
3−{[4−(4−tert−ブチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル三塩酸塩;[M+H] 441。
【0086】
実施例4
5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−3−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチルの製造
DCM(90ml)及びDMF(0.50ml)中にR−(−)−α−メトキシフェニル酢酸(1.91g,11.5ミリモル)を含む溶液に塩化オキサリル(10.1.2ml,115ミリモル)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌した後、揮発物を減圧下で注意深く除去した。
【0087】
DCM(400ml)及びDIEA(11.8ml,69ミリモル)中に3−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル三塩酸塩(4.5g,8.9ミリモル)を含む溶液にDCM(20ml)中に生じたR−(−)−α−メトキシフェニルアセチルクロリドを含む溶液を室温で撹拌しながら滴下した。生じた溶液を室温で20時間撹拌した。
【0088】
次いで、反応混合物を水性炭酸ナトリウム(200ml)及びブライン(200ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を蒸発させ、残渣をEtO(100ml)とAcOEt(10ml)の混合物で粉砕し、濾過し、真空下40℃で乾燥して、3.94gの標記化合物を白色粉末として得た。この粉末は更に精製することなく次のステップで使用した。[M+H] 547;
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:1.3(t,3H),2.3(d,3H),2.6(m,4H),3.3−3.4(m,7H),4.3(q,2H),4.6−4.9(m,4H),5.1(d,1H),7.0−8.0(m,9H),11.1(d,1H)。
【0089】
適切なアシルクロリド誘導体から出発して上記したように操作することにより、下記化合物を同様に製造した:
5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−3−{[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 561。
5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−3−{[4−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 575。
【0090】
5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−3−{[4−(4−シクロプロピルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 573。
3−{[4−(3,4−ジメチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 561。
5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−3−[(4−ピペリジン−1−イルベンゾイル)アミノ]−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 532。
【0091】
3−{[4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 550。
5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−3−[(4−モルホリン−4−イルベンゾイル)アミノ]−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 534。
3−{[4−(4−tert−ブチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 589。
【0092】
5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−3−{[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 545。
5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−3−{[4−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 559。
5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−3−{[4−(4−シクロプロピルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 557。
【0093】
3−{[4−(3,4−ジメチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 545。
5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−3−[(4−ピペリジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 516。
3−{[4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 534。
【0094】
5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−3−[(4−モルホリン−4−イルベンゾイル)アミノ]−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 518。
3−{[4−(4−tert−ブチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 573。
5−[(2R)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエタノイル]−3−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル;[M+H] 533。
【0095】
実施例5
N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル)]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド(1)の製造
メタノール(MeOH,130ml)及びトリエチルアミン(EtN,13ml)中に5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−3−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンゾイル]アミノ}−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−1(4H)−カルボン酸エチル(3.94g,7.2ミリモル)を含む溶液を室温で16時間撹拌した(わずかに沈殿が生じた)。固体を分離し、EtOで洗浄して、1.6gの標記化合物を得た。溶液を数mlまで蒸発させ、固体生成物の第2フラクションを分離した(1.62g)。2つのフランションを合わせ、LC−MS(純度約90% 254及び220nM)により分析した。クロマトグラフィー精製(短シリカゲルカラム,DCM/MeOH=45:5)後、2.83g(83%)の標記化合物を白色固体として得た。融点:289℃;[M+H] 475;
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:2.21(s,3H),2.43(m,4H),3.29(m,7H),4.20−4.90(m,4H),5.09(s,1H),6.80−8.00(m,9H),10.6(br,1H),12.09(br,1H)。
【0096】
実施例4の化合物の塩基加水分解を介して同様に操作することにより、以下の化合物を製造した:
(2) N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−エチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;[M+H] 489;
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:1.1(t,3H),2.3−2.7(m,6H),3.2−3.4(m,7H),4.3−6.0(m,4H),5.1(d,1H),6.9−8.0(m,9H),10.6(bs,1H),12.1(br,1H)。
【0097】
(3) N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;[M+H] 503;
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:1.3−1.3(dd,6H),3.3−3.4(m,9H),4.6−4.9(m,4H),5.1(d,1H),7.0−8.0(m,9H),10.7(bs,1H),12.3(bs,1H)。
(4) N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−シクロプロピルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;[M+H] 501;
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:0.3−0.5(m,4H),3.2−3.4(m,7H),3.2−5.0(m,4H),5.1(d,1H),6.8−8.2(m,9H),10.5−10.7(br,1H),12.0−12.4(br,1H)。
【0098】
(5) 4−(3,4−ジメチルピペラジン−1−イル)−N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}ベンズアミド;[M+H] 489;
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:1.0−1.1(m,3H),2.24(s,3H),3.3−3.5(m,7H),4.3−5.0(m,4H),5.1(d,1H),6.9−8.0(m,9H),10.6(bs,1H),11.9−12.6(br,1H)。
(6) N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−ピペリジン−1−イルベンズアミド;[M+H] 460;
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:1.5−1.7(m,6H),3.2−3.4(m,7H),4.3−4.9(m,4H),5.1(d,1H),6.9−8.0(m,9H),10.4−10.7(br,1H)。
【0099】
(7) 4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)−N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}ベンズアミド;[M+H]478;
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:1.65−2.1(m,4H),3.15−3.6(m,7H),4.35−5.0(m,5H),5.1(d,1H),6.9−8.0(m,9H),10.4−10.7(br,1H)。
(8) N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−モルホリン−4−イルベンズアミド;[M+H] 462;
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:3.15−3.5(m,7H),3.7−3.8(m,4H),4.3−4.9(m,H),5.1(d,1H),6.9−8.0(m,9H),10.4−10.7(br,1H)。
【0100】
(9) 4−(4−tert−ブチルピペラジン−1−イル)−N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}ベンズアミド;[M+H] 517。
(10) N−{5−[(2R)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;[M+H] 461;
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:2.3(s,3H),2.45−2.65(m,4H),3.2−3.4(m,4H),4.1−4.9(m,4H),5.69(d,1H),6.9−8.0(m,9H),10.4−10.7(br,1H),11.5−12.9(br,1H)。
【0101】
(11) N−{5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;[M+H] 459;
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:1.33(d,3H),2.21(s,3H),3.85−5.0(m,5H),4.2−4.9(m,4H),5.1(s,1H),6.8−8.0(m,9H),10.3−10.7(br,1H),11.8−12.5(br,1H)。
(12) N−{5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−エチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;[M+H] 473;
H−NMR(DMSO−d) ppm:1.06(t,3H),1.36(d,3H),2.41(q,2H),2.47−2.6(m,4H),3.2−3.4(m,4H),3.9−5.0(m,5H),6.9−8.0(m,9H),10.5(bs,1H),11.9−12.5(br,1H)。
【0102】
(13) N−{5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;[M+H] 487。
(14) N−{5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−シクロプロピルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;[M+H] 485。
(15) 4−(3,4−ジメチルピペラジン−1−イル)−N−{5−[(2R)−2−フェニルプロパノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}ベンズアミド;[M+H] 473。
【0103】
(16) N−{5−[(2R)−2−フェニルプロパノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−ピペリジン−1−イルベンズアミド;[M+H] 444;
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:1.37(d,3H),1.6(s,6H),3.2−3.4(m,4H),3.90−4.05(m,1H),4.1−4.9(m,4H),6.9−8.0(m,9H),10.4−10.7(br,1H)。
(17) 4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)−N−{5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}ベンズアミド;[M+H] 462;
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:1.37(d,3H),1.65−2.05(m,4H),3.15−3.6(m,7H),3.2−3.4(m,4H),3.85−4.07(m,1H),4.1−5.05(m,5H),5.1(d,1H),6.9−8.0(m,9H),10.4−10.7(br,1H)。
【0104】
(18) N−{5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−モルホリン−4−イルベンズアミド;[M+H] 446;
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:1.37(d,3H),3.2−3.4(m,4H),3.7−3.85(m,4H),3.9−4.1(m,1H),4.1−4.95(m,4H),6.9−8.0(m,9H),10.4−10.7(br,1H)。
(19) 4−(4−tert−ブチルピペラジン−1−イル)−N−{5−[(2R)−2−フェニルプロパノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}ベンズアミド;[M+H] 501。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変化したプロテインキナーゼ活性に起因する及び/または該活性に関連する細胞増殖性疾患の治療方法であって、治療を要する哺乳動物に対して、有効量の式(I)の化合物:
【化1】

