キースイッチ
【課題】 メンブレンスイッチ等のシート状スイッチ素子に引き廻しパターンのレイアウトを制約する多数の孔を設ける必要がなく、かつ組立段階でクロスリンク体の動作不良に効率よく対応できる、キースイッチを提供すること。
【解決手段】 クロスリンク体10を構成する一対のレバー部材3,4を搭載して支持するプレート5と、このプレート5を搭載して係止する保持プレート6とを備え、これらのプレート5および保持プレート6にクリックゴム8を挿入せしめる透孔5d,6bを設けると共に、保持プレート6と支持板9とでメンブレンスイッチ7を挟持する。これにより、プレート5上にユニット化したクロスリンク体10が形成できるので、予めクロスリンク体10の動作不良の有無を確認することができる。また、メンブレンスイッチ7には、クロスリンク体10用の切り起こし部を挿通させるための多数の孔を設ける必要がなくなるので、パターンレイアウトが容易になる。
【解決手段】 クロスリンク体10を構成する一対のレバー部材3,4を搭載して支持するプレート5と、このプレート5を搭載して係止する保持プレート6とを備え、これらのプレート5および保持プレート6にクリックゴム8を挿入せしめる透孔5d,6bを設けると共に、保持プレート6と支持板9とでメンブレンスイッチ7を挟持する。これにより、プレート5上にユニット化したクロスリンク体10が形成できるので、予めクロスリンク体10の動作不良の有無を確認することができる。また、メンブレンスイッチ7には、クロスリンク体10用の切り起こし部を挿通させるための多数の孔を設ける必要がなくなるので、パターンレイアウトが容易になる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キーボード入力装置に配設されるキースイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】キーボード入力装置の薄型化に好適なキースイッチとして、近年、交差状にリンク結合させた一対のレバー部材の上端部でキートップを支持し、このキートップの昇降動作に伴って一対のレバー部材の交差する角度が変化するように構成したものが、特許第2779604号公報等に開示されている。
【0003】かかる従来のキースイッチは、一対のレバー部材を互いの交差部位でリンク結合させてなるクロスリンク体と、このクロスリンク体の上端部に支持されたキートップと、このキートップを上方へ付勢するクリックゴム等の弾性部材と、この弾性部材を搭載したメンブレンスイッチと、このメンブレンスイッチが載置される金属板製の支持板とで概略構成されており、メンブレンスイッチを貫通して上方へ突出する支持板の切り起こし部がクロスリンク体の下端部を支持している。すなわち、クロスリンク体を構成する一方のレバー部材の上端部をキートップの裏面に回動自在に係合させ、かつ下端部を支持板の切り起こし部にスライド移動自在に係合させると共に、クロスリンク体を構成する他方のレバー部材の上端部をキートップの裏面にスライド移動自在に係合させ、かつ下端部を支持板の切り起こし部に回動自在に係合させているので、このクロスリンク体によってキートップの昇降動作を案内することができる。なお、メンブレンスイッチのスイッチ部には、スペーサの開口部を介して対向する上部電極と下部電極とが形成されていて、前記弾性部材が座屈すると上部電極が押し込まれて下部電極に接触し、スイッチオンするようになっている。
【0004】このように構成されるキースイッチは、操作者がキートップを押し込むと一対のレバー部材が傾倒してクロスリンク体が押し畳まれていき、キートップが所定量下降した時点で、弾性部材が座屈してメンブレンスイッチの上部電極が下部電極に接触するためスイッチオン状態となる。また、かかるスイッチオン状態でキートップに対する押圧操作力が除去されると、座屈していた弾性部材が自身の弾性で元の形状に戻るので、メンブレンスイッチの上部電極が下部電極から離間してスイッチオフ状態に復帰すると共に、傾倒していた一対のレバー部材を起立させながらキートップが初期位置まで押し上げられていく。
【0005】そして、このようにクロスリンク体を用いてキートップを支持する構成を採用すると、キーステムを案内壁に沿って摺動させるという従来一般的であった構成に比べて、良好な操作性を確保しつつキースイッチの高さ寸法を大幅に低減できるというメリットがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来技術において、各キートップをそれぞれクロスリンク体にて支持しているキーボード入力装置の支持板には、多数のクロスリンク体の下端部と個別に係合する多数の切り起こし部が設けられているので、これらの切り起こし部を上方へ突出させるための挿通孔がメンブレンスイッチの各所に形成されている。しかしながら、最近のキーボード入力装置はキースイッチどうしの隣接間隔が狭く各キースイッチの大きさも小さくなっているので、メンブレンスイッチに前記挿通孔を多数設けると、その上部電極や下部電極から取り出す引き廻しパターンのレイアウトが著しく制約されてしまい、設計自由度や信頼性の低下を余儀なくされるという問題点があった。
【0007】また、上述した従来技術では、支持板の切り起こし部に取り付けてからでないとクロスリンク体の動作不良の有無が確認できないので、組立段階で一つのクロスリンク体に動作不良が発見された場合、既設のクロスリンク体やメンブレンスイッチ等をすべて破棄するか、あるいは不良品のクロスリンク体を取り外す煩雑な作業を行わねばならない。したがって、組立段階で既設部品の無駄や作業性の悪化が発生しやすいという問題点もあった。
