説明

ギョウザ加熱用プレート並びにギョウザの加熱方法

【課題】水分含量が低い部分と水分含量が高い部分とを併せ持つギョウザを簡単に得ることができる、ギョウザ加熱用プレート並びにギョウザの加熱方法を提供する。
【解決手段】ギョウザ加熱用プレート1は、本体2と、本体2の一方の面に形成されると共に、本体2の一方の面における形状は略円形物が二つ折りされた形状すなわち略ギョウザの形状に構成された凹部3とを備える。ギョウザ加熱用プレート1の凹部3に、水を注入し、水が注入された凹部3にギョウザを配置し、オーブン内に入れて、1000ワットで7分間加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はギョウザ加熱用プレート並びにギョウザの加熱方法に関する。詳しくは、食感の良いギョウザを簡単に得るためのギョウザ加熱用プレート並びにギョウザの加熱方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
調理済み若しくは下ごしらえ(半調理)済みである冷凍食品は、調理の省力化に役立つことから、飲食店や一般家庭に広く普及している。
【0003】
例えば、特許文献1には、食用油脂5〜60重量%、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2重量%以上である乳原料を固形分として0.1〜8重量%、アルギン酸及び/又はアルギン酸塩0.1〜3重量%、及びカルシウムを含有する組成物を使用した冷凍畜肉加工食品が記載されている。このような組成物を使用しているので、畜肉加工食品にジューシー感のある優れた食感を付与することができ、加熱調理時の肉汁流出や解凍時のドリップ(解凍液)が抑制され、歩留まりを向上させることができる。
【0004】
また、冷凍食品は、食される前に、フライパンで加熱されたり、電子レンジで加熱されたりして解凍される必要がある。例えば、味の素株式会社が販売している冷凍ギョウザは、油を使わずにフライパンに水を入れて加熱されることで、食べることができる状態となる。
【0005】
また、株式会社セブン&アイ・ホールディングスが販売している冷凍焼き餃子は、電子レンジで袋ごと加熱されるだけで、食べることができる状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−46090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところでギョウザは、水分含量が低くパリパリとした食感と、水分含量が高く「もちもち」とした食感とを併せ持ったものが人気である。
【0008】
しかし、電子レンジやフライパンなどで冷凍食品を解凍した後、食べるまでの間に、解凍時に発生した水蒸気が凝結し、その水分が、水分含量の低いパリパリした部分に移行し、パリパリした部分がなくなって、ギョウザ全体が軟化してしまう。その結果、ギョウザの食感を損なっていた。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、水分含量が低い部分と水分含量が高い部分とを併せ持つギョウザを簡単に得ることができるギョウザ加熱用プレート、並びにこのようなギョウザ加熱用プレートを用いたギョウザの加熱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明のギョウザ加熱用プレートは、本体と、該本体の少なくとも一方の面に形成されると共に、同面における形状は略円形物が二つ折りされた形状に構成された凹部とを備える。
【0011】
また、上記の目的を達成するために、本発明のギョウザの加熱方法は、本体と、該本体の少なくとも一方の面に形成されると共に、同面における形状は略円形物が二つ折りされた形状に構成された凹部とを有するギョウザ加熱用プレートの前記凹部に、ギョウザを配置するギョウザ配置工程と、該ギョウザ配置工程によって前記凹部に前記ギョウザが配置された前記ギョウザ加熱用プレートを、オーブンによって加熱する加熱工程とを備える。
【0012】
ここで、凹部は、略円形物が二つ折りされた形状に構成されているので、ギョウザの形状に適した形状であり、凹部の内面とギョウザとの間に隙間が形成されることを抑制でき、よって、この隙間から蒸気が漏れることを抑制できる。
【0013】
