説明

クマリン誘導体およびその用途

本発明は、式〔I〕



〔式中、RおよびRはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基を、A環はさらに置換基を有していてもよいベンゼン環を、B環は置換基を有していてもよいベンゼン環を、Rはカルボキシル基またはカルボキシル基で置換された鎖状炭化水素基を示す。〕で表される化合物のアルカリ土類金属塩または有機アミン塩等に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リピド・リッチ・プラーク退縮作用または/およびアシルコエンザイムAコレステロールアシル転移酵素(ACAT)阻害作用を有し、心筋梗塞、不安定狭心症等の冠動脈症候群、末梢動脈閉塞症、高脂血症、脳梗塞、脳卒中、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病等の予防または治療のための医薬として優れた性質を有する新規クマリン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
冠動脈症候群(例えば不安定狭心症、心筋梗塞および虚血性突然死など)は、冠動脈プラーク(粥腫)の破綻に続いて血栓が形成され、冠動脈内腔が閉塞されるために生じる。また、末梢動脈閉塞症は、動脈プラーク(粥腫)の破綻に続いて血栓が形成され、末梢動脈内腔が閉塞されるために生じる。これらの疾患にはプラークの性状が深く関与し、コレステロールなどの脂質を溜め込んだマクロファージが血管内壁に蓄積することにより形成されたリピド・リッチ・プラークは、冠動脈症候群、末梢動脈閉塞症を引き起こす原因といわれている。また、頚動脈あるいは脳内血管でのリピド・リッチ・プラークは、脳卒中あるいは脳梗塞の原因と考えられている。従って、リピド・リッチ・プラークを退縮させ、除去することは、心筋梗塞、不安定狭心症などに代表される冠動脈症候群、末梢動脈閉塞症、脳卒中あるいは脳梗塞の予防または治療に極めて重要である。また、リピド・リッチ・プラークは血中のコレステロール値が高くないヒトでも認められ、かつ、一度形成されたリピド・リッチ・プラークは除去されにくいため、形成されたリピド・リッチ・プラークを効率よく退縮させる薬剤の提供が望まれていた。
これまで、特定構造のクマリン誘導体がリピド・リッチ・プラーク退縮作用または/およびACAT阻害作用を有し、冠動脈症候群等の予防もしくは治療に有用であることが知られている(国際公開第02/06264号パンフレットおよび国際公開第03/059900号パンフレット)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、心筋梗塞、不安定狭心症等の冠動脈症候群、末梢動脈閉塞症、脳卒中および脳梗塞等の予防・治療薬として臨床上更に有用な新規化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、特定の構造を有するクマリン誘導体の新規な塩が、予想外に優れた物性(例えば、結晶性、安定性などの物理化学的性質)ならびに経口吸収性を有し、生体内でリピド・リッチ・プラークを強力に退縮させ、心筋梗塞、不安定狭心症等の冠動脈症候群、末梢動脈閉塞症、脳卒中および脳梗塞等の予防または治療薬として臨床上極めて優れた化合物たりうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明は、
(1)式〔I〕
【化1】

〔式中、RおよびRはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基を、A環はさらに置換基を有していてもよいベンゼン環を、B環は置換基を有していてもよいベンゼン環を、Rはカルボキシル基またはカルボキシル基で置換された鎖状炭化水素基を示す。〕で表される化合物のアルカリ土類金属塩または有機アミン塩;
(2)水和物である上記(1)記載の化合物;
(3)RおよびRがそれぞれハロゲン原子または置換基を有していてもよいC1−7アルキル基である上記(1)記載の化合物;
(4)B環がハロゲン化アルキル基および/またはハロゲン原子で置換されたベンゼン環である上記(1)記載の化合物;
(5)Rが式−(CH−R’〔式中、R’はカルボキシル基を示し、nは0〜6の整数を示す〕で表される基である上記(1)記載の化合物;
(6)Rが式−(CH=CH)n''−R’〔式中、R’はカルボキシル基を示し、n''は1〜3の整数を示す〕で表される基である上記(1)記載の化合物;
(7)アルカリ土類金属塩である上記(1)記載の化合物;
(8)アルカリ土類金属塩がカルシウム塩である上記(7)記載の化合物;
(9)有機アミン塩である上記(1)記載の化合物;
(10)有機アミン塩が一級アミン塩である上記(9)記載の化合物;
(11)一級アミン塩がトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩である上記(10)記載の化合物;
(12)モノカルシウム ビス((2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸)、(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸 トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩、(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸 ジエタノールアミン塩、モノカルシウム ビス(3−{3−[6−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−7−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}プロピオン酸)、およびモノカルシウム ビス(4−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}ブタン酸)からなる群から選ばれた化合物またはその水和物;
(13)式〔I〕
【化2】

