説明

キャパシタおよび多層配線板

【課題】容易かつ安価に製造することができる高性能のキャパシタを提供すること。また、本発明のキャパシタを実装しても他の回路要素の実装スペースを確保することができる多層配線板を提供すること。
【解決手段】本発明の多層配線板1Aは、2枚の積層配線板3A、3Bの間にキャパシタ2を内蔵している。このキャパシタ2は、2枚の電極5の間に金属ガラス粉末6を含む誘電体4を挟んで形成される。また、このキャパシタ2は、2枚の電極5を上方の積層配線板3Aの把持穴8の周辺に予め形成しておき、その把持穴8に誘電体4を挿入して形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタおよび多層配線板に係り、特に、キャパシタを利用する携帯電話機や携帯用AV機器などの小型電子機器に好適に利用できるキャパシタおよび多層配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なキャパシタは、2枚の平板電極の間に誘電体を介在させて形成されている。この誘電体に多結晶誘電体を用いた場合、結晶粒界に沿ってリーク電流が発生して耐電圧の低下が生じるため、キャパシタのロスの原因となってしまうことが知られている。
【0003】
そのため、従来のキャパシタにおいては、誘電率が10程度と高く、かつ結晶粒界が存在しないために耐電圧の低下が生じにくい単結晶誘電体やアモルファス誘電体を誘電体に用いていた(特許文献1を参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平05−139730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子機器の高性能化の要求から誘電体の誘電率や耐電圧特性をさらに向上させる必要がある。その際、単結晶誘電体やアモルファス誘電体をキャパシタの誘電体に用いた場合、それらの製造方法の観点から、電極との対向面の拡大や誘電体の薄膜加工が難しいため、誘電体の性能を向上させるためにはキャパシタの製造コストが高価になるという問題があった。
【0006】
また、前述したキャパシタを実装する配線板にはキャパシタの他にもICや抵抗などの他の回路要素が実装される。そのため、多数のキャパシタを配線板に実装すると配線板の実装スペースが不足し、回路要素の実装密度を高めた高性能の実装板を提供することができないという問題も生じた。
【0007】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、容易かつ安価に製造することができる高性能のキャパシタを提供することを本発明の目的としている。
【0008】
また、本発明は、本発明のキャパシタを実装しても他の回路要素の実装スペースを確保することができる多層配線板を提供することを本発明の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明のキャパシタは、その第1の態様として、金属ガラス粉末および誘電性の結着材を含有する誘電体と、誘電体を挟む2枚の電極とを備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明の第1の態様のキャパシタによれば、結晶粒界が存在しない金属ガラスを誘電体に用いているので、リーク電流が生じにくい誘電体を形成することができる。また、金属ガラス粉末はアモルファス状態を容易に維持して容易かつ安価に製造できるので、キャパシタを容易かつ安価に製造できる。
【0011】
本発明の第2の態様のキャパシタは、第1の態様のキャパシタにおいて、金属ガラス粉末の組成は、Fe100−x−y−z−w−tMxPyCzBwSit(M:Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、Pt、Pd、Auより選択される1種または2種以上の元素)であって、x、y、z、wおよびtが0.5原子%≦x≦8原子%、2原子%≦y≦15原子%、0原子%<z≦8原子%、1原子%≦w≦12原子%、0原子%≦t≦8原子%、70原子%≦(100−x−y−z−w−t)≦79原子%であることを特徴としている。
【0012】
本発明の第2の態様のキャパシタによれば、金属ガラス粉末の比抵抗が大きくなるので、キャパシタのリーク電流を抑制することができる。
【0013】
本発明の第3の態様のキャパシタは、第1または第2の態様のキャパシタにおいて、金属ガラス粉末は、扁平粒子状に形成されているとともに、その法線方向を同一方向に揃えて誘電体に含有されていることを特徴としている。
【0014】
本発明の第3の態様のキャパシタによれば、金属ガラス粉末の密度が高くなるので、誘電体の誘電率を向上させることができる。
【0015】
本発明の第4の態様のキャパシタは、第3の態様のキャパシタにおいて、2枚の電極は、金属ガラス粉末の法線方向と直交方向に対向配置されていることを特徴としている。
【0016】
本発明の第4の態様のキャパシタによれば、金属ガラス粉末の法線方向が電極の対向方向と平行になっている誘電体と比較して第4の態様の誘電体の誘電率が10〜30倍程度大きくなるので、キャパシタの容量を容易に大きくすることができる。
【0017】
本発明の第5の態様のキャパシタは、第3の態様のキャパシタにおいて、2枚の電極は、金属ガラス粉末の法線方向に対向配置されていることを特徴としている。
【0018】
本発明の第5の態様のキャパシタによれば、第4の態様の誘電体と比較して第6の態様の誘電体の誘電率が1/30〜1/10倍程度に小さくなるので、第4の態様のキャパシタと同一の寸法であってもキャパシタの容量を容易に小さくすることができる。これにより、キャパシタの実装時にキャパシタの選択幅を広げることができる。
【0019】
本発明の第6の態様のキャパシタは、第3の態様のキャパシタにおいて、誘電体は、金属ガラス粉末および結着材として用いる熱可塑性樹脂を含有するグリーンシートに熱および圧力をその厚さ方向に加えて金属ガラス粉末の法線方向をグリーンシートの厚さ方向に配向させた後にグリーンシートを冷却硬化させて所望の形状に切断することにより、形成されていることを特徴としている。
【0020】
本発明の第6の態様のキャパシタによれば、グリーンシートの熱加圧形成により金属ガラス粉末の配向を容易に揃えながら誘電体の厚さを容易かつ安価に薄くすることができる。また、グリーンシートの熱加圧形成が終了することにより結着材が硬化するので、金属ガラス粉末の配向を容易に固定することができる。
【0021】
本発明の第7の態様のキャパシタは、第6の態様のキャパシタにおいて、誘電体は金属ガラス粉末の法線方向を誘電体の厚さ方向に配向させる形状にグリーンシートを切断することにより形成されており、2枚の電極の対向方向はそれらを誘電体の厚さ方向に対する直交方向に対向配置することにより金属ガラス粉末の法線方向と直交していることを特徴としている。
【0022】
本発明の第7の態様のキャパシタによれば、金属ガラス粉末の法線方向が電極の対向方向と平行になっている誘電体と比較して第7の態様の誘電体の誘電率が10〜30倍程度大きくなるので、キャパシタの容量を大きくすることができる。また、金属ガラス粉末の配向が誘電体の厚さと平行なので、誘電体を容易に形成することができる。
