説明

クリーニング装置、及び画像形成装置

【課題】低コストで、磁気ブラシ帯電装置の永続的な利用を可能とするとともに、そのメンテナンス性を高めることができる感光体のクリーニング装置を提供する。
【解決手段】クリーニング装置86に、クリーニングブレード162と、感光体ドラム40に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部170と、補給用磁性粒子収容部164と、磁性粒子回収部165とを設ける。そして、磁気ブラシ帯電装置である帯電装置85に、補給用磁性粒子収容部164に収容している磁性粒子Bを補給し、劣化した磁性粒子Aを磁性粒子回収部165に回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ブラシ帯電装置を備えた画像形成装置に用いられる感光体のクリーニング装置、及びこのクリーニング装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真プロセスを用いる画像形成装置として、感光体を備え、感光体の表面を一様帯電させ、帯電した感光体表面を露光して静電潜像を形成し、その静電潜像にトナーを供給して可視像化し、形成された感光体表面の可視像を転写紙表面に転写した後、定着して排出するものが知られている。
【0003】
可視像を転写した後の感光体表面には未転写のトナー等が残留するため、未転写のトナー等が次の画像形成に悪影響を与えないように、感光体表面はクリーニング装置によりクリーニングされて次の画像形成プロセスに備えられる。クリーニング装置としては、ゴム等の弾性体からなるクリーニングブレードや合成樹脂の繊維をブラシ状に形成したクリーニングブラシを感光体表面に摺擦させて、未転写トナー等の付着物を除去するものが一般的に知られている。
【0004】
ところが、クリーニングブレードやクリーニングブラシは、感光体との摺擦を続けると、経時で摩耗し、欠けや変形等が起因してクリーニング性能が低下するという問題がある。また、感光体表面も摩耗するため、寿命が短くなる。
【0005】
そこで、従来から、感光体とこれらのクリーニング部材との間に働く摩擦抵抗を低減して、クリーニング部材、感光体の摩耗等の不具合を解消するために、感光体表面に潤滑剤を塗布するなどの手法がとられている。また、感光体表面に潤滑剤を塗布すると、感光体表面の摩擦係数が低下するため、トナーに外添される流動化剤や帯電制御剤等がクリーニング部材との当接圧で感光体表面に膜状に固着する、いわゆるフィルミングの発生を防止することができる。また、感光体上に現像されたトナーも感光体表面との付着力が低減することで、転写性も向上する。
【0006】
例えば、特許文献1には、クリーニングブレードでクリーニングした後に潤滑剤を塗布ローラで像担持体に塗布し、さらに均し部材によって塗布された潤滑剤を伸展させるクリーニング装置の構成が記載されている。
【0007】
また、近年、感光体の表面を一様帯電させる方法として、感光体表面を劣化させたり、傷つけたりしにくい、接触帯電方式である磁気ブラシ帯電装置が注目されてきれいる。
【0008】
ところが、磁気ブラシを形成する磁性粒子は、帯電を繰り返すことで経時により劣化し、所望の帯電効果を奏することができなくなり、感光体の表面を所望の帯電電位まで一様帯電できなくなり、形成する画像の劣化に繋がる。
【0009】
そこで、従来から劣化した磁性粒子の回収と、新たな磁性粒子の補給とを行って磁気ブラシ帯電装置の帯電性能を維持する様々な提案が行われてきた。
【0010】
例えば、特許文献2には、次のような構成が記載されている。クリーニング装置のケース内に磁気ブラシ帯電装置を設け、劣化した帯電用磁性粒子をクリーニング装置のケース内に回収して収容する。そして、補給用の現像剤と帯電用磁性粒子を収容する感光体及び露光手段の上方に設けた現像剤・帯電用磁性粒子収容器から、磁気ブラシ帯電装置に新たな帯電用磁性粒子を補給する構成が記載されている。また、特許文献3には、次のような構成が記載されている。感光体回転方向の磁気ブラシ帯電装置と現像装置との間に、専用の回収モードで帯電装置から感光体表面に付着させた劣化した帯電用磁性粒子を、回収して収容する回収装置を専用で設けている。そして、感光体の上方に設けた磁気ブラシ帯電装置の帯電容器内上部に帯電用磁性粒子の補給手段を設けて、磁気ブラシ帯電装置に新たな帯電用磁性粒子を補給する構成が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2、3に記載された構成は、感光体表面に潤滑剤を供給することで感光体の摩耗が避けられた場合には、クリーニングブレードの摩耗が作像部の寿命となる。そして、作像部を永続的に使用可能とするためには、現像剤、潤滑剤の補給、現像装置、クリーニング装置、磁気ブラシ帯電装置等のメインテナンスを行い、現像装置、クリーニング装置、磁気ブラシ帯電装置等を永続的に使用可能とする必要がある。しかも、磁気ブラシ帯電装置を永続的に使用可能にするためには、回収した帯電用磁性粒子の破棄と、磁気ブラシ帯電装置に新たな帯電用磁性粒子を補給して減少した補給部内への帯電用磁性粒子の補充が不可欠である。
【0012】
しかしながら、特許文献2、3に記載されたいずれの構成も、磁気ブラシ帯電装置を永続的に使用可能とするためには、メンテナンス作業を行う時に複数の部材を着脱又は交換する必要があり、メインテナンス性が低かった。具体的には、特許文献2に記載の構成では、帯電用磁性粒子の補給部である現像剤・帯電用磁性粒子収容器と、回収した磁性粒子を収容したクリーニング装置と、クリーニング装置のケース内に設けられた磁気ブラシ帯電装置とを着脱又は交換する必要がある。また、特許文献3に記載の構成では、帯電用磁性粒子の補給手段を設けた磁気ブラシ帯電装置と、回収した帯電用磁性粒子を収容した回収装置とを着脱又は交換する必要がある。さらに、特許文献3に記載の構成では、専用の回収装置を設けているので、この回収装置を設けるためのコストアップは避けられない。
