説明

クリックばね付きシート及びその製造方法及びこれを用いたスイッチ

【課題】 クリックばねへの押圧力の伝達を確実に行え、製造を簡単に行えるとともに安価に提供することが可能なクリックばね付きシート及びその製造方法及びこれを用いたスイッチを提供する。
【解決手段】 シート部材1と、シート部材1の一方の面側に保持されたクリックばね4と、クリックばね4とは対向するシート部材1の他方の面に設けられ、クリックばね4への押圧力を伝達する押圧力伝達部材2とを備え、シート部材1と押圧力伝達部材2とを、互いに溶着可能な合成樹脂材で形成し、シート部材1と押圧力伝達部材2との重ね合わせ部Pに、レーザーを照射、あるいは超音波を印加させることにより、重ね合わせ部Pを溶着させてシート部材1と押圧力伝達部材2とを固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの下面側にクリックばねを貼り付けたクリックばね付きシート及びその製造方法及びこれを用いたスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のクリックばね付きシート及びスイッチの構造としては、シートの下面に接着剤や粘着剤によってクリックばねを貼り付けたクリックばね付きシートと、このシートの上面に成形や印刷等の方法により設けられた押圧力伝達用の凸部とを有し、この凸部を介してクリックばねの表面頂部の中心を押圧することによりクリックばねを反転させてスイッチの切換えを行う構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来のクリックばね付きシート及びスイッチの構造を図7、図8に示す。図7は従来のクリックばね付きシートの斜視図、図8は同じく断面図である。
図において、クリックばね付きシート20は、金属クリックバネ31と、金属クリックバネ31の中心と対応する位置に凸部22を有する組付シート21と、金属クリックバネ31が穴部25に嵌合して取り付けられる穴明シート23とにより構成されている。
【0004】
組付シート21は、薄膜のシートであり成形または印刷により複数の組付シート凸部22が金属クリックばね31の頂部に対応する位置に形成されている。また、組付シート凸部22は、図示しない押釦を照光式にも出来るように透光性の材料で形成されている。穴明シート23は、下面に粘着剤が貼られ離型紙26で保護されている。
【0005】
クリックばね付きシート20の組立は、離型紙26の貼られた穴明シート23の穴部25に金属クリックバネ31を組み付け、上部に組付シート21を接着剤または粘着剤により貼り合わせて行うことが出来る。
なお。クリックばねつきシート20は、金属クリックバネ31と、凸部を有する組付シート21と、穴明シート23とにより構成しているが、金属クリックバネ31と、凸部を有する組付シート21とにより構成するようにすることもできる。
【0006】
上記のクリックばね付きシート20を、押釦タイプの操作スイッチとして組み立てるには、離型紙26をはがして、図示しないスイッチ基板のスイッチ部に、金属クリックバネ31が対応するように貼り合わして取り付け、その上からカバー等に填められた押釦を取り付けるのみで操作スイッチへの組み付けを行うことができる。
【0007】
上記のクリックばね付きシート20は、金属クリックバネ31と、金属クリックバネ31の中心と対応する位置に凸部を有する組付シート21とを備えたため、クリック性能を損なうことのない構造で容易に組立を行うことができる。また、押釦を取り付けるときには下面を平らな簡潔構造にすることができる。
【0008】
【特許文献1】特開平11−317125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来のクリックばね付きシート及びスイッチにおいては、凸部を印刷などで形成する場合には、硬化に時間を要することから加工スピードが遅く、安価に製造できないという問題があった。
【0010】
従って、本発明は上記した問題点を解決し、クリックばねへの押圧力の伝達を確実に行え、製造を簡単に行えるとともに安価に提供することが可能なクリックばね付きシート及びその製造方法及びこれを用いたスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明では第1の解決手段として、シート部材と、このシート部材の一方の面側に保持されたクリックばねと、このクリックばねとは対向する前記シート部材の他方の面に設けられ、前記クリックばねへの押圧力を伝達する押圧力伝達部材とを備え、前記シート部材と前記押圧力伝達部材とを、互いに溶着可能な合成樹脂材で形成し、前記シート部材と前記押圧力伝達部材との重ね合わせ部に、レーザーを照射、あるいは超音波を印加させることにより、重ね合わせ部を溶着させて前記シート部材と前記押圧力伝達部材とを固定した構成とした。
