説明

キノキサリン誘導体、およびキノキサリン誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器

【課題】新規なバイポーラ性の有機化合物を提供することを目的とする。また、駆動電圧の低い発光素子を提供することを目的とする。また、消費電力の小さい発光素子を提供することを目的とする。また、これらの発光素子を用いることにより、低消費電力の発光装置および電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】キノキサリンの2位または3位の少なくとも一方の炭素と、置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環(以下、ヘテロ環という)を有するアミンユニットが、アリーレン基を介して結合している構造を有するキノキサリン誘導体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノキサリン誘導体、およびキノキサリン誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
有機化合物は無機化合物に比べて、多様な構造をとることが可能であり、適切な分子設計により様々な機能を有する材料を与える可能性がある。これらの利点から、近年、機能性有機材料を用いたフォトエレクトロニクスやエレクトロニクスに注目が集まっている。
【0003】
例えば、有機化合物を機能性材料として用いたエレクトロニクスデバイスの例として、太陽電池や発光素子、有機トランジスタ等が挙げられる。これらは有機化合物の電気物性および光物性を利用したデバイスであり、特に発光素子はめざましい発展を見せている。
【0004】
発光素子の発光機構は、一対の電極間に発光層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が発光層の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に緩和する際にエネルギーを放出して発光すると考えられている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
【0005】
このような発光素子は有機材料に依存した問題が多く、これらを克服するために素子構造の改良や材料開発等が行われている。
【0006】
発光素子の最も基本的な構造としては、正孔輸送性の有機化合物からなる正孔輸送層と、電子輸送性の有機化合物からなる電子輸送性発光層を積層させた合計約100nm程度の薄膜を電極で挟んだ構造が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
非特許文献1に記載されている発光素子に電圧を印加すると、発光性および電子輸送性を有する有機化合物からの発光を得ることができる。
【0008】
また、非特許文献1に記載されている発光素子は、正孔の輸送は正孔輸送層が行い、電子の輸送および発光は電子輸送層が行うという、薄膜の機能分離が適切に行われている。しかし、積層した層の界面では、様々な相互作用(例えば、エキサイプレックスの形成等)が生じ、その結果、発光スペクトルの変化や発光効率の低下が生じる場合がある。
【0009】
界面での相互作用に起因した発光スペクトルの変化や発光効率の低下を抑制するため、さらに薄膜の機能を分離した発光素子が考えられた。例えば、正孔輸送層と電子輸送層との間に発光層を挟む構造の発光素子が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0010】
非特許文献2に記載されているような発光素子において、界面で生じる相互作用をより効果的に抑制するには、電子輸送性および正孔輸送性の両方を有するバイポーラ性の有機化合物を用いて発光層を形成することが好ましい。
【0011】
しかしながら、有機化合物の多くは正孔輸送性または電子輸送性に偏ったモノポーラ性の材料である。
【0012】
したがって、電子輸送性および正孔輸送性の両方を有するバイポーラ性の有機化合物の開発が求められている。
【非特許文献1】C.W.タン、外1名、アプライド フィジクス レターズ、vol.51、No.12、913−915(1987)
【非特許文献2】チハヤ アダチ、外3名、ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジクス、vol.27、No.2、L269−L271(1988)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記問題を鑑み、本発明は、新規なバイポーラ性の有機化合物を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明のバイポーラ性の有機化合物を用いることで、駆動電圧が低く、消費電力の小さい発光素子を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明のバイポーラ性の有機化合物を用いることで、消費電力が小さい発光装置および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一は、一般式(G11)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0017】
【化1】

【0018】
(式中、Hetは、置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環を表し、Ar〜Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【0019】
本明細書においては、Hetで表される置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環としては、5員環の単環の複素芳香環だけでなく、5員環の複素芳香環と他の芳香環とで形成される縮合環も含むものとする。具体的には、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のイミダゾ[1,5−a]ピリジン、置換または無置換の1,2,4−オキサジアゾール、置換または無置換のベンゾオキサゾール、置換または無置換の1,3,4−トリアゾール、置換または無置換のイミダゾール、置換または無置換のオキサゾール、置換または無置換の1,3−チアゾール、置換または無置換の1,2,5−オキサジアゾール、置換または無置換のピラゾール、置換または無置換のイソチアゾール、置換または無置換のイソオキサゾール、置換または無置換のインダゾール、置換または無置換のプリン、置換または無置換の1H−イミダゾ[5,1−c][1,2,4]トリアゾール、置換または無置換の1H−テトラゾール、置換または無置換の1,2,3,4−オキサトリアゾール、置換または無置換の1,2,3,4−チアトリアゾールなどが挙げられる。
【0020】
また、本発明の一は、一般式(G12)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0021】
【化2】

【0022】
(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【0023】
また、本発明の一は、一般式(G13)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0024】
【化3】

【0025】
(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、R21〜R25は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基のいずれかを表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【0026】
また、本発明の一は、一般式(G14)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0027】
【化4】

【0028】
(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、R21〜R25は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基のいずれかを表し、R31〜R35は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基のいずれかを表す。)
【0029】
また、本発明の一は、一般式(G15)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0030】
【化5】

【0031】
(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表す。)
【0032】
また、本発明の一は、一般式(G16)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0033】
【化6】

【0034】
(式中、R41は、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のナフチル基、置換または無置換のピリジル基のいずれかを表す。)
【0035】
また、本発明の一は、一般式(G17)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0036】
【化7】

【0037】
(式中、R51〜R54は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、フェニル基のいずれかを表す。)
【0038】
また、本発明の一は、一般式(G18)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0039】
【化8】

【0040】
また、本発明の一は、一般式(G21)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0041】
【化9】

【0042】
(式中、Hetは、置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環を表し、Ar〜Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【0043】
Hetで表される置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環としては、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のイミダゾ[1,5−a]ピリジン、置換または無置換の1,2,4−オキサジアゾール、置換または無置換のベンゾオキサゾール、置換または無置換の1,3,4−トリアゾール、置換または無置換のイミダゾール、置換または無置換のオキサゾール、置換または無置換の1,3−チアゾール、置換または無置換の1,2,5−オキサジアゾール、置換または無置換のピラゾール、置換または無置換のイソチアゾール、置換または無置換のイソオキサゾール、置換または無置換のインダゾール、置換または無置換のプリン、置換または無置換の1H−イミダゾ[5,1−c][1,2,4]トリアゾール、置換または無置換の1H−テトラゾール、置換または無置換の1,2,3,4,−オキサトリアゾール、置換または無置換の1,2,3,4,−チアトリアゾールなどが挙げられる。
【0044】
また、本発明の一は、一般式(G22)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0045】
【化10】

【0046】
(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【0047】
また、本発明の一は、一般式(G23)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0048】
【化11】

【0049】
(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、R21〜R25は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基のいずれかを表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【0050】
また、本発明の一は、一般式(G24)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0051】
【化12】

(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、R21〜R25は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基のいずれかを表す。)
【0052】
また、本発明の一は、一般式(G25)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0053】
【化13】

【0054】
(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表す。)
【0055】
また、本発明の一は、一般式(G26)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0056】
【化14】

【0057】
(式中、R41は、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のナフチル基、置換または無置換のピリジル基のいずれかを表す。)
【0058】
また、本発明の一は、一般式(G27)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0059】
【化15】

【0060】
(式中、R51〜R54は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、フェニル基のいずれかを表す。)
【0061】
また、本発明の一は、一般式(G28)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0062】
【化16】

【0063】
また、本発明の一は、上記キノキサリン誘導体を用いた発光素子である。具体的には、一対の電極間に上述したキノキサリン誘導体を有することを特徴とする発光素子である。
【0064】
また、本発明の一は、一対の電極間に発光層を有し、発光層は上述したキノキサリン誘導体を有することを特徴とする発光素子である。
【0065】
また、本発明の一は、一対の電極間に発光層を有し、発光層は上述したキノキサリン誘導体と蛍光を発光する物質を有することを特徴とする発光素子である。
【0066】
また、本発明の一は、一対の電極間に発光層を有し、発光層は上述したキノキサリン誘導体と燐光を発光する物質を有することを特徴とする発光素子である。
【0067】
また、本発明の発光装置は、一対の電極間に発光物質を含む層を有し、発光物質を含む層に上記のキノキサリン誘導体を含む発光素子を有することを特徴とする。またさらに、発光素子の発光を制御する制御回路を有することを特徴とする。なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を含む。また、パネルにコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュールを含む。また本明細書中における発光装置は、発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも含むものとする。
【0068】
また、本発明の発光素子を表示部に用いた電子機器も本発明の範疇に含めるものとする。したがって、本発明の電子機器は、表示部を有し、表示部は、上述した発光素子と発光素子の発光を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0069】
本発明のキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であり、電子輸送性および正孔輸送性の双方に優れている。
【0070】
さらに、本発明のキノキサリン誘導体はバイポーラ性であるため、発光素子に用いることで、駆動電圧が低く、消費電力の小さい発光素子を得ることができる。
【0071】
また、本発明のキノキサリン誘導体を用いることで、消費電力が小さい発光装置および電子機器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0073】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明のキノキサリン誘導体について説明する。
【0074】
本発明者らは、鋭意検討の結果、一つの分子内に、電子輸送性の骨格と、正孔輸送性の骨格とを導入することにより、バイポーラ性の有機化合物が得られることを見いだした。特に、一つの分子内に、キノキサリン骨格と、置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環と、アミン骨格を有することにより、キャリアバランスに優れたバイポーラ性を示す有機化合物が得られることを見いだした。
【0075】
本発明のキノキサリン誘導体は、キノキサリンの2位または3位の少なくとも一方の炭素と、置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環(以下、ヘテロ環という)を有するアミンユニットが、アリーレン基を介して結合している構造を有している。つまり、一つの分子内に、キノキサリン骨格と、ヘテロ環と、アミン骨格を有する。
【0076】
より具体的には、本発明に係るキノキサリン誘導体は、一般式(G11)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0077】
【化17】

【0078】
(式中、Hetは、置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環を表し、Ar〜Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【0079】
また、本発明に係るキノキサリン誘導体は、一般式(G21)で表されるキノキサリン誘導体である。
【0080】
【化18】

【0081】
(式中、Hetは、置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環を表し、Ar〜Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【0082】
一般式(G11)で表されるキノキサリン誘導体は、キノキサリンの2位の炭素とアミンユニットとが、アリーレン基を介して結合している。また、一般式(G21)で表されるキノキサリン誘導体は、キノキサリンの2位の炭素および3位の炭素とアミンユニットとが、アリーレン基を介して結合している。一般式(G11)で表されるキノキサリン誘導体は一般式(G21)で表されるキノキサリン誘導体よりも分子量が小さいため、昇華しやすい。よって、昇華精製による精製が可能である。従って、真空蒸着法による成膜に好適である。一方、一般式(G21)で表されるキノキサリン誘導体は一般式(G11)で表されるキノキサリン誘導体よりも分子量が大きいため、熱的安定性に優れている。
【0083】
一般式(G11)および一般式(G21)において、Hetで表される置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環としては、5員環の単環の複素芳香環だけでなく、5員環の複素芳香環と他の芳香環が縮合することで形成される縮合環を含むものとする。例えば、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のイミダゾ[1,5−a]ピリジン、置換または無置換の1,2,4−オキサジアゾール、置換または無置換のベンゾオキサゾール、置換または無置換の1,3,4−トリアゾール、置換または無置換のイミダゾール、置換または無置換のオキサゾール、置換または無置換の1,3−チアゾール、置換または無置換の1,2,5−オキサジアゾール、置換または無置換のピラゾール、置換または無置換のイソチアゾール、置換または無置換のイソオキサゾール、置換または無置換のインダゾール、置換または無置換のプリン、置換または無置換の1H−イミダゾ[5,1−c][1,2,4]トリアゾール、置換または無置換の1H−テトラゾール、置換または無置換の1,2,3,4−オキサトリアゾール、置換または無置換の1,2,3,4−チアトリアゾールなどが挙げられる。これらの置換基の具体的な構造例を構造式(10−1)〜構造式(11−20)に例示する。
【0084】
【化19】

【0085】
中でも、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールは、合成および精製(高純度化)が容易であるため好ましい。特に、構造式(11−1)〜構造式(11−16)で示される置換基は、合成が容易であるため好ましい。
【0086】
【化20】

【0087】
また、一般式(G11)および一般式(G21)において、Ar〜Arで表される置換基としては、例えば、構造式(12−1)〜構造式(12−10)で表されるアリーレン基が挙げられる。構造式(12−4)などで示したように、Ar〜Arで表されるアリーレン基は置換基を有していても良い。なお、本明細書中で示すアリール基やアリーレン基の炭素数は、主骨格の環を形成する炭素数を示しており、それに結合する置換基の炭素数を含むものではない。また、構造式(12−9)や構造式(13−8)で示したように、本明細書中のアリール基およびアリーレン基が置換基を2つ以上有する場合、置換基同士が結合して環構造を形成していてもよく、環構造としてはスピロ環を含むものとする。)
【0088】
【化21】