【0013】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、低コストで、磁気ブラシ帯電装置の永続的な利用を可能とするとともに、そのメンテナンス性を高めることができる感光体のクリーニング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、磁気ブラシ帯電装置を備えた画像形成装置に用いられ、ブレードを有した感光体のクリーニング装置において、少なくとも、潤滑剤塗布手段と、上記磁気ブラシ帯電装置に補給する磁性粒子を収容する第一の磁性粒子収容部と、上記磁気ブラシ帯電装置で回収された使用済み磁性粒子を収容する磁性粒子回収部とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクリーニング装置において、磁気ブラシ帯電装置は、所定量の磁性粒子を収容する第二の磁性粒子収容部を備えており、補給用磁性粒子は上記第二の磁性粒子収容部の一端側から補給され、該第二の磁性粒子収容部に収容できる所定量を超えた磁性粒子は他端側から排出された後、第一の磁性粒子収容部に収容されることを特徴とするものである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のクリーニング装置において、潤滑剤塗布手段は、補給用潤滑剤収容部と、該補給用潤滑剤収容部内に収容された補給用潤滑剤とを備えいることを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のクリーニング装置において、補給用潤滑剤が粉体であることを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の画像形成装置の発明は、クリーニング装置として、請求項1乃至4のいずれか一に記載のクリーニング装置を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項6に記載の発明は、複数の画像形成部を備えた画像形成装置において、一つの画像形成部に備えるクリーニング装置のみが、請求項1乃至4のいずれか一に記載のクリーニング装置であることを特徴とするものである。
また、請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の画像形成装置において、感光体上の静電潜像を現像する現像手段で用いるトナーが、体積平均粒径が3〜8μmの範囲にあり、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とするものである。
また、請求項8に記載の発明は、請求項5乃至7のいずれか一に記載の画像形成装置において、感光体上の静電潜像を現像する現像手段で用いるトナーが、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とするものである。
また、請求項9に記載の発明は、請求項5乃至8のいずれか一に記載の画像形成装置において、感光体上の静電潜像を現像する現像手段で用いられるトナーが、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであることを特徴とするものである。
本発明は、第一の磁性粒子収容部と磁性粒子回収部とをクリーニング装置に備えているので、磁気ブラシ帯電装置に磁性粒子を補給して減少した第一の磁性粒子収容部内への磁性粒子の補充と、磁性粒子回収部内に回収した使用済み磁性粒子の破棄とを行なうメインテナンス作業を、クリーニング装置だけを着脱又は交換して行なえる。したがって、磁気ブラシ帯電装置のメインテナンス性を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、磁気ブラシ帯電装置のメインテナンス性を高めることができる。よって、低コストで、磁気ブラシ帯電装置の永続的な利用を可能とするとともに、そのメンテナンス性を高めることができる感光体のクリーニング装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の全体構成の説明図。
【図2】実施例1に係る磁気ブラシ帯電装置及びクリーニング装置の説明図。
【図3】実施例1に係る磁性ブラシ用磁性粒子の搬送経路の説明図。
【図4】実施例2に係る磁気ブラシ帯電装置及びクリーニング装置の説明図。
【図5】実施例4に係るトナーの形状係数SF−1を説明するための模式図。
【図6】実施例4に係るトナーの形状係数SF−2を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を、電写真方式の画像形成装置であるカラー対応の複合機に適用した実施形態の一例について、実施例を挙げ、図を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成の説明図である。図2は、実施例1に係る磁気ブラシ帯電装置及びクリーニング装置の説明図、図3は、実施例1に係る磁性ブラシ用磁性粒子(以下、磁性粒子という)の搬送経路の説明図である。図4は、実施例2に係る磁気ブラシ帯電装置及びクリーニング装置の説明図、図5は、実施例4に係るトナーの形状係数SF−1を説明するための模式図、図6は、実施例4に係るトナーの形状係数SF−2を説明するための模式図である。
【0018】
まず、この複写機の基本的な構成から説明する。この複写機は、図1に示すように、画像形成装置本体であり画像を作像する作像部100と、この作像部100を載置する給紙テーブル200と、作像部100上に取り付けられたスキャナ300と、このスキャナ300上に取り付けられた原稿自動搬送装置(ADF)400とから主として構成されている。
【0019】
スキャナ300では、原稿照明用光源やミラーなどを搭載した第一走行体303と、複数の反射ミラーを搭載した第二走行体304とが往復移動するのに伴って、コンタクトガラス301上に載置された図示しない原稿の読取り走査が行われる。第二走行体304から送り出される走査光は、結像レンズ305によってその後方に設置されている読取りセンサ306の結像面に集光せしめられた後、読取りセンサ306によって画像信号として読込まれる。
【0020】
作像部100には、潜像担持体としてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色のトナーに対応した感光体ドラム40Y、40M、40C、40Bkが設けられている。各感光体ドラム40の周囲には現像装置70、磁気ブラシ帯電装置である帯電装置85、感光体のクリーニング装置86(以下、クリーニング装置86という)等の電子写真プロセスを実行する各手段が配置され、これによって画像形成ユニット38(Y,M,C,Bk)が形成されている。また、各画像形成ユニット38は、プリンタ本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。各画像形成ユニット38は4つ並列に設けられており、タンデム型画像形成部20を形成している。ここで、各画像形成ユニット38の構成は使用するトナーの色が異なるのみで、その基本的な構成・動作は、同一でああるので以下の説明では、符号Y、M、C、Bkは適宜、省略して説明する。
【0021】
