説明

クランクシャフトの製造方法及び製造装置

【課題】別途の曲げ加工工程を省略し、製造装置を簡易化及び小型化すること。
【解決手段】最初に、軸素材8上の中間部位にフローティングダイ10を保持し、軸素材8の半径方向におけるフローティングダイ10の移動を特定方向SD以外の方向について規制する。次に、軸素材8に軸方向の圧縮荷重を加えることにより、軸素材8を据え込み、フローティングダイ10の特定方向SDへの移動を許容して中間部位を特定方向SDへ座屈させることにより、軸素材8からクランクシャフトを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軸素材からクランクシャフトを製造するクランクシャフトの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1、特許文献2に記載される技術が知られている。特許文献1には、一体のダイを用いることにより、寸法精度に優れたクランクシャフトを効率的に製造する製造方法及び製造装置が記載されている。この製造方法は、筒状又は棒状の素材(軸素材)の両端をそれぞれ一体型のダイに嵌合させた後、少なくとも一方のダイを素材の軸方向に移動させ、ダイに設けられている第1のパンチにより軸素材の両端面を加圧してダイとともに据込加工を行う。一方、クランクシャフトのピン部に対応する軸素材の一部位を軸方向に直交する方向へ第2のパンチにより加圧して曲げ加工を施す。これによってピン部を有するクランクシャフトを製造している。また、この製造装置は、軸素材の軸方向に進退自在な摺動台と、摺動台に設けられ軸素材の端部を嵌合自在な一体型のダイと、ダイに嵌合された軸素材の端面を加圧してダイとともに据込加工を行う第1のパンチと、軸素材を軸方向と直交する方向に加圧して曲げ加工を行う第2のパンチとを備える。この製造装置では、摺動台に設けられた一体型のダイとこのダイに設けられた第1のパンチとにより軸素材に据込加工を施す一方、第2のパンチにより軸素材に曲げ加工を施す。これによってピン部を有するクランクシャフトを精度良く製造するようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開平3−60837号公報
【特許文献2】特開平8−10892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の技術では、軸素材のピン部に対応する部位を軸方向と直交する方向、すなわち軸素材の半径方向へ曲げ加工するために、第1のパンチとは別の第2のパンチを使用した曲げ加圧工程を設けていたことから、その工程の分だけ製造に時間がかかることになった。また、第2のパンチに加圧力を供給するために、第1のパンチとは別の油圧装置が必要となり、製造装置が大掛かりとなっていた。
【0005】
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、別途の曲げ加工工程を省略することを可能としたクランクシャフトの製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、軸素材からクランクシャフトを製造するクランクシャフトの製造方法であって、軸素材の所定部位における半径方向への変形を特定方向以外の方向につき規制しながら軸素材に軸方向の圧縮荷重を加えることにより、軸素材を据え込み、所定部位を特定方向へ座屈させることを趣旨とする。
【0007】
上記発明の構成によれば、軸素材に軸方向の圧縮荷重を加えるだけで、軸素材が据え込まれ、所定部位が特定方向へ座屈されて曲げられ、クランクシャフトが製造される。
【0008】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、軸素材からクランクシャフトを製造するクランクシャフトの製造方法であって、軸素材上の所定部位にダイを保持し、軸素材の半径方向におけるダイの移動を特定方向以外の方向につき規制する第1の工程と、軸素材に軸方向の圧縮荷重を加えることにより、軸素材を据え込み、ダイを特定方向へ移動を許容して所定部位を特定方向へ座屈させる第2の工程とを備えたことを趣旨とする。
【0009】
上記発明の構成によれば、第1の工程では、軸素材上の所定部位に保持されたダイの移動が、軸素材の半径方向における特定方向以外の方向につき規制された状態となる。第2の工程では、軸素材に軸方向の圧縮荷重を加えるだけで、軸素材が据え込まれ、ダイが特定方向へ移動を許容され、所定部位が特定方向へ座屈されて曲げられ、ダイにより成形され、クランクシャフトが製造される。
【0010】
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、軸素材からクランクシャフトを製造するクランクシャフトの製造装置において、軸素材上に付けられるダイと、軸素材上の所定部位にてダイを保持する保持部材と、軸素材の半径方向におけるダイ及び保持部材の移動を特定方向以外の方向につき規制する移動規制手段と、軸素材に軸方向の圧縮荷重を加える荷重供給手段とを備えたことを趣旨とする。
【0011】
上記発明の構成によれば、軸素材上にダイを付け、軸素材上の所定部位にて保持部材によりダイを保持する。また、軸素材の半径方向におけるダイ及び保持部材の移動を特定方向以外の方向につき移動規制手段により規制する。この状態で、荷重供給手段により軸素材に軸方向の圧縮荷重を加えるだけで、軸素材が据え込まれ、所定部位が特定方向へ座屈されて曲げられ、ダイにより成形され、クランクシャフトが製造される。
【0012】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、保持部材は、ダイの外周に圧着される円環状部材であることと、移動規制手段は、円環状部材の周囲に配置され、先端が円環状部材の外周に接触可能に設けられた複数の接触部材であることとを備えたことを趣旨とする。
