説明

クラフト法パルプ製造プロセスにおける薬品使用方法

【課題】クラフトパルプ製造プロセスにおいて、工程のクローズド化を進めてパルプ歩留を向上させ、環境上の問題を少なくすると共に、回収ボイラーへのカリウム蓄積を防止してボイラーのスケールトラブルを防止する。
【解決手段】蒸解工程、漂白工程および薬品回収工程を含むクラフト法パルプ製造プロセスにおいて、プロセス内を流れるNa2Sを含むアルカリ性溶液を電解酸化法により電解し、電解槽の陽極側で生じるポリサルファイドサルファを含む液を蒸解工程に添加し、電解槽の陰極側で生じるKOHを含むNaOH溶液の一部若しくは全部を塩素系漂白剤または塩素系漂白段の白水によって汚染された最初の漂白段以降の漂白段、クラフト法パルプ製造プロセス以外のパルプ製造プロセスの少なくとも一工程、または工場外部のいずれかにて使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラフト法パルプ製造プロセス(工程)において、白液または緑液すなわちNa2Sを含むアルカリ性溶液を電解槽で電解することにより得られる薬液すなわち陰極液および陽極液を蒸解工程および漂白工程において効率的に利用し、その利用後排出される液中の薬品を回収、再生し、再利用するクラフト法パルプ製造プロセスにおける薬品使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クラフト法パルプ製造プロセスにおける酸素脱リグニン工程のアルカリ源としては、白液中の硫黄を含む原子団を、触媒の存在下、チオ硫酸にまで空気酸化して得られる酸化白液が用いられている。しかし、この空気酸化法は、白液中のアルカリ源である硫化ナトリウム(Na2S)をチオ硫酸ナトリウム(Na223)にまで酸化してしまうため、その分活性アルカリとしてのアルカリ源を無効化し損失(ロス)となる。
【0003】
クラフト法パルプ製造工程のクローズド化を進めるには、酸素脱リグニン工程以降の漂白工程からの白水も回収ボイラーで回収することになるが、これらの工程に供給する回収可能なアルカリ源として酸化白液を用いると、必要な白液量はその分増加し、その分回収ボイラーの負荷も上昇するという欠点がある。
【0004】
また、ポリサルファイドを生成する方法については、活性炭触媒の存在下に空気酸化する方法(特開昭47ー10217号公報)、石灰泥と触媒の存在下に空気酸化する方法(特開平8ー209573号公報、特開平9ー87987号公報)、酸化還元樹脂により直接酸化する方法(特開昭56ー149304号公報)、硫黄を溶解する方法(特開平8ー311790号公報、特開昭54ー151602号公報)、電気分解により直接生成する方法(特表平8ー512099号公報=PCT国際公開WO95/0071号)など種々知られているが、現在、パルプを製造する目的で工業的に実用化されているのは活性炭触媒(特開昭47ー10212号公報、特開昭53ー92981号公報)を用いる空気酸化法のみである。
【0005】
【特許文献1】特開昭47ー10217号公報
【特許文献2】特開平8ー209573号公報
【特許文献3】特開平9ー87987号公報
【特許文献4】特開昭56ー149304号公報
【特許文献5】特開平8ー311790号公報
【特許文献6】特開昭54ー151602号公報
【特許文献7】特表平8ー512099号公報
【特許文献8】特開昭47ー10212号公報
【特許文献9】特開昭53ー92981号公報
【0006】
しかし、活性炭触媒を用いる空気酸化方法では、蒸解工程において有効な蒸解効果を有する硫化ソーダが蒸解不活性なチオ硫酸ソーダへの酸化に消費される。白液全体のバランスを考えると、これは有効な硫化ソーダの酸化による無効化、すなわち大きな損失を意味し、しかも白液酸化のための高価な酸化設備を必要とするなど従来のクラフト法パルプ製造プロセスは多くの欠点を有している。
【0007】
また、漂白白水中の薬品を回収し再利用するには、回収ボイラーに回収余力が必要である。回収ボイラーの負荷には有機物に関するものと無機物に関するものとがあり、前者はパルプ収率の向上により、後者は薬品原単位の節減によって軽減が可能であり、設備変更や減産により余力を持たせることもできるが、その効率上の問題やコスト的な問題から他の方法によることが望まれる。
【0008】