〔式中の記号は上記(1)記載と同意義を示す。〕で表される化合物とアルカリ土類金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水素化物とを反応させるか、または、式〔I〕で表される化合物のアルカリ金属塩とアルカリ土類金属ハライドとを反応させることを特徴とする式〔I〕で表される化合物のアルカリ土類金属塩の製造法;
(14)上記(1)記載の化合物の結晶;
(15)上記(1)記載の化合物またはその結晶を含有してなる医薬;
(16)経口製剤である上記(15)記載の医薬;
(17)リピド・リッチ・プラーク退縮剤またはACAT阻害剤である上記(15)記載の医薬;
(18)冠動脈症候群、心筋梗塞、不安定狭心症、PTCAあるいはステント留置後の冠動脈再狭窄、末梢動脈閉塞症、高脂血症、脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、マルチプルリスク症候群もしくは代謝性症候群の予防治療剤または動脈硬化巣もしくはアテローム性動脈硬化巣の退縮、進展抑制もしくは安定化剤である上記(15)記載の医薬;
(19)HMG−CoA還元酵素阻害剤と組み合わせてなる上記(18)記載の動脈硬化巣もしくはアテローム性動脈硬化巣の退縮、進展抑制もしくは安定化剤;
(20)上記(1)記載の化合物の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする哺乳動物におけるリピド・リッチ・プラーク退縮またはACAT阻害方法;
(21)上記(1)記載の化合物の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする哺乳動物における冠動脈症候群、心筋梗塞、不安定狭心症、PTCAあるいはステント留置後の冠動脈再狭窄、末梢動脈閉塞症、高脂血症、脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、マルチプルリスク症候群もしくは代謝性症候群の予防治療または動脈硬化巣もしくはアテローム性動脈硬化巣の退縮、進展抑制もしくは安定化方法;
(22)HMG−CoA還元酵素阻害剤と組み合わせ投与することを特徴とする上記(21)記載の動脈硬化巣もしくはアテローム性動脈硬化巣の退縮、進展抑制もしくは安定化方法;
(23)リピド・リッチ・プラーク退縮剤またはACAT阻害剤の製造のための上記(1)記載の化合物の使用;
(24)冠動脈症候群、心筋梗塞、不安定狭心症、PTCAあるいはステント留置後の冠動脈再狭窄、末梢動脈閉塞症、高脂血症、脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、マルチプルリスク症候群もしくは代謝性症候群の予防治療剤または動脈硬化巣もしくはアテローム性動脈硬化巣の退縮、進展抑制もしくは安定化剤の製造のための上記(1)記載の化合物の使用;
(25)HMG−CoA還元酵素阻害剤と組み合わせることを特徴とする上記(24)記載の動脈硬化巣もしくはアテローム性動脈硬化巣の退縮、進展抑制もしくは安定化剤の製造のための使用;などに関する。
【0006】
上記式〔I〕中、RおよびRはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基を示す。
およびRで表される「置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基」における「鎖状炭化水素基」としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が用いられ、また、アルカジエニル基、アルカトリエニル基などのように、アルキル基における炭素−炭素結合の2ないし3個が二重結合に変換された基であってもよい。
アルキル基としては、例えば炭素数1ないし7の直鎖状または分枝状のアルキル基が用いられ、好ましくは例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1ないし4の直鎖状または分枝状のアルキル基が用いられる。
アルケニル基としては、例えばエテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル等の炭素数2ないし6のアルケニル基が用いられ、好ましくは例えば、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、イソブテニル等の炭素数2ないし4のアルケニル基が用いられる。
アルキニル基としては、例えばエチニル、プロピニル、イソプロピニル、ブチニル、イソブチニル、sec−ブチニル等の炭素数2ないし6のアルキニル基が用いられ、好ましくは例えば、エチニル、プロピニル、イソプロピニル、イソブチニル等の炭素数2ないし4のアルキニル基が用いられる。
アルキル基における炭素−炭素結合の2ないし3個が二重結合に変換された基としては、炭素数3ないし7の直鎖状または分枝状のアルキル基(好ましくは、直鎖状のアルキル基)における炭素−炭素結合の2ないし3個が二重結合に変換された基などが挙げられ、好ましくは、ブタジエニルなどの炭素数4ないし6のアルカジエニル基、1,3,5−ヘキサトリエニルなどのアルカトリエニル基が用いられる。
上記の鎖状炭化水素基としては、例えば炭素数1ないし6の直鎖状または分枝状アルキル基が好ましく、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1ないし4の直鎖状または分枝状のアルキル基が好ましい。
【0007】
およびRで表される「置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基」における置換基としては、例えば置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいチオール基、アシル基、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、オキソ基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよいアルキル基等が挙げられ、該「鎖状炭化水素基」はこれらの任意の置換基で置換可能な位置に1〜5個(好ましくは1〜3個)置換されていてもよい。
【0008】
該「置換基を有していてもよいアリール基」の「アリール基」としては、例えばフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニル等のC6−16アリール基等が挙げられ、なかでもフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10のアリール基が好ましい。該アリール基の置換基としては、(i)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、トリフルオロメロキシ等)、(ii)ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、(iii)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、トリフルオロメチル等)等が挙げられ、該アリール基はこれらの任意の置換基で1〜2個置換されていてもよい。
該「置換基を有していてもよいシクロアルキル基」の「シクロアルキル基」としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等のC3−7シクロアルキル基等が挙げられる。該シクロアルキル基の置換基とその置換数としては、上記置換されていてもよいアリール基における置換基と同様な種類と個数が挙げられる。
該「置換基を有していてもよいシクロアルケニル基」の「シクロアルケニル基」としては、例えばシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等のC3−6シクロアルケニル基等が挙げられる。該シクロアルケニル基の置換基とその置換数としては、上記置換されていてもよいアリール基における置換基と同様な種類と個数が挙げられる。
【0009】
該「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」としては、環系を構成する原子(環原子)として、酸素、硫黄、窒素のうち少なくとも1個好ましくは1〜4個のヘテロ原子をもつ芳香族複素環基及び飽和あるいは不飽和の非芳香族複素環基(脂肪族複素環基)が挙げられるが、好ましくは非芳香族複素環基である。
該「芳香族複素環基」としては、5〜6員の芳香族単環式複素環基(例、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等)及び5〜6員環(上記5〜6員の芳香族単環式複素環、ベンゼン環など)が2〜3個縮合した芳香族縮合複素環基(例:ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ〔b〕チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナトロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジニル等)が挙げられるが、なかでもフリル、チエニル、ピラジニル、ピリジル、ピリミジニルなどの5〜6員芳香族単環式複素環基が好ましい。
該「非芳香族複素環基」としては、例えば、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオラニル、ピペリジル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル等4〜9員非芳香族単環式複素環基(特に、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イルなどの窒素原子以外に酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含んでいてもよい5ないし9員の環状アミノ基)、2,3−ジヒドロインドリル、1,3−ジヒドロイソインドリル等のように上記した非芳香族単環式複素環基1〜2個(好ましくは1個)がベンゼン環1〜2個(好ましくは1個)と縮合した複素環基、上記した非芳香族単環式複素環基1〜2個(好ましくは1個)が上記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基の複素環1〜2個(好ましくは1個)と縮合した複素環基、および1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル等のように上記した芳香族単環式複素環基又は芳香族縮合複素環基の一部又は全部の二重結合が飽和した非芳香族複素環基等が挙げられる。
該複素環基は1〜4個、好ましくは1〜2個の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基(例:メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、n−ヘキシル等)、ハロゲン化されていてもよいC6−12アリール基(例、フェニル)、ヒドロキシ−C6−12アリール基(例、4−ヒドロキシフェニル)、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル)、C7−15アラルキル基(例、ベンジル)、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ−C1−4アルキル基(例えば、プロポキシエチルなど)、炭素原子以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含む5ないし9員の複素環基(例えば、ピペリジル、ピペラニジル、モルホリニル、チエニル、フリル、ピリジル、ピリミジニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリルなど)、ヒドロキシ基、オキソ基、チオキソ基等が挙げられる。
【0010】
該「置換基を有していてもよいアミノ基」(アミノ基、モノ−又はジ−置換アミノ基が含まれる)における置換基としては、例えばハロゲン化されていてもよい低級(C1−6)アルキル(例、メチル、エチル、プロピル等)、ハロゲン化されていてもよいC6−12アリール基(例、フェニル)、炭素原子以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含む5ないし9員の複素環基(例、チエニル、フリル、ピリジル、ピリミジニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル等)、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル−カルボニル基(例、メチルカルボニル、エチルカルボニル等)、C6−12アリール−カルボニル基(例、ベンゾイル等)、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル−スルホニル基、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ−C1−4アルキル基等が挙げられる。また、ジ−置換アミノ基における2個の置換基が窒素原子と一緒になって「環状アミノ基」を形成していてもよく、該「環状アミノ基」としては、例えば1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル(硫黄原子は酸化されていてもよい)、4位がハロゲン化されていてもよい低級アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル等)、ハロゲン化されていてもよいアラルキル(例、ベンジル、フェネチル等のC7−10アラルキル等)、ハロゲン化されていてもよいアリール(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10アリール等)等で置換されていてもよい1−ピペラジニル等の3〜8員(好ましくは5〜6員)の環状アミノ基などが用いられる。
【0011】
該「置換されていてもよいアルキル基」としては、例えばハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)などで置換されていてもよいC1−6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、n−ヘキシルなど)などが挙げられる。
【0012】
該「置換基を有していてもよい水酸基」としては、例えば水酸基、ハロゲン化されていてもよいC1−16アルコキシ基、好ましくはハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ基、さらに好ましくはC1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシなど)、C1−6アルキル−カルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシなど)、アミノカルボニルオキシ基、モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノカルボニルオキシ基などが挙げられる。
【0013】
該「置換基を有していてもよいチオール基」としては、例えばチオール基、ハロゲン化されていてもよいC1−16アルキルチオ基、好ましくはハロゲン化されていてもよいC1−4アルキルチオ基、さらに好ましくはC1−4アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオなど)、炭素原子以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含む5ないし9員の複素環(例えば、チエニル、フリル、ピリジル、ピリミジニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリルなど)−チオ基(例、2−ピリジルチオ)等が挙げられる。
【0014】
該「アシル基」としては、ホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基(好ましくはC1−4アルキル−カルボニル基(例、メチルカルボニル、エチルカルボニル))、C1−4アルコキシ−カルボニル基(例、メトキシカルボニル)、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル−スルホニル基(好ましくはC1−4アルキル−スルホニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル))、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル−スルフィニル基(好ましくはC1−4アルキル−スルフィニル基(例、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル))、C1−4アルコキシ−スルホニル基(例、メトキシスルホニル)、ベンジルオキシカルボニル基、C3−6シクロアルキル−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−またはジ−C1−4アルキルカルバモイル基等が挙げられる。
【0015】
より具体的には、該鎖状炭化水素基の置換基としては、ハロゲン原子;アミノ基;モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ基;カルボキシル基;C1−4アルコキシカルボニル基;ヒドロキシ基;ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ基;C3−6シクロアルキル基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキルチオ基;(i)C1−4アルキル基、(ii)C1−4アルキルスルホニル基、(iii)ハロゲン原子またはヒドロキシ基で置換されていてもよいC6−12アリール基、(iv)C7−15アラルキル基、(v)C1−4アルコキシ−C1−4アルキル基、(vi)炭素原子以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含む5ないし9員の複素環基、(vii)ヒドロキシ基などから選ばれる1または2個の置換基で置換された環状アミノ基(例えば、窒素原子以外に酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含んでいてもよい5ないし9員の環状アミノ基など、具体的には例えばピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルなど);C1−4アルキル−カルボニルアミノ基;アミノカルボニルオキシ基;モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノカルボニルオキシ基;C1−4アルキルスルホニルアミノ基;C1−4アルコキシ−カルボニル基;ベンジルオキシカルボニル基;カルボキシル基;C1−6アルキル−カルボニル基;C3−6シクロアルキル−カルボニル基;カルバモイル基;モノ−またはジ−C1−4アルキルカルバモイル基;C1−6アルキルスルホニル基;C1−6アルキル−カルボニルオキシ基;C1−4アルキルおよび炭素原子以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含む5ないし9員の複素環基で置換されたアミノ基;C1−4アルキルおよびC1−4アルキル−カルボニルで置換されたアミノ基;C1−4アルキルおよびC6−12アリール−カルボニルで置換されたアミノ基;C1−6アルキル−カルボニルオキシ基;モノまたはジ−C1−4アルコキシ−C1−4アルキル−アミノ基;炭素原子以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含む5ないし9員の複素環−チオ基;オキソ基などから選ばれる1ないし4個の置換基が用いられる。
【0016】
およびRとしては、それぞれハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、置換基を有していてもよいC1−7アルキル基(好ましくはメチル、エチル、プロピルなどのC1−4アルキル基、特に好ましくはメチル)または置換基を有していてもよいC2−6アルケニル基(好ましくはエテニル)などが好ましく、なかでもハロゲン原子または置換基を有していてもよいC1−7アルキル基が好ましい。又、「置換基を有していてもよいC1−7アルキル基」における「C1−7アルキル基」は、置換基としてオキソ基を有していてもよく、当該オキソ基がα位に置換する場合、例えば、ホルミル、アセチルなどのC1−7アルカノイル基を形成していてもよい。
【0017】
上記「置換基を有していてもよいC1−7アルキル基」における置換基としては、例えば、
(i)ヒドロキシ基、
(ii)モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ)、
(iii)C1−4アルキルおよび炭素原子以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含む5ないし9員の複素環基(例えば、チエニル、フリル、ピリジル、ピリミジニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリルなど)で置換されたアミノ基(例、メチル(2−ピリジル)アミノ)、
(iv)C1−4アルキルおよびC1−4アルキル−カルボニルで置換されたアミノ基(例、メチル(メチルカルボニル)アミノ)、
(v)C1−4アルキルおよびC6−12アリール−カルボニルで置換されたアミノ基(例、メチル(ベンゾイル)アミノ)、
(vi)モノまたはジ−C1−4アルコキシ−C1−4アルキル−アミノ基(例、ブトキシプロピルアミノ)、
(vii)C1−4アルキル(例、メチル)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基およびハロゲン化されていてもよいC1−4アルキルから選ばれる置換基1ないし4個を有していてもよいC6−12アリール(例、フェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−クロロフェニル、3−メチルフェニル)、C1−4アルキルスルホニル(例、メチルスルホニル)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基およびハロゲン化されていてもよいC1−4アルキルから選ばれる置換基1ないし4個を有していてもよいC7−15アラルキル(例、ベンジル)、C1−4アルコキシ−C1−4アルキル(例えば、プロポキシエチルなど)、炭素原子以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含む5ないし9員の複素環基(例えば、ピペリジル、ピペラニジル、モルホリニル、チエニル、フリル、ピリジル、ピリミジニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリルなど)、ヒドロキシ基などで置換されていてもよい、窒素原子以外に酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含んでいてもよい5ないし9員の環状アミノ基(例、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)(好ましくは、4位がフェニル基などで置換されたピペラジニルなど;該フェニル基はハロゲン化されていてもよい)、
(viii)C1−6アルキル−カルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシなど)、
(ix)炭素原子以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含む5ないし9員の複素環(例えば、チエニル、フリル、ピリジル、ピリミジニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリルなど)−チオ基(例、2−ピリジルチオ)などが好ましい。
該C2−6アルケニル基の置換基としては、例えば、C1−4アルコキシ−カルボニル(例、メトキシカルボニル)などが好ましい。
およびRとしては、それぞれハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1−7アルキル基など(特に好ましくはメチル)が好ましく、とりわけ、Rがハロゲン原子でありRがC1−7アルキル基(特に好ましくはメチル)である場合が好ましい。
【0018】
上記式〔I〕中、A環はさらに置換基を有していてもよいベンゼン環を示す。
上記式〔I〕中、B環は置換基を有していてもよいベンゼン環を示す。
上記式〔I〕中、A環で表されるさらに置換基を有していてもよいベンゼン環、B環で表される置換基を有していてもよいベンゼン環における置換基としては、それぞれ、例えば
(i)ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基(例えば、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、プロピル、イソプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ブチルなど);
(ii)アミノ基で置換されたC1−4アルキル基(例えば、アミノメチル、2−アミノエチルなど);
(iii)モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ基で置換されたC1−4アルキル基(例えば、メチルアミノメチル、ジメチルアミノメチル、2−メチルアミノエチル、2−ジメチルアミノエチルなど);
(iv)カルボキシル基で置換されたC1−4アルキル基(例えば、カルボキシメチル、カルボキシエチルなど);
(v)C1−4アルコキシ−カルボニル基で置換されたC1−4アルキル基(例えば、メトキシカルボニルエチル、エトキシカルボニルエチルなど);
(vi)ヒドロキシ基で置換されたC1−4アルキル基(例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルなど);
(vii)C1−4アルコキシ基またはフェノキシ基で置換されていてもよいC1−4アルコキシ基で置換されたC1−4アルキル基(例えば、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチルなど);
(viii)C3−6シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど);
(ix)ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など);
(x)ニトロ基;
(xi)シアノ基;
(xii)ヒドロキシ基;
(xiii)ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、プロピロキシ、ブトキシ、イソプロピロキシなど),C1−4アルコキシ基またはフェノキシ基で置換されていてもよいC1−4アルコキシ基;
(xiv)ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオなど),C1−4アルコキシ基またはフェノキシ基で置換されていてもよいC1−4アルキルチオ基;
(xv)アミノ基;
(xvi)モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなど);
(xvii)環状アミノ基(例えば、窒素原子以外に酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含んでいてもよい5ないし9員の環状アミノ基など、具体的には例えばピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニルなど);
(xviii)C1−4アルキル−カルボニルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチリルアミノなど);
(xix)アミノカルボニルオキシ基;
(xx)モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ−カルボニルオキシ基(例えば、メチルアミノカルボニルオキシ、エチルアミノカルボニルオキシ、ジメチルアミノカルボニルオキシ、ジエチルアミノカルボニルオキシなど);
(xxi)C1−4アルキルスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、プロピルスルホニルアミノなど);
(xxii)C1−4アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソブトキシカルボニルなど);
(xxiii)ベンジルオキシカルボニル基;
(xxiv)カルボキシル基;
(xxv)C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、メチルカルボニル、エチルカルボニル、ブチルカルボニルなど);
(xxvi)C3−6シクロアルキル−カルボニル(例えば、シクロヘキシルカルボニルなど);
(xxvii)カルバモイル基;
(xxviii)モノ−またはジ−C1−4アルキルカルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、プロピルカルバモイル、ブチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイルなど)、
(xxix)C1−6アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニルなど);C3−6シクロアルキルスルホニル(例えば、シクロペンチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニルなど);
(xxx)(1)C1−4アルキル(例、メチル)、(2)C1−4アルキルスルホニル(例、メチルスルホニル)、(3)ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル(例、メチル、トリフルオロメチル)、ハロゲン(例、フッ素、塩素)またはヒドロキシ基を有していてもよいC6−12アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、ヒドロキシフェニル、メチルフェニル、クロロフェニルなど)、(4)C7−15アラルキル(例えば、ベンジルなど)、(5)C1−4アルコキシ−C1−4アルキル(例えば、プロポキシエチルなど)、(6)炭素原子以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含む5ないし9員の複素環基(例えば、ピペリジル、ピペラニジル、モルホリニル、チエニル、フリル、ピリジル、ピリミジニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリルなど)、(7)ヒドロキシ、チオール、オキソ、チオキソなどから選ばれる1または2個の置換基で置換された環状アミノ基(例えば、窒素原子以外に酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含んでいてもよい5ないし9員の環状アミノ基など、具体的には例えばピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル、[1,3]チアゾロ[4,5−b]ピリジン−3(2H)−イル、モルホリニルなど)で置換されたC1−6アルキル基(例えば、モルホリノメチル、4−フェニル−1−ピペラジニルメチル、2−モルホリノエチル、3−ピペラジニルプロピル、4−メチルスルホニル−ピペラジニルメチル、4−ベンジル−1−ピペラジニルメチル、4−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ピペラニジルメチル、4−ヒドロキシピペリジルメチル、4−ヒドロキシ−4−フェニル−ピペリジルメチル、4−フェニルピペリジルメチル、4−(2−ピリジル)−1−ピペラジニルメチル、4−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ピペラニジルメチル、(4−フェニル−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)メチルなど);
