説明

クレーン装置

【課題】繁雑な作業を必要とすることなく、短時間で伸縮ブームの伸縮パターンを選択することのできるクレーン装置を提供する。
【解決手段】伸縮ブームに吊り下げられる吊荷の重さ、吊荷を吊り上げる高さ、および、吊荷の移動半径、のクレーン作業における作業条件を入力部61に入力し、入力部61に入力された作業条件のクレーン作業が可能な伸縮ブームの伸縮パターンを複数の伸縮パターンから選択するようにしている。これにより、所定の条件を入力部61に入力する簡単な操作によって複数の伸縮パターンからクレーン作業が可能な伸縮ブームの伸縮パターンが選択されるため、作業効率の向上を図ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のブーム部材からなり、伸縮自在に設けられた伸縮ブームを備え、1本の伸縮シリンダによって1つのブーム部材ずつ移動させる伸縮動作を行うクレーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のクレーン装置では、複数のブーム部材からなる伸縮ブームを備え、1本の伸縮シリンダを用いて1つのブーム部材ずつ移動させることで伸縮ブームを伸縮させるようにしたものが知られている(例えば、引用文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−332194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記クレーン装置において、例えば、6段ブーム式の伸縮ブームの場合には、30種類以上の伸縮パターンが有る。オペレータは、1回のクレーン作業ごとに30種類以上の伸縮パターンから最適な伸縮パターンを任意に選択しなければならず、伸縮パターンの選択作業に長時間を要する。特に、複数のクレーン作業を連続して行う場合には、オペレータが、各クレーン作業の順番を考慮して各伸縮パターンを選択しなければならず、伸縮パターンの選択作業が繁雑となる。
【0005】
本発明は、繁雑な作業を必要とすることなく、短時間で伸縮ブームの伸縮パターンを選択することのできるクレーン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の発明は、複数のブーム部材からなる伸縮ブームを備え、1本の伸縮シリンダを用いて1つのブーム部材ずつ移動させることで伸縮ブームを伸縮させるクレーン装置において、少なくとも、伸縮ブームに吊り下げられる吊荷の重さ、吊荷を吊り上げる高さ、および、吊荷の移動半径、のクレーン作業における条件を入力する条件入力手段と、条件入力手段に入力された条件のクレーン作業が可能な伸縮ブームの伸縮パターンを複数の伸縮パターンから選択する伸縮パターン選択手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に記載の発明は、伸縮パターン選択手段は、条件入力手段に入力された条件のクレーン作業が可能な伸縮ブームの伸縮パターンが複数該当する場合に、伸縮動作前の伸縮パターンからの伸縮動作の時間が最短となる伸縮パターンを選択することを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の発明は、条件入力手段は、複数のクレーン作業の条件および各クレーン作業の順序が入力可能であり、伸縮パターン選択手段は、条件入力手段に入力された各条件のクレーン作業が可能な伸縮ブームの伸縮パターンが複数該当する場合に、伸縮動作前の伸縮パターンから最後のクレーン作業が可能な伸縮ブームの伸縮パターンまでの合計の伸縮動作の時間が最短となるように各伸縮パターンを選択することを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の発明は、伸縮パターン選択手段は、条件入力手段に入力された条件のクレーン作業が可能な伸縮ブームの伸縮パターンが複数該当する場合に、定格荷重が最大となる伸縮パターンを選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、所定の条件を入力する簡単な操作によって複数の伸縮パターンからクレーン作業が可能な伸縮パターンが選択されるため、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0009】
