説明

クリーニング装置

【課題】安定して残留トナーを回収することができ、クリーニング性能を向上することができるクリーニング装置を提供することを目的とするクリーニング装置を提供する。
【解決手段】複数のローラ30間に張架された中間転写ベルト23上の残留トナーを清掃するための回転可能なクリーニング部材35と、クリーニング部材35からトナーを電気的に回収するトナー回収ローラ36と、中間転写ベルト23とクリーニング部材35とが接触するクリーニングニップ部よりもクリーニング部材35の回転方向下流側で且つクリーニング部材35とトナー回収ローラ36とが接触する回収ニップ部までの間に配置されてクリーニング部材35に当接する掻き落とし部材42と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、或いはこれらを機能的に備えた複合機等の画像形成装置に搭載されたクリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ、ファクシミリ、或いはこれらを機能的に備えた複合機等の画像形成装置には、複数のローラ間に張架された中間転写ベルト上の残留トナーを清掃するための回転可能なクリーニング部材と、クリーニング部材からトナーを電気的に回収するトナー回収ローラと、を備えたクリーニング装置が搭載されている。
【0003】
このクリーニング装置は、中間転写ベルトに形成されたトナー像を転写紙に転写した際に中間転写ベルトの表面に残留した残留トナー等を、転写紙への転写部よりも中間転写ベルトの回動移動方向下流側で払拭・除去するもので、ローラ状のファーブラシからなるクリーニング部材を中間転写ベルトの回動移動方向とはカウンタ方向に回転させて中間転写ベルトの表面に残存した残留トナー等をブラシ繊維間に捕集した後、クリーニング部材に食い込んだ状態で当接するトナー回収ローラにバイアスを印加して静電的にブラシ繊維間に捕集した残留トナーを回収する。
【0004】
具体的には、少なくとも2つのローラ(例えば、駆動ローラと従動ローラ)の間に張架される中間転写ベルトは、従動ローラ又は別のローラをテンションローラとして用いることで緊張状態が維持されると共に、そのテンションローラにクリーニング部材としてのファーブラシが中間転写ベルトを介して対向配置される。
【0005】
この際、テンションローラとファーブラシとは、ファーブラシを回転保持する第1の保持部材外周とテンションローラを回転保持する第2の保持部材外周とを当接させてクリーニング領域を形成している。
【0006】
ファーブラシからトナーを電気的に回収するトナー回収ローラは、そのトナー回収ローラの軸受部とファーブラシの軸受部とを同一部材で形成し、トナー回収ローラの軸受部を支点としてファーブラシを揺動可能としている。
【0007】
また、テンションローラが中間転写ベルトに張力を与えるために揺動変位可能である場合は、ファーブラシが中間転写ベルトに与える押圧力よりも中間転写ベルトを緊張させる張力を大きくすることで、テンションローラを複数設置した場合には、それらのうちのどのテンションローラに対してでもファーブラシを取り付けることが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−258167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上述したクリーニング装置にあっては、ファーブラシの軸受部とトナー回収ローラの軸受部とを同一部材で一体構成とし、トナー回収ローラの軸受部を支点としてファーブラシを揺動可能とすると共に、ファーブラシを回転保持する第1の保持部材外周とテンションローラを回転保持する第2の保持部材外周とを当接させてクリーニング領域を形成している。
【0010】
このとき、中間転写ベルトの内周長のばらつきやテンションローラの付勢荷重のばらつき等により、テンションローラの変位量が大きくなってしまう場合、トナー回収ローラの軸部を中心として回動変位するファーブラシの回動変位量も大きくなってしまうため、ファーブラシやトナー回収ローラ等を支持するクリーニングケースが画像形成装置の本体内部で固定されていると、クリーニングケースとファーブラシのブラシ表面との間隙が広がる方向に回転移動する場合も起こり得る。
【0011】
従って、この間隙が大きくなると、ファーブラシの回転に伴ってクリーニングケース内に蓄積されたトナーが、クリーニングケースの外部へと飛散したり、あるいはトナー落ちを生じてしまうという問題が発生する。
【0012】
また、ファーブラシによるクリーニング性能を向上させる場合には、例えば、ブラシ弾性、ブラシ繊度(太さ)、ブラシ密度、ブラシ抵抗値等のブラシ条件を適正化する他、トナー回収ローラに印加するバイアス電位を大きくしてファーブラシとトナー回収ローラとの間のバイアス電位差を大きくする等が考えられるが、これらの各種条件を単に変えただけでは、トナー回収ローラのファーブラシへの食い込み量の設定如何で、ブラシ目詰まりが発生し易くなってしまうばかりでなく、ファーブラシが締まって外径が細くなり、クリーニング部(ファーブラシと中間転写ベルトとの接触部分並びにファーブラシとクリーニング部材との食い込み部分)でのクリーニング性が低下してしまうという問題が発生する。
