説明

クロス底バッグの底位置決め装置

【課題】 コンベアベルトの製造公差によりもたらされる品質上の欠陥を低減できる装置を提供する。
【解決手段】 本発明はクロス底バッグの底位置決め装置に関する。本発明の装置は、チューブセクション(1)に異なる加工工程を実行する多数の加工ステーション(30、31)を有する点で新規性及び進歩性を有する。上記課題を達成するため、少なくとも1つの加工ステーションには工具が設けられ、該工具は工具ローラ(7、9)上に取付けられ、該ローラの1回転の間に、その加工位置を1回通る。また、底位置決め装置は搬送システム(3、4、6)を有し、該搬送システムは、幾つかの加工ステーションを通して管状ピースを搬送し、本質的に、駆動ホイール(4)、及び、工具ローラ、並びに、これらの回転運動を調和させる搬送ベルト(3)および駆動システム(5、12)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1の前提部に記載してあるクロス底バッグ(十字底バッグ:クロス・ベース・バッグ:cross base bags)の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これらの装置は、だいぶ以前から知られており、例えば、ドイツ国特許DE 198 05 321 C1明細書(特許文献1)に開示されている。近年、小容積のクロス底バッグに対する要望が増大している。クロス底バッグ(十字底バッグ:クロス・ベース・バッグ)は、底(ベース)の中央部の寸法(base middle measurement)を小さくすることにより、小容積にすることができる。しかしながら、底の中央部の寸法が小さいバッグの製造には、製造手段、主として、バッグ製造装置の広範囲の構造的変更を行う必要がある。バッグは、バッグ製造装置の加工ステーションを通して、チューブの主軸線に対して直角に搬送されるので、加工ステーションおよびコンベアシステムの両方ともが、従来使用されているものより幅が狭くなるように(幅狭に)形成しなければならない。
【0003】
必要な対処方法の1つは、バッグ製造装置の加工ステーションを通してバッグを搬送する幅狭の(幅が狭い)コンベアベルトを使用することである。しかしながら、コンベアベルトは、かなりの大きさの引張り応力に曝されており、伸びてしまう危険がある。この傾向は、コンベアベルトの幅の減少につれて増大する。しかしながら、作業中にコンベアベルトの長さを変更すると、加工ステーションにおけるバッグ位置が、もはや、工具ローラの回転運動に正確に整合しなくなってしまう。バッグが、未だ正しい位置に配置されなくても、または、もはや正しい位置に配置されなくても、工具は加工位置を通って回転し、関連する加工工程は不正確に行われる。この結果生じるバッグの製造公差は、バッグに重大な品質上の欠陥、例えば、漏れ、および、耐久性の欠如をもたらす。これらの結果は非常に好ましくないものである。
【0004】
これらの理由から、少なくともスチールのような引張り応力に耐え得る材料で作られた構成要素を備えたコンベアベルトを使用することが推奨されている。一般に、ベルトのこれらの構成要素は、搬送される物品が損傷を受けないように、弾性があり、かつ、柔軟な材料で被覆されている。この点に関し、コアにスチールを有し、かつ、通常、ゴムで被覆された、いわゆるケーブルコードベルトについて言及しなければならない。
残念なことに、上記種類のコンベアベルトは製造公差を有し、これらの製造公差の結果として、機械加工の位置調整におけるバッグの位置決め精度が低下し、従って、バッグの製造公差の精度が低下する。
【0005】
【特許文献1】ドイツ国特許DE 198 05 321 C1明細書
【特許文献2】ドイツ国特許DE 102 55 483明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、コンベアベルトの製造公差によってもたらされる品質上の欠陥を低減することができる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、上記の目的は、駆動システムの駆動ホイールが、少なくとも工具ローラより小さい角速度で駆動することができ、かつ、駆動ホイールが、工具ローラより大きい直径を有するように構成することにより達成される。
本発明は、一連の驚異的な発見の全体を用いるものである。スチールのような引張り応力に耐え得る材料、および、柔軟な保護部材、および/または、柔軟な被覆からなる構成要素を有するコンベアベルトの使用に際し、バッグの搬送方法は、先ず、引張り応力に耐え得る材料により決定される。
【0008】
かくして、搬送ディスクの角速度と、引張り応力に耐え得る材料の前記搬送ディスクの軸線からの距離とは、加工ステーションでのバッグの搬送速度にとって決定的なものである。
引張り応力に耐え得る材料の搬送ディスクの軸線からの距離は、以下の説明において、有効ディスク半径と呼ぶことにする。有効ディスク半径は、駆動ホイールの実際の半径と、搬送ディスクの外周面と、引張り応力に耐え得る材料との間の弾性柔軟層の厚さとで構成される。しかしながら、この層の厚さは変化を受け、この変化は搬送ディスクの有効半径に影響を与え、従って、搬送速度に影響を与える。
【0009】
これらの変化は、主として、加工ステーションでのバッグの位置決め精度を低下させる。本発明による方法によって、搬送ディスクの外周面と、引張り応力に耐え得る材料との間の弾性柔軟層の厚さの変化の相対的な部分は、搬送ディスクの有効半径に応じて減少され、従って、搬送速度に応じて減少される。