(xxxi)C1−6アルキル−カルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシなど)で置換されたC1−4アルキル基;
(xxxii)C1−4アルキルおよび炭素原子以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含む5ないし9員の複素環基(例えば、チエニル、フリル、ピリジル、ピリミジニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリルなど)で置換されたアミノ基(例、メチル(2−ピリジル)アミノ)で置換されたC1−4アルキル基;
(xxxiii)C1−4アルキルおよびC1−4アルキル−カルボニルで置換されたアミノ基(例、メチル(メチルカルボニル)アミノ)で置換されたC1−4アルキル基;
(xxxiv)C1−4アルキルおよびC6−12アリール−カルボニルで置換されたアミノ基(例、メチル(ベンゾイル)アミノ)で置換されたC1−4アルキル基;
(xxxv)C1−6アルキル−カルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシなど)で置換されたC1−4アルキル基;
(xxxvi)モノまたはジ−C1−4アルコキシ−C1−4アルキル−アミノ基(例、ブトキシプロピルアミノ)で置換されたC1−4アルキル基;
(xxxvii)炭素原子以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含む5ないし9員の複素環(例えば、チエニル、フリル、ピリジル、ピリミジニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリルなど)−チオ基(例、2−ピリジルチオ)で置換されたC1−4アルキル基;
(xxxviii)オキソ基;
(xxxix)C1−4アルコキシ−カルボニルC2−6アルケニル基(例、メトキシカルボニルビニルなど);
(xxxx)カルボキシル基で置換されたC2−6アルケニル基(例、カルボキシビニルなど);
(xxxxi)シアノ基で置換されたC1−4アルキル基(例、シアノメチルなど)など;
(xxxxii)C6−10アリール基(例えば、フェニル、ナフチルなど)、フェノキシ、ベンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニル−C1−4アルキルカルバモイル、フェニルカルバモイル、フェニル−C1−4アルキル−カルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ、フェニル−C1−4アルキルスルホニル、フェニルスルホニル、フェニル−C1−4アルキルスルフィニル、フェニル−C1−4アルキルスルホニルアミノまたはフェニルスルホニルアミノ基〔それぞれのフェニル基またはナフチル基は置換可能な位置に、C1−4アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピルなど)、C1−4アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシなど)、ハロゲン原子(例えばクロロ、ブロモ、ヨードなど)、ヒドロキシ基、ベンジルオキシ基、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ基(例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノなど)、ニトロ基、C1−6アルキルカルボニル基(例えば1-オキソエチル、1−オキソプロピル、1−オキソブチルなど)などの置換基を1ないし3個有していてもよい。〕等が用いられる。これらの置換基は置換可能な位置に、同一または相異なって1ないし5個、好ましくは1ないし3個置換していてもよい。
これらの置換基として好ましいものとしては、(i)ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素など)、(ii)ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基(例えば、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、エチル、プロピル、イソプロピルなど)、(iii)C3−6シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチルなど)、(iv)ヒドロキシ基、(v)ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシなど)、(vi)ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、トリフルオロメチルチオ、エチルチオなど)、(vii)アミノ基、(viii)モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなど)、(ix)C1−4アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなど)、(x)C6−12アリール基(例えば、フェニル、ナフチルなど)で置換されていてもよい環状アミノ基(例えば、窒素原子以外に酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含んでいてもよい5ないし9員の環状アミノ基など、具体的には例えばピロリジニル、ピペリジル、モルホリニルなど)で置換されたC1−6アルキル基(例えば、モルホリノメチル、4−フェニル−1−ピペラジニルメチル、2−モルホリノエチル、3−ピペラジニルプロピルなど)および(xi)カルボキシル基などが挙げられ、特に、(i)ハロゲン原子(例えば、フルオロ、クロロなど)、(ii)C1−4アルキル(例えば、メチル、エチルなど)、(iii)C3−6シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチルなど)、(iv)ヒドロキシ基、(v)C1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシなど)、(vi)C6−12アリール基(例えば、フェニル、ナフチルなど)で置換されていてもよい環状アミノ基(例えば、窒素原子以外に酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ないし3個含んでいてもよい5ないし9員の環状アミノ基など、具体的には例えばピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル、モルホリニルなど)で置換されたC1−6アルキル基(例えば、モルホリノメチル、4−フェニル−1−ピペラジニルメチル、2−モルホリノエチル、(4−フェニル−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イルメチル)、3−ピペラジニルプロピルなど)および(vii)カルボキシル基が好ましい。
【0019】
A環は、置換基R以外にさらにアルキル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子で置換されていてもよいベンゼン環が好ましく、置換基R以外にさらにC1−6アルキル基、ハロゲン化C1−4アルキル基またはハロゲン原子で置換されていてもよいベンゼン環がさらに好ましく、置換基Rのみで置換されたベンゼン環が特に好ましい。
【0020】
B環としては、ハロゲン化アルキル基および/またはハロゲン原子で置換されていてもよいベンゼン環が好ましく、なかでもハロゲン化C1−4アルキル基(好ましくはトリフルオロメチル)および/またはハロゲン原子で置換されていてもよいベンゼン環が特に好ましい(さらに好ましくはハロゲン化C1−4アルキル基および/またはハロゲン原子で置換されたベンゼン環)。
【0021】
上記式〔I〕中、Rはカルボキシル基またはカルボキシル基で置換された鎖状炭化水素基を示す。
Rで表される「カルボキシル基で置換された鎖状炭化水素基」における「鎖状炭化水素基」としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が用いられる。また、アルカジエニル基などのように、アルキル基における炭素−炭素結合の2ないし3個が二重結合に変換された基であってもよい。
アルキル基としては炭素数1ないし7の直鎖状または分枝状のものが用いられ、好ましくは例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1ないし4の直鎖状または分枝状のアルキル基が用いられる。
アルケニル基としては、例えばエテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル等の炭素数2ないし6のアルケニル基が用いられ、好ましくは例えば、エテニル、プロペニル、イソプロペニルなどの炭素数2ないし4のアルケニル基が用いられる。
アルキニル基としては、例えばエチニル、プロピニル、イソプロピニル、ブチニル、イソブチニル、sec−ブチニル等の炭素数2ないし6のアルケニル基が用いられ、好ましくは例えば、エチニル、プロピニル、イソプロピニル等の炭素数2ないし4のアルキニル基が用いられる。
アルキル基における炭素−炭素結合の2ないし3個が二重結合に変換された基としては、炭素数3ないし7の直鎖状または分枝状のアルキル基(好ましくは、直鎖状のアルキル基)における炭素−炭素結合の2ないし3個が二重結合に変換された基などが挙げられ、好ましくは、ブタジエニルなどの炭素数4ないし6のアルカジエニル基、1,3,5−ヘキサトリエニルが用いられる。
上記の鎖状炭化水素基としては、例えば炭素数1ないし6の直鎖状または分枝状アルキル基が好ましく、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1ないし4の直鎖状または分枝状のアルキル基が好ましい。
また、Rとしては、式−(CH−R’〔式中、R’はカルボキシル基を示し、nは0〜6の整数を示す〕で表される基、式−CH=CH−(CHn'−R’〔式中、R’はカルボキシル基を示し、n’は0〜4の整数を示す〕で表される基、式−(CH=CH)n''−R’〔式中、R’はカルボキシル基を示し、n''は1〜3の整数を示す〕で表される基などが好ましく(なかでも、式−(CH−R’で表される基、式−(CH=CH)n''−R’が好ましい)、nとしては、1〜4の整数(より好ましくは、2ないし3)が好ましく、n’としては、0〜2の整数(より好ましくは、0)が好ましく、n''としては、1〜2の整数(より好ましくは、1)が好ましい。
【0022】
式〔I〕で表される化合物のアルカリ土類金属塩または有機アミン塩(以下、「本発明の化合物」と略記する場合がある)は、薬理学的に許容されるアルカリ土類金属塩または有機アミン塩であれば何れのアルカリ土類金属塩または何れの有機アミン塩であってもよい。このようなアルカリ土類金属塩としては、式〔I〕で表される化合物が有するカルボキシル基と、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩が挙げられる。有機アミン塩としては、式〔I〕で表される化合物が有するカルボキシル基と、有機塩基(例、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、エタノールアミンなどの一級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどの有機アミン類、アルギニン、リジン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸類等)などとの塩が挙げられる。
式〔I〕で表される化合物のアルカリ土類金属塩としては、カルシウム塩が好ましい。
また、式〔I〕で表される化合物の有機アミン塩としては、一級アミン塩が好ましく、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩が特に好ましい。
本発明の化合物としては、式〔I〕で表される化合物のアルカリ土類金属塩が好ましく、式〔I〕で表される化合物のカルシウム塩が特に好ましい。
【0023】
本発明の化合物は、結晶であってもよく、結晶形が単一であっても結晶形混合物であっても本発明の化合物に包含される。結晶は、自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。本発明の化合物は、結晶であることが好ましい。本発明の化合物の結晶としては、式〔I〕で表される化合物のアルカリ土類金属塩(特に、カルシウム塩)の結晶が得られやすく、容易に単離・精製することが可能であることから、式〔I〕で表される化合物のアルカリ土類金属塩(特に、カルシウム塩)が医薬の活性成分として特に好ましい。
また、本発明の化合物は溶媒和物(例えば、水和物等)であってもよく、溶媒和物及び無溶媒和物(例えば、非水和物等)のいずれも本発明の範囲に包含される。本発明の化合物は、湿度によって連続的に水和数が変化しうる場合があり、水和数の範囲としては無水物ないし十水和物、好ましくは一水和物ないし四水和物である。
また、本発明の化合物は同位元素(例、3H, 14C, 35S,125Iなど)などで標識されていてもよい。
【0024】
本発明の化合物の中でも、モノカルシウム ビス((2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸);(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸 トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩;(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸 ジエタノールアミン塩;モノカルシウム ビス(3−{3−[6−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−7−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}プロピオン酸);モノカルシウム ビス(4−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}ブタン酸;またはその水和物などが好ましく用いられる。
【0025】
式〔I〕で表される化合物のアルカリ土類金属塩は、式〔I〕で表される化合物とアルカリ土類金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水素化物とを反応させるか、または、式〔I〕で表される化合物のアルカリ金属塩とアルカリ土類金属ハライドとを反応させることにより製造することができる。
また、式〔I〕で表される化合物のアルカリ土類金属塩は、式〔I〕で表される化合物のアンモニウム塩とアルカリ土類金属ハライドとを反応させることにより製造することもできる。
本発明の化合物は、式〔I〕で表される化合物から自体公知の方法あるいはそれに準ずる方法によっても製造することができる。また、自体公知の方法あるいはそれに準ずる方法によって、塩を交換することもできる。
式〔I〕で表される化合物は、例えば、欧州特許出願公開第585913号明細書、欧州特許出願公開第602598号明細書、特開平6−263736号公報、国際公開第02/06264号パンフレット、国際公開第03/059900号パンフレットなどに開示の方法に準じて製造することができる。
本発明の化合物に光学異性体が存在し得る場合、これら個々の光学異性体及びそれら混合物のいずれも当然本発明の範囲に包含されるものであり、所望によりこれらの異性体をそれ自体公知の手段に従い光学分割により、または個別に製造することができる。
【0026】
本発明の化合物は低毒性で安全であり(例えば、急性毒性、慢性毒性、遺伝毒性、生殖毒性、心毒性、薬物相互作用、癌原性などの点から医薬としてより優れており)、リピド・リッチ・プラーク退縮作用を有するので、哺乳動物(例、マウス、ラット、ウサギ、犬、ネコ、牛、豚、サル、ヒト等)の心筋梗塞、不安定狭心症等の(急性)冠動脈症候群、末梢動脈閉塞症、経皮的冠動脈形成術(PTCA)後の再狭搾、ステント留置後の再狭窄、心筋梗塞、狭心症等の虚血性心疾患、動脈硬化症、間歇性跛行、脳卒中(脳梗塞、脳塞栓、脳出血など)、ラクナ梗塞、脳血管性痴呆、黄色腫症などの予防または治療に有用であり、脱泡沫化薬として有用である。
更に、本発明の化合物は、ACAT阻害作用(好ましくは、マクロファージのACAT阻害作用、サブタイプ1のACAT阻害作用)を有し、哺乳動物(例、マウス、ラット、ウサギ、犬、ネコ、牛、豚、サル、ヒト等)の高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDL血症、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、およびこれらに起因する疾患(例えば心筋梗塞等の虚血性心疾患および脳梗塞・脳卒中等の脳血管障害など)に対する安全な予防・治療剤として用いられる。
本発明の化合物は、ハイリスク患者(例えば、喫煙、加齢、性別(男性)、高脂血症、糖尿病、高血圧、心筋梗塞、狭心症、脳卒中などの既往もしくは家族歴などのリスクを持った患者)の心血管系イベント(例えば、(急性)冠動脈症候群、脳梗塞など)の一次発症および/または二次発症予防に好ましく用いられる。
また、本発明により、本発明の化合物を含有してなる動脈硬化巣の退縮、進展抑制または安定化剤が提供され、かかる退縮、進展抑制または安定化剤は、HMG−CoA還元酵素阻害剤と組み合わせて用いることが好ましい。
また、本発明の化合物はアルツハイマー病、マルチプルリスク症候群および代謝性症候群に対する予防・治療薬としても用いられる。
本発明の化合物は経口投与での吸収性に優れていることから、経口製剤として投与されることが好ましい。
【0027】
これらの疾患の治療において、本発明の化合物は単独で治療のために使用されてもよく、またはその他の脂質低下薬またはコレステロール低下薬、心筋保護薬、冠動脈疾患治療薬、糖尿病治療薬、甲状腺機能低下治療薬、ネフローゼ症候群治療薬、骨粗鬆症治療薬または慢性腎不全治療薬を含む他の医薬成分と共に使用されてもよく、この場合、これらの化合物は経口製剤として投与されることが好ましく、また必要により直腸製剤として坐薬の形態で投与されてもよい。この場合の可能な組み合わせ成分は、例えばフィブラート類〔例、クロフィブラート、ベザフィブラート、ジェムフィプロジル、フェノフイブレート、Wy−1463、GW9578等〕,ニコチン酸、その誘導体および類縁体〔例、アシピモックス等〕,プロブコールおよびその誘導体,胆汁酸結合樹脂〔例、コレスチラミン、コレスチポール等〕,コレステロール吸収を抑制する化合物〔例、シトステロールやネオマイシン等〕,コレステロール生合成を阻害する化合物〔例、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン等のHMG−CoA還元酵素阻害薬〕,スクアレンエポキシダーゼ阻害薬〔例、NB−598および類縁化合物等〕、コレステロールエステル転送蛋白の阻害によるHDL上昇薬、コレステロール吸収阻害薬〔エゼチマイベ等〕、回腸胆汁酸トランスポータ阻害薬〔HMR−1453−A、S−8921等〕スクアレン合成酵素阻害薬〔例、TAK−475等〕が挙げられる。
更に別の可能な組み合わせ成分は、オキシドスクアレン−ラノステロールサイクラーゼ、例えば、デカリン誘導体、アザデカリン誘導体およびインダン誘導体である。
また、糖尿病治療薬〔アクトス、ロジグリダソン、キネダック,ベンフィル,ヒューマリン,オイグルコン,グリミクロン,ダオニール,ノボリン,モノタード,インシュリン類,グルコバイ,ジメリン,ラスチノン,バシルコン,デアメリンS,イスジリン類,ビグアナイド系薬剤〕;甲状腺機能低下症治療薬〔乾燥甲状腺(チレオイド),レボチロキシンナトリウム(チラージンS),リオチロニジンナトリウム(サイロニン、チロミン);
ネフローゼ症候群治療薬:プレドニゾロン(プレドニン),コハク酸プレドニゾロンナトリウム(プレドニン),コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム(ソル・メドロール),ベタメタゾン(リンデロン)〕;血管拡張剤〔ジピリダモール(ペルサンチン),塩酸ジラゼプ(コメリアン)〕;慢性腎不全治療薬〔利尿薬〔例、フロセミド(ラシックス),ブメタニド(ルネトロン),アゾセミド(ダイアート)〕,降圧薬(例、ACE阻害薬、(マレイン酸エナラプリル(レニベース))及びCa 拮抗薬(マニジピン)、α受容体遮断薬、β受容体遮断薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(カンデサルタンシレキセチル)〕などと組み合わせて、投与する際、好ましくは経口投与で使用し得る。
【0028】
さらに、本発明の化合物が有するリピド・リッチ・プラーク退縮作用およびACAT阻害作用から考えて、本発明の化合物は血栓形成の予防および治療に適している。その際それらは単独で、または既知の下記治療薬と組み合わせて、好ましくは経口投与で使用し得る。
血栓形成予防治療薬:血液凝固阻止薬〔例、ヘパリンナトリウム,ヘパリンカルシウム,ワルファリンカルシウム(ワーファリン),トロンビン阻害薬(例、キシメラガトラン),FXa阻害薬〕,血栓溶解薬〔例、tPA,ウロキナーゼ〕,抗血小板薬〔例、アスピリン,スルフィンピラゾン(アンツーラン),ジピリダモール(ペルサンチン),チクロピジン(パナルジン),シロスタゾール(プレタール),GPIIb/IIIa拮抗薬(レオプロ),クロピドグレル〕;
冠血管拡張薬:ニフェジピン,ジルチアゼム,ニコランジル,唖硝酸剤;
心筋保護薬:心臓ATP−K開口薬、エンドセリン拮抗薬、ウロテンシン拮抗薬など。
さらに、本発明の化合物を上記各疾患に適用する際に、生物製剤(例:抗体、ワクチン製剤など)と併用することも可能であり、また、遺伝子治療法などと組み合わせて、併用療法として適用することも可能である。抗体およびワクチン製剤としては、例えば、アンジオテンシンIIに対するワクチン製剤、CETPに対するワクチン製剤、CETP抗体、TNFα抗体や他のサイトカインに対する抗体、アミロイドβワクチン製剤、1型糖尿病ワクチン(Peptor社のDIAPEP-277など)などの他、サイトカイン、レニン・アンジオテンシン系酵素およびその産物に対する抗体あるいはワクチン製剤、血中脂質代謝に関与する酵素や蛋白に対する抗体あるいはワクチン製剤、血中の凝固・線溶系に関与する酵素や蛋白に関する抗体あるいはワクチン、糖代謝やインスリン抵抗性に関与する蛋白に対する抗体あるいはワクチン製剤などが挙げられる。また、遺伝子治療法としては、例えば、サイトカイン、レニン・アンジオテンシン系酵素およびその産物に関連する遺伝子を用いた治療法、NFκBデコイなどのDNAデコイを用いる治療方法、アンチセンスを用いる治療方法、RNA干渉を用いる治療、血中脂質代謝に関与する酵素や蛋白に関連する遺伝子(例えば、コレステロール又はトリグリセリド又はHDL-コレステロール又は血中リン脂質の代謝、排泄、吸収に関連する遺伝子など)を用いた治療法、末梢血管閉塞症などを対象とした血管新生療法に関与する酵素や蛋白(例えば、HGF,VEGFなどの増殖因子など)に関連する遺伝子を用いた治療法、糖代謝やインスリン抵抗性に関与する蛋白に関連する遺伝子を用いた治療法、TNFなどのサイトカインに対するアンチセンスなどが挙げられる。また、心臓再生、腎再生、膵再生、血管再生など各種臓器再生法や骨髄細胞(骨髄単核細胞、骨髄幹細胞など)の移植を利用した血管新生療法と併用することも可能である。
【0029】
本発明の化合物は経口的に、あるいは非経口的に、注射、点滴、吸入法、直腸投入、あるいは局所投与により用いることができ、そのまま、あるいは医薬品組成物の製剤(例えば、粉末、顆粒、錠剤、ピル剤、カプセル剤、注射剤、シロップ剤、エマルジョン剤、エリキシル剤、懸濁剤、溶液剤など)として用いることができる。すなわち少なくとも一つの本発明の化合物を単独で、あるいは医薬として許容される担体(アジュバンド剤、賦形剤、補形剤及び/又は希釈剤など)と混合して用いることができる。
【0030】
医薬用の組成物は通常の方法に従って製剤化することができる。かかる製剤は通常活性成分を賦型剤、希釈剤,担体等の添加剤と混合/練合することにより製造することができる。本明細書において、非経口とは、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射あるいは点滴法などを含むものである。注射用調剤、例えば、無菌注射用水性懸濁物あるいは油性懸濁物は、適当な分散化剤または湿化剤及び懸濁化剤を用いて当該分野で知られた方法で調製されうる。その無菌注射用調剤は、また、例えば水溶液などの非毒性の非経口投与することのできる希釈剤あるいは溶剤中の無菌の注射のできる溶液または懸濁液であってもよい。使用することのできるベーヒクルあるいは溶剤として許されるものとしては、水、リンゲル液、等張食塩液などがあげられる。さらに、通常溶剤または懸濁化溶媒として無菌の不揮発性油も用いられうる。このためには、いかなる不揮発性油も脂肪酸も使用でき、天然あるいは合成あるいは半合成の脂肪性油又は脂肪酸、そして天然あるいは合成あるいは半合成のモノあるいはジあるいはトリグリセリド類も含められる。
直腸投与用の座剤は、その薬物と適当な非刺激性の補形剤、例えば、ココアバターやポリエチレングリコール類といった常温では固体であるが腸管の温度では液体で、直腸内で融解し、薬物を放出するものなどと混合して製造されることができる。
また、適当な基剤(例、酪酸の重合体、グリコール酸の重合体、酪酸-グリコール酸の共重合体、酪酸の重合体とグリコール酸の重合体との混合物、ポリグリセロール脂肪酸エステル等)と組合わせ徐放性製剤とすることも有効である。
【0031】
経口投与用の固形投与剤型としては、粉剤、顆粒剤、錠剤、ピル剤、カプセル剤などの上記したものがあげられる。そのような剤型の製剤は、活性成分化合物と、少なくとも一つの添加物、例えば、ショ糖、乳糖(ラクトース)、セルロース糖、マンニトール(D−マンニトール)、マルチトール、デキストラン、デンプン類(例、コーンスターチ)、微結晶セルロース、寒天、アルギネート類、キチン類、キトサン類、ペクチン類、トラガントガム類、アラビアゴム類、ゼラチン類、コラーゲン類、カゼイン、アルブミン、合成又は半合成のポリマー類又はグリセリド類とを混合及び/又は練合することにより製造することができる。そのような剤型物はまた、通常の如く、さらなる添加物を含むことができ、例えば不活性希釈剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、パラベン類、ソルビン酸などの保存剤、アスコルビン酸、α−トコフェロール、システインなどの抗酸化剤、崩壊剤(例、クロスカルメロースナトリウム)、結合剤(例、ヒドロキシプロピルセルロース)、増粘剤、緩衝化剤、甘味付与剤、フレーバー付与剤、パーフューム剤などがあげられる。錠剤及びピル剤はさらにエンテリックコーティングされて製造されることもできる。経口投与用の液剤は、医薬として許容されるエマルジョン剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、溶液剤などがあげられ、それらは当該分野で普通用いられる不活性希釈剤、例えば水及び必要により添加物を含んでいてよい。これら経口用液剤は、活性成分化合物と不活性希釈剤、及び必要により他の添加剤を混合する等慣用方法に従い製造することができる。経口投与剤では、剤形にもよるが、通常約0.01〜99重量%、好ましくは約0.1〜90重量%通常約0.5〜50重量%の本発明の活性成分化合物を配合するのがよい。
ある特定の患者の投与量は、年令、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬物の組み合わせ、患者のその時に治療を行っている病状の程度に応じ、それらあるいはその他の要因を考慮して決められる。
本発明の化合物を含有してなるリピド・リッチ・プラーク退縮剤は、低毒性で安全に使用することができ、その1日の投与量は患者の状態や体重、化合物の種類、投与経路等によって異なるが、例えば、高脂血症予防・治療剤として使用する場合、成人(体重約60kgとして)1日当たりの投与量は、経口剤の場合、式〔I〕で表される化合物として約1〜500mg、好ましくは約10〜200mgであり、非経口剤の場合、式〔I〕で表される化合物として約0.1〜100mg、好ましくは約1〜50mg、通常約1〜20mgであり、この範囲では何ら毒性は見られない。
【0032】
さらに、本発明は、
(1)本発明の化合物と併用薬とを組み合わせてなる医薬(以下、併用剤と略記する)、
(2)哺乳動物に対して、本発明の化合物の有効量と併用薬の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリピド・リッチ・プラーク退縮方法またはACAT阻害方法、
(3)哺乳動物に対して、本発明の化合物の有効量と併用薬の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とする心筋梗塞、不安定狭心症等の(急性)冠動脈症候群、末梢動脈閉塞症、経皮的冠動脈形成術(PTCA)後の再狭搾、ステント留置後の再狭窄、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、狭心症等の虚血性心疾患、動脈硬化症、間歇性跛行、脳卒中(脳梗塞、脳塞栓、脳出血など)等の脳血管障害、ラクナ梗塞、脳血管性痴呆、アルツハイマー病、マルチプルリスク症候群および代謝性症候群、黄色腫症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDL血症または血栓形成の予防・治療方法、および
(4)哺乳動物に対して、本発明の化合物の有効量と併用薬の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とする動脈硬化巣の退縮、進展抑制もしくは安定化方法を提供する。
【0033】