また、各画像形成ユニット38は、ケーシング41を有している。ケーシング(不図示)に形成された感光体ドラム40の回転軸の片側の軸孔からは、感光体ドラム40の回転軸の先端が外部に出るように設けられている。また、この画像形成ユニット38の装着時には、感光体駆動ユニット(不図示)に接続され、稼動時には、この感光体駆動ユニットより回転駆動されることとなる。
【0022】
そして、各画像形成ユニット38の現像装置70においては、それぞれ上記4色のトナーを含んだ現像剤が用いられる。現像装置70は、現像剤担持体である現像ローラ71が現像剤を担持、搬送して、感光体ドラム40との対向位置において、感光体ドラム40上の潜像を現像する。
【0023】
タンデム型画像形成部20の上部には、画像情報に基づいて感光体ドラム40をレーザ光又はLED光により露光して潜像を形成する露光装置31が設けられている。
【0024】
また、タンデム型画像形成部20の感光体ドラム40と対向する下方位置には、無端状
のベルト部材からなる中間転写ベルト15が配置されている。中間転写ベルト15は支持ローラ34、支持ローラ35及び二次転写バックアップローラ36によって支持されている。中間転写ベルト15を介して感光体ドラム40と相対する隣接位置には、感光体ドラム40上に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト15に転写する一次転写装置62が配置されている。
【0025】
中間転写ベルト15の下方には、中間転写ベルト15表面に重ね合わせて形成されたトナー像を、給紙テーブル200の給紙カセット44から搬送されてくるシートPに一括転写する二次転写装置19が配置されている。二次転写装置19は、二次転写ローラ23と、この二次転写ローラ23を中間転写ベルト15に接離可能に支持する接離機構(不図示)とを備えている。二次転写装置19は中間転写ベルト15を介して二次転写バックアップローラ36に二次転写ローラ23を押し当て、中間転写ベルト15上のトナー像をシートPに転写する。
【0026】
中間転写ベルト15の表面に残留するトナーを取り除くために中間転写ベルトクリーニング装置90が設けられている。中間転写ベルトクリーニング装置90は、例えばファーブラシやウレタンゴムで形成されたクリーニングブレードを中間転写ベルト15に当接させて、中間転写ベルト15に付着している二次転写の転写残トナーを掻き取る。
【0027】
二次転写装置19に隣接するように定着装置60が設けられており、トナー像が転写されたシートPは搬送ベルト16により、定着装置60に搬送される。そして、定着装置60はシートP上の画像を定着する。定着装置60は、内部に熱源としてのヒータが組み込まれた加熱ローラ66と、この加熱ローラ66に押し当てられる加圧ローラ67とから主として構成されている。
【0028】
二次転写装置19及び定着装置60の下方には、シートPを反転する反転装置28が配置されている。反転装置28は、シートPの両面に画像を記録すべくシートPを反転させる。
【0029】
次に、上記構成の画像形成装置の動作について説明する。図1の原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットするか、または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス301上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。この状態で、操作パネル上のスタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス301上へと移動した後、また、コンタクトガラス301上に原稿をセットしたときは直ちにスキャナ300が駆動し、第一走行体303および第二走行体304を走行させる。そして、第一走行体303で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光を受け、これを第二走行体304に向けて反射し、第二走行体304のミラーで反射光を更に反射して結像レンズ305を通して読取りセンサ306に入射させ、読取りセンサ306で原稿内容を読取る。
【0030】
また、操作パネル上のスタートスイッチを押すことによって、駆動モータ(不図示)を駆動させて支持ローラ34、支持ローラ35、二次転写バックアップローラ36の1つを回転駆動し、他の2つの支持ローラを従動回転させ、これによって中間転写ベルト15を回動させる。同時に、各画像形成ユニット38において、帯電装置85によって感光体ドラム40を一様に帯電し、次いでスキャナ300の読取り内容に応じて露光装置31からレーザやLED等による書込み光を照射して帯電した各感光体ドラム40上に静電潜像を形成する。静電潜像が形成された感光体ドラム40に現像装置70からトナーを供給し、静電潜像を可視像化し、各感光体ドラム40上にそれぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の単色画像を形成する。単色画像を順次一次転写装置62によって中間転写ベルト15上に重なるように一次転写し、中間転写ベルト15上に合成カラー画像を形成する。画像転写後の感光体ドラム40の表面は、クリーニング装置86によって残留トナーを除去し、除電装置(不図示)で除電して再度の画像形成に備える。
【0031】
操作パネル上のスタートスイッチを押すことにより、また給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つが選択されて回転し、ペーパーバンク43に多段に設けられた給紙カセット44の1つからシートPを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に挿入し、搬送ローラ対47で搬送して作像部100内の給紙路48に導き、レジストローラ対49に突き当てて停止させる。次に、中間転写ベルト15上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ対49を回転し、中間転写ベルト15と二次転写装置19との間にシートPを送り込み、二次転写装置19で転写してシートP上にカラー画像を転写する。
【0032】
二次転写ローラ23を通過した未定着トナー像を担持したシートPを、定着装置60へ搬送し、定着装置60で熱と圧力とを加えて転写画像を定着する。画像定着後のシートPは、切換爪55で切り換えて排出ローラ対56によって排出し、排紙トレイ57上にスタックするか、又は切換爪55で切り換えて反転装置28に導入し、ここでシートPを反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録し、その後、排出ローラ対56で排紙トレイ57上に排出する。このとき、画像転写後の中間転写ベルト15上に残留する残留トナーを中間転写ベルトクリーニング装置90で除去し、タンデム型画像形成部20による再度の画像形成に備える。