【0013】
上記発明の構成によれば、請求項3に記載の発明の作用に加え、軸素材上に付けられたダイは、その外周に円環状部材が圧着されることで所定部位に保持される。この状態で、円環状部材の外周に接触可能に設けられた複数の接触部材により、ダイ及び円環状部材の移動が特定方向を除いて規制される。
【0014】
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、接触部材を3本含み、そのうち2本の接触部材が互いに対向する位置にて先端を軸素材の中心へ向けて配置され、残りの1本の接触部材が2本の接触部材の間にて先端を軸素材の中心へ向けて配置されることを趣旨とする。
【0015】
上記発明の構成によれば、請求項4に記載の発明の作用に加え、互いに対向する2本の接触部材の間であって、残りの1本の接触部材の位置に対し軸素材を挟んだ反対側の方向が特定方向とされる。そして、これら3本の接触部材により、特定方向以外の方向へのダイ及び円環状部材の移動が規制される。
【0016】
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、接触部材を3本含み、そのうち2本の接触部材が互いに対向する位置より特定方向側へ所定角度ずれた位置にて先端を軸素材の中心へ向けて配置され、残りの1本の接触部材が2本の接触部材の間にて先端を軸素材の中心へ向けて配置されることを趣旨とする。
【0017】
上記発明の構成によれば、請求項4に記載の発明の作用に加え、互いに対向する2本の接触部材の間であって、残りの1本の接触部材の位置に対し軸素材を挟んだ反対側の方向が特定方向とされる。そして、これら3本の接触部材により、特定方向以外の方向へのダイ及び円環状部材の移動が規制される。ここで、互いに対向する2本の接触部材が特定方向側へ所定角度ずれた位置に配置されるので、円環状部材に対する2本の接触部材の接触抵抗が増す。従って、軸素材に軸方向の圧縮荷重を加えたとき、ダイ及び円環状部材はすぐには特定方向へ動かず、軸素材は圧縮される。
【0018】
上記目的を達成するために、請求項7に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、移動規制手段に対して設けられ、移動規制手段を保持部材に対し進退させるアクチュエータと、アクチュエータを荷重供給手段の動作に合わせて制御するための制御手段とを備えたことを趣旨とする。
【0019】
上記発明の構成によれば、請求項3に記載の発明の作用に加え、移動規制手段を保持部材に対し進退させることにより、ダイ及び保持部材の特定方向への移動が規制又は許容される。ここで、アクチュエータの動作が制御手段により荷重供給手段の動作に合わせて制御されるので、軸素材に圧縮荷重が加わるタイミングに合わせて、ダイ及び保持部材の特定方向への移動が許容される。
【0020】
上記目的を達成するために、請求項8に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、複数の接触部材のそれぞれに対して設けられ、各接触部材を円環状部材に対し進退させる複数のアクチュエータと、各アクチュエータを荷重供給手段の動作に合わせて制御するための制御手段とを備えたことを趣旨とする。
【0021】
上記発明の構成によれば、請求項4に記載の発明の作用に加え、複数の接触部材を円環状部材に対し進退させることにより、ダイ及び円環状治の特定方向への移動が規制又は許容される。ここで、各アクチュエータの動作が制御手段により荷重供給手段の動作に合わせて制御されるので、軸素材に圧縮荷重が加わるタイミングに合わせて、ダイ及び円環状部材の特定方向への移動が許容される。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、別途の曲げ加工工程を省略することができ、クランクシャフトの製造サイクルタイムを短縮することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、別途の曲げ加工工程を省略することができ、クランクシャフトの製造サイクルタイムを短縮することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、別途の曲げ加工工程を省略することができ、クランクシャフトの製造サイクルタイムを短縮することができる。また、曲げ加工工程を省略した分だけ製造装置を簡易化及び小型化することができる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、軸素材に対するダイの着脱を容易にすることができ、軸素材の座屈方向を比較的簡単な構成で規制することができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加え、ピン部のショルダー部分にダレが生じることを防止でき、クランクシャフトに割れが生じることを防止することができる。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、クランクシャフトの製造サイクルタイムを更に短縮することができる。
【0029】
請求項8に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加え、クランクシャフトの製造サイクルタイムを更に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
[第1実施形態]
