説明

キャップ具及びエアゾール噴霧器

【課題】噴射される溶液の被塗布面への付着性がよくする。
【解決手段】キャップ具12のノズル32に形成されたノズル孔32Aの長さLを3mm〜20mmとし、ノズル孔32Aの直径B2を0.6mm〜1.8mmとする。これにより、噴射された溶液は、拡散しにくく、浮遊する量が少ないため、被塗布面(皮膚)への付着性が良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器に装着されると共にエアゾール容器から溶液を噴射させるキャップ具、及び、そのキャップ具を備えるエアゾール噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
エアゾール容器に装着されるキャップ具としては、エアゾール容器内の溶液を外部に噴射させるノズルにロングノズルを用いたものが開示されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1のキャップ具によれば、ノズル長さ、ノズルの内径及び噴口径を所定値にすることにより、エアゾール容器に充填された殺虫剤を適度な噴霧粒子で遠くまで噴射することができ、優れた拡散性が得られるので、床下等の限定空間での使用による殺虫効果が向上する。
【0004】
ところで、害虫忌避成分及び水溶性溶剤を含む溶液と噴射剤とが充填されたエアゾール容器(例えば、虫除けスプレー)に装着されるキャップ具では、特許文献1のようにロングノズルを設けたものはなく、図8(A)、(B)に示すように、ノズルが設けられていないものが用いられている。
【0005】
このキャップ具100は、害虫忌避成分及び水溶性溶剤を含む溶液と噴射剤とが充填されたエアゾール容器102の口部110に装着される。また、このキャップ具100は、図8(B)に示すように、溶液を噴射する噴射孔104と、この噴射孔104とエアゾール容器102の口部110とを連通させる通路106と、を備えている。
【0006】
このキャップ具100では、ボタン部108を下方へ押すことにより、口部110を下方へ押し下げて、口部110の下方にあるバルブを開放する。バルブが開放されることで口部110から溶液が噴出し、噴出した溶液は、通路106を通じて噴射口104から噴射される構成となっている。
【0007】
この構成によれば、被塗布面(例えば、皮膚)へ向けて溶液を噴射させ、被塗布面に溶液を塗布することにより、害虫が被塗布面に近寄らないようにすることができる。
【特許文献1】特許2620868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図8(A)、(B)に示すキャップ具100では、ノズルが設けられておらず、噴射孔104から溶液が直接噴射されるため、噴射された溶液が拡散し、空中に浮遊しやすく、被塗布面へ塗布した際の付着性が悪い。
【0009】
本発明は、上記事実を考慮し、噴射される溶液の被塗布面への付着性がよいキャップ具及びそのキャップ具を備えたエアゾール噴霧器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係るキャップ具は、害虫忌避成分及び水溶性溶剤を含む溶液と噴射剤とが充填されて、内圧が0.1MPa〜0.5MPaにされたエアゾール容器の口部に装着されると共に、前記エアゾール容器から前記溶液を噴射させるキャップ具であって、長さが3mm〜20mmとされ直径が0.6mm〜1.8mmとされたノズル孔が内部に形成されると共に、該ノズル孔から前記溶液を外部へ噴射させるノズルと、前記エアゾール容器の口部と前記ノズル孔とを連通させると共に、前記ノズル孔と連通する連通部が前記ノズル孔の直径より小さい連通路と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、エアゾール容器から被塗布面(例えば、皮膚)へ向けて、害虫忌避成分及び水溶性溶剤を含む溶液を噴射させ、被塗布面に溶液を付着させて、害虫が被塗布面に近寄らないようにすることができる。
【0012】
ここで、本発明の請求項1の構成では、キャップ具は、内圧が0.1MPa〜0.5MPaにされたエアゾール容器の口部に装着されると共に、キャップ具のノズルには、長さが3mm〜20mmで、直径が0.6mm〜1.8mmのノズル孔が形成されている。
【0013】
ノズル孔の長さが3mm未満である場合は、ノズルから噴射される溶液の粒子が細かくなり、溶液が空中に浮遊しやすくなる。また、ノズル孔の直径が0.6mm未満である場合も、同様に、ノズルから噴射される溶液の粒子が細かくなり、溶液が空中に浮遊しやすくなる。
【0014】
ノズル孔の長さが20mmを超えた場合は、ノズルから噴射される溶液の粒子が粗くなり、液だれが起こりやすく、噴射不良が生じやすい。また、ノズル孔の直径が1.8mmを超えた場合も、同様に、ノズルから噴射される溶液の粒子が粗くなり、液だれが起こりやすく、噴射不良が生じやすい。
【0015】
従って、本発明の請求項1の構成によれば、噴射された溶液は、拡散しにくく、浮遊する量が少なく、また、液だれ等の噴射不良がおきにくいため、被塗布面への付着性が良い。