【0010】
特に有利であると判明していることは、加工ローラの角速度に対する駆動ローラの角速度の比を2/3とする構成である。角速度のこの比を2/3とすることにより、駆動ホイールが加工ローラと同じ角速度を有する場合と比較して、コンベアベルトの速度の低下も、係数2/3だけ低下する。
べべルギヤの補助を用いて、ラインシャフト(べべルギヤを備えた垂直シャフト)から、少なくとも1つの駆動ホイールにトルクを分岐し、該トルクを下流側に配置されたプラネタリギアを介して駆動ホイールに伝達する駆動システムを設けるのが有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の設計の一例が、添付図面と、その対象に関する説明に示されている。
図1は、本発明によるバッグ製造装置のカットアウト(部分切断図)を示す。チューブセクション1は、平らにした態様(平坦モード)で搬送方向Xに搬送される。チューブセクション1の底2は既に形成されている。例えば、ドイツ国特許DE 102 55 483明細書(特許文献2)と同じ出願人に係る未公開の他の特許出願には、バッグ底の形成が説明されている。チューブセクション1は、2つのコンベアベルト3の間にグリップ保持される。バッグ製造装置に存在する2つの加工ステーションの一例として、底溝付けステーション30および接着ステーション31を以下に説明する。底溝付けステーション30の溝付けローラ7の周囲に取付けられた溝付けナイフとして設計された工具がチューブセクション1の底2に底溝を形成し、このとき背圧ローラ8が反力を付与する。次に、接着ステーション31では、フォーマットローラ9により、チューブセクション1の底2上にフォーマットに従った接着剤の塗布が行われる。接着剤の塗布に必要な反力は、背圧ローラ10が付与する。全てのローラ7、8、9、10は、詳細には図示しない態様で、機械フレーム(図示せず)に支持されている。
【0012】
コンベアベルト3は無端コンベアとして設計され、かつ、バッグ製造装置の両端部に設けられた偏向ローラを周回する。コンベアベルト3の駆動は、駆動ホイール4により行われる。これらの駆動ホイール4は、ラインギヤ12から出発するギヤ5により駆動され、該ギヤ5については、図5に基いて、より詳細に説明する。駆動ホイール4上へのコンベアベルト3の充分な付着を保証するため、図2に示すように、それぞれの駆動ホイール4の左右両側には、偏向ディスク6が配置されている。これらの偏向ディスク6は、機械フレームの支持ピン11上でピボット式に回転される。
【0013】
コンベアベルト3の速度およびチューブセクション1の搬送速度は、単位時間当りに進行する距離で定められる。しかしながら、この進行距離は、コンベアベルト3のスチールコード13と、駆動ホイール4の軸線との間の距離に基いて定められる。以下、この距離を有効半径Reffと呼ぶこととする。有効半径Reffは、駆動ホイール5の半径と、スチールコード13とコンベアベルト3の表面17との間のゴム被覆15の厚さDとの合計である。表面17は、駆動ホイール5の外周面と直接接触している。
【0014】
図3に示すように、厚さDは一定の値ではなく、その代わりに、厚さDは値Dminと値Dmaxとの間で変化する。換言すれば、距離Dは、値Dmaxと値Dminとの差から生じる誤差ΔDによる影響を受ける。コンベアベルト3の製造公差から生じるこの誤差は、コンベアベルトの速度低下を直接的に引起こし、従って、クロス底バッグの製造品質を低下させる。
【0015】
図4は、コンベアベルト3の構造を示す斜視図である。コンベアベルト3は、本質的に、水平面内に配置された幾つかのスチールコード13と、該スチールコード13を包囲するゴム被覆15とからなる。スチールコード13は、ゴム被覆15と比較して本質的に高い引張り強度を有するので、スチールコード13がコンベアベルト3の、いわゆる「中立相( neutral phase )」を決定する。このことは、スチールコード13が、圧縮されることも引張られることもないことを意味する。このような形式の構造を備えたコンベアベルト3は当業界で「ケーブルコードベルト」と呼ばれているものであり、該コンベアベルト3の引張り強度により幅狭に維持される。従って、このような形式のコンベアベルトは、底の中央部の寸法が小さいクロス底バッグの製造に使用されるバッグ製造装置に使用するのに特に適している。小さい比引張り強度をもつコンベアベルトを使用する場合に、同等の引張り強度を受入れるためには、これらのバッグ製造装置は幅広に設計しなければならない。
【0016】
図5は、図1のギヤを示す図面である。駆動トルクは、ラインギヤ12を介してギヤに供給される。シャフトはべべルギヤ20を押し、該べべルギヤ20はトルクの一部を取出して、これをプラネタリギヤ21およびシャフト23に分配する。シャフト23は、もう1つのべべルギヤ20に終端しており、該べべルギヤ20はトルクを分配し、かつ、もう1つのプラネタリギア21に供給する。両方のプラネタリギア21は、各々が駆動ホイール4を駆動する。全てのギアボックス部品20、21、23が、ベースプレート18、または、保持プレート19、22に連結されており、これにより、保持プレート19、22もベースプレート18に強固に連結されている。ベースプレート18は、詳細には図示しない態様で機械フレームに取付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明によるバッグ製造装置のカットアウトを示す平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う方向から見た側面図である。