また、第2の解決手段として、前記シート部材と前記押圧力伝達部材とを同一種類の合成樹脂材で形成した構成とした。
また、第3の解決手段として、前記シート部材及び押圧力伝達部材を透光性の合成樹脂材で形成し、前記シート部材の一方の面側にシート状の面発光部材からなる発光シートを積層し、この発光シートに前記クリックばねを保持した構成とした。
【0012】
また、第4の解決手段として、シート部材の所定の位置に小片樹脂からなる押圧力伝達部材を供給し、前記シート部材と前記押圧力伝達部材を重ね合わせて、透光可能な加圧部材で加圧密着させながらレーザー光を照射することにより該重ね合わせ部を溶着させて前記シート部材に前記押圧力伝達部材を固着し、しかる後、前記押圧力伝達部材に対応させて前記シート部材にクリックばねを粘着剤により保持させた製造方法とした。
また、第5の解決手段として、シート部材の所定の位置に小片樹脂からなる押圧力伝達部材を供給し、前記シート部材と前記押圧力伝達部材を重ね合わせた状態で、超音波溶着部材を押し当てて加圧密着させることにより該重ね合わせ部を溶着させて前記シート部材に前記押圧力伝達部材を固着し、しかる後、前記押圧力伝達部材に対応させて前記シート部材にクリックばねを粘着剤により保持させた製造方法とした。
また、第6の解決手段として、前記シート部材に前記押圧力伝達部材を固着した後、前記シート部材に前記粘着剤を塗布する製造方法とした。
【0013】
また、第7の解決手段として、第1乃至第3の解決手段の何れかに記載のクリックばね付きシートと、対向する一対の固定接点が設けられた回路基板とを備え、前記クリックばね付きシートを、前記クリックばねと前記固定接点とを対向させて前記回路基板上に積層したスイッチの構成とした。
【発明の効果】
【0014】
上述したように、本発明のクリックばね付きシートは、シート部材と、シート部材の一方の面側に保持されたクリックばねと、クリックばねとは対向するシート部材の他方の面に設けられ、クリックばねへの押圧力を伝達する押圧力伝達部材とを備え、シート部材と押圧力伝達部材とを、互いに溶着可能な合成樹脂材で形成し、シート部材と押圧力伝達部材との重ね合わせ部に、レーザーを照射、あるいは超音波を印加させることにより、重ね合わせ部を溶着させてシート部材と押圧力伝達部材とを固定したことから、接着剤や印刷などで押圧力伝達部材をシート部材へ固定するのに比べて、加工スピードを向上させることができ、製造を容易に行えるとともに、安価に提供することが可能となる。
また、シート部材と押圧力伝達部材とを同一種類の合成樹脂材で形成したことから、接合時の強度を強くすることができる。
また、シート部材及び押圧力伝達部材を透光性の合成樹脂材で形成し、シート部材の一方の面側にシート状の面発光部材からなる発光シートを積層し、発光シートにクリックばねを保持したことから、シート部材及び押圧力伝達部材を透光性の合成樹脂で形成することにより、面発光材料の照光機能を阻害することがないので、照光機能付きのクリックばね付きシートが容易に得られる。
【0015】
また、シート部材の所定の位置に小片樹脂からなる押圧力伝達部材を供給し、シート部材と押圧力伝達部材を重ね合わせて、透光可能な加圧部材で加圧密着させながらレーザー光を照射することにより重ね合わせ部を溶着させてシート部材に押圧力伝達部材を固着し、しかる後、押圧力伝達部材に対応させてシート部材にクリックばねを粘着剤により保持させた製造方法としたことから、レーザー光によりシート部材と押圧力伝達部材との密着を確実に行え、加工スピードを向上できる。
また、シート部材の所定の位置に小片樹脂からなる押圧力伝達部材を供給し、シート部材と押圧力伝達部材を重ね合わせた状態で、超音波溶着部材を押し当てて加圧密着させることにより重ね合わせ部を溶着させてシート部材に押圧力伝達部材を固着し、しかる後、押圧力伝達部材に対応させてシート部材にクリックばねを粘着剤により保持させた製造方法としたことから、超音波溶着によりシート部材と押圧力伝達部材との密着を確実に行え、加工スピードを向上できる。
また、シート部材に押圧力伝達部材を固着した後、シート部材に粘着剤を塗布する製造方法としたことから、粘着剤を後工程で塗布することで超音波溶着部材との当接高さバラツキを減少でき、確実に溶着できる。
【0016】