【0008】本発明はこのような従来技術の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、メンブレンスイッチに引き廻しパターンのレイアウトを制約する多数の孔を設ける必要がなく、かつ組立段階でクロスリンク体の動作不良に効率よく対応できる、キースイッチを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成するため、本発明によるキースイッチは、互いの交差部位を回動自在に連結せしめた一対のレバー部材と、これら一対のレバー部材に昇降可能に支持されたキートップと、前記一対のレバー部材を搭載して支持するプレートと、このプレートを搭載して係止する保持プレートと、前記キートップを上方へ付勢する弾性部材と、前記キートップの昇降動作に伴いスイッチング動作を行うメンブレンスイッチと、このメンブレンスイッチが載置される支持板とを備え、前記プレートおよび前記保持プレートに前記弾性部材を挿入せしめる透孔を設けると共に、前記メンブレンスイッチを前記保持プレートと前記支持板とで挟持することとした。
【0010】このように構成されるキースイッチは、プレート上に一対のレバー部材を取り付けてユニット化したクロスリンク体が形成できるので、予めクロスリンク体の動作不良の有無を確認することができる。それゆえ、不良品のクロスリンク体を組み込んでしまう心配がなくなり、組立段階での既設部品の無駄や作業性の悪化が回避できる。しかも、クロスリンク体を搭載して支持するプレートを保持プレート上に設置できるので、クロスリンク体の下端部と係合させる切り起こし部を支持板に設ける必要がなく、よって切り起こし部を挿通させるための多数の孔をメンブレンスイッチに設ける必要がなくなる。それゆえ、メンブレンスイッチに引き廻しパターン用の十分に広いスペースを確保することができて、その設計自由度や信頼性が向上させやすくなる。
【0011】また、前記プレートに、一方の前記レバー部材の下端部を回動自在に係合せしめる第1の切り起こし部と、他方の前記レバー部材の下端部をスライド移動自在に係合せしめる第2の切り起こし部とを設けておけば、クロスリンク体を円滑に動作させやすくなる。
【0012】また、前記プレートに、複数対の前記レバー部材を搭載して支持させるようにしておけば、複数のクロスリンク体を並設したユニットが得られるので、キーボード入力装置のキースイッチ組立作業が効率よく行える。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態例を図面を参照しつつ説明する。
【0014】図1は本発明の一実施形態例を示すキースイッチの断面図、図2は該キースイッチの平面図、図3は該キースイッチのキートップの裏面図、図4は該キースイッチの内側レバー部材の平面図、図5は図4のA−A線に沿う断面図、図6は該キースイッチの外側レバー部材の平面図、図7は図6のB−B線に沿う断面図、図8R>8は該キースイッチのアクチュエータの平面図、図9は図8のC−C線に沿う断面図、図10は該キースイッチのプレートの平面図、図11は該プレートの側面図、図12は該キースイッチのユニット化したクロスリンク体を示す斜視図、図13は該キースイッチの保持プレートの要部平面図、図14は図13のD−D線に沿う断面図、図15は該キースイッチの内側レバー部材の成形金型を示す平面図、図16は該内側レバー部材の成形過程の型開き前の状態を示す断面図、図17は該キースイッチの外側レバー部材の成形金型を示す平面図、図18は該外側レバー部材の成形過程の型開き前の状態を示す断面図である。
【0015】これらの図に示すキースイッチは、キートップ1と、このキートップ1の裏側を係止しているアクチュエータ2と、このアクチュエータ2を介してキートップ1を昇降可能に支持している内側レバー部材3および外側レバー部材4と、これら一対のレバー部材3,4を搭載して支持しているプレート5と、このプレート5を搭載して係止している保持プレート6と、キートップ1の昇降動作に伴いスイッチング動作を行うメンブレンスイッチ7と、このメンブレンスイッチ7上に搭載されアクチュエータ2を介してキートップ1を上方へ付勢しているクリックゴム8と、メンブレンスイッチ7を載置している支持板9とによって概略構成されている。そして、このキースイッチは、キーボード入力装置に配設される。
【0016】このキースイッチの各部の構成について詳しく説明すると、キートップ1の裏側には、図1,3に示すように、一対の嵌合突起1a,1bが形成されている。一方、アクチュエータ2には、図8,9に示すように、一対の係止孔2a,2bが形成されていて、これらの係止孔2a,2bに嵌合突起1a,1bを圧入させることにより、キートップ1とアクチュエータ2とが一体化されている。このアクチュエータ2には長手方向一端部に、内側レバー部材3の上端部を回動自在に係合させるための軸溝2cが形成されていると共に、長手方向他端部に、外側レバー部材4の上端部をスライド移動自在に係合させるためのせり出し部2dが形成されている。また、アクチュエータ2の底面中央部には、倒椀状のクリックゴム8の上端面に当接する押圧部2eが形成されている。
