説明

キャスタ装置

【課題】医療機器または移動式ベッドのような移動体に装着され、キャスタの作動モードを連続的に切替可能なキャスタ装置の提供。
【解決手段】本発明のキャスタ装置は、クランクシャフトと、回転部材と、押圧部材と、コネクティングロッドとを備える。クランクシャフトは、キャスタの往復回転するカム要素に同軸に連結されている。回転部材は、移動体に回転可能に装着されている。回転部材は、円周方向に離隔されている複数のピンを備える。押圧部材は、移動体に上下方向に弾性的に移動するように装着されている。押圧部材は、下方移動時にピンと接触して回転部材を回転させる。回転部材の回転がコネクティングロッドとクランクシャフトによりカム要素の往復回転に切り替えられ、カム要素の往復回転に応じてキャスタは複数の作動モードのうちの一つに設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器または移動式ベッドのような移動体に取り付けられるキャスタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を運搬するための機器またはカートには、複数のキャスタが取り付けられている。一般に、キャスタは、機器またはカートの下面に装着されるベースと、ホイールアームを通じてベースに結合するホイールを備える。このようなキャスタは、ホイールアームがベースに対して回転しない非回転式キャスタとホイールアームがベースに対して回転する回転式キャスタとに分類することができる。ユーザは、ホイールアームを回転させて、回転式キャスタが取り付けられた機器またはカートの移動方向を変えることができる。キャスタは、機器またはカートを任意の個所に固定させるために、ホイールまたはホイールアームを選択的にロッキングし、そしてロッキング解除するためのロッキング装置を備えることができる。
【0003】
前記機器またはカートの一例として、医療施設で用いられる移動式ベッドまたは医療機器は、医療施設内で移動したり任意の場所で安定的に固定される必要がある。このために、医療機器または移動式ベッドには、前述したキャスタが装着される。しかし、医療機器または移動式ベッドの位置を固定したり移動させるためには、それぞれのキャスタに設けられたロッキング装置が操作されなければならないので、移動と固定時に煩わしさがある。特に、応急(緊急)状況時にはこのような煩わしさによって適切な対処が遅れる問題がある。また、キャスタの作動モード別にロッキング装置が設けられたキャスタが用いられる場合、ユーザが各操作装置を混同する問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
米国特許第5,774,936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような問題を解決するためのものであって、本発明の目的は移動体に装着されてキャスタの作動モードを連続的に切替できるキャスタ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
移動体に装着されるキャスタ装置の多様な実施例が提供される。キャスタ装置は、往復回転するカム要素を備えて移動体に装着されるキャスタと、前記カム要素に連結されるクランクシャフトと、前記移動体に回転可能に装着され、円周方向に沿って離隔される複数のピンを備える回転部材と、前記移動体に上下に移動するように装着され、前記ピンに接触して前記回転部材を回転させる押圧部材と、前記回転部材と前記クランクシャフトとを連結するコネクティングロッドとを備え、前記押圧部材の移動による前記回転部材の回転が前記コネクティングロッドと前記クランクシャフトとにより前記カム要素の往復回転に切り替えられる。
【0007】
前記押圧部材は、押圧板を備え、前記押圧板は、前記押圧部材の下方移動時に前記ピンに接触する第1の接触面と前記押圧部材の上方移動時に前記ピンに接触する第2の接触面とを有する。
【0008】
前記押圧板は、垂直部と垂直部から延びる水平部とを備える。
【0009】
前記第2の接触面は、前記水平部とテーパー面とを備える。
【0010】
前記押圧部材は、前記押圧板を前記回動部材側に付勢するスプリングをさらに備える。
【0011】
前記押圧部材は、一端で前記回転部材の回転軸に回動可能に結合される回動バーを備え、前記回動バーは、下方回動時に前記ピンに接触する第1の接触面と上方回動時に前記ピンに接触する第2の接触面とを備える。
【0012】
前記キャスタ装置は、前記移動体と前記回動バーとの間に配置されて前記回動バーを上方に付勢するスプリングをさらに備える。
【0013】