【0089】
また、一般式(G11)および一般式(G21)において、Arで表される置換基としては、例えば、構造式(13−1)〜構造式(13−13)で表されるアリール基が挙げられる。構造式(13−7)〜構造式(13−13)などで示したように、Arで表されるアリール基は置換基を有していても良い。
【0090】
【化22】

【0091】
また、一般式(G11)および一般式(G21)において、R11〜R14で表される置換基としては、例えば、構造式(14−1)〜構造式(14−22)で表される水素、アルキル基、アリール基などが挙げられる。構造式(14−16)〜構造式(14−22)などで示したように、R11〜R14で表されるアリール基は置換基を有していても良い。
【0092】
【化23】

【0093】
また、一般式(G11)において、Rで表される置換基としては、例えば、構造式(15−1)〜構造式(15−21)で表されるアルキル基やアリール基が挙げられる。構造式(15−15)〜構造式(15−21)などで示したように、Rで表されるアリール基は置換基を有していても良い。
【0094】
【化24】

【0095】
一般式(G11)で表されるキノキサリン誘導体において、適切な三重項励起エネルギーを有するキノキサリン誘導体を得るという観点、並びに、合成および精製(高純度化)の容易さの点から、Arはフェニレン基であることが好ましい。つまり、一般式(G12)で表されるキノキサリン誘導体であることが好ましい。
【0096】
【化25】

【0097】
(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【0098】
同様に、一般式(G21)で表されるキノキサリン誘導体において、適切な三重項励起エネルギーを有するキノキサリン誘導体を得るという観点、並びに、合成および精製(高純度化)の容易さの点から、Arはフェニレン基であることが好ましい。つまり、一般式(G22)で表されるキノキサリン誘導体であることが好ましい。
【0099】
【化26】

【0100】
(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【0101】
さらに好ましくは、一般式(G11)で表されるキノキサリン誘導体において、適切な三重項励起エネルギーを有するキノキサリン誘導体を得るという観点、並びに、合成および精製(高純度化)の容易さの点から、Arはフェニル基であることが好ましい。つまり、一般式(G13)で表されるキノキサリン誘導体であることが好ましい。
【0102】
【化27】

【0103】
(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、R21〜R25は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基のいずれかを表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【0104】
同様に、一般式(G21)で表されるキノキサリン誘導体において、適切な三重項励起エネルギーを有するキノキサリン誘導体を得るという観点、並びに、合成および精製(高純度化)の容易さの点から、Arはフェニレン基であることが好ましい。つまり、一般式(G23)で表されるキノキサリン誘導体であることが好ましい。
【0105】
【化28】

【0106】
(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、R21〜R25は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基のいずれかを表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【0107】
また、一般式(G11)で表されるキノキサリン誘導体において、適切な三重項励起エネルギーを有するキノキサリン誘導体を得るという観点、並びに、合成および精製(高純度化)の容易さの点から、Rはフェニル基であることが好ましい。また、R11〜R14は、水素であることが好ましい。つまり、一般式(G14)で表されるキノキサリン誘導体であることが好ましい。
【0108】
【化29】

(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、R21〜R25は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基のいずれかを表し、R31〜R35は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基のいずれかを表す。)
【0109】
同様に、一般式(G21)で表されるキノキサリン誘導体において、適切な三重項励起エネルギーを有するキノキサリン誘導体を得るという観点、並びに、合成および精製(高純度化)の容易さの点から、また、R11〜R14は、水素であることが好ましい。つまり、一般式(G24)で表されるキノキサリン誘導体であることが好ましい。
【0110】
【化30】

【0111】
(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、R21〜R25は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基のいずれかを表す。)
【0112】
また、一般式(G11)で表されるキノキサリン誘導体において、適切な三重項励起エネルギーを有するキノキサリン誘導体を得るという観点、並びに、合成および精製(高純度化)の容易さの点から、Arはフェニル基であることが好ましい。また、適切な三重項励起エネルギーを有するキノキサリン誘導体を得るという観点、並びに、合成および精製(高純度化)の容易さの点から、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかであることが好ましい。つまり、一般式(G15)で表されるキノキサリン誘導体であることが好ましい。
【0113】
【化31】

【0114】
(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表す。)
【0115】
一般式(G15)で表されるキノキサリン誘導体としては、具体的には、一般式(G16)〜一般式(G18)で表されるキノキサリン誘導体が挙げられる。
【0116】
【化32】

【0117】
(式中、R41は、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のナフチル基、置換または無置換のピリジル基のいずれかを表す。)
【0118】
【化33】

【0119】
(式中、R51〜R54は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、フェニル基のいずれかを表す。)
【0120】
【化34】

【0121】
同様に、一般式(G21)で表されるキノキサリン誘導体において、適切な三重項励起エネルギーを有するキノキサリン誘導体を得るという観点、並びに、合成および精製(高純度化)の容易さの点から、Arはフェニル基であることが好ましい。また、適切な三重項励起エネルギーを有するキノキサリン誘導体を得るという観点、並びに、合成および精製(高純度化)の容易さの点から、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかであることが好ましい。つまり、一般式(G25)で表されるキノキサリン誘導体であることが好ましい。
【0122】
【化35】

【0123】
(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表す。)
【0124】
一般式(G25)で表されるキノキサリン誘導体としては、具体的には、一般式(G26)〜一般式(G28)で表されるキノキサリン誘導体が挙げられる。
【0125】
【化36】

【0126】
(式中、R41は、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のナフチル基、置換または無置換のピリジル基のいずれかを表す。)
【0127】
【化37】

【0128】
(式中、R51〜R54は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、フェニル基のいずれかを表す。)
【0129】
【化38】

【0130】
一般式(G11)で表されるキノキサリン誘導体としては、例えば、構造式(101)〜構造式(181)、構造式(201)〜構造式(282)、構造式(301)〜構造式(373)で表されるキノキサリン誘導体が挙げられる。また、一般式(G21)で表されるキノキサリン誘導体としては、例えば、構造式(401)〜構造式(467)、構造式(501)〜構造式(568)、構造式(601)〜構造式(659)で表されるキノキサリン誘導体を挙げることができる。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0131】
【化39】

【0132】
【化40】

【0133】
【化41】

【0134】
【化42】

【0135】
【化43】

【0136】
【化44】

【0137】
【化45】

【0138】
【化46】

【0139】
【化47】

【0140】
【化48】

【0141】
【化49】

【0142】
【化50】

【0143】
【化51】

【0144】
【化52】

【0145】
【化53】

【0146】
【化54】

【0147】
【化55】

【0148】
【化56】

【0149】
【化57】

【0150】
【化58】

【0151】
【化59】

【0152】
【化60】

【0153】
【化61】

【0154】
【化62】

【0155】
【化63】

【0156】
【化64】

【0157】
【化65】

【0158】
【化66】

【0159】
【化67】

【0160】
【化68】

【0161】
【化69】

【0162】
【化70】

【0163】
【化71】

【0164】
【化72】

【0165】
【化73】

【0166】
【化74】

【0167】
【化75】

【0168】
【化76】

【0169】
【化77】

【0170】
【化78】

【0171】
【化79】

【0172】
【化80】

【0173】
【化81】

【0174】
【化82】

【0175】
【化83】

【0176】
【化84】

【0177】
【化85】

【0178】
【化86】

【0179】
【化87】

【0180】
【化88】

【0181】
【化89】

【0182】
【化90】

【0183】
【化91】

【0184】
【化92】

【0185】
【化93】

【0186】
【化94】

【0187】
【化95】

【0188】
【化96】

【0189】
【化97】

【0190】
【化98】

【0191】
【化99】

【0192】
【化100】

【0193】
【化101】

【0194】
【化102】

【0195】
【化103】

【0196】
【化104】

【0197】
【化105】

【0198】
【化106】

【0199】
【化107】

【0200】
【化108】

【0201】
【化109】

【0202】
【化110】

【0203】
【化111】

【0204】
【化112】

【0205】
【化113】

【0206】
【化114】

【0207】
【化115】

【0208】
【化116】

【0209】
【化117】

【0210】
【化118】

【0211】
【化119】

【0212】
【化120】

【0213】
【化121】

【0214】
【化122】

【0215】
【化123】

【0216】
【化124】

【0217】
【化125】

【0218】
【化126】

【0219】
【化127】

【0220】
【化128】

【0221】
【化129】

【0222】
【化130】

【0223】
【化131】

【0224】
【化132】

【0225】
【化133】

【0226】
【化134】

【0227】
【化135】

【0228】
【化136】

【0229】
【化137】

【0230】
【化138】

【0231】
【化139】

【0232】
【化140】

【0233】
【化141】

【0234】
【化142】

【0235】
【化143】

【0236】
【化144】

【0237】
【化145】

【0238】
【化146】

【0239】
【化147】

【0240】
【化148】

【0241】
【化149】

【0242】
【化150】

【0243】
【化151】

【0244】
【化152】

【0245】
【化153】

【0246】
【化154】

【0247】
【化155】

【0248】
【化156】

【0249】
【化157】

【0250】
【化158】

【0251】
【化159】

【0252】
【化160】

【0253】
【化161】

【0254】
【化162】

【0255】
【化163】

【0256】
【化164】

【0257】
【化165】

【0258】
【化166】

【0259】
【化167】

【0260】
【化168】

【0261】
【化169】

【0262】
【化170】

【0263】
【化171】

【0264】
【化172】

【0265】
【化173】

【0266】
【化174】

【0267】
【化175】

【0268】
【化176】

【0269】
【化177】

【0270】
【化178】

【0271】
【化179】

【0272】
【化180】

【0273】
【化181】

【0274】
【化182】

【0275】
【化183】

【0276】
【化184】

【0277】
【化185】

【0278】
【化186】

【0279】
【化187】

【0280】
【化188】

【0281】
【化189】

【0282】
【化190】

【0283】
【化191】

【0284】
【化192】

【0285】
【化193】

【0286】
本発明のキノキサリン誘導体の合成方法としては、種々の反応の適用が可能である。例えば、以下に示す合成反応を行うことによって、本発明のキノキサリン誘導体を合成することができる。なお、本発明のキノキサリン誘導体の合成方法は、以下の合成方法に限定されない。
【0287】
[一般式(G11)で表されるキノキサリン誘導体の合成方法(1)]
【0288】
<2級ヘテロアリールアミン(化合物A)の合成法>
一般式(化合物A)で表される2級ヘテロアリールアミンは、合成スキーム(反応式A1−1)のようにして合成することができる。すなわち、ハロゲン化ヘテロアリール(化合物A1)とアリールアミン(化合物A2)とを、塩基存在下にて金属又は金属化合物を用いてカップリングさせることにより、2級ヘテロアリールアミン(化合物A)を得ることができる。
【0289】
【化194】

【0290】
合成スキーム(反応式A1−1)において、Hetは、置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表す。また、Xはハロゲンを表し、塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。
【0291】
合成スキーム(反応式A1−1)において、ハートウィック・ブッフバルト反応を行う場合、用いることができるパラジウム触媒としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等が挙げられるが、用いることができる触媒はこれらに限られるものでは無い。用いることができるパラジウム触媒の配位子としては、トリ(tert−ブチル)ホスフィンや、トリ(n−ヘキシル)ホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。用いることができる配位子はこれらに限られるものでは無い。合成スキーム(反応式A1−1)において用いることができる塩基としては、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられるが、用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。
【0292】
また、合成スキーム(反応式A1−1)において、ウルマン反応を行う場合について説明する。ウルマン反応を行う場合、銅化合物を用いることができる。合成スキーム(反応式A1−1)において、R104とR105は、それぞれ、ハロゲンやアセチル基等を表し、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。また、R104がヨウ素であるヨウ化銅(I)、又はR105がアセチル基である酢酸銅(II)が好ましい。反応に用いられる銅化合物はこれらに限られるものでは無い。また、銅化合物の他に銅を用いることができる。用いることができる塩基としては、炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。用いることができる溶媒としては、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノン(DMPU)、トルエン、キシレン、ベンゼン等が挙げられる。用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。ウルマン反応では、反応温度が100℃以上の方がより短時間かつ高収率で目的物が得られるため、沸点の高いDMPU、キシレンを用いることが好ましい。また、反応温度は150℃以上のより高い温度が更に好ましいため、より好ましくはDMPUを用いる。
【0293】
<ハロゲン化キノキサリン誘導体(化合物B)の合成法>
一般式(化合物B)で表されるハロゲン化キノキサリン誘導体は、合成スキーム(反応式A1−2)のようにして合成することができる。すなわち、1,2−フェニレンジアミン誘導体(化合物B1)とハロゲン化ジケトン誘導体(化合物B2)を脱水環化反応することで、ハロゲン化キノキサリン誘導体(化合物B)を得ることができる。
【0294】
【化195】