本発明の請求項2に記載の発明によれば、条件入力手段に入力された条件に対して複数の伸縮パターンが該当する場合に、伸縮動作前の伸縮パターンから伸縮動作後の伸縮パターンとするために必要な伸縮動作の時間が最短となる伸縮パターンが選択されるので、作業効率をさらに向上させることが可能となる。
本発明の請求項3に記載の発明によれば、条件入力手段に入力された各条件に対してそれぞれ複数の伸縮パターンが該当する場合に、複数のクレーン作業について伸縮動作に要する時間が最も小さくなるように各条件について伸縮ブームの伸縮パターンが選択されるので、作業効率をさらに向上させることが可能となる。
本発明の請求項4に記載の発明によれば、条件入力手段に入力された条件に対して複数の伸縮パターンが該当する場合に、吊荷の重さよりも十分に大きな定格荷重を有する伸縮パターンの伸縮ブームによって吊荷を吊ることができるので、安全性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示す移動式クレーンの側面図である。
【図2】伸縮ブームの概略図である。
【図3】制御系を示すブロック図である。
【図4】伸縮ブーム性能表(1)を示す図である。
【図5】伸縮ブーム性能表(2)を示す図である。
【図6】伸縮パターン選択処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図6は、本発明の一実施形態を示すものである。本実施形態では、本発明のクレーン装置が適用された移動式クレーンについて説明する。
【0012】
この移動式クレーン1は、図1に示すように、走行するための車両10と、クレーン装置20と、を備えている。
【0013】
車両10は、前後方向に複数の左右に対をなす車輪11を有し、エンジンを動力源として走行する。車両10の前部には、車両10の走行に関する操作を行うための車両側キャビン12が設けられている。また、車両10の前部側および後部側の左右両側には、クレーン作業時に車両10の転倒を防止するとともに、車両10を安定的に支持するためのアウトリガ13が設けられている。アウトリガ13は、ジャッキシリンダによって下方に伸長させて下端を接地させることにより使用される。
【0014】
クレーン装置20は、車両10の前後方向中央部に旋回可能に設けられた旋回台30と、旋回台30に対して起伏可能に設けられるとともに、伸縮可能に設けられた伸縮ブームと40、旋回台30に設けられたクレーン側キャビン50と、を有している。
【0015】
旋回台30は、ボールベアリング式やローラーベアリング式の旋回サークル31によって車両10に対して旋回自在に構成され、図示しない旋回用の油圧モータを駆動させることで旋回する。
【0016】
伸縮ブーム40は、複数のブーム部材41と、各ブーム部材41の伸縮動作を行うための伸縮シリンダ42と、起伏動作を行うための起伏シリンダ43と、を有している。
【0017】
各ブーム部材41は、最先端側のブーム部材41を除いて、内部に先端側のブーム部材41が収納可能な中空状に形成されている。伸縮ブーム40は、各ブーム部材41に対して先端側のブーム部材41を移動させることにより伸縮可能に構成されている。また、各ブーム部材41とその内側に位置する先端側のブーム部材41との間には、各ブーム部材41に対して先端側に位置するブーム部材41を所定の位置で係脱可能に固定するための図示しないブーム間ロック機構が設けられている。本実施形態の伸縮ブーム40は、図2に示すように、基端側から、ベースブーム41a、セカンドブーム41b、サードブーム41c、フォースブーム41d、フィフスブーム41e、トップブーム41fからなる6段式に構成されている。図2(a)は伸縮ブーム40の全短縮状態を示し、図2(b)は、伸縮ブーム40の全伸長状態を示す。また、ブーム間ロック機構は、各ブーム部材41に対して先端側に位置するブーム部材41を、最大限伸長した状態を100%とした場合に、46%、92%、100%の位置で固定可能である。
【0018】