前記ピンは、前記回転部材に後退可能に装着され、前記ピンはその先端に前記押圧部材と接触するテーパー面とを有する。
【0014】
前記押圧部材は、ペダルプレートを備える。
【0015】
前記キャスタは、前記カム要素の回転により複数の作動モードで異なる高さに上下移動するプッシュロッドを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明のキャスタ装置によれば、ユーザは押圧部材を一方向に移動または回動させることによって、キャスタの作動モードを連続的にまたは断続的に変更することができる。従って、ユーザは、作動モードの混同なく短時間にキャスタの作動モードを変更することができる。また、作動モードの切替が回転部材の1回の回転によって一つのサイクルで行われるので、ユーザは容易にキャスタの作動モードを切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施例におけるキャスタ装置を示す斜視図である。
【図2】図1のキャスタ装置を示す右側面図である。
【図3】図1のキャスタ装置を示す左側面図である。
【図4】図1のキャスタを示す断面図である。
【図5】図4のキャスタのカム要素と作動モードを示す。
【図6】図1のキャスタ装置の部分拡大斜視図である。
【図7】ペダルプレートと押圧板との結合を例示する概略図である。
【図8】回転部材とピンとの結合を示す断面図である。
【図9】押圧板とピンとの接触を示す拡大斜視図である。
【図10】押圧板とピンとの接触を示す拡大斜視図である。
【図11】押圧板とピンとの接触を示す拡大斜視図である。
【図12】本発明の第2の実施例におけるキャスタ装置を示す斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施例におけるキャスタ装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、本発明のキャスタ装置の実施例を説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施例によるキャスタ装置を示す斜視図である。図2及び図3は、それぞれ図1のキャスタ装置の右側面図及び左側面図である。図4は、本発明に採用されるキャスタの断面図であり、図5は図4のキャスタのカム要素と作動モードを示す。
【0020】
図1〜図5を参照すれば、本発明の第1の実施例によるキャスタ装置100は、クランクシャフト110と、押圧部材120と、回転部材130と、コネクティングロッド140と、キャスタ150とを備える。
【0021】
キャスタ装置100は、移動体(図示せず)に装着されて移動体を支持及び移動させる。キャスタ装置100は、キャスタ150のカム要素155を往復回転させてキャスタ150を複数の作動モードのうちの一つに設定する。キャスタ装置100が装着される移動体は、移動式ベッド、超音波診断装置のような医療機器を含むことができる。また、前記移動体は、物品を運搬するように構成されたカートなど、キャスタが取り付けられる任意の移動体を含むことができる。
【0022】
クランクシャフト110は、一例として、一端がキャスタ150のカム要素155に同軸に連結または結合している連結軸111と、一端が連結軸111の他端に結合するクランクアーム112と、クランクアーム112の他端に結合しており、コネクティングロッド140と連結されているクランクピン113とを備える。コネクティングロッド140は、一端でクランクピン113に回動可能に連結され、他端で回転部材130に回動可能に連結されている。
【0023】
押圧部材120は、垂直方向へ移動可能に移動体に装着される。この実施例において、押圧部材120はペダルプレート121を備える。また、押圧部材120は、ガイドロッド123と圧縮スプリング124とを備えて、垂直方向に弾力的に移動可能である。ガイドロッド123は、ペダルプレート121の中央部に一つが配置されるかまたはペダルプレート121の前後方に2つが配置され得る。
【0024】
移動体には、ガイドロッド123をガイドして支持するためのブラケット11が提供される。ガイドロッド123の一端はペダルプレート121に固定され、その他端はブラケット11に対して移動可能に結合する。ペダルプレート121とブラケット11との間で、圧縮スプリング124はガイドロッド123の周りに配置されている。ユーザが押圧部材120を下方に押すと、例えばペダルプレート121を踏めば、圧縮スプリング124が圧縮されながら、ガイドロッド123がペダルプレート121と共に下方に移動する。ガイドロッド123は、ブラケット11から分離されないように他端にストッパ(図示せず)を備えることができる。
【0025】