【0017】内側レバー部材3は、図4,5に示すように、一対の傾倒脚部3aの上端側に回動軸3bを設け、かつ下端側にスライドピン3cを突設した枠状に形成されていて、各傾倒脚部3aの外側面の中ほどには側方へ突出する連結軸3dが形成されている。この内側レバー部材3の回動軸3bはアクチュエータ2の軸溝2cに回動自在に係合され、スライドピン3cは後述するプレート5の第1の切り起こし部5aにスライド移動自在に係合される。また、外側レバー部材4は、図6,7に示すように、一対の傾倒脚部4aの上端側にスライド軸4bを設け、かつ下端側に回動ピン4cを突設したコ字形状に形成されていて、各傾倒脚部4aの中ほどには内側から外側へと貫通する軸挿入穴4dが形成されている。この外側レバー部材4のスライド軸4bはアクチュエータ2のせり出し部2dにスライド移動自在に係合され、回動ピン4cは後述するプレート5の第2の切り起こし部5bに回動自在に係合される。これらのレバー部材3,4は、互いの交差部位を回動自在に連結してクロスリンク体10を構成している。すなわち、外側レバー部材4の軸挿入穴4dに内側レバー部材3の連結軸3dが枢着状態で挿入されている。このクロスリンク体10は、両レバー部材3,4の傾倒脚部3a,4aの傾倒角度に応じて、高さが変化するようになっている。
【0018】これらのレバー部材3,4を、本実施形態例では、2色成形加工技術を利用して成形した。具体的には、まず図15,16に示すように、コ字形のキャビティ11aや凹部11bやゲート11c等を有する固定金型11と、凹部11bに嵌合する凸部12a等を有する可動金型12とを型締めした状態で、ゲート11cからキャビティ11a内に、収縮率が比較的小さい第1の樹脂材料13(例えば収縮率が4/1000のABS樹脂)を注入して冷却・固化させ、外側レバー部材4を成形する。その際、キャビティ11a内には予め、図示せぬスライドコアを挿入しておき、第1の樹脂材料13が固化した段階で、各傾倒脚部4aの中ほどに軸挿入穴4dが形成されるようにしておく。しかる後、固定金型11から離間させた可動金型12を180度回転させてから平行移動させることにより、図17,18に示すように、枠状のキャビティ14aや凹部14b(ただし両者14a,14bは連通している)やゲート14c等を有する固定金型14と、前記可動金型12とを型締めした状態で、ゲート14cからキャビティ14a内に、収縮率が比較的大きい第2の樹脂材料15(例えば収縮率が20/1000のポリアセタール樹脂)を注入して冷却・固化させ、内側レバー部材3を成形する。このとき、外側レバー部材4の軸挿入穴4dを固定金型14のキャビティ14aと連通させておくことにより、軸挿入穴4d内にも第2の樹脂材料15が充填されるので、これが固化すると連結軸3dとなる。すなわち、第1の樹脂材料13よりも第2の樹脂材料15のほうが収縮率が大きいので、軸挿入穴4d内で第2の樹脂材料15を冷却・固化させて連結軸3dを成形すると、両者4d,3dの間にはクリアランスが生じ、よって連結軸3dは軸挿入穴4d内に枢着状態で成形されることとなる。
【0019】金属板をプレス加工してなるプレート5には、図10,11に示すように、前記スライドピン3cをスライド移動自在に係合させるための一対の第1の切り起こし部5aと、前記回動ピン4cを回動自在に係合させるための一対の第2の切り起こし部5bと、3か所に突設されて後述する保持プレート6の係止孔6aに挿入される第3の切り起こし部5cと、後述するクリックゴム8を挿入させるための透孔5dとが形成されている。つまり、このプレート5上に、内側レバー部材3の下端部をスライド移動自在に係合させ、かつ外側レバー部材4の下端部を回動自在に係合させた状態で、クロスリンク体10が設置される。したがって、クロスリンク体10は、交差角度を変化させる傾倒脚部3a,4aの傾倒動作を許容された状態でプレート5上に取り付けられることとなり、ユニット化されたクロスリンク体10が得られる。なお、前述の如く、内側レバー部材3の上端部はアクチュエータ2に回動自在に係合され、かつ外側レバー部材4の上端部はアクチュエータ2にスライド移動自在に係合されているので、結局、アクチュエータ2とクロスリンク体10とプレート5とがユニットを構成している(図12参照)。
【0020】金属板をプレス加工してなる保持プレート6には、図13に示すように、プレート5の第3の切り起こし部5cを挿入するための係止孔6aと、後述するクリックゴム8を挿入させるための透孔6bとが形成されている。
【0021】シート状スイッチ素子としてのメンブレンスイッチ7は、上部シートと下部シートの間にスペーサを介在させた公知のもので、保持プレート6と支持板9との間に挟持されている。このメンブレンスイッチ7のスイッチ部は、プレート5の透孔5dや保持プレート6の透孔6bの下方に位置させてある。なお、このスイッチ部には、スペーサの開口部を介して対向する上部電極と下部電極とが形成されている。
【0022】倒椀状のクリックゴム8は、その上端面をアクチュエータ2の押圧部2eに当接させた状態で、メンブレンスイッチ7上に載置されている。このクリックゴム8の内側には押圧突起8aが下向きに突設されていて、この押圧突起8aの下方にメンブレンスイッチ7の上部電極を位置させている。
【0023】次に、このように構成されるキースイッチの動作について説明する。いま、図1に示すスイッチオフ状態で、操作者がキートップ1を押し込むと、アクチュエータ2の下降に伴い一対のレバー部材3,4の傾倒脚部3a,4aが傾倒して、クロスリンク体10が押し畳まれていく。そして、キートップ1が所定量下降した時点で、アクチュエータ2の押圧部2eに押し込まれたクリックゴム8が座屈して、押圧突起8aがメンブレンスイッチ7の上部シートを押し撓めるため、スイッチ部の上部電極が下部電極に接触してスイッチオン状態となる。また、かかるスイッチオン状態でキートップ1に対する押圧操作力を除去すると、座屈していたクリックゴム8が自身の弾性で元の形状に戻るので、メンブレンスイッチ7の上部電極が下部電極から離間してスイッチオフ状態に復帰すると共に、アクチュエータ2が押し上げられることからクロスリンク体10が立ち上がっていき、キートップ1も初期位置まで押し上げられていく。