以下、本発明におけるクランクシャフトの製造方法及び製造装置を具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1に、クランクシャフトの製造装置1を縦断面図により示す。図2に、この製造装置1を図1のA−A線断面図(横断面図)により示す。この製造装置1は、土台となる固定治具2と、固定治具2の上に立てられた案内治具3と、案内治具3の内周に沿って上下動可能に設けられた押し治具4と、案内治具3の内側にて固定治具2と押し治具4との間に配置されるフローティング治具5とを備える。
【0032】
固定治具2は、中央に固定ダイ6を含む。固定ダイ6の上面には、凹部6aが形成される。案内治具3は円筒形をなす。押し治具4は、中央に押しダイ7を含む。押しダイ7の下面には、凹部7aが形成される。図1に示すように、この製造装置1は、軸素材8の上下両端部を固定ダイ6の凹部6aと押しダイ7の凹部7aにそれぞれ嵌め入れることにより、軸素材8を固定治具2と押し治具4との間に垂直に支持するようになっている。押し治具4は、油圧シリンダを含む所定の油圧装置により上下に往復駆動されるようになっている。この実施形態では、固定治具2及び押し治具3により、本発明の荷重供給手段が構成される。
【0033】
フローティング治具5は、円環状部材9と、円環状部材9の中央に位置するフローティングダイ10とを含む。フローティングダイ10は、断面が逆台形をなし、その外周がテーパ面をなしている。フローティングダイ10の中央には、軸素材8を嵌める孔10aが形成される。円環状部材9の中央には、フローティングダイ10の外周のテーパ面に整合したテーパ孔9aが形成される。図1に示すように、フローティング治具5は、軸素材8上の中間部位に保持される。ここで、フローティングダイ10を軸素材8上の中間部位に付けた状態で、円環状部材9のテーパ孔9aにフローティングダイ10の外周面を圧入するかたちでフローティングダイ10の外周に円環状部材9を圧着する。これにより、フローティングダイ10が円環状部材9により締め付けられて軸素材8上の中間部位に保持される。この実施形態では、円環状部材9が本発明の保持部材に相当する。軸素材8の中間部位が本発明の所定部位に相当する。図1に示すように、この実施形態では、軸素材8をフローティング治具5と共に製造装置1にセッティングすることで、フローティング治具5は固定治具2と押し治具4との中間位置に保持される。
【0034】
図1,2に示すように、案内治具3には、3本のボルト11A〜11Cが、軸素材8を中心に半径方向に配置され、案内治具3を貫通するように設けられる。3本のボルト11A〜11Cの先端は、フローティング治具5を構成する円環状部材9の外周に接触可能に設けられる。図2に示すように、3本のボルト11A〜11Cのうち、2本のボルト11A,11Bは、軸素材8を挟んで互いに対向する位置にて先端を軸素材8の中心へ向けて配置される。残りの1本のボルト11Cは、2本のボルト11A,11Bの間にて先端を軸素材8の中心へ向けて配置される。この実施形態で、残りの1本のボルト11Cの位置に対し軸素材8を挟んだ反対側の方向(図2の右方向)が特定方向SDとなっている。この実施形態で、3本のボルト11A〜11Cは、本発明の3本の接触部材に相当する。また、案内治具3と3本のボルト11A〜11Cは、軸素材8の半径方向におけるフローティング治具5の移動を特定方向SD以外の方向について規制する本発明の移動規制手段を構成する。
【0035】
ここで、フローティングダイ10について詳しく説明する。図3に、フローティングダイ10を平面図により示す。図4に、フローティングダイ10を図3のB−B線断面図により示す。図5に、フローティングダイ10を2つの分割片12,13に分解して平面図により示す。図6に、フローティングダイ10を2つの分割片12,13に分解して断面図により示す。図7に、一方の分割片12を図5の矢印C方向から見た正面図により示す。図8に、他方の分割片13を図5の矢印D方向から見た正面図により示す。図3〜図6に示すように、フローティングダイ10は、2つの分割片12,13により2分割可能に構成される。フローティングダイ10の上面側には、中央の孔10aを中心にU字形の凹み10bが設けられる。この凹み10bは、第1分割片12(図面左側)では、その外周縁にて開放され、第2分割片13(図面右側)では、外周縁にて開放されず、孔10aに沿った円弧状をなしている。フローティングダイ10の下面側にも上面側と同じ凹み10bが設けられる。後述するように、この凹み10bは、軸素材8が座屈されるときに、軸素材8の一部を受け入れて軸素材8を所定形状に成形するようになっている。
【0036】
ここで、上記した製造装置1を使用して行うクランクシャフトの製造方法について説明する。図9に、この製造方法をフローチャートにより示す。図10〜図13に、この製造方法の各工程等を製造装置1の縦断面図により示す。以下に、図9のフローチャートに付された各番号に従って順次説明する。
【0037】
(1)セッティング工程では、図10に示すように、軸素材8の中間部位にフローティングダイ10を付け、そのダイ10の外周に円環状部材9を圧着する。また、軸素材8の上下両端部をそれぞれ固定ダイ6の凹部6aと押しダイ7の凹部7aに嵌め入れて組み付ける。これにより、図11に示すように、フローティング治具5を中間部位に保持した軸素材8を、固定治具2と押し治具4との間にて垂直に支持する。このセッティング完了状態では、軸素材8上の中間部位にてフローティングダイ10が保持され、軸素材8の半径方向におけるフローティングダイ10(フローティング治具5)の移動が特定方向SD以外の方向について規制される。
【0038】