キャスタ150は、移動体の下部に取り付けられる。図4及び図5を参照すれば、キャスタ150は、ホイール151と、ホイール151を支持するホイールアーム152と、ホイールアーム152と相対的に回転するように結合して移動体に装着されるホイールベース153と、ホイールベース153に固定されている作動部154と、作動部154に往復回転可能に装着されて作動モードの切替のためのカム要素155と、カム要素155の作動モードに応じて垂直方向へ移動するプッシュロッド156とを備える。
【0026】
ホイールアーム152とホイールベース153との間にはベアリング157が配置されている。また、プッシュロッド156の下端には締結部材156bによってゴムパッド156aが取り付けられており、プッシュロッド156の上端にはカム要素155の周面に接触する接触部156cが設けられている。接触部156cと締結部材156bとの間に圧縮スプリング156dが配置されて、接触部156cをカム要素155側に常時付勢している。また、ゴムパッド156aの上方には結合片156eがプッシュロッド156に一体に取り付けられており、ホイールアーム152には結合片156eが選択的に結合するリセス(凹部)(recess)152aが形成されている。
【0027】
図5に示した通り、カム要素155は、その周面に回転軸(A)からの半径方向の長さがそれぞれ異なる第1〜3のカム面155a、155b、155cを有する。プッシュロッド156の接触部156cは、圧縮スプリング156dの付勢力下でカム要素155のカム面155a、155b、155cと接触するので、カム要素155の回転軸線(A)を中心とした往復回転により、プッシュロッド156は垂直方向に弾性的に移動することができる。前述したキャスタ150の構成については、上記先行技術文献が参照できる。図5に示された例においては、第1のカム面155aと第3のカム面155cが窪んだ形状であり、第2のカム面155bは平らな形状である。しかし、カム要素155のカム面の個数と各カム面のプロファイルは、キャスタ150の作動モードに応じて多様に設計できる。
【0028】
前述したキャスタ150は、第1〜3のモードで作動することができる。第1のモードにおいては、接触部156cがカム要素155の第1のカム面155aに嵌合しており、結合片156eとリセス152aは分離されている。従って、キャスタ150のホイールアーム152は方向転換のために回転することができ、ホイール151は回転可能である。
【0029】
第2のモードにおいては、接触部156cがカム要素155の第2のカム面155bに接触しており、プッシュロッド156が下方に移動して、ゴムパッド156aがホイール151の周面に加圧接触する。従って、キャスタ150のホイール151は回転することができない。
【0030】
第3のモードにおいては、接触部156cがカム要素155の第3のカム面155cに嵌合しており、結合片156eとリセス152aは相互に嵌合している。従って、キャスタ150のホイールアーム152は回転することができず、ホイール151は回転可能である。
【0031】
図6は図1のキャスタ装置を示す部分拡大斜視図であり、図7は押圧板とペダルとの結合を例示する概略図である。
【0032】
押圧部材120は、下方移動により回転部材130の回転を実行するための押圧板122をさらに備える。この実施例において、押圧板122は、ペダルプレート121に取り付けられて、ペダルプレート121と共に垂直方向へ移動可能である。示された例において、押圧板122は、一端でペダルプレート121に取り付けられている垂直部122aと、垂直部122aから延びている水平部122bとからなっている。
【0033】
図6を参照すれば、押圧板122は、回転部材130のピン131、132、133、134と接触する第1の接触面122cと第2の接触面122dを備える。第1の接触面122cは押圧部材120の下方移動時にピン131、132、133、134と接触し、第2の接触面122dは押圧部材120の上方移動時にピン131、132、133、134と接触する。この実施例において、第1の接触面122cは、水平部122bの下側端部面を構成する。第1の接触面122cは、ピン131、132、133、134と当接し、ピン131、132、133、134を下方に移動させる。第2の接触面122dは、上側端部面とテーパー面とを備える。
【0034】