有機物すなわち有機固形分負荷を軽減する収率向上方法としてはポリサルファイド(PS)蒸解法が知られており、無機物すなわち無機固形分負荷を軽減する薬品節減方法としてはAQ系助剤添加法などが知られている。また、特開平5ー163690号公報、特表平10ー506687号公報、特開平10ー53989号公報に記載されているように、蒸解初期のNa2S濃度を高くし、蒸解終了時まで活性アルカリ濃度が一定の値を下回らないように管理することで、より良好な蒸解が行うことが知られている。これによってもボイラー負荷の軽減が可能であるが、この方法では複数のNa2S濃度組成をもった薬液を蒸解釜に分割して添加する必要がある。
【0009】
【特許文献10】特開平5ー163690号公報
【特許文献11】特表平10ー506687号公報
【特許文献12】特開平10ー53989号公報
【0010】
複数のNa2S濃度組成をもつ薬液を生成するには、黒液熱分解法(特開平8ー311790号公報(前掲))、温度や濃度を変化させることにより炭酸ナトリウムを析出させる緑液結晶化法(特開平6ー173184号公報)、電気透析により硫化ナトリウム分を濃縮する白液透析法(JOURNAL OF PULP AND PAPER SCIENCE Vol.23 No.4 p.182-187 April 1997)などの方法によるほかはないが、これらの方法とポリサルファイド蒸解法を組み合わせようとした場合には、少なくとも2工程を要するため工程が複雑になってしまう。
【0011】
【非特許文献1】JOURNAL OF PULP AND PAPER SCIENCE Vol.23 No.4 p.182-187 April 1997
【0012】
これら諸問題のほか、従来、クラフト法パルプ製造プロセスにおいては、多量の排液が排出され、環境汚染の問題から、その排出量はできるだけ少なくすることが望まれる。従来、蒸解工程後、ブロータンク、水による洗浄工程を経て得られるパルプの漂白工程には塩素系漂白剤が用いられている。環境汚染の問題から、塩素系漂白剤を使用しないパルプの漂白方法が望まれている。
【0013】
このため、パルプの漂白工程において、今後NaClO、Cl2は使用されなくなる可能性が高い。しかし、環境への負荷が比較的小さいClO2の使用は依然として続くと考えられる。塩素を含むこの排水を回収、再利用することは設備の腐食の問題から難しく、当面は系外に除去せざるを得ない。
【0014】
クラフトパルプ製造プロセスのクローズド化を進める上で次第に大きくなる問題は、工程内、とりわけ回収ボイラーに蓄積する、カリウムの蓄積である。カリウムは塩化物と並んで、回収ボイラー管へのダスト粒子の粘着性を増大し、ボイラーの上部における汚損およびプラギング(閉塞)を加速する傾向がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、従来のクラフト法パルプ製造プロセスにおける、以上のような(1)酸化白液を用いると活性アルカリとしてのアルカリ源が無駄になる、(2)漂白白水の回収範囲拡張に伴ってボイラー負荷が上昇する、(3)ボイラーへのカリウムの蓄積に伴ってボイラーの操業トラブルが加速するという諸欠点を解決し、クラフト法パルプ製造工程をクローズド化するとともに、パルプ歩留まりを向上させ、しかも環境上の問題を可及的に少なくしてなる薬品回収方法を提供することを目的とする。
【0016】
すなわち、本発明は、従来法における上記(1)〜(3)の諸欠点を解決し、クラフト法パルプ製造プロセスにおいて、プロセスから排出される薬品を効率的に再生、利用するとともに、排液の系外への排出が可及的に少なくするようクローズド化することにより、クラフト法パルプ製造プロセスを効率化し、同時に環境問題を解決してなる薬品回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明(1)は、蒸解工程、漂白工程および薬品回収工程を含むクラフト法パルプ製造プロセスにおいて、プロセス内を流れるNa2Sを含むアルカリ性溶液を電解酸化法により電解し、電解槽の陽極側で生じるポリサルファイドサルファを含む液を蒸解工程に添加し、電解槽の陰極側で生じるKOHを含むNaOH溶液の一部若しくは全部を塩素系漂白剤または塩素系漂白段の白水によって汚染された最初の漂白段以降の漂白段、クラフト法パルプ製造プロセス以外のパルプ製造プロセスの少なくとも一工程、または工場外部のいずれかにて使用することを特徴とするクラフト法パルプ製造プロセスにおける薬品使用方法である。
【0018】
本発明(1)の好ましい態様として、電解槽の陰極側で生じるKOHを含むNaOH溶液の一部を、塩素系漂白剤または塩素系漂白段の白水によって汚染された最初の漂白段以降の漂白段、またはクラフト法パルプ製造プロセス以外のパルプ製造プロセスに用い、それら工程から排出されるカリウムイオンを含む薬品を回収せずにクラフト法パルプ製造プロセス系外に除去し、残余のKOHを含むNaOH溶液を、蒸解工程または酸素脱リグニン工程に使用することが挙げられる。