(2)加圧工程では、図12に示すように、押し治具4を油圧装置により下方へ加圧する。これにより、軸素材8に軸方向の圧縮荷重を加え、図13に示すように、軸素材8を据え込み、フローティングダイ10(フローティング治具5)の特定方向SDへの移動を許容して、軸素材8の中間部位を特定方向SDへ座屈させる。このとき、押し治具4が下降する過程で、押し治具4との干渉を避けるために各ボルト11A〜11Cを案内治具3の外方向へ後退させる。図13に示すように、最終的には、フローティング治具5は、図11,12に示す初期状態から特定方向SD(図13の右方側)へ移動し、固定治具2と押し治具4との間で押し挟まれる。このとき、軸素材8は、固定ダイ6、押しダイ7及びフローティングダイ10の間で所定形状に成形される。
【0039】
(3)離型工程では、押し治具4を上昇させ、押し治具4と固定治具2との間からクランクシャフトの成形品を取り外すと共に、その成形品からフローティング治具10を取り外す。これにより、図14に示すように、軸部14aとピン部14bを有するクランクシャフト14が得られる。
【0040】
ここで、上記した製造方法を図15,16に示す概念図を参照して説明する。この実施形態の製造方法は、軸素材8からクランクシャフト14を製造するために、図15に示すように、軸素材8の所定部位(この実施形態では中間部位)における半径方向への変形を特定方向SD(図面右方向)以外の方向について移動規制手段15により規制しながら、荷重供給手段16により軸素材8に軸方向の圧縮荷重を加えることにより、図16に示すように、軸素材8を据え込み、所定部位(中間部位)を特定方向SDへ座屈させるものである。すなわち、この製造方法では、単に軸素材8に軸方向の圧縮荷重を加えるだけで、軸素材8の所定部位(中間部位)を特定方向SDへ曲げ加工しながら据え込むようにしている。このように軸素材8を中間部位で座屈させるためには、軸素材8の長さを「L1」、直径を「D1」とすると、「L1/D1>2.5」という条件が必要になることが確認されている。
【0041】
以上説明したこの実施形態のクランクシャフトの製造方法及び製造装置によれば、セッティング工程で、軸素材8上の中間部位に保持されたフローティングダイ10の移動が、軸素材8の半径方向における特定方向SD以外の方向について規制される。この規制状態において、加圧工程で、軸素材8に軸方向の圧縮荷重を加えるだけで、軸素材8が据え込まれ、特定方向SDへのフローティングダイ10の移動が許容され、軸素材8が中間部位にて特定方向SDへ座屈されて曲げられ、フローティングダイ10により成形され、クランクシャフト14が製造される。このため、軸素材8からクランクシャフト14を製造するために、従来例とは異なり、別途の曲げ加工工程を省略することができる。この結果、曲げ加工工程を省略した分だけクランクシャフト14の製造サイクルタイムを短縮することができる。
【0042】
また、この実施形態の製造装置1によれば、軸素材8上にフローティングダイ10を装着し、軸素材8上の中間部位にてそのフローティングダイ10を円環状部材9により保持する。また、軸素材8の半径方向におけるフローティングダイ10及び円環状部材9の移動、すなわちフローティング治具5の移動を、特定方向SD以外の方向について3本のボルト11A〜11Cにより規制する。この規制状態で、押し治具4により軸素材8に軸方向の圧縮荷重を加えるだけで、軸素材8が据え込まれ、中間部位が特定方向SDへ座屈されて曲げられ、フローティングダイ10により成形され、クランクシャフト14が製造される。つまり、この製造装置1によれば、中間部位を特定方向SDへ曲げるために別途の曲げ加工工程の必要なくクランクシャフト14を製造することができる。このため、曲げ加工工程のためのパンチや油圧装置等を省略することができ、これによって製造装置1を簡易化及び小型化することができる。
【0043】
この実施形態では、フローティング治具5は、2分割可能なフローティングダイ10と、そのフローティングダイ10の外周に圧着される円環状部材9とから構成される。そして、フローティング治具5を軸素材8上に保持するには、2分割可能なフローティングダイ10を軸素材8上に被せ付け、そのフローティングダイ10の外周に円環状部材9を圧着することで行われる。ここで、円環状部材9は、そのテーパ孔9aとフローティングダイ10の外周テーパ面との関係により容易にフローティングダイ10に装着することができる。また、フローティング治具5を軸素材8上から取り外すには、円環状部材9をフローティングダイ10から外し、フローティングダイ10を二つに分解することで行われる。ここでも、円環状部材9は、そのテーパ孔9aとフローティングダイ10の外周テーパ面との関係により容易にフローティングダイ10から外すことができる。このため、軸素材8へのフローティングダイ10の着脱を容易にすることができる。また、軸素材8の座屈方向を規制するために、案内治具3に3本のボルト11A〜11Cを設けるだけなので、比較的簡単な構成で座屈方向を規制することができる。
【0044】
[第2実施形態]
次に、本発明におけるクランクシャフトの製造方法及び製造装置を具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0045】
なお、以下の説明において、第1実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、以下には異なった点を中心に説明する。
【0046】
この実施形態では、フローティング治具5の移動を規制するための移動規制手段の点で第1実施形態と構成が異なる。図17に、この実施形態の製造装置21の初期状態を図1に準ずる縦断面図により示す。図18に、製造過程の製造装置21を図2に準ずる横断面図により示す。図19,20に、製造過程の製造装置21を縦断面図により示す。
【0047】