【0013】
さらに、トナー回収ローラのファーブラシへの食い込み量を大きくすると、回収ローラへの回収性が向上するうえ、クリーニング性の向上並びにトナー落ちの軽減効果を発揮することができるが、ファーブラシのトルクアップが発生するという問題も生じやすい。
【0014】
また、画像形成処理を行っていない等の放置時間(停止時間)が長いと、ファーブラシのブラシが変形している状態で癖がついてしまう毛倒れ等が発生し、クリーニング不良やトルク変動による速度ムラ等の不具合が発生してしまう。
【0015】
しかも、前記のようにテンションローラの変位量が大きくなった場合、トナー回収ローラの食い込み位置よりも回転方向上流側にファーブラシと接触するトナー掻き落とし用のブレード部材を設けると、そのブレード部材とファーブラシとの食い込み量が所定量からズレてしまうことになり、安定してクリーニング性能を維持することができないという問題も発生していた。
【0016】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、安定して残留トナーを回収することができ、クリーニング性能の向上を実現することができるクリーニング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のクリーニング装置は、複数のローラ間に張架された中間転写ベルト上の残留トナーを清掃するための回転可能なクリーニング部材と、該クリーニング部材からトナーを電気的に回収するトナー回収ローラと、を備えたクリーニング装置において、前記中間転写ベルトと前記クリーニング部材とが接触するクリーニングニップ部よりも前記クリーニング部材の回転方向下流側で且つ前記クリーニング部材と前記トナー回収ローラとが接触する回収ニップ部までの間に前記クリーニング部材に当接する掻き落とし部材と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この際、前記掻き落とし部材は、前記トナー回収ローラと前記クリーニング部材とを一体で支持する支持部材に設けられているのが好ましい。
【0019】
また、画像形成時における前記クリーニング部材に対する前記トナー回収ローラの食い込み量は前記クリーニング部材に対する前記掻き落とし部材の食い込み量に対して略同一若しくは小さいのが好ましい。
【0020】
さらに、前記支持部材は、前記掻き落とし部材を前記クリーニング部材に対して一定の荷重で付勢し且つ所定以上の負荷がかかった場合には前記掻き落とし部材を前記クリーニング部材から退避する方向に移動させるテンション機構が設けられているのが好ましい。
【0021】
また、前記掻き落とし部材は、前記クリーニング部材に対する食い込み量が画像形成時と停止時とで異なるように移動可能であるのが好ましい。
【0022】
尚、クリーニング部材にはファーブラシを用いるのが好ましい。
【0023】
また、前記掻き落し部材が棒状あるいは板状であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明のクリーニング装置は、安定して残留トナーを回収することができ、クリーニング性能の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係るクリーニング装置を搭載した画像形成装置の説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る実施例1のクリーニング装置の要部の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る実施例2のクリーニング装置を示し、ファーブラシに対する掻き落とし部材の食い込み量が大きい状態の要部の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る実施例2のクリーニング装置を示し、ファーブラシに対する掻き落とし部材の食い込み量が小さい状態の要部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の一実施形態に係るクリーニング装置を画像形成装置としてのフルカラープリンタに適用し、図面を参照して説明する。尚、以下に示す実施例は本発明のクリーニング装置における好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。
【0027】
図1は本発明の一実施形態に係るクリーニング装置を搭載した画像形成装置の説明図、図2は本発明の一実施形態に係る実施例1のクリーニング装置の要部の説明図である。
【0028】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るクリーニング装置を搭載した画像形成装置としてのタンデム方式のカラープリンタ11は、プリンタ本体12の内部に、転写紙(図示せず)を収納する給紙カセット13と、給紙カセット13から転写紙を取り出す給紙部14と、給紙カセット13又は図示を略する手差トレイから供給された転写紙に画像形成処理を行う画像形成処理部15と、給紙カセット13又は手差トレイから供給された転写紙を転写紙搬送経路16で案内しつつ画像形成処理部15で画像形成処理したトナー像を転写する二次転写部17と、転写後のトナー像を定着する定着部18と、定着後の転写紙を排紙する排紙部19と、を備えている。