[式中、Rは水素またはメチルであり;
はヒドロキシ、または直鎖もしくは分枝鎖C−Cアルキルもしくはアルコキシ基であり;
は水素またはハロゲン原子であり;
Xはメチレン(−CH−)またはフルオロメチレン(−CHF−)から選択される二価の基であるか、または酸素(−O−)または窒素(−NR’−)(ここで、R’は水素原子、直鎖もしくは分枝鎖C−Cアルキル基またはC−Cシクロアルキル基である)から選択されるヘテロ原子またはヘテロ原子基である]、
またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む方法。
【請求項2】
変化したオーロラキナーゼ活性に起因する及び/または該活性に関連する細胞増殖性疾患を治療するための請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オーロラキナーゼがオーロラ2である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
細胞増殖性疾患が、癌、アルツハイマー病、ウイルス感染、自己免疫疾患及び神経変性疾患からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記癌が、癌腫、扁平上皮癌、骨髄系またはリンパ系の造血性腫瘍、間葉起源の腫瘍、中枢及び末梢神経系の腫瘍、メラノーマ、セミノーマ、奇形癌、骨肉腫、色素性乾皮症、角膜黄色腫、甲状腺濾胞状癌及びカポジ肉腫からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞増殖性疾患が、良性前立腺肥大、家族性腺腫症、ポリープ症、神経線維腫症、乾癬、アテローム性動脈硬化症を伴う血管平滑筋細胞増殖、肺線維症、関節炎、糸球体腎炎並びに術後狭窄及び再狭窄からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
治療を要する哺乳動物に対して、少なくとも1つの細胞増殖抑制性または細胞毒性物質と組み合わせて放射線治療または化学療法を施すことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
治療を要する前期哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
オーロラ2キナーゼを有効量の請求項1に記載の化合物と接触させることを含む、オーロラ2キナーゼ活性の阻害方法。
【請求項10】
式(I)の化合物:
【化2】