【0033】
次に、本発明の特徴部である、磁気ブラシ帯電装置である帯電装置85と、磁性粒子を収容する磁性粒子収容部と使用済みで劣化した磁性粒子を回収して収容する磁性粒子回収部を設けたクリーニング装置86とを備えた画像形成ユニット38Y、M、C、Bkについて、実施例を挙げ、図を用いて説明する。
【0034】
(実施例1)
まず、本実施形態の画像形成ユニット38の、第1の実施例である、実施例1から説明する。ここで、本実施例の各画像形成ユニット38に対応する帯電装置85、及びクリーニング装置86の基本的な構成は、対応する各画像形成ユニット38で使用するトナーの色が異なるのみで、その構成・動作は、同一でああるので以下の説明では、符号Y、M、C、Bkは適宜、省略して説明する。上述したように感光体ドラム40の周囲には現像装置70、磁気ブラシ帯電装置である帯電装置85、クリーニング装置86等の電子写真プロセスを実行する各手段が配置さている。本実施例の画像形成ユニット38は、図2に示すように、感光体ドラム40ののトナー像転写位置の感光体ドラム回転方向の上流側には、現像装置70を備えており、感光体ドラム40上に形成された静電潜像を、現像ローラ71に担持した現像剤で現像する。そして、現像装置70の感光体ドラム回転方向の上流側には、露光装置31で露光される画像情報に基づいた露光光Lの露光位置をまたいで、磁気ブラシ帯電装置装置である帯電装置85を配置している。
【0035】
この帯電装置85は、磁気ローラ151と、第2の磁性粒子収容部である帯電装置ケース153と、規制ブレード152とを備えている。そして、帯電装置ケース153の内部に収容された磁性粒子Aを、磁気で磁気ローラ151に吸着させるとともに、規制ブレード152により磁性粒子Aが所定の吸着量となるように規制した後、感光体ドラム40表面に対向して印可されたバイアスにより感光体ドラム40表面を帯電させる。
【0036】
クリーニング装置86の、クリーニング装置ケース161内のには、転写残トナーを塞き止めるクリーニングブレード162とともに、潤滑剤塗布手段である潤滑剤供給部170が設けられている。また、回収した転写残トナーを廃トナー収容部(不図示)に搬送するための残トナー搬送スクリュ163も設けられている。本実施例の潤滑剤供給部170は、固形潤滑剤172と、固形潤滑剤172を削り取るとともに感光体ドラム40表面に潤滑剤を塗布するブラシローラ171と、固形潤滑剤172をブラシローラ171に押圧する押圧手段であるバネ173と、ブラシローラ171回転可能に支持するとともに固形潤滑剤172をガイドするガイド部材(不図示)を有している。また、クリーニング装置86の感光体ドラム40から離れた側には、図3の図中左手側(図2においては手前側)に第1の磁性粒子収容部である補給用磁性粒子収容部164と、図3の図中右手側(図2においては奥側)に磁性粒子回収部165が設けられ仕切り壁で仕切られている。この補給用磁性粒子収容部164内には補給用の磁性粒子Bを収容し、磁性粒子回収部165には帯電装置85から回収した使用済み磁気ブラシ帯電用磁性粒子を回収する。
【0037】
また、図3に示すように、帯電装置ケース153の図3の図中左手側には、補給用磁性粒子収容部164から、内部に搬送コイル182が配置された補給用搬送経路181が補給口154に接続されている。そして、帯電装置ケース153の図3の図中右手側には、クリーニング装置86に設けられた磁性粒子回収部165から回収用搬送路183が回収口155に接続されている。また、補給用搬送経路181は補給用磁性粒子収容部164の側面下部に接続され、回収用搬送路183は磁性粒子回収部165の上部側面に接続されている。
【0038】
そして、使用状況に応じて補給用の磁性粒子Bが搬送コイル182の回転により帯電装置ケース153内に流入する。流入した磁性粒子Bの量だけ帯電装置ケース153内の嵩が増し、回収用搬送路183の回収口155に達した分は回収用搬送路183を通じてクリーニング装置86の磁性粒子回収部165へと回収される。また、磁性粒子の補給用搬送経路181、回収用搬送路183は、帯電装置ケース153と補給用磁性粒子収容部164に着脱可能であるとともに、装置本体に着脱可能に支持されている。そして、クリーニング装置86の交換時には、補給用搬送経路181と回収用搬送路183を装置本体側に支持させた状態でクリーニング装置86を交換できるように構成されている。
【0039】
ここで、感光体ドラム40は、磁気ブラシ帯電装置である帯電装置85により帯電されるとともに、潤滑剤供給部170により塗布される潤滑剤により摩耗が発生しないため、感光体ドラム40の寿命が延びる。また、クリーニングブレード162の磨耗を抑制してクリーニング装置86によるクリーニング性能を長期に亘り維持することもできる。クリーニング装置86の交換作業時に潤滑剤供給部170の各固形潤滑剤172、182が交換されることで、永続的に使用が可能である。また、帯電装置85では磁性粒子Aが劣化して行くが磁性粒子Bが補給されるとともに、使用されて劣化した磁性粒子Aが回収されるとともに、クリーニング装置86が交換されることで、補給用磁性粒子収容部164内の磁性粒子Bは初期量に戻り、磁性粒子回収部165に回収された磁性粒子Cが破棄されることで、永続的に使用が可能である。
【0040】
従来は、低コストな画像形成装置では、磁気ブラシ帯電装置である帯電装置85の磁性粒子の劣化による帯電性能の低下を防ぎ永続的な利用を可能とするために、複数の部材を交換する必要があることが多く、メインテナンスが容易でなく、メインテナンス作業時に無駄な手間が発生してしまってい、メインテナンスが低かった。しかし、本実施例では、クリーニング装置86のみを交換することにより摩耗したクリーニングブレード162、補給用磁性粒子収容部164に収容された補給用の磁性粒子Bと潤滑剤供給部170の固形潤滑剤172とがリフレッシュされるとともに、使用されて劣化した磁性粒子Aを回収した磁性粒子回収部165内の磁性粒子Cを破棄することができる。したがって、本実施例では、磁性粒子の破棄及び補充のメインテナンス作業を、クリーニング装置86だけを交換することで行なえるので、磁気ブラシ帯電装置のメインテナンス性を高めることができる。
【0041】