【0295】
合成スキーム(反応式A1−2)において、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表す。Xはハロゲン、又は、トリフルオロメタンスルホン酸エステル基(トリフラート基)を表す。Xがハロゲンである場合は、塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。反応式A1−2において、用いることができる溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン系の溶媒、エタノール、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、酢酸、炭酸ナトリウム水溶液、硫酸水素ナトリウム水溶液、酢酸ナトリウム水溶液、酢酸ナトリウム水溶液と酢酸の混合溶媒等が挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。また、ハロゲン系溶媒を用いる場合は、より沸点の高いクロロホルム、又は、四塩化炭素を用いる方が好ましい。
【0296】
<キノキサリン誘導体(G11)の合成>
一般式(G11)で表されるキノキサリン誘導体は、合成スキーム(反応式B1)のようにして合成することができる。すなわち、2級ヘテロアリールアミン(化合物A)とハロゲン化キノキサリン誘導体(化合物B)とを、塩基存在下にて金属又は金属化合物を用いてカップリングさせることにより、キノキサリン誘導体(G11)を得ることができる。
【0297】
【化196】

【0298】
合成スキーム(反応式B1)において、Hetは、置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環を表し、Ar〜Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。また、Xはハロゲン、又は、トリフラート基を表し、Xがハロゲンである場合は、塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。
【0299】
合成スキーム(反応式B1)において、ハートウィック・ブッフバルト反応を行う場合、用いることができるパラジウム触媒としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等が挙げられるが、用いることができる触媒はこれらに限られるものでは無い。用いることができるパラジウム触媒の配位子としては、トリ(tert−ブチル)ホスフィンや、トリ(n−ヘキシル)ホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。用いることができる配位子はこれらに限られるものでは無い。用いることができる塩基としては、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられるが、用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。
また、合成スキーム(反応式B1)において、ウルマン反応を行う場合について説明する。ウルマン反応を行う場合、銅化合物を用いることができる。合成スキーム(反応式B1)において、R104とR105は、それぞれ、ハロゲンやアセチル基等を表し、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。また、R104がヨウ素であるヨウ化銅(I)、又はR105がアセチル基である酢酸銅(II)が好ましい。反応に用いられる銅化合物はこれらに限られるものでは無い。また、銅化合物の他に銅を用いることができる。用いることができる塩基としては、炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。用いることができる溶媒としては、DMPU、トルエン、キシレン、ベンゼン等が挙げられる。用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。ウルマン反応では、反応温度が100℃以上の方がより短時間かつ高収率で目的物が得られるため、沸点の高いDMPU、キシレンを用いることが好ましい。また、反応温度は150℃以上のより高い温度が更に好ましいため、より好ましくはDMPUを用いる。
【0300】
[一般式(G11)で表されるキノキサリン誘導体の合成方法(2)]
【0301】
<キノキサリン構造を有する2級アミン(化合物C)の合成>
一般式(化合物C)で表されるキノキサリン構造を有する2級アミンは、合成スキーム(反応式A2−2)のようにして合成することができる。すなわち、ハロゲン化キノキサリン誘導体(化合物B)とアリールアミン(化合物A2)とを、塩基存在下にて金属又は金属化合物を用いてカップリングさせることにより、キノキサリン構造を有する2級アミン(化合物C)を得ることができる。
【0302】
【化197】

【0303】
合成スキーム(反応式A2−2)において、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。また、Xはハロゲン、又は、トリフラート基を表し、Xがハロゲンである場合は、塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。
【0304】
合成スキーム(反応式A2−2)において、ハートウィック・ブッフバルト反応を行う場合、用いることができるパラジウム触媒としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等が挙げられるが、用いることができる触媒はこれらに限られるものでは無い。用いることができるパラジウム触媒の配位子としては、トリ(tert−ブチル)ホスフィンや、トリ(n−ヘキシル)ホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。用いることができる配位子はこれらに限られるものでは無い。用いることができる塩基としては、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられるが、用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。
【0305】
また、合成スキーム(反応式A2−2)において、ウルマン反応を行う場合について説明する。ウルマン反応を行う場合、銅化合物を用いることができる。合成スキーム(反応式A2−2)において、R104とR105は、それぞれ、ハロゲンやアセチル基等を表し、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。また、R104がヨウ素であるヨウ化銅(I)、又はR105がアセチル基である酢酸銅(II)が好ましい。反応に用いられる銅化合物はこれらに限られるものでは無い。また、銅化合物の他に銅を用いることができる。用いることができる塩基としては、炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。用いることができる溶媒としては、DMPU、トルエン、キシレン、ベンゼン等が挙げられる。用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。ウルマン反応では、反応温度が100℃以上の方がより短時間かつ高収率で目的物が得られるため、沸点の高いDMPU、キシレンを用いることが好ましい。また、反応温度は150℃以上のより高い温度が更に好ましいため、より好ましくはDMPUを用いる。
【0306】
<キノキサリン誘導体(G11)の合成>
一般式(G11)で表されるキノキサリン誘導体は、合成スキーム(反応式B2)のようにして合成することができる。すなわち、キノキサリン構造を有する2級アミン(化合物C)とハロゲン化ヘテロアリール(化合物A1)とを、塩基存在下にて金属又は金属化合物を用いてカップリングさせることにより、キノキサリン誘導体(G11)を得ることができる。
【0307】
【化198】

【0308】
合成スキーム(反応式B2)において、Hetは、置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環を表し、Ar〜Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。また、Xはハロゲンを表し、塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。
【0309】
合成スキーム(反応式B2)において、ハートウィック・ブッフバルト反応を行う場合、用いることができるパラジウム触媒としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等が挙げられるが、用いることができる触媒はこれらに限られるものでは無い。用いることができるパラジウム触媒の配位子としては、トリ(tert−ブチル)ホスフィンや、トリ(n−ヘキシル)ホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。用いることができる配位子はこれらに限られるものでは無い。用いることができる塩基としては、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられるが、用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。
【0310】
また、合成スキーム(反応式B2)において、ウルマン反応を行う場合について説明する。ウルマン反応を行う場合、銅化合物を用いることができる。合成スキーム(反応式B2)において、R104とR105は、それぞれ、ハロゲンやアセチル基等を表し、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。また、R104がヨウ素であるヨウ化銅(I)、又はR105がアセチル基である酢酸銅(II)が好ましい。反応に用いられる銅化合物はこれらに限られるものでは無い。また、銅化合物の他に銅を用いることができる。用いることができる塩基としては、炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。用いることができる溶媒としては、DMPU、トルエン、キシレン、ベンゼン等が挙げられる。用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。ウルマン反応では、反応温度が100℃以上の方がより短時間かつ高収率で目的物が得られるため、沸点の高いDMPU、キシレンを用いることが好ましい。また、反応温度は150℃以上のより高い温度が更に好ましいため、より好ましくはDMPUを用いる。
【0311】
[一般式(G21)で表されるキノキサリン誘導体の合成方法(1)]
【0312】
<ハロゲン化キノキサリン誘導体(化合物D)の合成法>
一般式(化合物D)で表されるハロゲン化キノキサリン誘導体は、合成スキーム(反応式A3−2)のようにして合成することができる。すなわち、1,2−フェニレンジアミン誘導体(化合物B1)とハロゲン化ジケトン誘導体(化合物B3)を脱水環化反応することで、ハロゲン化キノキサリン誘導体(化合物D)を得ることができる。
【0313】
【化199】

【0314】
合成スキーム(反応式A3−2)において、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。また、Xはハロゲン、又は、トリフラート基を示す。Xがハロゲンである場合は、塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。反応式A3−2において、用いることができる溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン系の溶媒、エタノール、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、酢酸、炭酸ナトリウム水溶液、硫酸水素ナトリウム水溶液、酢酸ナトリウム水溶液、酢酸ナトリウム水溶液と酢酸の混合溶媒等が挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。また、ハロゲン系溶媒を用いる場合は、より沸点の高いクロロホルム、又は、四塩化炭素を用いる方が好ましい。
【0315】
<キノキサリン誘導体(G21)の合成>
一般式(G21)で表されるキノキサリン誘導体は、合成スキーム(反応式B3)のようにして合成することができる。すなわち、2級ヘテロアリールアミン(化合物A)とハロゲン化キノキサリン誘導体(化合物D)とを、塩基存在下にて金属又は金属化合物を用いてカップリングさせることにより、キノキサリン誘導体(G21)を得ることができる。
【0316】
【化200】

【0317】
合成スキーム(反応式B3)において、Hetは、置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環を表し、Ar〜Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。また、Xはハロゲン、又は、トリフラート基を示す。Xがハロゲンである場合は、塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。
【0318】
合成スキーム(反応式B3)において、ハートウィック・ブッフバルト反応を行う場合、用いることができるパラジウム触媒としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等が挙げられるが、用いることができる触媒はこれらに限られるものでは無い。用いることができるパラジウム触媒の配位子としては、トリ(tert−ブチル)ホスフィンや、トリ(n−ヘキシル)ホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。用いることができる配位子はこれらに限られるものでは無い。用いることができる塩基としては、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられるが、用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。
【0319】
また、合成スキーム(反応式B3)において、ウルマン反応を行う場合について説明する。ウルマン反応を行う場合、銅化合物を用いることができる。合成スキーム(反応式B3)において、R104とR105は、それぞれ、ハロゲンやアセチル基等を表し、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。また、R104がヨウ素であるヨウ化銅(I)、又はR105がアセチル基である酢酸銅(II)が好ましい。反応に用いられる銅化合物はこれらに限られるものでは無い。また、銅化合物の他に銅を用いることができる。用いることができる塩基としては、炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。用いることができる溶媒としては、DMPU、トルエン、キシレン、ベンゼン等が挙げられる。用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。ウルマン反応では、反応温度が100℃以上の方がより短時間かつ高収率で目的物が得られるため、沸点の高いDMPU、キシレンを用いることが好ましい。また、反応温度は150℃以上のより高い温度が更に好ましいため、より好ましくはDMPUを用いる。
【0320】
[一般式(G21)で表されるキノキサリン誘導体の合成方法(2)]
【0321】
<キノキサリン構造を有する2級アミン(化合物E)の合成>
一般式(化合物E)で表されるキノキサリン構造を有する2級アミンは、合成スキーム(反応式A4−2)のようにして合成することができる。すなわち、ハロゲン化キノキサリン誘導体(化合物D)とアリールアミン(化合物A2)とを、塩基存在下にて金属又は金属赤号物を用いてカップリングさせることにより、キノキサリン構造を有する2級アミン(化合物E)を得ることができる。
【0322】
【化201】

【0323】
合成スキーム(反応式A4−2)において、Hetは、置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。また、Xはハロゲン、又は、トリフラート基を示す。Xがハロゲンである場合は、塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。
【0324】
合成スキーム(反応式A4−2)において、ハートウィック・ブッフバルト反応を行う場合、用いることができるパラジウム触媒としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等が挙げられるが、用いることができる触媒はこれらに限られるものでは無い。用いることができるパラジウム触媒の配位子としては、トリ(tert−ブチル)ホスフィンや、トリ(n−ヘキシル)ホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。用いることができる配位子はこれらに限られるものでは無い。用いることができる塩基としては、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられるが、用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。
【0325】
また、合成スキーム(反応式A4−2)において、ウルマン反応を行う場合について説明する。ウルマン反応を行う場合、銅化合物を用いることができる。合成スキーム(反応式A4−2)において、R104とR105は、それぞれ、ハロゲンやアセチル基等を表し、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。また、R104がヨウ素であるヨウ化銅(I)、又はR105がアセチル基である酢酸銅(II)が好ましい。反応に用いられる銅化合物はこれらに限られるものでは無い。また、銅化合物の他に銅を用いることができる。用いることができる塩基としては、炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。用いることができる溶媒としては、DMPU、トルエン、キシレン、ベンゼン等が挙げられる。用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。ウルマン反応では、反応温度が100℃以上の方がより短時間かつ高収率で目的物が得られるため、沸点の高いDMPU、キシレンを用いることが好ましい。また、反応温度は150℃以上のより高い温度が更に好ましいため、より好ましくはDMPUを用いる。
【0326】
<キノキサリン誘導体(G21)の合成>
一般式(G21)で表されるキノキサリン誘導体は、合成スキーム(反応式B4)のようにして合成することができる。すなわち、キノキサリン構造を有する2級アミン(化合物E)とハロゲン化ヘテロアリール(化合物A1)とを、塩基存在下にて金属または金属化合物を用いてカップリングさせることにより、キノキサリン誘導体(G21)を得ることができる。
【0327】
【化202】