[式中、Rは水素またはメチルであり;
はヒドロキシ、または直鎖もしくは分枝鎖C−Cアルキルもしくはアルコキシ基であり;
は水素またはハロゲン原子であり;
Xはメチレン(−CH−)またはフルオロメチレン(−CHF−)から選択される二価の基であるか、または酸素(−O−)または窒素(−NR’−)(ここで、R’は水素原子、直鎖もしくは分枝鎖C−Cアルキル基またはC−Cシクロアルキル基である)から選択されるヘテロ原子またはヘテロ原子基である]、
またはその医薬的に許容され得る塩。
【請求項11】
Rが水素またはメチルであり;Rがヒドロキシ、メチルまたはメトキシから選択され;Rが水素またはフッ素原子であり;Xがメチレン、フルオロメチレン、−O−または−NR’(ここで、R’は請求項10に記載されている通りである)から選択される、請求項10に記載の式(I)の化合物。
【請求項12】
必要に応じて医薬的に許容され得る塩の形態にある、請求項1に記載の式(I)の化合物であって、以下からなる群から選択される化合物:
(1) N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
(2) N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−エチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
(3) N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
(4) N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−シクロプロピルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
(5) 4−(3,4−ジメチルピペラジン−1−イル)−N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}ベンズアミド;
(6) N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−ピペリジン−1−イルベンズアミド;
(7) 4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)−N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}ベンズアミド;
(8) N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−モルホリン−4−イルベンズアミド;
(9) 4−(4−tert−ブチルピペラジン−1−イル)−N−{5−[(2R)−2−メトキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}ベンズアミド;
(10) N−{5−[(2R)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
(11) N−{5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
(12) N−{5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−l,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−エチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
(13) N−{5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−イソプロピルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
(14) N−{5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−(4−シクロプロピルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
(15) 4−(3,4−ジメチルピペラジン−1−イル)−N−{5−[(2R)−2−フェニルプロパノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}ベンズアミド;
(16) N−{5−[(2R)−2−フェニルプロパノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−ピペリジン−1−イルベンズアミド;
(17) 4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)−N−{5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}ベンズアミド;
(18) N−{5−[(2R)−2−メチル−2−フェニルエタノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}−4−モルホリン−4−イルベンズアミド;
(19) 4−(4−tert−ブチルピペラジン−1−イル)−N−{5−[(2R)−2−フェニルプロパノイル]−1,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾル−3−イル}ベンズアミド。
【請求項13】
請求項10に記載の式(I)の化合物及びその医薬的に許容され得る塩の製造方法であって、
a)式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させて
【化3】

(式中、R及びXは請求項10に記載されている通りであり、Qは低級アルキル基であり、t−Buはtert−ブチルを表し、Zはヒドロキシまたは適当な離脱基である)、式(IV)の化合物
【化4】

を得ること、
b)式(IV)の化合物を酸性条件下で反応させて、式(V)の化合物
【化5】

を得ること、
c)式(V)の化合物を式(VI)の化合物と反応させて
【化6】

(式中、R及びRは請求項10に記載されている通りであり、Z’はヒドロキシまたは適当な離脱基である)、式(VII)の化合物
【化7】

を得ること、
d)式(VII)の化合物を塩基性条件下で反応させて、式(I)の対応化合物を得、所望によりその化合物をその医薬的に許容され得る塩に変換すること
を含む方法。
【請求項14】
式(II)の化合物において、Qが直鎖もしくは分枝鎖C−Cアルキル基である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
Qがメチルまたはエチルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
式(III)及び(VI)の化合物において、Z及びZ’がそれぞれ独立してヒドロキシまたはハロゲン原子である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ハロゲン原子が塩素である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(b)を塩酸、トリフルオロ酢酸またはメタンスルホン酸の存在下において酸性条件下で実施する、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(d)を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、または第3級アミン、例えばトリエチルアミンの存在下において塩基性条件で実施する、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
治療的に有効量の請求項10に記載の式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩、及び少なくとも1つの医薬的に許容され得る賦形剤、担体及び/または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項21】
1つ以上の化学療法剤を更に含む、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
抗癌治療において同時に、別々にまたは順次使用するための配合製剤としての、請求項10に記載の式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩、或いは請求項20に記載の医薬組成物、及び1つ以上の化学療法剤を含む、製品またはキット。
【請求項23】
薬剤として使用するための、請求項10に記載の式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩。
【請求項24】
抗腫瘍活性を有する薬剤の製造における、請求項10に記載の式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩の使用。

【公表番号】特表2009−513525(P2009−513525A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518148(P2006−518148)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007515
【国際公開番号】WO2005/005427
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(506305540)ファイザー イタリア ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (3)
【Fターム(参考)】