そして、例えば、特許文献3の廃棄する磁性粒子を感光体表面に付着させた後、専用の回収装置で回収する構成のように、専用の回収装置を設けるコストアップが生じることもない。このように、コストが掛かる磁性粒子の回収専用の回収装置等も設けていないので、メインテナンス性の高い磁性粒子の回収及び補給の作業環境を低コストで実現できる。また、特許文献3のように専用の回収装置を設けて、専用の回収モードを用いて磁気ブラシ帯電装置から磁性粒子を吐き出させて回収装置に回収させることもないので、ユーザが画像形成装置を使用できないダウンタイムが不要に生じることもない。さらに、この専用の回収モードの動作にともない、無駄にクリーニングブレード162が磨耗して、その寿命低下を招くこともない。つまり、無駄なクリーニングブレードの寿命低下を防止できる。
【0042】
また、従来は、磁気ブラシ帯電用磁性粒子の磁性粒子回収部や磁性粒子収容部を、複数の装置が集中していて設置スペースが確保しずらい位置に配置されることが多い磁気ブラシ帯電装置近傍に配置せざるを得ず、鉛直方向の設置空間を確保する必要があり、画像形成装置の小型化に支障をきたすことが多かった。しかし、本発明では、帯電装置85の位置に比べ、スペースが確保し易い位置に配置されることが多いクリーニング装置86に、磁性粒子回収部165と補給用磁性粒子収容部164を設けるので、画像形成装置の小型化に支障をきたすこともない。特に従来の構成に比べ、鉛直方向のスペースを要さない。
【0043】
このように、本実施例は、磁性粒子回収部165と補給用磁性粒子収容部164を設けたクリーニング装置86だけを交換するだけの低コストな構成で、帯電装置85の永続的な利用と、劣化した磁性粒子の破棄と、新たな磁性粒子の補充のメインテナンス作業を可能にできる。また、比較的スペースが確保し易い位置に配置されることが多いクリーニング装置86に、磁性粒子回収部165と補給用磁性粒子収容部164を設けるので、複合機の小型化に支障をきたすこともない。よって、低コストで磁気ブラシ帯電装置である帯電装置85の永続的な利用を可能とするとともに、メンテナンス性を高め、画像形成装置である複合機の小型化に支障しないクリーニング装置86を提供することができる。
【0044】
また、本実施例では、帯電装置85のメインテナンス時に、クリーニング装置86を交換する構成について説明してきたが、本発明は、このような構成に限定されるものではなく、例えば、次のように構成してもよい。帯電装置85のメインテナンス時にクリーニング装置86を装置本体から着脱し、取り外した状態で、磁性粒子回収部165内に収容された使用され劣化した磁性粒子Cを破棄する。そして、帯電装置85に補給することで減少した補給用磁性粒子収容部164内に新たな磁性粒子Bを補充することで初期量に戻した後、クリーニング装置86を装置本体に取り付ける。また、クリーニング装置86内に設けた潤滑剤供給部170の各固形潤滑剤172、182についても、同様な構成とすることもできる。
【0045】
(実施例2)
次に、本実施形態の画像形成ユニット38の、第2の実施例である、実施例2から説明する。本実施例と上述した実施例1とは、本実施例の潤滑剤供給部170が粉体潤滑剤を用いる構成である点と、クリーニング装置86に内包せずに潤滑剤供給部170が単独で設けれている点と、クリーニング装置86に潤滑剤供給部170に補給する補給用の粉体潤滑剤Eを収容する補給用潤滑剤収容部166を設けている点が異なる。その他の点は上述した実施例1と同様であるので、実施例1と共通する構成・動作については適宜省略して説明する。
【0046】
図2に示した実施例1のように潤滑剤の感光体ドラム40への供給を、クリーニングブレード162より感光体ドラム回転方向の上流側に設けられたブラシローラ171で行う場合、転写残トナーがブラシローラ171に付着するため形成する画像が写真等の画像面積が多い場合と、文書等の画像面積が少ない場合とでは潤滑剤供給量が同等にはならない。そこで、本実施例では、図4に示すように、潤滑剤供給をクリーニングブレード162より感光体ドラム回転方向の下流側で行うことで形成する画像に関わらずに一定の潤滑剤を供給することができるようにした。また、本実施例の潤滑剤供給部170は内部の粉体潤滑剤Dを回転羽根175で搬送し、感光体ドラム40表面に付着した潤滑剤は均し部材176により伸延されて感光体ドラム40表面に塗布される。また、本実施例でも、図4に示すように帯電装置85の劣化した磁性粒子の回収と、新たな磁性粒子の補給は、図2で示した実施例1と同様に行われる。
【0047】
また、画像形成装置である複合機の稼動に伴って潤滑剤供給部170の潤滑剤供給部ケース174内の粉体潤滑剤Dは減少して行くことになる。しかし、本実施例では、使用状況に応じて、補給用潤滑剤収容部166内に収容されていた補給用の粉体潤滑剤Eが潤滑剤供給部170へと補給される。そして、クリーニング装置86が交換されると、補給用潤滑剤収容部166内の粉体潤滑剤Eがリフレッシュされて、永続的な使用が可能となる。また、クリーニング装置86の交換時には、本実施例では実施例1と異なり、潤滑剤供給部170を単独で設けているので、この潤滑剤供給部170を残して、クリーニング装置86のみを交換すればよく、交換時の重量を減らせる。また、クリーニング装置86の交換時に回転羽根175と回転駆動源(不図示)とのジョイント部分での着脱を行なう必要がないので、ジョイント部分での接続不良や、ジョイント部の破損といった不具合が発生することもない。なお、均し部材176もクリーニングブレード162と同様にポリウレタン等により形成されているが、使用に伴う摩耗は極微小であるため交換する必要は無い。
【0048】
さらに、実施例1のように潤滑剤をバー状の固形物とすることが一般的であるが、その製法は粉体の潤滑剤を溶融・固化したものであり、製作コストが掛かっている。本実施例では粉体の潤滑剤をそのまま使用しており、固形物とする製作コストを低減することもできる。
【0049】
(実施例3)
次に、本実施形態の画像形成ユニット38の、第3の実施例である、実施例3を説明する。本実施例と上述した実施例1、2とは、帯電装置85に補給する磁性粒子を収容する補給用磁性粒子収容部164と、回収した磁性粒子を収容する磁性粒子回収部165を設けるクリーニング装置86を、ブラック(Bk)の各色のトナーを使用する画像形成ユニット38Bkに備える、クリーニング装置86Bkのみとした点に関わる構成のみ異なる。その他の点は上述した実施例1又は2と同様であるので、実施例1、2と共通する構成・動作については適宜省略して説明する。
【0050】
実施例1、2では、それぞれ、図2、4で示した補給用磁性粒子収容部164と磁性粒子回収部165を各々備えることで各画像形成部で同じ効果を得ることができる。しかし、カラー画像を高速で出力可能とするために複数の画像形成ユニットを併設した画像形成装置では、一般的に、使用頻度の高いブラック用の画像形成ユニットを常に動作させ、他の色の画像形成ユニットはカラー画像を形成させるときのみ動作させることが多い。
【0051】