【0328】
合成スキーム(反応式B4)において、Hetは、置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環を表し、Ar〜Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。また、Xはハロゲンを表し、塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。
【0329】
合成スキーム(反応式B4)において、ハートウィック・ブッフバルト反応を行う場合、用いることができるパラジウム触媒としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等が挙げられるが、用いることができる触媒はこれらに限られるものでは無い。用いることができるパラジウム触媒の配位子としては、トリ(tert−ブチル)ホスフィンや、トリ(n−ヘキシル)ホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。用いることができる配位子はこれらに限られるものでは無い。用いることができる塩基としては、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられるが、用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。
【0330】
また、合成スキーム(反応式B4)において、ウルマン反応を行う場合について説明する。ウルマン反応を行う場合、銅化合物を用いることができる。合成スキーム(反応式B4)において、R104とR105は、それぞれ、ハロゲンやアセチル基等を表し、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。また、R104がヨウ素であるヨウ化銅(I)、又はR105がアセチル基である酢酸銅(II)が好ましい。反応に用いられる銅化合物はこれらに限られるものでは無い。また、銅化合物の他に銅を用いることができる。用いることができる塩基としては、炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。用いることができる溶媒としては、DMPU、トルエン、キシレン、ベンゼン等が挙げられる。用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。ウルマン反応では、反応温度が100℃以上の方がより短時間かつ高収率で目的物が得られるため、沸点の高いDMPU、キシレンを用いることが好ましい。また、反応温度は150℃以上のより高い温度が更に好ましいため、より好ましくはDMPUを用いる。
【0331】
また、本発明のキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であり、電子輸送性および正孔輸送性の双方に優れている。よって、本発明のキノキサリン誘導体をエレクトロニクスデバイスに用いることにより、良好な電気特性を得ることができる。
【0332】
また、本発明のキノキサリン誘導体は、可視光を発光するため、発光素子に好適に用いることができる。また、バンドギャップが大きいため、発光素子の発光層における発光材料を分散させるためのホスト材料として好適に用いることができる。また、本発明のキノキサリン誘導体は、三重項励起エネルギーが大きいため、燐光発光性物質のホスト材料として好適に用いることができる。
【0333】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体を用いた発光素子の一態様について、図1および図2を用いて説明する。
【0334】
本発明の発光素子は、一対の電極間に複数の層を有する。当該複数の層は、電極から離れたところに発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリアの再結合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層を組み合わせて積層されたものである。
【0335】
本形態において、発光素子は、第1の電極102と、第2の電極104と、第1の電極102と第2の電極104との間に設けられたEL層103とから構成されている。なお、本形態では第1の電極102は陽極として機能し、第2の電極104は陰極として機能するものとして、以下、説明をする。つまり、第1の電極102の方が第2の電極104よりも電位が高くなるように、第1の電極102と第2の電極104に電圧を印加したときに、発光が得られるものとして、以下説明をする。
【0336】
基板101は発光素子の支持体として用いられる。基板101としては、例えばガラス、またはプラスチック、金属などを用いることができる。なお、発光素子の支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。なお、発光素子からの発光を基板を通して外部へ取り出す場合には、基板101は透光性を有する基板であることが好ましい。
【0337】
第1の電極102としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上であることが好ましい)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して、インクジェット法、スピンコート法などにより作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
【0338】
また、第1の電極102と接する層として、後述する複合材料を含む層を用いた場合には、第1の電極102として、仕事関数の大小に関わらず、様々な金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、アルミニウムを含む合金(AlSi)等を用いることができる。また、仕事関数の小さい材料である、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等を用いることもできる。アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金の膜は、真空蒸着法を用いて形成することができる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む合金はスパッタリング法により形成することも可能である。また、銀ペーストなどをインクジェット法などにより成膜することも可能である。
【0339】
本実施の形態で示すEL層103は、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115を有している。なお、EL層103は、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体を有していればよく、その他の層の積層構造については特に限定されない。つまり、EL層103は、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質、発光性の高い物質等を含む層と、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体とを適宜組み合わせて構成すればよい。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等を適宜組み合わせて構成することができる。各層を構成する材料について以下に具体的に示す。
【0340】
正孔注入層111は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、酸化モリブデンや酸化バナジウム、酸化ルテニウム、酸化タングステン、酸化マンガン等を用いることができる。この他、低分子の有機化合物としては、フタロシアニン(略称:HPc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等が挙げられる。
【0341】
また、正孔注入層111として、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることができる。なお、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させたものを用いることにより、電極の仕事関数に依らず電極を形成する材料を選ぶことができる。つまり、第1の電極102として仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料を用いることができる。これらの複合材料は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター物質とを共蒸着することにより形成することができる。
【0342】
なお、本明細書中において、複合とは、単に2つの材料が混合している状態だけでなく、複数の材料を混合することによって材料間での電荷の授受が行われ得る状態になることを言う。
【0343】
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0344】
複合材料に用いることのできる有機化合物としては、例えば、MTDATA、TDATA、DPAB、DNTPD、DPA3B、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)等の芳香族アミン化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等のカルバゾール誘導体や、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert−ブチル−アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン、ペンタセン、コロネン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等の芳香族炭化水素化合物を挙げることができる。
【0345】
また、アクセプター性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物や、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0346】
また、正孔注入層111としては、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることができる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
【0347】
また、上述したPVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合物と、上述したアクセプター性物質を用いて複合材料を形成し、正孔注入層111として用いてもよい。
【0348】
正孔輸送層112は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、低分子の有機化合物としては、NPB(またはα−NPD)、TPD、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0349】
また、上述した正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を正孔輸送層112として用いても良い。
【0350】
また、正孔輸送層112として、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPDなどの高分子化合物を用いることもできる。
【0351】
発光層113は、発光性の高い物質を含む層であり、種々の材料を用いることができる。実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は、青〜緑色の発光を示すため、発光性物質として発光素子に好適に用いることができる。
【0352】
電子輸送層114は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送性の高い物質としては、低分子の有機化合物として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体が挙げられる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ01)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物も用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0353】
また、電子輸送層114として、高分子化合物を用いることができる。例えば、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)などを用いることができる。
【0354】
電子注入層115は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入性の高い物質としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を用いることができる。例えば、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることができる。なお、電子注入層として、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたものを用いることにより、第2の電極104からの電子注入が効率良く行われるためより好ましい。
【0355】
第2の電極104を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下であることが好ましい)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金の膜は、真空蒸着法を用いて形成することができる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む合金はスパッタリング法により形成することも可能である。また、銀ペーストなどをインクジェット法などにより成膜することも可能である。
【0356】
また、第2の電極104と電子輸送層114との間に、電子注入を促す機能を有する層である電子注入層115を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料を第2の電極104として用いることができる。これら導電性材料は、スパッタリング法やインクジェット法、スピンコート法等を用いて成膜することが可能である。
【0357】
また、EL層の形成方法としては、乾式法、湿式法を問わず、種々の方法を用いることができる。例えば、真空蒸着法、インクジェット法またはスピンコート法など用いても構わない。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
【0358】
例えば、上述した材料のうち、高分子化合物を用いて湿式法でEL層を形成してもよい。または、低分子の有機化合物を用いて湿式法で形成することもできる。また、低分子の有機化合物を用いて真空蒸着法などの乾式法を用いてEL層を形成してもよい。
【0359】
また、電極についても、ゾル−ゲル法を用いて湿式法で形成しても良いし、金属材料のペーストを用いて湿式法で形成してもよい。また、スパッタリング法や真空蒸着法などの乾式法を用いて形成しても良い。
【0360】
例えば、本発明の発光素子を表示装置に適用し、大型基板を用いて作製する場合には、発光層は湿式法により形成することが好ましい。発光層を、インクジェット法を用いて形成することにより、大型基板を用いても発光層の塗り分けが容易となる。
【0361】
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、第1の電極102と第2の電極104との間に与えられた電位差により電流が流れ、EL層103において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。
【0362】
発光は、第1の電極102または第2の電極104のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極102または第2の電極104のいずれか一方または両方は、透光性を有する電極である。例えば、第1の電極102のみが透光性を有する電極である場合、発光は第1の電極102を通って基板側から取り出される。また、第2の電極104のみが透光性を有する電極である場合、発光は第2の電極104を通って基板と逆側から取り出される。第1の電極102および第2の電極104がいずれも透光性を有する電極である場合、発光は第1の電極102および第2の電極104を通って、基板側および基板と逆側の両方から取り出される。
【0363】
なお、第1の電極102と第2の電極104との間に設けられる層の構成は、上記のものには限定されない。発光領域と金属とが近接することによって生じる消光を防ぐように、第1の電極102および第2の電極104から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発光領域を設けた構成であり、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体を有する構成であれば、上記以外のものでもよい。
【0364】
つまり、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質等から成る層と、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体を適宜組み合わせて構成すればよい。
【0365】
また、図2に示すように、基板101上に、陰極として機能する第2の電極104、EL層103、陽極として機能する第1の電極102とが順に積層された構成としてもよい。図2では、第2の電極104上に、電子注入層115、電子輸送層114、発光層113、正孔輸送層112、正孔注入層111が順に積層された構成となっている。
【0366】
なお、本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子を作製している。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブマトリクス型の発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、TFTと電気的に接続された電極上に発光素子を作製してもよい。これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし、逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、若しくはN型のTFTまたはP型のTFTのいずれか一方からのみなるものであってもよい。また、TFTに用いられる半導体膜の結晶性についても特に限定されない。非晶質半導体膜を用いてもよいし、結晶性半導体膜を用いてもよい。また、単結晶半導体膜を用いてもよい。単結晶半導体膜は、スマートカット法などを用いて作製することができる。
【0367】
本発明のキノキサリン誘導体は、バイポーラ性を有し、また発光性を有する物質である。このため、本実施の形態に示すように、他の発光性物質を含有することなく発光層として用いることが可能である。
【0368】
また、バイポーラ性であるため、積層した膜の界面に発光領域が偏りにくい。従って、駆動中、エキサイプレックスの生成などに起因する発光スペクトル変化や発光効率変化がほとんどない、良好な特性を有する発光素子を作製できる。また、発光効率の高い発光素子を得ることができる。
【0369】
また、本発明のキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であり、キャリア輸送性(電子輸送性および正孔輸送性)に優れた材料であるため、発光素子に用いることで、発光素子の駆動電圧を低減することができ、消費電力の低減に繋がる。
【0370】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で示した構成と異なる構成の発光素子について説明する。
【0371】
実施の形態2で示した発光層113を、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体を他の物質に分散させた構成とすることで、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体からの発光を得ることができる。実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は青〜緑色の発光を示すため、青〜緑色の発光を示す発光素子を得ることができる。
【0372】
ここで、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体を分散させる物質としては、種々の材料を用いることができ、実施の形態2で述べた正孔輸送の高い物質や電子輸送性の高い物質の他、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)−ビフェニル(略称:CBP)や、2,2’,2”−(1,3,5−ベンゼントリ−イル)−トリス[1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール](略称:TPBI)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)などが挙げられる。
【0373】
実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であり、キャリア輸送性(電子輸送性および正孔輸送性)に優れた材料であるため、発光素子に用いることで、発光素子の駆動電圧を低減することができ、消費電力の低減に繋がる。
【0374】
なお、発光層113以外は、実施の形態2に示した構成を適宜用いることができる。
【0375】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態2および実施の形態3で示した構成と異なる構成の発光素子について説明する。
【0376】
実施の形態2で示した発光層113を、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体に発光性の物質を分散させた構成とすることで、発光性の物質からの発光を得ることができる。
【0377】
実施の形態1で示したキノキサリン誘導体はバイポーラ性を有している。また、実施の形態1で示したキノキサリンはバンドギャップが大きい。また、三重項励起エネルギーが大きい。よって、発光性の物質(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成の発光層において、ホスト材料として用いることができる。
【0378】
実施の形態1で示したキノキサリン誘導体を他の発光性物質を分散させる材料として用いる場合、発光性物質に起因した発光色を得ることができる。また、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体に起因した発光色と、キノキサリン誘導体中に分散されている発光性物質に起因した発光色が混色された発光を得ることもできる。
【0379】
実施の形態1で示したキノキサリン誘導体をホスト材料として用いた場合、ゲスト材料が蛍光を発光する場合には、ゲスト材料として、実施の形態1に示したキノキサリン誘導体よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が低く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が高い物質を用いることが好ましい。例えば、青色系の発光材料として、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)]−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,13−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)などが挙げられる。
【0380】
また、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体をホスト材料として用いた場合、ゲスト材料が燐光を発光する場合には、ゲスト材料として、実施の形態1に示したキノキサリン誘導体よりも三重項励起エネルギーが小さい物質を用いることが好ましい。例えば、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)等の有機金属錯体が挙げられる。