【0019】
本発明(1)の他の好ましい態様として、電解槽の陰極側で生じるKOHを含むNaOH溶液の一部を、塩素系漂白剤または塩素系漂白段の白水によって汚染される最初の漂白段以降の漂白段で使用し、カリウムイオンを含む薬品を回収せずにクラフト法パルプ製造プロセス系外に除去し、漂白工程から排出されるカリウムイオンを含む薬品を回収せずにクラフト法パルプ製造プロセス系外に除去し、残余のKOHを含むNaOH溶液を、蒸解工程または酸素脱リグニン工程に使用することが挙げられる。
【0020】
本発明(2)は、蒸解工程、漂白工程および薬品回収工程を含むクラフト法パルプ製造プロセスにおいて、プロセス内を流れるNa2Sを含むアルカリ性溶液を電解酸化法により電解し、電解槽の陽極側で生じるポリサルファイドサルファを含む液を蒸解工程に添加し、電解槽の陰極側で生じるKOHを含むNaOH溶液の一部若しくは全部を塩素系漂白剤または塩素系漂白段の白水によって汚染された最初の漂白段以降の漂白段、クラフト法パルプ製造プロセス以外のパルプ製造プロセスの少なくとも一工程、または工場外部のいずれかにて使用することにより、カリウムイオンを含む薬品を全量回収してクラフト法パルプ製造プロセスにて使用することなく、少なくとも一部を系外に除去し、その代わりに等価のカリウムイオンを含まない外来のアルカリ溶液を蒸解工程のチップが最高温度に到達した後から塩素系漂白剤または塩素系漂白段の白水によって汚染された最初の漂白段以降の漂白段の1つ前の工程に加えることを特徴とする、クラフト法パルプ製造プロセスにおける薬品使用方法である。
【0021】
本発明(1)−(2)の好ましい態様として、電解槽の陰極側で生じるKOHを含むNaOH溶液の10%以上を塩素系漂白剤または塩素系漂白段の白水によって汚染された最初の漂白段以降の漂白段に添加し、該漂白段から排出される薬品のうちカリウムイオンを含む薬品をクラフト法パルプ製造プロセスの系外に除去することが挙げられる。
【0022】
本発明(1)−(2)の他の好ましい態様として、Na2Sを含むアルカリ性溶液の電解酸化で用いられる電解槽が、陽極を配する陽極室、陰極を配する陰極室、陽極室と陰極室とを区画する隔壁を有し、隔膜がフッ素樹脂系のカチオン交換膜であることが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明においては、クラフト法パルプ製造プロセスにおけるクラフト蒸解に関する新技術を最適な形で組み合わせて構成される。これによりクラフト法パルプ製造プロセスにおいて、排出される薬品を効率的に再生、回収して利用し、系外からの薬品添加および排液の系外への排出が可及的に少なくするようクローズド化する。
【0024】
すなわち、本発明においては、クラフトパルプ製造プロセスにおける物量バランスに関し、電解酸化法(本明細書中、適宜「電解法」ともいう)を用いることにより、回収ボイラーの白水回収余力と、回収可能なNaOHを同時に、且つ、効率的に生成し得ることを見出し、これをクラフトパルプ製造プロセスのクローズド化に有効に利用する。これによりクラフトパルプ製造プロセスのクローズド化を進めることができる。
【0025】
本発明は、(1)パルプ収率向上技術であるポリサルファイド蒸解法、(2)薬液多段添加対応技術である2段硫化度蒸解法、(3)高効率にポリサルファイドを生成する技術である電解法を組み合わせることにより構成される。また、本発明においては、これらに(4)キノン類添加蒸解法を組み合わせることにより、さらに有効な効果が得られる。
【0026】
図1〜3は、本発明において、上記(1)ポリサルファイド蒸解法を適用し、これに(2)〜(3)を組み合わせて用いるクラフト法パルプ製造プロセスを説明する図である。図1は白液の全部を電解する態様、図2は白液の一部を電解する態様、図3は緑液の一部を電解する態様である。なお、図1〜3中“EOL(Electrolytic Orange Liquor)”とは白液、緑液等のNa2Sを含むアルカリ性溶液から電解酸化法によりポリサルファイドを生成させた溶液である。
【0027】
図1〜3中、右上部の円環状として示す工程は本発明で前提とする従来の工程であり、本発明においてはこれに前記(1)〜(3)を組み合わせる。図1〜3中、木釜として示す部分が蒸解工程に相当する部分であるが、本発明においては、図1〜3中、右下部に示すように、蒸解工程として2段硫化度蒸解法を適用する。
【0028】