そこで、本実施例の画像形成ユニット38では、ブラック用の画像形成ユニットBkのクリーニング装置86Bkにのみ補給用磁性粒子収容部164と磁性粒子回収部165とを設けている。このように構成することで、単独で劣化してしまう帯電装置85Bkのみのメインテナンスが可能となる。
【0052】
また、カラー画像の色味調整などの目的で実施される所謂プロセスコントロール動作時にはカラー用の画像形成ユニットも動作することになる。このときは極微小なパターンのみを形成するため、クリーニングブレードの摩耗は発生しないが、磁気ブラシ帯電装置は通常の動作を行うためにユーザーが求める画像を形成していないにも関わらず、磁気ブラシ帯電用磁性粒子は劣化してしまうこととなる。
【0053】
そこで、本実施例では、さらに、実施例1、2で、それぞれ、図2、4に示した補給用搬送経路181及び回収用搬送路183をクリーニング装置86Bkから全画像形成ユニットY、M、C、Bkの帯電装置85Y、M、C、Bkへと接続している。このように構成することで、使用頻度の高いブラック用のクリーニング装置86Bkのみを交換することで、全画像形成ユニットY、M、C、Bkの帯電装置85Y、M、C、Bkへの補給用磁性粒子Bの補給と、使用され劣化した磁性粒子の回収が可能となる。
【0054】
したがって、補給用磁性粒子収容部164と磁性粒子回収部165を画像形成ユニットBkのクリーニング装置86Bkにのみ設けるので、上述した実施例1、2の構成よりも、低コストであるとともに、メインテナンス性が高く、画像形成装置の小型化に支障をきたすこともない。よって、上述した実施例1、2の構成よりも、低コストで磁気ブラシ帯電装置である帯電装置85の永続的な利用を可能とするとともに、メンテナンス性を高め、画像形成装置である複合機の小型化に支障しない感光体ドラム40のクリーニング装置86を提供することができる。
【0055】
(実施例4)
次に、本実施形態の画像形成ユニット38の、第4の実施例である、実施例4を説明する。本実施例と以上の実施例は、画像形成ユニット38の現像装置70で好適に用いることができるトナーを規定している点のみが異なる。その他の点は上述した実施例1乃至3のいずれか一と同様であるので、実施例1乃至3と共通する構成・動作については適宜省略して説明する。
【0056】
600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの体積平均粒径は3〜8μmが好ましい。体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(Dv/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0057】
また、トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図5、図6は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
ここで、SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0058】
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
SF−2={(PERI)/AREA}×(100/4π) ・・・式(2)
ここで、SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0059】
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなる。したがって、流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0060】
また、本実施例の画像形成ユニット38に好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
【0061】
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0062】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0063】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0064】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
【0065】
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0066】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
【0067】
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0068】
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0069】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
【0070】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0071】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
【0072】
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0073】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0074】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
【0075】
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0076】
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0077】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。なお、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
【0078】