図17,18に示すように、この実施形態の製造装置21は、第1実施形態の製造装置1の基本構成と同じであるが、図18に示すように、3本のボルト11A〜11Cの配置の点で異なる。すなわち、3本のボルト11A〜11Cのうち2本のボルト11A,11Bは、軸素材8を挟んで互いに対向する位置(図2に示す位置)より特定方向SD側へ所定角度θ1だけずれた位置にて先端を軸素材8の中心へ向けて配置される。また、残りの1本のボルト11Cは、他の2本のボルト11A,11Bの間にて先端を軸素材8の中心へ向けて配置される。この実施形態では、所定角度θ1を、例えば「5°」に設定することができる。この所定角度θ1は、クランクシャフトの仕様によって異なる。
【0048】
従って、この実施形態の製造装置21を使用して第1実施形態と同様の製造方法を実施することにより、図17,18に示す初期状態から、加圧工程では、図19に示すように、押し治具4により軸素材8を上から加圧して圧縮荷重を加える。ここで、互いに対向する2本のボルト11A,11Bが特定方向SD側へ所定角度θ1ずれた位置に配置されるので、円環状部材9に対する2本のボルト11A,11Bの接触抵抗が増す。従って、軸素材8に軸方向の圧縮荷重が加えられ、フローティング治具5が特定方向SDへ動き始めようとするときに、そのフローティング治具5の移動が一時的に制限される。つまり、軸素材8に圧縮荷重を加えても、すぐには座屈することなく軸素材8が圧縮されて軸素材8に圧縮応力が残留することとなる。
【0049】
その後、軸素材8に更に圧縮荷重が加わることにより、図20に示すように、軸素材8が据え込まれ、フローティング治具5の特定方向SDへの移動が許容され、軸素材8の中間部位が特定方向SDへ座屈される。このとき、軸素材8は、押しダイ7、固定ダイ6及びフローティングダイ10の間で所定形状に成形される。ここで、加圧工程では、軸素材8に圧縮応力が残留するので、クランクシャフト14のピン部14bのショルダー部分14cには、座屈時に十分な肉が流動することとなり、図21に示すように、ショルダー部分14cを座屈によるダレのない角形とすることができる。つまり、ショルダー部分14cに座屈によるダレが生じることを防止することができる。また、座屈時に軸素材8に引っ張り力が働き難くなり、クランクシャフト14に割れが生じることを防止することができる。その他の作用効果は、基本的に第1実施形態のそれと同じである。
【0050】
[第3実施形態]
次に、本発明におけるクランクシャフトの製造方法及び製造装置を具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0051】
この実施形態では、フローティング治具5の移動を特定方向SD以外の方向について規制する移動規制手段に係る点で、前記各実施形態と構成が異なる。図22に、この実施形態の製造装置22に係る初期状態を図2に準ずる横断面図により示す。図23,24に、製造過程の製造装置22を横断面図により示す。図25〜28に、図22〜24に対応する製造過程の製造装置22を縦断面図により示す。
【0052】
図22,25に示すように、この実施形態では、4本の接触部材としての第1ピン23A、第2ピン23B、第3ピン23C及び第4ピン23Dがフローティング治具5の周囲にて等角度間隔(90°間隔)に配置され、案内治具3に対して軸方向へ往復動可能に設けられる。各ピン23A〜23Dは、その先端が円環状部材9の外周に接触可能に設けられる。各ピン23A〜23Dをフローティング治具5の円環状部材9に対し進退させるために、各ピン23A〜23Dのそれぞれには、合計4つの第1油圧シリンダ24A、第2油圧シリンダ24B、第3油圧シリンダ24C及び第4油圧シリンダ24Dが設けられる。各油圧シリンダ24A〜24Dは、本発明の複数のアクチュエータに相当する。各油圧シリンダ24A〜24Dには油圧回路から油圧が供給されるようになっている。この油圧回路は、各油圧シリンダ24A〜24Dのそれぞれに対応して設けられる第1油圧バルブ25A、第2油圧バルブ25B、第3油圧バルブ25C及び第4油圧バルブ25Dを備える。各油圧バルブ25A〜25Dの開閉を制御することにより、対応する各油圧シリンダ24A〜24Dへの供給油圧が制御され、各油圧シリンダ25A〜25Dの動作が制御されるようになっている。各油圧シリンダ24A〜24Dの動作を制御するために、各油圧バルブ25A〜25Dの開閉を制御する、本発明の制御手段に相当するコントローラ26が設けられる。このコントローラ26は、軸素材8に係る座屈方向制御を実行するために、押し治具4の動作に合わせて各油圧バルブ25A〜25Dの開閉を制御するようになっている。コントローラ26には、所定の圧力計から押し治具4による加圧力が入力される。また、コントローラ26には、所定の変位計から第1油圧シリンダ24Aのピストン変位量が入力されるようになっている。コントローラ26は、これら入力される加圧力及びピストン変位量に基づき各油圧バルブ25A〜25Dの開閉を制御するようになっている。
【0053】
次に、コントローラ26が実行する座屈方向制御について説明する。図29に、コントローラ26が実行する座屈方向制御の内容をフローチャートにより示す。
【0054】
図22,25に示す初期状態から加圧工程へ移行すると、最初に「圧縮過程」において、コントローラ26は、ステップ100で、図22,26に示すように、第1〜第4の油圧バルブ25A〜25Dを全て開く。これにより、第1〜第4の油圧シリンダ24A〜24Dのピストンロッド27がそれぞれ延びて第1〜第4のピン23A〜23Dの先端がフローティング治具5の円環状部材9の外周に接触する。この状態では、フローティング治具5は、軸素材8の半径方向における全方向への移動が規制される。この「圧縮過程」では、第2実施形態と同様、図26に示すように、軸素材8に圧縮荷重を加えても、すぐには座屈することなく軸素材8が圧縮され、軸素材8に圧縮応力が残留することとなる。
【0055】