【0381】
実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であり、キャリア輸送性(電子輸送性および正孔輸送性)に優れた材料であるため、発光素子に用いることで、発光素子の駆動電圧を低減することができ、消費電力の低減に繋がる。
【0382】
また、発光性の物質(ゲスト材料)を分散させるための物質(ホスト材料)は複数種用いることができる。よって、発光層は、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体以外に、第2のホスト材料を含んでいても良い。
【0383】
また、本発明のキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であるため、積層した膜の界面に発光領域が偏りにくい。そのため、燐光を発光する物質を用いた場合には、T−T消滅(アニヒレイション)を抑制することができる。
【0384】
なお、発光層113以外は、実施の形態2に示した構成を適宜用いることができる。
【0385】
(実施の形態5)
本実施の形態は、本発明に係る複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子という)の態様について、図3を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する積層型発光素子である。各発光ユニットの構成としては、実施の形態2〜実施の形態4で示した構成と同様な構成を用いることができる。つまり、実施の形態2で示した発光素子は、1つの発光ユニットを有する発光素子である。本実施の形態では、複数の発光ユニットを有する発光素子について説明する。
【0386】
図3において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されている。第1の電極501と第2の電極502は実施の形態2と同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態2と同様なものを適用することができる。
【0387】
電荷発生層513は、第1の電極501と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入する層であり、単層でも複数の層を積層した構成であってもよい。複数の層を積層した構成としては、正孔を注入する層と電子を注入する層とを積層する構成であることが好ましい。
【0388】
正孔を注入する層としては、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化レニウム、酸化ルテニウム等の半導体や絶縁体を用いることができる。あるいは、正孔輸送性の高い物質に、アクセプター物質が添加された構成であってもよい。正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む層は、実施の形態2で示した複合材料であり、アクセプター物質として、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)や、酸化バナジウムや酸化モリブデンや酸化タングステン等の金属酸化物を含む。正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー)など、種々の化合物を用いることができる。なお、正孔輸送性の高い物質としては、正孔移動度が10−6cm/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
【0389】
電子を注入する層としては、酸化リチウム、フッ化リチウム、炭酸セシウム等の絶縁体や半導体を用いることができる。あるいは、電子輸送性の高い物質に、ドナー性物質が添加された構成であってもよい。ドナー性物質としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類金属または元素周期表における第13族に属する金属およびその酸化物、炭酸塩を用いることができる。具体的には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)、インジウム(In)、酸化リチウム、炭酸セシウムなどを用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物をドナー性物質として用いてもよい。電子輸送性の高い物質としては、実施の形態2で示した材料を用いることができる。なお、電子輸送性の高い物質としては、電子移動度が10−6cm/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。電子輸送性の高い物質とドナー性物質とを有する複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
【0390】
また、電荷発生層513として、実施の形態2で示した電極材料を用いることもできる。例えば、正孔輸送性の高い物質と金属酸化物を含む層と透明導電膜とを組み合わせて形成しても良い。なお、光取り出し効率の点から、電荷発生層は透光性の高い層とすることが好ましい。
【0391】
いずれにしても、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512に挟まれる電荷発生層513は、第1の電極501と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。例えば、第1の電極の電位の方が第2の電極の電位よりも高くなるように電圧を印加した場合、電荷発生層513は、第1の発光ユニット511に電子を注入し、第2の発光ユニット512に正孔を注入するものであればいかなる構成でもよい。
【0392】
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、低い電流密度で高輝度の発光を得ることができ、発光素子の長寿命化に貢献する。また、消費電力が低い発光装置を実現することができる。
【0393】
また、それぞれの発光ユニットの発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つの発光ユニットを有する発光素子において、第1の発光ユニットの発光色と第2の発光ユニットの発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、3つの発光ユニットを有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1の発光ユニットの発光色が赤色であり、第2の発光ユニットの発光色が緑色であり、第3の発光ユニットの発光色が青色である場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
【0394】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0395】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の発光素子を有する発光装置について説明する。
【0396】
本実施の形態では、画素部に本発明の発光素子を有する発光装置について図4を用いて説明する。なお、図4(A)は、発光装置を示す上面図、図4(B)は図4(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。この発光装置は、発光素子の発光を制御するものとして、点線で示された駆動回路部(ソース側駆動回路)601、画素部602、駆動回路部(ゲート側駆動回路)603を含んでいる。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
【0397】
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0398】
次に、断面構造について図4(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
【0399】
なお、ソース側駆動回路601はNチャネル型TFT623とPチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、画素部が形成された基板と同一基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を、画素部が形成された基板と同一基板上ではなく、外部に形成することもできる。
【0400】
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
【0401】
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
【0402】
第1の電極613上には、EL層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、第1の電極613に用いる材料としては、さまざまな金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。第1の電極を陽極として用いる場合には、その中でも、仕事関数の大きい(好ましくは仕事関数4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。例えば、珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ膜、酸化インジウム−酸化亜鉛膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等の積層膜を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、電流制御用TFT612のドレインと良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
【0403】
また、EL層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。EL層616は、実施の形態2〜実施の形態5で示したキャリアの移動を制御する層を有している。また、EL層616を構成する材料としては、低分子化合物、または高分子化合物、オリゴマー、デンドリマーのいずれを用いてもよい。また、EL層に用いる材料としては、有機化合物だけでなく、無機化合物を用いてもよい。
【0404】
また、第2の電極617に用いる材料としては、さまざまな金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。第2の電極を陰極として用いる場合には、その中でも、仕事関数の小さい(好ましくは仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。例えば、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)等が挙げられる。なお、EL層616で生じた光を第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(酸化インジウム−酸化スズ(ITO)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等)との積層膜を用いることも可能である。
【0405】
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605などの充填剤が充填される場合もある。
【0406】
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0407】
以上のようにして、本発明の発光素子を有する発光装置を得ることができる。
【0408】
本発明の発光装置は、実施の形態2〜実施の形態5で示した発光素子を有する。実施の形態2〜実施の形態5で示した発光素子は、駆動電圧が低いため、消費電力の低い発光装置を得ることができる。
【0409】
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置について説明したが、パッシブマトリクス型の発光装置であってもよい。図5には本発明を適用して作製したパッシブマトリクス型の発光装置を示す。なお、図5(A)は、発光装置を示す斜視図、図5(B)は図5(A)をX−Yで切断した断面図である。図5において、基板951上には、電極952と電極956との間にはEL層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、陰極をパターニングすることができる。また、パッシブマトリクス型の発光装置においても、駆動電圧の低い本発明に係る発光素子を含むことによって、消費電力の低い発光装置を得ることができる。
【0410】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0411】
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態6に示す発光装置をその一部に含む本発明の電子機器について説明する。本発明の電子機器は、実施の形態2〜実施の形態5で示した発光素子を有し、低消費電力の表示部を有する。
【0412】
本発明の発光装置を用いて作製された電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図6に示す。
【0413】
図6(A)は本実施の形態に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示部9103は、実施の形態2〜実施の形態5で説明した発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、駆動電圧が低く、消費電力が低いという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は低消費電力化が図られている。このような特徴により、テレビ装置において、電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体9101や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るテレビ装置は、低消費電力及び小型軽量化が図られているので、それにより住環境に適合した製品を提供することができる。
【0414】
図6(B)は本実施の形態に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態2〜実施の形態5で説明した発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、駆動電圧が低く、消費電力が低いという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有するため、このコンピュータは低消費電力化が図られている。このような特徴により、コンピュータにおいて、電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るコンピュータは、低消費電力及び小型軽量化が図られているので、環境に適合した製品を提供することができる。
【0415】
図6(C)はカメラであり、本体9301、表示部9302、筐体9303、外部接続ポート9304、リモコン受信部9305、受像部9306、バッテリー9307、音声入力部9308、操作キー9309、接眼部9310等を含む。このカメラにおいて、表示部9302は、実施の形態2〜実施の形態5で説明した発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、駆動電圧が低く、消費電力が低いという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9302も同様の特徴を有するため、このカメラは低消費電力化が図られている。このような特徴により、カメラにおいて、電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9301の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るカメラは、低消費電力及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。
【0416】
図6(D)は本実施の形態に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の形態2〜実施の形態5で説明した発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、駆動電圧が低く、消費電力が低いという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9403も同様の特徴を有するため、この携帯電話は低消費電力化が図られている。このような特徴により、携帯電話において、電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係る携帯電話は、低消費電力及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。
【0417】
図12には、図6(D)とは異なる構成の携帯電話の一例を示す。図12(A)が正面図、図12(B)が背面図、図12(C)が展開図である。図12に示す携帯電話は、電話と携帯情報端末の双方の機能を備えており、コンピュータを内蔵し、音声通話以外にも様々なデータ処理が可能な所謂スマートフォンである。
【0418】
図12に示す携帯電話は、筐体1001及び1002二つの筐体で構成されている。筐体1001には、表示部1101、スピーカー1102、マイクロフォン1103、操作キー1104、ポインティングデバイス1105、カメラ用レンズ1106、外部接続端子1107等を備え、筐体1002には、キーボード1201、外部メモリスロット1202、カメラ用レンズ1203、ライト1204、イヤホン端子1108等を備えている。また、アンテナは筐体1001内部に内蔵されている。
【0419】
また、上記構成に加えて、非接触ICチップ、小型記録装置等を内蔵していてもよい。
【0420】
表示部1101には、実施の形態6で示した発光装置を組み込むことが可能であり、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。表示部1101と同一面上にカメラ用レンズ1106を備えているため、テレビ電話が可能である。また、表示部1101をファインダーとしカメラ用レンズ1203及びライト1204で静止画及び動画の撮影が可能である。スピーカー1102及びマイクロフォン1103は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生等が可能である。操作キー1104では、電話の発着信、電子メール等の簡単な情報入力、画面のスクロール、カーソル移動等が可能である。更に、重なり合った筐体1001と筐体1002(図12(A))は、スライドし図12(C)のように展開し、携帯情報端末として使用できる。この場合、キーボード1201、ポインティングデバイス1105を用い円滑な操作が可能である。外部接続端子1107はACアダプタ及びUSBケーブル等の各種ケーブルと接続可能であり、内蔵されたバッテリの充電及びコンピュータ等とのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット1202に記録媒体を挿入しより大量のデータ保存及び移動に対応できる。
【0421】
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能等を備えたものであってもよい。
【0422】
図7は音響再生装置、具体例としてカーオーディオであり、本体701、表示部702、操作スイッチ703、704を含む。表示部702は実施の形態6の発光装置(パッシブマトリクス型またはアクティブマトリクス型)で実現することができる。また、この表示部702はセグメント方式の発光装置で形成しても良い。いずれにしても、本発明に係る発光素子を用いることにより、車両用電源(12〜42V)を使って、低消費電力化を図りつつ、明るい表示部を構成することができる。また、本実施の形態では車載用オーディオを示すが、携帯型や家庭用のオーディオ装置に用いても良い。
【0423】
図8は、音響再生装置の一例としてデジタルプレーヤーを示している。図8に示すデジタルプレーヤーは、本体710、表示部711、メモリ部712、操作部713、イヤホン714等を含んでいる。なお、イヤホン714の代わりにヘッドホンや無線式イヤホンを用いることができる。表示部711として、実施の形態6の発光装置(パッシブマトリクス型またはアクティブマトリクス型)で実現することができる。また、この表示部711はセグメント方式の発光装置で形成しても良い。いずれにしても、本発明に係る発光素子を用いることにより、二次電池(ニッケル−水素電池など)を使っても表示が可能であり、低消費電力化を図りつつ、明るい表示部を構成することができる。メモリ部712は、ハードディスクや不揮発性メモリを用いている。例えば、記録容量が20〜200ギガバイト(GB)のNAND型不揮発性メモリを用いることで、大量の映像や音声(音楽)を記録、再生することができる。なお、表示部702及び表示部711は黒色の背景に白色の文字を表示することで消費電力を抑えられる。これは携帯型のオーディオ装置において特に有効である。
【0424】
以上の様に、本発明を適用して作製した発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。本発明を適用することにより、低消費電力の表示部を有する電子機器を作製することが可能となる。
【0425】
また、本発明を適用した発光装置は、発光効率の高い発光素子を有しており、照明装置として用いることもできる。本発明を適用した発光素子を照明装置として用いる一態様を、図9を用いて説明する。
【0426】
図9には、本発明の係る発光装置を照明装置として用いた電子機器の一例として、本発明を適用した発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置を示す。図9に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト903は、本発明を適用した発光装置が用いられおり、端子906により、電流が供給されている。
【0427】
本発明に係る発光装置は薄型で低消費電力であるため、本発明に係る発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、表示装置の薄型化、低消費電力化も可能となる。また、本発明に係る発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。
【0428】
図10は、本発明に係る発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた例である。図10に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002として、本発明に係る発光装置が用いられている。本発明の発光装置は低消費電力化されているため、電気スタンドも消費電力が低い。
【0429】
図11は、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた例である。本発明に係る発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、本発明に係る発光装置は、低消費電力であるため、低消費電力の照明装置として用いることが可能となる。このように、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた部屋に、図6(A)で説明したような、本発明に係るテレビ装置3002を設置して公共放送や映画を鑑賞することができる。このような場合、両装置は低消費電力であるので、環境への負荷を低減することができる。
【0430】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0431】
本実施例では、構造式(101)で表される4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:OPA1PQ)の合成方法について説明する。
【0432】
【化203】

