説明

キャビネットの取り付け構造

【課題】本発明は、簡単な構造で取り付け作業が容易であるキャビネットの取り付け構造を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明に係るキャビネットの取り付け構造は、コンクリート打設前に露出している配筋に引っ掛け可能である取り付け金具をキャビネット背面に固定しており、取り付け金具は、配筋にキャビネットを支持させる支持片と、配筋にキャビネットを固定させる固定部とを形成することで取り付け作業を容易にしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート造りの壁面に埋め込んで取り付けられ、各種機器を収納するキャビネットの取り付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、キャビネットをコンクリート造りの壁面に埋め込んで取り付ける場合の方法として、以下のようなものがあった。キャビネットの背面には、板材と鋼線とを組み合わせた取り付け金具を設けていた。コンクリート造りの壁面のコンクリートを打設する前に露出している配筋に鋼線を這わせて巻きつけるように曲げ、キャビネットを固定していた。
【非特許文献1】未来工業株式会社カタログ、[online]、[平成19年12月25日検索]、インターネット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記キャビネットの取り付け方法では、鋼線を折り曲げる作業が力のいる作業であり、配筋に巻きつけることが難しかった。また、キャビネットの傾き調整が行えるが、一旦取り付けたキャビネットの位置調整を行うためには、一度曲げた鋼線を伸ばしてまた曲げ直さなくてはならず、作業がしづらかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで本発明は、簡単な構造で取り付け作業が容易であるキャビネットの取り付け構造を提供することを目的とし、その構造は、コンクリート打設前に露出している配筋に引っ掛け可能である取り付け金具をキャビネット背面に固定しており、取り付け金具は、配筋にキャビネットを支持させる支持片と、配筋にキャビネットを固定させる固定部とを形成することを特徴とする。
【0005】
また、取り付け金具の支持片と固定部とを、取り付け金具の上下方向に設け、キャビネットの上側と下側に位置する配筋に引っ掛け可能とすることを特徴とする。
【0006】
また、取り付け金具の支持片と前記固定部とを、取り付け金具の上下方向に設け、キャビネットの上側と下側に位置する配筋に引っ掛け可能とすることを特徴とする。
【0007】
また、取り付け金具の固定部は、断面略U字状にフック部を形成し、フック部近傍にねじ穴を設け、フック部を配筋に引っ掛け、ねじ穴にねじを挿通し締め付け取り付け金具を配筋に固定することを特徴とする。
【0008】
また、取り付け金具の支持片と固定部とを、取り付け金具の左右方向に設け、キャビネットの左右に位置する配筋に引っ掛け可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るキャビネットの取り付け構造は、コンクリート打設前に露出している配筋に引っ掛け可能である取り付け金具をキャビネット背面に固定しており、取り付け金具は、配筋にキャビネットを支持させる支持片と、配筋にキャビネットを固定させる固定部とを形成するため、折り曲げ作業が不要であり、取り付け作業が容易に行える利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係るキャビネットの取り付け構造の実施例を図の添付図面に基いて説明する。
【0011】
本発明は、コンクリート造りの壁面に、表面部分のみを露出して箱体部分をコンクリートに埋め込んで取り付けられるキャビネット1の取り付け構造に関する。図4に示すように、コンクリート造りの壁面は、コンクリート打設前には配筋2が露出した状態である。本発明は、この配筋2を用いてキャビネット1を壁面に取り付ける構造である。
【0012】
請求項1において、キャビネット1を壁面に固定するには、キャビネット1の、壁面に埋め込まれる部分である背面1aに取り付け可能である、取り付け金具3を用いる。取り付け金具3には固定部4と支持片5とキャビネット取り付け部6とを形成している。支持片5を配筋2に引っ掛け取り付け金具3を仮に支持させ、固定部4も配筋2に引っ掛け、キャビネット1を仮の固定位置に配置する。
【0013】
請求項2において、請求項1に記載の取り付け金具3に形成される固定部4と支持片5とを、取り付け金具3の上下にそれぞれ形成している。支持片5をキャビネット1の下側に配設されている配筋2に引っ掛け取り付け金具3を仮に支持させ、キャビネット1を少し持ち上げて固定部4はキャビネット1の上側に配設されている配筋2に引っ掛けキャビネット1を仮の固定位置に配置する。
【0014】
請求項3において、請求項1と請求項2に記載の取り付け金具3に形成されている支持片5は、三又に形成され、取り付け金具3を配筋2に引っ掛けるときに、支持片5が配筋2の前側と後側に互い違いになり、配筋2を挟み込むようになるような形状である。取り付け金具3の支持片5を配筋2に引っ掛けたときに、取り付け金具3の仮止めがなされる。