【0023】
本発明の第8の態様のキャパシタは、第6の態様のキャパシタにおいて、誘電体は金属ガラス粉末の法線方向を誘電体の厚さ方向に配向させる形状にグリーンシートを切断することにより形成されており、2枚の電極の対向方向はそれらを誘電体の厚さ方向に対向配置することにより、金属ガラス粉末の法線方向と平行になっていることを特徴としている。
【0024】
本発明の第8の態様のキャパシタによれば、第7の態様の誘電体と比較して第8の態様の誘電体の誘電率が1/30〜1/10倍程度に小さくなるので、誘電体の寸法を変更せずにキャパシタの容量を小さくすることができる。また、金属ガラス粉末の配向が誘電体の厚さと平行なので、誘電体を容易に形成することができる。
【0025】
本発明の第9の態様のキャパシタは、第6の態様のキャパシタにおいて、誘電体は金属ガラス粉末の法線方向を誘電体の厚さ方向と直交方向に配向させる形状にグリーンシートを切断することにより形成されており、2枚の電極の対向方向はそれらを誘電体の厚さ方向に対向配置することにより、金属ガラス粉末の法線方向と直交していることを特徴としている。
【0026】
本発明の第9の態様のキャパシタによれば、金属ガラス粉末の法線方向が電極の対向方向と平行になっている誘電体と比較して第9の態様の誘電体の誘電率が10〜30倍程度大きくなるので、キャパシタの容量を大きくすることができる。また、金属ガラス粉末の配向が誘電体の厚さと直交しているので、第7の態様のキャパシタと比較して誘電体に対向配置する電極の対向面積を容易に拡大することができる。
【0027】
本発明の第10の態様のキャパシタは、第6の態様のキャパシタにおいて、誘電体は金属ガラス粉末の法線方向を誘電体の厚さ方向と直交方向に配向させる形状にグリーンシートを切断することにより形成されており、2枚の電極の対向方向はそれらを誘電体の厚さ方向に対する直交方向に対向配置することにより、金属ガラス粉末の法線方向と平行になっていることを特徴としている。
【0028】
本発明の第10の態様のキャパシタによれば、第9の態様の誘電体と比較して第10の態様の誘電体の誘電率が1/30〜1/10倍程度に小さくなるので、誘電体の寸法を変更せずにキャパシタの容量を小さくすることができる。
【0029】
また、本発明の多層配線板は、その第1の態様として、前述の第1から第10の態様のいずれか1の態様のキャパシタと、キャパシタを間に挟んでキャパシタに電気的に接続している2枚の積層配線板とを備えていることを特徴としている。
【0030】
本発明の第1の態様の多層配線板によれば、積層配線板の間にキャパシタを内蔵しているので、多層配線板の表面実装領域がキャパシタの実装面積分だけ拡大し、ICや抵抗などの他の電子部品をより多く実装することができる。また、積層配線板がキャパシタの保護筐体の役割を果たすので、キャパシタ自体に保護筐体を設けずともキャパシタを保護することができる。
【0031】
本発明の第2の態様の多層配線板は、第1の態様の多層配線板において、2枚の積層配線板のうちの少なくとも一方の積層配線板は、キャパシタを挿入して把持する1個または2個以上の把持穴が形成された対向面を有しており、キャパシタに係る2枚の電極は把持穴の内面および把持穴の内面と対向する他方の積層配線板の対向面、または把持穴の内面のみにそれぞれ形成されていることを特徴としている。
【0032】
本発明の第2の態様の多層配線板によれば、積層配線板に配置される配線パターンの形成時にキャパシタの2枚の電極を同一工程のなかで形成することができるので、2枚の電極をキャパシタの誘電体に配設してからキャパシタを2枚の積層配線板の間に挟みこんで2枚の電極と積層配線板とを電気的に接続するよりも、多層配線板を容易に形成することができる。また、積層配線板に圧力を加えてそれらを積層させる際、把持穴がキャパシタに加わる圧力を逃がすので、キャパシタの厚さが変更してその容量が変化してしまうことを防止することができる。
【0033】
本発明の第3の態様の多層配線板は、前述の第1から第10の態様のいずれか1の態様のキャパシタと、キャパシタを挿入して把持する1個または2個以上の把持穴または把持孔を有する板状の絶縁スペーサと、絶縁スペーサを間に挟んでキャパシタに電気的に接続している2枚の積層配線板とを備えていることを特徴としている。
【0034】
本発明の第3の態様の多層配線板によれば、第1の態様の多層配線板と同様、多層配線板の表面実装面積の拡大およびキャパシタの保護を行なうことができる。また、多層配線板を加工しなくても多層配線板の間に第2の態様の多層配線板と同様の把持穴または把持孔を形成することができる。
【0035】
本発明の第4の態様の多層配線板は、第3の態様の多層配線板において、キャパシタに係る2枚の電極は、把持孔と対向する2枚の積層配線板のそれぞれの対向面、把持穴の内面および把持穴の内面と対向するどちらか一方の積層配線板の対向面、または把持穴もしくは把持孔の内面のみにそれぞれ形成されていることを特徴としている。
【0036】
本発明の第4の態様の多層配線板によれば、積層配線板または絶縁スペーサに配置される配線パターンの形成時にキャパシタの2枚の電極を同一工程のなかで形成することができるので、2枚の電極をキャパシタの誘電体に配設してからキャパシタを2枚の積層配線板の間に挟みこんで2枚の電極と積層配線板とを電気的に接続するよりも、多層配線板を容易に形成することができる。また、積層配線板に圧力を加えてそれらを積層させる際、把持穴もしくは把持孔がキャパシタに加わる圧力を逃がすので、キャパシタの厚さが変更してその容量が変化してしまうことを防止することができる。
【0037】
本発明の第5の態様の多層配線板は、第2または第4の態様の多層配線板において、前述の第7から第10のいずれか1の態様に記載のキャパシタは、把持穴もしくは把持孔の深さ方向の寸法または深さ方向と直交方向の寸法を把持穴もしくは把持孔ごとに変更することにより、2枚の電極の対向面積もしくは対向間距離または誘電体の大きさをそれぞれ変更して2個以上形成されていることを特徴としている。
【0038】
本発明の第5の態様の多層配線板によれば、同一の誘電体を用いて異なる容量のキャパシタを2個以上形成することができる。
【0039】
本発明の第6の態様の多層配線板は、第1から第5の態様の多層配線板において、前述の第7から第10のいずれか1の態様に記載のキャパシタのうちから2個以上選択した異種もしくは同種のキャパシタを用いることを特徴としている。
【0040】
本発明の第6の態様の多層配線板によれば、様々な容量のキャパシタを多層配線板に内蔵することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明のキャパシタによれば、金属ガラス粉末を用いて誘電体を形成するとともに、金属ガラス粉末の法線方向と2枚の電極の対向方向とを適宜調整しているので、高性能のキャパシタを容易かつ安価に製造することができるという効果を奏する。
【0042】
また、本発明の多層配線板によれば、本発明のキャパシタの性能を維持したまま複数のキャパシタを2枚の積層配線板の間に内蔵しているので、本発明のキャパシタを実装しても他の回路要素の実装スペースを確保することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、図を用いて、本発明のキャパシタおよび多層配線板をその2つの実施形態により説明する。