この蒸解工程は、蒸解釜の中で、浸透段、蒸解段1、蒸解段2で構成される。浸透段は蒸解に用いる蒸解液の少なくとも一部とチップが合流する点、すなわち両者の合流位置に始まり、チップが最高温度に達する以前、薬液の温度が140℃程度を超えた後の最初の循環までの間で構成される。蒸解段1は、薬液の温度が140℃程度を超えた後の最初の循環に始まり、釜から抽出されている黒液の50%程度以上が抽出されている主抽出ストレーナがある位置までの間で構成される。
【0029】
蒸解段2は、釜から抽出されている黒液の50%程度以上が抽出されている主抽出ストレーナがある位置から、その直後にある循環までの間で構成される。蒸解段1、蒸解段2にはアルカリ源が供給され、蒸解段2については、釜の最も下部にある循環からアルカリ源が供給される。主抽出ストレーナの直後の循環以降も蒸解反応に用いられている場合は、主抽出ストレーナの直後の循環から釜の最も下部にある循環までが含まれる。
【0030】
チップ(原料)は通常の前処理工程を経て薬液浸透段へ送られる。本発明においては浸透段に続く蒸解段1と蒸解段2からなる上記2段硫化度蒸解法(2)を適用し、上記電解法(3)で得られるポリサルファイド液、図1〜3で云えば“電解槽”で得られるポリサルファイド液(EOL)をチップが最高温度に達する以前すなわち浸透段に供給し、同じく上記電解法(3)で得られるNaOHを主成分として含む溶液を蒸解段1、蒸解段2、酸素脱リグニン段、後漂白2、後漂白3へ供給する。電解槽からのEOLの1部は蒸解段1に供給してもよい。図2のように白液の一部を電解する態様では、残部の白液は蒸解段2に供給するが、その一部は浸透段、蒸解段2のうち一方または双方に供給してもよい。図3のように緑液の一部を電解する態様では、白液は蒸解段1及び蒸解段2に供給するが、その一部は浸透段に供給してもよい。
【0031】
ポリサルファイド蒸解法(1)は、パルプ収率を向上させるための方法であるが、ポリサルファイドは高温(120℃程度以上)では不安定なため、高温部位に薬液を分割添加する蒸解では、ポリサルファイドサルファの高濃度化により大きな収率向上効果が得られても、高温部への添加割合に対応して効果が小さくなる。ポリサルファイド蒸解は収率向上により、有機物由来のボイラー負荷を低減できるが、薬液分割添加技術には不向きな面がある。
【0032】
蒸解工程においては、初期の段階が高硫化度で、蒸解終了まで一定のアルカリ濃度が保たれるのが理想的な蒸解であるが、本発明で適用する2段硫化度蒸解法(2)はこれを実現するための方法である。同一カッパー価の製品を生産する場合には、歩留まり向上と蒸解用薬品の節減が期待でき、初期添加用の高硫化度の白液からポリサルファイドを生成することによりさらに大きい収率向上効果が期待できるが、本発明においては白液からのポリサルファイドの生成に上記電解法(3)を適用するという単一の工程により上記優れた効果が得られる。これに対して、単一の薬品回収系から2種類の硫化度組成をもつ薬液を得る方法として、前記緑液結晶化法や黒液熱分解法を用いた場合には、別途ポリサルファイドの生成工程を用いる必要があるため工程が複雑になる。
【0033】
ポリサルファイドの生成を従来の空気酸化法(例えば下記反応式1)によった場合には、ポリサルファイドの空気酸化に起因してポリサルファイドの一部がチオ硫酸ナトリウムに転ずる副反応が起る(例えば下記反応式2、3)。このため、空気酸化法では白液中のNa2Sをポリサルファイドに変換する効率の点で劣る。加えて、この副反応はポリサルファイドサルファの濃度を上げようとすればするほど起りやすくなる傾向にあり、このため空気酸化法ではNa2S濃度の増加に見合ったポリサルファイドサルファ濃度の増加しか期待することができない。
【0034】
【化1】

【0035】
そこで、本発明のポリサルファイドを含んだアルカリ性蒸解液は、水酸化ナトリウムおよび硫化ナトリウムが主成分のアルカリ性蒸解液、例えば白液中の硫化物イオンを電気化学的に酸化する方法、すなわち電解法(3)により生成させる。本発明で用いる電解法としては特に限定はないが、好ましくは以下のような電解法を適用することができる〔(A)特願平10ー166374号公報、(B)特願平11ー51016号公報、(C)特願平11ー51033号公報〕。これらは本発明者等により先に開発されたもので、電解法に関して、アノードの構成、アノードのアノード室への配置条件、カソード室内とアノード室内との圧力条件、その他の諸要件について追求、研究し、チオ硫酸イオンの副生を極度に少なくできる等、有効な効果を得る上で重要な要件を見い出し、構成されたものである。
【0036】
【特許文献13】特願平10ー166374号公報