【0024】本実施形態例では上述したように、切り起こし部5a,5bを有するプレート5上に一対のレバー部材3,4を取り付けて、ユニット化したクロスリンク体10を構成しているので、メンブレンスイッチ7上に組み込む前にクロスリンク体10の動作不良の有無を確認することができる。しかも、このプレート5を保持プレート6上に設置しており、支持板9にはクロスリンク体10の下端部と係合させるための切り起こし部を設ける必要がないので、該切り起こし部を挿通させるための多数の孔をメンブレンスイッチ7に設ける必要がなくなって、メンブレンスイッチ7に引き廻しパターン用の十分に広いスペースを確保することができる。
【0025】また、本実施形態例では、組立段階で、一対のレバー部材3,4の上端部を係合・支持しているアクチュエータ2に対して、キートップ1の嵌合突起1a,1bを圧入させればよいため、ユニット化したクロスリンク体10をメンブレンスイッチ7上の保持プレート6に搭載して組み付けた後、極めて簡単にキートップ1を取り付けることができる。ただし、本発明は、一対のレバー部材3,4の上端部を直接キートップ1に係合させる構成のキースイッチにも適用可能である。
【0026】また、本実施形態例では、外側レバー部材4と内側レバー部材3を順次成形して、軸挿入穴4d内に連結軸3dを枢着状態で係合せしめたクロスリンク体10となしているので、これら一対のレバー部材3,4を手作業で連結するという煩雑な組立作業を強いられることがなく、組立作業性が大幅に向上している。ただし、別々に成形した内側レバー部材3と外側レバー部材4とを連結してクロスリンク体10となしてもよい。
【0027】図19は、本発明の他の実施形態例に係るプレートの平面図である。同図に示すように、複数対のレバー部材3,4を搭載して支持可能な横長のプレート5を用いると、1枚のプレート5上に複数個(図19の場合は4個)のクロスリンク体10を並設してユニット化することができるので、キーボード入力装置のキースイッチ組立作業が効率よく行える。
【0028】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0029】プレート上に一対のレバー部材を取り付けてユニット化したクロスリンク体が形成できるので、予めクロスリンク体の動作不良の有無を確認することができ、よって組立段階での既設部品の無駄や作業性の悪化が回避できる。また、クロスリンク体を搭載して支持するプレートを、支持板との間にメンブレンスイッチを挟持している保持プレート上に設置できるので、メンブレンスイッチにはクロスリンク体用の切り起こし部を挿通させるための多数の孔を設ける必要がない。つまり、メンブレンスイッチに引き廻しパターンのレイアウトを制約する多数の孔を設ける必要がなくなるので、その設計自由度や信頼性が向上させやすい。
【0030】また、プレートに、複数対のレバー部材を搭載して支持させるようにしておけば、複数のクロスリンク体を並設したユニットが得られるので、キーボード入力装置のキースイッチ組立作業が効率よく行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例を示すキースイッチの断面図である。
【図2】該キースイッチの平面図である。
【図3】該キースイッチのキートップの裏面図である。
【図4】該キースイッチの内側レバー部材の平面図である。
【図5】図4のA−A線に沿う断面図である。
【図6】該キースイッチの外側レバー部材の平面図である。
【図7】図6のB−B線に沿う断面図である。
【図8】該キースイッチのアクチュエータの平面図である。
【図9】図8のC−C線に沿う断面図である。
【図10】該キースイッチのプレートの平面図である。
【図11】該プレートの側面図である。
【図12】該キースイッチのユニット化したクロスリンク体を示す斜視図である。
【図13】該キースイッチの保持プレートの要部平面図である。
【図14】図13のD−D線に沿う断面図である。
【図15】該キースイッチの内側レバー部材の成形金型を示す平面図である。
【図16】該内側レバー部材の成形過程の型開き前の状態を示す断面図である。
【図17】該キースイッチの外側レバー部材の成形金型を示す平面図である。
【図18】該外側レバー部材の成形過程の型開き前の状態を示す断面図である。
【図19】本発明の他の実施形態例に係るプレートの平面図である。
【符号の説明】
1 キートップ
2 アクチュエータ
3 内側レバー部材
3b 回動軸
3c スライドピン
3d 連結軸
4 外側レバー部材
4b スライド軸
4c 回動ピン
4d 軸挿入穴
5 プレート
5a 第1の切り起こし部
5b 第2の切り起こし部
5c 第3の切り起こし部
5d 透孔
6 保持プレート
6a 係止孔
6b 透孔
7 メンブレンスイッチ
8 クリックゴム(弾性部材)
9 支持板
10 クロスリンク体
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キーボード入力装置に配設されるキースイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】キーボード入力装置の薄型化に好適なキースイッチとして、近年、交差状にリンク結合させた一対のレバー部材の上端部でキートップを支持し、このキートップの昇降動作に伴って一対のレバー部材の交差する角度が変化するように構成したものが、特許第2779604号公報等に開示されている。