【0044】
図1は多層配線板1Aを示す縦断面図であり、図2は図1の2−2矢視断面図である。第1の実施形態の多層配線板1Aは、図1および図2に示すように、2枚の積層配線板3A、3Bの間に複数のキャパシタ2を挟むように形成されている。また、これらのキャパシタ2は、2枚の電極5の間に誘電体4を挟むようにして形成されている。そして、誘電体4は、図3に示すように、金属ガラス粉末6および誘電性の結着材7を含有している。
【0045】
金属ガラス粉末6としては種々の組成のものを用いることができる。例えば、第1の実施形態の金属ガラス粉末6は、Fe100−x−y−z−w−tMxPyCzBwSitを用いている。ここで、元素記号Mは、Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、Pt、Pd、Auより選択される1種または2種以上の元素である。また、x、y、z、wおよびtは、0.5原子%≦x≦8原子%、2原子%≦y≦15原子%、0原子%<z≦8原子%、1原子%≦w≦12原子%、0原子%≦t≦8原子%、70原子%≦(100−x−y−z−w−t)≦79原子%である。第1の実施形態の金属ガラス粉末6はいわゆるFe基金属ガラス粉末に分類されるが、他の例として、従来から用いられているFe−Al−Ga−C−P−Si−B系Fe基金属ガラス粉末やFe基以外の金属ガラス粉末を用いても良い。
【0046】
金属ガラス粉末6を誘電体4に含有させる場合、はじめに、所望の金属ガラス溶湯を液体急冷法により急冷して得られた合金薄帯を粉砕するか、あるいは、水アトマイズ法もしくはガスアトマイズ法により得られた金属ガラスの球状粒子をアトライタ等により機械的に粉砕することにより、図3に示すような扁平粒子状の金属ガラス粉末6を形成する。得られた金属ガラス粉末6については内部応力の緩和を目的として必要に応じて熱処理することが好ましい。熱処理温度Taはキュリー温度Tc以上ガラス遷移温度Tg以下の範囲であることが好ましい。
【0047】
この金属ガラス粉末6のアスペクト比(長径/厚さ)は、2.5以上が好ましく、配向容易性の観点から12以上がより好ましい。なお、金属ガラス粉末6のアスペクト比が高いほど誘電体4の圧縮形成時に金属ガラス粉末6が配向しやすくなるが、現在の製造技術のレベルからアスペクト比の上限は250程度である。
【0048】
結着材7としては、熱可塑性樹脂であるCEP(塩素化ポリエチレン)が用いられている。他の結着材7の例としては、シリコーン樹脂等の耐熱性樹脂やポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂を用いてもよい。ここで、誘電体4には、金属ガラス粉末6や結着材7の他に、キシレン、トルエン、イソプロピルアルコールなどの分散媒やステアリン酸塩からなる潤滑剤が添加されていてもよい。第1の実施形態においては、トルエンが金属ガラス粉末6および結着材7とともに含有されている。
【0049】
この誘電体4においては、金属ガラス粉末6の含有率が25〜85体積%に設定されており、トルエンおよびCFPからなる溶剤の含有率が75〜15体積%に設定されている。金属ガラス粉末6の含有率が25%以上であれば、第1の実施形態の誘電体4の比誘電率が結着材7の比誘電率(2.3程度)よりも大きくなるので、金属ガラス粉末6の含有による誘電率の向上効果が現れる。また、金属ガラス粉末6の含有率が85%以下であれば、誘電体4の内部において隣位する多量の金属ガラス粉末6が互いに接しない状態で維持されるので、誘電体4の耐電圧特性が高くなる。
【0050】
この誘電体4は、金属ガラス粉末6、結着材7および分散媒(トルエン)を含有した混合物をドクターブレード法またはコーテイング法によりグリーンシート化し、それを熱加圧することにより得られる。グリーンシート4Gの厚さ方向tに熱および圧力を加えると、グリーンシート4Gに含有した金属ガラス粉末6の法線方向nが、図3および図4に示すようなグリーンシート4Gの任意の方向から図5に示すようなその厚さ方向(熱加圧方向)tに配向する。そのため、熱加圧状態のグリーンシート4Gを除荷および冷却硬化させてから直方体形状などの所望の形状に切断して個片化すると、金属ガラス粉末6の法線方向nが同一方向に揃った誘電体4が形成される。
【0051】
なお、この誘電体4については、金属ガラス粉末6の密度を高めつつ、その誘電体4の表面欠損部および内部空隙を互いに修復して誘電率や耐電圧特性を向上させるため、それらがそれらの厚さ方向tに複数枚ほど積層されていることが好ましい。
【0052】
誘電体4を挟む2枚の電極5は、所望の大きさに切断された誘電体4に含有している金属ガラス粉末6の法線方向nまたはその直交方向pに対向配置される。金属ガラス粉末6の法線方向nはグリーンシート4Gの熱加圧方向に依存するため、2枚の電極5は下記の方法により配置される。
【0053】
なお、これから説明する図6および図7ならびにその他の図の誘電体4の内部に示された波線は、同一方向に配向された金属ガラス粉末6およびその法線方向nを模式的に示している。例えば、図8Aに示す誘電体4の場合、金属ガラス粉末6の法線方向nが誘電体4の厚さ方向tと平行になっていることを示している。また、図8Bに示す誘電体4の場合、金属ガラス粉末6の法線方向nが誘電体4の厚さ方向tと直交方向pに平行になっていることを示している。
【0054】
前述したように、2枚の電極5の配置方法を下記に示す。図6Aに示すように、グリーンシート4Gを熱加圧して得た大きな誘電体(以下、「マザーシート4M」という。)は、その厚さ方向tに熱加圧されたので、マザーシート4Mに含有する金属ガラス粉末6の法線方向nはマザーシート4Mの厚さ方向tに配向される。そのため、図6Aに示すように、マザーシート4Mの厚さ方向tにマザーシート4Mを切断すると、金属ガラス粉末6の法線方向nは誘電体4の厚さ方向tに配向される。そして、図6Bに示すように、この誘電体4の厚さ方向tに2枚の電極5を対向配置すると、2枚の電極5の対向方向は金属ガラス粉末6の法線方向nと平行になる。このような方法が通常考えられる電極5の配置方法である。
【0055】
そこで、2枚の電極5の対向方向を金属ガラス粉末6の法線方向nと直交させたい場合、図6Cに示すように、2枚の電極5を誘電体4の幅方向(厚さ方向tに対する直交方向p)に対向配置する。これにより、2枚の電極5の対向方向は金属ガラス粉末6の法線方向nと直交する。後述の作用において詳細に述べるが、2枚の電極5の対向方向を図6Cに示すように金属ガラス粉末6の法線方向nに直交させると、2枚の電極5の対向方向を図6Bに示すように金属ガラス粉末6の法線方向nと平行にさせた場合と比較して、誘電体4の誘電率が約10〜30倍以上になる。
【0056】
金属ガラス粉末6の法線方向nを誘電体4の厚さ方向tと直交方向pに配向させたい場合、図7Aに示すように、グリーンシート4Gを厚く形成したり、多層化することによりマザーシート4Mを厚く形成し、そのマザーシート4Mを厚さ方向tに切断して誘電体4を形成する。切断したままの誘電体4においては、金属ガラス粉末6の法線方向nは誘電体4の厚さ方向tに配向している。そのため、図7Bに示すように、マザーシート4Mを切断して得た誘電体4を90度ほど傾けると、傾けた誘電体4に含有された金属ガラス粉末6の法線方向nは誘電体4の厚さ方向tに対して直交する。