【0015】
請求項4において、請求項1と請求項2に記載の取り付け金具3に形成される固定部4には、断面略U字状のフック部7を設ける。フック部7は弾性により広げることが可能であり、配筋2に引っ掛けるときに撓み、取り付け金具3の取り付け状態では配筋2を挟持する形状となっている。また、固定部4にはねじ穴8を設け、ねじ穴8にねじ9を挿通し締め付けることで、配筋2に取り付け金具3を固定するものである。
【0016】
キャビネット1と取り付け金具3との固定方法について説明する。キャビネット背面1aには、取り付け穴10が設けられる。取り付け金具3のキャビネット取り付け部6には、固定穴12が設けられ、固定穴12には、ねじ穴を対向させてナット11が取り付けられている。取り付け穴6に固定穴12を対向させてキャビネット1を配置し、キャビネット1内側からねじ13を挿通し、ねじ13とナット11によって固定する。作業手順は、特に限定されるものではなく、キャビネット1を取り付け金具3に固定してから配筋2に取り付けても、取り付け金具3を配筋2に取り付けてからキャビネット1を固定してもよい。
【0017】
請求項5において、図5に示すように、取り付け金具14の支持片15を取り付け金具14の左右方向に形成する。取り付け金具14の左右の配筋に挟持させ固定して用いる。キャビネット16の取り付け金具14への固定は、取り付け金具14のキャビネット取り付け部17に複数の固定穴18を設け、この固定穴18を用いてねじ止めにて固定する。
【0018】
キャビネットを取り付け金具に固定したときに、キャビネットが回転しないように、複数ヶ所でねじ止めすることもできる。また、固定手段は、ねじ止めに限定するものではなく、突起等にを形成して係合させて固定する方法もある。
【0019】
キャビネットに取り付け金具を固定するねじは、ドライバー等の工具を用いて締め付けるねじに限定されるものではなく、手で締め付け作業が行える蝶ねじを用いることもできる。本発明に係るキャビネットの固定構造は本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】キャビネットと取り付け金具を示す説明図である。
【図2】キャビネットと取り付け金具とを固定する作業を示す説明図である。
【図3】取り付け金具を配筋に取り付ける作業を示す説明図である。
【図4】キャビネットとを取り付け金具を介して配筋に取り付けた状態を示す説明図である。
【図5】請求項5におけるキャビネットと取り付け金具を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 キャビネット
1a 背面
2 配筋
3 取り付け金具
4 固定部
5 支持片
6 キャビネット取り付け部
7 フック部
8 ねじ穴
9 ねじ
10 取り付け穴
11 ナット
12 固定穴
13 ねじ
14 取り付け金具
15 支持片
16 キャビネット
17 キャビネット取り付け部
18 固定穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート造りの壁面に埋め込んで取り付けられ、各種機器を収納するキャビネットの取り付け構造において、コンクリート打設前に露出している配筋に引っ掛け可能である取り付け金具を前記キャビネット背面に固定しており、前記取り付け金具は、前記配筋に前記キャビネットを支持させる支持片と、前記配筋に前記キャビネットを固定させる固定部とを形成することを特徴とするキャビネットの取り付け構造。
【請求項2】
前記取り付け金具の前記支持片と前記固定部とを、前記取り付け金具の上下方向に設け、キャビネットの上側と下側に位置する配筋に引っ掛け可能とすることを特徴とする請求項1に記載のキャビネットの取り付け構造。
【請求項3】
前記取り付け金具の前記支持片は、前記配筋の前側と後側とから前記配筋を挟み込む形状で、前記配筋に前記支持片を挟み前記取り付け金具の動きを規制することを特徴とする請求項1及び請求項2に記載のキャビネットの取り付け構造。
【請求項4】
前記取り付け金具の前記固定部は、断面略U字状にフック部を形成し、該フック部近傍にねじ穴を設け、前記フック部を前記配筋に引っ掛け、前記ねじ穴にねじを挿通し締め付け前記取り付け金具を前記配筋に固定することを特徴とする請求項1及び請求項2に記載のキャビネットの取り付け構造。
【請求項5】
前記取り付け金具の前記支持片と前記固定部とを、前記取り付け金具の左右方向に設け、キャビネットの左右に位置する配筋に引っ掛け可能とすることを特徴とする請求項1に記載のキャビネットの取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−171765(P2009−171765A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7982(P2008−7982)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】