【0003】かかる従来のキースイッチは、一対のレバー部材を互いの交差部位でリンク結合させてなるクロスリンク体と、このクロスリンク体の上端部に支持されたキートップと、このキートップを上方へ付勢するクリックゴム等の弾性部材と、この弾性部材を搭載したメンブレンスイッチと、このメンブレンスイッチが載置される金属板製の支持板とで概略構成されており、メンブレンスイッチを貫通して上方へ突出する支持板の切り起こし部がクロスリンク体の下端部を支持している。すなわち、クロスリンク体を構成する一方のレバー部材の上端部をキートップの裏面に回動自在に係合させ、かつ下端部を支持板の切り起こし部にスライド移動自在に係合させると共に、クロスリンク体を構成する他方のレバー部材の上端部をキートップの裏面にスライド移動自在に係合させ、かつ下端部を支持板の切り起こし部に回動自在に係合させているので、このクロスリンク体によってキートップの昇降動作を案内することができる。なお、メンブレンスイッチのスイッチ部には、スペーサの開口部を介して対向する上部電極と下部電極とが形成されていて、前記弾性部材が座屈すると上部電極が押し込まれて下部電極に接触し、スイッチオンするようになっている。
【0004】このように構成されるキースイッチは、操作者がキートップを押し込むと一対のレバー部材が傾倒してクロスリンク体が押し畳まれていき、キートップが所定量下降した時点で、弾性部材が座屈してメンブレンスイッチの上部電極が下部電極に接触するためスイッチオン状態となる。また、かかるスイッチオン状態でキートップに対する押圧操作力が除去されると、座屈していた弾性部材が自身の弾性で元の形状に戻るので、メンブレンスイッチの上部電極が下部電極から離間してスイッチオフ状態に復帰すると共に、傾倒していた一対のレバー部材を起立させながらキートップが初期位置まで押し上げられていく。
【0005】そして、このようにクロスリンク体を用いてキートップを支持する構成を採用すると、キーステムを案内壁に沿って摺動させるという従来一般的であった構成に比べて、良好な操作性を確保しつつキースイッチの高さ寸法を大幅に低減できるというメリットがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来技術において、各キートップをそれぞれクロスリンク体にて支持しているキーボード入力装置の支持板には、多数のクロスリンク体の下端部と個別に係合する多数の切り起こし部が設けられているので、これらの切り起こし部を上方へ突出させるための挿通孔がメンブレンスイッチの各所に形成されている。しかしながら、最近のキーボード入力装置はキースイッチどうしの隣接間隔が狭く各キースイッチの大きさも小さくなっているので、メンブレンスイッチに前記挿通孔を多数設けると、その上部電極や下部電極から取り出す引き廻しパターンのレイアウトが著しく制約されてしまい、設計自由度や信頼性の低下を余儀なくされるという問題点があった。
【0007】また、上述した従来技術では、支持板の切り起こし部に取り付けてからでないとクロスリンク体の動作不良の有無が確認できないので、組立段階で一つのクロスリンク体に動作不良が発見された場合、既設のクロスリンク体やメンブレンスイッチ等をすべて破棄するか、あるいは不良品のクロスリンク体を取り外す煩雑な作業を行わねばならない。したがって、組立段階で既設部品の無駄や作業性の悪化が発生しやすいという問題点もあった。
【0008】本発明はこのような従来技術の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、メンブレンスイッチに引き廻しパターンのレイアウトを制約する多数の孔を設ける必要がなく、かつ組立段階でクロスリンク体の動作不良に効率よく対応できる、キースイッチを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成するため、本発明によるキースイッチは、互いの交差部位を回動自在に連結せしめた一対のレバー部材と、これら一対のレバー部材に昇降可能に支持されたキートップと、前記一対のレバー部材を搭載して支持するプレートと、このプレートを搭載して係止する保持プレートと、前記キートップを上方へ付勢する弾性部材と、前記キートップの昇降動作に伴いスイッチング動作を行うメンブレンスイッチと、このメンブレンスイッチが載置される支持板とを備え、前記プレートおよび前記保持プレートに前記弾性部材を挿入せしめる透孔を設けると共に、前記メンブレンスイッチを前記保持プレートと前記支持板とで挟持することとした。
【0010】このように構成されるキースイッチは、プレート上に一対のレバー部材を取り付けてユニット化したクロスリンク体が形成できるので、予めクロスリンク体の動作不良の有無を確認することができる。それゆえ、不良品のクロスリンク体を組み込んでしまう心配がなくなり、組立段階での既設部品の無駄や作業性の悪化が回避できる。しかも、クロスリンク体を搭載して支持するプレートを保持プレート上に設置できるので、クロスリンク体の下端部と係合させる切り起こし部を支持板に設ける必要がなく、よって切り起こし部を挿通させるための多数の孔をメンブレンスイッチに設ける必要がなくなる。それゆえ、メンブレンスイッチに引き廻しパターン用の十分に広いスペースを確保することができて、その設計自由度や信頼性が向上させやすくなる。
【0011】また、前記プレートに、一方の前記レバー部材の下端部を回動自在に係合せしめる第1の切り起こし部と、他方の前記レバー部材の下端部をスライド移動自在に係合せしめる第2の切り起こし部とを設けておけば、クロスリンク体を円滑に動作させやすくなる。
【0012】また、前記プレートに、複数対の前記レバー部材を搭載して支持させるようにしておけば、複数のクロスリンク体を並設したユニットが得られるので、キーボード入力装置のキースイッチ組立作業が効率よく行える。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態例を図面を参照しつつ説明する。