【0057】
そして、図7Cに示すように、2枚の電極5を誘電体4の厚さ方向tに対向配置した場合、図6Bとは異なり、2枚の電極5の対向方向は金属ガラス粉末6の法線方向nと直交する。また、図7Dに示すように、2枚の電極5を誘電体4の厚さ方向tに対する直交方向pに対向配置した場合、図6Cとは異なり、2枚の電極5の対向方向は金属ガラス粉末6の法線方向nと平行になる。以上より、図6BおよびCならびに図7CおよびDに示すような4タイプのキャパシタ2が形成される。
【0058】
マザーシート4Mを切断して得た誘電体4を図7Bに示すように90度傾けなければならない主たる原因は2つある。第1の原因は、グリーンシート4Gが熱加圧されて誘電体4の形状が直方体になりやすいため、すなわち、誘電体4の上面および下面(誘電体4の厚さ方向tを法線とする2つの面)の面積がその側面(上面および下面以外の面)の面積よりもそれぞれ大きくなり、かつ誘電体4の厚さがその直交方向pの長さに対して小さくなる傾向にあるためである。それらの値は誘電体4に対する2枚の電極5の対向面積および対向間距離を変化させ、キャパシタ2の容量に影響を与える。したがって、2枚の電極5の対向面積を大きくしたい場合には、図6Bまたは図7Cに示すように、2枚の電極5を誘電体4の上面および下面に対向配置し、金属ガラス粉末6の法線方向nを誘電体4の傾きにより調整する。
【0059】
誘電体を90度傾ける第2の原因は、例えば図1に示すような第1の実施形態の多層配線板1Aのように、電極5の配置が予め固定されており、固定された2枚の電極5の間に誘電体4を挟む場合である。この場合は金属ガラス粉末の法線方向に応じて電極5の配置を調整することができないので、誘電体4を傾けて金属ガラス粉末6の法線方向nを調整する。
【0060】
ただし、図7Bに示すように誘電体4を90度傾けるためにはマザーシート4Mを厚く形成することができる場合に限定される。そのため、図6Aに示すようにマザーシート4Mを厚く形成することが困難である場合、図6BまたはCに示すように、2枚の電極5の配置を調整することにより2枚の電極5の対向方向と金属ガラス粉末6の法線方向nとの位置関係を調整する。
【0061】
また、図1に示すように、キャパシタ2を挟む2枚の積層配線板3A、3Bは、単層もしくは多層構造の2枚の絶縁基板10ならびに複数の内層電極11、ビア12、接地電極14および表面電極13を有している。これらの絶縁基板10は、樹脂、プリプレグまたはセラミックを用いて形成されており、170℃、40〜50Kg/cm2の熱加圧条件において2枚の絶縁基板10はキャパシタ2を挟んで相互に熱圧着されている。また、上方の積層配線板3Aの表面には表面電極13が形成されており、図示しないICや抵抗などの回路要素がその表面電極13に実装される。
【0062】
また、上方の積層配線板3Aは、図1および図9に示すように、下方の積層配線板3Bと対向している対向面3Aaに、キャパシタ2を挿入して把持する1個または2個以上の把持穴8を有している。把持穴8の形成個数は、2枚の積層配線板3A、3Bの間に挟まれるキャパシタ2の個数と同等である。また、把持穴8の配置としては、図2に示すような格子配置の他、図示はしないが千鳥配置、列配置、一定間隔配置、任意配置など、所望する配置に応じて様々な配置を選択することができる。そして、把持穴8の形状は丸形や矩形、三角形などの様々な形状を選択することができるが、第1の実施形態においては配置容易性および形成容易性を考慮して図2に示すような矩形が把持穴8の形状に選択されている。これらの把持穴8は多数形成されることがあるため、上方の積層配線板3Aの形成時に1ショットプレス加工により形成されることが好ましい。
【0063】
また、第1の実施形態においては、これらの把持穴8に挿入されるキャパシタ2に係る2枚の電極5の形成パターンが2種類ある。第1の形成パターンとしては、図1および図9に示された5つの把持穴8のうちの右3つの把持穴8が示すように、把持穴8の内面および把持穴8の内面と対向する下方の積層配線板3Bの対向面3Baに電極5が1枚ずつ形成されている。
【0064】
第2の形成パターンとしては、図1および図9に示された5つの把持穴8のうちの左2つの把持穴8が示すように、2枚の電極5が把持穴8の内面のみに形成されている。いずれの形成パターンにおいても2枚の電極5は対向配置されており、積層配線板3A、3Bの内層電極11を2枚の電極5としてそれぞれ用いている。そして、2枚の電極5として用いる内層電極11にビア12および表面電極13を接続することにより、積層配線板3A、3Bはキャパシタ2に電気的に接続している。
【0065】
2枚の電極5が配置された把持穴8に誘電体4を挿入する方法としては、2つの方法がある。第1の方法としては、図1および図9に示すように、把持穴8の大きさに応じて形成された誘電体4をその把持穴8に挿入する方法が挙げられる。この方法は把持穴8の大きさと誘電体4の大きさとが一致しているため、把持穴8から誘電体4がはみ出して第1の実施形態の多層配線板1Aの厚みが厚くなることを防止することができるというメリットがある。しかし、把持穴8の大きさに応じて誘電体4を形成しなければならないため、誘電体4の形成工程が煩雑になりやすいというデメリットがある。
【0066】
そこで、第2の方法としては、図10および図11に示すように、誘電体4を個別に形成するのではなく、2枚の積層配線板3A、3Bの間にシート状の誘電体4を配置してから2枚の積層配線板3A、3Bを熱加圧することにより、個々の把持穴8の内部に分離していない誘電体4を挿入する方法が挙げられる。この第2の方法については、誘電体4を把持穴8の大きさに合わせて形成する必要がないので、誘電体4の形成工程が容易になるというメリットがある。しかし、把持穴8から誘電体4がはみ出して第1の実施形態の多層配線板1Aの厚みが厚くなりやすいこと、および、1枚のシート状の誘電体4における金属ガラス粉末6の法線方向nが一方向になるために、隣位する誘電体4の金属ガラス粉末6の法線方向nを個別に変更することができないというデメリットがある。2つの方法のうちどちらの方法を選択するかは所望する多層配線板1Aの仕様により決定する。
【0067】
前述した2つの方法により把持穴8に挿入された誘電体4を用いて形成される第1の実施形態のキャパシタ2の大きさは、図1に示すように、把持穴8の大きさに依存する。そこで、図1および図2に示すように、把持穴8の深さ寸法およびその直交方向pの寸法をそれぞれの把持穴8ごとに変更することにより、同じ大きさの把持穴8に挿入された2枚の電極5の対向間距離をそれぞれ異ならせて第1の実施形態のキャパシタ2を複数個形成している。
【0068】
また、図9に示すように、同じ大きさの把持穴8に誘電体4を挿入する際、金属ガラス粉末6の法線方向nが異なる誘電体4を挿入すれば(図9の左側2つの誘電体4を参照)、容量の異なる異種のキャパシタ2が形成される。同様に、金属ガラス粉末6の法線方向nが同じ誘電体4を挿入すれば(図2において縦配列された誘電体4を参照)、同種のキャパシタ2が形成される。