【特許文献14】特願平11ー51016号公報
【特許文献15】特願平11ー51033号公報
【0037】
これら(A)〜(C)の技術はパルプ製造工程における白液または緑液を処理して多硫化物を製造し且つNaOH溶液を得るのに特に適しており、本発明においては、電解槽のアノード室すなわち陽極側に白液または緑液を導入し、ここで生じるポリサルファイド液をそのまま、あるいは苛性化した後に、チップが最高温度に達する以前に添加することにより利用する。また電解槽のカソード室すなわち陰極側で生じるNaOH(少量のKOHを含む)溶液をチップが最高温度に到達した後から最終漂白段までの間の少なくとも1つの工程に添加することにより利用する。
【0038】
さらに、電解法(3)により電解槽のカソード室すなわち陰極側で生じるNaOHは少量のKOHを含むが、このカリウムの陽極室から陰極室への移行率は、ナトリウムの陽極室から陰極室への移行率よりも大きい。従って本発明によれば、クラフト法パルプ製造プロセスのクローズド化を進めると次第に工程内に蓄積してくるカリウムイオンを、効率的に陰極液に濃縮することが可能になる。
【0039】
すなわち、パルプの漂白工程において、環境への負荷が比較的小さいClO2の使用は以前として続くと考えられ、塩素を含むこの漂白工程からの排水は設備の腐食の問題から回収、再利用することは難しく、当面は系外に除去せざるを得ない。この漂白工程において電解法(3)により得られるKOHを含むNaOHを使用することにより、クラフト法パルプ製造プロセス内に次第に蓄積してくるカリウムイオンの一部を系外に除去することが可能になる。
【0040】
また、漂白工程に加えて、上記のKOHを含むNaOH溶液をクラフト法パルプ製造プロセス以外のパルプ製造プロセスに用い、更に工場外でも使用することにより、陰極液に蓄積したカリウムイオンを更に効率的にクラフト法パルプ製造プロセスから除去することが可能になる。
【0041】
このことは、とりわけクラフトパルプ製造プロセス中の回収ボイラーに蓄積するカリウムが、塩化物と並んで回収ボイラー管のダスト粒子の粘着性を増大し、ボイラーの上部における汚損およびプラギング(閉塞)を引き起こすという問題に対して効果がある。
【0042】
本発明においては、6g/L以上、従来の空気酸化法に比べて、電解法の特性を発揮するためには、好ましくは7g/L以上、特に好ましくは8〜20g/Lのポリサルファイドサルファ濃度のアルカリ性蒸解液を用いる。白液電解法を用いる本発明の方法においては、高濃度ポリサルファイドサルファの生成と同時に2種類のNa2S態イオウ濃度組成をもった薬液を生成できるため、非常に簡略な工程により蒸解初期にポリサルファイドサルファおよびNa2S態イオウ濃度の高い蒸解液を供給することができる。また、白液電解法を用いる本発明の方法によれば、従来の空気酸化法の場合には生起する副反応が起らず、これが起っても抑制して僅かとすることができるため、白液中のNa2S分を非常に効率よくポリサルファイドに変換することができ、且つ、Na2S濃度の増加に見合う以上にポリサルファイド濃度を上げることができる。
【0043】
さらに、白液電解法では、陽極側に生ずるポリサルファイドサルファおよびNa2S態イオウを高濃度で含むポリサルファイド蒸解液に加え、陰極側に硫化ソーダ分を含まない苛性ソーダが副生する。電解の効率が非常に高いため、陽極液と陰極液の活性アルカリの和は電解槽に導入される白液の活性アルカリとほぼ同一となる。特にイオン交換膜法により白液を電解した場合、硫化ソーダ分を含まない苛性ソーダが得られるため、これらを酸素脱リグニンや過酸化水素漂白段に用いることができる。
【0044】
白液の組成は、例えば、現在行われているクラフトパルプ蒸解に用いられている白液の場合、通常、アルカリ金属イオンとして2〜6mol/Lを含有し、そのうちの90%以上はナトリウムイオンであり、残りはほぼカリウムイオンである。またアニオンは、水酸化物イオン、硫化物イオン、炭酸イオンを主成分とし、他に硫酸イオン、チオ硫酸イオン、塩素イオン、亜硫酸イオンを含む。さらにカルシウム、ケイ素、アルミニウム、リン、マグネシウム、銅、マンガン、鉄のような微量成分を含む。一方、緑液の組成は、白液の主成分が硫化ナトリウムと水酸化ナトリウムであるのに対して、硫化ナトリウムと炭酸ナトリウムが主成分である。緑液中のその他のアニオンや微量成分については白液と同様である。
【0045】