【0029】
画像形成処理部15は、例えば、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を用いて画像形成処理を行うタンデム方式が採用されている。尚、以下の説明では、特に色指定に関する場合にのみ、各算用数字の符号に括弧書きで(Y,M,C,K)の色を付し、共通の場合には算用数字のみの符号を付して説明する。
【0030】
画像形成処理部15は、各色(Y,M,C,K)毎に対応して、補給用トナーを収納した複数のトナーコンテナ20と、各色トナーを図示を略するパーソナルコンピュータから送信された印刷データに含まれる画像データに基づいてトナー像を形成するアモルファスシリコン製の複数の感光体ドラム21と、各感光体ドラム21にトナーを供給する複数の現像器22と、感光体ドラム21に形成されたトナー像が転写される無端状の中間転写ベルト23とを備えている。
【0031】
各感光体ドラム21は、その表面に露光器ユニット24から出射されたビーム光束に基づいて各色のトナー像を担持して中間転写ベルト23にトナー像を転写するためのものであり、現像器22と共に中間転写ベルト23の下方に配置されている。また、感光体ドラム21の周囲には、帯電器(帯電ローラ)25、露光器ユニット24、現像器22、転写ローラ26、感光体クリーニング装置27、除電器28が転写プロセス順に配置されている。
【0032】
各現像器22は、基本的に同一構成のものが中間転写ベルト23の下方に回動移動方向に沿って隣接配置されている。尚、現像器22の詳細な構成の説明は省略する。
【0033】
中間転写ベルト23は、プリンタ本体12内で水平方向に延びて配置された無端ベルトであり、画像形成動作に伴って循環駆動される。また、中間転写ベルト23上に転写されたトナー像は、給紙カセット13又は手差トレイから転写紙搬送経路16を通って搬送されてきた転写紙に対し二次転写部17で転写する。また、中間転写ベルト23は、一対のローラ29,30間に回動移動可能に架設され、一方のローラ29を駆動ローラ、他方のローラ30を従動ローラ兼用のテンションローラとすることで緊張状態が維持されている。さらに、中間転写ベルト23の側方(図においてローラ30に中間転写ベルト23を介して対向する左側)には、二次転写部17で転写紙にトナー像を転写紙した後の残留トナーを中間転写ベルト23の表面から除去するクリーニング装置31が設けられている。
【0034】
尚、二次転写部17でトナー像を転写した転写紙は転写紙搬送経路16を通って定着部18で定着された後、転写紙搬送経路16の終端部に配置された排紙部19へと案内されてプリンタ本体12の上面として兼用する排紙トレイ部12aに向けて排出・積載される。また、ローラ30のテンション機構は公知の技術のものが採用され、中間転写ベルト23の回動移動方向(図示矢印a,b方向)に変位することで中間転写ベルト23の緊張状態を維持する。
【0035】
露光器ユニット24は、各感光体ドラム21(Y,M,C,K)に対応した複数の光源32(Y,M,C,K)から放射された各ビーム光束を、2つに分割されたユニット、即ち、光源32(Y),(M)及び光源32(C),(K)を対としてそれぞれ共用するポリゴンミラー等の偏光器33(YM),33(CK)で偏光走査しつつ感光体ドラム21(Y,M,C,K)にビーム光束を結像する。
【0036】
クリーニング装置31は、中間転写ベルト23の幅方向(図1の紙面と直交する奥行き方向・転写紙幅方向)に延在され、中間転写ベルト23を介してローラ(テンションローラ)30と対向配置されている。また、クリーニング装置31は、図2に示すように、クリーニングケース34と、中間転写ベルト23の表面に接触するローラ状のファーブラシからなるクリーニング部材35と、クリーニング部材35と接触してクリーニング部材35で除去した中間転写ベルト23の表面に付着していた残留トナーをクリーニング部材35から電気的に回収するトナー回収ローラ36と、トナー回収ローラ36で回収した残留トナーを掻き取るクリーニングブレード37と、クリーニングブレード37で掻き取った残留トナーを回収・搬送するスパイラル38と、を備えている。
【0037】
これにより、クリーニング装置31は、クリーニング部材35によって中間転写ベルト23の表面に残存した残留トナー等を中間転写ベルト23の回動移動方向(図2の矢印参照)とカウンタ方向で回転することによって掻き取り除去する。
【0038】
また、クリーニング部材35で掻き取った残留トナーは、トナー回収ローラ36に印加されるバイアスによってクリーニング部材35とトナー回収ローラ36との間の電位差によりトナー回収ローラ36に回収される。
【0039】
さらに、トナー回収ローラ36で回収された残留トナーは、トナー回収ローラ36とカウンタ方向で接触するクリーニングブレード37によって掻き取られ、このクリーニングブレード37の下方に配置されたスパイラル38によって装置外へと排出される。
【0040】
