説明

キャスター車輪付き運搬台車用のX線検査装置

【課題】キャスター車輪の固定作業及び解除作業が不要であり、かつ台車全体及び積載した貨物の移載(載せ降ろし)が不要であり、積載した貨物をそのまま円滑に搬送して能率よく検査できるキャスター車輪付き運搬台車用のX線検査装置を提供する。
【解決手段】キャスター車輪2を有するキャスター車輪付き運搬台車1が通過可能な開口11を有し、運搬台車に積載した被検査物にX線を照射して被検査物を検査するX線検査トンネル10と、運搬台車1を両側から挟んで水平に搬送し、X線検査トンネルの開口を通過させる台車搬送装置20とを備える。台車搬送装置20は、鉛直な搬送面22aを有する1対の搬送ベルト22と、搬送ベルトを鉛直に保持したまま水平に動かす1対のベルト駆動装置24とを備え、1対の搬送ベルトで台板3の鉛直側面3aを両側から挟んで水平に搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャスター車輪付き運搬台車に積載した貨物をそのまま検査するX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
税関や空港における手荷物検査等において、X線を被検査物に照射し、透過したX線の強度分布を画像化して内部の異物(刃物、銃器、薬物、危険物等)を検出するX線検査装置が従来から広く用いられている(例えば特許文献1、2)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−104175号公報、「材質特定X線検査装置」
【特許文献2】特開2003−279503号公報、「X線検査装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に開示されているように従来のX線検査装置では、一般的に被検査物をベルトコンベア上に載せて搬送し、その途中でX線を被検査物に照射して、内部を検査している。
【0005】
一方、郵便物や小包などの物流においては、図5に例示するようなキャスター車輪付き運搬台車が広く用いられている。キャスター車輪付き運搬台車は、キャスター車輪を下面に備えた矩形の水平台板と、水平台板の上面に固定されたかご(例えば金属メッシュ板からなる矩形の枠)とからなり、かごの内部に荷崩れしやすい郵便物や小包などをランダムに積載して、キャスター車輪で自由に搬送できるようになっている。
【0006】
しかし、キャスター車輪付き運搬台車に積載した貨物(郵便物や小包など)を、従来のX線検査装置で検査する場合、以下の問題点があった。
(1) 被検査物に照射するX線が外部に漏れないように、X線検査装置の出入口には、X線を遮蔽する遮蔽カーテンが通常設けられる。この遮蔽カーテンは、遮蔽性能を高めるため、上端が固定された鉛を含む短冊状のゴム板からなる。
そのため、遮蔽カーテンを押し退ける際の抵抗が大きく、キャスター車輪付き運搬台車をそのままベルトコンベア上に載せて搬送しても、遮蔽カーテンの抵抗により、キャスター車輪が空転してしまい、搬送自体が円滑にできない。
(2) また、キャスター車輪を空転しないように固定してからベルトコンベア上に載せて搬送すれば、この問題は回避できるが、キャスター車輪の固定・解除の作業が頻繁に必要となり、X線検査を能率よく実施できない。
(3) さらに、床面上にX線検査装置を設置する場合、内部の駆動機構のためベルトコンベアの上面(搬送面)は少なくとも400mm以上の高さとなる。そのため、キャスター車輪を固定する場合、キャスター車輪付き運搬台車を水平な床面からベルトコンベアの上面まで移載する必要が生じ、この移載に手間と労力がかかり、X線検査の作業効率をさらに悪化させていた。
【0007】