また、本発明のギョウザ加熱用プレートは、本体の凹部が形成された面を覆うカバー面と、凹部の位置に対応してカバー面に形成されると共に、カバー面における形状は略円形物が二つ折りされた形状に構成され、更に、カバー面における面積は本体の凹部が形成された面における凹部の面積よりも小さい貫通孔とを有するカバー体を備えることにしてもよい。
【0014】
また、本発明のギョウザの加熱方法は、ギョウザ加熱用プレートとして、本体の凹部が形成された面を覆うカバー面と、凹部の位置に対応してカバー面に形成されると共に、カバー面における形状は略円形物が二つ折りされた形状に構成され、更に、前記カバー面における面積は前記本体の前記凹部が形成された面における前記凹部の面積よりも小さい貫通孔とを含むカバー体を有するギョウザ加熱用プレートを用いることにしてもよい。
【0015】
この場合、カバー面における面積は本体の凹部が形成された面における凹部の面積よりも小さい貫通孔によって、凹部の内面とギョウザとの間に隙間が形成されていても、カバー体がこの隙間を覆うため、隙間からの蒸気の漏れを抑制できる。
【0016】
また、上記の目的を達成するために、本発明のギョウザ加熱用プレートは、本体と、該本体の少なくとも一方の面に形成されると共に、同面における形状は略ギョウザの形状に構成された凹部とを備える。
【0017】
ここで、凹部は、略ギョウザの形状に構成されているので、ギョウザの形状に適した形状であり、凹部の内面とギョウザとの間に隙間が形成されることを抑制でき、よって、この隙間から蒸気が漏れることを抑制できる。
【0018】
また、本発明のギョウザの加熱方法は、凹部に水分を注入する水分注入工程を備え、水分注入工程の後にギョウザ配置工程を行なうことにしてもよい。
【0019】
この場合、凹部内に収まったギョウザの部分の水分含量を高くすることができる。
【0020】
また、本発明のギョウザの加熱方法は、ギョウザ配置工程の後に、前記凹部が形成された面におけるギョウザと前記凹部との間の隙間にアルミニウム箔を挿入するアルミニウム箔挿入工程を備えることにしてもよい。
【0021】
この場合、凹部の内面とギョウザとの間の隙間に挿入されたアルミニウム箔によって、隙間からの蒸気の漏れを抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るギョウザ加熱用プレートおよびギョウザの加熱方法は、水分含量が低い部分と水分含量が高い部分とを併せ持つギョウザを簡単に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のギョウザ加熱用プレートの一例を示す概略平面図(a)と、概略平面図(a)のA−A線に沿った概略断面図(b)である。
【図2】本発明のギョウザ加熱用プレートの他の例を示す概略図である。
【図3】本発明のギョウザ加熱用プレートの本体をカバー体で覆った状態を示す概略拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明のギョウザ加熱用プレートの一例を示す概略平面図(a)と、概略平面図(a)のA−A線に沿った概略断面図(b)である。
【0025】
図1(a)に示すように、本発明のギョウザ加熱用プレート1は、陶器製であると共に長方形の本体2と、本体2の一方の面に形成されると共に、本体2の一方の面における形状は略円形物が二つ折りされた形状に構成された凹部3とを備える。ここで、略円形物とは、ギョウザの皮である。すなわち、凹部3は、略ギョウザの形状に構成されている。
【0026】
また、ギョウザ加熱用プレート1をオーブン内に入れたりオーブンから出したりするために、本体2の両端には、本体2を把持するための把持用穴5が形成された把持部4が設けられている。
【0027】
また、凹部3の深さは、具が入った通常のギョウザの厚みに略等しい。
【0028】
ここで、本体は陶器製であるが、オーブンによる加熱に耐えることができる素材であれば、必ずしも陶器製でなくてもよい。例えば、本体は金属製であってもよい。
【0029】
また、本体には3個の凹部が形成されているが、必ずしも凹部の数はこれに限定されるものではない。例えば、本体が陶器製の場合は、5〜12個の凹部が形成されていてもよく、また、本体が金属製の場合は、10〜12個の凹部が形成されていてもよい。
また、凹部は1個だけでもよい。