なお、クリーニング部材35には、例えば、導電性ポリエステルや導電性ナイロン等の導電性樹脂からなるブラシを使用する。また、トナー回収ローラ36には、例えば、ステンレス鋼やニッケルメッキした金属部材等を使用する。さらに、クリーニングブレード37には、例えば、ポリウレタン等の樹脂シートやPET等の樹脂フィルムを使用する。
【0041】
また、後述する掻き落とし部材42には、金属製の棒状(ロッド状)部材あるいは板状部材を用い、クリーニング部材35としてのブラシローラへの食い込み量を1〜1.5mmとする。
【0042】
(実施例1)
クリーニング部材35の回転軸39とトナー回収ローラ36の回転軸40との両端間には、クリーニング部材35とトナー回収ローラ36との相対位置を固定する支持部材41が設けられている。
【0043】
支持部材41は、各回転軸39,40を回転可能に支持するベース部41aと、ベース部41aの外周面から突出する扇形状の当接部41bと、クリーニング部材35の上端付近に形成された長孔41cと、長孔41cに沿って変位可能に支持された棒状(ロッド状)の掻き落とし部材42と、掻き落とし部材42をクリーニング部材35の食い込み方向へと付勢するスプリング43と、を備えている。
【0044】
当接部41bは、クリーニング部材35の回転軸39を中心とする円弧状の周端面となるように扇形状とされ、しかも、クリーニング部材35の回転軸39の回転中心とローラ30の支持軸44の回転中心とを結ぶ軸線を中心として対称とされている。また、当接部41bは、その円弧状の周端面が支持軸44に設けられたカラー45と当接することにより、ローラ30の変位に伴うクリーニング部材35の追従を許容することでその相対距離を維持する。
【0045】
この際、当接部41bは、例えば、当接部41bの背面側でベース部41aに弾接するように一端側が支持部材46に支持されたコイルスプリング等の付勢部材47によって付勢設定されている。
【0046】
上記の構成において、クリーニング部材35は、トナー回収ローラ36が食い込む回収ニップ部で、その弾性により回転方向下流側に残留トナーを飛ばし、それが回収ローラ36下側付近のクリーニングケース34とクリーニング部材35との間に蓄積することにより、その蓄積がクリーニングケース34の底部34aとクリーニング部材35の間にも蓄積されていき、更にはクリーニングケース34の底部34aとクリーニング部材35との開口部からトナー落ちを発生させる可能性がある。
【0047】
そこで、中間転写ベルト23とクリーニング部材35とが当接するクリーニングニップ部よりもクリーニング部材35の回転方向下流側で且つクリーニング部材35とトナー回収ローラ36との回収ニップ部よりもクリーニング部材35の回転方向上流側に掻き落とし部材42を設置する。
【0048】
掻き落とし部材42は、トナー回収ローラ36及びクリーニング部材35を支持する支持部材41に支持さているので、トナー回収ローラ36の軸芯を支点としてクリーニング部材35の回動量と同じだけ回動することになり、掻き落とし部材42とクリーニング部材35との食い込み量は一定に保つことができる。
【0049】
掻き落とし部材42のクリーニング部材35に対する食い込み量は、トナー回収ローラ36のクリーニング部材35に対する食い込み量と同等か、あるいは大きめに設定する。
【0050】
掻き落とし部材42をトナー回収ローラ36よりも大きく食い込ませることにより、クリーニング部材35のブラシ繊維間のより軸芯方向内部のトナーを掻き出すことができる。
【0051】
通常はクリーニング部材35の内部にある残留トナーを回収するために決められるトナー回収ローラ36とクリーニング部材35との間の食い込み量は、このように掻き落し部材42のクリーニング部材35に対する食い込み量を同等かあるいはより小さい値に設定することができ、クリーニング部材35からのトナー回収不良とクリーニング部材35からの弾き飛ばしによるトナー落ちを抑制することができる。
【0052】
このとき、掻き落とし部材42に接触したクリーニング部材35は、掻き落とし部材42の下流側(トナー回収ローラ36の上流側)に残留トナーを弾き飛ばすことになるが、その残留トナーはトナー回収ローラ36に印加されたバイアスによって電気的に回収されるので、トナー回収ローラ36の下流側にトナー落ちを発生させることを抑制することができる。
【0053】
また、クリーニング部材35からの荷重により、掻き落とし部材42にスプリング43の付勢力を超える大きな負荷がかかる場合には、掻き落とし部材42は長孔41cに沿ってクリーニング部材35から逃げる方向へと変位可能であることから、トルクアップを防止することができる。
【0054】
このようにすることによって、ローラ30の変位量に関わらず、クリーニング性を確保し、トナー回収ローラ36とクリーニング部材35との食い込み量も小さくすることができ、耐久的にも安定してクリーニング性を維持することが可能となる。
【0055】
(実施例2)
ところで、上記実施の形態(実施例1)では、掻き落とし部材42をクリーニング部材35の回転軸39とトナー回収ローラ36の回転軸40との両端間に一体構成で設けられた支持部材41に設けたものを開示したが、これら各回転軸39,40と同様に、掻き落し部材53をクリーニングケース34に支持させることも可能である。