【0014】図1は本発明の一実施形態例を示すキースイッチの断面図、図2は該キースイッチの平面図、図3は該キースイッチのキートップの裏面図、図4は該キースイッチの内側レバー部材の平面図、図5は図4のA−A線に沿う断面図、図6は該キースイッチの外側レバー部材の平面図、図7は図6のB−B線に沿う断面図、図8R>8は該キースイッチのアクチュエータの平面図、図9は図8のC−C線に沿う断面図、図10は該キースイッチのプレートの平面図、図11は該プレートの側面図、図12は該キースイッチのユニット化したクロスリンク体を示す斜視図、図13は該キースイッチの保持プレートの要部平面図、図14は図13のD−D線に沿う断面図、図15は該キースイッチの内側レバー部材の成形金型を示す平面図、図16は該内側レバー部材の成形過程の型開き前の状態を示す断面図、図17は該キースイッチの外側レバー部材の成形金型を示す平面図、図18は該外側レバー部材の成形過程の型開き前の状態を示す断面図である。
【0015】これらの図に示すキースイッチは、キートップ1と、このキートップ1の裏側を係止しているアクチュエータ2と、このアクチュエータ2を介してキートップ1を昇降可能に支持している内側レバー部材3および外側レバー部材4と、これら一対のレバー部材3,4を搭載して支持しているプレート5と、このプレート5を搭載して係止している保持プレート6と、キートップ1の昇降動作に伴いスイッチング動作を行うメンブレンスイッチ7と、このメンブレンスイッチ7上に搭載されアクチュエータ2を介してキートップ1を上方へ付勢しているクリックゴム8と、メンブレンスイッチ7を載置している支持板9とによって概略構成されている。そして、このキースイッチは、キーボード入力装置に配設される。
【0016】このキースイッチの各部の構成について詳しく説明すると、キートップ1の裏側には、図1,3に示すように、一対の嵌合突起1a,1bが形成されている。一方、アクチュエータ2には、図8,9に示すように、一対の係止孔2a,2bが形成されていて、これらの係止孔2a,2bに嵌合突起1a,1bを圧入させることにより、キートップ1とアクチュエータ2とが一体化されている。このアクチュエータ2には長手方向一端部に、内側レバー部材3の上端部を回動自在に係合させるための軸溝2cが形成されていると共に、長手方向他端部に、外側レバー部材4の上端部をスライド移動自在に係合させるためのせり出し部2dが形成されている。また、アクチュエータ2の底面中央部には、倒椀状のクリックゴム8の上端面に当接する押圧部2eが形成されている。
【0017】内側レバー部材3は、図4,5に示すように、一対の傾倒脚部3aの上端側に回動軸3bを設け、かつ下端側にスライドピン3cを突設した枠状に形成されていて、各傾倒脚部3aの外側面の中ほどには側方へ突出する連結軸3dが形成されている。この内側レバー部材3の回動軸3bはアクチュエータ2の軸溝2cに回動自在に係合され、スライドピン3cは後述するプレート5の第1の切り起こし部5aにスライド移動自在に係合される。また、外側レバー部材4は、図6,7に示すように、一対の傾倒脚部4aの上端側にスライド軸4bを設け、かつ下端側に回動ピン4cを突設したコ字形状に形成されていて、各傾倒脚部4aの中ほどには内側から外側へと貫通する軸挿入穴4dが形成されている。この外側レバー部材4のスライド軸4bはアクチュエータ2のせり出し部2dにスライド移動自在に係合され、回動ピン4cは後述するプレート5の第2の切り起こし部5bに回動自在に係合される。これらのレバー部材3,4は、互いの交差部位を回動自在に連結してクロスリンク体10を構成している。すなわち、外側レバー部材4の軸挿入穴4dに内側レバー部材3の連結軸3dが枢着状態で挿入されている。このクロスリンク体10は、両レバー部材3,4の傾倒脚部3a,4aの傾倒角度に応じて、高さが変化するようになっている。
【0018】これらのレバー部材3,4を、本実施形態例では、2色成形加工技術を利用して成形した。具体的には、まず図15,16に示すように、コ字形のキャビティ11aや凹部11bやゲート11c等を有する固定金型11と、凹部11bに嵌合する凸部12a等を有する可動金型12とを型締めした状態で、ゲート11cからキャビティ11a内に、収縮率が比較的小さい第1の樹脂材料13(例えば収縮率が4/1000のABS樹脂)を注入して冷却・固化させ、外側レバー部材4を成形する。その際、キャビティ11a内には予め、図示せぬスライドコアを挿入しておき、第1の樹脂材料13が固化した段階で、各傾倒脚部4aの中ほどに軸挿入穴4dが形成されるようにしておく。しかる後、固定金型11から離間させた可動金型12を180度回転させてから平行移動させることにより、図17,18に示すように、枠状のキャビティ14aや凹部14b(ただし両者14a,14bは連通している)やゲート14c等を有する固定金型14と、前記可動金型12とを型締めした状態で、ゲート14cからキャビティ14a内に、収縮率が比較的大きい第2の樹脂材料15(例えば収縮率が20/1000のポリアセタール樹脂)を注入して冷却・固化させ、内側レバー部材3を成形する。このとき、外側レバー部材4の軸挿入穴4dを固定金型14のキャビティ14aと連通させておくことにより、軸挿入穴4d内にも第2の樹脂材料15が充填されるので、これが固化すると連結軸3dとなる。すなわち、第1の樹脂材料13よりも第2の樹脂材料15のほうが収縮率が大きいので、軸挿入穴4d内で第2の樹脂材料15を冷却・固化させて連結軸3dを成形すると、両者4d,3dの間にはクリアランスが生じ、よって連結軸3dは軸挿入穴4d内に枢着状態で成形されることとなる。