本発明の化合物と併用し得る併用薬としては、例えば、上記した本発明の化合物以外の医薬成分やその他の高脂血症治療薬、利尿薬、高血圧症治療薬、心不全治療薬、不整脈治療薬、抗凝血薬、抗血小板薬、糖尿病治療薬、HDL増加薬、不安定プラーク安定化薬、血管拡張薬、血管収縮薬、昇圧薬、抗菌薬、抗真菌薬、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド薬、免疫調節薬、抗原虫薬、抗潰瘍薬、鎮咳・去たん薬、鎮静薬、麻酔薬、抗不安薬、抗精神病薬、筋弛緩薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、麻薬拮抗薬、抗腫瘍薬、抗アレルギー薬、ビタミン薬、ビタミン誘導体、骨・カルシウム代謝薬、骨粗鬆症治療薬、関節炎治療薬、抗リウマチ薬、抗喘息薬、頻尿・尿失禁治療薬、腎不全・腎症治療薬、アトピー性皮膚炎治療薬、アレルギー性鼻炎治療薬、エンドトキシン拮抗薬あるいは抗体、シグナル伝達阻害薬、炎症性メディエーター作用抑制薬、炎症性メディエーター作用抑制抗体、抗炎症性メディエーター作用抑制薬、抗炎症性メディエーター作用抑制抗体などが挙げられ、なかでも高脂血症治療薬、利尿薬、高血圧症治療薬、心不全治療薬、不整脈治療薬、抗凝血薬、抗血小板薬、糖尿病治療薬、HDL増加薬、不安定プラーク安定化薬などが好ましい。上記した医薬成分以外の併用薬としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
【0034】
(1)高脂血症治療薬
HMG-CoA還元酵素阻害薬(例、フルバスタチン、セリバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチンなど)、フィブラート系薬剤(例、シンフィブラート、クロフィブラートアルミニウム、クリノフィブラート、フェノフィブラートなど)、陰イオン交換樹脂(例、コレスチラミドなど)、ニコチン酸製剤(例、ニコモール、ニセリトロール、ニコチン酸トコフェロールなど)、多価不飽和脂肪酸誘導体(例、イコサペント酸エチル、ポリエンフォスファチジルコリン、メリナミドなど)、植物ステロール(例、ガンマ−オリザノール、ソイステロールなど)、エラスターゼ、デキストラン硫酸ナトリウム、スクワレン合成酵素阻害薬、CETP阻害薬、コレステロール吸収阻害薬(例、エゼチマイベなど)、回腸胆汁酸トランスポータ阻害薬(例、HMR−1453−A、S−8921等)、2−クロロ−3−〔4−(2−メチル−2−フェニルプロポキシ)フェニル〕プロピオン酸エチル〔ケミカル・アンド・ファーマシューティカル・ブレティン(Chem. Pharm. Bull),38,2792−2796(1990)〕、PPARα作動薬、PPARγ作動薬、PPARδ作動薬、LXR作動薬、FXR拮抗薬、DGAT阻害薬、MGAT阻害薬、MTP阻害薬など。
(2)利尿薬
サイアザイド系利尿薬(ベンチルヒドロクロロチアジド、シクロペンチアジド、エチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、ペンフルチアジド、ポリチアジド、トリクロルメチアジドなど)、ループ利尿薬(クロルタリドン、クロフェナミド、インダパミド、メフルシド、メチクラン、ソトラゾン、トリバミド、キネタゾン、メトラゾン、フロセミド、メフルシドなど)、カリウム保持性利尿薬(スピロノラクトン、トリアムテレンなど)。
(3)高血圧治療薬
(i)交感神経抑制薬
α刺激薬(例、クロニジン、グアナベンズ、グアンファシン、メチルドパなど)、神経節遮断薬(例、ヘキサメトニウム、トリメタファンなど)、シナプス前遮断剤(例、アルサーオキシロン、ジメチルアミノレセルピナート、レシナミン、レセルピン、シロシンゴピンなど)、ニューロン遮断薬(例、ベタニジン、グアネチジンなど)、α遮断薬(例、ブナゾシン、ドキサゾシン、プラゾシン、テラゾシン、ウラピジルなど)、β遮断薬(例、プルプラノロール、ナドロール、チモロール、ニプラジロール、ブニトロロール、インデノロール、ペンブトロール、カルテオロール、カルベジロール、ピンドロール、アセブトロール、アテノロール、ビソプロロール、メトプロロール、ラベタロール、アモスラロール、アロチノロールなど)など。
(ii)血管拡張薬
カルシウムチャンネル拮抗薬(例、マニジピン、ニカルジピン、ニルバジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ベニジピン、アムロジピン、アラニジピンなど)、フタラジン誘導体(例、ブトララジン、カドララジン、エカラジン、ヒドララジン、トドララジンなど)など。
(iii)ACE阻害薬
アラセプリル、カプトプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、リジノプリル、テモカプリル、トランドラプリル、キナプリル、イミダプリル、ベナゼプリル、ベリンドプリルなど。
(iv)アンジオテンシンII受容体拮抗薬
ロサルタン、カンデサルタン シレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、フォラサルタン、オルメサルタン メドキソミル、2-エトキシ-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸など。
(v)利尿薬(例えば前述の利尿薬など)
(vi)β遮断薬
プロプラノロール、アルプレノロール、ブフェトロール、オクスプレノロール、アテノロール、アセブトロール、メトプロロール、ビソプロロール、ピンドロール、カルテオロール、アロチロールなど。
(4)心不全治療薬
強心薬(例、ジギトキシン、ジゴキシン、メチルジゴキシン、ラナトシドC、プロスシラリジンなど)、α、β刺激薬(例、エピネフリン、ノルエピネフリン、イソプロテレノール、ドパミン、ドカルパミン、ドブタミン、デノパミンなど)、ホスホジエステラーゼ阻害薬(例、アムリノン、ミルリノン、塩酸オルプリノンなど)、カルシウムチャンネル感受性増強薬(例、ピモベンタンなど)、硝酸薬(例、ニトログリセリン、硝酸イソソルビドなど)、ACE阻害薬(例えば前述のACE阻害薬など)、利尿薬(例えば前述の利尿薬など)、カルペリチド、ユビデカレノン、ベスナリノン、アミノフィリンなど。
(5)不整脈治療薬
ナトリウムチャンネル遮断薬(例、キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド、アジマリン、シベンゾリン、リドカイン、ジフェニルヒダントイン、メキシレチン、プロパフェノン、フレカイニド、ピルジカイニド、フェニトインなど)、β遮断薬(例、プロプラノロール、アルプレノロール、ブフェトロール、オクスプレノロール、アテノロール、アセブトロール、メトプロロール、ビソプロロール、ピンドロール、カルテオロール、アロチロールなど)、カリウムチャンネル遮断薬(例、アミオダロンなど)、カルシウムチャンネル遮断薬(例、ベラパミル、ジルチアゼムなど)など。
(6)抗凝血薬および抗血小板薬
クエン酸ナトリウム、活性化プロテインC、組織因子経路阻害剤、アンチトロンビンIII、ダルテパリンナトリウム、アルガトロバン、ガベキサート、オザクレルナトリウム、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム、アルプロスタジル、ペントキシフィリン、チソキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ワルファリンカルシウム(ワーファリン)、トロンビン阻害薬(例、キシメラガトラン)、FXa阻害剤)、血栓溶解薬〔例、tPA,ウロキナーゼ〕、抗血小板薬〔例、アスピリン、スルフィンピラゾン(アンツーラン)、ジピリダモール(ペルサンチン)、チクロピジン(パナルジン)、シロスタゾール(プレタール)、GPIIb/IIIa拮抗薬(レオプロ)、クロピドグレル〕など。
(7)糖尿病治療薬
スルホニル尿素剤(例、トルブタミド、クロルプロパミド、グリクロピラミド、アセトヘキサミド、トラザミド、グリベンクラミド、グリブゾールなど)、ビグアナイド剤(例、塩酸メトホルミン、塩酸ブホルミンなど)、α−グルコシダーゼ阻害薬(例、ボグリボース、アカルボースなど)、インスリン抵抗性改善薬(例、ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロジグリタゾンなど)、インスリン、グルカゴン、糖尿病性合併症治療薬(例、エパルレスタットなど)など。
(8)HDL増加薬
スクワレン合成酵素阻害薬、CETP阻害薬、LPL活性化薬、内皮リパーゼ阻害薬など。
(9)不安定プラーク安定化薬
MMP阻害薬、キマーゼ阻害薬など。
(10)血管拡張薬
オキシフェドリン、ジルチアゼム、トラゾリン、ヘキソベンジン、バメタン、クロニジン、メチルドパ、グアナベンズなど。
(11)血管収縮薬
ドパミン、ドブタミンデ、ノパミンなど。
(12)昇圧薬
ドパミン、ドブタミン、デノパミン、ジギトキシン、ジゴキシン、メチルジゴキシン、ラナトシドC、G−ストロファンチンなど。
(13)抗菌薬
(i)サルファ剤
スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、スルファモノメトキシン、サラゾスルファピリジン、スルファジアジン銀など。
(ii)キノリン系抗菌薬
ナリジクス酸、ピペミド酸三水和物、エノキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トシル酸トスフロキサシン、塩酸シプロフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、スパルフロキサシン、フレロキサシンなど。
(iii)抗結核薬
イソニアジド、エタンブトール(塩酸エタンブトール)、パラアミノサリチル酸(パラアミノサリチル酸カルシウム)、ピラジナミド、エチオナミド、プロチオナミド、リファンピシン、硫酸ストレプトマイシン、硫酸カナマイシン、サイクロセリンなど。
(iv)抗抗酸菌薬
ジアフェニルスルホン、リファンピシリンなど。
(v)抗ウイルス薬
イドクスウリジン、アシクロビル、ビタラビン、ガンシクロビルなど。
(vi)抗HIV薬
ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、硫酸インジナビルエタノール付加物、リトナビルなど。
(vii)抗スピロヘータ薬
(viii)抗生物質
塩酸テトラサイクリン、アンピシリン、ピペラシリン、ゲンタマイシン、ジベカシン、カネンドマイシン、リビドマイシン、トブラマイシン、アミカシン、フラジオマイシン、シソマイシン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、ドキシサイクリン、チカルシリン、セファロチン、セファピリン、セファロリジン、セファクロル、セファレキシン、セフロキサジン、セファドロキシル、セファマンドール、セフォトアム、セフロキシム、セフォチアム、セフォチアムヘキセチル、セフロキシムアキセチル、セフジニル、セフジトレンピボキシル、セフタジジム、セフピラミド、セフスロジン、セフメノキシム、セフポドキシムプロキセチル、セフピロム、セファゾプラン、セフェピム、セフメタゾール、セフミノクス、セフォキシチン、セフブペラゾン、ラタモキナセフ、フロモキセフ、セファゾリン、セフォタキシム、セフォペラゾン、セフチゾキシム、モキサラクタム、チエナマイシン、スルファゼシン、アズスレオナムまたはそれらの塩、グリセオフルビン、ランカシジン類〔ジャーナル・オブ・アンチバイオティックス(J.Antibiotics),38,877−885(1985)〕など。
(14)抗真菌薬
(i)ポリエン系抗生物質(例、アムホテリシンB、ナイスタチン、トリコマイシン)
(ii)グリセオフルビン、ピロールニトリンなど
(iii)シトシン代謝拮抗薬(例、フルシトシン)
(iv)イミダゾール誘導体(例、エコナゾール、クロトリマゾール、硝酸ミコナゾール、ビホナゾール、クロコナゾール)
(v)トリアゾール誘導体(例、フルコナゾール、イトラコナゾール、アゾール系化合物〔2−〔(1R,2R)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)プロピル〕−4−〔4−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)フェニル−3−(2H,4H)−1,2,4−トリアゾロン〕
(vi)チオカルバミン酸誘導体(例、トリナフトール)
(vii)エキノカンジン系誘導体(例、カスポファンギン、FK−463、V−エキノカンシン)など。
(15)非ステロイド性抗炎症薬
アセトアミノフェン、フェナセチン、エテンザミド、スルピリン、アンチピリン、ミグレニン、アスピリン、メフェナム酸、フルフェナム酸、ジクロフェナックナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、フェニルブタゾン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、フルルビプロフェン、フェンブフェン、プラノプロフェン、フロクタフェニン、エピリゾール、塩酸チアラミド、ザルトプロフェン、メシル酸ガベキサート、メシル酸カモスタット、ウリナスタチン、コルヒチン、プロベネシド、スルフィンピラゾン、ベンズブロマロン、アロプリノール、金チオリンゴ酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、塩酸モルヒネ、サリチル酸、アトロピン、スコポラミン、モルヒネ、ペチジン、レボルファイノール、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキシモルフォンまたはその塩など。
(16)ステロイド薬
デキサメサゾン、ヘキセストロール、メチマゾール、ベタメサゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、フルオロメトロン、プロピオン酸ベクロメタゾン、エストリオールなど。
(17)免疫調節薬
シクロスポリン、タクロリムス、グスペリムス、アザチオプリン、抗リンパ血清、乾燥スルホ化免疫グロブリン、エリスロポイエチン、コロニー刺激因子、インターロイキン、インターフェロンなど。
(18)抗原虫薬
メトロニダゾール、チニダゾール、クエン酸ジエチルカルバマジン、塩酸キニーネ、硫酸キニーネなど。
(19)抗潰瘍薬
メタクロプロミド、塩酸ヒスチジン、ランソプラゾール、メトクロプラミド、ピレンゼピン、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ウロガストリン、オキセサゼイン、プログルミド、オメプラゾール、スクラルファート、スルピリド、セトラキサート、ゲファルナート、アルジオキサ、テプレノン、プロスタグランジンなど。
(20)鎮咳・去たん薬
塩酸エフェドリン、塩酸ノスカピン、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸イソプロテレノール、塩酸メチルエフェドリン、アロクラマイド、クロルフェジアノール、ピコペリダミン、クロペラスチン、プロトキロール、イソプロテレノール、サルブタモール、テレプタリン、オキシペテバノール、塩酸モルヒネ、臭化水素酸デキストロメトルファン、塩酸オキシコドン、リン酸ジモルファン、ヒベンズ酸チペピジン、クエン酸ペントキシベリン、塩酸クロフェダノール、ベンゾナテート、グアイフェネシン、塩酸ブロムヘキシン、塩酸アンブロキソール、アセチルシステイン、塩酸エチルシステイン、カルボシステインなど。
(21)鎮静薬
塩酸クロルプロマジン、硫酸アトロピン、フェノバルビタール、バルビタール、アモバルビタール、ペントバルビタール、チオペンタールナトリウム、チアミラールナトリウム、ニトラゼパム、エスタゾラム、フルラザパム、ハロキサゾラム、トリアゾラム、フルニトラゼパム、ブロムワレリル尿素、抱水クロラール、トリクロホスナトリウムなど。
(22)麻酔薬
(22−1)局所麻酔薬
塩酸コカイン、塩酸プロカイン、リドカイン、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、塩酸メピバカイン、塩酸ブピバカイン、塩酸オキシブプロカイン、アミノ安息香酸エチル、オキセサゼイン)など。
(22−2)全身麻酔薬
(i)吸入麻酔薬(例、エーテル、ハロタン、亜酸化窒素、インフルラン、エンフルラン)、
(ii)静脈麻酔薬(例、塩酸ケタミン、ドロペリドール、チオペンタールナトリウム、チアミラールナトリウム、ペントバルビタール)など。
(23)抗不安薬
ジアゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、クロルジアゼポキシド、メダゼパム、オキサゾラム、クロキサゾラム、クロチアゼパム、ブロマゼパム、エチゾラム、フルジアゼパム、ヒドロキシジンなど。
(24)抗精神病薬
塩酸クロルプロマジン、プロクロルペラジン、トリフロペラジン、塩酸チオリダジン、マレイン酸ペルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、マレイン酸プロクロルペラジン、マレイン酸レボメプロマジン、塩酸プロメタジン、ハロペリドール、ブロムペリドール、スピペロン、レセルピン、塩酸クロカプラミン、スルピリド、ゾテピンなど。
(25)筋弛緩薬
プリジノール、ツボクラリン、パンクロニウム、塩酸トルペリゾン、カルバミン酸クロルフェネシン、バクロフェン、クロルメザノン、メフェネシン、クロゾキサゾン、エペリゾン、チザニジンなど。
(26)抗てんかん薬
フェニトイン、エトサクシミド、アセタゾラミド、クロルジアゼポキシド、トリペタジオン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、スルチアム、パルプロ酸ナトリウム、クロナゼパム、ジアゼパム、ニトラゼパムなど。
(27)抗うつ薬
イミプラミン、クロミプラミン、ノキシプチリン、フェネルジン、塩酸アミトリプチリン、塩酸ノルトリプチリン、アモキサピン、塩酸ミアンセリン、塩酸マプロチリン、スルピリド、マレイン酸フルボキサミン、塩酸トラゾドンなど。
(28)麻薬拮抗薬
レバロルファン、ナロルフィン、ナロキソンまたはその塩など。
(29)抗腫瘍薬
6−O−(N−クロロアセチルカルバモイル)フマギロール、ブレオマイシン、メトトレキサート、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、ダウノルビシン、アドリアマイシン、ネオカルチノスタチン、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル、テトラヒドロフリル−5−フルオロウラシル、ピシバニール、レンチナン、レバミゾール、ベスタチン、アジメキソン、グリチルリチン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ブレオマイシン、硫酸ヘプロマイシン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、塩酸イリノテカン、シクロフォスファミド、メルファラン、ズスルファン、チオテパ、塩酸プロカルバジン、シスプラチン、アザチオプリン、メルカプトプリン、テガフール、カルモフール、シタラビン、メチルテストステロン、プロピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、メピチオスタン、ホスフェストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸リュープロレリン、酢酸ブセレリンなど。
(30)抗アレルギー薬
ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、トリペレナミン、メトジラミン、クレミゾール、ジフェニルピラリン、メトキシフェナミン、クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、レピリナスト、アンレキサノクス、イブジラスト、ケトチフェン、テルフェナジン、メキタジン、アゼラスチン、エピナスチン、塩酸オザグレル、プランルカスト水和物、セラトロダストなど。
(31)脂溶性ビタミン薬
(i)ビタミンA類:ビタミンA、ビタミンAおよびパルミチン酸レチノール
(ii)ビタミンD類:ビタミンD、D、D、DおよびD
(iii)ビタミンE類:α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール
(iv)ビタミンK類:ビタミンK、K、KおよびK
(v)葉酸(ビタミンM)など。
(32)ビタミン誘導体
ビタミンの各種誘導体、例えば、5,6−トランス−コレカルシフェロール、2,5−ヒドロキシコレカルシフェロール、1−α−ヒドロキシコレカルシフェロールなどのビタミンD誘導体、5,6−トランス−エルゴカルシフェロール等のビタミンD誘導体など。
(33)抗喘息薬
塩酸イソプレナリン、硫酸サルブタモール、塩酸プロカテロール、硫酸テルブタリン、塩酸トリメトキノール、塩酸ツロブテロール、硫酸オルシプレナリン、臭化水素酸フェノテロール、塩酸エフェドリン、臭化イプロトロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化フルトロピウム、テオフィリン、アミノフィリン、クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、レピリナスト、アンレキサノン、イブジラスト、ケトチフェン、テルフェナジン、メキタジン、アゼラスチン、エピナスチン、塩酸オザグレル、プランルカスト水和物、セラトロダスト、デキサメタゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチアオン、プロピオン酸ベクロペタゾンなど。
(34)頻尿・尿失禁治療薬
塩酸フラボキサートなど。
(35)アトピー性皮膚炎治療薬
クロモグリク酸ナトリウムなど。
(36)アレルギー性鼻炎治療薬
クロモグリク酸ナトリウム、マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸アリメマジン、フマル酸クレマスチン、塩酸ホモクロルシクリジン、テルフェナジン、メキタジンなど。
(37)痴呆治療薬
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(例えば、ドネペジル、タクリン、リバスチグミン、ガランタミンなど)など
(38)その他
ヒドロキシカム、ダイアセリン、メゲストロール酢酸、ニセロゴリン、プロスタグランジン類など。
【0035】
本発明の化合物と併用薬とを併用すると、例えば、次のような効果を有する。
(1)本発明の化合物や併用薬物を単独投与する場合の投与量または副作用を軽減することができる。
(2)心筋梗塞、不安定狭心症等の(急性)冠動脈症候群、末梢動脈閉塞症、間歇性跛行、経皮的冠動脈形成術(PTCA)後の再狭搾、ステント留置後の再狭窄、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高脂血症、低HDL血症、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、狭心症等の虚血性心疾患、脳梗塞・脳卒中等の脳血管障害、ラクナ梗塞、脳血管性痴呆、黄色腫症、アルツハイマー病または血栓形成などの疾患に対して、相乗的な治療効果が得られる。
(3)心筋梗塞、不安定狭心症等の(急性)冠動脈症候群、末梢動脈閉塞症、間歇性跛行、経皮的冠動脈形成術(PTCA)後の再狭搾、ステント留置後の再狭窄、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高脂血症、低HDL血症、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、狭心症等の虚血性心疾患、脳梗塞・脳卒中等の脳血管障害、ラクナ梗塞、脳血管性痴呆、黄色腫症、アルツハイマー病または血栓形成などの疾患に伴い発症する種々の疾患に対して、広く治療効果を発揮する。
本発明の併用剤の使用に際しては、本発明の化合物と併用薬の投与時期は限定されず、本発明の化合物またはその医薬組成物と併用薬またはその医薬組成物とを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。
本発明の併用剤の投与形態は、特に限定されず、投与時に、本発明の化合物と併用薬とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)本発明の化合物と併用薬とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明の化合物と併用薬とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明の化合物と併用薬とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明の化合物と併用薬とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)本発明の化合物と併用薬とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明の化合物またはその医薬組成物;併用薬またはその医薬組成物の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。
【0036】
本発明の併用剤は、毒性が低く、例えば、本発明の化合物または(および)上記併用薬を自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体と混合して医薬組成物、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤、(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等として、経口的又は非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。注射剤は、静脈内、筋肉内、皮下または臓器内投与あるいは直接病巣に投与することができる。
本発明の併用剤の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質があげられ、例えば固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤、あるいは液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤等があげられる。更に必要に応じ、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を適宜、適量用いることもできる。
【0037】
本発明の併用剤における本発明の化合物と併用薬との配合比は、投与対象、投与ルート、疾患等により適宜選択することができる。
例えば、本発明の併用剤における本発明の化合物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01ないし100重量%、好ましくは約0.1ないし50重量%、さらに好ましくは約0.5ないし20重量%程度である。
本発明の併用剤における併用薬の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01ないし100重量%、好ましくは約0.1ないし50重量%、さらに好ましくは約0.5ないし20重量%程度である。
本発明の併用剤における担体等の添加剤の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1ないし99.99重量%、好ましくは約10ないし90重量%程度である。
また、本発明の化合物および併用薬をそれぞれ別々に製剤化する場合も同様の含有量でよい。
これらの製剤は、製剤工程において通常一般に用いられる自体公知の方法により製造することができる。
【0038】
本発明の併用剤の投与量は、本発明の化合物の種類、年齢、体重、症状、剤形、投与方法、投与期間などにより異なるが、例えば、高脂血症の患者(成人、体重約60kg)一人あたり、通常、本発明の化合物として、それぞれ1日約0.01〜約1000mg/kg、好ましくは約0.01〜約100mg/kg、より好ましくは約0.1〜約100mg/kg、とりわけ約0.1〜約50mg/kgを、なかでも約1.5〜約30mg/kgを1日1回から数回に分けて投与される。もちろん、上記したように投与量は種々の条件で変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあり、また範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
併用薬は、副作用が問題とならない範囲でどのような量を設定することも可能である。併用薬としての一日投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、感受性差、投与の時期、間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類、有効成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、薬物の量として通常、たとえば経口投与で哺乳動物1kg体重あたり約0.001〜2000mg、好ましくは約0.01〜500mg、さらに好ましくは、約0.1〜100mg程度であり、これを通常1日1〜4回に分けて投与する。
【0039】
本発明の併用剤を投与するに際しては、同時期に投与してもよいが、併用薬を先に投与した後、本発明の化合物を投与してもよいし、本発明の化合物を先に投与し、その後で併用薬を投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、時間差は投与する有効成分、剤形、投与方法により異なるが、例えば、併用薬を先に投与する場合、併用薬を投与した後1分〜3日以内、好ましくは10分〜1日以内、より好ましくは15分〜1時間以内に本発明の化合物を投与する方法が挙げられる。本発明の化合物を先に投与する場合、本発明の化合物を投与した後、1分〜1日以内、好ましくは10分〜6時間以内、より好ましくは15分から1時間以内に併用薬を投与する方法が挙げられる。
好ましい投与方法としては、例えば、経口投与製剤に製形された併用薬約0.001〜200mg/kgを経口投与し、約15分後に経口投与製剤に製形された本発明の化合物約0.005〜100mg/kgを1日量として経口投与する。
【発明の効果】
【0040】
本発明の化合物は、優れたリピド・リッチ・プラーク退縮作用または/およびACAT阻害作用を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下に実施例、製剤例、実験例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
H−NMRスペクトルは、内部基準としてテトラメチルシランを用いてバリアンマーキュリー300(300MHz)型スペクトルメーターで測定し、各δ値をppmで示した。粉末X線回折は、RIGAKU RINT2100Ultima+(CuKα線 (λ=1.5418Å))を用いて測定した。混合溶媒において示した数値は、特に断らない限り各溶媒の容量混合比である。%は、特に断らない限り重量%を意味する。またシリカゲルカラムクロマトグラフィーにおける溶出溶媒の比は、特に断らない限り容量比を示す。本明細書中における室温(常温)とは約20℃から約30℃の温度を表す。
なお実施例中の各記号は次の意味を表す。
Et:エチル,Bu:ブチル,DBU:ジアザビシクロウンデセン,s:シングレット,d:ダブレット,t:トリプレット,q:クアルテット,quint:クインテット,sext:セクステット,dd:ダブルダブレット,dt:ダブルトリプレット,m:マルチプレット,br:幅広い,J:カップリング定数
【実施例】
【0042】
参考例1
(3−ブロモフェニル)(4−クロロ−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタノン
【化3】