【0016】
本発明の請求項2に係るエアゾール噴霧器は、請求項1に記載のキャップ具と、前記キャップ具が装着されるエアゾール容器と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、本発明に係る請求項1と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、上記構成としたので、噴射される溶液の被塗布面への付着性がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明のキャップ具及びそのキャップ具を備えたエアゾール噴霧器に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0020】
本実施形態に係るエアゾール噴霧器10は、図1に示すように、エアゾール容器14と、エアゾール容器14に装着されるキャップ具12と、を備えている。
【0021】
まず、エアゾール容器14の構成について説明する。
エアゾール容器14は、例えば、スチール製、アルミニウム製等の金属容器、プラスチック製容器(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、塩化ビニル、等)、及びガラス製容器が用いられる。これらの中でも安全性及び製造コスト等を考慮した場合、スチール製、アルミニウム製の容器であることがより好ましい。
【0022】
エアゾール容器14の内部には、害虫忌避成分、水溶性溶剤を含む溶液と、噴射剤とが充填されている。
【0023】
害虫忌避成分としては、害虫に対して忌避作用又は吸血阻害作用を有する各種の化合物が挙げられる。該化合物は化学的に合成されたものであってもよいし、天然物から抽出等により得られたものであってもよい。
【0024】
具体的には、例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド(以下、DEETという)、p−メンタン−3,8−ジオール、ゲラニオール、α−ピネン、リモネン、メントール、シトロネラール、シトロネロール、カンファー、ナフタレン、カンフェン、レモングラス、ユーカリオイル等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0025】
上記の害虫忌避成分の中でも、害虫忌避性及び人体に対する安全性、害虫忌避成分の有する臭気、及び皮膚感触性の観点から、DEET、及び/又は、p−メンタン−3,8−ジオールを含有することが特に好ましい。この害虫忌避成分の溶液中の含有量は、1〜30質量%とされている。害虫忌避成分の含有量が1質量%未満であると、充分な忌避効果が得られず、30質量%を超えると、臭気性が悪化する。
【0026】
水溶性溶剤としては、害虫忌避成分の可溶化剤となり得るものであれば特に制限はなく、この観点からは、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソパノール、第三ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等が好適に挙げられる。
【0027】
また、水溶性溶剤としては、塗布時及び塗布後の皮膚感触の観点から、101,325Pa(760mmHg)における沸点70〜90℃程度の低沸点溶剤であることが好ましく、さらに皮膚に対する刺激性及び安全性を考慮して適宜選択される。
【0028】
これらの中でも、安全性、水と害虫忌避成分との溶解性、及び粘度の観点からは、エタノールが特に好ましい。水溶性溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
また、溶液には、水を加えてもよい。水としては、精製水、イオン交換水、等が挙げられる。水を加える場合には、水に対する水溶性溶剤の質量比は、1.2以上とされる。水に対する水溶性溶剤の質量比が1.2未満であると、害虫忌避成分を完全に溶解できなくなる場合がある。
【0030】
噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、プロパン、プロピレン、n−ブタン、イソブタン、n−ブチレン、イソブチレン、ブタジエン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、圧縮窒素ガス、圧縮空気、炭酸ガス、フロンガス、等が挙げられる。これらの噴射剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
本実施形態においては、規定温度25℃において、圧力範囲0.10MPa〜0.35MPaの噴射剤(例えば、LPG)が、エアゾール容器14に充填されている。これにより、エアゾール容器14の内圧が、25℃において、0.1MPa〜0.5MPaとされる。
【0032】
また、害虫忌避成分、水溶性溶剤含む溶液と、噴射剤と、の混合比率は、質量比で85:15〜15:85とされる。
【0033】