【0019】金属板をプレス加工してなるプレート5には、図10,11に示すように、前記スライドピン3cをスライド移動自在に係合させるための一対の第1の切り起こし部5aと、前記回動ピン4cを回動自在に係合させるための一対の第2の切り起こし部5bと、3か所に突設されて後述する保持プレート6の係止孔6aに挿入される第3の切り起こし部5cと、後述するクリックゴム8を挿入させるための透孔5dとが形成されている。つまり、このプレート5上に、内側レバー部材3の下端部をスライド移動自在に係合させ、かつ外側レバー部材4の下端部を回動自在に係合させた状態で、クロスリンク体10が設置される。したがって、クロスリンク体10は、交差角度を変化させる傾倒脚部3a,4aの傾倒動作を許容された状態でプレート5上に取り付けられることとなり、ユニット化されたクロスリンク体10が得られる。なお、前述の如く、内側レバー部材3の上端部はアクチュエータ2に回動自在に係合され、かつ外側レバー部材4の上端部はアクチュエータ2にスライド移動自在に係合されているので、結局、アクチュエータ2とクロスリンク体10とプレート5とがユニットを構成している(図12参照)。
【0020】金属板をプレス加工してなる保持プレート6には、図13に示すように、プレート5の第3の切り起こし部5cを挿入するための係止孔6aと、後述するクリックゴム8を挿入させるための透孔6bとが形成されている。
【0021】シート状スイッチ素子としてのメンブレンスイッチ7は、上部シートと下部シートの間にスペーサを介在させた公知のもので、保持プレート6と支持板9との間に挟持されている。このメンブレンスイッチ7のスイッチ部は、プレート5の透孔5dや保持プレート6の透孔6bの下方に位置させてある。なお、このスイッチ部には、スペーサの開口部を介して対向する上部電極と下部電極とが形成されている。
【0022】倒椀状のクリックゴム8は、その上端面をアクチュエータ2の押圧部2eに当接させた状態で、メンブレンスイッチ7上に載置されている。このクリックゴム8の内側には押圧突起8aが下向きに突設されていて、この押圧突起8aの下方にメンブレンスイッチ7の上部電極を位置させている。
【0023】次に、このように構成されるキースイッチの動作について説明する。いま、図1に示すスイッチオフ状態で、操作者がキートップ1を押し込むと、アクチュエータ2の下降に伴い一対のレバー部材3,4の傾倒脚部3a,4aが傾倒して、クロスリンク体10が押し畳まれていく。そして、キートップ1が所定量下降した時点で、アクチュエータ2の押圧部2eに押し込まれたクリックゴム8が座屈して、押圧突起8aがメンブレンスイッチ7の上部シートを押し撓めるため、スイッチ部の上部電極が下部電極に接触してスイッチオン状態となる。また、かかるスイッチオン状態でキートップ1に対する押圧操作力を除去すると、座屈していたクリックゴム8が自身の弾性で元の形状に戻るので、メンブレンスイッチ7の上部電極が下部電極から離間してスイッチオフ状態に復帰すると共に、アクチュエータ2が押し上げられることからクロスリンク体10が立ち上がっていき、キートップ1も初期位置まで押し上げられていく。
【0024】本実施形態例では上述したように、切り起こし部5a,5bを有するプレート5上に一対のレバー部材3,4を取り付けて、ユニット化したクロスリンク体10を構成しているので、メンブレンスイッチ7上に組み込む前にクロスリンク体10の動作不良の有無を確認することができる。しかも、このプレート5を保持プレート6上に設置しており、支持板9にはクロスリンク体10の下端部と係合させるための切り起こし部を設ける必要がないので、該切り起こし部を挿通させるための多数の孔をメンブレンスイッチ7に設ける必要がなくなって、メンブレンスイッチ7に引き廻しパターン用の十分に広いスペースを確保することができる。
【0025】また、本実施形態例では、組立段階で、一対のレバー部材3,4の上端部を係合・支持しているアクチュエータ2に対して、キートップ1の嵌合突起1a,1bを圧入させればよいため、ユニット化したクロスリンク体10をメンブレンスイッチ7上の保持プレート6に搭載して組み付けた後、極めて簡単にキートップ1を取り付けることができる。ただし、本発明は、一対のレバー部材3,4の上端部を直接キートップ1に係合させる構成のキースイッチにも適用可能である。
【0026】また、本実施形態例では、外側レバー部材4と内側レバー部材3を順次成形して、軸挿入穴4d内に連結軸3dを枢着状態で係合せしめたクロスリンク体10となしているので、これら一対のレバー部材3,4を手作業で連結するという煩雑な組立作業を強いられることがなく、組立作業性が大幅に向上している。ただし、別々に成形した内側レバー部材3と外側レバー部材4とを連結してクロスリンク体10となしてもよい。
【0027】図19は、本発明の他の実施形態例に係るプレートの平面図である。同図に示すように、複数対のレバー部材3,4を搭載して支持可能な横長のプレート5を用いると、1枚のプレート5上に複数個(図19の場合は4個)のクロスリンク体10を並設してユニット化することができるので、キーボード入力装置のキースイッチ組立作業が効率よく行える。
【0028】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0029】プレート上に一対のレバー部材を取り付けてユニット化したクロスリンク体が形成できるので、予めクロスリンク体の動作不良の有無を確認することができ、よって組立段階での既設部品の無駄や作業性の悪化が回避できる。また、クロスリンク体を搭載して支持するプレートを、支持板との間にメンブレンスイッチを挟持している保持プレート上に設置できるので、メンブレンスイッチにはクロスリンク体用の切り起こし部を挿通させるための多数の孔を設ける必要がない。つまり、メンブレンスイッチに引き廻しパターンのレイアウトを制約する多数の孔を設ける必要がなくなるので、その設計自由度や信頼性が向上させやすい。