その後、ステップ110で、コントローラ26は、押し治具4による初期圧縮荷重Pcと最終圧縮荷重Pfの関係が「Pc=Pf/α」の条件を満たすか否かを判断する。ここで、「α」として、例えば「10」程度の値を当てはめることができる。「α」の値は、クランクシャフト形状により必要な圧縮荷重が変わることから、仕様に応じて決定される。
【0056】
そして、ステップ110の判断結果が肯定になると、「偏心過程」に移り、コントローラ26は、ステップ120で、図23,27に示すように、第4油圧バルブ25Dのみを閉じる。これにより、第4油圧シリンダ24Dのピストンロッド27だけが縮み、第4ピン23Dの先端が円環状部材9の外周から離れる。この状態では、フローティング治具5は、軸素材8の半径方向において特定方向SDへの移動が許容される。これに伴い、図27に示すように、軸素材8の中間部位が特定方向SDへ偏心し始める。
【0057】
その後、ステップ130で、コントローラ26は、図27に示すように、第1油圧シリンダ24Aのピストンロッド27の変位量(ピストン変位量disA)が「δ」に達するか否かを判断する。ここで、「δ」として、例えば「0.1mm」程度の値を当てはめることができる。「δ」の値は、クランクシャフト形状により必要な偏心量が異なることから、仕様に応じて決定される。
【0058】
そして、ステップ130の判断結果が肯定になると、「据え込み過程」に移り、コントローラ26は、ステップ140で、図24,28に示すように、残りの第1〜第3の油圧バルブ25A〜25Cをも閉じる。これにより、第1〜第3の油圧シリンダ24A〜24Cのピストンロッド27が縮み、残りの第1〜第3のピン23A〜23Cの先端が円環状部材9の外周から離れる。この状態では、フローティング治具5は、軸素材8の半径方向において全方向への移動が許容される状態となる。これに伴い、図28に示すように、軸素材8が据え込まれ、その中間部位が特定方向SDへ座屈される。
【0059】
従って、この実施形態でも第2実施形態と同様、加圧工程では、軸素材8に圧縮応力が残留するので、クランクシャフト14のピン部14bのショルダー部分14cには、座屈時に十分な肉が流動することとなる。このため、図21,28に示すように、ショルダー部分14cを座屈によるダレのない角形とすることができる。つまり、ショルダー部分14cに座屈によるダレが生じることを防止することができる。また、座屈時に軸素材8に引っ張り力が働き難くなり、クランクシャフト14に割れが生じることを防止することができる。
【0060】
また、この実施形態では、4本のピン23A〜23Dのフローティング治具5に対する進退を、各油圧シリンダ24A〜24Dを使用して制御することで、軸素材8の座屈方向を自動的に制御することができる。このため、第1及び第2の実施形態に比べて、クランクシャフト14の製造サイクルタイムを更に短縮することができる。また、この実施形態では、第2実施形態における2本のボルト11A,11Bとは異なり、第2及び第3のピン23B,23Cを特定方向SD、すなわ座屈方向へ傾ける必要がなく、これらピン23B,23Cが座屈方向へ大荷重を受けることがない。このため、第2及び第3のピン23B,23Cの耐久性と信頼性を高めることができる。
【0061】
[第4実施形態]
次に、本発明におけるクランクシャフトの製造方法及び製造装置を具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0062】
この実施形態では、フローティング治具5の移動を特定方向SD以外の方向について規制する移動規制手段に係る点で、前記第3実施形態と構成が異なる。図30に、この実施形態の製造装置31の初期状態を横断面図により示す。図31,32に、製造過程の製造装置を横断面図により示す。
【0063】
図30に示すように、この実施形態の製造装置31は、第3実施形態の4本のピン23A〜23Dの代わりに、フローティング治具5の外周に接触可能に設けられた2つのプレート32,33を備える。この製造装置31は、四角に仕切られた収容部34を有する案内治具35と、その収容部34に収容された第1プレート32及び第2プレート33と、収容部34の中で第1プレート32を円滑に案内するための複数のガイドボール36と、軸素材8上に設けられるフローティング治具5と、第2プレート33の移動を規制する油圧シリンダ37とを備える。第1プレート32は、外形が四角形状をなし、収容部34の内壁との間に介在した複数のガイドボール36によりその移動が案内されるようになっている。第1プレート32は、U字形の切り込み32aを有し、その切り込み32aの中にフローティング治具5が摺動可能に収容される。フローティング治具5は、中心に軸素材8を配置し、その軸素材8上に配置されたフローティングダイ10と、フローティングダイ10の外周に装着された円環状部材9とを備える。第2プレート33は、第1プレート32の切り込み32aの開放側にて切り込み32aに対して摺動可能に組み付けられる。第2プレート33の一端には、フローティング治具5の円環状部材9の外周に面接触可能な凹部33aが形成される。この実施形態では、第1プレート32の切り込み32aの開放側が、フローティング治具5の移動が許容される特定方向SD、すなわち、軸素材8の座屈方向となっている。油圧シリンダ37のピストンロッド27の先端は、第2プレート33に接続される。油圧シリンダ37は、本発明のアクチュエータに相当する。
【0064】
油圧シリンダ37には、油圧回路から油圧が供給される。この油圧回路は、油圧シリンダ37に設けられた油圧バルブ38を備える。この油圧バルブ38の開閉を制御することにより、油圧シリンダ37への油圧の供給が制御され、油圧シリンダ37の動作が制御される。油圧シリンダ37の動作を制御するために、油圧バルブ38の開閉を制御するコントローラ39が設けられる。このコントローラ39は、油圧シリンダ37を押し治具(図示略)の動作に合わせて制御する座屈方向制御を実行する。コントローラ39には、所定の圧力計から押し治具による加圧力が入力される。また、コントローラ39には、所定の変位計から油圧シリンダ37のピストンロッド27の変位量(ピストン変位量)が入力される。コントローラ39は、油圧シリンダ37の動作を制御するために、これら入力される加圧力及びピストン変位量に基づき油圧バルブ38の開閉を制御する。