エアゾール容器14に充填される溶液には、更に必要に応じて、他の任意成分を適宜添加することができる。任意成分としては、通常、害虫忌避用の溶液に使用されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、香料、色素、界面活性剤、保湿剤、潤滑剤、殺菌剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤等が挙げられる。
【0034】
次に、キャップ具12の構成について説明する。
【0035】
キャップ具12は、エアゾール容器14内から溶液を噴射させるためのものであり、図1に示すように、エアゾール容器14の上部に取り付けられるキャップ具本体13を備えている。
【0036】
キャップ具本体13の内周面には、図2に示すように、キャップ具本体13の周方向に沿って形成された第1リブ20、上下方向に沿って形成された第2リブ22が設けられている。エアゾール容器14の上部の外周部には、凸状をした巻締部24が形成されている(図1参照)。この巻締部24が第1リブ20と第2リブ22との間で、第1リブ20及び第2リブ22と係合し、キャップ具本体13がエアゾール容器14に取り外し可能に取り付けられ、キャップ具12がエアゾール容器14の口部16に装着される(図3、図4(A)参照)。
【0037】
キャップ具本体13には、図1、図3、図4(A)に示すように、片持ち状に形成されたボタン部30が設けられ、このボタン部30を指で押し下げることが可能となっている。キャップ具12がエアゾール容器14に装着された状態においてボタン部30を下方へ押すことにより、エアゾール容器14の口部16が下方に押され、その口部16の下方に設けられたバルブ(図示省略)が開放され、所定の圧力で加圧されている溶液が、口部16から噴射する構成となっている。
【0038】
このボタン部30には、エアゾール容器14内の溶液を外部へ噴射させるノズル32が設けられている。このノズル32は、横方向に延びており、ボタン部30と一体成形されている。
【0039】
また、ノズル32の内部には、断面略円形状のノズル孔32Aが形成されている。このノズル孔32Aの長さL(図4(B)参照)は、3mm〜20mmとされ、望ましくは、5mm〜16mmとされ、さらに望ましくは、8mm〜10mmとされている。
【0040】
ノズル孔32Aの長さLが3mm未満であると、ノズル32から噴射される溶液の粒子が細かくなり、溶液が空中に浮遊しやすくなる。ノズル孔32Aの長さが20mmを超えた場合は、ノズルから噴射される溶液の粒子が粗くなり、液だれが起こりやすく、スプレー不良が生じる。
【0041】
ノズル孔32Aの直径B2(ノズル32の内径)は、0.6mm〜1.8mmとされ、望ましくは、0.8mm〜1.5mmとされ、さらに望ましくは、1.0mm〜1.2mmとされている(図4(B)参照)。
【0042】
ノズル孔32Aの直径B2が0.6mm未満であると、ノズル32から噴射される溶液の粒子が細かくなり、溶液が空中に浮遊しやすくなる。ノズル孔32Aの直径が1.8mmを超えた場合は、ノズルから噴射される溶液の粒子が粗くなり、液だれが起こりやすく、スプレー不良が生じる。なお、このノズル32は、ボタン部30と別体で成形されて、ボタン部30に着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0043】
ボタン部30の内部には、上下方向に延びる通路34と、この通路34とノズル孔32Aとを連通させる連通部36が形成されている。この通路34及び連通部36は、断面略円形状をしており、この通路34及び連通部36によって、エアゾール容器14の口部16とノズル孔32Aとを連通させる連通路が形成される。
【0044】
連通部36は、ノズル孔32Aの直径より小径とされており、連通部36の直径B1(図4(B)参照)は、例えば、0.4mm〜0.6mmとされている。
【0045】
また、通路34の底部には、テーパー状に拡径された拡径部34Aが形成されており、この拡径部34Aにエアゾール容器14の口部16が差し込まれ、拡径部34Aの上面に口部16の上縁が当接する。これにより、ボタン部30が下方に押されると、拡径部34Aの上面が口部16の上縁が当接して、口部16が下方に押されるようになっている。
【0046】
エアゾール容器14の口部16が下方に押され、口部16から溶液が噴射すると、溶液は、拡径部34Aを通じて通路34へ流入する。通路34へ流入した溶液は、連通部36及びノズル孔32Aを通過して外部に噴射される。連通部36及びノズル孔32Aを通過して外部へ噴射される溶液は、減圧による噴射剤の急激な膨張により、細かい霧状になる。
【0047】
また、キャップ具本体13の上部であって、ボタン部30の側方(ノズル32から溶液が噴射される方向と、ボタン部30を指で押す際に指が侵入する方向を除く部分)の位置には、ボタン部30の両側部を挟むように、上方に突出する突出部40が形成されている。この突出部40により、不用意にボタン部30が押されないようになっている。また、突出部40の側壁には、凹部42が形成されており、キャップ具12が装着されたエアゾール容器14を把持しやすくなっている。