伸縮シリンダ42は、図2に示すように、シリンダ部42aとロッド部42bとからなり、ベースブーム41a内においてロッド部42bの先端部がベースブーム41aに連結されている。伸縮シリンダ42のシリンダ部42aには、ベースブーム41aを除く各ブーム部材41の基端部と伸縮シリンダ42のシリンダ部42aとを係脱可能に連結するためのシリンダ・ブーム連結機構が設けられている。また、伸縮シリンダ42のシリンダ部42aには、各ブーム部材41と隣り合うブーム部材41とのブーム間ロック機構による固定を解除するための図示しないロック解除機構が設けられている。
【0019】
伸縮ブーム40は、シリンダ・ブーム連結機構によって伸縮動作させるブーム部材41とシリンダ部42aとを連結するとともに、伸縮動作させるブーム部材41と基端側に隣り合うブーム部材41とのブーム間ロック機構による固定を解除し、伸縮シリンダ42を駆動させることで伸縮動作を行う。
【0020】
クレーン側キャビン50は、旋回台30上の伸縮ブーム40の側方に設けられ、クレーン作業に関する操作が行われる。
【0021】
また、旋回台30の後部には、伸縮ブーム22の先端に荷物を吊り下げたときに安定性を確保する目的で、カウンタウエイト32が着脱自在に装着される。
【0022】
また、移動式クレーン1は、伸縮ブーム40の複数種類の伸縮パターンから、所定の条件のクレーン作業が可能な伸縮パターンを選択する制御を行うためのコントローラ60を備えている。
【0023】
コントローラ60は、CPU、ROM、RAMを有している。コントローラ60は、入力側に接続された装置からの入力信号を受信すると、CPUが、入力信号に基づいてROMに記憶されたプログラムを読み出すとともに、入力信号によって検出された状態をRAMに記憶したり、出力側に接続された装置に出力信号を送信したりする。
【0024】
コントローラ60の入力側には、図3に示すように、伸縮ブーム40に吊り下げられる吊荷の重さW、吊荷を吊り上げる高さ(揚程)H、および、吊荷の移動半径Rの作業条件を入力するためのテンキーやタッチパネル等の入力部61と、起伏角度や伸縮パターン等の伸縮ブーム40の状態を検出するための状態検出手段62と、カウンタウエイト32の重さを検出するためのカウンタウエイト重量検出手段63と、アウトリガ13の張り出し幅を検出するためのアウトリガ幅検出手段64と、が接続されている。コントローラ60には、入力部61に入力された条件に関する入力信号、伸縮ブーム40の状態、カウンタウエイト32の重さ、および、アウトリガ13の張り出し幅に関する検出信号が入力する。
【0025】
入力部61では、所定の条件のクレーン作業が可能な伸縮パターンが複数該当する場合に、伸縮動作の時間が最も小さくなる伸縮パターンを優先的に選択するか、または、定格荷重が最も大きい伸縮パターンを優先的に選択するか、の優先事項の設定が可能である。また、入力部61では、異なる作業条件のクレーン作業を連続して行う場合に、複数の作業条件の入力が可能に構成されている。
【0026】
コントローラ60の出力側には、図3に示すように、入力信号および検出信号に基づいて選択されたクレーン作業が可能な伸縮ブーム40の伸縮パターンを表示するための液晶ディスプレイ等の表示装置65が接続されている。コントローラ60は、表示装置65に対して表示内容に関する表示信号を送信する。
【0027】
コントローラ60のROMには、図4および図5に示すように、カウンタウエイト32の重さ、アウトリガ13の張り出し幅、伸縮ブーム40の長さ、伸縮パターン、作業半径Rおよび吊荷を吊り下げる最大高さ(最大揚程)Hから得られるクレーン作業が可能な吊荷の重さWを示す性能表に対応するデータが記憶されている。
ここで、図4および図5では、カウンタウエイト32の重さが40tで、アウトリガ13の張り出し幅が7.5mのときの性能表を示している。コントローラ60のROMには異なる重さのカウンタウエイト32の場合、および、異なる張り出し幅のアウトリガ13の場合の性能表に対応するデータも記憶されている。また、図4および図5では、伸縮ブーム40のみの場合における性能表を示している。コントローラ60のROMには伸縮ブーム40の先端にジブを取り付けたときの性能表に対応するデータも記憶されている。図4の伸縮パターンNo.1の縦の欄に記載されている吊荷の重さWの差異は、車両10に対する旋回台30の向きによる定格荷重の差異が表わされている。