【0433】
[ステップ1:4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)ジフェニルアミンの合成]
4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)ジフェニルアミンの合成スキームを(E−1)に示す。
【0434】
【化204】

【0435】
2−(4−ブロモフェニル)−3−フェニルキノキサリン5.0g(14mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド3.0g(31mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.20g(0.35mmol)を300mL三口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン50mL、アニリン2.0mL(22mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.2mLを加えた。この混合物を80℃で3時間加熱攪拌し、撹拌後、この混合物にクロロホルムを加えて加熱した。この懸濁液をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)を通して吸引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて、乾燥した。この混合物を吸引ろ過して硫酸マグネシウムを除去し、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮して得た固体をメタノールで洗浄したところ、目的物の淡黄色固体を収量11g、収率71%得た。
【0436】
[ステップ2:4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:OPA1PQ)の合成]
OPA1PQの合成スキームを(E−2)に示す。
【0437】
【化205】

【0438】
170mg(0.46mmol)の4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)ジフェニルアミンと、140mg(0.46mmol)の2−(4−ブロモフェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾールと、300mg(3.1mmol)のナトリウム t−ブトキシドを50mLの三口フラスコへ入れた。フラスコ内を窒素置換した後、この混合物へ5mLのトルエンと、0.10mLのトリ(t−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)を加えた。この混合物を減圧脱気した後、17mg(0.02mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を加えた。この混合物を80℃で3時間攪拌した。攪拌後、混合物に約20mLのトルエンと、約20mLの酢酸エチルを加えてから、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、アルミナを通して濾過した。得られたろ液を濃縮し、黄色油状物を得た。この油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒は、ヘキサン:トルエン:酢酸エチル=2:2:1)により精製し、得られた固体をジクロロメタン/ヘキサンにより再結晶したところ、目的物の黄色粉末状固体を230mg、収率88%で得た。
【0439】
得られた化合物を核磁気共鳴測定(NMR)によって測定し、得られた化合物が4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:OPA1PQ)であることを確認した。
【0440】
以下にH NMRデータを示す。H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.10(d、J=8.7Hz、2H)、7.15−7.19(m、5H)、7.33(d、J=7.2Hz、2H)、7.37−7.42(m、3H)、7.47(d、J=8.4Hz、2H)、7.53−7.60(m、5H)、7.76−7.80(m、2H)、7.98(d、J=8.7Hz、2H)、8.12−8.20(m、4H)。また、H NMRチャートを図13(A)、図13(B)に示す。なお、図13(B)は、図13(A)における7.0ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
【0441】
また、OPA1PQのトルエン溶液の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを図14(A)に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、石英セルの吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。図14(A)において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では366nm付近に吸収が見られた。また、最大発光波長はトルエン溶液の場合では462nm(励起波長370nm)であった。
【0442】
また、OPA1PQの薄膜の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを図14(B)に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。石英基板に蒸着してサンプルを作製し、石英基板の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。図14(B)において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。薄膜の場合では374nm付近に吸収が見られた。また、最大発光波長は薄膜の場合では505nm(励起波長400nm)であった。
【0443】
また、OPA1PQの薄膜状態におけるイオン化ポテンシャルを大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、5.38eVであった。その結果、HOMO準位が−5.38eVであることがわかった。さらに、OPA1PQの薄膜の吸収スペクトルのデータを用い、直接遷移を仮定したTaucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学的エネルギーギャップとして見積もったところ、そのエネルギーギャップは2.80eVであった。得られたエネルギーギャップの値とHOMO準位からLUMO準位を求めたところ、−2.58eVであった。
【実施例2】
【0444】
本実施例では、構造式(201)で表される4−(ベンゾオキサゾール2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BOxA1PQ)合成方法について説明する。
【0445】
【化206】

【0446】
[ステップ1:4−ブロモ−N−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズアミドの合成]
4−ブロモ−N−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズアミドの合成スキームを(E−3)に示す。
【0447】
【化207】

【0448】
200mL三口フラスコに2−アミノフェノール4.5g(20mmol)とトリエチルアミン3.0mL(22mmol)、テトラヒドロフラン(THF)50mLを加えて、0℃に冷却した。冷却後、窒素気流下で、4−ブロモ安息香酸クロライド4.5g(20mmol)のTHF50mL溶液を滴下した。この溶液を、窒素気流下、0℃で4時間攪拌した。この後、水にこの溶液を加え、有機層と水層を分離し、水層から酢酸エチルで有機物を抽出した。得られた抽出溶液と有機層を合わせ、0.2Mの塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、この有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。この混合物を、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)を通して吸引濾過し、濾液を濃縮して固体を得た。得られた固体を酢酸エチル/ヘキサンで再結晶し、目的物の白色粉末を収量5.3g、収率88%得た。
【0449】
[ステップ2:2−(4−ブロモフェニル)ベンゾオキサゾールの合成]
2−(4−ブロモフェニル)ベンゾオキサゾールの合成スキームを(E−4)に示す。
【0450】
【化208】

【0451】
300mL三口フラスコに4−ブロモ−N−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズアミド5.3g(18mmol)、パラ−トルエンスルホン酸1水和物8.0g(46mmol)、トルエン200mLを加えた。この混合物を、窒素気流下で4時間環流した。この後、得られた混合物に水を加え、有機層と水層とを分離した。水層から酢酸エチルにより有機物を抽出した。この抽出溶液と有機層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄して、有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。得られた混合物を、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)を通して吸引濾過し、濾液を濃縮して固体を得た。得られた固体を酢酸エチル/ヘキサンにより再結晶し、目的生成物の白色粉末を収量3.1g、収率61%得た。
【0452】
[ステップ3:4−(ベンゾオキサゾール2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BOxA1PQ)の合成]
BOxA1PQの合成スキームを(E−5)に示す。
【0453】
【化209】

【0454】
4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)ジフェニルアミン2.0g(5.4mmol)、2−(4−ブロモフェニル)−ベンゾオキサゾール1.5g(5.4mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド1.8g(19mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.10g(0.17mmol)、を100mL三口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン30mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.1mLを加えた。この混合物を80℃で5時間加熱攪拌し、撹拌後、この混合物にクロロホルムを加え、この懸濁液をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)を通して吸引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物を吸引ろ過して硫酸マグネシウムを除去してろ液を得た。得られたろ液を濃縮して得た固体をトルエンに溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。カラムクロマトグラフィーはまずトルエンを展開溶媒として用い、次いでトルエン:酢酸エチル=9:1の混合溶媒を展開溶媒として用いることにより行った。得られたフラクションを濃縮して得た固体をクロロホルムとメタノールの混合溶媒で再結晶をしたところ、粉末状黄色固体を収量2.6g、収率85%得た。
【0455】
得られた白色固体1.0gの昇華精製をトレインサブリメーション法により行った。昇華精製は7.0Paの減圧下、アルゴンの流量を3mL/minとして240℃で20時間行った。収量0.74gで収率は74%であった。また、この化合物を核磁気共鳴測定(NMR)によって測定し、得られた化合物が4−(ベンゾオキサゾール2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BOxA1PQ)であることを確認した。
【0456】
以下にH NMRデータを示す。H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.06−7.23(m,7H)、7.26−7.43(m,7H)、7.46(d,J=8.8Hz,2H)、7.52−7.63(m,3H)、7.71−7.81(m,3H)、8.09(d,J=8.8Hz,2H)、8.14−8.22(m,2H)。また、H NMRチャートを図15(A)、図15(B)に示す。なお、図15(B)は、図15(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
【0457】
また、BOxA1PQのトルエン溶液の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを図16(A)に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、石英セルの吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。図16(A)において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では386nm付近に吸収が見られた。また、最大発光波長はトルエン溶液の場合では468nm(励起波長386nm)であった。
【0458】
また、BOxA1PQの薄膜の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを図16(B)に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。石英基板に蒸着してサンプルを作製し、石英基板の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。図16(B)において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。薄膜の場合では377nm付近に吸収が見られた。また、最大発光波長は薄膜の場合では492nm(励起波長377nm)であった。
【0459】
また、BOxA1PQの薄膜状態におけるイオン化ポテンシャルを大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、5.68eVであった。その結果、HOMO準位が−5.68eVであることがわかった。さらに、BOxA1PQの薄膜の吸収スペクトルのデータを用い、直接遷移を仮定したTaucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学的エネルギーギャップとして見積もったところ、そのエネルギーギャップは2.79eVであった。得られたエネルギーギャップの値とHOMO準位からLUMO準位を求めたところ、−2.89eVであった。
【実施例3】
【0460】
本実施例では、構造式(301)で表される4−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:PIMA1PQ)合成方法について説明する。
【0461】
【化210】

【0462】
[ステップ1:2−(4−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジンの合成]
2−(4−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジンの合成スキームを(E−6)に示す。
【0463】
【化211】

【0464】
2−アミノピリジン1.0g(11mmol)、4−ブロモフェナシルブロミド3.0g(11mmol)、炭酸水素ナトリウム1.9g(14mmol)を50mL三口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換した。この混合物にエタノール10mLを加え、80℃で6時間加熱撹拌し、撹拌後、この混合物に水を加えて吸引ろ過し、固体を得た。得られた固体を水、メタノールの順で洗浄したところ、目的物の白色固体を収量2.3g、収率76%得た。
【0465】
[ステップ2:4−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:PIMA1PQ)の合成]
PIMA1PQの合成スキームを(E−7)に示す。
【0466】
【化212】

【0467】
4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)ジフェニルアミン1.5g(4.0mmol)、2−(4−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン1.1g(4.0mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド1.0g(10mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.10g(0.17mmol)、を100mL三口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン30mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.1mLを加えた。この混合物を80℃で5時間加熱攪拌し、撹拌後、この混合物にクロロホルムを加え、この懸濁液をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)を通して吸引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物を吸引ろ過して硫酸マグネシウムを除去してろ液を得た。得られたろ液を濃縮して得た固体をトルエンに溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。カラムクロマトグラフィーはまずトルエンを展開溶媒として用い、次いでトルエン:酢酸エチル=5:1の混合溶媒を展開溶媒として用いることにより行った。得られたフラクションを濃縮して得た固体をクロロホルムとメタノールの混合溶媒で再結晶をしたところ、粉末状黄色固体を収量1.3g、収率59%得た。
【0468】
得られた白色固体1.3gの昇華精製をトレインサブリメーション法により行った。昇華精製は7.0Paの減圧下、アルゴンの流量を3mL/minとして280℃で20時間行った。収量1.2gで収率は92%であった。また、この化合物を核磁気共鳴測定(NMR)によって測定し、得られた化合物が4−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:PIMA1PQ)であることを確認した。
【0469】
以下にH NMRデータを示す。H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.76(t,J=6.8Hz,1H)、7.01−7.51(m,15H),7.53−7.67(m,3H),7.70−7.90(m,5H)、8.06−8.22(m,3H)。また、H NMRチャートを図17(A)、図17(B)に示す。なお、図17(B)は、図17(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
【0470】
また、PIMA1PQのトルエン溶液の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを図18(A)に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、石英セルの吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。図18(A)において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では406nm付近に吸収が見られた。また、最大発光波長はトルエン溶液の場合では497nm(励起波長406nm)であった。
【0471】
また、PIMA1PQの薄膜の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを図18(B)に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。石英基板に蒸着してサンプルを作製し、石英基板の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。図18(B)において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。薄膜の場合では412nm付近に吸収が見られた。また、最大発光波長は薄膜の場合では542nm(励起波長412nm)であった。
【0472】
また、PIMA1PQの薄膜状態におけるイオン化ポテンシャルを大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、5.54eVであった。その結果、HOMO準位が−5.54eVであることがわかった。さらに、PIMA1PQの薄膜の吸収スペクトルのデータを用い、直接遷移を仮定したTaucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学的エネルギーギャップとして見積もったところ、そのエネルギーギャップは2.64eVであった。得られたエネルギーギャップの値とHOMO準位からLUMO準位を求めたところ、−2.90eVであった。
【実施例4】
【0473】
本実施例では、構造式(401)で表される4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−フェニル−N−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾールー2−イル)フェニル]アニリン}(略称:OPAPQ)合成方法について説明する。
【0474】
【化213】