3−クロロ−4−メチルアニソール(20g)のクロロベンゼン(56ml)溶液に、20〜30℃で無水塩化アルミニウム(20.4g)を添加した。次いで25〜30℃で3−ブロモベンゾイルクロリド(28g)を約30分で滴下した。滴下終了後25℃で1時間、40℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応液を冷却し、20〜30℃でトルエン/テトラヒドロフラン(1/1、200ml)を滴下した。次いで30〜40℃で4N HCl(80ml)を滴下した。有機層を分取し、2N HCl(60ml)、10%食塩水(60ml)で順次洗浄した。有機層を80gまで濃縮し、メタノール(100ml)を加えたのち、再度90gまで濃縮した。残留物にメタノール(80ml)を添加し、室温で30分、5℃以下で1時間攪拌した。結晶をろ取し、冷却したメタノール(40ml)で洗浄したのち減圧乾燥して表題化合物を得た(35.4g、収率:85.1%)。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.28(3H,s),7.12(1H,s),7.36−7.42(2H,m),7.54−7.57(1H,m),7.72−7.80(2H,m),11.7(1H,s)。
【0043】
参考例2
[4−(3−ブロモフェニル)−7−クロロ−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−3−イル]酢酸エチル
【化4】

(3−ブロモフェニル)(4−クロロー2−ヒドロキシー5−メチルフェニル)メタノン(170g)のアセトニトリル(510ml)溶液に、25〜30℃でDBU(211ml)を添加した。次いで25〜40℃でエチルスクシニルクロリド(146g)のアセトニトリル(340ml)溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、30℃で1時間攪拌した。反応液を25〜30℃に保ちながら、水(94ml)を滴下した。同温で1時間攪拌後、結晶をろ取し、アセトニトリル/水(9/1、170ml)で4回洗浄したのち減圧乾燥して表題化合物を得た(174g、収率:76.7%)。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):1.24(3H,t,J=7.2Hz),2.30(3H,s),3.35(2H,s),4.14(2H,q,J=7.2Hz),6.80(1H,s),7.20−7.23(1H,s),7.42−7.45(3H,m),7.65−7.68(1H,m)。
【0044】
参考例3
[4−(3−ブロモフェニル)−7−クロロ−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−3−イル]酢酸
【化5】