このような白液または緑液をアノード室に供給して電解酸化を行うと、硫化物イオンが酸化されてポリサルファイドイオンが生成し、それに伴いアルカリ金属イオンが隔膜を通してカソード室に移動しアルカリ金属の水酸化物(NaOH、一部KOH)が生成する。本発明においては、こうして得られたポリサルファイドイオンを高濃度で含む液をチップが最高温度に達する以前に添加し、また得られた上記アルカリ金属の水酸化物を含む溶液をチップが最高温度に到達した後から最終漂白段までの間の少なくとも1つの工程に添加する。
【0046】
本発明によれば、従来のクラフト法パルプ製造工程に電解酸化法を組み入れることで、生成ポリサルファイドによりパルプ収率を向上させることができ、これによって黒液中の有機物を減少させ、有機物に起因するボイラー負荷を低減させることができる。また本発明によれば、電解酸化法とともに2段硫化度蒸解法を適用することで、それら双方の薬品節減作用によりNa2SO4等の無機物に起因するボイラー負荷を低減することができる。
【0047】
そして、電解法を組み入れることにより生じた回収ボイラーの余力を漂白白水に由来する薬品の回収および有機物の処理、図1〜3で云えば希黒液タンクへ入る洗浄排水に含まれる薬品の回収および有機物の処理に振り向けることができる。図1〜3のとおり、洗浄水は漂白3を経たパルプを洗浄して漂白排水3となり、漂白排水3は漂白2を経たパルプを洗浄して漂白排水2となり、漂白排水2は漂白1を経たパルプを洗浄して漂白排水1となり、漂白排水2は酸素脱リグニン工程を経たパルプを洗浄した後、稀黒液タンクへ供給される。この場合、漂白排水2の一部は酸素脱リグニン工程を経ずに稀黒液タンクへ供給してもよいが、いずれにしてもクラフト法パルプ製造プロセスにおける洗浄排水の全部が回収される。本発明においては、クラフト法パルプ製造プロセスに電解法を組み入れ、これにより生じた回収ボイラーの余力を漂白排水に含まれる薬品の回収および有機物の処理に振り向けることができる。
【0048】
また、本発明においては、(4)高濃度ポリサルファイド蒸解の初期においてキノン類を添加することは蒸解工程に対してきわめて有効である。ポリサルファイドとキノン類を蒸解の初期に共存させることにより蒸解工程での糖安定化と脱リグニン速度を促進し、大幅なパルプ収率の向上とアルカリの節減、すなわち有機物および無機物に起因するボイラー負荷の軽減を併せて可能にする。
【0049】
また、本発明によれば、白液電解法により蒸解時に余剰となったアルカリ分を、電解時、陰極側で生じる硫化ソーダを殆ど含まない溶液として漂白工程に振り向けることにより、漂白白水(洗浄排水)を回収ボイラーで回収した場合のナトリウム/硫黄バランスの崩れを最低限に抑え、クラフト法パルプ製造プロセスのクローズド化に適した、高効率なクラフト蒸解薬品回収方法とすることができる。
【0050】
回収を前提としたアルカリ源として酸素漂白等に用いられる酸化白液は、前記活性炭触媒を用いる空気酸化法のとおり、従来、白液中の硫化ナトリウム成分をチオ硫酸ナトリウムにまで酸化することにより生成されているが、この場合、チオ硫酸ナトリウム生成分に相当する活性アルカリ成分をロスすることになる。これに対して、本発明で適用する白液電解法では、反応に際してこのような活性アルカリ成分のロスが殆どないため、非常に効率よく、チップが最高温度に到達した後から最終漂白段までの間の少なくとも1つの工程、すなわち図1〜3で云えば蒸解段1、蒸解段2、酸素脱リグニン段、漂白2、漂白3のアルカリ源として供給することができる。
【0051】
本発明によれば、クラフトパルプ製造プロセスを流れる全てのNa2Sを含むアルカリ性溶液を電解処理の対象とすることができる。この場合、蒸解に供されるNa2Sを含むアルカリ性溶液の全量を処理対象としてもよいが、蒸解の方法や必要なNa2Sを含まないNaOH液の必要量に応じて電解処理量を最適化することによりパルプ歩留まりをさらに上げることができ、蒸解黒液によるボイラー負荷を軽減させることができる。
【0052】
蒸解薬液がチップに供給される位置が単一である、薬液分割添加が行えないタイプの釜においては、チップに対して蒸解液が供給された直後のNa2S態イオウ濃度が10g/L〔Na2Oとして(as Na2O)〕以下とならないように、且つ、対チップの活性アルカリ添加率が13%以下とならないように電解処理量を加減するのが最も好ましい。
【0053】
また、蒸解用の温調循環以降、蒸解釜底部循環までの間に、薬液の分割添加が行えるタイプの釜においては、白液電解槽の陽極において生成する硫黄成分が濃縮されたポリサルファイド蒸解液の少なくとも一部を頂部循環以前(浸透釜を有する連続蒸解釜にあっては浸透釜の頂部循環以前)に初期添加し、それ以降、連続蒸解釜内のpHが10以下とならないように少なくとも白液電解槽の陰極において生成するNaOH溶液を含む液を途中で添加する。