【0069】
次に、図を用いて、第1の実施形態のキャパシタ2および多層配線板1Aの作用を説明する。
【0070】
第1の実施形態の多層配線板1Aは、図1、図2および図9に示すように、2枚の積層配線板3A、3Bの間にキャパシタ2を内蔵している。そのため、キャパシタ2を多層配線板1Aの表面に実装した場合と比較して、多層配線板1Aの表面実装領域がキャパシタ2の実装面積分だけ拡大し、ICや抵抗などの他の要素回路をより多く実装することができる。また、積層配線板3A、3Bがキャパシタ2の保護筐体の役割を果たすので、キャパシタ2自体に保護筐体を設けずともキャパシタ2を保護することができる。
【0071】
また、第1の実施形態のキャパシタ2は、図3、図6および図7に示すように、2枚の電極5の間に金属ガラス粉末6および誘電性の結着材7を含有する誘電体4を挟んで形成されている。誘電体4に含有される金属ガラス粉末6および結着材7には結晶粒界が存在しない。そのため、単結晶誘電体やアモルファス誘電体と同様、リーク電流が生じにくい誘電体4を形成することができる。また、金属ガラス粉末6はアモルファス状態を容易に維持することができることから容易かつ安価に製造できるので、キャパシタ2を容易かつ安価に製造できる。
【0072】
ここで、第1の実施形態の金属ガラス粉末6の組成は、種々の選択肢の中から、Fe100−x−y−z−w−tMxPyCzBwSit(M:Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、Pt、Pd、Auより選択される1種または2種以上の元素)を選択している。前述したとおり、x、y、z、wおよびtは、0.5原子%≦x≦8原子%、2原子%≦y≦15原子%、0原子%<z≦8原子%、1原子%≦w≦12原子%、0原子%≦t≦8原子%、70原子%≦(100−x−y−z−w−t)≦79原子%である。他の組成の金属ガラス粉末6の比抵抗はおおむね1μΩm以下であることが多いのに対し、第1の実施形態の組成比の範囲の金属ガラス粉末6の比抵抗は1.53μΩmを示す。このことから、他の組成の金属ガラス粉末6と比較してその比抵抗が大きいので、キャパシタ2のリーク電流を抑制することができる。
【0073】
次に、第1の実施形態の誘電体4の誘電率を図12に示す。図12においては、金属ガラス粉末6の組成をFe74.43 Cr1.96 P9.04 C2.16 B7.54 Si4.87に設定している。また、その金属ガラス粉末6の含有率は35体積%に設定し、トルエンおよびCFP(塩素化ポリエチレン)からなる溶剤の含有率は65体積%に設定している。そして、図6Bに示すように、扁平粒子状の金属ガラス粉末6の法線方向nを誘電体4の厚さ方向tに揃え、誘電体4の厚さ方向tに2枚の電極5を対向配置している。誘電体4の厚さは80μmに設定している。
【0074】
図12に示すように、1GHzまでの周波数において第1の実施形態の誘電体4の誘電率εは7付近を安定して示している。誘電体4の誘電率が高い理由は金属ガラス粉末6がアモルファス状態であること、および、金属ガラス粉末6の法線方向nが同一方向に揃っていることに起因している。金属ガラス粉末6の法線方向nが揃っていない状態における第1の実施形態の誘電体4の誘電率を測定した場合、他のFe基金属ガラス粉末6やFe基以外の金属ガラス粉末6と同様に1GHzまでの周波数において5程度の誘電率を示す。このことから、図1または図9に示すように、金属ガラス粉末6の法線方向nを同一方向に揃えると金属ガラス粉末6の密度が高くなるので、誘電体4の誘電率を向上させることができることが分かる。
【0075】
また、金属ガラス粉末6の法線方向nを2枚の電極5の対向方向(すなわち2枚の電極5の間に生じる電場Eの印加方向)に対してどの向きに揃えるかによっても誘電体4の誘電率は変化する。この誘電率の変化を図12および図13により示す。ここで、図12および図13に示された誘電率の測定には前述したFe74.43 Cr1.96 P9.04 C2.16 B7.54 Si4.87を粒子状にして用いている。また、その金属ガラス粉末6の含有率は35体積%に設定し、トルエンおよびCFP(塩素化ポリエチレン)からなる溶剤の含有率は65体積%に設定している。誘電体4は図14AおよびBに示すように一辺80μmの立方体形状とし、扁平粒子状の金属ガラス粉末6の法線方向nを誘電体4の厚さ方向tに揃え、誘電体4の厚さ方向tに2枚の電極5を対向配置している。図12に示された誘電体4については図14Aに示すように2枚の電極5の対向方向が金属ガラス粉末6の法線方向nに対して平行になっており、図13に示された誘電体4については図14Bに示すように2枚の電極5の対向方向が金属ガラス粉末6の法線方向nに対して直交している。
【0076】
図14Aに示すように2枚の電極5の対向方向を金属ガラス粉末6の法線方向nと平行にした場合、図12に示すように、1GHzまでの周波数において誘電率εは7付近を安定して示す。それに対し、図14Bに示すように2枚の電極5の対向方向を金属ガラス粉末6の法線方向nと直交させた場合、図13に示すように、7GHzまでの周波数において誘電率εは180〜220付近を安定して示す。また、10GHz付近における誘電率εは100を示す。つまり、図14Bに示すような2枚の電極5の対向方向を金属ガラス粉末6の法線方向nと直交させた誘電体4の誘電率は、図14Aに示すような2枚の電極5の対向方向を金属ガラス粉末6の法線方向nと平行にした誘電体4の誘電率と比較して、10〜30倍にまで大きくなることが分かる。また、図12および図13に示すように、図14Bに示すような2枚の電極5の対向方向を金属ガラス粉末6の法線方向nと直交させた誘電体4は高い周波数まで安定した誘電率を示す。
【0077】
以上より、2枚の電極5の対向面積および対向間距離ならびにそれらの間に挟む誘電体4の形状および大きさが同等であっても、揃えられた金属ガラス粉末6の法線方向nを2枚の電極5の対向方向に対してどの向きに揃えるかによって、誘電体4の誘電率を10倍〜30倍程度大きくすることができる。言い換えると、金属ガラス粉末6の法線方向nを変化させるだけで誘電体4の誘電率を1/30〜1/10倍程度小さくすることができる。また、C=ε・S/d(C:キャパシタ2の容量、ε:誘電率、S:電極の対向面積、d:電極の対向間距離)に基づいて電極の対向面積Sおよび電極の対向間距離dを変化させることにより、キャパシタ2の容量Cを10倍〜30倍以上、例えば数百倍以上に変化させることができる。これを利用すれば、第1の実施形態の多層配線板1Aの内部に数pFのキャパシタ2と数百pFのキャパシタ2を内蔵することができる。
【0078】
ここで、誘電体4に含有される金属ガラス粉末6の法線方向nを同一方向に揃えるため、図4および図5の順に示すようにグリーンシート4Gを熱加圧して冷却硬化させることにより、図6Aまたは図7Aに示す第1の実施形態の誘電体4のマザーシート4Mを形成している。グリーンシート4Gを熱加圧形成することにより、金属ガラス粉末6の法線方向nを容易に同一方向に配向させることができるとともに、グリーンシート4Gを冷却することにより熱可塑性の結着材7が固化してその配向を容易に固定することができる。また、金属ガラス粉末6の配向が同一方向に揃うことにより、誘電体4の厚さを容易かつ安価に薄くすることもできる。