すなわち、郵便小包などを積載し運搬に使用するキャスター車輪付き運搬台車は底部にキャスター車輪を備えるため、ベルトコンベヤ方式のX線検査装置で透視検査を行う場合、検査装置のベルトコンベヤを一旦停止させ運搬台車の載せ降ろしを行う必要があった。さらに、キャスター車輪のブレーキ操作が必要であったため、高い検査効率が得られなかった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、キャスター車輪の固定作業及び解除作業が不要であり、かつ搬送高さが低く(例えば100mm以下)、台車全体及び積載した貨物の移載(載せ降ろし)が不要であり、積載した貨物をそのまま円滑に搬送して能率よく検査できるキャスター車輪付き運搬台車用のX線検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、キャスター車輪を有するキャスター車輪付き運搬台車が通過可能な開口を有し、該運搬台車に積載した被検査物にX線を照射して被検査物を検査するX線検査トンネルと、
前記運搬台車を両側から挟んで水平に搬送し、前記X線検査トンネルの開口を通過させる台車搬送装置と、を備えたことを特徴とするキャスター車輪付き運搬台車用のX線検査装置が提供される。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記キャスター車輪付き運搬台車は、キャスター車輪を下方に有する水平な台板と、該台板の上面に固定され内部に被検査物を収容するかごとを有し、前記台板は、搬送方向に延び互いに平行な鉛直側面を有し、
前記台車搬送装置は、鉛直な搬送面を有する1対の搬送ベルトと、該搬送ベルトを鉛直に保持したまま水平に動かす1対のベルト駆動装置とを備え、1対の搬送ベルトで前記台板の鉛直側面を両側から挟んで水平に搬送する。
【0011】
前記搬送ベルトの一方は、鉛直な搬送面が幅方向基準位置に位置し、
前記搬送ベルトの他方は、鉛直な搬送面が幅方向に移動可能に構成されている。
【0012】
前記台車搬送装置は、運搬台車のキャスター車輪をX線検査トンネルの開口を通して案内するガイドレールを有する。
【0013】
また、前記X線検査トンネルは、被検査物にX線を照射するX線照射装置と、
前記被検査物を透過したX線の強度を検出するX線検出器と、
前記X線発生装置とX線検出器を制御する制御装置とを備える。
【0014】
さらに、前記X線検査トンネルは、X線照射領域内の所定位置に位置する運搬台車を検出する台車センサを備える、ことが好ましい。
【0015】
また、前記X線検査トンネルを通過する運搬台車の通路を囲み外側へのX線の漏洩を遮蔽する遮蔽壁と、
前記遮蔽壁の入口側及び出口側に設けられX線を遮蔽する遮蔽カーテンとを備える。
【発明の効果】
【0016】
上記本発明の構成によれば、X線検査トンネルがキャスター車輪付き運搬台車が通過可能な開口を有し、台車搬送装置が運搬台車を両側から挟んで水平に搬送して、X線検査トンネルの開口を通過させるので、キャスター車輪の固定作業及び解除作業が不要であり、かつ台車全体及び積載した貨物の移載(載せ降ろし)が不要であり、積載した貨物をそのまま円滑に搬送して能率よく検査できる。
【0017】
台車搬送装置は、鉛直な搬送面を有する1対の搬送ベルトと、該搬送ベルトを鉛直に保持したまま移動する1対のベルト駆動装置とからなるので、ベルト面(搬送面)を立てた1対の搬送ベルトで運搬台車の両側面を挟み込んでX線検査トンネル内を通過させることができる。
また、運搬台車全体の重量(例えば600kg以上)はキャスター車輪で支持されたままX線検査トンネル内を通過するため、台車搬送装置の負荷は、遮蔽カーテンの抵抗のみであり、負荷を大幅に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0019】
図5は、本発明で使用するキャスター車輪付き運搬台車の構成図である。この図において、(A)(B)は高さのみが相違する。
本発明で使用するキャスター車輪付き運搬台車1は、キャスター車輪2を下方に有する水平な台板3と、台板3の上面に固定され内部に被検査物を収容するかご4とを有する。キャスター車輪2は、この例では進行方向前側の2つの固定キャスターと後側の2つの自在キャスターとからなる。前後の車輪は、同一のトレッド(車輪間隔)であるのがよい。