[4−(3−ブロモフェニル)−7−クロロ−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−3−イル]酢酸エチル(15g)とエタノール(135ml)の混合物に、2N NaOH(51.6ml)を添加し70℃で1時間攪拌した。25℃まで冷却後、同温で6N HCl(17.7ml)を滴下してpHを2.0とし、結晶を析出させた。25℃で1時間攪拌後ろ取し、エタノール/水(2/1、30ml)で洗浄したのち減圧乾燥して表題化合物を得た(13.5g、収率:96.4%)。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.31(3H,s),3.35(2H,s),6.81(1H,s),7.24−7.27(1H,m),7.41−7.47(3H,m),7.65−7.69(1H,m)。
【0045】
参考例4
2−[4−(3−ブロモフェニル)−7−クロロ−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−3−イル]−N−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アセトアミド
【化6】

[4−(3−ブロモフェニル)−7−クロロ−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−3−イル]酢酸(13.5g)のテトラヒドロフラン(135ml)溶液にジメチルホルムアミド(0.2ml)を加え、窒素を通じながら25℃で塩化チオニル(5.12g)を滴下した。滴下終了後、40℃に昇温して1.5時間攪拌した。次いで2−アミノ−5−フルオロベンゾトリフルオリド(6.53g)を添加し、60℃に昇温後2.5時間攪拌した。40〜50℃でアセトニトリル(67.5ml)および水(67.5ml)を順次滴下した。40℃で1時間、5℃で1時間攪拌し、析出結晶をろ取した。冷却したテトラヒドロフラン/アセトニトリル/水(2/1/1、40.5ml)で洗浄後、得られた結晶(17.3g)をアセトン(173ml)に加熱溶解し、活性炭(0.865g)を添加後10分攪拌し、活性炭をろ去した。活性炭をアセトン(86.5ml)で洗浄した。ろ液と洗液を合わせて40℃に保ち、攪拌下水(51.9ml)を滴下した。5℃まで冷却し、1時間攪拌後、結晶をろ取し、冷却したアセトン/水(5/1、51.9ml)で洗浄して表題化合物を得た(16.1g、収率:85.7%)。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.31(3H,s),3.35−3.52(2H,m),6.85(1H,s),7.19−7.32(3H,m),7.41−7.50(3H,m),7.67−7.69(1H,m),7.94−7.99(1H,m),8.11(1H,brs)。
【0046】
参考例5
(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸ブチル
【化7】

2−[4−(3−ブロモフェニル)−7−クロロ−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−3−イル]−N−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アセトアミド(2.00g)、酢酸パラジウム(0.0079g)、トリo−トリルホスフィン(0.0214g)の混合物を反応容器に入れ窒素を約10分間通気して容器内を置換した。ジメチルホルムアミド(10ml)、アクリル酸ブチル(0.677g)、酢酸ナトリウム(0.317g)を順次添加し、室温で約20分攪拌した。次いで110℃で3時間攪拌し、室温まで冷却後、反応液に酢酸エチル(20ml)および水(20ml)を注ぎ、攪拌後有機層を分取した。有機層を10%食塩水(18ml)と濃塩酸(2ml)の混液および10%食塩水(20ml)で順次洗浄した。更に有機層に活性炭(0.1g)とトリブチルホスフィン(0.0712g)を添加して室温で10分攪拌後、活性炭をろ去し、活性炭を酢酸エチル(4ml)で洗浄した。ろ液と洗液を合わせ、6.0gまで減圧下濃縮したのち残留物にn−ヘプタン(12ml)を滴下し、結晶を析出させた。5℃で1時間攪拌後、結晶をろ取し、冷却した酢酸エチル/n−ヘプタン(1/3、4ml)で洗浄した。得られた結晶(2.06g)とアセトン(10ml)の混合物を50℃に加熱して溶解後、活性炭(0.1g)を添加し、10分攪拌した。活性炭をろ去し、活性炭をアセトン(4ml)で洗浄した。ろ液と洗液を合わせ、水(4.6ml)を滴下した。5℃で1時間攪拌、結晶をろ取し、冷却したアセトン/水(2/1、4ml)で洗浄して表題化合物を得た(1.84g、収率:84.9%)。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):0.95(3H,t,J=7.4Hz),1.42(2H,sext,J=7.4Hz),1.68(2H,quint,J=6.7Hz),2.29(3H,s),3.39−3.50(2H,m),4.20(2H,t,J=6.6Hz),6.50(1H,d,J=16Hz),6.86(1H,s),7.19−7.32(3H,m),7.35(1H,s),7.44(1H,s),7.56−7.61(1H,m),7.69−7.74(2H,m),7.98−8.01(1H,m),8.17(1H,brs)。
【0047】
参考例6
(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸アセトンソルベート
【化8】

(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸ブチル(3.0g)、エタノール(9ml)、2N NaOH(9ml)の混合物を、50℃で1.5時間攪拌した。反応後50℃でアセトン(27ml)を添加した後、6N HCl(3.5ml)を滴下しpHを0.6とした。50℃で30分、さらに、25℃で1時間攪拌後、結晶をろ取し、アセトン/水(2/1、6ml)で洗浄した。得られた結晶(2.79g)、アセトン(12ml)、水(6ml)の混合物を室温で攪拌しながら5%アンモニア水(2.1ml)を滴下し、pHを9.2に調整して溶解した。溶液にトルエン(4.5ml)を加えて5分間攪拌し、5分静置後、水層を分取した。得られた水層にアセトン(12ml)および活性炭(0.15g)を添加し、室温で15分攪拌した後,活性炭をろ去した。活性炭をアセトン(6ml)で洗浄した。ろ液と洗液を合わせて50℃に加温し、同温付近を保ちながら、攪拌下に6N HCl(1.25ml)を滴下してpHを0.5に調整し結晶を析出させた。50℃で30分、次いで25℃付近で1時間攪拌した後、結晶をろ取し、アセトン/水(2/1、6ml)で洗浄して表題化合物を得た(2.54g,収率:84.8%)。本品は0.9モルのアセトンを含有していた。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.07(6H×0.9,s),2.29(3H,s),3.38−3.51(2H,m),6.43(1H,d,J=16Hz),6.85(1H,s),7.24−7.38(3H,m),7.46(1H,s),7.50(1H,s),7.57−7.62(1H,m),7.69−7.75(2H,m),7.97−8.01(1H,m),8.15(1H,brs)。
【0048】
参考例7
(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸ナトリウム
【化9】

(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸アセトンソルベート(1.13g)およびアセトン(20.5ml)の混合物を50℃に加熱した。攪拌しながら2N NaOH(0.91ml)を滴下した。50℃で2時間、5℃で1時間攪拌し、析出結晶をろ取した。冷却したアセトン/水(95/5、2ml)および冷却したアセトン(2ml)で順次洗浄して表題化合物を得た(0.974g、収率:91.9%)。
H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm):2.23(3H,s),3.37(2H,br),6.44(1H,d,J=16Hz),6.94(1H,s),7.13(1H,d,J=16Hz),7.20−7.22(1H,m),7.36−7.43(2H,m),7.52−7.61(3H,m),7.67−7.69(2H,m),9.70(1H,brs)。
【0049】
実施例1
モノカルシウム ビス((2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸)・3水和物
【化10】

(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸ナトリウム(5.0g)、エタノール(45ml)、水(9ml)の混合物を60℃に加熱して溶解した。溶液中の不純物を除塵ろ過後、温めたエタノール/水(5/1、6ml)で洗浄した。ろ液と洗液を合わせ60℃で攪拌しながらカルシウムクロリド(0.524g)の水溶液(10ml)を滴下した。60℃で3時間攪拌した後、25℃で1時間攪拌した。結晶をろ取し、エタノール/水(1/1、10ml)および水(10ml×3)で順次洗浄して表題化合物(4.47g、収率:89.8%)を無色結晶として得た。得られた結晶は図1に示すような粉末X線回折像を示し、結晶化度は66%であった。
H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm):2.17(3H,s),3.32(2H,br),6.47(1H,d,J=16Hz),6.87(1H,s),7.21−7.23(1H,m),7.32−7.54(6H,m),7.66(2H,s),9.65(1H,brs)。
表題化合物は、湿度によって一水和物〜四水和物の範囲で連続的に水和数が変化することが観察された。
【0050】
実施例2
モノカルシウム ビス((2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸)・3水和物
(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸アセトンソルベート(60g)およびエタノール(540ml)、水(108ml)の混合物を60℃に加熱し攪拌しながら、5%アンモニア水(54ml)を滴下して溶解した。同温付近で30分間攪拌した後除塵ろ過し、エタノール(60ml)と水(12ml)の混合液で洗浄した。ろ液と洗液を合わせて得られた(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸アンモニウム塩の溶液を75℃に加温し、同温付近を保ちながら、攪拌下に塩化カルシウム水溶液(5.9g/120ml)を滴下した。反応液を78℃まで昇温し、同温付近で3時間、次いで25℃で1時間攪拌した後、結晶をろ取し、エタノール/水(120ml/120ml)で洗浄、乾燥、室温保存して表題化合物(49g、収率:80.1%)を無色結晶として得た。得られた結晶は図2に示すような粉末X線回折像を示し、およそ下記の面間隔(Lattice spacings)を持つ結晶である。結晶化度は75%であった。
3.1 オングストローム(angstrom) 弱(weak)
3.4 オングストローム(angstrom) 中(middle)
3.5 オングストローム(angstrom) 弱(weak)
3.6 オングストローム(angstrom) 弱(weak)
4.1 オングストローム(angstrom) 弱(weak)
4.4 オングストローム(angstrom) 弱(weak)
4.5 オングストローム(angstrom) 弱(weak)
5.9 オングストローム(angstrom) 弱(weak)
6.2 オングストローム(angstrom) 中(middle)
6.7 オングストローム(angstrom) 中(middle)
6.9 オングストローム(angstrom) 中(middle)
8.1 オングストローム(angstrom) 強(strong)
8.8 オングストローム(angstrom) 強(strong)
10.2 オングストローム(angstrom) 中(middle)
10.9 オングストローム(angstrom) 中(middle)
H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm):2.17(3H,s),3.32(2H,br),6.47(1H,d,J=16Hz),6.87(1H,s),7.21−7.23(1H,m),7.32−7.54(6H,m),7.66(2H,s),9.65(1H,brs)。
【0051】
参考例8
(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸アンモニウム塩
【化11】

(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸アセトンソルベート(6.18g)およびエタノール(56ml)、水(11ml)の混合物を60℃に加熱し攪拌しながら、5%アンモニア水(6ml)を滴下して溶解した。溶解液を減圧濃縮し、得られた結晶を45℃で8時間減圧乾燥して表題化合物(5.20g、収率:90.1%)を無色結晶として得た。
H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm):2.18(3H,s),3.34(2H,br),3.80(4H,brs),6.46(1H,d,J=16Hz),6.85(1H,s),7.25−7.60(8H,m),7.76(1H,d,J=8Hz),9.68(1H,brs)。
【0052】
実施例3
(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸 トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩
【化12】

(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸(10.0g)、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(2.2g)、エタノール(70ml)、アセトニトリル(100ml)の混合物を70℃で加熱攪拌して溶解した。反応溶液にアセトニトリル(200ml)を徐々に加え、70℃で3時間攪拌した後室温まで徐々に冷却し、室温で一夜攪拌した。得られた結晶をろ取し、アセトニトリルで洗浄した後、減圧下60℃で8時間乾燥して表題化合物(10.5g、収率:86%)を無色結晶として得た。得られた結晶は図3に示すような粉末X線回折像を示し、結晶化度は64%であった。
H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm):2.54(3H,s),3.38(8H,m),6.52(1H,d,J=16Hz),6.93(1H,s),7.3−7.4(3H,m),7.5−7.6(4H,m),7.71(1H,s),7.80(1H,d,J=7.8Hz),9.67(1H,brs)。
【0053】
実施例4
(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸ジエタノールアミン塩
【化13】

(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸(1.0g)のテトラヒドロフラン(30ml)およびエタノール(100ml)の混合溶液に、ジエタノールアミン(0.20g)のエタノール(20ml)溶液を加え、室温で1時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、得られた結晶をエタノールで洗浄後、減圧下60℃で8時間乾燥して表題化合物(0.8g、収率:67%)を無色結晶として得た。
H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm):2.25(3H,s),2.75(4H,t,J=5.6Hz),3.36(2H,m),3.54(4H,t,J=5.6Hz),6.54(1H,d,J=16Hz),6.93(1H,s),7.3−7.4(3H,m),7.5−7.7(4H,m),7.71(1H,s),7.84(1H,d,J=7.6Hz),9.67(1H,brs)。
【0054】
実施例5
モノカルシウム ビス(3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}プロピオン酸)
【化14】

3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}プロピオン酸(100mg)およびアセトン(2ml)の混合物を50℃に加熱した。攪拌しながら1N NaOH(0.18ml)を滴下した。50℃で2時間、5℃で1時間攪拌し、析出結晶をろ取した。冷却したアセトン/水(95/5、2ml)および冷却したアセトン(2ml)で順次洗浄して対応するナトリウム塩を得た。こうして得られたナトリウム塩、エタノール(1ml)、水(0.2ml)の混合物を50℃に加熱して溶解した。60℃で攪拌しながらカルシウムクロリド(11mg)の水溶液(0.2ml)を滴下した。60℃で2時間攪拌した後、室温で一夜攪拌した。結晶をろ取し、エタノール/水(1/1)および水(10ml×3)で順次洗浄して表題化合物(63mg、収率:61%)を無色結晶として得た。
H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm):2.20(3H,s),2.2−2.4(2H,m),2.7−2.9(2H,m),3.36(2H,m),6.90(1H,s),7.06(1H,d,J=7.2Hz),7.15(1H,s),7.3−7.7(5H,m),7.69(1H,s),9.78(1H,brs)。
【0055】
実施例6
モノカルシウム ビス(3−{3−[6−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−7−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}プロピオン酸)
【化15】

3−{3−6−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−7−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}プロピオン酸(100mg)およびアセトン(2ml)の混合物を50℃に加熱した。攪拌しながら1N NaOH(0.18ml)を滴下した。50℃で2時間、5℃で1時間攪拌し、析出結晶をろ取した。冷却したアセトン/水(95/5、2ml)および冷却したアセトン(2ml)で順次洗浄して対応するナトリウム塩を得た。こうして得られたナトリウム塩、エタノール(1ml)、水(0.2ml)の混合物を50℃に加熱して溶解した。60℃で攪拌しながらカルシウムクロリド(11mg)の水溶液(0.2ml)を滴下した。60℃で2時間攪拌した後、室温で一夜攪拌した。結晶をろ取し、エタノール/水(1/1)および水(10ml×3)で順次洗浄して表題化合物(70mg、収率:68%)を無色結晶として得た。
H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm):2.2−2.4(2H,m),2.40(3H,s),2.7−2.9(2H,m),3.38(2H,m),6.88(1H,s),7.09(1H,d,J=7.2Hz),7.18(1H,s),7.3−7.6(6H,m),9.75(1H,brs)。
【0056】
実施例7
モノカルシウム ビス(4−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}ブタン酸)
【化16】