【0475】
[ステップ1:4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ジフェニルアミンの合成]
4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ジフェニルアミンの合成スキームを(E−8)に示す。
【0476】
【化214】

【0477】
2−(4−ブロモフェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール15g(50mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド6.3g(66mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.20g(0.35mmol)を300mL三口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン100mL、アニリン8.0mL(84mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.2mLを加えた。この混合物を80℃で3時間加熱攪拌し、撹拌後、この混合物にクロロホルムを加えて加熱した。この懸濁液をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)を通して吸引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を1M希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加えて、乾燥した。この混合物を吸引ろ過して硫酸マグネシウムを除去し、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮して得た固体をメタノール洗浄したところ、淡黄色固体を収率11g、収量71%で得た。
【0478】
[ステップ2:4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−フェニル−N−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾールー2−イル)フェニル]アニリン}(略称:OPAPQ)の合成]
OPAPQ合成スキームを(E−9)に示す。
【0479】
【化215】

【0480】
2,3−ビス(4−ブロモフェニル)キノキサリン2.0g(4.5mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド1.5g(16mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.10g(0.17mmol)、実施例1で合成した4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ジフェニルアミン2.8g(9.1mmol)を100mL三口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン50mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.2mLを加えた。この混合物を80℃で5時間加熱攪拌し、撹拌後、この混合物に水を加えたところ、固体が析出した。析出した固体を吸引ろ過し、固体を得た。得られた固体をクロロホルムに溶解し、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)を通して吸引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物を吸引ろ過して硫酸マグネシウムを除去し、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮して得た固体をクロロホルムに溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。カラムクロマトグラフィーはまずクロロホルムを展開溶媒として用い、次いでクロロホルム:酢酸エチル=9:1の混合溶媒を展開溶媒として用いることにより行った。得られたフラクションを濃縮して得た固体をクロロホルムとメタノールの混合溶媒で再結晶をしたところ、黄色の粉末状固体を収量3.2g、収率78%得た。
【0481】
得られた化合物を核磁気共鳴測定(NMR)によって測定し、得られた化合物が4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−フェニル−N−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾールー2−イル)フェニル]アニリン}(略称:OPAPQ)であることを確認した。
【0482】
以下にH NMRデータを示す。H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.14−7.22(m,14H)、7.30−7.38(m,5H)、7.49−7.55(m,9H)、7.74−7.81(m,2H)、7.97(d,J=8.8Hz,4H),8.06−8.12(m,4H)、8.14−8.20(m,2H)。また、H NMRチャートを図19(A)、図19(B)に示す。なお、図19(B)は、図19(A)における7.0ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
【0483】
また、OPAPQのトルエン溶液の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを図20(A)に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、石英セルの吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。図20(A)において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では362nm付近に吸収が見られた。また、最大発光波長はトルエン溶液の場合では466nm(励起波長362nm)であった。
【0484】
また、OPAPQの薄膜の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを図20(B)に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。石英基板に蒸着してサンプルを作製し、石英基板の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。図20(B)において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。薄膜の場合では366nm付近に吸収が見られた。また、最大発光波長は薄膜の場合では541nm(励起波長366nm)であった。
【0485】
また、OPAPQの薄膜状態におけるイオン化ポテンシャルを大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、5.40eVであった。その結果、HOMO準位が−5.40eVであることがわかった。さらに、OPAPQの薄膜の吸収スペクトルのデータを用い、直接遷移を仮定したTaucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学的エネルギーギャップとして見積もったところ、そのエネルギーギャップは2.72eVであった。得られたエネルギーギャップの値とHOMO準位からLUMO準位を求めたところ、−2.68eVであった。
【実施例5】
【0486】
本実施例では、本発明の発光素子について、図21を用いて説明する。本実施例で用いた材料の構造式を以下に示す。なお、すでに構造式を示した材料については省略する。
【0487】
【化216】

【0488】
以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
【0489】
(発光素子1)
【0490】
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0491】
次に、第1の電極2102が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。成膜室を10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層2111を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0492】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2111上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2112を形成した。
【0493】
さらに、構造式(101)で表される4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:OPA1PQ)と(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))とを共蒸着することにより、正孔輸送層2112上に30nmの膜厚の発光層2113を形成した。ここで、OPA1PQとIr(Fdpq)(acac)との重量比は、1:0.06(=OPA1PQ:Ir(Fdpq)(acac))となるように調節した。
【0494】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2113上に、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)を10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2114を形成した。なお、BAlqはバンドギャップが大きく、HOMO準位が深いため、電子輸送層2114はホールブロック層としても機能する。
【0495】
さらに、電子輸送層2114上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)とリチウムを共蒸着することにより、50nmの膜厚で電子注入層2115を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。
【0496】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2115上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2104を形成することで、発光素子1を作製した。
【0497】
(発光素子2)
発光素子1と同一基板を用い、OPA1PQの代わりに、構造式(301)で表される4−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:PIMA1PQ)を用いて、発光素子1と同様に作製した。つまり、PIMA1PQとIr(Fdpq)(acac)とを共蒸着することにより、正孔輸送層2112上に30nmの膜厚の発光層2113を形成した。ここで、PIMA1PQとIr(Fdpq)(acac)との重量比は、1:0.06(=PIMA1PQ:Ir(Fdpq)(acac))となるように調節した。発光層2113以外は発光素子1と同様に作製した。
【0498】
以上により得られた発光素子1および発光素子2を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、これらの発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0499】
発光素子1および発光素子2の電流密度−輝度特性を図22に示す。また、電圧−輝度特性を図23に示す。また、輝度−電流効率特性を図24に示す。また、電圧−電流特性を図25に示す。
【0500】
また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図26に示す。図26から、発光素子1および発光素子2の発光は、Ir(Fdpq)(acac)に由来した発光であることがわかる。よって、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体を用いることにより、赤色燐光を発光するゲスト材料を励起できることがわかった。そして、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は、三重項励起エネルギーが大きいことがわかる。
【0501】
発光素子1において、輝度930cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.71、y=0.29)であり、深い赤色の発光を示した。また、輝度930cd/mのときの電流効率は5.0cd/Aであり、外部量子効率は12.9%であった。また、輝度930cd/mのときの電圧は7.2V、電流密度は18.6mA/cm、パワー効率は2.2lm/Wであった。
【0502】
また、発光素子2において、輝度960cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.71、y=0.29)であり、深い赤色の発光を示した。また、輝度960cd/mのときの電流効率は5.1cd/Aであり、外部量子効率は13.2%であった。また、輝度960cd/mのときの電圧は7.8V、電流密度は19.0mA/cm、パワー効率は2.0lm/Wであった。
【0503】
図24からわかるように、発光素子1および発光素子2は、実用輝度領域(100〜1000cd/m)において、T−T消滅(T−Tアニヒレイションともいう)が抑制されており、高い発光効率を保っている。つまり、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であるため、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体を用いることにより、発光領域のキャリアバランスが改善されるため、T−T消滅を抑制することができ、高い発光効率を保つことができる。
【0504】
また、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であるため、本発明を適用することにより、低駆動電圧の発光素子を得ることができる。また、消費電力の低い発光素子を得ることができる。
【実施例6】
【0505】
本実施例では、本発明の発光素子について、図21を用いて説明する。以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
【0506】
(発光素子3)
【0507】
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0508】
次に、第1の電極2102が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。成膜室を10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層2111を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0509】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2111上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2112を形成した。
【0510】
さらに、構造式(201)で表される4−(ベンゾオキサゾール2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BOxA1PQ)と(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))とを共蒸着することにより、正孔輸送層2112上に30nmの膜厚の発光層2113を形成した。ここで、BOxA1PQとIr(Fdpq)(acac)との重量比は、1:0.06(=BOxA1PQ:Ir(Fdpq)(acac))となるように調節した。
【0511】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2113上に、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)を10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2114を形成した。なお、BAlqはバンドギャップが大きく、HOMO準位が深いため、電子輸送層2114はホールブロック層としても機能する。
【0512】
さらに、電子輸送層2114上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)とリチウムを共蒸着することにより、50nmの膜厚で電子注入層2115を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。
【0513】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2115上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2104を形成することで、発光素子3を作製した。
【0514】
以上により得られた発光素子3を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、これらの発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0515】
発光素子3の電流密度−輝度特性を図27に示す。また、電圧−輝度特性を図28に示す。また、輝度−電流効率特性を図29に示す。また、電圧−電流特性を図30に示す。
【0516】
また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図31に示す。図31から、発光素子3の発光は、Ir(Fdpq)(acac)に由来した発光であることがわかる。よって、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体を用いることにより、赤色燐光を発光するゲスト材料を励起できることがわかった。そして、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は、三重項励起エネルギーが大きいことがわかる。
【0517】
発光素子3において、輝度940cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.71、y=0.29)であり、深い赤色の発光を示した。また、輝度940cd/mのときの電流効率は6.1cd/Aであり、外部量子効率は10.8%であった。また、輝度940cd/mのときの電圧は5.8V、電流密度は15.4mA/cm、パワー効率は3.3lm/Wであった。
【0518】
図29からわかるように、発光素子3は、実用輝度領域(100〜1000cd/m)において、T−T消滅(T−Tアニヒレイションともいう)が抑制されており、高い発光効率を保っている。つまり、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であるため、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体を用いることにより、発光領域のキャリアバランスが改善されるため、T−T消滅を抑制することができ、高い発光効率を保つことができる。
【0519】
また、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であるため、本発明を適用することにより、低駆動電圧の発光素子を得ることができる。また、消費電力の低い発光素子を得ることができる。
【実施例7】
【0520】
本実施例では、本発明の発光素子について、図21を用いて説明する。以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
【0521】
(発光素子4)
【0522】
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0523】
次に、第1の電極2102が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。成膜室を10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層2111を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0524】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2111上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2112を形成した。
【0525】
さらに、構造式(101)で表される4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:OPA1PQ)と(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))とを共蒸着することにより、正孔輸送層2112上に30nmの膜厚の発光層2113を形成した。ここで、OPA1PQとIr(Fdpq)(acac)との重量比は、1:0.06(=OPA1PQ:Ir(Fdpq)(acac))となるように調節した。
【0526】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2113上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)を10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2114を形成した。
【0527】
さらに、電子輸送層2114上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)とリチウムを共蒸着することにより、50nmの膜厚で電子注入層2115を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。
【0528】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2115上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2104を形成することで、発光素子4を作製した。
【0529】
(発光素子5)
発光素子4と同一基板を用い、OPA1PQの代わりに、構造式(301)で表される4−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:PIMA1PQ)を用いて、発光素子4と同様に作製した。つまり、PIMA1PQとIr(Fdpq)(acac)とを共蒸着することにより、正孔輸送層2112上に30nmの膜厚の発光層2113を形成した。ここで、PIMA1PQとIr(Fdpq)(acac)との重量比は、1:0.06(=PIMA1PQ:Ir(Fdpq)(acac))となるように調節した。発光層2113以外は発光素子4と同様に作製した。
【0530】
以上により得られた発光素子4および発光素子5を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、これらの発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0531】
発光素子4および発光素子5の電流密度−輝度特性を図32に示す。また、電圧−輝度特性を図33に示す。また、輝度−電流効率特性を図34に示す。また、電圧−電流特性を図35に示す。
【0532】
また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図36に示す。図36から、発光素子4および発光素子5の発光は、Ir(Fdpq)(acac)に由来した発光であることがわかる。よって、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体を用いることにより、赤色燐光を発光するゲスト材料を励起できることがわかった。そして、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は、三重項励起エネルギーが大きいことがわかる。また、ホールブロック層を用いない場合でも、発光層に用いたIr(Fdpq)(acac)に由来した発光が効率よく得られたことから、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であり、キャリアバランスに優れていることがわかる。
【0533】
発光素子4において、輝度1080cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.68、y=0.30)であり、赤色の発光を示した。また、輝度1080cd/mのときの電流効率は4.1cd/Aであり、外部量子効率は9.1%であった。また、輝度1080cd/mのときの電圧は6.4V、電流密度は26.2mA/cm、パワー効率は2.0lm/Wであった。
【0534】
また、発光素子5において、輝度860cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.67、y=0.32)であり、赤色の発光を示した。また、輝度860cd/mのときの電流効率は3.8cd/Aであり、外部量子効率は8.4%であった。また、輝度860cd/mのときの電圧は6.8V、電流密度は22.5mA/cm、パワー効率は1.8lm/Wであった。
【0535】
図34からわかるように、発光素子4および発光素子5は、実用輝度領域(100〜1000cd/m)において、T−T消滅(T−Tアニヒレイションともいう)が抑制されており、高い発光効率を保っている。つまり、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であるため、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体を用いることにより、発光領域のキャリアバランスが改善されるため、T−T消滅を抑制することができ、高い発光効率を保つことができる。
【0536】
また、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であるため、本発明を適用することにより、低駆動電圧の発光素子を得ることができる。また、消費電力の低い発光素子を得ることができる。
【実施例8】
【0537】
本実施例では、本発明の発光素子について、図21を用いて説明する。以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
【0538】
(発光素子6)
【0539】
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0540】
次に、第1の電極2102が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。成膜室を10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層2111を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0541】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2111上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2112を形成した。
【0542】
さらに、構造式(201)で表される4−(ベンゾオキサゾール2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BOxA1PQ)と(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))とを共蒸着することにより、正孔輸送層2112上に30nmの膜厚の発光層2113を形成した。ここで、BOxA1PQとIr(Fdpq)(acac)との重量比は、1:0.06(=BOxA1PQ:Ir(Fdpq)(acac))となるように調節した。
【0543】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2113上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)を10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2114を形成した。
【0544】
さらに、電子輸送層2114上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)とリチウムを共蒸着することにより、50nmの膜厚で電子注入層2115を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。
【0545】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2115上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2104を形成することで、発光素子6を作製した。
【0546】
以上により得られた発光素子6を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、これらの発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0547】
発光素子6の電流密度−輝度特性を図37に示す。また、電圧−輝度特性を図38に示す。また、輝度−電流効率特性を図39に示す。また、電圧−電流特性を図40に示す。
【0548】
また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図41に示す。図41から、発光素子6の発光は、Ir(Fdpq)(acac)に由来した発光であることがわかる。よって、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体を用いることにより、赤色燐光を発光するゲスト材料を励起できることがわかった。そして、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は、三重項励起エネルギーが大きいことがわかる。また、ホールブロック層を用いない場合でも、発光層に用いたIr(Fdpq)(acac)に由来した発光が効率よく得られたことから、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であり、キャリアバランスに優れていることがわかる。
【0549】
発光素子6において、輝度980cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.67、y=0.32)であり、赤色の発光を示した。また、輝度980cd/mのときの電流効率は4.2cd/Aであり、外部量子効率は6.4%であった。また、輝度980cd/mのときの電圧は5.6V、電流密度は23.5mA/cm、パワー効率は2.3lm/Wであった。
【0550】
図39からわかるように、発光素子6は、実用輝度領域(100〜1000cd/m)において、T−T消滅(T−Tアニヒレイションともいう)が抑制されており、高い発光効率を保っている。つまり、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であるため、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体を用いることにより、発光領域のキャリアバランスが改善されるため、T−T消滅を抑制することができ、高い発光効率を保つことができる。
【0551】
また、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であるため、本発明を適用することにより、低駆動電圧の発光素子を得ることができる。また、消費電力の低い発光素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0552】
【図1】本発明の発光素子を説明する図。
【図2】本発明の発光素子を説明する図。
【図3】本発明の発光素子を説明する図。
【図4】本発明の発光装置を説明する図。
【図5】本発明の発光装置を説明する図。
【図6】本発明の電子機器を説明する図。
【図7】本発明の電子機器を説明する図。
【図8】本発明の電子機器を説明する図。
【図9】本発明の電子機器を説明する図。
【図10】本発明の照明装置を説明する図。
【図11】本発明の照明装置を説明する図。
【図12】本発明の電子機器を説明する図。
【図13】4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:OPA1PQ)のH NMRチャートを示す図。
【図14】4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:OPA1PQ)の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図。
【図15】4−(ベンゾオキサゾール2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BOxA1PQ)のH NMRチャートを示す図。
【図16】4−(ベンゾオキサゾール2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BOxA1PQ)の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図。
【図17】4−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:PIMA1PQ)のH NMRチャートを示す図。
【図18】4−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:PIMA1PQ)の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図。
【図19】4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−フェニル−N−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾールー2−イル)フェニル]アニリン}(略称:OPAPQ)のH NMRチャートを示す図。
【図20】4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−フェニル−N−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾールー2−イル)フェニル]アニリン}(略称:OPAPQ)の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図。
【図21】実施例の発光素子を説明する図。
【図22】実施例5で作製した発光素子の電流密度−輝度特性を示す図。
【図23】実施例5で作製した発光素子の電圧−輝度特性を示す図。
【図24】実施例5で作製した発光素子の輝度−電流効率特性を示す図。
【図25】実施例5で作製した発光素子の電圧−電流特性を示す図。
【図26】実施例5で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図。
【図27】実施例6で作製した発光素子の電流密度−輝度特性を示す図。
【図28】実施例6で作製した発光素子の電圧−輝度特性を示す図。
【図29】実施例6で作製した発光素子の輝度−電流効率特性を示す図。
【図30】実施例6で作製した発光素子の電圧−電流特性を示す図。
【図31】実施例6で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図。
【図32】実施例7で作製した発光素子の電流密度−輝度特性を示す図。
【図33】実施例7で作製した発光素子の電圧−輝度特性を示す図。
【図34】実施例7で作製した発光素子の輝度−電流効率特性を示す図。
【図35】実施例7で作製した発光素子の電圧−電流特性を示す図。
【図36】実施例7で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図。
【図37】実施例8で作製した発光素子の電流密度−輝度特性を示す図。
【図38】実施例8で作製した発光素子の電圧−輝度特性を示す図。
【図39】実施例8で作製した発光素子の輝度−電流効率特性を示す図。
【図40】実施例8で作製した発光素子の電圧−電流特性を示す図。
【図41】実施例8で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図。
【符号の説明】
【0553】
101 基板
102 第1の電極
103 EL層
104 第2の電極
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
113 発光層
114 電子輸送層
115 電子注入層
501 第1の電極
502 第2の電極
511 第1の発光ユニット
512 第2の発光ユニット
513 電荷発生層
601 ソース側駆動回路
602 画素部
603 ゲート側駆動回路
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
609 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 第1の電極
614 絶縁物
616 EL層
617 第2の電極
618 発光素子
623 Nチャネル型TFT
624 Pチャネル型TFT
701 本体
702 表示部
703 操作スイッチ
704 表示部
710 本体
711 表示部
712 メモリ部
713 操作部
714 イヤホン
901 筐体
902 液晶層
903 バックライト
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 EL層
956 電極
1001 筐体
1002 筐体
1101 表示部
1102 スピーカー
1103 マイクロフォン
1104 操作キー
1105 ポインティングデバイス
1106 カメラ用レンズ
1107 外部接続端子
1108 イヤホン端子
1201 キーボード
1202 外部メモリスロット
1203 カメラ用レンズ
1204 ライト
2001 筐体
2002 光源
2101 ガラス基板
2102 第1の電極
2104 第2の電極
2111 複合材料を含む層
2112 正孔輸送層
2113 発光層
2114 電子輸送層
2115 電子注入層
3001 照明装置
3002 テレビ装置
9101 筐体
9102 支持台
9103 表示部
9104 スピーカー部
9105 ビデオ入力端子
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングデバイス
9301 本体
9302 表示部
9303 筐体
9304 外部接続ポート
9305 リモコン受信部
9306 受像部
9307 バッテリー
9308 音声入力部
9309 操作キー
9310 接眼部
9401 本体
9402 筐体
9403 表示部
9404 音声入力部
9405 音声出力部
9406 操作キー
9407 外部接続ポート
9408 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(G11)で表されるキノキサリン誘導体。
【化1】