またかご4は、例えば金属メッシュ板からなる矩形の枠であり、その内部に荷崩れしやすい郵便物や小包などをランダムに積載するようになっている。かご4は、台板3の側面から突出せず、かつ内部の被検査物のX線検査に悪影響を与えないような形状及び材質であるのが好ましい。また、かご4は、荷物(被検査物)の出し入れを容易にするため少なくとも1面が観音開きタイプであるのがよい。
また、水平な台板3は、搬送方向(この図で右方向)に延び互いに平行な鉛直側面3aを有する。
なお、本発明で使用するキャスター車輪付き運搬台車1は、この構成に限定されず、台板3が、搬送方向に延び互いに平行な鉛直側面3aを有する限りで、任意の台車を使用することができる。
【0020】
図1は本発明のX線検査装置の全体構成図である。この図において、本発明のX線検査装置は、X線検査トンネル10と台車搬送装置20を備える。
X線検査トンネル10は、キャスター車輪2を有するキャスター車輪付き運搬台車1(以下、単に運搬台車1という)が通過可能な開口11を有し、運搬台車1に積載した被検査物にX線を照射して被検査物を検査するようになっている。
【0021】
図2(A)は図1のA−A断面図、図2(B)は図1のB−B断面図である。
図2(A)(B)において、X線検査トンネル10は、被検査物にX線を照射するX線照射装置12と、被検査物を透過したX線の強度を検出するX線検出器14とを2組備える。
【0022】
X線照射装置12は、X線を運搬台車1内の被検査物に照射する。照射するX線は、連続X線またはパルスX線のいずれでもよい。
なお、X線照射装置12は、運搬台車1にX線を線状に照射する線状照射装置であるのがよい。
【0023】
X線検出器14は、被検査物1を透過したX線の強度を検出する。
X線検出器14は、例えば被検査物1を透過した線状X線の強度を検出する多チャンネルの線状検出器である。
この線状検出器は、隣接して線状に配置された複数のX線/光変換素子、例えばシンチレータと、各シンチレータのX線による発光をそれぞれ検出する複数のフォトダイオードとからなる。
この構成により、被検査物1を透過した線状X線の強度分布を、複数のシンチレータで、同時に検出することができる。
【0024】
図2(A)において、X線照射装置12はX線検査トンネル10の上部に設置され、そのX線発生部12aからのX線を線状に照射する。この場合、X線検出器14は照射部12aに対向する底部と側部に設けられた線状検出器を有し、運搬台車1内の被検査物を透過した線状X線の強度を検出する。
また、図2(B)において、X線照射装置12はX線検査トンネル10の側部に設置され、そのX線発生部12aからのX線を線状に照射する。この場合、X線検出器14は照射部12aに対向する上部と側部に設けられた線状検出器を有し、運搬台車1内の被検査物を透過した線状X線の強度を検出する。
【0025】
制御装置16は、X線検出器14で検出したX線強度をデータ処理して、透視画像を構成する。
制御装置16は、例えばX線検出器14から得られた透過X線の強度から被検査物の材質を、等価原子番号で区分し、その結果を出力する。
また制御装置16は、被検査物を透過したX線強度を画像表示する表示装置を備え、例えば等価原子番号の区分を色付けして画像上に表示するようになっている。
【0026】
上述した構成により、台車搬送装置20により運搬台車1を水平に搬送し、同時に搬送方向に交叉(例えば直交)する2方向に、X線を線状に照射することにより、視点を変えた透視画像が得られ、より確実な検査をすることができる。
【0027】
図1において、台車搬送装置20は、運搬台車1を両側から挟んで水平に搬送し、X線検査トンネル10の開口11を通過させるようになっている。
【0028】