【0079】
前述した方法で形成された図6Aまたは図7Aのマザーシート4Mをその厚さ方向tに切断して個片化した誘電体4を形成し、それを図6Aに示すようにそのまま、もしくは図7Bに示すように90度傾けることにより、誘電体4の厚さ方向tまたはその直交方向pに金属ガラス粉末6の法線方向nを揃えることができる。そして、金属ガラス粉末6の法線方向nを所望の方向に揃えた誘電体4に対し、2枚の電極5を図6Bおよび図7Cに示すように誘電体4の厚さ方向tに配置するか、2枚の電極5を図6Cおよび図7Dに示すように誘電体4の厚さ方向tと直交方向pに配置することにより、4つのパターンのキャパシタ2を形成することができる。
【0080】
この4つのパターンのキャパシタ2からわかるように、図6Aまたは図7Aに示すようにグリーンシート4Gの厚さ方向tに熱加圧して金属ガラス粉末6の法線方向nをグリーンシート4Gの厚さ方向tに配向したとしても、グリーンシート4Gの切断方法および個片化した誘電体4の傾きを調整することにより、金属ガラス粉末6の法線方向nを誘電体4の厚さ方向tと平行方向(図6Bおよび図6Cを参照)または直交方向p(図7Cおよび図7Dを参照)に任意設定することができる。金属ガラス粉末6の法線方向nを任意に設定することができれば、図7Cに示すように、電極5の対向面積を大きくし、その対向間距離を小さくしたキャパシタ2を形成することができるので、キャパシタ2の容量を前述したとおり従来の容量の数百倍程度まで大きくすることができるようになる。
【0081】
ただし、この図7Cに示すキャパシタ2を形成するには図7Aに示すようにマザーシート4Mを所望の厚さまで厚く形成する必要がある。そのため、所望の厚さまでマザーシート4Mを厚く形成することができない場合、図6Cに示すように、金属ガラス粉末6の法線方向nを誘電体4の厚さ方向tに設定し、2枚の電極5を誘電体4の厚さ方向tの直交方向pに対向配置する。この方法によれば、誘電体4の形成方法自体は従来と同じなので、電極5の配置のみを変更することによりキャパシタ2の容量を大きくすることができる。
【0082】
逆に、キャパシタ2の容量を前述した図7Cまたは図6Cに示すキャパシタ2の容量よりも小さくしたい場合、図7Dまたは図6Bに示すように、2枚の電極5の対向方向を金属ガラス粉末6の法線方向nと平行にすればよい。特に、図7Dに示すように、誘電体4の厚さ方向tと直交方向pに2枚の電極5を配置すれば、電極5の対向面積を小さくし、その対向間距離を大きくしたキャパシタ2を形成することができるので、キャパシタ2および誘電体4の大きさを変えることなくキャパシタ2の容量を従来の容量よりも大幅に小さくすることができる。
【0083】
前述したキャパシタ2を2枚の積層配線板3A、3Bの間に挟む際、第1の実施形態の多層配線板1Aにおいては、図1および図2ならびに図9もしくは図10に示すように、上方の積層配線板3Aの対向面3Aaに把持穴8を設け、把持穴8の周辺に2枚の電極5を予め形成してから把持穴8に誘電体4を挿入している。つまり、積層配線板3A、3Bの内層電極11をキャパシタ2の2枚の電極5として用いており、積層配線板3A、3Bの積層工程時にキャパシタ2の電極5も同時に形成している。そのため、2枚の電極5の間に誘電体4を挟んでキャパシタ2を形成してからそのキャパシタ2を2枚の積層配線板3A、3Bの間に挟み、そのキャパシタ2の電極5と積層配線板3A、3Bとを電気的に接続するよりも容易に第1の実施形態の多層配線板1Aを形成することができる。
【0084】
また、積層配線板3A、3Bに把持穴8が形成されていなければ、2枚の積層配線板3A、3Bを熱加圧により積層させた場合にキャパシタ2の誘電体4が圧縮されてしまうので、キャパシタ2の容量が変化してしまう。つまり、積層配線板3A、3Bに把持穴8を形成することにより、積層配線板3A、3Bを熱加圧により積層させても把持穴8がキャパシタ2に加わる圧力を逃がすので、キャパシタ2の厚さが変更してその容量が変化してしまうことを防止することもできる。
【0085】
第1の実施形態の把持穴8についてはそれぞれの大きさが異なっているので、キャパシタ2の電極5の対向面積および対向間距離が異なる。また、把持穴8に挿入される誘電体4は把持穴8の大きさに応じてその大きさが異なる。そのため、同一もしくは同種の誘電体4を用いて異なる容量のキャパシタ2を複数形成することができる。
【0086】
次に、図15および図16を用いて、第2の実施形態のキャパシタ2および多層配線板1Bを説明する。
【0087】
図15および図16は、第2の実施形態のキャパシタ2および多層配線板1Bを示している。第2の実施形態の多層配線板1Bは、図15および図16に示すように、キャパシタ2、絶縁スペーサ20および2枚の積層配線板3A、3Bを備えている。2枚の積層配線板3A、3Bの間にキャパシタ2が挟まれている点は第1の実施形態と同様である。第1の実施形態と大きく異なる点は、2枚の積層配線板3A、3Bの間に絶縁スペーサ20を備えている点および2枚の積層配線板3A、3Bに把持穴が形成されておらず、絶縁スペーサに把持穴22または把持孔21が形成されている点にある。
【0088】
第2の実施形態に用いるキャパシタ2は、図15に示すように、2枚の電極5および誘電体4からなる。2枚の電極5および誘電体4は第1の実施形態と同様に形成される。2枚の電極5の配置パターンは絶縁スペーサ20の存在により第1の実施形態と若干異なるが、その配置に関する考え方は第1の実施形態と同様である。2枚の電極5の配置パターンの詳細については後述する。また、誘電体4についても第1の実施形態と同様であり、その誘電体4を個別に形成したり(図9を参照)、図15に示すようにシート状に形成しても良い。
【0089】
絶縁スペーサ20は、1個または2個以上の把持穴22または把持孔21、把持穴22に形成される内層電極11および絶縁スペーサ20の内部に形成されるビア12を有している。把持穴22または把持孔21は、挿入されたキャパシタ2を把持する。
【0090】
なお、図15に示すビア12が多層配線板1Bの分解状態においてすでに形成されているが、この図15は理解を容易にするための概念図であり、通常の形成工程を正確に示したものではない。通常の形成工程においては、絶縁スペーサ20の把持穴22または把持孔21に誘電体4を挿入してから絶縁スペーサ20および積層配線板3A、3Bを積層した後、絶縁スペーサ20および積層配線板3A、3Bにビア12が形成される。
【0091】
2枚の積層配線板3A、3Bは、絶縁スペーサ20を間に挟み、絶縁スペーサ20に形成されたビア12を介してキャパシタ2に電気的に接続している。2枚の積層配線板3A、3Bに把持穴が形成されていない点以外の点については、第1の実施形態と同様である。
【0092】
そして、キャパシタ2に係る2枚の電極5の配置パターンについては、絶縁スペーサ20の把持穴22もしくは把持孔21または上方もしくは下方の積層配線板3A、3Bに配置されることにより3パターン存在する。
【0093】