押圧板122は、回転部材130側に付勢されながら、回転部材130に対して回動可能にペダルプレート121に取り付けられている。例えば、図7に示した通り、押圧板122の垂直部122aは、ペダルプレート121の下側に取り付けられている支持ブラケット125に回動軸127を通じて結合している。垂直部122aと支持ブラケット125との間には、垂直部122aを回転部材130側に付勢する引張ばね126が介在している。従って、押圧板122は、引張ばね126の付勢力下で回転部材130の一面(ピン131、132、133、134が突出している面)に接触し、ペダルプレート121に対して回動することができる。
【0035】
押圧板122の第2の接触面122dは、押圧板122の水平部122bがピン131、132、133、134を容易に超えることができるように所定の角度で傾斜している。押圧板122の水平部122bがピン131、132、133、134を超える時(即ち、水平部122bがピン131、132、133、134を下から上に通過する時)、押圧板122は回転部材130から回動してもよい。押圧板122の水平部122bがピン131、132、133、134を超えた後に、押圧板122は引張ばね126によってその初期の回動されない位置(回転部材130に接触する位置)に戻ることができる。
【0036】
図8は、回転部材とピンとの結合を示す断面図である。図9〜図11は押圧板とピンとの接触を示す拡大斜視図である。
【0037】
この実施例において、回転部材130には第1〜4のピン131、132、133、134が設けられており、第1〜4のピン131、132、133、134は回転部材130の回転軸130aを中心に互いに90°間隔で離隔されている。
【0038】
ピン131、132、133、134は、回転部材130に一体に形成することもでき、回転部材130に後退可能に装着されてもよい。後者の一例が図8に例示されている。図8を参照すれば、回転部材130とピン131との結合の一例として、ピン131は回転部材130に形成される孔に挿入装着されている。ピン131は、その突出する先端に水平部122bの第2の接触面122dと相補的に接触するテーパー面131aを有する。また、ピン131は、ガイド部131bとストッパ131cと圧縮スプリング131dとを備える。ピン131のテーパー面131aを定められた方向に維持するように、ガイド部131bと前記孔は多角形断面を有することができる。
【0039】
ピン131が押圧板122の第2の接触面122dによって押されると、ピン131は圧縮スプリング131dを圧縮しながら回転部材130内に後退する(図10及び図11参照)。押圧板122がピン131を通過してピン131が押圧状態から開放されれば、ピン131は圧縮スプリング131dの復元力によって初期位置に戻る。ストッパ131cは、ピン131が回転部材130から離脱するのを防止する。ピン132、133、134もピン131と同一の構成である。
【0040】
図1〜図3を再び参照すれば、回転部材130は、円形の板状部材または円形のディスク部材からなることができる。回転部材130は、その一面にピン131、132、133、134が突出しており、移動体に回転可能に装着されている。この実施例において、回転部材130は、回転軸130aにより移動体に回転可能に装着されている。また、回転部材130は、ワン−ウェイベアリング(one−way bearing)によって回転軸130aと結合して一方向に回転可能である。押圧板122がピン131、132、133、134の一つを下方に移動させると、回転部材130、コネクティングロッド140及びクランクシャフト110の相互作用によりキャスタ150の作動モードのうち一つが異なる作動モードに切り替えられる。
【0041】
コネクティングロッド140の一端は、クランクピン113に回動可能に結合しており、他端はジョイント部材141により回転部材130の他面に回動可能に結合している。ジョイント部材141は、ピンジョイント、リベットジョイントなどを備えてもよい。コネクティングロッド140の他端の結合位置について、図3を参照すれば、例えばキャスタ150の第2のモードが初期モードに設定される場合、前記結合位置は回転部材130の回転軸130aの中心を原点とするX−Y座標系での正のX軸に沿って定められる。他の例として、キャスタ150の第1のモードが初期モードに設定される場合、前記結合位置は前記X−Y座標系での正のY軸に沿って定められる。
【0042】
回転部材130が1回回転すれば、コネクティングロッド140の他端は円運動をする。この時、コネクティングロッド140の一端は、連結軸111を中心として、クランクピン113と、連結軸111からクランクピン113に平行に延長する直線との間の最短距離を半径として、中心角が角度(θ+θ)である円弧経路に沿って往復回動する(図5参照)。コネクティングロッド140の一端の往復回動によって、クランクピン113が角度(θ+θ)範囲内で往復回動する。結局、連結軸111とキャスタ150のカム要素155が角度(θ+θ)範囲内で往復回転する。