【図3】図2中の円で囲む領域を示す詳細図である。
【図4】コンベアベルトを示す詳細図である。
【図5】本発明によるバッグ製造装置の駆動ホイールのギヤ構造を示す図面である。
【符号の説明】
【0018】
1 チューブセクション
2 底
3 コンベアベルト
4 駆動ホイール
5 ギヤ
6 偏向ディスク
7 溝付けローラ
8 背圧ローラ
9 フォーマットローラ
10 背圧ローラ
11 ベアリングピン
12 ラインギヤ
13 スチールコード
15 ゴム被覆
17 ゴム被覆の表面
18 ベースプレート
19 保持プレート
20 べべルギヤ
21 プラネタリギア
22 保持プレート
23 シャフト
30 底溝付けステーション
31 接着ステーション
eff 有効半径
D ゴム層の厚さ
min ゴム層の最小厚さ
max ゴム層の最大厚さ
X 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロス底バッグのチューブセクション(1)を加工するクロス底バッグ製造装置であって、該クロス底バッグ製造装置は、下記の特徴、すなわち、
チューブセクション(1)に異なる加工工程を実行する幾つかの加工ステーション(30、31)を有し、
このため、少なくとも1つの加工ステーション(30、31)には工具が設けられ、該工具は工具ローラ(7、9)上に取付けられ、かつ、該ローラ(7、9)の各回転中にその加工位置を通って走行し、前記加工ステーションには、更に、少なくとも1つのコンベアシステム(3、4、6)が設けられ、該コンベアシステム(3、4、6)は、幾つかの加工ステーション(30、31)を通してチューブセクション(1)を搬送し、かつ、本質的に、搬送ディスク(4)により駆動されるコンベアベルト(3)からなり、
駆動システム(5、12)を有し、該駆動システム(5、12)は駆動ホイール(4)および工具ローラ(7、9)を駆動し、かつ、1つのチューブセクション(1)が、少なくとも1つの加工ステーション(30、31)を通って走行する度毎に、工具ローラ(7、9)が1回転を完了するように、前記駆動ホイール(4)および前記工具ローラ(7、9)の回転運動を調和させる特徴を有するクロス底バッグ製造装置において、
前記駆動ホイール(4)は、前記工具ローラ(7、9)より小さい角速度で前記駆動システム(5、12)によって駆動することができるように構成され、
前記駆動ホイール(4)は、前記工具ローラ(7、9)より大きい直径を有する、
ことを特徴とするクロス底バッグ製造装置。
【請求項2】
前記駆動システム(5、12)は、前記駆動ホイール(4)の角速度と、前記工具ローラ(7、9)の角速度との間に2/3の比を形成することを特徴とする請求項1記載のバッグ製造装置。
【請求項3】
前記駆動システム(5、12)は、べべルギヤ(20)の補助を用いて、ラインギヤ(12)から、少なくとも1つの前記駆動ホイール(4)にトルクを分岐し、かつ、下流側に配置されたプラネタリギア(21)を介して、前記トルクを前記駆動ホイール(4)に伝達することを特徴とする請求項1または2記載のバッグ製造装置。
【請求項4】
クロス底バッグのチューブセクション(1)を加工する方法であって、下記の特徴すなわち、
チューブセクション(1)に幾つかの加工工程を実施し、該加工工程は異なる加工ステーション(30、31)で行われ、
このため、少なくとも1つの加工ステーション(30、31)では、回転工具ローラ(7、9)に取付けられ、かつ、該ローラ(7、9)の各回転中に加工位置を通って走行する工具を用いて加工工程が遂行され、
前記チューブセクション(1)が、駆動ホイール(4)により駆動されるコンベアベルト(3)を用いて、加工ステーション(7、8、9、10)を通って搬送され、
前記駆動ホイール(4)および前記工具ローラ(7、9)の駆動により、上記両形式のローラ(4、7、9)の回転運動が整合され、これにより、1つのチューブセクション(1)が、少なくとも1つの加工ステーション(30、31)を通って走行する度毎に、前記工具ローラ(7、9)が1回転を完了する特徴を有する加工方法において、
前記駆動ホイール(4)が、前記工具ローラ(7、9)よりも小さい角速度で駆動されることを特徴とする加工方法。
【請求項5】
前記工具ローラ(7、9)の角速度に対する駆動ホイール(4)の角速度の比は2/3であることを特徴とする請求項4記載の加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−510513(P2006−510513A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562693(P2004−562693)
【出願日】平成15年12月5日(2003.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013801
【国際公開番号】WO2004/058492
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(590002909)ヴィントメーラー ウント ヘルシャー コマンディトゲゼルシャフト (33)
【Fターム(参考)】