また、第1乃至第3の解決手段の何れかに記載のクリックばね付きシートと、対向する一対の固定接点が設けられた回路基板とを備え、クリックばね付きシートを、クリックばねと固定接点とを対向させて回路基板上に積層したスイッチとしたことから、押圧力伝達部材によってクリックばねに押圧力を確実に伝達でき、良好なクリック感触を得られると共に、シート部材と押圧力伝達部材とが溶着により固着されているため接合強度が高められ、剥離などによる脱落を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図6に示す。図1は本発明のクリックばね付きシートを用いたスイッチを示す断面図、図2は本発明のクリックばね付きシートと回路基板とを示す分解斜視図、図3は保護シート付きの本発明のクリックばね付きシートを示す斜視図、図4は発光シートを積層した本発明のクリックばね付きシートを用いたスイッチを示す断面図、図5は本発明のクリックばね付きシートのレーザー工程を示す説明図、図6は本発明のクリックばね付きシートの超音波工程を示す説明図である。
【0018】
図1、図2に示すように、本発明のクリックばね付きシート及びこれを用いたスイッチは、凸状の押圧力伝達部材2を備えたシート部材1と、このシート部材1の下面側に粘着剤等により貼り付けられて保持されたクリックばね4と、クリックばね4が収容される孔を有しシート部材1の下面側に貼り付けられたスペーサ5と、複数の固定接点7が配設された回路基板6とから主に構成されている。
【0019】
シート部材1は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)等からなるフレキシブルで透明なフィルム状の材料から形成されている。また、このシート部材1の上面側には、同じくPET等からなる凸状をした押圧力伝達部材2が設けられている。この押圧力伝達部材2は、例えばレーザー溶着や超音波溶着などの方法でシート部材1の上面側に、小片の透明な絶縁性樹脂材を凸状に固着することにより形成されている。また、シート部材1の下面側には、接着剤等からなる粘着剤が塗布されている。この粘着剤は、粘性を有する樹脂製の接着剤からなり、シート部材1の下面側一面にわたって塗布されている。
【0020】
また、シート部材1の下面側には、クリックばね4が粘着剤に貼り付けられて保持されている。このクリックばね4は、ばね性を有する導電性の薄板金属板からなり、反転可能なドーム状の膨出部4aを有する円形状に形成されている。また、膨出部4aの下面側には複数の(本実施例では3個)突起4bが形成されており、クロックばね4が押圧されて膨出部4aが反転したときには、この突起4aが回路基板6の上面に配設された複数の固定接点7の中央接点7aと接触するものとなっている。また、クリックばね4の円形状の外周縁部4cが固定接点7の周辺接点7bと常時接触した状態で回路基板6上に載置されるものとなっている。
【0021】
スペーサ5は、PET等からなるフィルム状の材料から形成されている。このスペーサ5には円形状の孔5aが形成されており、この孔5a内にクリックばね4が収容された状態でスペーサ5がシート部材1の下面側に粘着剤により貼着されている。また、スペーサ5の下面側には、同じく接着剤等からなる粘着剤が塗布されており、この粘着剤により上面側にシート部材1が貼着されたスペーサ5が回路基板6の上面に貼り付けられて積層されるものとなっている。
【0022】
回路基板6は、フェノール樹脂等の積層板からなり、この回路基板6の上面側には複数の固定接点7が配設されている。この固定接点7は導電性の銀やカーボン等の印刷により形成されており、対向して配設された一対の中央接点7aと、周辺接点7bとから形成されている。
【0023】
この一対の固定接点7上に、クリックばね4の外周縁部4cが常時周辺接点7bと接触し、膨出部4aの下面側の突起(接点)4bが中央接点7aと離間して対向した状態で載置され、この回路基板6上にシート部材1が貼着されたスペーサ5が粘着剤により貼り付けられて積層されることにより、クリックばね付きシートを用いたスイッチが構成されるものとなっている。
【0024】
このように本発明のクリックばね付きシート及びそれを用いたスイッチは構成されている。
このため、押圧力伝達部材2によってクリックばね4に押圧力を確実に伝達でき、良好なクリック感触を得られると共に、シート部材1と押圧力伝達部材2とが溶着により固着されているため接合強度が高められ、剥離などによる脱落を抑制できるものとなっている。
【0025】
尚、上記実施例では、粘着剤によって一体的に貼着された、シート部材1、押圧力伝達部材2、クリックばね4、スペーサ5とで、クリックばね付きシートを構成しているが、これに限らず、スペーサ5を用いずに、直接、シート部材1を回路基板6の上面に粘着剤で貼りつけるようにしても良い。
【0026】
次に、上記クリックばね付きシートの製造方法について説明する。
まず、シート部材1の一方の面(上面側)に、凸状に形成された押圧力伝達部材2をレーザー溶着、または超音波溶着等の方法で固着する。
【0027】