コントローラ60は、ROMに記憶された性能表に対応するデータを参照し、各条件を満たす伸縮パターンを抽出し、抽出された伸縮パターンのうちから優先事項を満たす伸縮パターンを選択する。
【0028】
以上のように構成されたクレーン装置において、コントローラ60は、入力部61に作業条件が入力される場合に、図6の伸縮パターン選択処理を行う。
【0029】
(ステップS1)
ステップS1において、CPUは、入力部61に対して作業条件が入力されたか否かを判定する。作業条件が入力された場合にはステップS2に処理を移す。
【0030】
(ステップS2)
ステップS1において、入力部61に対して作業条件が入力されたと判定した場合に、ステップS2においてCPUは、全ての伸縮パターンから条件を満たす伸縮パターンを抽出し、ステップS3に処理を移す。
【0031】
(ステップS3)
ステップS3においてCPUは、ステップS2において抽出された伸縮パターンが複数種類であるか否かを判定する。抽出された伸縮パターンが複数種類であると判定した場合にはステップS4に処理を移し、抽出された伸縮パターンが複数種類でない(抽出された伸縮パターンが1種類である)と判定した場合にはステップS7に処理を移す。
【0032】
(ステップS4)
ステップS3において、抽出された伸縮パターンが複数種類であると判定した場合に、ステップS4においてCPUは、優先事項が時間であるか否かを判定する。優先事項が時間であると判定した場合にはステップS5に処理を移し、優先事項が時間ではない(優先事項が定格荷重である)と判定した場合にはステップS6に処理を移す。
【0033】
(ステップS5)
ステップS4において、優先事項が時間であると判定した場合に、ステップS5においてCPUは、状態検出手段62によって検出された伸縮ブーム40の伸縮パターンからの伸縮動作の時間が最も短くなる伸縮パターンを、抽出された伸縮パターンから選択し、ステップS8に処理を移す。
【0034】
(ステップS6)
ステップS4において、優先事項が時間ではない(優先事項が定格荷重である)と判定した場合に、ステップS6においてCPUは、定格荷重が最大となる伸縮パターンを、抽出された伸縮パターンから選択し、ステップS8に処理を移す。
【0035】
(ステップS7)
ステップS3において、抽出された伸縮パターンが複数種類でない(1種類である)と判定した場合に、ステップS7においてCPUは、抽出された伸縮パターンを選択し、ステップS8に処理を移す。
【0036】
(ステップS8)
ステップS8においてCPUは、ステップS5〜S7のいずれかにおいて選択された伸縮パターンを表示装置65に表示し、伸縮パターン選択処理を終了する。
【0037】
ステップS5またはステップS6において、一方の優先事項に複数の伸縮パターンが該当する場合には、他方の優先事項を満たす伸縮パターンを選択する。また、一方の優先事項且つ他方の優先事項に複数の伸縮パターンが該当する場合には、該当する全ての伸縮パターンを選択する。
【0038】
ここで、例えば、カウンタウエイト32が40t、アウトリガ13の張り出し幅が7.5mであり、入力部61に対して、吊荷の重さWが10t、作業半径Rが20m、揚程Hが37mの作業条件が入力され、優先事項として定格荷重が設定されている場合の伸縮パターン選択処理を具体的に説明する。
【0039】
まず、作業条件(W=10t、R=20m、H=37m)が入力部61に入力されると(S1)、性能表に対応するデータから作業条件を満たす伸縮パターンNo.21,22,24〜34(図5の性能表の最下欄)を抽出する(S2)。
次に、抽出された伸縮パターンは複数種類であり(S3)、優先事項は時間でないため(S4)、抽出された伸縮パターンの中から定格重量が最も大きな伸縮パターンである伸縮パターンNo.21を選択する(S6)。
最後に、選択された伸縮パターンNo.21を表示装置65に表示する(S8)。
【0040】
次に、例えば、クレーン作業開始前の伸縮パターンが伸縮パターンNo.1、カウンタウエイト32が40t、アウトリガ13の張り出し幅が7.5mであり、複数の作業条件(クレーン作業の順に、第1作業条件、第2作業条件、第3作業条件)が入力部61に入力され、優先事項として時間が設定されている場合の伸縮パターン選択処理を具体的に説明する。