【0048】
また、図5に示すように、ボタン部30の上方であって突出部40の上部には、エアゾール噴霧器10の使用前の輸送時などに、ボタン部30が誤って押されないようにするシール44を取り付けてもよい。ユーザーはこのシール44を除去してから、キャップ具12が装着されたエアゾール容器14を使用することができる。
【0049】
次に、上記の実施形態について作用を説明する。
【0050】
まず、ノズル32を皮膚へ向けて、エアゾール容器14を把持し、図6に示すように、ボタン部30を指で押して、ボタン部30を押し下げる。
【0051】
通路34の拡径部34Aに差し込まれたエアゾール容器14の口部16が下方へ押し下げられ、口部16の下方にあるバルブ(図示省略)が開放される。エアゾール容器14内の溶液が口部16から噴出する。噴出した溶液は、通路34の拡径部34Aへ流入し、通路34、連通部36を通じて、ノズル32から皮膚へ噴射される。
【0052】
これにより、皮膚に溶液が付着し、害虫(例えば、蚊、ノミ、ダニ等)が皮膚に近寄らないようにすることができる。
【0053】
ここで、本実施形態の構成では、キャップ具12のノズル孔32Aの長さLが3mm〜20mmとされ、ノズル孔32Aの直径B2が0.6mm〜1.8mmとされているため、噴射された溶液は、拡散しにくく、浮遊する量が少なく、また、液だれ等の噴射不良がおきにくいため、皮膚への付着性が良い。また、噴射される溶液の粒子径が大きくなり、溶液を噴射する際の噴射音を低減できる。
【0054】
なお、本実施形態のキャップ具は、エアゾール容器の上部に取り付けられるキャップ具本体と、ボタン部と、で構成されていたが、本発明のキャップ具としては、これに限られず、例えば、本実施形態におけるボタン部のみの構成であってもよい。また、本発明は、上記の実施の形態に限るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変形、変更、改良が可能である。
【0055】
次に、本発明の効果を確かめるために行った比較試験について説明する。
【0056】
この試験では、一定の温度条件のもと、無風状態の室内において、キャップ具のノズルに形成されたノズル孔の長さ及びノズル孔の直径をそれぞれ変え、そのキャップ具を装着したエアゾール容器から噴射された溶液の付着率を比較した。
【0057】
キャップ具が装着されるエアゾール容器としては、DEET、エタノールを含有した溶液と、噴射剤としてのLPGを充填し、25℃において内圧が0.21MPaとされたエアゾール容器を用いた。エアゾール容器の容量は200mlである。
【0058】
キャップ具の連通部の直径を0.5mmに設定し、図7の結果表に示すように、ノズル孔の長さ及びノズル孔の直径を変えて付着率を比較した。
【0059】
付着率は、以下のように測定する。噴射前と噴射後のエアゾール噴霧器の重量を測定することにより、ボタン部を10秒間押した際に噴射される溶液の重量を予め測定し、この量を100%とする。ノズル先端から10cm及び15cm離した距離に、吸水性の高い紙を置き、ボタン部を10秒間押した際に噴射される溶液がこの吸水性の高い紙に付着した溶液の重量を測定することで、付着率を測定する。付着率が高いほど、空中に浮遊した溶液が少ないことがわかり、付着率が低いほど、空中に浮遊した溶液が多いことがわかる。
【0060】
なお、結果表には、紙に付着した溶液の範囲(広がり)をスプレーパターンとして示した。この欄のカッコ内の数値は、平均値を示す。また、噴射された溶液の粒子径を示している。溶液の粒子径は、ビデオカメラで撮影し、撮影した画像から粒子径を割り出した。
【0061】
図7の結果表に示すように、ノズル孔の長さ8mm、ノズル孔の直径1.2mmの付着率が最もよく(結果表の本発明5参照)、ノズル孔の長さ8mm〜10mm、ノズル孔の直径1.0mm〜1.2mmの範囲では(結果表の本発明4〜6参照)、スプレー距離10cmにおいて、付着率99%以上の結果がでた。
【0062】
ノズル孔の長さ3mm、ノズル孔の直径0.6mm(結果表の本発明1参照)では、スプレー距離10cmにおいて、80%以上の結果がでた。また、スプレー距離15cmにおいて、70%以上の結果がでた。
【0063】
これに対して、ノズル孔の長さ2mm、ノズル孔の直径0.4mm(結果表の比較例1参照)では、スプレー距離10cmにおいて、80%以下の結果がでた。また、スプレー距離15cmにおいて、66%以下の結果がでた。スプレー距離15cmにおいては、噴射された溶液の1/3以上が、空中を浮遊していることを示し、噴射された溶液の浮遊量の許容範囲を超えている。噴射された溶液の多くが空中に浮遊するのは、ノズル孔長さを2mmとしていること、ノズル孔直径を0.4mmとしていることが原因と考えられる。
【0064】
従って、ノズル孔長さが2mmの場合において、ノズル孔直径を0.4mm以上に設定した場合でも、噴射された溶液の多くが空中に浮遊する浮遊量が多い状態となる。ノズル孔直径が0.4mmの場合において、ノズル孔長さを2mm以上に設定した場合でも、噴射された溶液の多くが空中に浮遊する浮遊量が多い状態となる。