(式中、Hetは、置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環を表し、Ar〜Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【請求項2】
請求項1において、
Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のイミダゾ[1,5−a]ピリジン、置換または無置換の1,2,4−オキサジアゾール、置換または無置換のベンゾオキサゾール、置換または無置換の1,3,4−トリアゾール、置換または無置換のイミダゾール、置換または無置換のオキサゾール、置換または無置換の1,3−チアゾール、置換または無置換の1,2,5−オキサジアゾール、置換または無置換のピラゾール、置換または無置換のイソチアゾール、置換または無置換のイソオキサゾール、置換または無置換のインダゾール、置換または無置換のプリン、置換または無置換の1H−イミダゾ[5,1−c][1,2,4]トリアゾール、置換または無置換の1H−テトラゾール、置換または無置換の1,2,3,4−オキサトリアゾール、置換または無置換の1,2,3,4−チアトリアゾールのいずれかであるキノキサリン誘導体。
【請求項3】
一般式(G12)で表されるキノキサリン誘導体。
【化2】

(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【請求項4】
一般式(G13)で表されるキノキサリン誘導体。
【化3】

(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、R21〜R25は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基のいずれかを表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【請求項5】
一般式(G14)で表されるキノキサリン誘導体。
【化4】

(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、R21〜R25は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基のいずれかを表し、R31〜R35は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基のいずれかを表す。)
【請求項6】
一般式(G15)で表されるキノキサリン誘導体。
【化5】

(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表す。)
【請求項7】
一般式(G16)で表されるキノキサリン誘導体。
【化6】

(式中、R41は、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のナフチル基のいずれかを表す。)
【請求項8】
一般式(G17)で表されるキノキサリン誘導体。
【化7】

(式中、R51〜R54は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、フェニル基のいずれかを表す。)
【請求項9】
一般式(G18)で表されるキノキサリン誘導体。
【化8】

【請求項10】
構造式(101)で表されるキノキサリン誘導体。
【化9】

【請求項11】
構造式(201)で表されるキノキサリン誘導体。
【化10】

【請求項12】
構造式(301)で表されるキノキサリン誘導体。
【化11】

【請求項13】
一般式(G21)で表されるキノキサリン誘導体。
【化12】

(式中、Hetは、置換または無置換の5員環構造を有する複素芳香環を表し、Ar〜Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【請求項14】
請求項13において、
Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のイミダゾ[1,5−a]ピリジン、置換または無置換の1,2,4−オキサジアゾール、置換または無置換のベンゾオキサゾール、置換または無置換の1,3,4−トリアゾール、置換または無置換のイミダゾール、置換または無置換のオキサゾール、置換または無置換の1,3−チアゾール、置換または無置換の1,2,5−オキサジアゾール、置換または無置換のピラゾール、置換または無置換のイソチアゾール、置換または無置換のイソオキサゾール、置換または無置換のインダゾール、置換または無置換のプリン、置換または無置換の1H−イミダゾ[5,1−c][1,2,4]トリアゾール、置換または無置換の1H−テトラゾール、置換または無置換の1,2,3,4−オキサトリアゾール、置換または無置換の1,2,3,4−チアトリアゾールのいずれかであるキノキサリン誘導体。
【請求項15】
一般式(G22)で表されるキノキサリン誘導体。
【化13】

(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【請求項16】
一般式(G23)で表されるキノキサリン誘導体。
【化14】

(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、R21〜R25は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基のいずれかを表し、R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。)
【請求項17】
一般式(G24)で表されるキノキサリン誘導体。
【化15】

(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表し、Arは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、R21〜R25は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基のいずれかを表す。)
【請求項18】
一般式(G25)で表されるキノキサリン誘導体。
【化16】

(式中、Hetは、置換または無置換の1,3,4−オキサジアゾール、置換または無置換のイミダゾ[1,2−a]ピリジン、置換または無置換のベンゾオキサゾールのいずれかを表す。)
【請求項19】
一般式(G26)で表されるキノキサリン誘導体。
【化17】

(式中、R41は、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のナフチル基のいずれかを表す。)
【請求項20】
一般式(G27)で表されるキノキサリン誘導体。
【化18】

(式中、R51〜R54は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、フェニル基のいずれかを表す。)
【請求項21】
一般式(G28)で表されるキノキサリン誘導体。
【化19】

【請求項22】
構造式(401)で表されるキノキサリン誘導体。
【化20】

【請求項23】
一対の電極間に、請求項1乃至請求項22のいずれか一項に記載のキノキサリン誘導体を有する発光素子。
【請求項24】
一対の電極間に発光層を有し、
前記発光層は請求項1乃至請求項22のいずれか一項に記載のキノキサリン誘導体を有することを特徴とする発光素子。
【請求項25】
一対の電極間に発光層を有し、
前記発光層は請求項1乃至請求項22のいずれか一項に記載のキノキサリン誘導体と蛍光を発光する物質を有することを特徴とする発光素子。
【請求項26】
一対の電極間に発光層を有し、前記発光層は請求項1乃至請求項21のいずれか一項に記載のキノキサリン誘導体と燐光を発光する物質を有することを特徴とする発光素子。
【請求項27】
請求項23乃至請求項26のいずれか一項に記載の発光素子と、前記発光素子の発光を制御する制御回路とを有する発光装置。
【請求項28】
表示部を有し、
前記表示部は、請求項23乃至請求項26のいずれか一項に記載の発光素子と前記発光素子の発光を制御する制御回路とを備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2009−155323(P2009−155323A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307429(P2008−307429)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】