【0041】
まず、第1作業条件(W=10t、R=20m、H=37m)、第2作業条件(W=11t、R=26m、H=2m)、第3作業条件(W=45t、R=4m、H=15m)が入力部61に入力されると(S1)、性能表に対応するデータから作業条件毎に作業条件を満たす伸縮パターンを抽出する(S2)。ここでは、第1作業条件について、伸縮パターンNo.21,22,24〜34が抽出される。また、第2作業条件では、伸縮パターンNo.15,18,22,25が抽出される。さらに、第3作業条件では、伸縮パターンNo.2,3,5〜7,9〜11が抽出される。
次に、抽出された伸縮パターンはそれぞれ複数種類であり(S3)、優先事項は時間であるため(S4)、抽出された伸縮パターンの中から伸縮動作が最も短時間となる伸縮パターンの組み合わせを選択する(S5)。
ここでは、伸縮パターンNo.1から第1作業条件を満たす伸縮パターン、第2作業条件を満たす伸縮パターン、第3作業条件を満たす伸縮パターンへと順に伸縮動作を行う場合において、各ブーム部材41b〜fの動作する距離および回数が最も小さくなるように各作業条件を満たす伸縮パターンが選択される。また、この伸縮ブーム40が伸縮動作を行う際に、伸縮ブーム40が伸長する場合には、先端側のブーム部材41から順に伸縮動作を行い、伸縮ブーム40が短縮する場合には、基端側のブーム部材41から順に伸縮動作を行うため、伸縮動作の順序に応じた伸縮パターンが選択される。
各作業条件を満たす伸縮パターンは、第1作業条件、第2作業条件、第3作業条件の順に、伸縮ブーム40の平均の長さが短くなる。したがって、第1作業条件については伸縮ブーム40の長さが短い伸縮パターンが選択され、第2作業条件および第3作業条件については第1作業条件において選択される伸縮パターンの基端側のブーム部材41を伸縮動作させることで、伸縮動作に要する時間が最短となる各伸縮パターンが選択される。
この場合、伸縮パターンNo.1から最短の伸縮動作の時間で第1作業条件を満たす伸縮パターンNo.21が選択され、伸縮パターンNo.21からセカンドブーム41bのみを伸縮動作させることで第2作業条件を満たす伸縮パターンNo.15が選択され、伸縮パターンNo.15からサードブーム41cのみを伸縮動作させることで第3作業条件を満たす伸縮パターンNo.11が選択される。
最後に、第1作業条件に対応する選択された伸縮パターンNo.21、第2作業条件に対応する選択された伸縮パターンNo.15、第3作業条件に対応する選択された伸縮パターンNo.11を表示装置65に表示する(S8)。
【0042】
このように、本実施形態のクレーン装置によれば、少なくとも、伸縮ブーム40に吊り下げられる吊荷の重さW、吊荷を吊り上げる高さH、および、吊荷の移動半径R、のクレーン作業における作業条件を入力部61入力し、入力部61に入力された作業条件のクレーン作業が可能な伸縮ブーム40の伸縮パターンを複数の伸縮パターンから選択するようにしている。これにより、所定の条件を入力部61に入力する簡単な操作によって複数の伸縮パターンからクレーン作業が可能な伸縮ブーム40の伸縮パターンが選択されるため、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0043】
また、入力部61に入力された各作業条件のクレーン作業が可能な伸縮ブーム40の伸縮パターンが複数該当する場合に、状態検出手段62によって検出された伸縮パターンから最後のクレーン作業が可能な伸縮ブーム40の伸縮パターンまでの合計の伸縮動作の時間が最短となる各伸縮パターンを選択するようにしている。これにより、複数のクレーン作業について伸縮動作に要する時間が最も小さくなるように各作業条件について伸縮ブーム40の伸縮パターンが選択されるので、作業効率をさらに向上させることが可能となる。
【0044】
また、入力部61に入力された作業条件のクレーン作業が可能な伸縮ブーム40の伸縮パターンが複数該当する場合に、定格荷重が最大となる伸縮パターンを選択するようにしている。これにより、吊荷の重さWよりも十分に大きな定格荷重の伸縮パターンの伸縮ブーム40によって吊荷を吊ることができるので、安全性を向上させることが可能となる。