【0030】
また、ギョウザ加熱用プレートは、本体と、本体の少なくとも一方の面に形成されると共に、一方の面における形状は略円形物が二つ折りされた形状に構成された凹部とを備えるのであれば、本体の形状は必ずしも長方形でなくてもよい。例えば、本体の形状を円形や三角形とすることもできる。
【0031】
また、ギョウザ加熱用プレートは、本体と、本体の少なくとも一方の面に形成されると共に、一方の面における形状は略円形物が二つ折りされた形状に構成された凹部とを備えるのであれば、本体の両面に凹部が形成されていてもよい。
【0032】
図2は、本発明のギョウザ加熱用プレートの他の例を示す概略図である。また、図3は、本発明のギョウザ加熱用プレートの本体をカバー体で覆った状態を示す概略拡大断面図である。
【0033】
図2に示すように、本発明のギョウザ加熱用プレート1は、図1に示す例と同様の本体2および凹部3を備え、さらに、本体2と略同じ形状であると共に陶器製のカバー体6を備える。
【0034】
また、カバー体6は、本体2の凹部3が形成された面を覆うカバー面7と、凹部3の位置に対応してカバー面7に形成されると共に、カバー面7における形状は略円形物が二つ折りされた形状に構成され、更に、カバー面7における面積は本体2の凹部3が形成された面における凹部3の面積よりも小さい貫通孔8とを有する。
【0035】
また、図2に示すように、カバー体6は、本体2の凹部3が形成された面に被せられる。また、カバー体6は、本体2から取外すことができる。
【0036】
また、カバー体6の貫通孔8のカバー面7における面積は、本体2の凹部3が形成された面における凹部3の面積よりも小さいので、図3に示すように、凹部3の内面とギョウザ9との間に隙間10が形成されていても、カバー体6がこの隙間10を覆うため、隙間10からの蒸気の漏れを抑制できる。従って、貫通孔8に位置するギョウザ9の面に蒸気が当たりにくくなる。
また、図3に示すように、凹部3の断面形状は、略ギョウザの形状に構成されている。しかし、凹部の断面形状は、これに限定されるものではない。
【0037】
ここで、カバー体は、本体に着脱可能に取付けられるが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、本体とカバー体がどちらも金属製であれば、本体の一端とカバー体の一端とを蝶番などで連結させて、折りたたみ型にすることもできる。また、カバー体を、本体にスライド可能に取付けて、スライド型にすることもできる。
【0038】
また、ギョウザ加熱用プレートは、本体と、本体の少なくとも一方の面に形成されると共に、一方の面における形状は略円形物が二つ折りされた形状に構成された凹部とを備えるのであれば、必ずしもカバー体を備えなくてもよい。しかし、本発明のギョウザ加熱用プレートがカバー体を備えていれば、凹部の内面とギョウザとの間に隙間が形成されていても、カバー体がこの隙間を覆うため、隙間からの蒸気の漏れを抑制できるので好ましい。
【0039】
次に、本発明のギョウザ加熱用プレートを用いたギョウザの加熱方法の一例について説明する。
本体2と、本体2の一方の面に形成されると共に、本体2の一方の面における形状は略円形物が二つ折りされた形状に構成された凹部3とを備えるギョウザ加熱用プレート1の凹部3に、水を注入する(水分注入工程)。
【0040】
次に、水が注入された凹部3に、加熱済みの冷凍ギョウザを配置する(ギョウザ配置工程)。
さらに、図2に示すカバー体6を、本体2の凹部3が形成された面に被せ、カバー体6を被せた本体2を、オーブン内に入れて、1000ワットで7分間加熱する(加熱工程)。
【0041】
ここで、カバー体を、本体の凹部が形成された面に被せる代わりに、凹部の内面とギョウザとの間に隙間が形成されていれば、その隙間にアルミニウム箔を挿入することもできる。
【0042】
また、必ずしも水分注入工程を行なう必要はないが、水分注入工程を行なうことによって、凹部内に収まったギョウザの部分の水分含量を高くすることができるので好ましい。
【0043】
また、加熱済みの冷凍ギョウザを使った例を挙げているが、未加熱のギョウザを凹部に配置して加熱することもできる。
【0044】
以上のように、本発明のギョウザ加熱用プレートは、本体の一方の面における形状は略円形物が二つ折りされた形状すなわち略ギョウザの形状に構成された凹部を備えるので、凹部の内面とギョウザとの間に隙間が形成されることを抑制でき、よって、この隙間から蒸気が漏れることを抑制できる。