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0079】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0080】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0081】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。 荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0082】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0083】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
【0084】
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
【0085】
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0086】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
【0087】
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0088】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
【0089】
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0090】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0091】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0092】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
【0093】
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0094】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0095】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0096】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0097】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0098】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【0099】
以上、本実施形態に係る画像形成ユニット38のクリーニング装置86では、次のような作用・効果を奏することができる。帯電装置85では磁性粒子Aが劣化して行くが補給用磁性粒子収容部164内に収容されている磁性粒子Bが補給されるとともに、使用されて劣化した磁性粒子Aが回収されるとともに、クリーニング装置86が交換されることで、補給用磁性粒子収容部164内の磁性粒子Bは初期量に戻り、磁性粒子回収部165に回収された磁性粒子Cが破棄されることで、永続的に使用が可能である。そして、クリーニング装置86のみを交換することにより摩耗したクリーニングブレード162、固形潤滑剤172がリフレッシュされるとともに、使用されて劣化した磁性粒子Aを回収した磁性粒子回収部165内の磁性粒子Cを破棄することができる。したがって、磁性粒子の回収及び補給のメインテナンス作業を、クリーニング装置86だけを交換することで行なえるので、磁気ブラシ帯電装置のメインテナンス性を高めることができる。このように、磁性粒子回収部165と補給用磁性粒子収容部164を設けたクリーニング装置86だけを交換するだけの低コストな構成で、帯電装置85の永続的な利用と、劣化した磁性粒子の回収と、新たな磁性粒子の補給のメインテナンス作業を可能にできる。よって、低コストで、磁気ブラシ帯電装置である帯電装置85の永続的な利用を可能とするとともに、そのメンテナンス性を高めることができる感光体ドラムのクリーニング装置86を提供することができる。
また、本実施形態に係る画像形成ユニット38のクリーニング装置86では、次のような作用・効果を奏することができる。帯電装置ケース153の長手方向の一端部の補給口154には、補給用磁性粒子収容部164から、補給用の磁性粒子Bを搬送する補給用搬送経路181が接続され、他端部の回収口155には、使用済みの劣化した磁性粒子を収容する磁性粒子回収部165に搬送する回収用搬送路183が接続されている。そして、使用状況に応じて補給用の磁性粒子Bが搬送コイル182の回転により帯電装置ケース153内に流入した補給用の磁性粒子Bの量だけ帯電装置ケース153内の嵩が増し、回収用搬送路183の回収口155に達した分は回収用搬送路183を通じてクリーニング装置86の磁性粒子回収部165へと回収される。このようにして、帯電装置85への補給用の磁性粒子Bの補給と、使用され劣化した磁性粒子を回収できるので、従来のように、専用の回収装置を設けて、専用の回収モードで動作させる必要がない。したがって、ユーザが画像形成装置を使用できないダウンタイムが不要に生じることもない。さらに、この専用の回収モードの動作にともない、無駄にクリーニングブレード162が磨耗して、その寿命低下を招くこともない。つまり、無駄なクリーニングブレードの寿命低下を防止できる。
また、本実施形態に係る画像形成ユニット38のクリーニング装置86では、潤滑剤塗布手段である潤滑剤供給部170に補給する補給用の粉体潤滑剤Eを収容する補給用潤滑剤収容部166を設けているので、使用状況に応じて補給用潤滑剤収容部166内に収容されていた補給用の粉体潤滑剤Eが潤滑剤供給部170へと補給して、クリーニング装置86が交換時に粉体潤滑剤Eをリフレッシュすることで、永続的な使用が可能となる。
また、本実施形態に係る画像形成ユニット38のクリーニング装置86では、潤滑剤塗布手段である潤滑剤供給部170で用いる潤滑剤が粉体潤滑剤Dであるので、一般に用いられる粉体の潤滑剤を溶融・固化したバー状の固形物としていないので、潤滑剤の製造コストを低減することができる。したがって、さらる低コスト化が可能である。
また、本実施形態に係る画像形成装置では、上述したクリーニング装置86を備えることで、上述したしたクリーニング装置86と同様な作用効果を奏することができる。