図5は、レーザー溶着時の工程を示しており、透明なシート部材1の上面の所定の位置に小片の透明な絶縁性樹脂材からなる押圧力伝達部材2を供給し、シート部材1と押圧力伝達部材2を重ね合わせて、透光可能な加圧部材11、12で加圧密着させながらレーザー光(図示せず)を照射することにより、重ね合わせ部Pを溶着させてシート部材1に押圧力伝達部材2を固着する。
次に、シート部材1の下面側に、接着剤などからなる粘性を有する粘着剤を塗布する。この場合、粘着剤はシート部材1の下面側一面に塗布するようにする。
【0028】
次に、粘着剤が塗布されたシート部材1の、押圧力伝達部材2が固着された下面側位置に、押圧力伝達部材2と対向させて、クリックばね4の膨出部4aの表面頂部を粘着剤で貼り付けることにより、クリックばね4をシート部材1の下面側に保持する。
そして、シート部材1の下面側と、クリックばね4の膨出部4aのほぼ全表面とを粘着剤3により粘着状態とする。
【0029】
これにより、シート部材1の下面側にクリックばね4が保持されたクリックばね付きシートが形成されるものとなる。
上記したクリックばね付きシートの製造方法によれば、レーザー光によりシート部材1と押圧力伝達部材2との密着を確実に行え、加工スピードを向上できるものとなっている。
【0030】
図6は、超音波溶着時の工程を示しており、シート部材1の上面の所定の位置に小片の絶縁樹脂材からなる押圧力伝達部材2を供給し、シート部材1と押圧力伝達部材2を重ね合わせた状態で、超音波溶着部材13、14を押し当てて加圧密着させることにより、重ね合わせ部Pを溶着させてシート部材1に押圧力伝達部材2を固着する。
次に、シート部材1の下面側に、接着剤などからなる粘性を有する粘着剤を塗布する。この場合、粘着剤はシート部材1の下面側一面に塗布するようにする。
【0031】
次に、粘着剤が塗布されたシート部材1の、押圧力伝達部材2が固着された下面側位置に、押圧力伝達部材2と対向させて、クリックばね4の膨出部4aの表面頂部を粘着剤で貼り付けることにより、クリックばね4をシート部材1の下面側に保持する。
そして、シート部材1の下面側と、クリックばね4の膨出部4aのほぼ全表面とを粘着剤3により粘着状態とする。
【0032】
これにより、シート部材1の下面側にクリックばね4が保持されたクリックばね付きシートが形成されるものとなる。
上記したクリックばね付きシートの製造方法によれば、超音波溶着によりシート部材1と押圧力伝達部材2との密着を確実に行え、加工スピードを向上できるものとなっている。また、シート部材1に押圧力伝達部材2を固着した後、シート部材1に粘着剤を塗布することから、粘着剤を後工程で塗布することで超音波溶着部材13、14との当接高さバラツキを減少でき、確実に溶着できるものとなっている。
【0033】
図2は、シート部材1を一枚の共通のシート部材で形成し、該シート部材1に、押圧力伝達部材2とクリックばね4とを、マトリクス状に複数組保持した状態のクリックばね付きシート及びスイッチの構成を示している。
この場合には、複数のクリックばね4を共通のシート部材1上に保持することで一体的に取り扱えるので、組立て工程等で作業性が良いものとなっている。
【0034】
また、図3は、保護シート付きのクリックばね付きシートの構成を示している。
この場合、スペーサ5の下面側に、クリックばね4を収容した孔5aを塞ぐようにPET等からなるフィルム状の保護シート9が貼り付けられたものとなっている。この保護シート9は、スペーサ5の下面側に塗布された粘着剤により貼り付けられており、搬送時などに、クリックばね4の突起(接点)4bへのゴミや異物等の侵入を防止するものとなっている。尚、この保護シート9は、組立て工程においてスペーサ5の下面から剥離されるものとなっている。
【0035】
また、図4は、機能表示等を行う発光シートを積層したクリックばね付きシートを用いたスイッチの構成を示している。
この場合、シート部材1の下面側には、EL等からなる発光層を形成するPET等からなるフィルム状の発光シート10が設けられたものとなっている。この機能表示用の発光シート10は、粘着剤等によりシート部材1の下面側に貼り付けられて一体的に積層されており、この発光シート10の下面側にクリックばね4の膨出部4a上面が貼り付けられて保持されている。
【0036】
このように、上記実施例では、シート部材1及び押圧力伝達部材2を透光性の合成樹脂材で形成し、シート部材1の下面側にシート状の面発光部材(EL)からなる発光シート10を積層し、発光シート10にクリックばね4を保持したことから、シート部材1及び押圧力伝達部材2を透光性の合成樹脂で形成することにより、面発光材料(EL)の照光機能を阻害することがないので、照光機能付きのクリックばね付きシートが容易に得られるものとなっている。
【0037】