4−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}ブタン酸(100mg)およびアセトン(2ml)の混合物を50℃に加熱した。攪拌しながら1N NaOH(0.18ml)を滴下した。50℃で2時間攪拌し、冷却したのち減圧下で濃縮した。得られた残渣をエタノール(1ml)と水(0.2ml)の混合溶液に溶解し、50℃で攪拌しながらカルシウムクロリド(11mg)の水溶液(0.2ml)を滴下した。60℃で2時間攪拌した後、室温で一夜攪拌した。結晶をろ取し、エタノール/水(1/1)および水(10ml×3)で順次洗浄して表題化合物(89mg、収率:86%)を無色結晶として得た。
H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm):1.7−1.9(2H,m),1.9−2.1(2H,m),2.19(3H,s),2.5−2.7(2H,m),3.36(2H,m),6.87(1H,s),7.08(1H,d,J=7.2Hz),7.10(1H,s),7.3−7.6(5H,m),7.64(1H,s),9.82(1H,brs)。
【0057】
実施例8
モノカルシウム ビス((2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸)
【化17】

実施例7と同様にして表題化合物(収率:73%)を得た。
H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm):2.20(3H,s),3.35(2H,m),6.47(1H,d,J=16Hz),7.2−7.8(10H,m),9.60(1H,br)。
【0058】
参考例9
4−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}ブタン酸
【化18】

3−ブテン酸メチル(12.01g,0.12mol)のテトラヒドロフラン(5ml)溶液に0.4N 9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンテトラヒドロフラン溶液(300ml,0.12mol)を窒素気流下、室温にて滴下し、3時間攪拌した。この反応液を、参考例4で得た2−[4−(3−ブロモフェニル)−7−クロロ−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−3−イル]−N−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アセトアミド(34.12g,0.06mol)、ナトリウムメトキシド(9.72g,0.18mol)および(1,1'−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウムジクロライド(9.8g,0.012mol)のテトラヒドロフラン(150ml)溶液に窒素気流下、室温にて滴下し、17時間加熱還流した。反応液に1N塩酸水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。抽出液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて粗精製し、4−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}ブタン酸メチルの粗製品(34.96g)を得た。これをエタノール(300ml)とテトラヒドロフラン(300ml)の混合溶媒に溶解し、2N水酸化ナトリウム水溶液(118.5ml,0.237mol)を加え、室温にて12時間攪拌した。反応液を水で抽出した後、ジエチルエーテルで洗浄した。抽出液を6N塩酸水溶液で中和した後、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥した。抽出液を濃縮後、残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し、さらにアセトニトリルから再結晶することによって表題化合物(12.04g)を得た。融点196℃。
H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm):1.77−1.89(2H,m),2.17−2.28(5H,m),2.60−2.72(2H,m),3.34(2H,s),6.90(1H,s),7.12−7.19(2H,m),7.33−7.43(2H,m),7.47−7.63(3H,m),7.68(1H,s),9.62(1H,s),12.04(1H,s)。
【0059】
実施例9
モノカルシウム ビス(4−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}ブタン酸)
【化19】

参考例9で得た4−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}ブタン酸(26.7g,0.0463mol)のアセトン(534ml)溶液に25%アンモニア水(4ml)を50℃で加え、同温で15分間攪拌した。反応液を減圧下濃縮した後、残渣をアセトニトリル(534ml)と水(107ml)の混合溶液に溶解させた。反応液を70℃に加温した後、塩化カルシウム(3.14g,0.0255mol)の水(107ml)溶液をゆっくり滴下した。反応液を70℃で3.5時間攪拌した後、水(214ml)を加え、さらに70℃で1時間、室温で12時間攪拌した。得られた結晶をろ過し、水(100ml)で洗浄した後、減圧下50℃にて乾燥して、表題化合物(26.67g)を得た。
H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm):1.71−1.85(2H,m),2.03(2H,t,J=7.1Hz),2.20(3H,s),2.62(2H,t,J=7.2Hz),3.30−3.44(2H,m),6.88(1H,s),7.07−7.16(2H,m),7.32−7.41(2H,m),7.45(1H,t,J=7.7Hz),7.50−7.61(2H,m),7.65(1H,s),9.77(1H,s)。
【0060】
参考例10
[4−(3−ブロモフェニル)−7−クロロ−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−3−イル]酢酸4−メトキシベンジル
【化20】


参考例3で得た[4−(3−ブロモフェニル)−7−クロロ−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−3−イル]酢酸(4.08g)およびp−メトキシベンジルクロリド(1.63ml)のDMF(20ml)溶液に炭酸カリウム(1.52g)を加えて、室温で60時間攪拌した。反応混合物を水中に注ぎ、酢酸エチルにて抽出した。抽出液を水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮することによって表題化合物(4.35g,82%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.29(3H,s),3.38(3H,s),3.81(3H,s),5.06(2H,s),6.78(1H,s),6.88(2H,ddd,J=8.8Hz,2.8Hz,2.0Hz),7.12−7.17(1H,m),7.26(2H,ddd,J=8.8Hz,2.8Hz,2.0Hz),7.32−7.41(3H,m),7.56(1H,ddd,J=8.8Hz,1.8Hz,1.2Hz)。
【0061】
参考例11
(2E)−3−[3−(7−クロロ−3−{2−[(4−メトキシベンゾイル)オキシ]−2−オキソエチル}−6−メチル−2−オキソ−2−クロメン−4−イル)フェニル]アクリル酸エチル
【化21】

参考例10で得た[4−(3−ブロモフェニル)−7−クロロ−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−3−イル]酢酸4−メトキシベンジル(20g)、アクリル酸エチル(5.1ml)およびトリエチルアミン(6.3ml)のDMF(100ml)溶液に酢酸パラジウム(850mg)およびトリフェニルフォスフィン(2.0g)を加え、100℃において4時間攪拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルにて抽出した。抽出液を水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル−ヘキサン=1:3)にて精製して表題化合物(17g、36%)を結晶として得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):1.34(3H,t,J=7.2Hz),2.28(3H,s),3.39(2H,s),3.80(3H,s),4.28(2H,q,J=7.2Hz),5.05(2H,s),6.47(1H,d,J=16.2Hz),6.78(1H,s),6.87(2H,d,J=8.7Hz),7.20−7.25(3H,m),7.38−7.42(2H,m),7.51(1H,t,J=7.8Hz),7.64−7.72(2H,m)。
【0062】
参考例12
(7−クロロ−4−{3−[(1E)−3−エトキシ−3−オキソ−1−プロぺン−1−イル]フェニル}−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−3−イル)酢酸
【化22】


参考例11で得た(2E)−3−[3−(7−クロロ−3−{2−[(4−メトキシベンゾイル)オキシ]−2−オキソエチル}−6−メチル−2−オキソ−2ークロメン−4−イル)フェニル]アクリル酸エチル(2.95g)とアニソール(2ml)の混合物にトリフルオロ酢酸(12ml)を加え、室温にて30分間攪拌した。溶媒を減圧下で溜去し、得られた残渣に水を加え酢酸エチルにて抽出した。抽出液を水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して表題化合物(2.0g、87%)を結晶として得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):1.33(3H,t,J=7.2Hz),2.28(3H,s),3.36(1H,d,J=16.8Hz),3.44(1H,d,J=16.8Hz),4.26(2H,q,J=7.2Hz),6.48(1H,d,J=13.2Hz),6.80(1H,s),7.26−7.29(1H,m),7.40−7.42(2H,m),7.59(1H,t,J=7.8Hz),7.67−7.73(2H,m)。
【0063】
参考例13
N−(5−フルオロ−4−メトキシ−2−ニトロフェニル)アセトアミド
【化23】

3−フルオロ−4−メトキシアニリン(5.0g)に無水酢酸(5ml)を加え30分間攪拌した。反応液を室温まで冷却したのち、硝酸(2.3ml)を滴下した。30分間攪拌したのち水を加え、生じた沈殿を集め水洗することによって表題化合物(5.7g,71%)を結晶として得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.29(3H,s),3.94(3H,s),7.80(1H,d,J=8.4Hz),8.66(1H,d,J=10.5Hz),10.39(1H,brs)。
【0064】
参考例14
5−フルオロ−4−メトキシ−2−ニトロアニリン
【化24】

参考例13で得たN−(5−フルオロ−4−メトキシ−2−ニトロフェニル)アセトアミド(5.7g)をエタノール(20ml)に懸濁し、6規定塩酸(100ml)を加えて30分間加熱還流した。反応液を氷冷して生じた沈殿を集め、水洗することによって表題化合物(4.1g,88%)を結晶として得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):3.87(3H,s),6.00(1H,brs),6.54(1H,d,J=14.7Hz),7.68(1H,d,J=8.7Hz)。
【0065】
参考例15
1−ブロモ−5−フルオロ−4−メトキシ−2−ニトロベンゼン
【化25】

参考例14で得た5−フルオロ−4−メトキシ−2−ニトロアニリン(4.1g)を水(20ml)と1,4−ジオキサン(10ml)の混合溶媒に溶解し、加熱還流下で48%臭化水素酸(12ml)を加えさらに15分間加熱還流した。反応液を0℃に冷却したのち、亜硝酸ナトリウムを滴下し、さらに0℃で15分間攪拌した。得られた混合液を、0℃で臭化銅(I)(3.6g)の水(20ml)および48%臭化水素酸(12ml)の混合溶液中に滴下した。60℃で15分間し、室温まで冷却後さらに1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルにて抽出し、抽出液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル−ヘキサン=1:8)にて精製して表題化合物(5g、91%)を結晶として得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):3.96(3H,s),7.46(1H,d,J=9.9Hz),7.58(1H,d,J=8.1Hz)。
【0066】
参考例16
1−フルオロ−2−メトキシ−4−ニトロ−5−(トリフルオロメチル)ベンゼン
【化26】

参考例15で得た1−ブロモ−5−フルオロ−4−メトキシ−2−ニトロベンゼン(5g)のDMF(40ml)溶液に臭化銅(I)(0.16g)およびFSOCFCOMe(4.2ml)を加え、窒素雰囲気下、80℃で一夜攪拌した。反応液を室温まで冷却後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル−ヘキサン=1:8)にて精製して表題化合物(3.1g、79%)を油状物として得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):4.03(3H,s),7.53(1H,d,J=10.8Hz),7.56(1H,d,J=7.2Hz)。
【0067】
参考例17
2−フルオロ−5−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)フェノール
【化27】

参考例16で得た1−フルオロ−2−メトキシ−4−ニトロ−5−(トリフルオロメチル)ベンゼン(1.4g)のジクロロメタン(5ml)溶液に、氷冷下で三臭化ホウ素の1規定ジクロロメタン溶液(15ml)を滴下した。室温にて一夜攪拌したのち反応液に水および1規定塩酸を加えた。30分間攪拌後、有機層を分液し水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル−ヘキサン=1:3)にて精製して表題化合物(0.5g、38%)を結晶として得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):6.72(1H,brs),7.55(1H,d,J=10.5Hz),7.62(1H,d,J=7.5Hz)。
【0068】
参考例18
(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−5−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸エチル
【化28】

参考例17で得た2−フルオロ−5−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)フェノール(0.5g)のTHF(5ml)溶液にラネーニッケル(0.5g)を加え、水素雰囲気下で2時間攪拌した。触媒を濾去し、触媒をTHFで洗浄した。濾液と洗浄液を併せさらにTHFで希釈して5−アミノ−2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェノールのTHF(50ml)溶液を得た。
参考例12で得た(7−クロロ−4−{3−[(1E)−3−エトキシ−3−オキソ−1−プロぺン−1−イル]フェニル}−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−3−イル)酢酸(800mg)のTHF(20ml)溶液にDMF(1滴)を加え、オキザリルクロリド(0.2ml)を滴下した。30分間攪拌後、反応液を濃縮し、得られた残渣に上述の5−アミノ−2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェノールのTHF(50ml)溶液を加え、一夜攪拌した。反応液を濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル−ヘキサン=1:3)にて精製して表題化合物(0.84g、74%)を結晶として得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):1.31(1H,t,J=6,9Hz),2.28(3H,s),3.42(1H,d,J=14.7Hz),3.62(1H,d,J=14.7Hz),4.23(2H,q,J=6.9Hz),6.48(1H,d,J=15.6Hz),6.84(1H,s),7.21(1H,d,J=10.2Hz),7.34(1H,d,J=7.5Hz),7.37(1H,s),7.56−7.75(5H,m),8.16(1H,brs),8.50(1H,brs)。
【0069】
参考例19
(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−5−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸
【化29】

参考例18で得た(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−5−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸エチル(0.84g)をTHF(40ml)とエタノール(40ml)の混合液に溶解し、2規定水酸化ナトリウム水溶液(5ml)を加えた。5時間攪拌後、反応液を濃縮し、得られた残渣に1規定塩酸を加えて酢酸エチルにて抽出した。抽出液を水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮することによって表題化合物(0.346g、43%)を結晶として得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.26(3H,s),3.34(2H,m),6.57(1H,d,J=16.2Hz),6.92(1H,s),6.95(1H,d,J=8.2Hz),7.35(1H,d,J=8.4Hz),7.50(1H,d,J=11.4Hz),7.61−7.66(3H,m),7.73(1H,s),7.92(1H,d,J=7.8Hz),9.52(1H,brs),10.94(1H,brs),12.41(1H,brs)。
【0070】
参考例20
5−フルオロ−2−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェノール
【化30】

5−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェノール(1.27g)を酢酸(3ml)および水(1.5ml)に溶解し、硝酸(3.0ml)を加えた。反応液を50℃にて30分間攪拌した。冷却後、水を加えエーテルにて抽出した。抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル−ヘキサン=1:3)にて精製して表題化合物(0.33g、21%)を油状物として得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):7.06(1H,dd,J=8.7Hz,2.7Hz),7.15(1H,m).25as an oil:H−NMR(CDCl)δ:6.92(1H,dd,J=10.5Hz,2.7Hz),7.02(1H,m)。
【0071】
参考例21
2−アミノ−5−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェノール
【化31】

参考例20で得た5−フルオロ−2−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェノールをエタノール(15ml)に溶解し、10%Pd−C(100mg)を加えて水素雰囲気下で一夜攪拌した。触媒を濾去したのち反応液を濃縮して表題化合物(0.22g、77%)を油状物として得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):6.67(1H,d,J=8.7Hz),6.77(1H,d,J=8.1Hz)。
【0072】
参考例22
(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−ヒドロキシ−6−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸エチル
【化32】

参考例12で得た(7−クロロ−4−{3−[(1E)−3−エトキシ−3−オキソ−1−プロぺン−1−イル]フェニル}−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−3−イル)酢酸(430mg)のTHF(20ml)溶液にDMF(1滴)を加え、オキザリルクロリド(0.11ml)を滴下した。1時間攪拌後、反応液を濃縮した。得られた残渣をTHF(10ml)に溶解し、参考例21で得た2−アミノ−5−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェノール(0.22g)を加え、一夜攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルにて抽出した。抽出液を1規定塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル−ヘキサン=1:3)にて精製して表題化合物(0.31g、45%)を結晶として得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):1.33(3H,t,J=7.2Hz),2.31(3H,s),3.48(1H,d,J=14.7Hz),3.54(1H,d,J=14.7Hz),4.27(2H,q,J=7.2Hz),6.51(1H,d,J=15.9Hz),6.88(1H,s),6.95(2H,d,J=8.1Hz),7.35(1H,m),7.48(2H,m),7.61(1H,t,J=8.1Hz),7.72(2H,m),8.21(1H,brs)。
【0073】
参考例23
(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−ヒドロキシ−6−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸
【化33】