【0043】
第2のモードにおけるクランクアーム112は、第1のモードにおけるクランクアーム112と第1の角度(θ)をなし、第3のモードにおけるクランクアーム112は、第1のモードにおけるクランクアーム112と第2の角度(θ)をなす(図5参照)。前記第1及び第2の角度(θ、θ)は、キャスタ150の設計時に決定される値である。
【0044】
前述した第1の実施例のキャスタ装置100において、キャスタ150は3つのモードで作動し、これに対応するように4つのピン131、132、133、134が90°間隔で回転部材130に配置されている。しかし、本発明はこのようなモード−ピンの構成に限定されない。例えば、キャスタ150が2つまたは4つのモードで作動するようにカム要素が構成される場合、ピンの個数はモード間の切替を許容するように2つまたは6つになり得ることが理解されるであろう。
【0045】
以下、この実施例のキャスタ装置100の作動例を説明する。この実施例において、キャスタ150は、初期に第1のモードに設定されている。コネクティングロッド140の他端が1回転する間、キャスタ150が第1のモードから第2のモードに、第2のモードから第1のモードに、第1のモードから第3のモードに、第3のモードから再び第1のモードになるように、キャスタ装置100が構成されている。以下の作動例の説明と関連し、回転部材130が押圧板122によって回転する方向は、時計方向とする(以下、「時計方向」とは、キャスタ装置100を右側面から見たとき(図2)の時計回りの方向をいう。)。また、コネクティングロッド140の一端とクランクピン113とが回転部材130側に移動する方向は第1の方向とし、その反対方向は第2の方向とする。
【0046】
第1のモードにおいては、ホイール151の回転及びキャスタ150の方向転換が可能である。また、第1のモードにおいて、コネクティングロッド140の他端は、回転部材130の回転軸130aの直上方(図3における正のY軸上)に位置する。ユーザが押圧部材120を下方に押すと、押圧部材120の押圧板122の水平部122bが第1のピン131と当接し、第1のピン131及び回転部材130を時計方向に回転させる。回転部材130が約90°回転すれば、回転部材130の他面に結合するコネクティングロッド140の他端が時計方向に約90°で回転する。また、コネクティングロッド140の一端に結合しているクランクピン113は前記第1の方向で第1の角度(θ)の範囲で移動し、連結軸111が第1の角度(θ)だけ反時計方向に回転する。従って、連結軸111に結合しているカム要素155が第1の角度(θ)で反時計方向に回転し、接触部156が第2のカム面155bに接触してプッシュロッド156が下方に移動してゴムパッド156aがホイール151に接触する。その結果、キャスタ150は第2のモードになる。
【0047】
モードの切替後、ユーザが押圧部材120の押圧を解除すれば、押圧板122の水平部122bは圧縮スプリング124の復元力により上方に移動する。この時、水平部122bに形成される第2の接触面122dが第1のピン131に形成されているテーパー面131aと当接すれば、第2の接触面122dとテーパー面131aの作用によってペダルプレート121に回動可能に結合している押圧板122が回転部材130の一面から回動する(図9参照)。従って、押圧板122の水平部122bは、第1のピン131を超えて、回転部材130において第2のピン132の上方に置かれるようになる。
【0048】
ピンが回転部材130内に後退可能に構成される場合、第1のピン131が回転部材130の内側に後退し(図10参照)、押圧板122の水平部122bが第1のピン131を越え(図11参照)、回転部材130において第2のピン132の上方に置かれることもできる。
【0049】
第1のモードから切り替えられた第2のモードにおいて、ユーザが押圧部材120を下方に押すと、前述した作動メカニズムと類似して、コネクティングロッド140の他端が時計方向に約90°でさらに回動して回転部材130の回転軸130aの直下方(図3における負のY軸上)に位置する。コネクティングロッド140の他端が回動すれば、コネクティングロッド140の一端とクランクピン113は前記第2の方向に第1の角度(θ)の範囲で移動して連結軸111及びカム要素155を時計方向に回転させる。従って、接触部156cがカム要素155の第2のカム面155bから移動して第1のカム面155aに嵌合し、プッシュロッド156が上方に移動してゴムパッド156aがホイール151から分離される。その結果、キャスタ150は第1のモードに戻る。