図3は図1のC−C矢視図である。この図において、台車搬送装置20は、X線検査トンネル10の入口側に位置する入口側搬送装置20A、X線検査トンネル10の出口側に位置する出口側搬送装置20B、及び入口側搬送装置20Aよりさらに入口側に位置する補助搬送装置20Cからなる。
なお、補助搬送装置20Cは必須ではなく、台車を任意に手動等で移動できる限りで、省略することができる。
【0029】
図3において、各台車搬送装置20は、1対の搬送ベルト22と1対のベルト駆動装置24を備える。
各搬送ベルト22は、鉛直な搬送面22aを有するエンドレスベルトである。各搬送ベルト22は、台板3の鉛直側面3aを両側から挟むのに必要十分な高さ及び幅に設定するのがよい。
また、各ベルト駆動装置24は、鉛直軸を中心に回転する前後のベルトプーリーとその駆動モータからなり、エンドレスベルトの搬送面22aを鉛直に保持したまま水平に動かすようになっている。
この構成により、運搬台車1の両側に位置する対になった2本の搬送ベルト22を同期させて駆動し、それぞれ2本の搬送ベルト22で台板3の鉛直側面3aを両側から挟んで水平に搬送することができる。
【0030】
搬送ベルト22の一方(この図で上側)は、鉛直な搬送面22aが幅方向基準位置に固定して位置する。
また、搬送ベルト22の他方(この図で下側)は、そのベルト駆動装置24と共に横行台25の上に設置され、直動アクチュエータ26又は付勢装置(ばね等)により、その搬送面22aが対向する上側の搬送面22aと平行を保持したまま上側の搬送面22aに向けて幅方向に移動可能に構成されている。
この構成により、台車の幅誤差を吸収でき、かつ運搬台車1の幅方向を基準位置に位置決めしながら搬送できるので、運搬台車の姿勢を保った精密な検査が可能となる。
【0031】
図1及び図3において、台車搬送装置20は、さらに、運搬台車1のキャスター車輪2をX線検査トンネル10の開口11を通して案内するガイドレール28を有する。
ガイドレール28は、この例ではキャスター車輪2のトレッド(車輪間隔)に合わせた2本の凹溝からなる。このガイドレール28は例えばコの字状の断面を有する型鋼(チャンネル)を用いることができる。
また、この例において、ガイドレール28は、水平に延びる水平部28aと、その前後の傾斜部28bからなり、キャスター車輪付き運搬台車1を水平な床面から傾斜部28bを介して水平部28aまで、単に運搬台車1を軽く押すだけで、移動することができるようになっている。
また、水平部28aの高さが低いので、傾斜部28bを短くできる。
なお水平部28aの高さは、この例では約80mm程度であるが、上述したX線検出器14をガイドレール28より下に設置できる限りで、より低くするのがよい。
【0032】
図3において、X線検査トンネル10は、所定位置の運搬台車を検出する台車センサ18a,18bを備える。台車センサ18a,18bは、例えば光電スイッチである。
入口側の台車センサ18aは、X線のON(昇圧)に時間がかかるために、X線照射ラインの手間に設置されている。この距離は、搬送速度×昇圧時間に余裕代を加算して設定するのがよい。
出口側の台車センサ18bは、X線照射時間を最短としX線発生器を保護し寿命を延ばすために、X線照射ラインの下流側に設置されている。なお、台車センサ18bを省略し、台車長さ、搬送速度等からX線照射時間を決定してもよい。
【0033】
図1に示すように本発明のX線検査装置は、さらにX線検査トンネル10を通過する運搬台車1の通路を囲み外側へのX線の漏洩を遮蔽する遮蔽壁32と、遮蔽壁32の入口側及び出口側に設けられX線を遮蔽する遮蔽カーテン34とを備える。
【0034】
遮蔽壁32は、運搬台車1の通路を囲む天井、床板、及び2枚の側板からなり、それぞれX線の遮蔽性能の高い部材(例えば金属板)で構成されている。なお、上述したX線検出器14を収容する箱のX線発生部に正対する部分は、X線が透過しやすい材料(例えばプラスッチック)で構成し、X線検出器14の背後にX線の遮蔽性能の高い部材(例えば鉛)を配置するのがよい。
【0035】