【0065】
また、ノズル孔の長さ20mm、ノズル孔の直径1.8mm(結果表の本発明8参照)では、スプレー距離10cmにおいて、付着率90%以上の結果がでた。また、噴射された溶液の液だれや、噴射された溶液の粒子が粗いことで生じる飛び散りはおきなかった。これに対して、ノズル孔の長さ22mm、ノズル孔の直径2.0mm(結果表の比較例2参照)では、スプレー距離10cmにおいて、付着率85%以上となったものの、噴射された溶液の液だれや、噴射された溶液の粒子が粗いことで生じる飛び散りがおきた。噴射された溶液の液だれや、噴射された溶液の粒子が粗いことで生じる飛び散りは、ノズル孔長さを22mmとしていること、ノズル孔直径を2.0mmとしていることが原因と考えられる。
【0066】
従って、ノズル孔長さが22mmの場合において、ノズル孔直径を2.0mm以下に設定しても、噴射された溶液の液だれや、噴射された溶液の粒子が粗いことで生じる飛び散りがおきる確率が高い。ノズル孔直径が2.0mmの場合において、ノズル孔長さを22mm以下に設定しても、噴射された溶液の液だれや、噴射された溶液の粒子が粗いことで生じる飛び散りがおきる確率が高い。
【0067】
以上のように、本発明の構成によれば、噴射される溶液の液だれや、噴射された溶液の粒子が粗いことで生じる飛び散りが生じることなく、噴射される溶液の被塗布面への付着性がよいことが確認された。
【0068】
なお、この比較試験では、キャップ具が装着されるエアゾール容器として、内圧が0.21MPaとされたエアゾール容器を用いた結果を示したが、内圧が0.1MPa〜0.5MPaの範囲で設定されたエアゾール容器については、上記比較試験と同様の結果がでた。
【0069】
また、上記の比較試験では、DEET、エタノールを含有した溶液と、噴射剤としてのLPGを充填したエアゾール容器を用いたが、上記の実施形態で示した溶液と、噴射剤が充填されたエアゾール容器については、上記比較試験と同様の結果がでるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るエアゾール噴霧器において、キャップ具をエアゾール容器に装着する前を示す斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るキャップ具を下方から見た場合の斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係るエアゾール噴霧器において、キャップ具をエアゾール容器に装着した後を示す斜視図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るキャップ具を示す断面図である。(A)は、図3の4A−4A線断面図、(B)は、(A)の部分拡大図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るキャップ具において、シールが取り付けられた場合を示す斜視図である。
【図6】図6は、本実施形態に係るキャップ具において、噴霧した様子を示す図である。
【図7】図7は、本発明の効果を確かめるための比較試験の結果を示す結果表である。
【図8】図8は、エアゾール容器に装着される従来のキャップ具を示す図である。(A)は、従来のキャップを示す斜視図であり、(B)は、(A)の8B−8B線断面図である。
【符号の説明】
【0071】
10 エアゾール噴霧器
12 キャップ具
14 エアゾール容器
16 口部
32 ノズル
32A ノズル孔
34 通路(連通路)
36 連通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
害虫忌避成分及び水溶性溶剤を含む溶液と噴射剤とが充填されて、内圧が0.1MPa〜0.5MPaにされたエアゾール容器の口部に装着されると共に、前記エアゾール容器から前記溶液を噴射させるキャップ具であって、
長さが3mm〜20mmとされ直径が0.6mm〜1.8mmとされたノズル孔が内部に形成されると共に、該ノズル孔から前記溶液を外部へ噴射させるノズルと、
前記エアゾール容器の口部と前記ノズル孔とを連通させると共に、前記ノズル孔と連通する連通部が前記ノズル孔の直径より小さい連通路と、
を備えたことを特徴とするキャップ具。
【請求項2】
請求項1に記載のキャップ具と、
前記キャップ具が装着されるエアゾール容器と、
を備えたことを特徴とするエアゾール噴霧器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−145350(P2007−145350A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340286(P2005−340286)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000107491)ジョンソン株式会社 (12)
【Fターム(参考)】