【0050】
第2のモードから切り替えられた第1のモードにおいて、ユーザが押圧部材120を操作すれば、コネクティングロッド140の他端が前記時計方向に約90°回動する。そうすると、コネクティングロッド140の他端の回動と共に、コネクティングロッド140の一端とクランクピン113が第2の方向で第2の角度(θ)の範囲で移動して連結軸111とカム要素155とを時計方向に回転させる。従って、接触部156cがカム要素155の第1のカム面155aから第3のカム面155cに接触しながら、プッシュロッド156が上方に移動して、結合片156eがリセス152aに嵌合する。その結果、キャスタ150は第3のモードになる。
【0051】
第1のモードから切り替えられた第3のモードにおいて、ユーザが押圧部材120を操作すれば、コネクティングロッド140の他端が前記時計方向に約90°さらに回動する。そうすると、コネクティングロッド140の他端の回動と共に、コネクティングロッド140の一端とクランクピン113が前記第1の方向に第2の角度(θ)の範囲で移動して連結軸111とカム要素155とを反時計方向に回転させる。従って、接触部156cがカム要素155の第3のカム面155cから第1のカム面155aに嵌合し、プッシュロッド156が下方に移動して結合片156eとリセス152aが分離される。その結果、キャスタ150は初期の第1のモードに戻る。
【0052】
図12は、本発明の第2の実施例におけるキャスタ装置の斜視図である。この実施例のキャスタ装置200は、押圧部材の装着構造を除いては第1の実施例のキャスタ装置100と類似するので、同一の構成要素に関する説明は省略する。
【0053】
図12を参照すれば、本発明の第2の実施例によるキャスタ装置200は、ヒンジ軸228によって移動体(図示せず)にヒンジ結合される押圧部材220を備える。詳細には、押圧部材220は、ヒンジ軸228によって移動体にヒンジ結合されるペダルプレート221を備え、ヒンジ軸228を中心として回動可能である。また、押圧部材220は、圧縮スプリング224とガイドロッド223を備えてヒンジ軸228を中心として弾性的に回動可能である。
【0054】
第1の実施例においては、ガイドロッド123の一端が押圧部材120に固定される反面(図2参照)、この実施例においてはガイドロッド223の一端はヒンジ(図示せず)を通じて押圧部材220に回動可能に結合している。ガイドロッド223の他端は、移動体のブラケット11に移動可能に結合する。圧縮スプリング224は、押圧部材220とブラケット11との間でガイドロッド223の周りに配置される。ユーザが押圧部材220を下方に回動させれば、圧縮スプリング224が圧縮しながらガイドロッド223が回動する。この状態でユーザが押圧部材220の回動を解除すれば、圧縮スプリング224の復元力により押圧部材220は上方に回動する。ガイドロッド223の他端にはブラケット11からの離脱を防止するためにストッパ(図示せず)が備えられる。
【0055】
図13は、本発明の第3の実施例におけるキャスタ装置の斜視図である。この実施例のキャスタ装置300は、押圧部材の構造を除いては第1の実施例のキャスタ装置100と類似するので、同一の構成要素に関する説明は省略する。
【0056】
図13を参照すれば、本発明の第3の実施例におけるキャスタ装置300は、一端で回転軸130aに回転可能に装着され、他端でペダルプレート321に結合している回動バー322を有する押圧部材320を備える。
【0057】
また、回動バー322は、下方回動時にピン131、132、133、134と接触する第1の接触面322bと、上方回動時にピン131、132、133、134と接触する第2の接触面322aとを備える。回動バー322の第1の接触面322bは、回動バー322の下側端部面を構成し、第2の接触面322aは回動バー322の上側端部面を構成する。第2の接触面322aは第1の実施例での第2の接触面122dと同様に回転部材130側に傾斜するテーパー面を備えることができる(図6参照)。
【0058】
また、この実施例のキャスタ装置300は、移動体と回動バー322に連結されて回動バー322を上方に付勢するトーションスプリング(図示せず)をさらに備えることができる。回動バー322は、図13において時計方向に回転してトーションスプリングを圧縮する。トーションスプリングの復元力により、回動バー322は反時計方向に回転して初期位置に戻ることができる。トーションスプリングは、回動バー322と回転軸130aとの間に公知の方法によって設けることができる。例えば、トーションスプリングの一端が回動バー322に固定されて、その他端が回転軸130aに固定できる。また、回動バー322と回転部材130との間には引張ばね(図示せず)が介在し、回動バー322を回転部材130側に弾性的に付勢することができる。これは第1の実施例における押圧板122が弾性的に付勢されることと同一の効果をもたらす(図6参照)。