遮蔽カーテン34は、この例では、X線検査トンネル10の入口側に間隔を隔てて配置した第1遮蔽カーテン34a及び第2遮蔽カーテン34bと、X線検査トンネル10の出口側に配置した第3遮蔽カーテン34cからなる。
各遮蔽カーテン34は、遮蔽性能を高めるため、上端が固定された鉛を含む短冊状のゴム板からなるのがよい。
また、第1遮蔽カーテン34aと第2遮蔽カーテン34bの間隔は、運搬台車1が遮蔽カーテンを押し退けて通過する際に、少なくとも一方は、自重で下方に垂れ下がっており、常に被検査物に照射するX線が外部に漏れないように十分長い距離(例えば運搬台車の高さ以上)に設定されている。
【0036】
なお、この例では、第3遮蔽カーテン34cは1枚であり、これを台車1が通過する際には、X線を照射しないようになっているが、入口側と同様の構成にしてもよい。
また、遮蔽カーテンは上述した構造に限定されず、例えば、運搬台車1の接近により自動的に開閉するようにしてもよい。
【0037】
図4は、本発明のX線検査装置の作動説明図である。この図において、(A)〜(G)は、1台の運搬台車1がこの装置に搬入された直後(A)から搬出された直後(G)までの一連の状態を示している。
【0038】
図4(A)では、先行の運搬台車1が第1遮蔽カーテン34aを押し退けて通過しているため、第1遮蔽カーテン34aは部分的に開いているが、その他の第2遮蔽カーテン34bと第3遮蔽カーテン34cは全閉している。またこの状態では、台車センサ18aは、運搬台車を検出せず、これに対応してX線照射装置12によるX線照射はOFFの状態にある。
【0039】
図4(B)(C)では、補助搬送装置20Cと入口側搬送装置20Aが作動して運搬台車1を両側から挟んで水平に搬送し、台車センサ18aが運搬台車1を検出してX線照射装置12を起動し、X線照射装置12によるX線照射がONし、運搬台車1をX線検査する。この状態では、第1遮蔽カーテン34aと第3遮蔽カーテン34cは全閉しており、X線の漏洩を防止している。
図4(D)では、第2遮蔽カーテン34bが全閉しているため、次の運搬台車1が第1遮蔽カーテン34aを押し退けて通過している。またこの状態では、先行の運搬台車のX線検査は継続している。
【0040】
図4(E)では、台車センサ18bが先行運搬台車1の搬出を検出して、X線照射装置12によるX線照射をOFFし、検査を終了する。またこの状態では、第2遮蔽カーテン34bと第3遮蔽カーテン34cは全閉しており、かつX線照射はOFFしている。
【0041】
図4(F)では、先行運搬台車1が第3遮蔽カーテン34cを押し退けて通過しているため、第3遮蔽カーテン34cは部分的に開いているが、第2遮蔽カーテン34bは全閉している。またこの状態では、X線照射装置12は停止しており、X線照射はOFFの状態にある。
【0042】
図4(G)では、先行運搬台車1がこの装置から搬出され、次の運搬台車1が(A)の状態にある。
【0043】
上述した一連の作動により、台車搬送装置を停止せずに連続して被検査物を積載した運搬台車1の検査を行うことができる。
【0044】
上述したように本発明の構成によれば、X線検査トンネル10がキャスター車輪付き運搬台車1が通過可能な開口11を有し、台車搬送装置20が運搬台車1を両側から挟んで水平に搬送して、X線検査トンネルの開口11を通過させるので、キャスター車輪の固定作業及び解除作業が不要であり、かつ台車全体及び積載した貨物の移載(載せ降ろし)が不要であり、積載した貨物をそのまま円滑に搬送して能率よく検査できる。
【0045】
また台車搬送装置20は、鉛直な搬送面を有する1対の搬送ベルト22と、該搬送ベルトを鉛直に保持したまま移動する1対のベルト駆動装置24とからなるので、ベルト面(搬送面22a)を立てた2本の搬送ベルトで運搬台車の両側面を挟み込んでX線検査トンネル10内を通過させることができる。