【0056】
図3,図4は本発明の一実施形態に係る実施例2のクリーニング装置を示し、図3はファーブラシに対する掻き落とし部材の食い込み量が大きい状態の要部の説明図、図4はファーブラシに対する掻き落とし部材の食い込み量が小さい状態の要部の説明図である。
【0057】
図3及び図4において、クリーニングケース34には、掻き落し部材53を変位可能とする各アーム部51,52の支持軸50の両端が固定されている。
【0058】
この支持軸50には、図示しないソレノイドに連結された駆動側アーム部51と、クリーニング部材35の上方に向けて延びる従動側アーム部52とが設けられている。
【0059】
さらに、従動側アーム部52の先端には、クリーニング部材35に食い込み可能な掻き落とし部材53が設けられている共に、クリーニング部材35の軸方向に対して片側あるいは両側にクリーニングケース34に一端を支持されたスプリング54が設けられている。尚、従動側アーム部52に連結されスプリング54により押圧される部材55は、掻き落し部材53と一体あるいは保持する部材であり、アルミ・SUS・鉄等の金属製から構成されている。
【0060】
このような構成において、図3に示すように、画像形成時においては、掻き落とし部材53のクリーニング部材35に対する食い込み量は、トナー回収ローラ36のクリーニング部材35対する食い込み量と同等か、あるいは大きめに設定する。
【0061】
そして、掻き落とし部材53を大きく食い込ませることにより、クリーニング部材35のブラシ繊維間のより軸芯方向内部の残留トナーを掻き出し、トナーの回収性を向上させることができる。
【0062】
一方、画像形成時以外(例えば、駆動停止時・アイドリング時・キャリブレーション時等)では、図4に示すように、ソレノイドを駆動させてクリーニング部材35に対する掻き落とし部材53の食い込み量を小さく(非接触を含む)とすることにより、クリーニング部材35の毛倒れを防止することができ、耐久的にも安定して、クリーニング性を維持することが可能となる。
【0063】
尚、食い込み量が大きい状態で、キャリブレーション等を行った場合、中間転写ベルト23に付着したトナーはクリーニング部材35によって回収され、そのトナーは掻き落とし部材53の下流側(トナー回収ローラ36の上流側)に弾き飛ばすことになるが、そのままトナー回収ローラ36に電気的に回収されるので、トナー回収ローラ36の下流側にトナー落ちを発生させることが抑制される。
【符号の説明】
【0064】
30…ローラ
23…中間転写ベルト
31…クリーニング装置
35…クリーニング部材
36…トナー回収ローラ
42…掻き落とし部材
53…掻き落とし部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラ間に張架された中間転写ベルト上の残留トナーを清掃するための回転可能なクリーニング部材と、該クリーニング部材からトナーを電気的に回収するトナー回収ローラと、を備えたクリーニング装置において、
前記中間転写ベルトと前記クリーニング部材とが接触するクリーニングニップ部よりも前記クリーニング部材の回転方向下流側で且つ前記クリーニング部材と前記トナー回収ローラとが接触する回収ニップ部までの間に前記クリーニング部材に当接する掻き落とし部材と、を備えたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記掻き落とし部材は、前記トナー回収ローラと前記クリーニング部材とを支持する支持部材に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
画像形成時における前記クリーニング部材に対する前記トナー回収ローラの食い込み量は前記クリーニング部材に対する前記掻き落とし部材の食い込み量に対して略同一若しくは小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記掻き落とし部材を前記クリーニング部材に対して一定の荷重で付勢し且つ所定以上の負荷がかかった場合には前記掻き落とし部材を前記クリーニング部材から退避する方向に移動させるテンション機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記掻き落とし部材は、前記クリーニング部材に対する食い込み量が画像形成時と停止時とで異なるように移動可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記クリーニング部材がファーブラシであることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記掻き落し部材が棒状あるいは板状であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−256591(P2010−256591A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106017(P2009−106017)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】