【0059】
以上で説明した本発明は前述した実施例及び添付された図面によって限定されるのではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更ができるということが本発明の属する分野で通常の知識を有する者において明白である。
【符号の説明】
【0060】
100、200、300:キャスタ装置
110:クランクシャフト
111:連結軸
112:クランクアーム
113:クランクピン
120、220、320:押圧部材
122、222:押圧板
130:回転部材
140:コネクティングロッド
150:キャスタ
155:カム要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復回転するカム要素を備えて移動体に装着されるキャスタと、
前記カム要素に連結されるクランクシャフトと、
前記移動体に回転可能に装着され、円周方向に沿って離隔される複数のピンを備える回転部材と、
前記移動体に上下に移動するように装着され、前記ピンに接触して前記回転部材を回転させる押圧部材と、
前記回転部材と前記クランクシャフトとを連結するコネクティングロッドとを備え、
前記押圧部材の移動による前記回転部材の回転が前記コネクティングロッドと前記クランクシャフトによって前記カム要素の往復回転に切り替えられることを特徴とするキャスタ装置。
【請求項2】
前記押圧部材は、押圧板を備え、
前記押圧板は、前記押圧部材の下方移動時に前記ピンに接触する第1の接触面と前記押圧部材の上方移動時に前記ピンに接触する第2の接触面とを有することを特徴とする請求項1に記載のキャスタ装置。
【請求項3】
前記押圧板は、垂直部と垂直部から延びる水平部を備えることを特徴とする請求項2に記載のキャスタ装置。
【請求項4】
前記第2の接触面は、上平面とテーパー面を備えることを特徴とする請求項3に記載のキャスタ装置。
【請求項5】
前記押圧部材は、前記押圧板を前記回転部材側に付勢するスプリングをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のキャスタ装置。
【請求項6】
前記押圧部材は、前記移動体に上下に移動するように装着されるガイドロッドと前記ガイドロッドの周りに配置される圧縮スプリングとをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のキャスタ装置。
【請求項7】
前記押圧部材は、前記移動体にヒンジ結合されることを特徴とする請求項6に記載のキャスタ装置。
【請求項8】
前記回転部材は、回転軸を有し、
前記押圧部材は、一端で前記回転軸に回動可能に結合する回動バーを備え、
前記回動バーは、下方回動時に前記ピンに接触する第1の接触面と上方回動時に前記ピンに接触する第2の接触面とを有することを特徴とする請求項1に記載のキャスタ装置。
【請求項9】
前記移動体と前記回動バーとの間に配置されて前記回動バーを上方に付勢するスプリングをさらに備えることを特徴とする請求項8に記載のキャスタ装置。
【請求項10】
前記ピンは、前記回転部材に後退可能に装着され、前記ピンはその先端に前記押圧部材と接触するテーパー面を有することを特徴とする請求項1に記載のキャスタ装置。
【請求項11】
前記押圧部材は、ペダルプレートを備えることを特徴とする請求項1に記載のキャスタ装置。
【請求項12】
前記キャスタは、前記カム要素の回転によって複数の作動モードで異なる高さに上下移動するプッシュロッドを備えることを特徴とする請求項1に記載のキャスタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−120634(P2010−120634A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265133(P2009−265133)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(597096909)株式会社 メディソン (269)
【氏名又は名称原語表記】MEDISON CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】114 Yangdukwon−ri,Nam−myun,Hongchun−gun,Kangwon−do 250−870,Republic of Korea
【Fターム(参考)】