【0065】
次に、コントローラ39が実行する座屈方向制御について説明する。図33に、コントローラ39が実行する座屈方向制御の内容をフローチャートにより示す。
【0066】
図30に示す初期状態から加圧工程へ移行すると、最初に「圧縮過程」において、コントローラ39は、ステップ200で、油圧バルブ38を開く。これにより、図30に示すように、油圧シリンダ37のピストンロッド27が延びて第2プレート33が円環状部材9の外周を押圧する。この状態で、フローティング治具5は、第1プレート32の切り込み32aの最も奥に嵌って第2プレート33により保持される。この状態では、フローティング治具5は、軸素材8の半径方向において全方向への移動が規制される。この「圧縮過程」では、第3実施形態と同様、軸素材8に圧縮荷重を加えても、すぐには座屈することなく軸素材8が圧縮され、軸素材8には圧縮応力が残留することとなる。
【0067】
その後、ステップ210で、コントローラ39は、押し治具による初期圧縮荷重Pcと最終圧縮荷重Pfの関係が「Pc=Pf/α」の条件を満たすか否かを判断する。ここで、「α」の値は、第3実施形態のそれに準ずる。
【0068】
そして、ステップ210の判断結果が肯定になると、「偏心過程」に移り、コントローラ39は、ステップ220で、油圧バルブ38を閉じる。これにより、図31に示すように、油圧シリンダ37のピストンロッド27が縮んで第2プレート33が円環状部材9の外周から離れる。この状態では、フローティング治具5は、軸素材8の座屈方向である特定方向SDへの移動が許容される。これに伴い、軸素材8の中間部位が特定方向SDへ偏心し始める。
【0069】
その後、ステップ230で、コントローラ39は、油圧シリンダ37のピストン変位量disAが「δ」に達したか否かを判断する。「δ」の値は、第3実施形態のそれに準ずる。
【0070】
そして、ステップ230の判断結果が肯定になると、「据え込み過程」に移り、図32に示すように、フローティング治具5が第2プレート33に当たるまで特定方向SDへ移動することとなり、軸素材8が据え込まれ、その中間部位が特定方向SDへ座屈される。
【0071】
従って、この実施形態でも第3実施形態と同様、加圧工程で、軸素材8に圧縮応力を残留させて、クランクシャフトのピン部のショルダー部分に十分な肉を流動させることができる。このため、ショルダー部分に座屈によるダレが生じることを防止することができる。また、軸素材に引っ張り力が働き難くなり、軸素材の割れを防止することができる。
【0072】
また、この実施形態では、2つのプレート32,33と一つの油圧シリンダ37を使用してフローティング治具5の特定方向SDへの移動を規制及び許容することで、軸素材8の座屈方向を自動的に制御している。このため、第3実施形態と同様、クランクシャフトの製造サイクルタイムを更に短縮することができる。また、この実施形態では、第3実施形態の4本のピン23A〜23Dと4つの油圧シリンダ24A〜24Dを使用する場合と異なり、2つのプレート32,33と、1つの油圧シリンダ37を使用するだけで軸素材8の座屈方向を制御している。このため、第3実施形態に比べて、製造装置31の構成を簡略化することができる。
【0073】
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更することにより以下のように実施することもできる。
【0074】
(1)前記第3実施形態において、各ピン23A〜23Dの先端と円環状部材9の外周とを接触可能に設けた。この接触部分につき、図34に示すように、第2ピン23B(第3ピン23C)の先端面23aを平坦面とし、その先端面23aに対応する円環状部材9の接触部9bを平坦面に形成してもよい。この場合、円環状部材9が特定方向SD(図面右方向)側へ移動するときのスライド性を向上させることができる。
【0075】
(2)前記第3実施形態において、図35に示すように、第4ピン23Dの先端面を、円環状部材9の接触部9aの湾曲面に合わせて、内側へ凹んだ湾曲面としてもよい。この場合、特定方向SD(図面右方向)側へ移動しようとする円環状部材9を第4ピン23Dの先端面23aで確実に保持してその移動を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1実施形態に係り、製造装置を示す縦断面図。
【図2】同じく、製造装置を示す図1のA−A線断面図(横断面図)。
【図3】同じく、フローティングダイを示す平面図。
【図4】同じく、フローティングダイを示す図3のB−B線断面図。
【図5】同じく、フローティングダイを2つの分割片に分解して示す平面図。
【図6】同じく、フローティングダイを2つの分割片に分解して示す断面図。
【図7】同じく、一方の分割片を図5の矢印C方向から見た正面図。
【図8】同じく、他方の分割片を図5の矢印D方向から見た正面図。
【図9】同じく、製造方法を示すフローチャート。
【図10】同じく、セッティング工程の製造装置を分解して示す縦断面図。
【図11】同じく、セッティング工程の製造装置を示す縦断面図。
【図12】同じく、加圧工程の製造装置を示す縦断面図。
【図13】同じく、加圧工程の製造装置を示す縦断面図。
【図14】同じく、製造後のクランクシャフトを概略的に示す正面図。
【図15】同じく、製造方法を示す概念図。
【図16】同じく、製造方法を示す概念図。
【図17】第2実施形態に係り、初期状態の製造装置を示す縦断面図。