参考例22で得た(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−ヒドロキシ−6−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸エチル(0.31g)をTHF(5ml)とエタノール(5ml)の混合液に溶解し、2規定水酸化ナトリウム水溶液(1.5ml)を加えた。5時間攪拌後、反応液を濃縮し、得られた残渣に1規定塩酸を加えて酢酸エチルにて抽出した。抽出液を水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮することによって表題化合物(0.155g、52%)を結晶として得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.25(3H,s),3.33(2H,m),6.57(1H,d,J=16.2Hz),6.89−6.99(3H,m),7.37(1H,d,J=7.5Hz),7.57−7.69(4H,m),7.91(1H,d,J=7.5Hz),9.17(1H,brs),10.53(1H,brs),12.32(1H,brs)。
【0074】
以下で述べる製剤例および試験例において、化合物A〜Fは次の化合物を意味する。
化合物A:モノカルシウム ビス((2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸)・3水和物
化合物B:(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸 トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩
化合物C:(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸 ジエタノールアミン塩
化合物D:モノカルシウム ビス(3−{3−[6−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−7−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}プロピオン酸)
化合物E:モノカルシウム ビス(4−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}ブタン酸
【0075】
製剤例
本発明の化合物を有効成分として含有するリピド・リッチ・プラーク退縮剤またはACAT阻害剤は、例えば、次の様な処方によって製造することができる。
なお、以下の処方において活性成分以外の成分(添加物)は、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格または医薬品添加物規格における収載品などを用いることができる。
1.カプセル剤
(1)化合物A 10mg
(2)ラクトース 90mg
(3)微結晶セルロース 70mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 10mg
1カプセル 180mg
(1),(2)と(3)および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
2.錠剤
(1)化合物A 2.705mg
(2)マンニトール 438.295mg
(3)結晶セルロース 90mg
(4)ポビドン 30mg
(5)クロスカルメロースナトリウム 30mg
(6)ステアリン酸マグネシウム 9mg
(7)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 16.72mg
(8)マクロゴール 3.6mg
(9)酸化チタン 3.6mg
(10)黄色三二酸化鉄 0.08mg
1錠 624mg
(1)(2),(3)および(4)を顆粒化する。(5)および(6)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成形する。(7)(8),(9)および(10)を混和した水溶液を、得られた錠剤にコーティングして、フィルムコーティング錠とする。
3.注射剤
(1)化合物A 10mg
(2)イノシット 100mg
(3)ベンジルアルコール 20mg
1アンプル 130mg
(1),(2),(3)を全量2mlになるように、注射用蒸留水に溶かし、アンプルに封入する。全工程は無菌状態で行う。
【0076】
4.カプセル剤
(1)化合物B 10mg
(2)ラクトース 90mg
(3)微結晶セルロース 70mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 10mg
1カプセル 180mg
(1),(2)と(3)および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
5.錠剤
(1)化合物B 2.705mg
(2)マンニトール 438.295mg
(3)結晶セルロース 90mg
(4)ポビドン 30mg
(5)クロスカルメロースナトリウム 30mg
(6)ステアリン酸マグネシウム 9mg
(7)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 16.72mg
(8)マクロゴール 3.6mg
(9)酸化チタン 3.6mg
(10)黄色三二酸化鉄 0.08mg
1錠 624mg
(1)(2),(3)および(4)を顆粒化する。(5)および(6)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成形する。(7)(8),(9)および(10)を混和した水溶液を、得られた錠剤にコーティングして、フィルムコーティング錠とする。
6.注射剤
(1)化合物B 10mg
(2)イノシット 100mg
(3)ベンジルアルコール 20mg
1アンプル 130mg
(1),(2),(3)を全量2mlになるように、注射用蒸留水に溶かし、アンプルに封入する。全工程は無菌状態で行う。
【0077】
7.カプセル剤
(1)化合物C 10mg
(2)ラクトース 90mg
(3)微結晶セルロース 70mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 10mg
1カプセル 180mg
(1),(2)と(3)および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
8.錠剤
(1)化合物C 2.705mg
(2)マンニトール 438.295mg
(3)結晶セルロース 90mg
(4)ポビドン 30mg
(5)クロスカルメロースナトリウム 30mg
(6)ステアリン酸マグネシウム 9mg
(7)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 16.72mg
(8)マクロゴール 3.6mg
(9)酸化チタン 3.6mg
(10)黄色三二酸化鉄 0.08mg
1錠 624mg
(1)(2),(3)および(4)を顆粒化する。(5)および(6)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成形する。(7)(8),(9)および(10)を混和した水溶液を、得られた錠剤にコーティングして、フィルムコーティング錠とする。
9.注射剤
(1)化合物C 10mg
(2)イノシット 100mg
(3)ベンジルアルコール 20mg
1アンプル 130mg
(1),(2),(3)を全量2mlになるように、注射用蒸留水に溶かし、アンプルに封入する。全工程は無菌状態で行う。
【0078】
10.カプセル剤
(1)化合物D 10mg
(2)ラクトース 90mg
(3)微結晶セルロース 70mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 10mg
1カプセル 180mg
(1),(2)と(3)および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
11.錠剤
(1)化合物D 2.705mg
(2)マンニトール 438.295mg
(3)結晶セルロース 90mg
(4)ポビドン 30mg
(5)クロスカルメロースナトリウム 30mg
(6)ステアリン酸マグネシウム 9mg
(7)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 16.72mg
(8)マクロゴール 3.6mg
(9)酸化チタン 3.6mg
(10)黄色三二酸化鉄 0.08mg
1錠 624mg
(1)(2),(3)および(4)を顆粒化する。(5)および(6)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成形する。(7)(8),(9)および(10)を混和した水溶液を、得られた錠剤にコーティングして、フィルムコーティング錠とする。
12.注射剤
(1)化合物D 10mg
(2)イノシット 100mg
(3)ベンジルアルコール 20mg
1アンプル 130mg
(1),(2),(3)を全量2mlになるように、注射用蒸留水に溶かし、アンプルに封入する。全工程は無菌状態で行う。
【0079】
13.カプセル剤
(1)化合物E 10mg
(2)ラクトース 90mg
(3)微結晶セルロース 70mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 10mg
1カプセル 180mg
(1),(2)と(3)および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
14.錠剤
(1)化合物E 2.705mg
(2)マンニトール 438.295mg
(3)結晶セルロース 90mg
(4)ポビドン 30mg
(5)クロスカルメロースナトリウム 30mg
(6)ステアリン酸マグネシウム 9mg
(7)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 16.72mg
(8)マクロゴール 3.6mg
(9)酸化チタン 3.6mg
(10)黄色三二酸化鉄 0.08mg
1錠 624mg
(1)(2),(3)および(4)を顆粒化する。(5)および(6)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成形する。(7)(8),(9)および(10)を混和した水溶液を、得られた錠剤にコーティングして、フィルムコーティング錠とする。
15.注射剤
(1)化合物E 10mg
(2)イノシット 100mg
(3)ベンジルアルコール 20mg
1アンプル 130mg
(1),(2),(3)を全量2mlになるように、注射用蒸留水に溶かし、アンプルに封入する。全工程は無菌状態で行う。
【0080】
試験例1(経口吸収性)
本発明の化合物の経口吸収性について、試験例を挙げて説明する。
〔方法〕雄性ニュージーランド白色ウサギ(n=3)に化合物A、BまたはX(0.5%メチルセルロース懸濁液、投与量は化合物Xに換算して10mg/kgとなる量)を強制経口投与した。経時的に化合物Xの血中濃度を測定し、最高血中濃度(Cmax)および最高血中濃度到達時間(Tmax)求めた。
化合物X:特許文献1記載の(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸
〔結果〕表1に結果を示す。化合物AまたはBを経口投与した場合、化合物Xを経口投与するよりもより高い血中濃度が認められた。
【表1】

この結果から明らかなように、本発明の化合物は優れた経口吸収性を示す。
【0081】
試験例2(ACAT阻害活性)
[マウス腹腔マクロファージミクロソームACATの調製]
袴田らの方法(実験医学別冊 vol.14、No.12、循環研究プロトコール、p49-52, 1996)に従い、チオグリコレート刺激のC57BL6Jマウスより腹腔マクロファージを採取し、石井らの方法(Ishii I et al., Arterioscler.Thromb., 12, 1139-1145, 1992)に準じて調製したウサギβ−超低比重リポ蛋白質(β−VLDL、150μgコレステロール/ml)を含むRPMI 1640−25mM HEPES(pH7.0)培地で24時間培養したのち腹腔マクロファージを遠心分離(4℃、1,000rpm、5分間)で集め、超音波で破砕した。破砕液は遠心分離(4℃、5,000rpm、15分間)後、超遠心分離(4℃、50,000rpm、90分間)を行い、ミクロソームを調製した。こうして得られたミクロソームをマウス腹腔マクロファージミクロソームACATとして化合物AのACAT阻害活性測定に用いた。
[ACAT阻害活性測定法]
化合物A、コレステロール−アルブミンを含むトリス−HCl緩衝液(pH7.5)およびマウス腹腔マクロファージミクロソームACATからなる混合液を37℃、10分間 preincubationしたのち、H−オレイル−CoAを加え、37℃、20分間反応させた。クロロホルム−メチルアルコール−蒸留水(2:2:1v/v)からなる停止液を加え、生成したコレステリルエステル(CE)を振とう抽出した。シリカゲル薄層クロマトグラフィー(石油エーテル:ジエチルエーテル:酢酸=9:1:0.1v/v)を行い、得られたH−CE画分をシンチレーションカウンターで測定した。
ACAT阻害率は化合物AなしでのACAT活性に対する比率から計算し、IC50値はACAT阻害率50%を示す化合物Aの濃度として算出した。その結果、化合物AのIC50値は1956nMであった。
本結果から、化合物Aは優れたACAT阻害活性を有し、動脈硬化巣の形成抑制および退縮をもたらす新規な動脈硬化治療薬として有用であることが明らかにされた。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の化合物は、優れたリピド・リッチ・プラーク退縮作用または/およびACAT阻害作用を有し、かつ優れた物理化学的性質および経口吸収性を有するので、哺乳動物(例、マウス、ラット、ウサギ、犬、ネコ、牛、豚、サル、ヒト等)の心筋梗塞、不安定狭心症等の冠動脈症候群、末梢動脈閉塞症、高脂血症、脳梗塞、脳卒中、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、マルチプルリスク症候群および代謝性症候群などの予防もしくは治療またはPTCA後もしくはステント留置後の再狭窄予防または治療のための医薬などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】は実施例1で得られた結晶の粉末X線結晶回折パターンを示す。
【図2】は実施例2で得られた結晶の粉末X線結晶回折パターンを示す。
【図3】は実施例3で得られた結晶の粉末X線結晶回折パターンを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式〔I〕
【化1】

〔式中、RおよびRはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基を、A環はさらに置換基を有していてもよいベンゼン環を、B環は置換基を有していてもよいベンゼン環を、Rはカルボキシル基またはカルボキシル基で置換された鎖状炭化水素基を示す。〕で表される化合物のアルカリ土類金属塩または有機アミン塩。
【請求項2】
水和物である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
およびRがそれぞれハロゲン原子または置換基を有していてもよいC1−7アルキル基である請求項1記載の化合物。
【請求項4】
B環がハロゲン化アルキル基および/またはハロゲン原子で置換されたベンゼン環である請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Rが式−(CH−R’〔式中、R’はカルボキシル基を示し、nは0〜6の整数を示す〕で表される基である請求項1記載の化合物。
【請求項6】
Rが式−(CH=CH)n''−R’〔式中、R’はカルボキシル基を示し、n''は1〜3の整数を示す〕で表される基である請求項1記載の化合物。
【請求項7】
アルカリ土類金属塩である請求項1記載の化合物。
【請求項8】
アルカリ土類金属塩がカルシウム塩である請求項7記載の化合物。
【請求項9】
有機アミン塩である請求項1記載の化合物。
【請求項10】
有機アミン塩が一級アミン塩である請求項9記載の化合物。
【請求項11】
一級アミン塩がトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩である請求項10記載の化合物。
【請求項12】
モノカルシウム ビス((2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸)、(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸 トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩、(2E)−3−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}アクリル酸 ジエタノールアミン塩、モノカルシウム ビス(3−{3−[6−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−7−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}プロピオン酸)およびモノカルシウム ビス(4−{3−[7−クロロ−3−(2−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル]フェニル}ブタン酸)からなる群から選ばれた化合物またはその水和物。
【請求項13】
式〔I〕
【化2】

〔式中の記号は請求項1記載と同意義を示す。〕で表される化合物とアルカリ土類金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水素化物とを反応させるか、または、式〔I〕で表される化合物のアルカリ金属塩とアルカリ土類金属ハライドとを反応させることを特徴とする式〔I〕で表される化合物のアルカリ土類金属塩の製造法。
【請求項14】
請求項1記載の化合物の結晶。
【請求項15】
請求項1記載の化合物またはその結晶を含有してなる医薬。
【請求項16】
経口製剤である請求項15記載の医薬。
【請求項17】
リピド・リッチ・プラーク退縮剤またはACAT阻害剤である請求項15記載の医薬。
【請求項18】
冠動脈症候群、心筋梗塞、不安定狭心症、PTCAあるいはステント留置後の冠動脈再狭窄、末梢動脈閉塞症、高脂血症、脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、マルチプルリスク症候群もしくは代謝性症候群の予防治療剤または動脈硬化巣もしくはアテローム性動脈硬化巣の退縮、進展抑制もしくは安定化剤である請求項15記載の医薬。
【請求項19】
HMG−CoA還元酵素阻害剤と組み合わせてなる請求項18記載の動脈硬化巣もしくはアテローム性動脈硬化巣の退縮、進展抑制もしくは安定化剤。
【請求項20】
請求項1記載の化合物の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする哺乳動物におけるリピド・リッチ・プラーク退縮またはACAT阻害方法。
【請求項21】
請求項1記載の化合物の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする哺乳動物における冠動脈症候群、心筋梗塞、不安定狭心症、PTCAあるいはステント留置後の冠動脈再狭窄、末梢動脈閉塞症、高脂血症、脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、マルチプルリスク症候群もしくは代謝性症候群の予防治療または動脈硬化巣もしくはアテローム性動脈硬化巣の退縮、進展抑制もしくは安定化方法。
【請求項22】
HMG−CoA還元酵素阻害剤と組み合わせ投与することを特徴とする請求項21記載の動脈硬化巣もしくはアテローム性動脈硬化巣の退縮、進展抑制もしくは安定化方法。
【請求項23】
リピド・リッチ・プラーク退縮剤またはACAT阻害剤の製造のための請求項1記載の化合物の使用。
【請求項24】
冠動脈症候群、心筋梗塞、不安定狭心症、PTCAあるいはステント留置後の冠動脈再狭窄、末梢動脈閉塞症、高脂血症、脳梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、マルチプルリスク症候群もしくは代謝性症候群の予防治療剤または動脈硬化巣もしくはアテローム性動脈硬化巣の退縮、進展抑制もしくは安定化剤の製造のための請求項1記載の化合物の使用。
【請求項25】
HMG−CoA還元酵素阻害剤と組み合わせることを特徴とする請求項24記載の動脈硬化巣もしくはアテローム性動脈硬化巣の退縮、進展抑制もしくは安定化剤の製造のための使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2007−526237(P2007−526237A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527190(P2006−527190)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【国際出願番号】PCT/JP2005/003838
【国際公開番号】WO2005/082879
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】