【0045】
尚、前記実施形態では、クレーン装置として図1のようにオールテレーンクレーンを示したがこれに限られるものではなく、多段式の伸縮ブームを有するものであれば、ラフテレーンクレーンやクローラークレーン、トラッククレーンであってもよい。
【0046】
また、前記実施形態では、複数のクレーン作業を連続して行う場合に、抽出された伸縮パターンの中から伸縮動作が最も短時間となる伸縮パターンの組み合わせを選択するようにしたものを示したがこれに限られるものではない。例えば、一のクレーン作業毎に、伸縮ブーム40の伸縮動作前の伸縮パターンから伸縮動作後の伸縮パターンとするために必要な伸縮動作の時間が最短となる伸縮パターンを抽出された複数の伸縮パターンから選択するようにしてもよい。
【0047】
また、前記実施形態では、カウンタウエイト32の重さをカウンタウエイト重量検出手段63によって検出し、アウトリガ13の張り出し幅をアウトリガ幅検出手段64によって検出するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、オペレータが、カウンタウエイト32の重さやアウトリガ13の張り出し幅を、作業条件として入力部61に入力するようにしても、前記実施形態と同様に最適な伸縮ブーム40の伸縮パターンを選択することが可能である。
【0048】
また、前記実施形態では、抽出された伸縮パターンが複数該当する場合に、1つの作業条件に対して優先事項に基づいて最適な1つの伸縮パターンを表示装置65に表示するようにしているがこれに限られるものではない。例えば、最適な伸縮パターンが複数該当する場合には該当する複数の伸縮パターンを表示装置65に表示するようにしてもよいし、最適な伸縮パターンから順に全ての抽出された伸縮パターンを表示装置65に表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
40 伸縮ブーム
41 ブーム部材
60 コントローラ
61 入力部
62 状態検出手段
63 カウンタウエイト重量検出手段
64 アウトリガ幅検出手段
65 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブーム部材からなる伸縮ブームを備え、1本の伸縮シリンダを用いて1つのブーム部材ずつ移動させることで伸縮ブームを伸縮させるクレーン装置において、
少なくとも、伸縮ブームに吊り下げられる吊荷の重さ、吊荷を吊り上げる高さ、および、吊荷の移動半径、のクレーン作業における条件を入力する条件入力手段と、
条件入力手段に入力された条件のクレーン作業が可能な伸縮ブームの伸縮パターンを複数の伸縮パターンから選択する伸縮パターン選択手段と、を備えた
ことを特徴とするクレーン装置。
【請求項2】
伸縮パターン選択手段は、条件入力手段に入力された条件のクレーン作業が可能な伸縮ブームの伸縮パターンが複数該当する場合に、伸縮動作前の伸縮パターンからの伸縮動作の時間が最短となる伸縮パターンを選択する
ことを特徴とする請求項1記載のクレーン装置。
【請求項3】
条件入力手段は、複数のクレーン作業の条件および各クレーン作業の順序が入力可能であり、
伸縮パターン選択手段は、条件入力手段に入力された各条件のクレーン作業が可能な伸縮ブームの伸縮パターンが複数該当する場合に、伸縮動作前の伸縮パターンから最後のクレーン作業が可能な伸縮ブームの伸縮パターンまでの合計の伸縮動作の時間が最短となるように各伸縮パターンを選択する
ことを特徴とする請求項1記載のクレーン装置。
【請求項4】
伸縮パターン選択手段は、条件入力手段に入力された条件のクレーン作業が可能な伸縮ブームの伸縮パターンが複数該当する場合に、定格荷重が最大となる伸縮パターンを選択する
ことを特徴とする請求項1記載のクレーン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−121665(P2012−121665A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272814(P2010−272814)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】