第1の配置パターンとしては、図15に示す右側から1番目および2番目の把持孔21のように、把持孔21と対向する2枚の積層配線板3A、3Bのそれぞれの対向面3Aa、3Baに電極5をそれぞれ配置する。図15に示す右側から2番目の把持孔21においては、上方の積層配線板3Aの対向面3Aaを把持孔21の形成方向に突出させることにより、電極5の対向間距離を図16に示すように把持孔21の深さよりも小さくしている。
【0094】
第2の配置パターンとしては、図15に示す右側から3番目および4番目の把持孔21もしくは把持穴22のように、把持穴22もしくは把持孔21の内面に電極5をそれぞれ対向配置する。
【0095】
そして、第3の配置パターンとしては、図15に示す左側から1番目の把持穴22のように、把持穴22の内面および把持穴22の内面と対向する下方の積層配線板3Bの対向面3Baに電極5をそれぞれ配置する。
【0096】
第1の実施形態と第2の実施形態を比較すると、図10および図15に示すように、2枚の電極5をどの部材に配置するかに違いがあるものの、キャパシタ2の構造および形成方法という観点からすると、電極5の配置パターンに違いはない。
【0097】
把持穴22または把持孔21は、それらの深さ方向の寸法または深さ方向と直交方向の寸法をそれぞれに変更することにより、所望の大きさに形成されている。これらの大きさは、2枚の電極5の対向面積および対向間距離ならびに誘電体4の大きさに影響を与える。そのため、所望するキャパシタ2の容量を考慮して把持穴22または把持孔21の大きさを決定する。この考え方は第1の実施形態と同様である。また、図16に示すように、多層配線板1Bの内部に同種または異種のキャパシタ2を複数個内蔵することが好ましいことも第1の実施形態と同様である。
【0098】
次に、図15および図16を用いて、第2の実施形態のキャパシタ2および多層配線板1Bの作用を説明する。
【0099】
第2の実施形態の多層配線板1Bは、図15および図16に示すように、キャパシタ2、絶縁スペーサ20および2枚の積層配線板3A、3Bを備えている。2枚の積層配線板3A、3Bの間にキャパシタ2を内蔵しているので、第1の実施形態と同様、多層配線板1Bの表面実装面積の拡大およびキャパシタ2の保護を行なうことができる。
【0100】
また、絶縁スペーサ20は、把持穴22または把持孔21を有している。そのため、従来から用いられている積層配線板3A、3Bを加工しなくても積層配線板3A、3Bの間に第2の態様の多層配線板1Bと同様の把持穴22または把持孔21を形成することができる。
【0101】
ここで、キャパシタ2に係る2枚の電極5は誘電体4に固定配置されてから絶縁スペーサ20および積層配線板3A、3Bの間に設置しても良いが、第2の実施形態の多層配線板1Bにおいては、前述した3パターンの配置のように、絶縁スペーサ20または積層配線板3A、3Bに予め配置することが好ましい。このようにすると、積層配線板3A、3Bまたは絶縁スペーサ20に配置される内層電極11やビア12などの配線パターンの形成時にキャパシタ2の2枚の電極5を同一工程のなかで形成することができるので、第1の実施形態と同様、多層配線板1Bを容易に形成することができる。
【0102】
また、絶縁スペーサ20には把持穴22もしくは把持孔21が形成されていることが好ましい。把持穴22もしくは把持孔21を形成することにより、積層配線板3A、3Bに圧力を加えてそれらを積層させる際、把持穴22もしくは把持孔21が2枚の電極5に挟まれた部分の誘電体4に加わる圧力を逃がすので、誘電体4の厚さが変更してキャパシタ2の容量が変化してしまうことを防止することができる。なお、把持穴22または把持孔21が形成されていない部分の絶縁スペーサ20に当接する誘電体4は2枚の電極に挟まれていないためにキャパシタ2を形成しない。そのため、積層配線板3A、3Bの積層時に誘電体4が圧縮されてもキャパシタ2の容量の変化に影響を及ぼさない。
【0103】
そして、これら把持穴22もしくは把持孔21の大きさを把持穴22もしくは把持孔21ごとに変更することにより、2枚の電極5の対向面積もしくは対向間距離または誘電体4の大きさがそれぞれ変更される。これらの値はキャパシタ2の容量を変化させるため、同一の誘電体4を用いても異なる容量のキャパシタ2を容易に形成することができる。
【0104】
また、第2の実施形態のキャパシタ2は、第1の実施形態と同様、金属ガラス粉末6の法線方向nと2枚の電極5の対向方向を変更することにより、同一の誘電体4を用いても種々の容量のキャパシタ2を形成することができる。そのため、様々な容量のキャパシタ2を多層配線板1Bに内蔵することができる。
【0105】
すなわち、第1および第2の実施形態のキャパシタ2によれば、金属ガラス粉末6を用いて誘電体4を形成するとともに、金属ガラス粉末6の法線方向nと2枚の電極5の対向方向とを適宜調整しているので、高性能のキャパシタ2を容易かつ安価に製造することができるという作用を奏する。
【0106】
また、第1および第2の実施形態の多層配線板1A、1Bによれば、第1および第2の実施形態のキャパシタ2の性能を維持したまま複数のキャパシタ2を2枚の積層配線板3A、3Bの間に内蔵しているので、第1および第2の実施形態のキャパシタ2を実装しても他の回路要素の実装スペースを確保することができるという作用を奏する。
【0107】
なお、本発明は、前述した実施形態などに限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【0108】
例えば、第1の実施形態の多層配線板1Aにおいては、上方の積層配線板3Aの対向面3Aaにのみ把持穴8が形成されているが、他の実施形態の多層配線板1Cにおいては、図17に示すように、それぞれの積層配線板3A、3Bの対向面3Aa、3Baに把持穴8が形成されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】第1の実施形態の多層配線板を示す縦断面図
【図2】図1の2−2矢視断面図
【図3】扁平粒子状の金属ガラス粉末を撮影して得られたSEM(走査型電子顕微鏡)写真を示す模式図
【図4】グリーンシートの熱加圧前を示す正面図
【図5】グリーンシートの熱加圧状態を示す正面図
【図6】厚さの薄いマザーシートを切断して得た誘電体に電極を所定の方向に配置した状態を示す縦断面図;Aは厚さの薄いマザーシートを切断した状態を示し、Bは誘電体の傾きを変えずにその厚さ方向に2枚の電極をそれぞれ配置した状態を示し、Cは誘電体の傾きを変えずにその厚さ方向と直交方向に2枚の電極をそれぞれ配置した状態を示す
【図7】厚さの厚いマザーシートを切断して得た誘電体に電極を所定の方向に配置した状態を示す縦断面図;Aは厚さの厚いマザーシートを切断した状態を示し、Bはマザーシートを切断して得た誘電体を90度傾けた状態を示し、Cは90度傾けた誘電体の厚さ方向に2枚の電極をそれぞれ配置した状態を示し、Dは90度傾けた誘電体の厚さ方向と直交方向に2枚の電極をそれぞれ配置した状態を示す
【図8】誘電体に含有する金属ガラス粉末の法線方向を示す縦断面図;Aは誘電体の厚さ方向に金属ガラス粉末の法線方向を配向した状態を示し、Bは誘電体の厚さ方向と直交方向に金属ガラス粉末の法線方向を配向した状態を示す
【図9】第1の実施形態の多層配線板を示す分解縦断面図