また、運搬台車全体の重量(例えば600kg以上)はキャスター車輪で支持されたままX線検査トンネル内を通過するため、台車搬送装置の負荷は、遮蔽カーテンの抵抗のみであり、負荷を大幅に低減することができる。
【0046】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のX線検査装置の全体構成図である。
【図2】図1のA−A断面図とB−B断面図である。
【図3】図1のC−C矢視図である。
【図4】本発明のX線検査装置の作動説明図である。
【図5】本発明で使用するキャスター車輪付き運搬台車の構成図である。
【符号の説明】
【0048】
1 キャスター車輪付き運搬台車、2 キャスター車輪、
3 台板、3a 鉛直側面、4 かご、
10 X線検査トンネル、11 開口、
12 X線照射装置、12a X線発生部(焦点)、
14 X線検出器、16 制御装置、
18a,18b 台車センサ、
20 台車搬送装置、20A 入口側搬送装置、
20B 出口側搬送装置、20C 補助搬送装置、
22 搬送ベルト、22a 搬送面、
24 ベルト駆動装置、25 横行台、
26 直動アクチュエータ、28 ガイドレール、
28a 水平部、28b 傾斜部、
32 遮蔽壁、34 遮蔽カーテン、
34a 第1遮蔽カーテン、34b 第2遮蔽カーテン、
34c 第3遮蔽カーテン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスター車輪を有するキャスター車輪付き運搬台車が通過可能な開口を有し、該運搬台車に積載した被検査物にX線を照射して被検査物を検査するX線検査トンネルと、
前記運搬台車を両側から挟んで水平に搬送し、前記X線検査トンネルの開口を通過させる台車搬送装置と、を備えたことを特徴とするキャスター車輪付き運搬台車用のX線検査装置。
【請求項2】
前記キャスター車輪付き運搬台車は、キャスター車輪を下方に有する水平な台板と、該台板の上面に固定され内部に被検査物を収容するかごとを有し、前記台板は、搬送方向に延び互いに平行な鉛直側面を有し、
前記台車搬送装置は、鉛直な搬送面を有する1対の搬送ベルトと、該搬送ベルトを鉛直に保持したまま水平に動かす1対のベルト駆動装置とを備え、1対の搬送ベルトで前記台板の鉛直側面を両側から挟んで水平に搬送する、ことを特徴とする請求項1に記載されたX線検査装置。
【請求項3】
前記搬送ベルトの一方は、鉛直な搬送面が幅方向基準位置に位置し、
前記搬送ベルトの他方は、鉛直な搬送面が幅方向に移動可能に構成されている、ことを特徴とする請求項2に記載されたX線検査装置。
【請求項4】
前記台車搬送装置は、運搬台車のキャスター車輪をX線検査トンネルの開口を通して案内するガイドレールを有する、ことを特徴とする請求項1に記載されたX線検査装置。
【請求項5】
前記X線検査トンネルは、被検査物にX線を照射するX線照射装置と、
前記被検査物を透過したX線の強度を検出するX線検出器と、
前記X線発生装置とX線検出器を制御する制御装置とを備える、ことを特徴とする請求項1に記載されたX線検査装置。
【請求項6】
前記X線検査トンネルは、X線照射領域内の所定位置に位置する運搬台車を検出する台車センサを備える、ことを特徴とする請求項5に記載されたX線検査装置。
【請求項7】
前記X線検査トンネルを通過する運搬台車の通路を囲み外側へのX線の漏洩を遮蔽する遮蔽壁と、
前記遮蔽壁の入口側及び出口側に設けられX線を遮蔽する遮蔽カーテンとを備える、ことを特徴とする請求項1に記載されたX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−292521(P2007−292521A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118639(P2006−118639)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000198318)石川島検査計測株式会社 (132)
【Fターム(参考)】