また、本実施形態の画像形成装置では、複数備える画像形成ユニット38Y、M、C、Bkの内、使用頻度の高いブラック用の画像形成ユニットBkのみ上述したような、クリーニング装置86Bkを備えているので、単独で劣化してしまう帯電装置85Bkのみのメインテナンスが可能となる。さらに、クリーニング装置86Bkの補給用搬送経路181及び回収用搬送路183を全画像形成ユニットY、M、C、Bkの帯電装置85Y、M、C、Bkの帯電装置ケース153と接続することもできる。このように構成することで、使用頻度の高いブラック用のクリーニング装置86Bkのみを交換することで、全画像形成ユニットY、M、C、Bkの帯電装置85Y、M、C、Bkへの補給用の磁性粒子Bの補給と、使用され劣化した磁性粒子の回収が可能となる。したがって、補給用磁性粒子収容部164と磁性粒子回収部165を画像形成ユニットBkのクリーニング装置86Bkにのみ設けるので、上述した実施形態の構成よりも、低コストであるとともに、メインテナンス性が高く、画像形成装置の小型化に支障をきたすこともない。よって、上述した実施形態の構成よりも、低コストで磁気ブラシ帯電装置である帯電装置85の永続的な利用を可能とするとともに、メンテナンス性を高め、画像形成装置である複合機の小型化に支障しないクリーニング装置86を提供することができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置では、現像装置70で用いるトナーが、体積平均粒径が3〜8μmの範囲にあり、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあるので、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができる。また、静電転写方式では転写率を高くすることもできる。したがって、高画質な画像形成を行なうことができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置では、現像装置70で用いるトナーが、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるので、感光体ドラム40からのトナー像の転写率が低下することがない。したがって、高画質な画像形成を行なうことができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置では、現像装置70で用いるトナーが、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られたトナーである。このようなトナーを用いることで、低音定着性、耐ホットオフセット性、フルカラーの画像形成を行なった場合の光沢性、耐熱保存性を良好にできる。また、現像剤の流動性の低下、画像濃度の低下を抑制するとともに、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られ、転写残トナーの低減も図れる。したがって、高画質な画像形成を行なうことができる。
【符号の説明】
【0100】
38 画像形成ユニット
40 感光体ドラム
60 定着装置
70 現像装置
100 作像部
151 磁気ローラ
153 帯電装置ケース
154 補給口
155 回収口
161 クリーニング装置ケース
162 クリーニングブレード
163 残トナー搬送スクリュ
164 補給用磁性粒子収容部
165 磁性粒子回収部
166 補給用潤滑剤収容部
170 潤滑剤供給部
171 ブラシローラ
172 固形潤滑剤
173 バネ
174 潤滑剤供給部ケース
175 回転羽根
176 均し部材
181 補給用搬送経路
182 搬送コイル
183 回収用搬送路
A 磁性粒子
B 補給用の磁性粒子
C 回収された磁性粒子
D 粉体潤滑剤
E 補給用の粉体潤滑剤
【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】
【特許文献1】特開2006−251751号公報
【特許文献2】特許第3703341号公報
【特許文献3】特開2009−186887号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ブラシ帯電装置を備えた画像形成装置に用いられ、ブレードを有した感光体のクリーニング装置において、
少なくとも、潤滑剤塗布手段と、
上記磁気ブラシ帯電装置に補給する磁性粒子を収容する第一の磁性粒子収容部と、
上記磁気ブラシ帯電装置で回収された使用済み磁性粒子を収容する磁性粒子回収部とを備えたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のクリーニング装置において、
磁気ブラシ帯電装置は、所定量の磁性粒子を収容する第二の磁性粒子収容部を備えており、
補給用磁性粒子は上記第二の磁性粒子収容部の一端側から補給され、該第二の磁性粒子収容部に収容できる所定量を超えた磁性粒子は他端側から排出された後、第一の磁性粒子収容部に収容されることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のクリーニング装置において、
潤滑剤塗布手段は、
補給用潤滑剤収容部と、該補給用潤滑剤収容部内に収容された補給用潤滑剤とを備えいることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項3に記載のクリーニング装置において、
補給用潤滑剤が粉体であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
クリーニング装置として、請求項1乃至4のいずれか一に記載のクリーニング装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
複数の画像形成部を備えた画像形成装置において、
一つの画像形成部に備えるクリーニング装置のみが、請求項1乃至4のいずれか一に記載のクリーニング装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の画像形成装置において、
感光体上の静電潜像を現像する現像手段で用いるトナーが、体積平均粒径が3〜8μmの範囲にあり、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか一に記載の画像形成装置において、
感光体上の静電潜像を現像する現像手段で用いるトナーが、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれか一に記載の画像形成装置において、感光体上の静電潜像を現像する現像手段で用いられるトナーが、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−88516(P2012−88516A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234995(P2010−234995)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】