【0030】また、プレートに、複数対のレバー部材を搭載して支持させるようにしておけば、複数のクロスリンク体を並設したユニットが得られるので、キーボード入力装置のキースイッチ組立作業が効率よく行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例を示すキースイッチの断面図である。
【図2】該キースイッチの平面図である。
【図3】該キースイッチのキートップの裏面図である。
【図4】該キースイッチの内側レバー部材の平面図である。
【図5】図4のA−A線に沿う断面図である。
【図6】該キースイッチの外側レバー部材の平面図である。
【図7】図6のB−B線に沿う断面図である。
【図8】該キースイッチのアクチュエータの平面図である。
【図9】図8のC−C線に沿う断面図である。
【図10】該キースイッチのプレートの平面図である。
【図11】該プレートの側面図である。
【図12】該キースイッチのユニット化したクロスリンク体を示す斜視図である。
【図13】該キースイッチの保持プレートの要部平面図である。
【図14】図13のD−D線に沿う断面図である。
【図15】該キースイッチの内側レバー部材の成形金型を示す平面図である。
【図16】該内側レバー部材の成形過程の型開き前の状態を示す断面図である。
【図17】該キースイッチの外側レバー部材の成形金型を示す平面図である。
【図18】該外側レバー部材の成形過程の型開き前の状態を示す断面図である。
【図19】本発明の他の実施形態例に係るプレートの平面図である。
【符号の説明】
1 キートップ
2 アクチュエータ
3 内側レバー部材
3b 回動軸
3c スライドピン
3d 連結軸
4 外側レバー部材
4b スライド軸
4c 回動ピン
4d 軸挿入穴
5 プレート
5a 第1の切り起こし部
5b 第2の切り起こし部
5c 第3の切り起こし部
5d 透孔
6 保持プレート
6a 係止孔
6b 透孔
7 メンブレンスイッチ
8 クリックゴム(弾性部材)
9 支持板
10 クロスリンク体
【特許請求の範囲】
【請求項1】 互いの交差部位を回動自在に連結せしめた一対のレバー部材と、これら一対のレバー部材に昇降可能に支持されたキートップと、前記一対のレバー部材を搭載して支持するプレートと、このプレートを搭載して係止する保持プレートと、前記キートップを上方へ付勢する弾性部材と、前記キートップの昇降動作に伴いスイッチング動作を行うシート状スイッチ素子と、このシート状スイッチ素子が載置される支持板とを備え、前記プレートおよび前記保持プレートに前記弾性部材を挿入せしめる透孔を設けると共に、前記シート状スイッチ素子を前記保持プレートと前記支持板とで挟持したことを特徴とするキースイッチ。
【請求項2】 請求項1の記載において、前記プレートに、一方の前記レバー部材の下端部を回動自在に係合せしめる第1の切り起こし部と、他方の前記レバー部材の下端部をスライド移動自在に係合せしめる第2の切り起こし部とを設けたことを特徴とするキースイッチ。
【請求項3】 請求項1または2の記載において、前記プレートに、複数対の前記レバー部材を搭載して支持させたことを特徴とするキースイッチ。
【請求項1】 互いの交差部位を回動自在に連結せしめた一対のレバー部材と、これら一対のレバー部材に昇降可能に支持されたキートップと、前記一対のレバー部材を搭載して支持するプレートと、このプレートを搭載して係止する保持プレートと、前記キートップを上方へ付勢する弾性部材と、前記キートップの昇降動作に伴いスイッチング動作を行うシート状スイッチ素子と、このシート状スイッチ素子が載置される支持板とを備え、前記プレートおよび前記保持プレートに前記弾性部材を挿入せしめる透孔を設けると共に、前記シート状スイッチ素子を前記保持プレートと前記支持板とで挟持したことを特徴とするキースイッチ。
【請求項2】 請求項1の記載において、前記プレートに、一方の前記レバー部材の下端部を回動自在に係合せしめる第1の切り起こし部と、他方の前記レバー部材の下端部をスライド移動自在に係合せしめる第2の切り起こし部とを設けたことを特徴とするキースイッチ。
【請求項3】 請求項1または2の記載において、前記プレートに、複数対の前記レバー部材を搭載して支持させたことを特徴とするキースイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図14】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図14】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2001−143561(P2001−143561A)
【公開日】平成13年5月25日(2001.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−321232
【出願日】平成11年11月11日(1999.11.11)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成13年5月25日(2001.5.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成11年11月11日(1999.11.11)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]