【0045】
その結果、凹部内に位置するギョウザの部分は水分含量が高く、一方で凹部が形成された本体の面と略同一面に位置するギョウザの部分は、オーブンによって加熱されしかも蒸気の漏れによる水分が当たることもないので水分含量が低い部分となる。よって、水分含量が低い部分と水分含量が高い部分とを併せ持つギョウザを簡単に得ることができる。
【0046】
また、本発明のギョウザ加熱用プレートは、本体の凹部が形成された面を覆うカバー面と、凹部の位置に対応してカバー面に形成されると共に、カバー面における形状は略円形物が二つ折りされた形状に構成され、更に、カバー面における面積は本体の凹部が形成された面における凹部の面積よりも小さい貫通孔とを有するカバー体を備えている。
【0047】
このような構成により、仮に凹部の内面とギョウザとの間に隙間が形成されても、カバー体がこの隙間を覆うため、隙間からの蒸気の漏れを抑制できる。
【0048】
また、ギョウザの販売店において、本発明のギョウザ加熱用プレートを用いれば、焼き上げて冷凍していたギョウザを再加熱して、水分含量が低い部分と水分含量が高い部分とを併せ持つギョウザを簡単に得ることができるので、本発明のギョウザ加熱用プレートは、冷凍ギョウザ販売の強力な武器となる。
【符号の説明】
【0049】
1 ギョウザ加熱用プレート
2 本体
3 凹部
4 把持部
5 把持用穴
6 カバー体
7 カバー面
8 貫通孔
9 ギョウザ
10 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
該本体の少なくとも一方の面に形成されると共に、同面における形状は略円形物が二つ折りされた形状に構成された凹部とを備える
ギョウザ加熱用プレート。
【請求項2】
前記本体の前記凹部が形成された面を覆うカバー面と、
前記凹部の位置に対応して前記カバー面に形成されると共に、前記カバー面における形状は略円形物が二つ折りされた形状に構成され、更に、前記カバー面における面積は前記本体の前記凹部が形成された面における前記凹部の面積よりも小さい貫通孔とを有するカバー体を備える
請求項1に記載のギョウザ加熱用プレート。
【請求項3】
本体と、
該本体の少なくとも一方の面に形成されると共に、同面における形状は略ギョウザの形状に構成された凹部とを備える
ギョウザ加熱用プレート。
【請求項4】
本体と、
該本体の少なくとも一方の面に形成されると共に、同面における形状は略円形物が二つ折りされた形状に構成された凹部とを有するギョウザ加熱用プレートの前記凹部に、ギョウザを配置するギョウザ配置工程と、
該ギョウザ配置工程によって前記凹部に前記ギョウザが配置された前記ギョウザ加熱用プレートを、オーブンによって加熱する加熱工程とを備える
ギョウザの加熱方法。
【請求項5】
前記凹部に水分を注入する水分注入工程を備え、
該水分注入工程の後に前記ギョウザ配置工程を行なう
請求項4に記載のギョウザの加熱方法。
【請求項6】
前記ギョウザ加熱用プレートとして、前記本体の前記凹部が形成された面を覆うカバー面と、前記凹部の位置に対応して前記カバー面に形成されると共に、前記カバー面における形状は略円形物が二つ折りされた形状に構成され、更に、前記カバー面における面積は前記本体の前記凹部が形成された面における前記凹部の面積よりも小さい貫通孔とを含むカバー体を有するギョウザ加熱用プレートを用いる
請求項4または請求項5に記載のギョウザの加熱方法。
【請求項7】
前記ギョウザ配置工程の後に、前記凹部が形成された面におけるギョウザと前記凹部との間の隙間にアルミニウム箔を挿入するアルミニウム箔挿入工程を備える
請求項4〜6のいずれか1つに記載のギョウザの加熱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−217827(P2011−217827A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87687(P2010−87687)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(510095891)
【出願人】(510095905)
【Fターム(参考)】