上記した本発明のクリック付きシート及びスイッチの構成によれば、シート部材1と押圧力伝達部材2とを、互いに溶着可能な合成樹脂材で形成し、シート部材1と押圧力伝達部材2との重ね合わせ部Pに、レーザーを照射、あるいは超音波を印加させることにより、重ね合わせ部Pを溶着させてシート部材1と押圧力伝達部材2とを固定するようにしたので、接着剤や印刷などで押圧力伝達部材2をシート部材1へ固定する従来の方法に比べて、加工スピードを向上させることができ、製造を容易に行えるとともに、安価に提供することができるものとなっている。
また、シート部材1と押圧力伝達部材2とを同一種類の合成樹脂材(例えばPET)で形成するようにしたので、接合時の強度を強くすることができるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のクリックばね付きシートを用いたスイッチを示す断面図である。
【図2】本発明のクリックばね付きシートと回路基板とを示す分解斜視図である。
【図3】本発明の保護シート付きのクリックばね付きシートを示す斜視図である。
【図4】本発明の発光シートを積層したクリックばね付きシートを用いたスイッチを示す断面図である。
【図5】本発明のクリックばね付きシートのレーザー工程を示す説明図である。
【図6】本発明のクリックばね付きシートの超音波工程を示す説明図である。
【図7】従来のクリックばね付きシートを示す斜視図である。
【図8】従来のクリックばね付きシートを示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1:シート部材
2:押圧力伝達部材
4:クリックばね
4a:膨出部
4b:突起(接点)
4c:外周縁部
5:スペーサ
5a:孔
6:回路基板
7:固定接点
7a:中央接点
7b:周辺接点
9:保護シート
10:発光シート
11:加圧部材
12:加圧部材
13:超音波溶着部材
14:超音波溶着部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート部材と、このシート部材の一方の面側に保持されたクリックばねと、このクリックばねとは対向する前記シート部材の他方の面に設けられ、前記クリックばねへの押圧力を伝達する押圧力伝達部材とを備え、前記シート部材と前記押圧力伝達部材とを、互いに溶着可能な合成樹脂材で形成し、前記シート部材と前記押圧力伝達部材との重ね合わせ部に、レーザーを照射、あるいは超音波を印加させることにより、重ね合わせ部を溶着させて前記シート部材と前記押圧力伝達部材とを固定したことを特徴とするクリックばね付きシート。
【請求項2】
前記シート部材と前記押圧力伝達部材とを同一種類の合成樹脂材で形成したことを特徴とする請求項1記載のクリックばね付きシート。
【請求項3】
前記シート部材及び押圧力伝達部材を透光性の合成樹脂材で形成し、前記シート部材の一方の面側にシート状の面発光部材からなる発光シートを積層し、この発光シートに前記クリックばねを保持したことを特徴とする請求項1、又は2記載のクリックばね付きシート。
【請求項4】
シート部材の所定の位置に小片樹脂からなる押圧力伝達部材を供給し、前記シート部材と前記押圧力伝達部材を重ね合わせて、透光可能な加圧部材で加圧密着させながらレーザー光を照射することにより該重ね合わせ部を溶着させて前記シート部材に前記押圧力伝達部材を固着し、しかる後、前記押圧力伝達部材に対応させて前記シート部材にクリックばねを粘着剤により保持させたことを特徴とするクリックばね付きシートの製造方法。
【請求項5】
シート部材の所定の位置に小片樹脂からなる押圧力伝達部材を供給し、前記シート部材と前記押圧力伝達部材を重ね合わせた状態で、超音波溶着部材を押し当てて加圧密着させることにより該重ね合わせ部を溶着させて前記シート部材に前記押圧力伝達部材を固着し、しかる後、前記押圧力伝達部材に対応させて前記シート部材にクリックばねを粘着剤により保持させたことを特徴とするクリックばね付きシートの製造方法。
【請求項6】
前記シート部材に前記押圧力伝達部材を固着した後、前記シート部材に前記粘着剤を塗布することを特徴とする請求項5記載のクリックばね付きシートの製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至3の何れかに記載のクリックばね付きシートと、対向する一対の固定接点が設けられた回路基板とを備え、前記クリックばね付きシートを、前記クリックばねと前記固定接点とを対向させて前記回路基板上に積層したことを特徴とするスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−344511(P2006−344511A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169798(P2005−169798)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】