【0054】
陰極液の一部または白液を用いて、初期添加直後の活性アルカリ濃度が40g/L以上となるように調整してもよいが、陰極液全量により初期添加直後の活性アルカリ濃度が40g/L以上100g/L以下となるよう、白液濃度を調整するのがさらに好ましい。また、蒸解途中のpHを10以上に維持するために添加するアルカリ源は陰極液であることが最も望ましい。しかし、生成する陰極液が所要量に満たない場合には、白液をアルカリ用として用いてもよい。アルカリ液が更に必要な時には、陽極液をアルカリ源として用いてもよい。陰極液の一部をpH維持に用い、余剰の陰極液を生じせしめて漂白工程用に振り向けるのが最も望ましい。
【0055】
白液電解法による場合でも、ポリサルファイドは白液中のNa2Sから生成するため、必要以上に高濃度のポリサルファイドを生成させると、やはりNa2S態イオウ濃度が必要最低限の値以下となる。ポリサルファイドサルファ濃度は高ければ高いほどよいが、望ましくは6〜15g/L(硫黄として)の範囲であるのが収率向上、すなわちボイラー負荷軽減効果が大きい。また、分割添加を行う場合には、チップに対して蒸解液が供給された直後のNa2S態イオウ濃度は5g/L(as Na2O)を下回らないようにポリサルファイド生成を行う必要がある。
【0056】
また、被処理液の種類として、回収ボイラー由来の全てのNa2Sを含むアルカリ性溶液が処理対象となってもよいが、被処理液が弱液や漂白白水のように低Na2S濃度の場合には、電解設備が肥大化したり、電解生成物の利用に際して濃縮が必要になったりするために、白液、緑液程度のNa2S濃度組成をもつことが望ましい。また、ポリサルファイドは空気酸化や熱により分解するため、パルプ歩留まり向上による蒸解黒液によるボイラー負荷軽減を最大にするためには、蒸解釜頂部(蒸解釜が浸透釜を有する場合には浸透釜頂部)においてチップに供給される直前のNa2Sを含むアルカリ性溶液、すなわち白液を処理対象とすることが最も望ましい。
【実施例】
【0057】
〈比較例1〉
日本製紙株式会社A工場(パルプ(未晒パルプ)生産量820t/D、白液流量81.3m3/h)において、回収ボイラに持ち込まれるカリウム量は35,300kg/Dだった。なお、この工場の白液組成は下記の通りだった。
〔白液組成〕
活性アルカリ濃度 ;108g/L
硫化度 ;28.5%
【0058】
〈実施例1〉
比較例1と同一の組成を持つ白液を白液電解法により酸化し、得られた陽極液(アノード液)と陰極液(カソード液)のナトリウム濃度、カリウム濃度をICP発光分析法により求め、カリウム/ナトリウムのモル比を算出した。結果は下記の通りだった。
〔カリウム濃度(mol/L)〕
白液 ;0.5
陽極液 ;0.38
陰極液 ;0.36
〔ナトリウム濃度(mol/L)〕
白液 ;4.02
陽極液 ;3.74
陰極液 ;2
〔ナトリウム/カリウム比(mol/mol)〕
白液 ;0.124
陽極液 ;0.102
陰極液 ;0.18
【0059】
上記白液電解条件は以下のとおりとした。アノードとしてニッケル多孔体(100mm×20mm×4mm、アノード室体積当りのアノード表面積:5600m2/m3、網目の平均孔径:0.51mm、隔膜面積に対する表面積:28m2/m3)、カソードとして鉄のエクスパンジョンメタル、隔膜としてフッ素樹脂系カチオン交換膜とからなる2室型の電解槽を組み立てた。この電解槽に比較例1と同一の組成を持つ白液を導入し、電解温度:85℃、隔膜での電流密度:6kA/m2の条件下で電解を行い、電流効率95%でポリサルファイドサルファ濃度が8g/Lのポリサルファイド蒸解液を得た。副生チオ硫酸ナトリウム濃度は0.6g/Lと微量であった。また、カソード側では電流効率80%でNaOHが生成し、添加水量を調整して10%濃度のNaOH水溶液を得た。
【0060】
この電解槽をスケールアップし、日本製紙株式会社A工場の白液62m3/hを白液電解法により酸化し、8g/Lのポリサルファイドを電解槽で生成する事を想定した場合の陰極液のカリウム量、また、この陰極液の10%、25%、50%を漂白工程等に使用し、生じる廃液を回収せずに系外に除去することを想定した場合、回収ボイラに持ち込まれるカリウム量は、表1の通りとなった。
【0061】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のクラフト法パルプ製造プロセスの態様を説明する図
【図2】本発明のクラフト法パルプ製造プロセスの態様を説明する図