【図10】第1の実施形態の多層配線板において誘電体をシート状に形成した場合を示す分解縦断面図
【図11】第1の実施形態の多層配線板において誘電体をシート状に形成した場合を示す縦断面図
【図12】金属ガラス粉末の法線方向と平行に電極を配置した場合の誘電体の誘電率を示すグラフ
【図13】2枚の電極の対向方向を金属ガラス粉末の法線方向と平行にした場合の誘電体の誘電率を示すグラフ
【図14】2枚の電極の対向方向を金属ガラス粉末の法線方向と直交させた場合の誘電率を示すグラフ
【図15】第2の実施形態の多層配線板を示す分解縦断面図
【図16】第2の実施形態の多層配線板を示す縦断面図
【図17】他の実施形態の多層配線板を示す分解縦断面図
【符号の説明】
【0110】
1A、1B、1C 多層配線板
2 キャパシタ
3A、3B 積層配線板
4 誘電体
5 電極
6 金属ガラス粉末
7 結着材
8、22 把持穴
20 絶縁スペーサ
21 把持孔
n (金属ガラス粉末の)法線方向
p (誘電体の厚さ方向に対する)直交方向
t 誘電体の厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ガラス粉末および誘電性の結着材を含有する誘電体と、
前記誘電体を挟む2枚の電極と
を備えていることを特徴とするキャパシタ。
【請求項2】
前記金属ガラス粉末の組成は、Fe100−x−y−z−w−tMxPyCzBwSit(M:Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、Pt、Pd、Auより選択される1種または2種以上の元素)であって、前記x、y、z、wおよびtが0.5原子%≦x≦8原子%、2原子%≦y≦15原子%、0原子%<z≦8原子%、1原子%≦w≦12原子%、0原子%≦t≦8原子%、70原子%≦(100−x−y−z−w−t)≦79原子%である
ことを特徴とする請求項1に記載のキャパシタ。
【請求項3】
前記金属ガラス粉末は、扁平粒子状に形成されているとともに、その法線方向を同一方向に揃えて前記誘電体に含有されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャパシタ。
【請求項4】
前記2枚の電極は、前記金属ガラス粉末の法線方向と直交方向に対向配置されている
ことを特徴とする請求項3に記載のキャパシタ。
【請求項5】
前記2枚の電極は、前記金属ガラス粉末の法線方向に対向配置されている
ことを特徴とする請求項3に記載のキャパシタ。
【請求項6】
前記誘電体は、前記金属ガラス粉末および前記結着材として用いる熱可塑性樹脂を含有するグリーンシートに熱および圧力をその厚さ方向に加えて前記金属ガラス粉末の法線方向を前記グリーンシートの厚さ方向に配向させた後に前記グリーンシートを冷却硬化させて所望の形状に切断することにより、形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のキャパシタ。
【請求項7】
前記誘電体は、前記金属ガラス粉末の法線方向を前記誘電体の厚さ方向に配向させる形状に前記グリーンシートを切断することにより形成されており、
前記2枚の電極の対向方向は、それらを前記誘電体の厚さ方向に対する直交方向に対向配置することにより、前記金属ガラス粉末の法線方向と直交している
ことを特徴とする請求項6に記載のキャパシタ。
【請求項8】
前記誘電体は、前記金属ガラス粉末の法線方向を前記誘電体の厚さ方向に配向させる形状に前記グリーンシートを切断することにより形成されており、
前記2枚の電極の対向方向は、それらを前記誘電体の厚さ方向に対向配置することにより、前記金属ガラス粉末の法線方向と平行になっている
ことを特徴とする請求項6に記載のキャパシタ。
【請求項9】
前記誘電体は、前記金属ガラス粉末の法線方向を前記誘電体の厚さ方向と直交方向に配向させる形状に前記グリーンシートを切断することにより形成されており、
前記2枚の電極の対向方向は、それらを前記誘電体の厚さ方向に対向配置することにより、前記金属ガラス粉末の法線方向と直交している
ことを特徴とする請求項6に記載のキャパシタ。
【請求項10】
前記誘電体は、前記金属ガラス粉末の法線方向を前記誘電体の厚さ方向と直交方向に配向させる形状に前記グリーンシートを切断することにより形成されており、
前記2枚の電極の対向方向は、それらを前記誘電体の厚さ方向に対する直交方向に対向配置することにより、前記金属ガラス粉末の法線方向と平行になっている
ことを特徴とする請求項6に記載のキャパシタ。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のキャパシタと、
前記キャパシタを間に挟んで前記キャパシタに電気的に接続している2枚の積層配線板と
を備えていることを特徴とする多層配線板。
【請求項12】
前記2枚の積層配線板のうちの少なくとも一方の積層配線板は、前記キャパシタを挿入して把持する1個または2個以上の把持穴が形成された対向面を有しており、
前記キャパシタに係る2枚の電極は、前記把持穴の内面および前記把持穴の内面と対向する他方の前記積層配線板の対向面、または前記把持穴の内面のみにそれぞれ形成されている
ことを特徴とする請求項11に記載の多層配線板。
【請求項13】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のキャパシタと、
前記キャパシタを挿入して把持する1個または2個以上の把持穴または把持孔を有する板状の絶縁スペーサと、
前記絶縁スペーサを間に挟んで前記キャパシタに電気的に接続している2枚の積層配線板と
を備えていることを特徴とする多層配線板。
【請求項14】
前記キャパシタに係る2枚の電極は、前記把持孔と対向する前記2枚の積層配線板のそれぞれの対向面、前記把持穴の内面および前記把持穴の内面と対向するどちらか一方の前記積層配線板の対向面、または前記把持穴もしくは前記把持孔の内面のみにそれぞれ形成されている
ことを特徴とする請求項13に記載の多層配線板。
【請求項15】
請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の前記キャパシタは、前記把持穴もしくは前記把持孔の深さ方向の寸法または前記深さ方向と直交方向の寸法を前記把持穴もしくは前記把持孔ごとに変更することにより、前記2枚の電極の対向面積もしくは対向間距離または誘電体の大きさをそれぞれ変更して2個以上形成されている
ことを特徴とする請求項12または請求項14に記載の多層配線板。
【請求項16】
請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の前記キャパシタのうちから2個以上選択した異種もしくは同種の前記キャパシタを用いる
ことを特徴とする請求項11から請求項15のいずれか1項に記載の多層配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−16440(P2009−16440A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174193(P2007−174193)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】