【図18】同じく、製造過程の製造装置を示す横断面図。
【図19】同じく、製造過程の製造装置を示す縦断面図。
【図20】同じく、製造過程の製造装置を示す縦断面図。
【図21】同じく、製造後のクランクシャフトを概略的に示す正面図。
【図22】第3実施形態に係り、初期状態の製造装置を示す図2に準ずる横断面図。
【図23】同じく、製造過程の製造装置を示す横断面図。
【図24】同じく、製造過程の製造装置を示す横断面図。
【図25】同じく、初期状態の製造装置を示す図1に準ずる縦断面図。
【図26】同じく、圧縮過程の製造装置を示す縦断面図。
【図27】同じく、偏心過程の製造装置を示す縦断面図。
【図28】同じく、据え込み過程の製造装置を示す縦断面図。
【図29】同じく、座屈方向制御の内容を示すフローチャート。
【図30】第4実施形態に係り、初期状態の製造装置を示す横断面図。
【図31】同じく、製造過程の製造装置を示す横断面図。
【図32】同じく、製造過程の製造装置を示す横断面図。
【図33】同じく、座屈方向制御の内容を示すフローチャート。
【図34】別の実施形態に係り、ピン先端と円環状部材との接触部分を示す平面図。
【図35】同じく、ピン先端と円環状部材との接触部分を示す平面図。
【符号の説明】
【0077】
1 製造装置
2 固定治具(荷重供給手段)
3 案内治具(移動規制手段)
4 押し治具(荷重供給手段)
8 軸素材
9 円環状部材(保持部材)
10 フローティングダイ
11A〜11C ボルト(移動規制手段、接触部材)
14 クランクシャフト
15 移動規制手段
16 荷重供給手段
21 製造装置
22 製造装置
24A 第1油圧シリンダ(アクチュエータ)
24B 第2油圧シリンダ(アクチュエータ)
24C 第3油圧シリンダ(アクチュエータ)
24D 第4油圧シリンダ(アクチュエータ)
26 コントローラ(制御手段)
31 製造装置
32 第1プレート(移動規制手段)
33 第2プレート(移動規制手段)
35 案内治具(移動規制手段)
37 油圧シリンダ
39 コントローラ(制御手段)
SD 特定方向
θ1 所定角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸素材からクランクシャフトを製造するクランクシャフトの製造方法であって、
前記軸素材の所定部位における半径方向への変形を特定方向以外の方向につき規制しながら前記軸素材に軸方向の圧縮荷重を加えることにより、前記軸素材を据え込み、前記所定部位を前記特定方向へ座屈させることを特徴とするクランクシャフトの製造方法。
【請求項2】
軸素材からクランクシャフトを製造するクランクシャフトの製造方法であって、
前記軸素材上の所定部位にダイを保持し、前記軸素材の半径方向における前記ダイの移動を特定方向以外の方向につき規制する第1の工程と、
前記軸素材に前記軸方向の圧縮荷重を加えることにより、前記軸素材を据え込み、前記ダイを前記特定方向へ移動を許容して前記所定部位を前記特定方向へ座屈させる第2の工程と
を備えたことを特徴とするクランクシャフトの製造方法。
【請求項3】
軸素材からクランクシャフトを製造するクランクシャフトの製造装置において、
前記軸素材上に付けられるダイと、
前記軸素材上の所定部位にて前記ダイを保持する保持部材と、
前記軸素材の半径方向における前記ダイ及び前記保持部材の移動を特定方向以外の方向につき規制する移動規制手段と、
前記軸素材に前記軸方向の圧縮荷重を加える荷重供給手段と
を備えたことを特徴とするクランクシャフトの製造装置。
【請求項4】
前記保持部材は、前記ダイの外周に圧着される円環状部材であることと、
前記移動規制手段は、前記円環状部材の周囲に配置され、先端が前記円環状部材の外周に接触可能に設けられた複数の接触部材であることと
を備えたことを特徴とする請求項3に記載のクランクシャフトの製造装置。
【請求項5】
前記接触部材を3本含み、そのうち2本の接触部材が互いに対向する位置にて先端を前記軸素材の中心へ向けて配置され、残りの1本の接触部材が前記2本の接触部材の間にて先端を前記軸素材の中心へ向けて配置されることを特徴とする請求項4に記載のクランクシャフトの製造装置。
【請求項6】
前記接触部材を3本含み、そのうち2本の接触部材が互いに対向する位置より前記特定方向側へ所定角度ずれた位置にて先端を前記軸素材の中心へ向けて配置され、残りの1本の接触部材が前記2本の接触部材の間にて先端を前記軸素材の中心へ向けて配置されることを特徴とする請求項4に記載のクランクシャフトの製造装置。
【請求項7】
前記移動規制手段に対して設けられ、前記移動規制手段を前記保持部材に対し進退させるアクチュエータと、
前記アクチュエータを前記荷重供給手段の動作に合わせて制御するための制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項3に記載のクランクシャフトの製造装置。
【請求項8】
前記複数の接触部材のそれぞれに対して設けられ、前記各接触部材を前記円環状部材に対し進退させる複数のアクチュエータと、
前記各アクチュエータを前記荷重供給手段の動作に合わせて制御するための制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項4に記載のクランクシャフトの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2010−529(P2010−529A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162817(P2008−162817)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(597000755)株式会社MEG (8)
【Fターム(参考)】