【図3】本発明のクラフト法パルプ製造プロセスの態様を説明する図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸解工程、漂白工程および薬品回収工程を含むクラフト法パルプ製造プロセスにおいて、プロセス内を流れるNa2Sを含むアルカリ性溶液を電解酸化法により電解し、電解槽の陽極側で生じるポリ
サルファイドサルファを含む液を蒸解工程に添加し、電解槽の陰極側で生じるKOHを含むNaOH溶液の一部若しくは全部を塩素系漂白剤または塩素系漂白段の白水によって汚染された最初の漂白段以降の漂白段、クラフト法パルプ製造プロセス以外のパルプ製造プロセスの少なくとも一工程、または工場外部のいずれかにて使用することを特徴とするクラフト法パルプ製造プロセスにおける薬品使用方法。
【請求項2】
電解槽の陰極側で生じるKOHを含むNaOH溶液の一部を、塩素系漂白剤または塩素系漂白段の白水によって汚染された最初の漂白段以降の漂白段、またはクラフト法パルプ製造プロセス以外のパルプ製造プロセスに用い、それら工程から排出されるカリウムイオンを含む薬品を回収せずにクラフト法パルプ製造プロセス系外に除去し、残余のKOHを含むNaOH溶液を、蒸解工程または酸素脱リグニン工程に使用することを特徴とする、請求項1記載のクラフト法パルプ製造プロセスにおける薬品使用方法。
【請求項3】
電解槽の陰極側で生じるKOHを含むNaOH溶液の一部を、塩素系漂白剤または塩素系漂白段の白水によって汚染される最初の漂白段以降の漂白段で使用し、カリウムイオンを含む薬品を回収せずにクラフト法パルプ製造プロセス系外に除去し、漂白工程から排出されるカリウムイオンを含む薬品を回収せずにクラフト法パルプ製造プロセス系外に除去し、残余のKOHを含むNaOH溶液を、蒸解工程または酸素脱リグニン工程に使用することを特徴とする、請求項1記載のクラフト法パルプ製造プロセスにおける薬品使用方法。
【請求項4】
蒸解工程、漂白工程および薬品回収工程を含むクラフト法パルプ製造プロセスにおいて、プロセス内を流れるNa2Sを含むアルカリ性溶液を電解酸化法により電解し、電解槽の陽極側で生じるポリ
サルファイドサルファを含む液を蒸解工程に添加し、電解槽の陰極側で生じるKOHを含むNaOH溶液の一部若しくは全部を塩素系漂白剤または塩素系漂白段の白水によって汚染された最初の漂白段以降の漂白段、クラフト法パルプ製造プロセス以外のパルプ製造プロセスの少なくとも一工程、または工場外部のいずれかにて使用することにより、カリウムイオンを含む薬品を全量回収してクラフト法パルプ製造プロセスにて使用することなく、少なくとも一部を系外に除去し、その代わりに等価のカリウムイオンを含まない外来のアルカリ溶液を蒸解工程のチップが最高温度に到達した後から塩素系漂白剤または塩素系漂白段の白水によって汚染された最初の漂白段以降の漂白段の1つ前の工程に加えることを特徴とする、クラフト法パルプ製造プロセスにおける薬品使用方法。
【請求項5】
電解槽の陰極側で生じるKOHを含むNaOH溶液の10%以上を塩素系漂白剤または塩素系漂白段の白水によって汚染された最初の漂白段以降の漂白段に添加し、該漂白段から排出される薬品のうちカリウムイオンを含む薬品をクラフト法パルプ製造プロセスの系外に除去することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のクラフト法パルプ製造プロセスにおける薬品使用方法。
【請求項6】
Na2Sを含むアルカリ性溶液の電解酸化で用いられる電解槽が、陽極を配する陽極室、陰極を配する陰極室、陽極室と陰極室とを区画する隔壁を有し、隔膜がフッ素樹脂系のカチオン交換膜であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のクラフト法パルプ製造プロセスにおける薬品使用方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−150721(P2008−150721A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337662(P2006−337662)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 研究集会名:第73回紙パルプ研究発表会、主催者:紙パルプ技術協会、開催日:平成18年6月15日〜16日
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【出願人】(000199795)川崎化成工業株式会社 (133)
【Fターム(参考)】